説明

電極活物質組成物、その製造方法、及びこれを用いた電気化学キャパシタ

【課題】本発明は、電極活物質組成物、その製造方法、及びこれを用いた電気化学キャパシタに関する。
【解決手段】本発明は、電極活物質と、電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有し、2種以上の導電材が凝集された導電材凝集体と、を含む電極活物質組成物、その製造方法、及びこれを用いた電気化学キャパシタに関する。本発明によると、粒径が相違する2種以上の導電材を用いて電極活物質粒径に対して特定のサイズで導電材凝集体を製造し、これを電極活物質に含ませることにより、前記導電材凝集体が電極活物質の隙間に効果的に位置して電子が容易に移動されるように電子の移動経路として提供されるだけでなく、電極活物質層のパッキング密度を高めて容量増大の効果も得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質組成物、その製造方法、及びこれを用いた電気化学キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ(EDLC)は、リチウムイオン二次電池などの二次電池に比べ、入出力特性に優れ、かつサイクル信頼性が高くて、環境問題を鑑みて近年盛んに開発が進められている分野であり、例えば、電気自動車の主電源と補助電源あるいは太陽光発電と風力発電など再生可能エネルギーの電力貯蔵デバイスとして有望である。
【0003】
また、IT化に伴って需要が増加している無停電電源装置などからも短時間に大電流を出力することができるデバイスとして活用が期待されている。
【0004】
このような電気二重層キャパシタは、主に炭素材料で構成される一対あるいは複数の分極性電極(正極/負極)をセパレータを介して対向させ、電解液に浸漬させた構造を有している。ここで、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層に電荷を蓄電することを原理とする。
【0005】
電気二重層キャパシタの動作原理及び基本構造は、図1に示したとおりである。これを参照すると、両側から集電体10、電極20、電解液30及び分離膜40で構成されている。
【0006】
前記電極20は、活性炭素粉末または活性炭素繊維などのように有効比表面積が大きい炭素材料からなる活物質、伝導性を与えるための導電材、及び各成分間の結着力のためのバインダーで構成される。また、前記電極20は、分離膜40を介して正極21と負極22で構成される。
【0007】
また、前記電解液30は、水溶液系の電解液と非水溶液系(有機系)の電解液が用いられる。
【0008】
前記分離膜40は、ポリプロピレンまたはテフロン(登録商標)などが用いられ、前記正極21と負極22との間の接触による短絡を防止する役目をする。
【0009】
EDLCは、充電の際に電圧をかけるとそれぞれの正極21と負極22電極の表面に解離された電解質イオン31a、31bが物理的に反対電極に吸着して電気を蓄積し、放電の際には正極21と負極22のイオンが電極から脱着して中和状態に戻る。
【0010】
通常、電気化学キャパシタの主材料として用いられている活物質の場合、広い比表面積を用いた界面での電子生成には有利であるが、相対的に導電性が低下するため、一般的にはnmサイズの導電材を添加して要求される特性を具現する。しかし、一般的な工程において導電材の添加量のみを増加させても所望の低抵抗の特性は具現されない。これは、微粒導電材の分散及び構造的な特性のため活物質と導電材の均一な組み合わせが具現されないためである。
【0011】
一般的な電気化学キャパシタの場合、活性炭の表面に電解液イオンの吸脱着反応による電子の発現によって容量具現が行われる。図2は、電気化学キャパシタ電極20の概略図であり、前記電極20は、有効比表面積が大きい炭素材料からなる活物質51、伝導性を与えるための導電材52、及び各成分間の結着力のためのバインダー53で構成された正極活物質層を集電体10に塗布して形成される。イオンの吸脱着によって発現された電子は図2のように、導電材52に沿って流れる。一般的に電子は抵抗が最も少ない経路(path)に沿って流れるが、前記活物質51に比べ、導電材52の比抵抗が2オーダー(order)程度低いため、電子60は、導電材52に沿って(矢印方向)流れる。
【0012】
通常、電子発現に主な影響を与える活物質51材料は、図3のように数μmのサイズを有しており、電子の移動経路となる導電材52の粒径は図4のように数十nmに該当する。
【0013】
従って、活物質材料と導電材との粒径差のため、電極内で活物質と導電材の均一な混合を期待するのは難しい。
【0014】
実際、導電材の凝集が発生したり、図5のように、活物質と導電材の粒度差による粒子の分離(segregarion)が発生することが一般的である。そのため、粒子間に空隙が発生される可能性があり、これにより、製品の抵抗特性の劣化が生じる問題点があるため、電気化学キャパシタの信頼性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0008247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、従来電気化学キャパシタにおける活物質と導電材との間の粒径差により分散が円滑に行われないことによって発生する様々な問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、分散性に優れた電気化学キャパシタの活物質組成物を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、前記電気化学キャパシタの活物質組成物の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明のまた他の目的は、前記電気化学キャパシタの活物質組成物を含む電気化学キャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の前記目的を果たすための一実施例による電極活物質組成物は、電極活物質と、前記電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有し、2種以上の導電材が凝集された導電材凝集体と、を含むことを特徴とする。
【0020】
前記導電材凝集体は粒径が相違する2種以上の導電材を含むものであってもよい。
【0021】
前記導電材凝集体は粒径が10〜99nmである第1導電材及び粒径が100nm〜10μmである第2導電材を含むものであってもよい。
【0022】
前記導電材は、アセチレンブラック、カーボンブラック、及びケッチェンブラックからなる群から選択される1種以上の導電性カーボンであってもよい。
【0023】
前記電極活物質は粒径5〜30μmの炭素材料が好ましい。
【0024】
前記炭素材料は、活性炭、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリル(PAN)、炭素ナノ繊維(CNF)、活性化炭素ナノ繊維(ACNF)、気相成長炭素繊維(VGCF)、及びグラフェンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0025】
本発明の一実施例によると、前記電極活物質は比表面積1,500〜3,000m/gの活性炭が最も好ましい。
【0026】
本発明による前記電極活物質組成物は電極活物質に対する導電材凝集体を8.5:0.5〜1:0.5〜1の重量比で含むことが好ましい。
【0027】
本発明の前記他の目的を果たすための一実施例による電極活物質組成物の製造方法は、2種以上の導電材を凝集させて導電材凝集体を製造する段階と、前記導電材凝集体と電極活物質とを混合して分散させる段階と、を含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、前記電極活物質組成物を用いた電気化学キャパシタを提供することを特徴とする。
【0029】
前記電極活物質組成物は正極及び負極のうち何れか一つまたは全てに用いられることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、粒径が相違する2種以上の導電材を用いて電極活物質粒径に対して特定サイズで導電材凝集体に製造し、これを電極活物質に含ませることにより、前記導電材凝集体が電極活物質の隙間に効果的に位置して電子が容易に移動されるように電子の移動経路として提供されるだけでなく、電極活物質層のパッキング密度を高めて容量増大の効果も得ることができる。
【0031】
従って、高い耐電圧、エネルギー密度、及び入出力特性を有するとともに、高速充放電サイクル信頼性に優れた大容量電気化学キャパシタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】電気二重層キャパシタの基本構造及び動作原理を示すものである。
【図2】電気化学キャパシタ電極の概略図である。
【図3】活物質の粒径及び形状の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】導電材の粒径及び形状の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】電気化学キャパシタの電極内に存在する気孔の類型とこれを拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の一実施例による導電材凝集体を構成する第1導電材の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の一実施例による導電材凝集体を構成する第2導電材の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】比較例1による単一導電材を含む電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例1の導電材凝集体を含む電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0034】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を限定しようとするものではない。本明細書に用いられたように、単数型は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数型を含むことができる。また、本明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせが存在することを特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせの存在または付加を排除するものではない。
【0035】
本発明は、電極活物質と導電材との粒径差のために生じる粒子の分離(separation)問題を解決するために、粒径が相違する2種以上の導電材を用いて導電材凝集体に製造し、電極活物質組成物に含まれるようにした。
【0036】
具体的に説明すると、本発明による電極活物質組成物は、最適の電極パッキング密度(packing density)の形成のために、電極活物質と、電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有し、2種以上の導電材が凝集された導電材凝集体と、を含む。
【0037】
本発明による前記導電材凝集体のサイズが用いられる電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズ範囲から外れる場合、活物質の粒子間に導電材が適切に充填されないことによる電極パッキング密度(Packing density)低下の問題があるため好ましくない。
【0038】
本発明による前記導電材凝集体に含まれる導電材は、粒径が相違する2種以上の導電材を含むものであってもよい。具体的には、図6に示したように、粒径が数十nmサイズ、好ましくは10〜99nmサイズの第1導電材及び粒径が数百nm〜数μmサイズ、さらに好ましくは100nm〜10μmサイズの第2導電材を含むものであってもよい。
【0039】
前記第1導電材は、相対的に粒径が小さいものであり、そのサイズが10nm未満の場合、分散が難しくなる。また、99nmを超過して大きすぎる場合には、導電性向上が制限される問題があるため好ましくない。
【0040】
また、前記第2導電材は相対的に粒径が大きいものであり、そのサイズが100nm未満の場合、第1導電材と適切に分散させるのが難しく、また、10μmを超過する場合、導電性低下の問題があるため好ましくない。
【0041】
このような本発明による前記導電材は、アセチレンブラック、カーボンブラック、及びケッチェンブラックからなる群から選択される1種以上の導電性カーボンを用いることが好ましい。
【0042】
本発明による導電材凝集体は、粒径が相違する前記2種以上の導電材を水系、または有機溶媒の中でよく分散させた後、これをスプレー乾燥などの方法により溶媒を蒸発させて製造されることができる。本発明の導電材凝集体が電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有することは、溶媒を蒸発させた後の純粋な導電材凝集体のサイズを意味する。
【0043】
前記導電材凝集体のサイズは、溶媒内における濃度、スプレー乾燥させる温度、及び速度に応じて変わることができ、前記サイズ範囲を有するように適切に調節することができる。
【0044】
一方、本発明の電極活物質組成物に含まれる電極活物質は、粒径5〜30μmの炭素材料を用いることが好ましい。前記炭素材料の具体例は、活性炭、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリル(PAN)、炭素ナノ繊維(CNF)、活性化炭素ナノ繊維(ACNF)、気相成長炭素繊維(VGCF)、及びグラフェンからなる群から選択される1種以上が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0045】
本発明の一実施例によると、前記電極活物質のうち、比表面積1,500〜3,000m/gの活性炭を用いることが最も好ましい。
【0046】
本発明による前記電極活物質組成物は、電極活物質に対する導電材凝集体を8.5:0.5〜1:0.5〜1の重量比で含むことができる。
【0047】
また、本発明による電極活物質組成物は、一般的に含まれるバインダー樹脂、及び溶媒を含むことができる。
【0048】
前記バインダー樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルリデンフロライド(PVdF)などのフッ素系樹脂;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂;カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース系樹脂;スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのゴム系樹脂及びこれらの混合物から選択される1種以上を使用することができるが、特にこれに限定されず、通常の電気化学キャパシタに用いられる全てのバインダー樹脂を使用してもよい。
【0049】
また、本発明は、前記電極活物質組成物の製造方法を提供することを特徴とする。先ず、2種以上の導電材を凝集させて導電材凝集体を製造する段階と、前記導電材凝集体と電極活物質とを混合して分散させる段階と、を含むことを特徴とする。
【0050】
本発明による導電材凝集体を製造するために、先ず粒径が相違する2種以上の導電材を高いせん断応力を印加できる機械的攪拌器を用いて分散及び安定化させて電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有する導電材凝集体を製造する。凝集体の製造方法としては、第1導電材と第2導電材のスラリーをそれぞれPD mixer(Planetary Disperse mixer)などを用いて分散した後、これを混合してスプレードライすることにより製造することができる。
【0051】
前記導電材凝集体に含まれる導電材は、粒径が10〜99nmサイズの第1導電材及び粒径が100nm〜10μmサイズの第2導電材を含むことが好ましい。
【0052】
また、前記サイズの導電材凝集体を製造するために、前記第1導電材と第2導電材を10〜90%の重量比で混合することが好ましい。
【0053】
前記導電材凝集体を製造する際に粒径が相違する2種以上の導電材は導電材凝集体を形成したり、それぞれの導電材に維持されることもできる。従って、実質的に電極活物質組成物に含まれて伝導度向上に寄与する導電材は、導電材凝集体、第1導電材、及び第2導電材の3種類である。これらはその粒径が相違するため、電極活物質の隙間に効果的に位置して電子が容易に移動されるように電子の移動経路として提供されるだけでなく、電極活物質層のパッキング密度を高めて容量増大の効果も得ることができる。
【0054】
その後、前記導電材凝集体と電極活物質とを混合して分散させることにより電極活物質組成物を製造することができ、前記電極活物質を混合する際に溶媒及びバインダー樹脂を添加することができる。
【0055】
本発明はまた、前記電極活物質組成物を用いた電気化学キャパシタを提供することができる。前記電極活物質組成物は正極及び負極のうち何れか一つ、または全てに利用されることができる。
【0056】
即ち、正極集電体上に前記製造された電極活物質組成物を塗布した正極、及び、負極集電体上に前記製造された電極活物質組成物を塗布した負極を分離膜で絶縁させ、これに電解液を含浸させてシーリングし、最終的に電気化学キャパシタを製造することができる。
【0057】
また、電極活物質、導電材凝集体、及び溶媒の混合物を前記バインダー樹脂を用いてシート状に成形したり、押出方式により押出された成形シートを集電体に導電性接着剤を用いて接合することもできる。
【0058】
本発明による正極集電体としては、従来電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池に用いられている材質のものを用いることができ、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される1種以上であり、このうちアルミニウムが好ましい。
【0059】
前記正極集電体の厚さは10〜300μm程度が好ましい。前記集電体としては、前記のような金属箔だけでなく、エッチングされた金属箔、あるいはエキスパンドメタル、パンチメタル、網、発泡体などのように表裏面を貫く孔を備えたものであってもよい。
【0060】
また、本発明による負極集電体は、従来電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池に用いられている全ての材質を用いることができ、例えば、ステンレス、銅、ニッケル、及びこれらの合金などを用いることができ、このうち銅が好ましい。また、その厚さは10〜300μm程度が好ましい。前記集電体としては、前記のような金属箔だけでなく、エッチングされた金属箔、あるいはエキスパンドメタル、パンチメタル、網、発泡体などのように表裏面を貫く孔を備えたものであってもよい。
【0061】
本発明による分離膜は、従来電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池に用いられる全ての材質の材料を用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルリデンフロライド(PVDF)、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、セルロース系高分子、及びポリアクリル系高分子からなる群から選択される1種以上の高分子から製造された微細多孔性フィルムが挙げられる。また、前記多孔性フィルムを重合した多層フィルムも用いることができ、このうちセルロース系高分子を用いることが好ましい。
【0062】
前記分離膜の厚さは約15〜35μmが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0063】
本発明の電解液は、スピロ系塩、TEABF4、TEMABF4などの非リチウム塩を含むか、LiPF、LiBF、LiCLO、LiN(CFSO、CFSOLi、LiC(SOCF、LiAsF及びLiSbFなどのリチウム塩を含む有機電解液あるいはこれらの混合物を全て使用することができる。前記溶媒としては、アクリロニトリル系の溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、スルホラン及びジメトキシエタンからなる群から選択される1種以上が用いられてもよく、これに限定されるものではない。これらの溶質と溶媒を組み合せた電解液は、耐電圧及び電気伝導度が高い。電解液中の電解質の濃度は0.1〜2.5mol/L、0.5〜2mol/Lが好ましい。
【0064】
本発明の電気化学キャパシタのケース(外装材)には、二次電池及び電気二重層キャパシタに通常用いられるアルミニウムを含むラミネートフィルムを使用することが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されると解釈してはならない。また、以下の実施例では、特定化合物を用いて例示したが、これらの均等物を使用した場合においても、同等、類似した程度の効果を発揮することができることは当業者にとって自明な事項である。
【0066】
[実施例1]
粒径50nmの第1導電材であるスーパ−P(Super−P)50gと粒径2〜3μmの第2導電材であるケッチェンブラック(Ketjen black)250gを水溶液に分散させて機械的攪拌器を用いて分散及び安定化させた。その後、前記分散液を加熱チャンバー内でスプレー乾燥させて、1〜1.5μmサイズの導電材凝集体を製造した。
【0067】
前記製造された導電材凝集体20g、10μmサイズの活性炭(比表面積2000m/g)200g、及びバインダー樹脂CMC3.5g、SBR12.0g、PTFE5.5gを水225gに混合及び攪拌させて電極活物質スラリーを製造した。
【0068】
厚さ20μmのアルミニウムエッチング箔上に、前記電極活物質スラリーをコンマコーター(comma coater)を用いて塗布し、臨時乾燥した後、電極サイズが50mm×100mmになるように切断した。電極の断面厚さは60μmであった。セルを組み立てる前に、120℃の真空状態で48時間乾燥させた。
【0069】
前記の製造された電極(正極、負極)を用い、その間にセパレータ(TF4035 from NKK、セルロース系分離膜)を挿入し、電解液(アクリロニトリル系の溶媒に、スピロ系塩1.3モル/リットルの濃度)を含浸してラミネートフィルムケースに入れて密封した。完成されたセルは実験測定時まで約1日そのまま放置した。
【0070】
[比較例1]
活性炭(比表面積2550m/g)85g、導電材Super−P18g、バインダーとしてCMC3.5g、SBR12.0g、PTFE5.5gを水225gに混合及び攪拌させて製造された活物質スラリーを用いることを除いては、前記実施例1と同一の過程により電気化学キャパシタを製造した。
【0071】
[試験例1:電気化学キャパシタセルの電極形状測定]
前記比較例1と実施例1に従って製造された電気二重層キャパシタセル電極を走査型電子顕微鏡で測定し、その結果を図8と図9にそれぞれ示した。
【0072】
図8の結果のように、単一導電材を用いた比較例1の場合、電極活物質組成物内で各構成成分の間に隙間が多数存在することが測定された。即ち、電極活物質と導電材との間の粒径差により効果的なパッキング(packing)が行われなかったことが確認された。
【0073】
一方、本発明のように粒径が相違する2種以上の導電材から電極活物質粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有する導電材凝集体を含む図9の場合、活物質組成物のパッキング密度が非常に高いことが分かる。
【0074】
[試験例2:電気化学キャパシタセルの容量測定]
所定の電流で2.8Vまで定電流充電を行い、充電時と同じ電流で2.0Vまで定電流放電時に5サイクル目の放電容量を測定し、放電時のDC電圧降下(drop)によりDC IRを測定した。
【0075】
該当技術を適用した場合、1000F基準の電気化学キャパシタセルの場合、約0.1mWレベルの製品が具現されることを確認した。
【符号の説明】
【0076】
10集電体
21 正極
22負極
20電極
30電解液
31a、31b 電解質イオン
40分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質と、
前記電極活物質の平均粒径に対して1/7〜1/10のサイズを有し、2種以上の導電材が凝集された導電材凝集体と、
を含む電極活物質組成物。
【請求項2】
前記導電材凝集体は粒径が相違する2種以上の導電材を含む請求項1に記載の電極活物質組成物。
【請求項3】
前記導電材凝集体は粒径が10〜99nmである第1導電材と、粒径が100nm〜10μmである第2導電材と、を含む請求項1に記載の電極活物質組成物。
【請求項4】
前記導電材はアセチレンブラック、カーボンブラック、及びケッチェンブラックからなる群から選択される1種以上の導電性カーボンである請求項1に記載の電極活物質組成物。
【請求項5】
前記電極活物質は粒径5〜30μmの炭素材料である請求項1に記載の電極活物質組成物。
【請求項6】
前記電極活物質は、活性炭、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイト、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリル(PAN)、炭素ナノ繊維(CNF)、活性化炭素ナノ繊維(ACNF)、気相成長炭素繊維(VGCF)、及びグラフェンからなる群から選択される1種以上の炭素材料である請求項5に記載の電極活物質組成物。
【請求項7】
前記電極活物質は比表面積1,500〜3,000m/gの活性炭である請求項5に記載の電極活物質組成物。
【請求項8】
前記電極活物質組成物は、電極活物質に対する導電材凝集体を8.5:0.5〜1:0.5〜1の重量比で含む請求項1に記載の電極活物質組成物。
【請求項9】
2種以上の導電材を凝集させて導電材凝集体を製造する段階と、
前記導電材凝集体と電極活物質とを混合して分散させる段階と、を含む電極活物質組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の電極活物質組成物を用いた電気化学キャパシタ。
【請求項11】
前記電極活物質組成物は正極及び負極のうち何れか一つまたは全てに用いられる請求項10に記載の電気化学キャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98575(P2013−98575A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242541(P2012−242541)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【出願人】(512255804)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (21)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】150, Maeyeong−ro, Yeongtong−gu, Suwon−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】