説明

電極構造及び当該電極構造の製造方法並びに電気化学センサ

【課題】 電位窓の広い電極構造を提供する。
【解決手段】 プラスチックなどからなる基板11上に、導電性ペーストや導電性インクを塗布、乾燥して所定形状の導電層21を形成する。そして、当該導電層21の一部領域を除く領域をマスキングして、パルスレーザーディポジション(PLD)法などによって、前記導電層21をグラファイト膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、ダイヤモンド膜の何れかからなるカーボン膜13でコーティングする。その後、マスクを除去し、導電層21がカーボン膜13でコーティングされた構造を有する1対の検出電極10を構成する。そして、一対の検出電極10,10間に検出対象物質と反応する試薬層15を形成して電気化学センサ1を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極構造、具体的には電気化学センサに適した電極の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素反応を利用したバイオセンサなど、水溶液中の電子移動に伴う電流値の測定を利用した種々の電気化学センサが提供されている。このような電気化学センサの電極には、広い電位窓と他の電極材料と比較してバックグランド電流が低いといった電気化学的特性が求められる。
【0003】
例えば、特開2000−314714号(特許文献1)には、炭素や銅などからなる導電性膜上に多数のナノホールを有するアルミナ層が形成されると共に、当該ナノホールの表面にCVD法(Chemical Vapor Deposition法)により形成されたカーボン膜と前記導電性膜とが電気的に接続された電極が開示されている。
【0004】
この電極では、ナノホールの表面に形成されたカーボン膜が電極として利用されるために、見かけ上の電極面積よりも広い電極面積を有することになる。この結果、測定可能な電位範囲、いわゆる電位窓が広がっている。
【0005】
また、特開2006−70287号公報(特許文献2)には、シリコン基板上に導電性ダイヤモンド膜からなる櫛のような形状をした電極膜を形成し、櫛の歯をかみ合わせるようにして対を構成した電極構造が開示されている。この電極構造では、導電性ダイヤモンド膜を用いているために、広い電位窓が得られるだけでなく、電極対となる電極間の距離を小さくできるので、センサに用いた場合には応答速度が向上するだけでなく、感度の向上も期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−314714号公報
【特許文献2】特開2006−70287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の電極では、カーボン膜の形成のためにCVD法が用いられ、例えば特許文献1に開示された方法では、1000℃程度の高温に基板が保持される。従って、基板には1000℃を越える耐熱性が要求され、安価に製造できるプラスチック基板を用いることができない。
【0008】
また、特許文献2の電極構造においては、ダイヤモンド膜に導電性を付与するために、BやPなどの不純物をドープする必要があり、このためにCVD法に頼らざるを得ない。従って、特許文献1の場合と同様に、低い耐熱性しか有しないプラスチック基板を用いることができない。
【0009】
このように、特許文献1記載の電極や特許文献2記載の電極構造では、安価なプラスチック基板を用いることができず、製造原価が高価になる傾向があった。また、特許文献1に記載の方法では基板上にナノーホールを有するアルミナ膜を形成するという工程が必要となったり、ナノーホール内へのカーボン膜の形成が困難であるという問題があった。特許文献2記載の方法では不純物のドープ量の制御が困難であるなど、いずれの電極構造にもそれぞれ欠点があった。
【0010】
本発明はこのような背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明はより簡便な方法で、かつ耐熱性の低い安価なプラスチック基板上にでも広い電位窓を有する電極を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本願発明者は鋭意努力したところ、導電性ペーストや導電性インキから形成させた導電層上にグラファイト膜やダイヤモンドライクカーボン膜、ダイヤモンド膜の何れかからなるカーボンコーティングを施すことにより、上記目的が達成されることを見いだし、本願発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、比較的簡便な方法により、プラスチック基板上に広い電位窓を有する電極を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の電極構造を用いた電気化学センサの一例を示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図2】(a)〜(e)は図1の電気化学センサの製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明の電極構造を用いた電気化学センサの他例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の電極構造を用いた電気化学センサの一例を示す図、図2は当該電気化学センサの製造方法を示す説明図である。以下、各図を用いながら本発明について詳細に説明する。
【0015】
図1の電気化学センサ(以下「センサ」と称することがある。)1は、絶縁性を有する基板11の片端部に一対の検出電極10と、他方片端部に一対の取り出し電極14を有している。検出電極10の一方と取り出し電極14の一方は導電層21からなる導通路12によって電気的に接続されている。また、当該導通路12と電気的に絶縁された別の導通路12によって残る一方の検出電極10と残る一方の取り出し電極14が電気的に接続されている。図示するセンサ1においては、導通路12に対してほぼ直角となるように検出電極10が形成されており、1対の検出電極10,10の間には、測定対象となる検体中の測定対象成分と反応し、電子の移動を生じさせる試薬層15が設けられている。
【0016】
上記検出電極10は本発明による電極構造を有している。つまり、当該検出電極10は、基板11上に形成された導電層21がカーボン膜13でコーティングされた構造を有する。一方、取り出し電極14は導電層21から構成され、カーボン膜13でコーティングされていない。
【0017】
導通路12や取り出し電極14、検出電極10を構成する導電層21は導電性ペーストや導電性インクの塗布、乾燥によって一体として形成されている。すなわち、基板11上に形成された導電層21の片端部が取り出し電極14として利用され、導電層21の他方片端部が検出電極10の下地層として利用され、導電層21の残る部分が導通路12として利用されている。
【0018】
本発明において用いられる基板11は、絶縁性基板であればよく、本発明の電極構造の使用態様や目的によって適宜選択される。基板11の材質は、導電性ペーストや導電性インキの塗布により導電層21が形成できるものであれば、特に制約されるものではない。例えばアルミナなどのセラミック、シリコン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの各種プラスチックなどが例示される。これらのうち、各図に示したように同一の基板11上に2以上の電極構造を形成する場合には、各電極構造間の絶縁を図る必要から、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどのプラスチック材料やアルミナなどのセラミック材料が好ましく用いられる。また、軽量化や加工のしやすさなどの観点からはプラスチック材料がより好ましく用いられる。なお、本発明においては、カーボン膜13形成時に高温処理されることがあるため、この処理における温度に耐えうる材質の選択が必要である。また、一枚の基板全体を一つの電極として用いる場合には、導電性基板、絶縁性基板のいずれでもよい。そして、特許文献2に記載されているように水処理に用いる電極として用いる場合などには、多孔性の基板を用いることもできる。
【0019】
導電層21を形成する導電性ペーストや導電性インキも特に制約を受けるものではなく、公知である種々の導電性ペーストや導電性インキが用いられる。導電性ペーストや導電性インキは、樹脂などの分散媒にカーボンその他、金や銀などの導電性物質を1種若しくは2種以上を混合したペーストないしインキであって、必要に応じて溶媒が混合される。導電性物質も適宜選択される。また、導電層21として、銅や銀、金などの導電性金属からなる金属膜も用いられる。
【0020】
導電性ペーストや導電性インキは、スクリーン印刷やディスペンサーによる塗布などにより、基板11表面に所望する形状に塗布される。塗布された導電性ペースト等はその後乾燥により溶媒が除去される。また、必要に応じて、例えばバッチ処理炉により加熱処理が施され、導電層21とされる。加熱処理に際しては基板11の耐熱性を考慮して温度設定がなされる。金属を含むペーストを用いる場合には、導電層21の酸化を防止する観点から、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下にて行うのが好ましい。金属膜は、スパッタリングやメッキ処理、金属箔の貼付など公知である種々の方法により形成されうる。
【0021】
本発明の電極構造は、こうして形成された導電層21表面の少なくとも一部領域、好ましくは電極として利用される領域全体が、カーボン膜13によりコーティングされたものである。このカーボン膜13は、グラファイト膜やダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)膜、ダイヤモンド膜の何れかからなる。グラファイト膜は、炭素原子がsp結合した平面的な結晶構造(六方晶)を有する膜である。また、ダイヤモンド膜は、炭素原子がsp結合した立体的な結晶構造(立方晶)を有する膜である。また、ダイヤモンドライクカーボン膜は、グラファイト構造(sp結合)とダイヤモンド構造(sp結合)とが混在した膜であり、アモルファス(非晶質)の構造をした膜である。アモルファスカーボン膜とも呼ばれることがある。本発明においては、この3種の膜のうちいずれかの膜が用いられるが、導電性がありかつ広い電位窓とするためには、sp構造とsp構造が混在したダイヤモンドライクカーボン膜が好ましい。膜に関しては、ラマン分光で測定した光学的バンドギャップ測定により評価した場合、Gバンドポジション(1515〜1600cm−1)で、DバンドとGバンドの強度比I(D)/I(G)が0.2〜2.0の範囲であることが好ましい。これは炭素−炭素結合の80%以上がsp結合であることを意味する。なお、Dバンドはdisorderedバンドに、Gバンドはgraphiticバンドに対応する。
【0022】
カーボン膜13は、グラファイト膜、DLC膜、ダイヤモンド膜のいずれの場合も、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法により形成することができる。CVD法には熱CVD法やプラズマCVD法などの各種方法が、また、PVD法には抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法、パルスレーザデポジション(PLD)法などがある。この中でもプラズマCVD法やPLD法が望ましく用いられる。PLD法は、真空チャンバー内に設置した原料ターゲットに、チャンバー外部からレーザー光をターゲットに照射することで、ターゲットから原子(分子)を引き剥がしターゲットに対向する対象体に薄膜を形成する方法である。このPLD法によると、常温下での膜形成が可能であり、基板上昇温度が数十度以内に抑制される。この結果、より基板11の選択範囲が広がり、耐熱性の低いPE基板やPP基板への適用が可能になる。また、PLD法以外の方法では、基板の温度が高くなる場合があるので、耐熱温度の低いプラスチック基板への適用は、基板を加熱しないでPVD法を用いたり、成膜条件をプラスチック基板用に最適化したCVD法を用いる。
【0023】
PLD法、CVD法などにおける成膜条件も特に制約されるものではなく、目的とするカーボン膜13、例えば膜のsp/sp混成比や膜厚、基板の材質などに応じて適宜条件設定が行われる。PLD法における照射レーザー光源として、例えば、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーなどが例示される。また、成膜に用いられる原料ターゲットとして、グラファイト、グラッシーカーボンなど常温で固体である炭素材料が例示される。
【0024】
カーボン膜13は導電層21の一部領域のみに形成することもできるが、電極の機能を果たす領域においては、導電層21の側面を含めてカーボン膜13でコーティングする必要がある。導電層21の側面が露出した状態であれば、導電層21の側面も電極として機能するため、電位窓が狭い電極と混成した特性になる虞が強くなる。この電極の機能を果たす領域とは、例えば検体が接触する領域など実質的に電極として使用される領域である。図1に示すセンサ1では、図示しないが、検出電極10が構成された基板11上にカバーが載置される場合があり、この場合にはカバーと基板11との間に検体が導入される反応空間が構成される。このようなセンサ1では、少なくともこの反応空間に露出される領域がカーボン膜13でコーティングされる。
【0025】
導電層21全体を電極とする場合には導電層21を形成した基板11をチャンバー内に設置すればよいが、導電層21の一部領域にのみを電極として用いる場合には、当該領域を除く領域をマスキングした後にチャンバー内に設置する。
【0026】
また、本発明においては各図に示すように一つの基板11に2以上の電極構造を構成することもできる。この場合には、カーボン膜13による短絡を防ぐ必要から、導電層21間の基板領域をマスキングするか、あるいは基板11に直接形成されたカーボン膜13の不要領域を削除する。なお、マスキングする場合には、前記理由から電極とする導電層21の側面も露出するようにマスキングを施す必要がある。また、カーボン膜13を削除する場合には導電層21の側面にもカーボン膜13を残して不要なカーボン膜13を除去する。ただし、カーボン膜13を除去する方法では、一対の検出電極10,10間の距離が相対的に変動する虞があるので、センサ1の電気化学特性にばらつきが生じないように、相対位置を固定する処置を行うのがよい。
【0027】
このように、導電性ペーストや導電性インクからなる導電層21をDLCなどのカーボン膜13によってコーティングすることによって、広い電位窓を有する電極を構成できる。特に電気化学センサ1の用途に用いられる電極においては、測定対象成分以外の成分によって生じた電流により、測定対象成分の定量精度が低下する。血液や尿、唾液等の体液や分泌液は水溶液であり、このような検体では、水の分解によって電位窓範囲が影響を受ける。グラファイト膜、DLC膜、ダイヤモンド膜などのカーボン膜13は、水中の水分子、プロトン、オキソニウムイオン、水酸基との反応性が低く、電位窓の拡大には好適であり、これらのカーボン膜13でコーティングすることにより電位窓が広がる。
【0028】
また、上記のような導電層21をカーボン膜13でコーティングするという構成を採用することにより、充電電流が減少する。充電電流とは、センサ1の検出電極10,10間(作用極対極間)に電圧がかかった瞬間に流れる電気二重層容量等に起因する電流であり、その量は電極表面材料物性と電極比表面積に依存する。PLD法やCVD法により形成されたカーボン膜13はその表面が平滑かつ連続的であり、カーボン膜電極の容量が減少うする。この結果、本発明の電極構造は充電電流が減少するという利点も有する。
【0029】
そして、導電性ペースト等の塗布、乾燥、それにPLD法などによるコーティング膜の形成という比較的簡便な方法により本発明の電極構造が構成される。しかも、PLD法によると基板温度の上昇が少なく、かつ低温によるコーティングが可能であるので、耐熱温度が低く、また安価である各種プラスチック製の基板を用いることができる。これによりセンサの軽量化、製造コストの低廉化も容易に図ることができる。
【0030】
次に図2に基づき、本発明の電気化学センサ1の製造方法について説明する、まず、図2(a)に示すように、絶縁性を有する基板11上の所定領域に、導電性ペーストや導電性インキを塗布し、加熱乾燥して導電層21を形成する。次に、図2(b)に示すようにマスキングを施す。この際、マスク22の開口23を導電層21の表面コーティング領域よりも広く形成する。電極となる導電層21の側面にもカーボン膜13を形成するためである。そして、この開口23内にPLD法などによってカーボン膜13を形成し、導電層21をカーボン膜13でコーティングする(図2(c))。そして、マスク22を除去して、基板11上に検出電極10、導通路12、取り出し電極14が形成された電極プレートを得る(図2(d))。この電極プレートの検出電極10,10の間に試薬層15を形成して、電気化学センサ1を得る。
【0031】
図3は本発明の別な実施形態である電気化学センサ1を示す平面図である。この電気化学センサ1も、図1に示すセンサ1とほぼ同様な構造をしているが、このセンサ1では参照電極16が設けられている点で異なっている。電気化学センサ1は、計測装置によってその出力が読み取られる。この際、計測装置への装着を検出したり、その他ノイズ補正を行うために、センサ1に第3の電極として参照電極16が設けられる場合がある。図3に示すセンサ1の参照電極16は、一対の検出電極10,10に形成されている。この参照電極16は、導電層21を介して基板11の端部に設けられた取り出し電極14(導電層21)と導通している。
【0032】
本発明の電極構造は、電位窓を広げることを目的として設けられるものであるが、必ずしもセンサ1の検出電極10(試薬層15が近傍に形成される検出電極10)としての用途に限定されるものではない。上記センサ1における取り出し電極14や導通路12にも同様の電極構造を構成することもできる。
【0033】
上記センサ1の例においては、本発明の電極構造は電気化学センサの電極構造として用いられているが、センサ用の電極に用いるだけでなく、例えば、図2(d)に示された電極プレートを、例えば電気分解用の電極として用いることもできる。また、上記例においては、一枚の基板11上に2以上の電極を構成する場合について説明したが、一枚の基板11に一つの電極を構成しても差し支えない。さらに、基板11上に形成された導電層21の一部に本発明の電極構造を形成するだけでなく、基板11全面に導電層21を形成し、この導電層21の全体を覆うようにカーボン膜13を形成した電極とすることも可能である。この場合には、予めリード線を導電層21と接続しておき、このリード線から電位を取り出せるようにしておくと好都合である。
【実施例1】
【0034】
次に下記の具体的実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。PETフィルム(帝人社製、膜厚18μm)にカーボンインキ(日本アチソン製カーボンインキ)をスクリーン印刷し、110℃30分間乾燥して、図1に示すような形状の導電層を形成した。次いで、対極及び作用極を構成する領域を除く基板全体をPEフィルムでマスクし、下記条件によるPLD法で膜厚100nmのアモルファスカーボンからなるカーボン膜を導電層上に成膜して対極及び作用極を形成した。この後、マスクを除去し、対極作用極間にGOD(グルコースオキシダーゼ:天野エンザイム(株)社製GO2)とフェリシアン化カリウムの混合水溶液を0.1μlを滴下し、1時間室温乾燥させて、グルコースセンサを作製した。また、比較用対照センサとして、アモルファスカーボンのカーボン膜を成膜しないグルコースセンサも同様にして作製した。
【0035】
両センサに、それぞれ100mg/dlの馬標準血清(検査医学標準物質機構)を液温25℃で滴下し、生じた電流値を測定した。各10サンプルでの電流CV値を算出したところ、実施例のセンサではCV値1.3%であるのに対し、比較例では3.6%であり、実施例のセンサでのばらつきが少なくなった。
【0036】
なお、上記に示された実施形態や実施例は例示であって、本発明は上記の実施形態や実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲及びこれと均等に含まれるすべての変更が本発明に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 電気化学センサ
10 検出電極
11 基板
12 導通路
13 カーボン膜
14 取り出し電極
15 試薬層
16 参照電極
21 導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された導電性ペースト又は導電性インキ又は金属膜からなる導電層と、
グラファイト膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、ダイヤモンド膜の何れかからなるカーボン膜を有し、
前記導電層表面の少なくとも一部領域が前記カーボン膜によってコーティングされたことを特徴とする電極構造。
【請求項2】
前記基板がプラスチック基板である請求項1に記載の電極構造。
【請求項3】
前記カーボン膜がPVD法により形成された請求項1又は2に記載の電極構造。
【請求項4】
前記導電性ペースト又は導電性インキの導電性物質がカーボンである請求項1〜3の何れか1項に記載の電極構造。
【請求項5】
請求項1〜4の電極構造を有する複数の電極と、測定対象成分との反応により電子の移動を生じさせる試薬層を同一基板上に有する電気化学センサ。
【請求項6】
基板上に導電性ペースト又は導電性インキを塗布、乾燥して導電層を形成する工程と、
形成された導電層の少なくとも一部を露出させた状態で、PVD法により、前記導電層の露出表面にカーボン膜を形成する工程を有する電極構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−230369(P2010−230369A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76167(P2009−76167)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)