説明

電極システム及び分子特性付けに使用される電極システム

2個の電極(16a、16b)を提供して電極間にトンネル隙間を規定する工程と、該電極間に電位差を与える工程と、該トンネル隙間に分子を通過させる工程と、測定期間の間に亘って該電極間のトンネル電流を計測する工程と、を有し、該測定期間のうち少なくとも一部の期間においては該分子の少なくとも一部が該隙間内に位置している分子特性付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子の特性付けに関する。特に本発明は、DNAのようなポリマー材料の配列解析に適用される。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学又はラブオンナチップ(バイオチップ)技術の開発や適用について近年関心が深まってきている。微小スケール解析のための装置は、微小測定装置の機構である溝や電極や反応器やフィルタなどを用い、高精度で効率的に流体サンプルを扱うことができる。マイクロ流体工学的チップ装置は様々な用途があり、核酸の分離やプロテオミクス、DNA増幅、DNA配列、細胞操作などに用いられる。基本的には、従来の(比較的大型の)装置よりも、チップベースの解析システムのほうが多くの利点を示している。サンプルの大きさや反応時間、経費、解析の性能、プロセス制御、統合化、スループット、自動化などに関して、より高い性能を示している。
【0003】
最近では溝の断面寸法が1ミクロンの分数程度になるようにマイクロ流体工学システムを小型化する要求がある。このようなナノ流体工学装置によって、ナノ流体工学的な現象の基礎的研究や応用研究の新たな機会を広げることができる。基本的には、ナノ流体工学ではナノスケールでの流体の流れをいうものであり、100nmより小さい寸法を適宜規定するものである。特徴づけによれば、広い環境での流れとは区別されるナノスケールの流体の流れである。第1に、電解質溶液中の例えばデバイ長のような実際のスケーリングに匹敵するような構造で流れが起きる。第2に、表面積と体積との比が膨大である。第3に、この基準では拡散が極めて効率的な大量輸送のメカニズムとなる。最終的には、ナノ流体工学環境下での極小の体積によって被分析分子を規定の領域に制限して、理論的には100%の検出効率をもたらす。化学的生物学的システムの解析や処理を行う際に、これらすべての特徴は重要な利益となるまでつきとめられる。
【0004】
コロイド科学や薄膜形成など任意な形態でのナノスケールの特徴(例えば細孔など)を形成するように十分に確立された技術と比較すると、ナノ構造とすることにより、ナノ構造の形成や制御について寸法、形状、位置を個々に可変とすることができる。簡単にいえば、ナノチャンネルとは、少なくとも1つの断面寸法がナノメータの範囲にある溝として規定される。1次元のナノチャンネルは一つの1ミクロン未満の断面寸法を有するが、2次元のナノチャンネルは、ナノメータレベルで測定された深さと平均幅とを備える。このようなナノスケール寸法によって新たな現象についての研究を可能とする。流体内に分散している原子や分子の寸法と溝の深さや幅の寸法が同様であるからである。その結果、流体の移動や、超極小容積環境下での分子の挙動などの基本的な現象は、極めて研究の興味をそそるものであり時宜にかなっている。応用について考えると、既に確立されているナノ流体工学的な技術と比較すると、ナノ流体工学的な解析やシステムが重要な発展を表している。分析的な効率や、試料処理能力や、珍しい事柄の検出を改善するためには、非常に大きい可能性が提供されるからである。例えば、最近では2次元ナノ流体工学チャンネルを使用して、個々の核酸技術による蛍光標識や自由溶液中の量子ドット生体分子共役の検出についての研究が報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高スループットポリマー断片のサイズを測ることや、単一分子レベルでのモノマー配列分析や、希少分子の事象分析などのためのナノ流体工学的な装置について適用するものである。単一分子の断片のサイズを測ることは、DNA解析のための毛細管現象やフローサイトメトリーに関する装置の発展によっていた。更に、単一分子のDNA断片のサイズを測ることは、マイクロチャンネル環境下で実証されてきていた。これらの状況下で、溝の寸法は依然としてかなり大きく、得るべき最適な解決方法や、達成可能な分析的スループットや分子検出効率に対しては制限が課せられている。例えば、溝の寸法が大きいと、溝全体の幅を均一に照射するためには大型の観察窓が必要となる。よって、流速が低い場合とか、試料の濃度が低い場合のみについて使用でき、多数の分子が占有する場合には使用できない。第2には、溝の寸法が大きくなるにつれて緩衝溶液からのノイズも大きくなる。検出領域を通過するすべてのDNA分子が即座にかつ高いSN比で解析されることが確認できる。更に、リソグラフィー製造技術を用いることで、装置を大きく配列でき、単一分子レベルでの高処理能力での計測を実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、2個の電極を提供して電極間にトンネル隙間を規定する工程と、該電極間に電位差を与える工程と、該トンネル隙間に分子を通過させる工程と、測定期間の間に亘って該電極間のトンネル電流を計測する工程と、を有し、該測定期間のうち少なくとも一部の期間においては該分子の少なくとも一部が該隙間内に位置している分子特性付け方法を提供している。
【0007】
本発明はまた、2個の電極を提供して該電極間に隙間を規定する工程と、該電極間に電位差を与える工程と、該ポリマーの複数の部分が分子に沿って位置している配列順に連続的に該電極間を通過するように、該分子を該隙間に通過させる工程と、該分子が該電極間を通過するときの電極間の電流を測定する工程とを備えた分子特性付け方法を提供している。ポリマー骨格に直角な方向にトンネル電流が測定される。
【0008】
分子の複数の部分はモノマーであるか又は該分子のサブユニットである。
【0009】
この隙間は10nmよりも小さく、5nmよりも小さい場合もある。
【0010】
分子はポリマーであり、その場合にはモノマーの配列かまたは塩基を配列を決定することによって特徴付けがなされる。または、分子は非高分子である。
【0011】
この方法において、ポリマーの複数の部分が分子に沿って位置している配列順に連続的に該隙間を通過するように、ポリマーを案内する工程を更に備える。例えば、分子は細孔を通過し、電極が開口に対して位置して、分子が細孔を通過するとき又は通過したあとで分子が電極間で案内される。
【0012】
本発明は更に、一対の電極とガイド手段とを有し、該一対の電極はその間にトンネル隙間を規定し、トンネル隙間を横切るようにトンネル電流が流れ、該ガイド手段は該電極間に分子を案内する分子特性付け装置を提供している。
【0013】
本発明は更に、一対の電極と案内手段とを備える高分子特徴付けのための装置を提供しており、一対の電極間には隙間が規定され隙間を横切る電流が流れ、案内手段は分子の複数の部分が分子に沿って位置している順番で電極間を通過するように電極間で分子を案内する。
【0014】
隙間は10nmよりも小さく、5nmよりも小さい場合がある。
【0015】
案内手段は、分子が溶液中にある状態で分子が通過するダクトを規定する。案内手段は貫通する細孔が形成された物体によって構成されてもよい。
【0016】
ダクト又は細孔は、その長さに亘って最も狭い場所で直径が10nmよりも小さく、10nmよりも小さい直径の場合もある。
【0017】
本発明は分子を特徴付ける装置の製造方法を提供しており、細孔が貫通する物質の層を提供して該細孔の互いに対向する側に一対の電極を設ける工程と、細孔を小さくする工程と、電極間にトンネル電流が流れるようになる大きさになるまで電極間の隙間を小さくする工程とを有する。
【0018】
本発明は更に電極システムの製造方法を提供しており、この方法は、細孔が貫通する物質の層を提供して該細孔の開口付近に電極を設ける工程と、電極に導電性材料を付着させる工程を備える。
【0019】
本発明は更に電極システムを提供しており、細孔が貫通する物質の層と、該物質に設けられた電極とを備え、電極は細孔の開口付近の物質の表面に形成されかつ細孔内に延びている。
【0020】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、単一分子レベルでの高い処理能力のDNA量子化のためのナノ流体工学的装置を提供する目的で、化学的な半導体プロセス方法を提供している。このようなシステムは、窒化ケイ素薄膜のナノホールを通過するDNA鎖を供給することによって機能する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】分子特性付けのための本発明の実施の形態による装置を示す概略図。
【図2】図1の装置の部分断面図。
【図3】(a)〜(e)は図1の装置を製造するための製造工程を示す図。
【図4】図1の装置において、電極付着中における付着時間に対するトンネル電流の変化を示すグラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるシステムを示す図。
【図6】図5のシステムにおける時間に対するトンネル電流変化を示すグラフ。
【図7a】本発明の更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図7b】該更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図7c】該更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図7d】該更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図8a】本発明の別の更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図8b】該別の更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図8c】該別の更なる実施の形態による装置の製造工程を示す図。
【図9】本発明の更に別の実施の形態による装置を示す平面図。
【図10】本発明の更に他の実施の形態による装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施の形態について添付の図面を参照して説明する。ただし、図示された例に限定されない。図1、図2において、分子特性付けシステムは層10を備え、層10は窒化ケイ素のような非導電性材料からなりナノホール又はナノ細孔12が形成されている。窒化ケイ素層は厚さが20〜200nmであり、厚さ100〜500 ミクロンのシリコン基板14上に支持される。ナノ細孔の直径は、最も狭いところで1〜10nmであり、好ましくは1〜5nmであり、更に好ましくは1〜2nmである。窒化ケイ素層の表面であってナノ細孔12の一端の開口の互いに反対側に一対のプラチナ電極16a、16bが形成されている。この電極は微細な先端18に向かうにしたがってテーパ形状をなしている。電極先端18間の隙間20の幅は1〜5nmであり、好ましくは、ナノ細孔12の幅と同じかわずかに大きい。
【0023】
このシステムは、分子特に高分子を特性付けするものであり、これら分子は電気泳動的に又は流体力学的に細孔を通過する。例えば生重合体(オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、ポリペプチド、タンパク質、酵素)や合成高分子(共重合体)などの重合体は、一般には折り畳まれた非線形の形態で溶液中にある。それぞれの分子22は、細孔12の上流端方向に搬送され、そこで折り畳みが戻され、線形の形態で細孔12内を通過する。折り畳みを戻すことは、溶剤のpHや、極性、変性剤、洗浄剤、リガンド結合等を適宜選択することによって促進できる。細孔の下流端では、重合鎖は2個の導体電極16a、16bの間でナノメータレベルの隙間を移動する。この導体電極は電位差Vbiasで保持される。 ナノメータレベルの小さな隙間によって、あるトンネル電流を伴って一方の電極から他方の電極に電子が移動する。
【0024】
溶液中において、電極16a、16bの個々の電位である E と Eは、参照電極(b定電位モード)に関して制御される。かかる制御によって、個々の電極は互いに独立的に定数E(Eを変化させることによる)においてバイアス電圧をVbias = E ?E に変化させるか、一定のVbias(同時にEとEとを変化させることによる)において、絶対電位E と Eとを変化させる。隙間内のトンネルコンダクタンス G = I/Vbiasは、隙間内の媒体の導電性や、Vbias = E−Eの値や、電極16a、16b間のトンネル距離dや、電極電位E や Eに依存する。
【0025】
biasや dや E や Eを一定値としたとき、コンダクタンスGは、隙間内の媒体の導電性に専ら依存する。隙間コンダクタンスGは、時間tの関数として記録される。重合鎖が細孔内にそしてトンネル隙間に入る前は、コンダクタンスGは溶剤とその物質固有の電子的構造によって支配される。鎖が隙間に入り込むと、溶剤の導電性と重合鎖とが新たに組み合されその組合せに基づいてGが変化する。更に、トンネル効果は距離依存性が高いことにより、トンネル電流は2個の電極16a、16bの最外周側の原子に限って流れる。顕微鏡法によるトンネル走査 (STM)を参照のこと。このことは、隙間コンダクタンスの測定が、隙間を横切る最短の経路に沿って、サブナノメータレベルでの解明でなされることを意味する。そのため、トンネル電流や導電性は、分子を横切る方向で測定される。この方向は細孔12を横切る方向でもある。測定された導電性は電極16a、16b間にある重合鎖内の特定の分子に固有なものであり、重合鎖内において、分子固有の分化を可能としている。あるモノマー単位が時間内に所定の地点での2個の電極間に存在するなら、隣り合うユニットは電極16a、16bから既に数ナノメータ離れており、そのような距離は、Gに対して重大な貢献をするためには電極からは離れすぎている。このことはシステムが、重合鎖の異なるパーツ又は分子を、細孔の軸方向において即ち重合鎖の長手方向において10nm未満、ほとんどの場合には5nm未満にまで下がって区別することができる。よって、例えばDNA分子の塩基の配列を決定するのに、十分な精度をもたらすこととなる。
【0026】
図1に示されるように、AとBとの互いに異なる2つのモノマーよりなるポリマーについて、モノマーが電極16a、16b間を順次通過するときに、コンダクタンス、即ち電極間のトンネル電流は、基準レベル、第1レベル、第2レベル間で変化する。基準レベルは、ポリマーが隙間に入り込む前のレベルである。第1レベルはタイプAのモノマーのいずれかが電極間に存在する状態である。第2レベルは、タイプBのモノマーが電極間に存在する状態である。ポリマーは長手状に又は長さ方向に延びて隙間を通過するので、モノマーが細孔を通過し電極間を通過する配列は、モノマーが分子を沿う配列に対応する。個々のモノマーを順次横切る方向のトンネル電流はそのようにして測定される。そのため、時間の関数であるトンネル電流のプロットは、重合鎖内のモノマーのタイプの配列を決定できる。
【0027】
図3(a)〜(3e)について説明すると、図1の装置を組立てる一つの方法では、土台として市販の透過型電子顕微鏡(TEM)グリッド構造を用いる。このグリッド構造は、100〜500ミクロンのシリコン土台上に支持されシリコン土台内において縦横100〜500ミクロンの開口52上に延びる厚さ20〜200nmの窒化ケイ素の層50を備える。リソグラフィー技術によって得られた例えば金又は白金の一対の電極54a、54bが、互いに向き合って窒化ケイ素層の上に形成される。巨視的なワイヤコンタクト56が土台の周辺に設けられる。当初は電極間の隙間dはほぼ50〜200nmである。この小片の表面は、次に図3(a)に示されるように、電極隙間の周囲の約5ミクロン×5ミクロン の開口窓を除いて窒化ケイ素Siのような絶縁フィルムで覆われ、当該領域において電気化学的な活動を制限している。
【0028】
図3(c)を参照すると、集中イオンビーム(FIB)エッチングを用い、細孔58は直径が最大で200nmとなるまで電極隙間内で加工される。この直径は電極隙間(ステップB)のサイズに依存する。次の工程においてFIBエッチングを用い、直径の大きい細孔がその端縁から溶融し図3dに示されるように細孔の直径は5nm以下に減少する。これらFIBエッチング工程はTEMを用いて実行することができる。
【0029】
図3(e)に示される最終工程では、電着により電極の隙間dをナノメータの距離に狭める。すなわち電極間に一定のVbias において検出可能なトンネル電流が発生するまで狭める。
【0030】
電着プロセス中に電極のいずれか一方または両方に同時に物質が堆積していくので、2つのトンネル電極間の隙間は減少する。最終的には、電極間の一定の電位差Vbiasの状態で電子が一方の電極から他方の電極にトンネルできる程度にこの隙間は十分に小さくなる。あらかじめ規定された隙間のサイズでプロセスを中止するためには、トンネル電流かまたは電極間の電位差をトリガ信号とするような異なる仕組みを用いる。自己完結型の仕組みが開発されており、溶融するまでストリップ内で制限を加熱するか、壊れるまで導電性ストリップを折り曲げることによって導電性ストリップを壊して適当な隙間で分離されている電極に放置する。
【0031】
本実施の形態においては、2個の白金電極WE1とWE2をそれぞれの電位で保持する。例えばWE1はE=−0.3Vとし、WE2はE=−0.2Vとする。0.1MHClO内の0.01MK[PtCl]の溶液において、2個の電極間にはVbias = −0.1Vのバイアス電圧を印加する。
【0032】
図4において、電着が進行して電極間の隙間が小さくなると、隙間がきわめて小さくなりトンネル現象が始まるまでに第2電極WE2の堆積電流は一定となって、図4において堆積時間が770秒となった時点でトンネル電流が急激に上昇する。トンネル電流の発生時点でのこの急激な上昇は図4の拡大された時間軸に示されている。電着が継続すると、隙間は更に閉じていき、(量子サイズ効果によって)隙間が凝集してトンネル電流は段階状に変化する。隙間が完全に閉じると、接合点がオームの抵抗として作用する。この現象は図4で850秒の時点で発生する。
【0033】
本実施の形態では、トンネル電流が急激に上昇するのを検出して、電着プロセスを停止させるためのトリガとして使用する。そのことによりトンネル電流が電極間を流れるようにトンネル隙間を設定する。
【0034】
上述したプロセスは1個の細孔についてであったが、超並列装置についても同様に実行される。超並列装置では、窒化ケイ素などの材料よりなる単一の層に多数の細孔が形成され、それぞれの細孔に一対の電極が設けられている。
【0035】
更に、一つの電着方法について説明したが、白金やその他の使用可能な金属を用いていろいろな方法がある。電着プロセスでは電極材料の原材料が用いられるが、原電極材料に異なる物質を付着させて性質やトンネル特性を変更させてもよい。特に表面増強ラマン分光法(SERS)活性金属である金、銀、白金、銅を電極への塗布剤として用い、これら金属が完成した電極の表面となる。
【0036】
ナノメータレベルの電極隙間を形成するために、多数の変更例がある。例えばプローブを走査する技術や、接点を破壊すること、電子ビームリソグラフィ、エレクトロマイグレーションなどである。これらは本発明に適用できる。しかしながら、本発明の実施の形態としては、電着を組合せたリソグラフィーが最も適切である。その理由は以下に示す。
【0037】
プローブ走査技術は、顕微鏡法によるトンネル走査 (STM)と電流検知原子間力顕微鏡法(CSAFM)であり、両者は、空気中及び液体中で単一分子の導電性を研究するためには有力な方法であることがわかっている。問題となっている分子はいずれか一方の電極のみか両方の電極に付着している(STMチップやAFM片持ち梁、又は基板表面)分子の導電性は分子軸に沿って測定される。しかしながらトンネル隙間は時間の経過につれて不安定であり、上述した本発明の実施の形態に要求されているようなシステムを細孔形状に統合させることは不可能である。また、本実施の形態においてトンネル隙間の導電性は分子主鎖に対して直角に計測しており、以前のSTMやCS−AMFにおける研究とは対照的である。
【0038】
接点破壊方法による研究では、金属製ワイヤをチップ基板上に載せ、次に適当な機構によって基板を曲げる (しばしば圧電性結晶に基づく)。ワイヤは最終的には破損し、2つの部位となったワイヤの間でオングストローム以下のサイズの隙間を残す。機械的制御を続け、基板の曲げの程度を変えることによって隙間のサイズは変更できる。本発明の実施の形態では、このようなアプローチでは細孔や電極の形状が複雑すぎる。基板を曲げることで細孔に歪みを引き起こし、そのことによって細孔自体が変形したり、本発明の複合性ゆえの機械的欠陥を引き起こす。
【0039】
高性能の電子ビームリソグラフィー技術によって、ナノメータサイズの小さい隙間を提供する電極対が製造できる。しかしこの技術は本発明には不適当である。電極と細孔についての基本設計概念についてのコストが極めて高く、製造計画をたてて実施したとしても全体の成功率に関する絶対的な精度が十分とはいえないからである。
【0040】
エレクトロマイグレーションは、ナノメータサイズの電極隙間を形成するための別の技術である。予め決められた構造におけるワイヤの破断は、ワイヤ中を流れる電流による抵抗加熱によって生じる。この手法は、電着よりも一見簡単であるが、細孔構造とナノサイズの隙間とを統合するのは極めて困難である。エレクトロマイグレーションは隙間のサイズを制御するのには適しているが、隙間と細孔とを正確に整合させるは、正確性に欠ける。
【0041】
本発明の別の実施の形態によれば、図5に示されるように、チップ100は、基材層に支持された支持材料101の層を有し、支持材料層は、一方側から他方側に貫通する多数の細孔102が形成されている。支持材料101の一方の側104には、それぞれの細孔102の反対側に一対の電極106が設けられている。細孔や電極は図1乃至図3と同様であり、説明は省略する。コントローラ108がそれぞれの電極に接続されており、時間の関数としてそれぞれの電極を横切るトンネル電流を測定し監視する。チップは2個のリザーバ110、112の間に支持され、リザーバ内には例えばDNA断片のような解析すべき分子を保持する溶剤が充填されている。それぞれのリザーバに電極を設けるという公知の方法により、2個のリザーバ間に直流電圧を印加すると、電気泳動によって電圧が細孔102を通過するDNA断片を駆動する。このような現象が起きているときに、コントローラ108によってそれぞれの1組の電極間の電流値を時間の関数として計測し記録する。この種のシステムでは、例えば1個のチップで少なくとも100個又は1000個又は10000個程度の極めて多くの細孔が提供でき、多数の分子の超並列解析を実行できる。
【0042】
このようにして溶液中のすべての又は少なくとも実質的にすべての分子が個々に分析できる。そのことにより、まれにしか起きない事例についての解析や検出を可能にしている。例えば、極小の分子の断片が異なるモノマー配列を有している場合に、例えば分子の断片が別のモノマーを含んでいるか1個のモノマー又は残りの分子よりも小数のモノマーを有している場合に、そのような態様が検出できる。又は、溶液が異なるタイプの分子の混合物を含んでいる場合に、1個又はそれ以上の分子が特別な性質を有しているか否かを調べて確認することができる。
【0043】
電気泳動法を用いることよりもむしろ、分子は細孔内を流体力学的に移動する。すなわち解析すべき分子が溶剤内を移動するように溶剤を移動させて細孔を通過させる。更に別の方法としては、特により小さい分子に対して拡散を用いる。
【0044】
分子又は分子の一部が一対の電極間を通過するとき、トンネル電流の変動は分子のタイプに依存して大きく変化する。本実施の形態では、図6に示されるように、重合体中に図1の例に示されるような2種のモノマーがある。それぞれのモノマーが電極間を通過するときに、大きく変動する電流が計測される。この電流はモノマーの性質に依存して様々な特性やパラメータを備える。図示のように、電流は一連のピーク又はパルス状であり、コントローラ108によってこれらピークやパルスの振幅、周波数、(時間領域内の)長さなどのパラメータが決定される。図示の例では、第1のモノマータイプが電極間を通過したとき第1の振幅を有する第1のグループのピークaが生成され、第2のモノマータイプが電極間を通過したとき第2の振幅を有する第2のグループのピークbが生成される。コントローラ108はトンネル電流を解析して、異なるモノマーが電極間を通過するときの周期を確認し、これら周期中の電流の特性に基づき個々のモノマーを確認する。
【0045】
別の実施の形態について説明すると、図5に関する実施の形態と同様にコントローラは、それぞれのポリマーの端部がトンネル隙間を通過した時間を確認し、分子が隙間を通過する時間や分子が移動する速度に基づいてDNA分子又は断片の長さを決定する。この速度は.公知の長さの分子が電極間を通過する時間を測定することによって決定される。
【0046】
更に別の実施の形態では、図5に関する実施の形態と同様に、分子が細孔を通過するように分子を駆動するために電極に印加される電圧をパルス状とする。例えば、駆動電圧とゼロ電圧との間でオンオフを繰り返してパルス状とするか、2つ又はそれ以上の電圧値間でパルス状とする。これは、分子が段階的に細孔を通過するように構成されており、それぞれの段階には分子が実質的に静止している期間がある。コントローラ108はこれらパルスのタイミングを制御し、駆動電圧がゼロとなり分子が実質的に静止したときにそれぞれの電極対間を流れるそれぞれの周期におけるトンネル電流を測定する。駆動電圧パルスの大きさと期間と周波数を制御することにより、それぞれの段階で分子が移動した距離が制御できる。これにより、トンネル電流が測定された分子に沿った位置を制御することができ、分子の特性が決定される。分子が細孔内及び電極間を進む速度を制御するために、駆動電圧は様々な方法で変更できまた制御される。交流フィールドを制御することにより、ナノ細孔をとおる分子のトランスレイションが有効に中止できる。
【0047】
上述した実施の形態では、それぞれの細孔について一対の電極が設けられていたが、別の態様としては、一つの細孔について3個以上の電極を設けることができる。陽極と陰極とを同数とするか、個数を互いに異ならせる。そして電極を細孔の端部の周囲に設けて、細孔を横切るような互いに異なる方向のトンネル電流を計測できる。
【0048】
図7a〜7dは、更に別の実施の形態を示している。装置は、図3a〜3eと同様であるが、細孔や電極の形状が異なる。図7aでは、厚さ約50〜200nmの窒化ケイ素層70が、開口が形成されている厚さ約300ミクロン のシリコン土台上に支持される。開口78が窒化ケイ素層70に形成される。この開口は長く幅が狭くスリット状であり幅20nm長さ200nmである。このスリット78は図7bに示されるように次に幅がより狭まり、幅5nm長さ約185nmのスリット78aとなる。図7cに示されるように、2個の電極74a、74bがスリット78の2つの端部に形成される。電極はスリットのサイズが減少する前、又は減少した後に形成することができる。電極はスリット78よりもかなり幅広であり、スリットを横切る方向での正確な位置合わせは必要ない。電極74a、74bは次に電着によって成長し、スリット78に沿って互いに近づく方向に成長して隙間が小さくなる。図7dに示されるように電極74a、74b間の隙間が所望の大きさになると電着を停止する。
【0049】
このようなスリット開口78と幅広の電極74a、74bを用いることによって、電極と形成された開口との整合性を得ようとるする課題の解決が図3の実施の形態よりも簡単になる。
【0050】
図8a乃至8cは別の実施の形態についての図であり、10nm又はそれ以下の幅の極めて狭いスリット88が窒化ケイ素層80に形成されており、2つの電極84a、84bがスリット88の端部付近にあって窒化ケイ素層80の上に設けられている。この場合出発点となるシリコン基板は厚さ300ミクロンで5X5mmである。温度825oCでアンモニアとジクロロシランガス雰囲気中で低圧の化学的蒸着(LPCVD)を用いて基板上に窒化ケイ素が蒸着し、厚さを50〜200nmとする。アンモニアとジクロロシランの流量比は約1:5である。ケイ素を多く含む窒化フィルムは、引張り応力が50〜150MPaの範囲である。この応力は独立の薄膜を形成するのには十分な低さである。次にフォトリソグラフィ技術やKOH湿式エッチング技術を用いて、5ミクロンX5ミクロンの窓がシリコン基板ウエハに形成される。集束イオンビーム(FIB)又は走査トンネル電子顕微鏡(STEM)技術により、楕円形の細孔又はスリットがSi薄膜に穿孔される。代表的なスリット形状は、幅が20〜500nmの範囲、長さが20〜5000nmの範囲で変化する。例えば20X200nmの大きさの楕円形の穴が連続的に形成される。その際のFIBの条件は30kV、20pA、露光時間範囲が1〜10秒である。その結果60秒という時間枠内で薄膜に完全なスリットが穿孔できる。
【0051】
スリットは等方的にSiOを蒸着することで幅を狭めることができる。その際にはプラズマ化学気相成長法(PECVD)又はSEM・FIB TEOS法が用いられる。これらの工程によって短軸方向で寸法を約5nmにまでにすることができる。
【0052】
一対の互いに対向する白金電極が、熱蒸発とレジスト離脱技術の組合せによって、隙間500〜10000nmの範囲でスリットの近傍に薄膜の平坦な上面に蒸着されパターン化される。スリットと電極との位置合せは精緻に設計された位置合わせマーカーを用いて行われる。最終的には、電極の厚さは50nmのオーダーで、幅は100nmのオーダーとなる。又は、スリットを形成する前に電極を蒸着することもでき、より潜在的に簡単な位置合せ機構を導入することもできる。
【0053】
層80は、2つのリザーバ81、82の間に位置し、リザーバ内の内容物は必要に応じて調節される。
【0054】
電極への電着について述べると、電極へ付着される沈着物を得るための反応物が、下側のリザーバ82のほうが上側のリザーバよりも高濃度で得られる。ここで下側のリザーバ82は層80に関して電極84a、84bの反対側にあり、上側のリザーバは電極84a、84bと同じ側にある。上側のリザーバにおける反応物の濃度は可能な限り低く抑える。その場合には、反応物を下側リザーバ82にのみ投入し上側リザーバ81には投入しない。
【0055】
電着中に、反応物からの金属は所定の比率で電極の表面に付着する。この比率はひとつには電極表面における反応物の濃度によって決定される。この場合に、スリット88の上側から下側に向かって濃度が急激に上昇する。このことは電極のスリットに最も近い部分でかつスリット88内において電極のうちスリットの底部に最も近い部分に最も急激に付着が起こることを意味する。そのことにより図8bに示されるように、電極84a、84bは導電性材料85が領域90内でスリット88の頂部で成長することとなる。またスリット88のリム87に亘りスリットの側部89の下方に向かいスリット内で成長する。図8cに示されるように、スリット88内に下方に成長した電極84a、84bの一部85は、スリット88のサイズによる制約を受けることは明らかである。それ故に、これらの部分はスリットの幅全体を占め、互いの方向に成長しあい、又スリットの下方に成長する。そのため、電極は極めた高いアスペクト比を備える。
【0056】
図8b、8cに示されるように、電着が完了した後において電極84a、84b間のうち最も狭い部分は、電極84a、84bの上面よりも下側であり、層80の上面よりも下側である可能性がある。それゆえ、スリット88内の分子は電極84a、84b間の隙間のうち最も狭い部分を必ず通過することになる。
【0057】
かかる構成によれば、スリット88と成長したあとの電極84a、84bとは良好に位置合わせできている。電極の成長はスリット自体で案内されるからである。また、図5と同様なシステムに使用された場合に、分子がスリット88を通過するときに電極を迂回することはできない。
【0058】
図9に示される更なる実施の形態では、開口98が十字形状であって、4個の狭いスリット98a、98b、98c、98dによって形成され、中心から外方に延び、中心から最も遠いところが閉鎖した端部であり、中心部が互いにつながる開口端となる。図8a〜8cで説明したのと同様の方法を用いて、電極94a、94b、94c、94dがそれぞれのスロット近傍であってスロット内に延びている。このような構成により、4個の電極システムとなり、2個の互いに対向する電極を用いて電極間の隙間において分子又はポリマーを電気泳動的に又は誘電泳動的に捕捉するために用いることができる。この場合残りの2個の互いに対向する電極は捕捉された試料のトンネル電流に基づく解析のために使用される。この捕獲技術は電極隙間についても適用できるが、トンネル電流を流すためには大きすぎるので、この解析は他の技術に用いる。例えば単一分子蛍光分光法に基づく技術である。四重極電極構成において電界が振動できることが想像できる。
【0059】
図10に示されるその他の実施の形態では、開口108が中心から放射状に延びる3個のスロット108a、108b、108cによって構成され、電極104a、104b、104cがスロット上に形成されてY字形状をなしている。かかる構成では、2個の電極が転座スピーシズのトンネル電流に基づく解析に用いられ、3番目の電極が電子トランジスタと同様な局部ゲートとして用いられる。ゲート電解に依存して、転座スピーシズの異なる電子的レベルが2つのトンネル電極と相互に作用し、転座分子又はポリマーの特性付けにとって別の手段を提供することになる。2個の電極は電気泳動的に又は誘電泳動的に隙間内で分子を捕獲するためにも用いることができる。そのことにより2個又は3個の電極間を流れるトンネル電流によって精査できる。
【0060】
図8a乃至8c、図9、図10の実施の形態では、互いに分離した電極を同一の材料かまたは別々の材料で形成できる。また電着プロセスにおいて、1個のみ又はいくつかの電極に電位を与えることにより、異なる比率又は異なる量で電極が形成できる。その結果、必要に応じて複数の電極の形状や寸法が互いに異なるようにすることができる。
【符号の説明】
【0061】
10、70、80 層
20 隙間
12、58、 細孔
16a、16b,54a、54b、74a、74b,84a、84b,94a、94b、94c、94d、104a、104b、104c 電極
78、98、108 開口
78a、88 スリット
85 導電性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の電極を提供して電極間にトンネル隙間を規定する工程と、
該電極間に電位差を与える工程と、
該トンネル隙間に分子を通過させる工程と、
測定期間の間に亘って該電極間のトンネル電流を計測する工程と、を有し、該測定期間のうち少なくとも一部の期間においては該分子の少なくとも一部が該隙間内に位置していることを特徴とする分子特性付け方法。
【請求項2】
該分子はポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該ポリマーの複数の部分が分子に沿って位置している配列順に連続的に該隙間を通過するように、該ポリマーを案内する工程を更に備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
時間の関数であるトンネル電流を記録する工程を更に備える請求項1乃至3のいずれか一記載の方法。
【請求項5】
2個の電極を提供して該電極間に隙間を規定する工程と、
該電極間に電位差を与える工程と、
該ポリマーの複数の部分が分子に沿って位置している配列順に連続的に該電極間を通過するように、該分子を該隙間に通過させる工程と、
該分子が該電極間を通過するときの電極間の電流を測定する工程と、を備えたことを特徴とする分子特性付け方法。
【請求項6】
測定される電流は、実質的に該分子を横切る方向に通過する電流であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項7】
該分子は、溶液中にある状態で該隙間を通過することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一記載の方法。
【請求項8】
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該分子の複数の位置で該電流を測定してそれぞれの分子の部分が特徴づけられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
それぞれが一対の電極を備える複数のガイド手段を提供し、分子がガイド手段を通過してそれぞれの一対の電極間の電流が同時に計測されることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
該溶液に駆動電位を印加して該隙間を通過する分子を駆動する工程を更に備え、該駆動電位は分子が移動する速度を変化させるように変更されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
駆動電位をパルス状として分子を徐々に移動させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該分子が該電極間を通過するときに、該分子の一部が該電極間に存在している時間を計測して該分子の長さを計測する工程を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
一対の電極とガイド手段とを有し、該一対の電極はその間にトンネル隙間を規定し、トンネル隙間を横切るようにトンネル電流が流れ、該ガイド手段は該電極間に分子を案内することを特徴とする分子特性付け装置。
【請求項14】
該案内手段はダクトを規定し、該ダクト内を溶液内の分子が通過することを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
該案内手段は、細孔が貫通形成された物体によって構成されることを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
該電極は該物体の表面に支持されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
該電極は該細孔の互いに反対側に位置していることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
該電極は該細孔の同一の端面側に位置していることを特徴とする請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
該物体は、該物体を貫通する複数の細孔を有し、それぞれの細孔は一対の電極が設けられていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一に記載の装置。
【請求項20】
一対の電極間の電流を計測するための制御手段が更に設けられていることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一に記載の装置。
【請求項21】
該制御手段は、一対の電極間の電流に関する電流データを記録し、該電流データを分析して該分子を特徴付けることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも一方の電極は、その一部の表面がSERS活性材料によって形成されていることを特徴とする請求項13乃至21のいずれか一に記載の装置。
【請求項23】
隙間が形成され該隙間の開口の近傍に電極が設けられた材料層を提供する工程と、該電極に導電性材料を付着させる工程とを備えたことを特徴とする電極システムを製造する方法。
【請求項24】
該開口は一方向に長さを、それに直交する方向に幅を有し、長さは幅よりも長いことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該電極は該隙間の一端部に位置していることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該隙間の他端側にも別の電極が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項27】
導電性材料を付着させる前の状態で、該電極の幅は開口の幅よりも広いことを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
該材料層は2個のリザーバの間に配置され、該電極に付着する少なくとも1種の導電性物質を提供可能な反応物質の濃度が2個のリザーバ間で異なっていることを特徴とする請求項23乃至27のいずれか一に記載の方法。
【請求項29】
該電極は該隙間の一方の開口側に設けられ、該反応物質の濃度が高い側のリザーバは、該隙間の他方の開口側にあることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該導電材料は、電極が隙間内で成長するように該電極に付着することを特徴とする請求項23乃至29のいずれか一に記載の方法。
【請求項31】
該電極は、該隙間に関して該電極に向かう方向よりもむしろ該隙間の下方に向かって成長することを特徴とする請求項23乃至30のいずれか一に記載の方法。
【請求項32】
該導電性材料は、SERS活性材料であることを特徴とする請求項23乃至31のいずれか一に記載の方法。
【請求項33】
隙間が貫通する材料層と、該材料層に設けられた電極とを備え、該電極は該材料層の表面であって該隙間の近傍に設けられまた該材料層の表面から隙間内に延びていることを特徴とする電極システム。
【請求項34】
該表面は実質的に平坦面であり、該隙間は側面と、該平坦面と該側面との間の縁部とを有し、該電極は該縁部上をまた該側面上を覆うように延びていることを特徴とする請求項33に記載の電極システム。
【請求項35】
該隙間開口端の長さはその幅よりも長く、一方の電極は該開口の一端に設けられ、他方の電極は開口端の他端に設けられることを特徴とする請求項33又は34に記載の電極システム。
【請求項36】
該隙間は、複数のスロットが結合した構成であり、個々のスロットの一端は互いにつながり合った開放端となり、個々のスロットの他端は閉鎖端となり、それぞれの電極はそれぞれのスロットのそれぞれの閉鎖端に設けられていることを特徴とする請求項32又は33に記載の電極システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−513853(P2010−513853A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540866(P2009−540866)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004796
【国際公開番号】WO2008/071982
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【Fターム(参考)】