説明

電極位置検出装置および電極位置検出方法

【課題】袋詰電極と他の電極とを積層する際に、袋詰めされた電極および他の電極の位置を検出できる電極位置検出装置を提供する。
【解決手段】袋状に形成されたセパレータ40内に正極24が配置された袋詰電極20と、正極24とは異なる極性の負極30とが交互に積層される際に、正極24および負極30の相対的な位置関係を検出する電極位置検出装置であって、セパレータ40には透過して正極24に反射および負極30に反射する光を投射する光源76と、最上層に袋詰電極20が位置する場合は正極24に反射した光を受光し、最上層に負極30が位置する場合は負極30に反射した光を受光するカメラ84と、最上層に袋詰電極20が位置した場合のカメラ84による受光結果と最上層に負極30が位置した場合のカメラ84による受光結果とに基づいて、正極24および負極3の相対的な位置関係を検出する検出手段160と、を有する電極位置検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極位置検出装置および電極位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な製品で二次電池が使用されている。二次電池は、正極、セパレータ、負極が積層された電池要素を含む。電池要素において、正極および負極がセパレータを介して、位置ズレせずに積層されることが重要である。積層ズレがあると、電池性能や電池の寿命の悪化の要因となるからである。
【0003】
そこで、正極と負極の位置ズレを防止するために、予め2枚のセパレータを袋状に形成して当該袋内に正極を配置した袋詰正極と、負極とを積層することで、高速かつ正確に正極と負極を積層する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、負極とセパレータとを位置決めして積層することで、負極とセパレータ内の正極とも正確に位置決めできる。この技術では、セパレータと負極が略同じ大きさに形成されており、外形辺を揃えて積層することによって、負極とセパレータ内の正極とを位置合せできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3380935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、セパレータと負極との外形辺を揃えることは記載されているものの、具体的に揃える方法は示されていない。外形を揃えることがそもそも難しく、外形をうまく揃えられない場合、正極と負極とが正確に位置合わせされて積層されている保証はない。
【0006】
また、特許文献1記載の発明では、袋状のセパレータと負極との大きさが異なる場合では、正極と負極の位置合せを保証できない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、袋詰電極と他の電極とを積層する際に、袋詰めされた電極および他の電極の位置を検出できる電極位置検出装置および電極位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電極位置検出装置は、袋状に形成されたセパレータ内に第1電極が配置された袋詰電極と、第1電極とは異なる極性の第2電極とが交互に積層される際に、第1電極および第2電極の相対的な位置関係を検出するものである。電極位置検出装置は、投光手段、受光手段および検出手段を有する。投光手段は、前記セパレータには透過して、第1電極および第2電極に反射する光を投射する。受光手段は、最上層に袋詰電極が位置する場合は第1電極に反射した光を受光し、最上層に第2電極が位置する場合は第2電極に反射した光を受光する。検出手段は、最上層に袋詰電極が位置した場合の受光手段による受光結果と最上層に第2電極が位置した場合の受光手段による受光結果とに基づいて、第1電極および第2電極の相対的な位置関係を検出する。
【0009】
本発明の電極位置検出方法は、袋状に形成されたセパレータ内に第1電極が配置された袋詰電極と、前記第1電極とは異なる極性の第2電極とが交互に積層される際に、前記第1電極および前記第2電極の相対的な位置関係を検出する方法である。電極位置検出方法は、投光工程、受光工程および検出工程を含む。投光工程は、セパレータには透過して第1電極および第2電極に反射する光を投射する。受光工程は、最上層に袋詰電極が位置する場合は第1電極に反射した光を受光し、最上層に第2電極が位置する場合は第2電極に反射した光を受光する。検出工程は、最上層に袋詰電極が位置した場合の受光工程による受光結果と最上層に第2電極が位置した場合の受光工程による受光結果とに基づいて、第1電極および第2電極の相対的な位置関係を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電極位置検出装置および電極位置検出方法によれば、袋状のセパレータ内に隠れている第1電極の位置を見た上で、第1電極と第2電極の相対的な位置関係を検出できるので、当該位置関係を用いて積層ずれが生じていないか判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
【図2】リチウムイオン二次電池の分解斜視図である。
【図3】負極および袋詰正極の平面図である。
【図4】袋詰正極に負極を重ねた様子を示す平面図である。
【図5】シート積層装置を示す概略平面図である。
【図6】シート積層装置を示す斜視図である。
【図7】図6の矢印方向に見た正極供給テーブルの正面図である。
【図8】正極供給テーブルの平面図である。
【図9】積層ロボットによる負極および袋詰正極の積層動作を説明するための図である。
【図10】積層ロボットによる負極および袋詰正極の積層動作を説明するための図である。
【図11】積層ロボットによる負極および袋詰正極の積層動作を説明するための図である。
【図12】積層ステージ上のカメラを示す図である。
【図13】カメラの構造を示す図である。
【図14】袋詰正極内の正極の位置を確認する様子を示す概念図である。
【図15】辺の位置が特定された正極の様子を示す概念図である。
【図16】負極の位置を確認する様子を示す概念図である。
【図17】辺の位置が特定された負極の様子を示す概念図である。
【図18】正極と負極の相対位置を示す概念図である。
【図19】セパレータの透過特性を示す概略図である。
【図20】セパレータにめくれが発生している様子の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
本発明は、二次電池の製造工程の一部に適用される電極位置検出装置に関する。本発明の一実施形態である電極位置検出装置を説明する前に、電池の構造および電池の発電要素を組み立てる構成であるシート積層装置について説明する。
【0014】
(電池)
まず、図1を参照して、シート積層装置により形成されるリチウムイオン二次電池(積層型電池)について説明する。図1はリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図、図2はリチウムイオン二次電池の分解斜視図、図3は負極および袋詰正極の平面図、図4は袋詰正極に負極を重ねた様子を示す平面図である。
【0015】
図1に示すとおり、リチウムイオン二次電池10は、扁平な矩形形状を有しており、正極リード11および負極リード12が外装材13の同一端部から導出されている。外装材13の内部には、充放電反応が進行する発電要素(電池要素)15が収容されている。図2に示すとおり、発電要素15は、袋詰正極20と、負極30とが交互に積層されて形成される。
【0016】
袋詰正極20は、図3(A)に示すように、シート状の正極集電体の両面に正極活物質層22が形成されてなる正極24が、セパレータ40により挟み込まれてなる。2枚のセパレータ40は、端部において接合部42により相互に接合されて、袋状に形成されている。正極24は、タブ部分26がセパレータ40の袋から引き出されている。正極24は、タブ部分26以外の部分に正極活物質層22が形成されている。
【0017】
負極30は、図3(B)に示すように、ごく薄いシート状の負極集電体の両面に負極活物質層32が形成されてなる。負極30は、タブ部分34以外の部分に負極活物質層32が形成されている。
【0018】
袋詰正極20に、負極30を重ねると図4に示すようになる。図4に示すように、負極活物質層32は、正極24の正極活物質層22よりも平面視して一回り大きく形成されている。
【0019】
なお、袋詰正極20と負極30とを交互に積層してリチウムイオン二次電池を製造する方法自体は、一般的なリチウム二次電池の製造方法であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
(シート積層装置)
次に、上記発電要素15を組み立てるためのシート積層装置について説明する。
【0021】
図5はシート積層装置を示す概略平面図、図6はシート積層装置を示す斜視図、図7は図6の矢印方向に見た正極供給テーブルの正面図、図8は正極供給テーブルの平面図である。
【0022】
図5および図6に示すとおり、シート積層装置100は、積層ロボット110、正極供給テーブル120、負極供給テーブル130、積層ステージ140、記憶部150および制御部160を有する。積層ロボット110、正極供給テーブル120、負極供給テーブル130、および積層ステージ140は、制御部160により制御される。また、制御部160の制御プログラムや各種データは記憶部150に記憶される。
【0023】
積層ロボット110は、袋詰正極20および負極30を交互に積層して発電要素(積層体)15を形成する。積層ロボット110は、L字状アーム112と、L字状アーム112の端部に設けられた第1および第2の吸着ハンド114、116とを有する。L字状アーム112は、水平方向に所定角、たとえば、本実施形態では90度回動する。また、L字状アーム112は、鉛直方向に所定量移動することができる。第1の吸着ハンド114は、L字状アーム112の一方の端部に設けられ、袋詰正極20を吸着保持または解放する。第2の吸着ハンド116は、L字状アーム112の他方の端部に設けられ、負極30を吸着保持または解放する。
【0024】
正極供給テーブル120は、L字状アーム112に袋詰正極20を受け渡すためのテーブルである。正極供給テーブル120は、前工程で作成されて吸着コンベア60により運搬されてきた袋詰正極20を1枚ずつ受け取り、載置する。正極供給テーブル120も、吸着コンベアであり、吸着コンベア60からの負圧が開放された袋詰正極20を吸着して、略中央まで運び負圧により固定する。また、正極供給テーブル120は、袋詰正極20の平面位置を調節できるように、平面方向に移動および回転可能である。正極供給テーブル120は、たとえば、XYステージ122上に設けられており、XYステージ122がX、Y方向に移動または平面方向に回転することによって、平面位置が調整される。XYステージ122は、3つのモータにより、平面方向の移動および回転が実現される。
【0025】
正極供給テーブル120は、吸着コンベア60よりも幅が狭く、袋詰正極20の側方がはみ出るように、構成されている。図5、5では図示を省略しているが、図7および図8に示すように、正極供給テーブル120の両側には、透明な支持台124が設けられている。支持台124は、正極供給テーブル120からはみ出ている袋詰正極20の端部を支持する。また、支持台124と対応する位置に、クランパ126が設けられる。クランパ126は、支持台124と共に袋詰正極20の端部を挟んで固定する。支持台124およびクランパ126は共に可動式であり、正極供給テーブル120上に袋詰正極20が載置されると、袋詰正極20の端部を支持および固定するように、袋詰正極20に接近する。
【0026】
また、正極供給テーブル120の下方には光源70が、上方にはカメラ80が配置されている。光源70は、透明な支持台124の下方に設置され、袋詰正極20の端部に光を照射する。照射される光は、セパレータ40を所定の透過率以上で透過し、正極24に反射する波長の光である。カメラ80は、光源70から投光され正極24に遮断されつつもセパレータ40を透過した光を受光し、正極24の位置を撮像する。つまり、正極24の影に基づいて、正極24の位置を撮像する。カメラ80により撮像された正極24の位置に基づいて、正極24(袋詰正極20)の水平位置が調整される。この調整により、吸着ハンド114は、正極24の位置が正確に位置決めされた袋詰正極20を毎回ピックアップできる。
【0027】
また、正極供給テーブル120の上方には、光源74も設置されている。光源74は、袋詰正極20に光を照射する。照射される光は、セパレータ40に反射する波長の光である。カメラ80は、セパレータ40から反射した光を受光し、セパレータ40の位置を撮像する。撮像されたセパレータ40の位置は、正極24の位置と比較され、セパレータ40内における正極24の位置が判定される。
【0028】
図5および図6に戻って、負極供給テーブル130は、L字状アーム112に負極30を受け渡すためのテーブルである。負極供給テーブル130は、前工程で作成されて吸着コンベア62により運搬されてきた負極30を1枚ずつ受け取り、載置する。負極供給テーブル130も、吸着コンベアであり、吸着コンベア62からの負圧が開放された負極30を吸着して、略中央まで運び負圧により固定する。負極30が第1の吸着ハンド116に吸着される際には、負極供給テーブル130は吸着を開放する。また、負極供給テーブル130は、負極30の平面位置を調節できるように、平面方向に移動および回転可能である。負極供給テーブル130は、たとえば、XYステージ132上に設けられており、XYステージ132がX、Y方向に移動または平面方向に回転することによって、平面位置が調整される。XYステージ132は、3つのモータにより、平面方向の移動および回転が実現される。
【0029】
また、負極供給テーブル130の上方には、光源72およびカメラ82が配置されている。光源72は、負極30に反射する波長の光を、負極30に照射する。カメラ82は、光源72から投光されて負極30に反射した光を受光して、負極30の位置を撮像する。負極供給テーブル130は、カメラ82により撮像された負極30の位置に基づいて、負極30の水平位置が調整される。この調整により、吸着ハンド116は、正確に位置決めされた負極を毎回ピックアップできる。
【0030】
積層ステージ140は、袋詰正極20および負極30が交互に積層されるパレットを載置する載置部142と、載置部142を昇降する駆動部144と、載置部142の周縁部に配置される4つのクランパ146とを有する。
【0031】
載置部142は、袋詰正極20および負極30が所定枚数積層されて発電要素15が完成するまでは、積層体15を保持し、完成すると、発電要素15を、コンベア64に払い出す。駆動部144は、載置部142の高さを調整する。詳細には、袋詰正極20および負極30が交互に積層され、積層体15の高さが変動しても、積層体15の最上面の高さが変わらないように、積層の進行に従って載置部142の位置を下げる。これにより、積層ロボット110は、積層の進行に関わらず、同じ動作を繰り返すだけで、発電要素15の積層ができる。クランパ146は、積層体15がずれないように、負極30または袋詰正極20を積層するたびに、積層体15の4角を固定する。積層の進行に従って載置部142の高さが低く調整されるので、クランパ146も毎回同じストロークでクランプを繰り返せる。
【0032】
(積層動作)
以上のとおり構成されるシート積層装置100によれば、正極供給テーブル120および負極供給テーブル130上に位置調整して載置される袋詰正極20および負極30が、積層ロボット110によりピックアップされ、積層ステージ140に交互に提供される。以下、図9〜図11を参照して、シート積層装置100の積層動作について説明する。
【0033】
図9〜図11は、積層ロボットによる負極および袋詰正極の積層動作を説明するための図である。なお、以下では、積層ロボット110により積層ステージ140に袋詰正極20を積層する際の動作から説明する。
【0034】
図9(A)に示すとおり、積層ステージ140には、袋詰正極20および負極30が載置されており、積層ステージ140の上方には、吸着ハンド114が位置している。袋詰正極20および負極30の積層体の最上層には負極30が配置されており、吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持している。一方、吸着ハンド116は、負極供給テーブル130の上方に位置している。負極供給テーブル130上には、負極30が載置されている。
【0035】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ下降する(図9(B)参照)。L字状アーム112の下降に伴って、吸着ハンド116および吸着ハンド114は、負極供給テーブル130および積層ステージ140上にそれぞれ降下する。このとき、吸着ハンド116の底面には負圧が作用し、吸着ハンド116は、負極30を吸着保持する。一方、吸着ハンド114には負圧が解除され、袋詰正極20を解放する。
【0036】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ上昇する(図10(C)参照)。L字状アーム112の上昇にともなって、吸着ハンド116は、テーブル120から負極30を取り上げる。また、吸着ハンド116および吸着ハンド114は、負極供給テーブル130上および積層ステージ140の上方に移動する。
【0037】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ回動する(図10(D)参照)。L字状アーム112が、水平方向に90度回動することにより、吸着ハンド116が積層ステージ140の上方に位置し、吸着ハンド114がテーブル130の上方に位置するようになる。
【0038】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ下降する(図11(E)参照)。L字状アーム112の下降にともなって、吸着ハンド116および吸着ハンド114は、積層ステージ140および正極供給テーブル120上にそれぞれ到達する。このとき、吸着ハンド116の負圧が解除され、吸着ハンド116は、積層ステージ140上の積層体の最上面で負極30を解放する。一方、吸着ハンド114の底面には負圧が発生し、吸着ハンド114は、テーブル120上の袋詰正極20を吸着保持する。
【0039】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ上昇する(図11(F)参照)。L字状アーム112の上昇にともなって、吸着ハンド116は、積層ステージ140の上方に移動する。一方、吸着ハンド114は、テーブル120から袋詰正極20を取り上げる。
【0040】
続いて、積層ロボット110のL字状アーム112が所定量だけ回動する。L字状アーム112が、水平方向に−90度回動することにより、吸着ハンド116がテーブル130の上方に位置し、吸着ハンド114が積層ステージ140の上方に位置するようになる(図9(A)参照)。
【0041】
以上の動作が繰り返されることにより、積層ステージ140上で袋詰正極20および負極30が交互に積層される。袋詰正極20および負極30が所定枚数積層されることにより、発電要素15としての積層体が形成される。
【0042】
(電極位置検出装置)
次に、上記シート積層装置100に適用される電極位置検出装置200の構成について説明する。
【0043】
図12は積層ステージ上のカメラを示す図、図13はカメラの構造を示す図である。
【0044】
図5、図12、図13を参照して、電極位置検出装置200について説明する。
【0045】
電極位置検出装置200は、光源76、カメラ84、および制御部160を有する。光源76およびカメラ84は、図6では図示が省略されているが、積層ステージ140の上方に設置されている。光源76およびカメラ84は、それぞれ、制御部160に接続され、制御部160によって動作が制御される。
【0046】
光源76は、投光手段として、積層ステージ140の上方に配置される。光源76は、積層体15の最上層に載置された袋詰正極20または負極30に向かって、セパレータ40は透過し、正極24および負極30には反射する波長の光、たとえば近赤外光を投光する。なお、光の波長が長くなる程、透過率が高くなることが知られているが、透過率は材料によっても異なる。セパレータ40の材料に基づいて、投光する光の波長は適宜設定する必要がある。投光する光の波長をどのように設定するかについて、詳細は後述する。
【0047】
本実施形態では、光源76は、図13に示すように、カメラ84の周囲にリング状に設けられている。光源76は、少なくとも対応する正極24(袋詰正極20)または負極30の四隅に向かって投光する。
【0048】
カメラ84は、図12に示すように、受光手段として、積層ステージ140の上方に配置され、積層ステージ140上で形成される発電要素15を積層方向真上から撮像する。本実施形態では、カメラ84は4台設けられ、正極24(袋詰正極20)または負極30の四隅をそれぞれ撮像する。
【0049】
制御部160は、検出手段として、カメラ84による撮像に基づいて、正極24および負極30の位置を検出する。
【0050】
(電極位置検出装置の作用)
正極24および負極30の位置を検出する際の、電極位置検出装置200の作用(電極検出方法)について説明する。
【0051】
図14は袋詰正極内の正極の位置を確認する様子を示す概念図、図15は辺の位置が特定された正極の様子を示す概念図、図16は負極の位置を確認する様子を示す概念図、図17は辺の位置が特定された負極の様子を示す概念図、図18は正極と負極の相対位置を示す概念図である。なお、図14(A)は、袋詰電極の正極の位置を確認する際の積層体を正面から見た概念図であり、図14(B)は積層体を平面から見た概念図である。図16(A)は、負極の位置を確認する際の積層体を正面から見た概念図であり、図16(B)は積層体を平面から見た概念図である。
【0052】
積層ステージ140において、上記シート積層装置100により袋詰正極20および負極30が交互に積層される。電極位置検出装置200は、積層体15の最上層にある袋詰正極20または負極30に光源76から光を投射する。
【0053】
図14(A)に示すように袋詰正極20が最上層に積層されると、電極位置検出装置200は、光源76により袋詰正極20に投光する。投光された光は、袋詰正極20のセパレータ40を透過して、正極24に反射する。カメラ84は、正極24を介して、反射光を受光する。4台のカメラ84は、たとえば、図14(B)に点線で示す領域を撮像する。点線で示す領域内の画像が得られると、制御部160は、画像を解析し、図中両矢印に示される範囲の正極24の辺の一部を特定する。制御部160は、特定された正極24の辺の一部を延長し、正極24の塗工部分である正極活物質層22の辺の位置を特定する。これにより、特定された辺の位置は、図15に示すように矩形に表現される。特定された正極活物質層22の辺の位置情報は、正極24の位置を表す情報として記憶部150に記憶される。なお、カメラ84は、光源76の光がない状態で袋詰正極20を撮影することにより、セパレータ40の位置も同様に特定できる。特定されたセパレータ40の辺の位置情報も記憶部150に記憶してもよい。これにより、セパレータ40を基準とした正極24の相対位置も特定できる。なお、投光された光の一部は、正極24の外側周辺部でセパレータ40を透過して、さらにセパレータ40を透過して負極30に反射する。この場合、カメラ84は、反射光を受光するが、正極24を反射した反射光を受光するのに比べて弱い光を受光することになる。したがって、撮像で得られた画像は、正極24の場合に比べて薄くなる。したがって、負極30は正極24と画像状態で確実に比較可能となる。
【0054】
続けて、図16(A)に示すように積層体15に負極が積層されると、電極位置検出装置200は、光源76により負極30に投光する。投光された光は、負極30に反射する。カメラ84は、負極30を介して、反射光を受光する。4台のカメラ84は、たとえば、図16(B)に点線で示す領域を撮像する。点線で示す領域内の画像が得られると、制御部160は、画像を解析し、図中両矢印に示される範囲の負極30の辺の一部を特定する。制御部160は、特定された負極30の辺の一部を延長し、負極30の塗工部分である負極活物質32の辺の位置を特定する。これにより、特定された辺の位置は、図17に示すように矩形に表現される。特定された負極活物質層32の辺の位置情報は、負極30の位置を表す情報として記憶部150に記憶される。なお、カメラ84は、光源76の光がない状態で負極30の下に積層された袋詰正極20の端を撮影することにより、セパレータ40の位置も特定できる。セパレータ40は負極30よりも大きいので、上に負極30が積層されていても端だけならカメラ84により撮影できる。撮影により特定されたセパレータ40の辺の位置情報も記憶部150に記憶してもよい。これにより、セパレータ40を基準とした負極30の相対位置も特定できる。
【0055】
制御部160は、上記のように、正極24および負極30の位置(セパレータ40に対する正極24の相対位置およびセパレータ40に対する負極30の相対位置)を順次検出し、記憶部150に記憶していく。制御部160は、積層体15が電池要素として完成した後、または、積層体15の積層中に、負極30と正極24に積層ずれがないか判定する。
【0056】
積層ずれを判定する場合、制御部160は、記憶部150から正極24および負極30の辺の位置情報を読み出し、両者の相対的な位置関係を検出する。検出の際には、図15および図17の特定した正極24および負極30の位置を重ね合わせる。重ね合わせた概念図は、図18に示す通りである。制御部160は、重ね合わせた結果を解析して、正極24および負極30の相対的な位置関係を判定する。詳細には、正極24および負極30の辺の位置を確認し、対応する辺が所定の範囲内にあるかを確認する。たとえば、セパレータ40と重なる範囲において、正極24の方が負極30よりも小さい場合、正極24の各辺が対応する負極30の各辺よりも内側にあるか否かを確認する。そして、制御部160は、正極24の全辺が負極30よりも内側にある場合、積層ずれがないと判定する。辺が内側か外側かだけでなく、辺の距離を算出して、距離の範囲で積層ずれを判定してもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態では、正極24および負極30の位置を検出し、正極24および負極30の相対的な位置関係を検出する。したがって、検出した正極24および負極30の相対的な位置関係に基づいて、積層ずれを判断できる。結果として、発電要素15において負極30と正極24との積層ずれが起こっているにもかかわらず、そのまま出荷されることを防止できる。電池性能に特に影響する正極活物質層22および負極活物質層32の辺を特定して相対位置を検出しているので、積層ずれによる実質的な電池性能への影響の観点から検査できる。
【0058】
負極30の内側に正極24がいるか否かで、積層ずれを判定するので、容易な判断で積層ずれが判定できる。
【0059】
次に、投光する光の波長について説明する。
【0060】
図19はセパレータの透過特性を示す概略図である。図20は、横軸が光の波長(nm)を示し、縦軸が光の透過率(%)を示す。
【0061】
図19では、3種類のセパレータ、すなわち、ポリプロピレンセパレータ、ポリエチレンセパレータ、セラミックセパレータの透過特性を示す。ポリプロピレンセパレータ、ポリエチレンセパレータは、それぞれポリプロピレン、ポリエチレンで形成されたポリマー骨格である。また、セラミックセパレータは、ポリプロピレンの基材上にシリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成される多孔膜をコートしたものである。
【0062】
図19を参照すると、セパレータ40は材料によって、透過傾向が異なる。しかし、いずれの材料に対しても、長波長の光ほど、透過率が高くなることがわかる。上記実施形態では、正極24を検出する場合、光源70からは、セパレータ40を透過する波長の光を投光する必要がある。カメラ80の感度にもよるが、少なくともセパレータの透過率が50%以上となるような波長の光が、光源70から投光されることが好ましい。透過率が50%以上だと、確実にセパレータ40を透過させて、正極24を検出できる。
【0063】
なお、正極24は、アルミニウムや銅などの金属から形成されているので、光はほぼ透過しない。したがって、セパレータ40さえ透過する波長以上であれば、上限は特にない。
【0064】
以上のように、セパレータ40の材料に関わらず、セパレータ40に対する透過率に基づいて、投光する光の波長を設定できる。すなわち、セパレータ40に対する透過率(50%以上)により波長の下限を設定できる。
【0065】
たとえば、図19の透過特性を有するセラミックセパレータを採用した場合、約1300nm以上の波長の光、たとえば近赤外光を使用できる。セラミックセパレータは、ポリプロピレンセパレータやポリエチレンセパレータに比べて光が透過しにくいが、近赤外光を使用することによって、透過させることができる。
【0066】
(変形例)
上記実施形態では、袋詰正極20として、セパレータ40に正極24が袋詰めされた形態について説明した。しかし、袋詰めされるのは負極30であってもよい。この場合、袋詰電極として、袋詰負極について、セパレータを透過して負極の位置が検出される。
【0067】
また、上記実施形態では、正極24および負極30の辺の位置を基準に、相対位置を特定していた。しかし、正極24および負極30の相対位置の基準はこれに限定されない。たとえば、正極24、負極30の辺の位置から、それぞれの四隅の角の座標を算出して、角の平均位置からそれぞれの中心位置を算出して、中心位置同士の相対位置に基づいて、正極24および負極30の相対位置を検出してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、光源76およびカメラ84を用いて、正極24および負極30の位置を検出していた。しかし、光源76およびカメラ84を用いて、セパレータ40の位置を検出してもよい。上述の通り、光源76からはセパレータ40を、たとえば50%以上透過する光が照射されている。100%の透過でなければ、少しはセパレータ40にも光が反射されることになる。その反射光をカメラ84によって検出することによって、セパレータ40の位置も検出できる。カメラ84が四隅を見ているので、上記正極24および負極30と同様に、角近傍の辺の部分から辺全長を検出できる。
【0069】
また、上記実施形態では、カメラ84を4台設置している。しかし、視野が広いカメラであれば、たとえば、1台だけ設置してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、セパレータ40と重なる範囲において、負極30の方が正極24よりも大きい場合について説明した。しかし、逆に正極24の方が大きくてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、図1に示すように、正極リード11および負極リード12が外装13材の同一端部から導出されている場合について説明した。しかし、これに限定されない。正極リード11および負極リード12がたとえば反対の端部から導出されてもよい。この場合、二次電池10の発電要素15を形成する際には、タブ部分26、34が相互に反対向きになるように負極30と袋詰正極20が積層される。
【0072】
また、上記実施形態では、正極24および負極30に反射する反射する波長の光を投射していたが、正極24および負極30に吸収される波長の光を投射してもよい。この場合、カメラ84は、光が吸収されて黒く見える範囲を撮像する。制御部160は、黒く見える範囲を最上層にある正極24または負極30の位置として検出する。
【0073】
(セパレータのめくれ検出)
図20は、セパレータにめくれが発生している様子の一例を示す概略図である。
【0074】
上記実施形態に加え、セパレータ40が正常か否かも判定してもよい。
【0075】
この場合、積層ステージ140上方に、新たな光源を加える。追加する光源は、セパレータ40にたとえば50%以上反射する光を照射する。新たな光源から袋詰正極20に光を投射する。投射された光は、セパレータ40に反射する。カメラ84は、セパレータ40を介して、反射光を受光し、セパレータ40を撮像できる。したがって、セパレータ40自体の撮像結果に基づいて、セパレータ40が正常か否かも判定できる。
【0076】
制御部160は、図20に示すように、セパレータ40の図中左下の角がめくれている場合、セパレータ40が異常であると検出できる。
【0077】
めくれの発生は次のように検出できる。制御部160は、光源76から光を照射し、セパレータ40に反射した光をカメラ84によって受光する。制御部160は、カメラ84による撮像を分析し、白みがかって見えるセパレータ40と、黒っぽく見える正極24とを区別する。たとえば、画像の明度の違いによって、正極24を検出する。セパレータ40があるはずの範囲に黒い正極24が検出された場合、セパレータ40がめくれて正極24が露出していることを検出できる。
【0078】
上記構成により、セパレータ40のめくれも検出して、袋詰正極20の不良をより精度よく検出できる。
【0079】
なお、セパレータ40のめくれの検出は、正極供給テーブル120上において、セパレータ40をカメラ80により撮影する際に実行されることもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 二次電池、
15 発電要素、
20 袋詰正極、
22 正極活物質層、
24 正極、
26 タブ部分、
30 負極、
32 負極活物質層、
34 タブ部分、
40 セパレータ、
42 接合部、
60、62、64 吸着コンベア、
70、72、74、76 光源、
80、82、84 カメラ、
100 シート積層装置、
110 積層ロボット、
112 L字状アーム、
114、116 吸着ハンド、
120 正極供給テーブル、
122 XYステージ、
124 支持台、
126 クランパ、
130 負極供給テーブル、
132 XYステージ、
140 積層ステージ、
142 載置部、
144 駆動部、
146 クランパ、
150 記憶部、
160 制御部、
200 電極位置検出装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成されたセパレータ内に第1電極が配置された袋詰電極と、前記第1電極とは異なる極性の第2電極とが交互に積層される際に、前記第1電極および前記第2電極の相対的な位置関係を検出する電極位置検出装置であって、
前記セパレータには透過して、前記第1電極および前記第2電極に反射する光を投射する投光手段と、
最上層に前記袋詰電極が位置する場合は前記第1電極に反射した光を受光し、最上層に前記第2電極が位置する場合は前記第2電極に反射した光を受光する受光手段と、
最上層に前記袋詰電極が位置した場合の前記受光手段による受光結果と最上層に前記第2電極が位置した場合の前記受光手段による受光結果とに基づいて、前記第1電極および前記第2電極の相対的な位置関係を検出する検出手段と、
を有する電極位置検出装置。
【請求項2】
前記セパレータはセラミックセパレータであり、前記第1電極および前記第2電極に反射する光は近赤外光である請求項1記載の電極位置検出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1電極および前記第2電極の積層方向から見て、前記第1電極および前記第2電極の一方が前記セパレータと重なる範囲において、他方の内側に位置するか否かを判断する請求項1または請求項2に記載の電極位置検出装置。
【請求項4】
袋状に形成されたセパレータ内に第1電極が配置された袋詰電極と、前記第1電極とは異なる極性の第2電極とが交互に積層される際に、前記第1電極および前記第2電極の相対的な位置関係を検出する電極位置検出方法であって、
前記セパレータには透過して前記第1電極および前記第2電極に反射する光を投射する投光工程と、
最上層に前記袋詰電極が位置する場合は前記第1電極に反射した光を受光し、最上層に前記第2電極が位置する場合は前記第2電極に反射した前記光を受光する受光工程と、
最上層に前記袋詰電極が位置した場合の前記受光工程による受光結果と最上層に前記第2電極が位置した場合の前記受光工程による受光結果とに基づいて、前記第1電極および前記第2電極の相対的な位置関係を検出する検出工程と、
を有する電極位置検出方法。
【請求項5】
前記セパレータはセラミックセパレータであり、前記第1電極および前記第2電極に反射する光は近赤外光である請求項4に記載の電極位置検出方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図16】
image rotate

【図19】
image rotate

【図2】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−227131(P2012−227131A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67852(P2012−67852)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】