説明

電極触媒およびその用途、ならびに電極触媒の製造方法

【課題】白金触媒の代替材料として有用な高い酸素還元能を有する酸素還元触媒およびその用途を提供すること。
【解決手段】本発明の酸素還元触媒は、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも二種以上の遷移金属元素を含み、且つ白金を含まない金属酸化物材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極触媒およびその用途、ならびに電極触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池のカソード(空気極)表面や、アノード(燃料極)表面には、電極用の触媒(以下「電極触媒」とも記す。)を含む層(以下「電極触媒層」とも記す。)が設けられていた。
【0003】
この電極触媒として、高い電位で安定であり、触媒能が高い白金触媒が用いられてきた。しかし、白金は価格が高く、また資源量が限られていることから、代替可能な触媒の開発が求められていた。
【0004】
特にカソードは使用時に酸性雰囲気となり、カソード表面に用いる白金触媒は酸性雰囲気下では、溶解する場合があり、エネルギー効率の大幅な低下を招いていた。このため酸性雰囲気下で安定な代替可能な触媒の開発が強く求められていた。
【0005】
白金触媒に代わる電極触媒として、金属酸化物電極触媒が近年着目されている。金属酸化物は、一般に酸性電解質中や高電位で腐食せず、安定である。また、金属酸化物を用いて電極表面に電極触媒の層を形成することにより、電極自体が安定に存在できる。
【0006】
例えば特許文献1(特開2004−95263号公報)では、金属酸化物を用いた電極触媒として、WO3、TiO2、ZrO2、PtO、Sb24もしくはSb23を含む燃料電池用触媒が提案されている。しかし、該燃料電池用触媒は、白金を併用することを想定しており、未だ改善の余地があった。
【0007】
また、特許文献2(特開2005―63677号公報)では、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケルもしくは酸化タングステンを電極触媒として用いた燃料電池が提案されている。しかし、これらの金属酸化物を用いた電極触媒には、酸素還元能が低いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−95263号公報
【特許文献2】特開2005―63677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような従来技術における問題点の解決を課題としており、本発明の目的は、高い酸素還元能を有する電極触媒およびその用途、ならびに電極触媒の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定の遷移金属元素を二種以上含み、且つ白金を含まないことを特徴とする電極触媒が高い酸素還元能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、たとえば以下の(1)〜(18)に関する。
(1)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも二種以上の遷移金属元素を含み、且つ白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする電極触媒。
【0012】
(2)
粉末であることを特徴とする(1)に記載の電極触媒。
(3)
BET比表面積が1〜1000m2/gの範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電極触媒。
【0013】
(4)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、
前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒。
【0014】
(5)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを、
加水分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒。
【0015】
(6)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを、
酸化熱分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒。
【0016】
(7)
(1)〜(6)のいずれかに記載の電極触媒を含むことを特徴とする電極触媒層。
(8)
さらに電子伝導性粒子を含むことを特徴とする(7)に記載の電極触媒層。
【0017】
(9)
カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードが(7)または(8)に記載の電極触媒層を有することを特徴とする膜電極接合体。
【0018】
(10)
(9)に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
(11)
固体高分子型燃料電池であることを特徴とする(10)に記載の燃料電池。
【0019】
(12)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、
前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより金属酸化物材料を得る工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒の製造方法。
【0020】
(13)
熱処理の温度が400〜1200℃の範囲であることを特徴とする(12)に記載の製造方法。
【0021】
(14)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを、
加水分解することにより金属酸化物材料を得る工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒の製造方法。
【0022】
(15)
さらに酸素含有雰囲気下で熱処理する工程を含むことを特徴とする(14)に記載の製造方法。
【0023】
(16)
熱処理の温度が400〜1200℃の範囲であることを特徴とする(15)に記載の製造方法。
【0024】
(17)
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを、
酸化熱分解することにより金属酸化物材料を得る工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒の製造方法。
【0025】
(18)
金属酸化物材料を解砕する工程をさらに含むことを特徴とする(12)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電極触媒は高い酸素還元能を有し、酸性電解質中において高電位条件であっても腐蝕し難く安定である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の燃料電池用電極(1)の酸素還元能を評価したグラフである。
【図2】実施例1の電極触媒(1)のXRDスペクトルである。
【図3】実施例2の燃料電池用電極(2)の酸素還元能を評価したグラフである。
【図4】実施例2の電極触媒(2)のXRDスペクトルである。
【図5】実施例3の燃料電池用電極(3)の酸素還元能を評価したグラフである。
【図6】実施例3の電極触媒(3)のXRDスペクトルである。
【図7】ルチル型の酸化チタン(添川理化学製)のXRDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[電極触媒]
本発明の電極触媒は、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも二種以上の遷移金属元素を含み、且つ白金を含まないことを特徴としている。
【0029】
本発明の電極触媒を構成する遷移金属元素としては、原料が入手しやすい点でニオブおよびチタンが特に好ましい。
前記電極触媒は、粉末であることが好ましい。粉末であると、触媒面積が大きく、触媒能に優れるため好ましい。
【0030】
前記電極触媒のBET比表面積は、好ましくは1〜1000m2/gであり、より好ましくは10〜100m2/gである。前記電極触媒のBET比表面積が1m2/gより小さいと、触媒面積が小さく、1000m2/gよりと大きいと凝集しやすく扱いにくい。
【0031】
なお、本発明におけるBET比表面積の値は、市販のBET測定装置で測定可能であり、例えば、島津製作所株式会社製 マイクロメリティクス ジェミニ2360を用いて測定することができる。
【0032】
前記電極触媒は、上述のように触媒能を高めるため、粉末であることが好ましい。
前記電極触媒の粉末の粒径は、BET法で求めた比表面積に基づいて、粉末を球形に換算して、下記式(1)より求めることができる。
【0033】
D=6/ρS・・・(1)
電極触媒の粉末の粒径:D(μm)
電極触媒の粉末の比重:ρ(g/cm3
電極触媒の粉末のBET比表面積:S(m2/g)
本発明の電極触媒は、下記(I)〜(III)のいずれかであることが好ましい。
【0034】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなる電極触媒(I)。
【0035】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを加水分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなる電極触媒(II)。
【0036】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを酸化熱分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなる電極触媒(III)。
【0037】
以下、各電極触媒について詳細に説明する。
[電極触媒(I)]
本発明の電極触媒は、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることが好ましい。
【0038】
前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数変化は、通常、前記電極触媒のXRDスペクトルにより特定する。
しかしながら、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とのモル比(遷移金属元素(a):遷移金属元素(b))が0.01:99.99〜5:95の範囲である場合、遷移金属元素(a)のモル比が小さいさいため、遷移金属元素(a)の価数変化を電極触媒のXRDスペクトルにより特定することが困難な場合がある。そこで、遷移金属元素(a)のモル比を5より大きくする以外は同一条件で電極触媒を製造して、遷移金属元素(a)の価数変化を電極触媒のXRDスペクトルにより特定する。前記特定した価数変化から、モル比(遷移金属元素(a):遷移金属元素(b))が0.01:99.99〜5:95の範囲である場合の遷移金属元素(a)の価数変化を推定する。
【0039】
熱処理前後における二種以上の遷移金属元素の価数変化については、前記遷移金属元素(a)および前記遷移金属元素(b)の両方の価数が大きくなる場合、またはどちらか一方の遷移金属元素の価数が大きくなる場合がある。
【0040】
遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とのモル比(遷移金属元素(a):遷移金属元素(b))は、通常0.01:99.99〜50:50の範囲である。
例えば、遷移金属元素(a)がニオブであり、遷移金属元素(b)がチタンである場合には、ニオブとチタンとのモル比(ニオブ:チタン)は、通常0.2:99.8〜20:80の範囲であり、好ましくは0.5:99.5〜10:90の範囲であり、より好ましくは1:99〜10:90の範囲である。
【0041】
例えば、遷移金属元素(a)がタンタルであり、遷移金属元素(b)がチタンである場合には、タンタルとチタンとのモル比(タンタル:チタン)は、通常0.5:99.5〜50:50の範囲であり、好ましくは2:98〜30:70の範囲であり、より好ましくは5:95〜20:80の範囲である。
【0042】
遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とのモル比(遷移金属元素(a):遷移金属元素(b))が前記範囲内であると、得られる電極触媒の電気伝導性が高くなり好ましい。一般的に電極触媒の電気伝導性が高いと、電流が流れやすくなる。
【0043】
金属化合物(A)および金属化合物(B)の例としては、金属酸化物、カルボン酸などの金属塩、アセチルアセトンなどの金属錯体等が挙げられ、安価で、熱処理の際の酸素濃度や熱処理温度の適応範囲が広く製造しやすい点で金属酸化物が好ましい。具体例としては、一酸化ニオブ(NbO)、二酸化ニオブ(NbO2)、五酸化三ニオブ(Nb35)、三酸化チタン(Ti23)、一酸化チタン(TiO)等が挙げられ、二酸化ニオブ(NbO2)、三酸化チタン(Ti23)が好ましい。
【0044】
金属化合物(A)および金属化合物(B)は通常粉末のものが用いられる。粉末の金属化合物(A)および金属化合物(B)を酸素含有雰囲気下で熱処理すると、粉末の金属酸化物材料が得られる。
【0045】
金属化合物(A)および金属化合物(B)を酸素含有雰囲気下で熱処理すると、通常、金属化合物(A)および金属化合物(B)中の金属原子と他の原子との間の結合が切れ、金属原子と酸素原子とが結合する。金属原子と酸素原子との結合が一部なされない場合には、この熱処理により得られた金属酸化物材料には、酸素欠陥が形成される。本発明において、この酸素欠陥の作用により、金属酸化物材料からなる電極触媒は、高い酸素還元能を持つようになると、本発明者らは推定している。
【0046】
なお、金属元素一種と金属元素以外であって酸素ではない元素一種以上とからなる金属化合物から金属酸化物を得る場合の従来の一般的な製造方法では、得られた金属酸化物とその原料の金属化合物との間で金属元素の価数は変化しないことが多いが、原料との組み合わせによっては金属元素の価数を大きくすることも可能である。
【0047】
例えば、五酸化ニオブの製造方法としては、ニオブ酸を強熱し、もしくはニオブ塩溶液を硫酸で処理して得られる白色物を強熱して五酸化ニオブを得る製造方法や、ニオブを強熱して五酸化ニオブを得る製造方法が挙げられる(化学大辞典編集委員会編集、「化学大辞典3」、縮刷版第30刷発行、共立出版株式会社、1987年2月15日、p929参照)。
【0048】
二酸化チタンの製造方法としては、チタン(4価)塩水溶液からチタンの水酸化物を沈殿分離し、強熱して二酸化チタンを得る製造方法が挙げられる。さらに、4価のチタンのハロゲン化物を水蒸気、二酸化炭素とともに赤熱管中に通じさせ、イタチタン石型の二酸化チタンを得る製造方法も挙げられる(化学大辞典編集委員会編集、「化学大辞典3」、縮刷版第30刷発行、共立出版株式会社、1987年2月15日、p921参照)。
【0049】
熱処理は、焼成装置を使って行うことが好ましい。
焼成装置としては、炉内温度を精密に制御できるため、電気炉が好ましい。
熱処理は、金属化合物(A)および金属化合物(B)から金属酸化物材料が得られるような、酸化雰囲気で熱処理する条件であればよく、熱処理温度、熱処理時間、酸素濃度は、金属化合物(A)および金属化合物(B)と金属酸化物材料の種類により異なる。
【0050】
また、熱処理の際に必要な酸素量は金属化合物(A)および金属化合物(B)の種類や、金属酸化物材料の種類によって異なるが、通常は、金属化合物(A)および金属化合物(B)として金属酸化物を用いた場合には、金属化合物(A)および金属化合物(B)として金属酸化物以外の金属化合物を用いた場合よりも必要な酸素量が少ない。これは、金属化合物(A)および金属化合物(B)として例えば、金属錯体を用いた場合には金属酸化物材料を得る過程で配位子が酸素と置き換わる必要があるためである。
【0051】
熱処理の際の酸素濃度は、上記必要な酸素量が存在していれば特に限定は無く、熱処理は一般に大気中で行うことができる。
また、炉内の雰囲気を制御することにより、反応速度をコントロールすることができる。例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスを炉内に流し、炉内の雰囲気を制御しながら焼成することにより、反応速度をコントロールすることができる。真空炉においては、必要な酸素量まで減圧後、その減圧を維持して熱処理する。
【0052】
熱処理温度と熱処理時間は、金属化合物(A)および金属化合物(B)が酸素と反応して金属酸化物材料が得られるのに必要なエネルギー量により異なる。熱処理温度が低く熱処理時間が短いと、必要なエネルギー量に達せず、金属酸化物材料が得られない。熱処理温度が高く熱処理時間が長過ぎると、得られる金属酸化物材料が粒成長し、結果として金属酸化物材料からなる電極触媒のBET比表面積が小さくなる傾向がある。
【0053】
そのため、上記熱処理の最高到達温度は400〜1200℃の範囲であることが好ましい。また、熱処理時間は、金属化合物と金属酸化物材料の種類や熱処理温度、酸素濃度により適宜時間を決定することができるが、通常は、10分〜5時間である。なお、熱処理時間は、昇温および降温の時間を含める。
【0054】
本発明者らは、上記のようにして得られる金属酸化物材料の状態を、固溶体であると推定している。好ましい金属酸化物材料の状態は均一な固溶体であるが、固溶体を形成できなかった金属酸化物を一部含んでいてもよい。
【0055】
[電極触媒(II)]
本発明の電極触媒は、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを加水分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることが好ましい。
【0056】
遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とのモル比(遷移金属元素(c):遷移金属元素(d))は、通常0.01:99.99〜50:50の範囲である。
例えば、遷移金属元素(c)がニオブであり、遷移金属元素(d)がチタンである場合には、ニオブとチタンとのモル比(ニオブ:チタン)は、通常0.2:99.8〜20:80の範囲であり、好ましくは0.5:99.5〜10:90の範囲であり、より好ましくは1:99〜10:90の範囲である。
【0057】
例えば、遷移金属元素(c)がタンタルであり、遷移金属元素(d)がチタンである場合には、タンタルとチタンとのモル比(タンタル:チタン)は、通常0.5:99.5〜50:50の範囲であり、好ましくは2:98〜30:70の範囲であり、より好ましくは5:95〜20:80の範囲である。
【0058】
遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とのモル比(遷移金属元素(c):遷移金属元素(d))が前記範囲内であると、得られる電極触媒の電気伝導性が高くなり好ましい。一般的に電極触媒の電気伝導性が高いと、電流が流れやすくなる。
【0059】
なお、加水分解する原料の組み合わせとしては、金属塩(C)と金属塩(D)、金属塩(C)と金属錯体(D)、金属錯体(C)と金属塩(D)、金属錯体(C)と金属錯体(D)が挙げられる。
【0060】
金属塩または金属錯体としては、例えば金属アルコキシド、金属カルボン酸塩、金属ハロゲン化物および金属アセチルアセトナート錯体を挙げることができる。中でも、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩および金属ハロゲン化物からなる少なくとも一種の金属塩を用いることが安価で加水分解しやすいので好ましい。
【0061】
金属アルコキシドとしては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、イソブトキシドなどの低級アルコキシドが好ましい。金属カルボン酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩などの低級脂肪酸塩が好ましい。また金属ハロゲン化物としては、塩化物が好ましい。
【0062】
金属塩または金属錯体(C)と金属塩または金属錯体(D)とを加水分解して得られる金属酸化物材料は通常、粒子表面に水酸基を有しており、原料に由来するアルコキシ基やカルボン酸基等が残存していても良い。
【0063】
加水分解法は、一般に粒子内部に水を取り込みやすい方法であり、表面にも欠陥が生じやすい。上記金属塩または金属錯体を加水分解して得られる金属酸化物材料は、表面に形成された(酸素)欠陥を有するため、金属酸化物材料からなる電極触媒は高い酸素還元能を有すると、本発明者らは、推定している。
【0064】
金属塩または金属錯体(C)と金属塩または金属錯体(D)とを加水分解する方法としては、特に制限はなく、一般に行われる加水分解法が用いられる。本発明の加水分解法で得られた金属酸化物材料は、通常粒子表面に水酸基を有する金属酸化物材料である。反応を制御することにより、表面欠陥の多い金属酸化物材料を得ることができる。
【0065】
例えば、金属アルコキシドを原料とする場合には、金属アルコキシドを溶剤に溶解し、水を添加して行う。金属カルボン酸塩を原料とする場合には、アルカリ水を添加して行う。水、アルカリなどの投入方法としては、滴下、ポンプ等による方法があげられる。少量ずつ反応させるほうが、得られる金属酸化物材料の比表面積が大きくなり好ましい。
【0066】
上記反応は、通常撹拌して行う。攪拌して行うと、加水分解反応を均一に行うことができ、凝集しにくい粉末状の金属酸化物材料が得られる。
反応は、室温で行っても、冷却、加熱して行ってもよい。加熱は、得られる金属酸化物材料の結晶性を高めることになる。また、水酸基が脱離し表面に欠陥のある金属酸化物材料になりやすく好ましい。冷却は、反応が均一になり、得られる金属酸化物材料の比表面積が大きくなり好ましい。
【0067】
また、反応時間は、長いほど得られる金属酸化物材料の結晶性を高めることになり好ましい。しかしながら、反応時間が長いと工業的ではない。そのため、好ましい反応時間は、10分〜24時間であり、より好ましくは30分〜12時間、さらに好ましくは1時間〜8時間である。
【0068】
また、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩を原料とする場合には、反応条件によっては、本発明に用いられる金属酸化物材料は、粒子表面に、原料に由来するアルコキシ基やカルボン酸基が残存する可能性があるが、反応時間温度を高くし、反応時間を長くすることや、後述する乾燥や熱処理によって、原料に由来するアルコキシ基やカルボン酸基等を除去することができる。
【0069】
上記のようにして得られる金属酸化物材料は通常スラリー状態で得られる。このスラリーから固液分離を行うことによって金属酸化物材料を得ることができる。
固液分離には、粒子の沈降、濃縮、ろ過、洗浄、乾燥等の工程により行われるが、前記工程を全て行う必要は必ずしも無く、スラリーの性状等によっても必要な工程は異なる。沈降、濃縮、ろ過、洗浄により、液中に溶解する不純物を除去することができる。沈降速度、あるいはろ過速度を変えるために、凝集剤や分散剤を用いてもよい。該凝集剤あるいは分散剤は、蒸発、昇華、熱分解等により気体として除去可能なものが好ましい。ろ過、洗浄により、溶剤、溶剤に溶解している上記金属塩または金属錯体の加水分解副生成物を除去することができる。
【0070】
乾燥は、溶剤を蒸発する工程であるが、乾燥温度によっては同時に、粒子表面に有する水酸基を脱離し、表面欠陥の多い金属酸化物材料とすることができる。また、上記金属塩または金属錯体の加水分解副生成物の種類によっては、同時に一部もしくは全量の不純物や、原料に由来するアルコキシ基やカルボン酸基等を、蒸発、昇華、熱分解等によって除去可能である。乾燥には、減圧乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。乾燥は通常、室温〜400℃で、1〜24時間行われる。乾燥の雰囲気は特に制限はないが、通常大気中または不活性ガス中または減圧中で行われる。粒子表面に有する水酸基を脱離し、表面欠陥の多い金属酸化物材料とするには、100℃以上好ましくは200℃以上で乾燥するのがよい。
【0071】
また、電極触媒としては前記金属酸化物材料を熱処理したものを用いることが好ましい。
熱処理は、金属酸化物材料の結晶性を向上させるために行われるが、同時に、不純物を、蒸発、昇華、熱分解等により気体として除去することができる。また、熱処理温度によっては粒子表面に有する水酸基や、原料に由来するアルコキシ基やカルボン酸基等を脱離し、表面欠陥の多い金属酸化物材料とすることができる。この方法により除去できる不純物としては、上記金属塩または金属錯体の種類によって異なるが、加水分解副生成物などが挙げられる。通常、熱処理温度は400〜1200℃で行われる。また、熱処理時間は、原料として用いる上記金属塩または金属錯体、金属酸化物材料の種類や熱処理温度、酸素濃度により適宜時間を決定することができるが、通常は、10分〜5時間である。なお、熱処理時間は、昇温および降温の時間を含める。焼成雰囲気は特に制限はなく、通常、大気中、不活性ガス中、もしくは減圧中で行われる。焼成温度が高くなるほど、また焼成時間が長くなるほど、金属酸化物材料の結晶性が高くなるが、比表面積が小さくなる。最適条件は、そのバランスで決定する。
【0072】
また、金属酸化物材料の種類と熱処理温度によっては、前記遷移金属元素(c)および/または前記遷移金属元素(d)の価数を熱処理前と比べて大きくすることができる。価数を大きくすることにより、触媒能が向上する傾向があるため好ましい。
【0073】
本発明者らは、上記のようにして得られる金属酸化物材料の状態を、固溶体であると推定している。好ましい金属酸化物材料の状態は均一な固溶体であるが、固溶体を形成できなかった金属酸化物を一部含んでいてもよい。
【0074】
[電極触媒(III)]
本発明の電極触媒は、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを酸化熱分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることが好ましい。
【0075】
遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とのモル比(遷移金属元素(e):遷移金属元素(f))は、通常0.01:99.99〜50:50の範囲である。
例えば、遷移金属元素(e)がニオブであり、遷移金属元素(f)がチタンである場合には、ニオブとチタンとのモル比(ニオブ:チタン)は、通常0.2:99.8〜20:80の範囲であり、好ましくは0.5:99.5〜10:90の範囲であり、より好ましくは1:99〜10:90の範囲である。
【0076】
例えば、遷移金属元素(e)がタンタルであり、遷移金属元素(f)がチタンである場合には、タンタルとチタンとのモル比(タンタル:チタン)は、通常0.5:99.5〜50:50の範囲であり、好ましくは2:98〜30:70の範囲であり、より好ましくは5:95〜20:80の範囲である。
【0077】
遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とのモル比(遷移金属元素(e):遷移金属元素(f))が前記範囲内であると、得られる電極触媒の電気伝導性が高くなり好ましい。一般的に電極触媒の電気伝導性が高いと、電流が流れやすくなる。
【0078】
前記金属有機化合物としては、例えば金属アルコキシド、金属カルボン酸塩、金属アミドおよび金属β―ジケトン錯体等を挙げることができる。中でも、少なくとも一つの金属−酸素結合を有する金属アルコキシドおよび金属カルボン酸塩、および金属原子に少なくとも一つの酸素原子が配位した構造を有する金属β―ジケトン錯体が好ましい。金属アルコキシドおよび金属カルボン酸塩は安価で酸化熱分解しやすい点で特に好ましい。
【0079】
また、前記金属有機化合物は、200〜1000℃で酸化熱分解する金属有機化合物であることが好ましい。酸化熱分解とは、金属有機化合物に含まれる有機基が熱により分解し消失することをいう。金属アルコキシドまたは金属カルボン酸塩としては、炭素鎖が直鎖のものが、有機基が酸化熱分解しやすいので特に好ましく、その炭素数は通常1〜30程度であり、より好ましくは1〜18である。
【0080】
金属有機化合物(E)と金属有機化合物(F)とを酸化熱分解して得られる金属酸化物材料は、通常粉末であり、かつ結晶性が高く、また表面に形成された(酸素)欠陥を有するため、該金属酸化物材料からなる電極触媒は高い酸素還元能を有すると、本発明者らは、推定している。
【0081】
金属有機化合物(E)および金属有機化合物(F)としては通常粉末のものが用いられる。粉末の金属有機化合物(E)および金属有機化合物(F)を酸化熱分解すると、粉末の金属酸化物材料が得られる。
【0082】
金属有機化合物(E)と金属有機化合物(F)とを酸化熱分解する方法としては、電気炉法、化学炎法、プラズマ法、レーザー法等が挙げられる。反応の制御が容易な点で電気炉法が好ましい。
【0083】
前記酸化熱分解の温度は、通常200〜1000℃であり、好ましくは400〜800℃であり、より好ましくは500〜700℃である。
前記温度が200℃未満であると、酸化熱分解が不十分で灰分が残る傾向がある。
【0084】
一方、前記温度が1000℃を超えると、金属酸化物材料が粒成長する傾向がある。
酸化熱分解は、酸素含有雰囲気下で行われてもよく、その際の酸素濃度としては、空気中の酸素濃度で充分である。
【0085】
また、酸化熱分解時間は、原料として用いる金属有機化合物の種類や酸化熱分解温度、酸素濃度により適宜時間を決定することができるが、通常は、1時間〜10時間である。なお、酸化熱分解時間には、昇温および降温の時間が含まれる。
【0086】
酸化熱分解温度が高くなるほど、また酸化熱分解時間が長くなるほど、灰分残渣が少なくなり、金属酸化物材料の結晶性が高くなる傾向があるが、得られる金属酸化物材料が粒成長し、結果として金属酸化物材料からなる電極触媒のBET比表面積が小さくなる傾向がある。最適条件は、そのバランスで決定する。
【0087】
原料として用いる金属有機化合物の種類と酸化熱分解温度によっては、前記遷移金属元素(e)および/または前記遷移金属元素(f)の価数を熱処理前と比べて大きくすることができる。価数を大きくすることにより、触媒能が向上する傾向があるため好ましい。
【0088】
遷移金属元素の種類によっては、金属有機化合物(E)と金属有機化合物(F)とを酸化熱分解して得られる金属酸化物材料を、さらに、不活性ガス中または減圧中で熱処理してもよい。この熱処理により、金属酸化物材料の表面により多くの酸素欠陥が形成されるため、該金属酸化物材料からなる電極触媒はより高い酸素還元能を有する傾向がある。通常、熱処理温度は400〜1200℃で行われる。熱処理時間は、金属酸化物材料の遷移金属元素の種類や熱処理温度、酸素濃度により適宜時間を決定することができるが、通常は、10分〜5時間である。なお、酸化熱分解時間は、昇温および降温の時間を含める。熱処理温度が高くなるほど、また熱処理時間が長くなるほど、金属酸化物材料の結晶性が高くなるが、比表面積が小さくなる。最適条件は、そのバランスで決定する。
【0089】
本発明者らは、上記のようにして得られる金属酸化物材料の状態を、固溶体であると推定している。好ましい金属酸化物材料の状態は均一な固溶体であるが、固溶体を形成できなかった金属酸化物を一部含んでいてもよい。
【0090】
[電極触媒の酸素還元開始電位]
本発明に用いる電極触媒の、下記測定法(A)に従って測定される酸素還元開始電位は、可逆水素電極を基準として好ましくは0.4V(vs.NHE)以上である。
〔測定法(A):
電子伝導性粒子であるカーボンに分散させた電極触媒が1重量%となるように、該電極触媒およびカーボンを溶剤中に入れ、超音波で攪拌し懸濁液を得る。なお、カーボンとしては、カーボンブラック(比表面積:100〜300m2/g)(例えばキャボット社製
XC−72)を用い、電極触媒とカーボンとが重量比で95:5になるように分散させる。また、溶剤としては、イソプロピルアルコール:水(重量比)=2:1を用いる。
【0091】
前記懸濁液を、超音波をかけながら30μlを採取し、すばやくグラッシーカーボン電極(直径:5.2mm)上に滴下し、120℃で1時間乾燥させる。乾燥することにより電極触媒を含む層(以下「電極触媒層」とも記す。)が、グラッシーカーボン電極上に形成される。
【0092】
次いでナフィオン(デュポン社 5%ナフィオン溶液(DE521))を純水で10倍に希釈したものを、さらに前記電極触媒層上に10μl滴下する。これを、120℃で1時間乾燥する。
【0093】
このようにして、得られた電極を用いて、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃の温度で、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とし、5mV/秒の電位走査速度で分極することにより電流−電位曲線を測定した際の、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上の差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とする。〕
上記酸素還元開始電位が0.7V(vs.NHE)未満であると、前記電極触媒を燃料電池のカソード用の電極触媒として用いた際に過酸化水素が発生することがある。また酸素還元開始電位は0.85V(vs.NHE)以上であることが、好適に酸素を還元するために好ましい。また、酸素還元開始電位は高い程好ましく、特に上限は無いが、理論値の1.23V(vs.NHE)である。
【0094】
本発明の電極触媒を用いて形成された電極は酸性電解質中において可逆水素電極電位に対して0.4V(vs.NHE)以上の電位で使用されることが好ましく、電位の上限は、電極の安定性により決まり、酸素が発生する電位のおよそ1.23V(vs.NHE)まで使用可能である。
【0095】
この電位が0.4V(vs.NHE)未満の場合、電極触媒の安定性という観点では全く問題はないが、酸素を好適に還元することができず、燃料電池用電極としての有用性は乏しい。
【0096】
[電極触媒の製造方法]
本発明の電極触媒の製造方法は、下記工程(I)〜(III)のいずれかを含むことを特徴としている。
【0097】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理する工程(I)。
【0098】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを加水分解する工程(II)。
【0099】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを酸化熱分解する工程(III)。
【0100】
上記工程(I)〜(III)の詳細な説明については、それぞれ上述した電極触媒(I)〜(III)の詳細な説明と同様である。
また、上記工程(I)〜(III)により得られる金属酸化物材料を、さらに解砕し、より微細な粉末にすることが好ましい。より微細な粉末の金属酸化物材料からなる電極触媒は、電極触媒層中に好適に分散する傾向にある。
【0101】
金属酸化物材料を解砕する方法としては、例えば、ロール転動ミル、ボールミル、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、槽解機による方法等が挙げられ、金属酸化物材料をより微粒とすることができる点では、気流粉砕機による方法が好ましく、少量処理が容易となる点では、乳鉢による方法が好ましい。
【0102】
[電極触媒層]
本発明の電極触媒層は、前記電極触媒を含むことを特徴としている。
本発明の電極触媒層には、さらに電子伝導性粒子を含むことが好ましい。電極触媒を含む電極触媒層にさらに電子伝導性粒子を含むと還元電流を高めることができる。電子伝導性粒子は、電極触媒に、電気化学的反応を誘起させるための電気的接点を生じさせるため、還元電流を高めることができる。
【0103】
前記電子伝導性粒子は通常、電極触媒の担体として用いられる。
電子伝導性粒子としては、炭素、導電性高分子、導電性セラミクス、金属または酸化タングステンもしくは酸化イリジウムなどの導電性無機酸化物が挙げられ、それらを単独または組み合わせて用いることができる。特に、炭素は比表面積が大きいため、炭素単独または炭素とその他の電子伝導性粒子との混合物が好ましい。電極触媒と炭素とを含む電極触媒層は、還元電流をより高めることができる。
【0104】
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレンなどが使用できる。カーボンの粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下する傾向があるため、10〜1000nmの範囲であることが好ましく、10〜100nmの範囲であることがよりに好ましい。
【0105】
導電性高分子としては特に限定は無いが、例えばポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等が挙げられる。これらの中でも、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンが好ましく、ポリピロールがより好ましい。
【0106】
電子伝導性粒子が炭素の場合、前記電極触媒と炭素との重量比(電極触媒:電子伝導性粒子)は、好ましくは4:1〜1000:1である。
また、本発明の電極触媒層には通常、さらに電解質として高分子電解質または導電性高分子を含む。
【0107】
高分子電解質としては、電極触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、ナフィオン(デュポン社 5%ナフィオン溶液(DE521)など))、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸などの無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン(デュポン社 5%ナフィオン溶液(DE521))が好ましい。
【0108】
導電性高分子としては特に限定は無いが、例えばポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等が挙げられる。これらの中でも、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンが好ましく、ポリピロールがより好ましい。
【0109】
本発明の電極触媒層は、高い酸素還元能を有し、酸性電解質中において高電位であっても腐蝕しがたい電極触媒を含むため、燃料電池のカソードに設けられる電極触媒層(カソード用電極触媒層)として有用である。特に固体高分子型燃料電池が備える膜電極接合体のカソードに設けられる電極触媒層に好適に用いられる。
【0110】
前記電極触媒を、担体である前記電子伝導性粒子上に分散させる方法としては、気流分散、液中分散等の方法が挙げられる。液中分散は、溶媒中に電極触媒および電子伝導性粒子を分散したものを、電極触媒層形成工程に使用できるため好ましい。液中分散としては、オリフィス収縮流による方法、回転せん断流による方法または超音波による方法等があげられる。液中分散の際、使用される溶媒は、電極触媒や電子伝導性粒子を浸食することがなく、分散できるものであれば特に制限はないが、揮発性の液体有機溶媒または水等が一般に使用される。
【0111】
また、電極触媒を、前記電子伝導性粒子上に分散させる際、さらに上記電解質と分散剤とを同時に分散させてもよい。
電極触媒層の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、前記電極触媒と電子伝導性粒子と電解質とを含む懸濁液を、後述する電解質膜またはガス拡散層に塗布する方法が挙げられる。前記塗布する方法としては、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などが挙げられる。また、前記電極触媒と電子伝導性粒子と電解質とを含む懸濁液を、塗布法またはろ過法により基材に電極触媒層を形成した後、転写法で電解質膜に電極触媒層を形成する方法が挙げられる。
【0112】
[用途]
本発明の膜電極接合体は、カソードとアノードと前記カソードおよびアノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードが、前述の電極触媒層を有することを特徴としている。
【0113】
電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系を用いた電解質膜または炭化水素系電解質膜などが一般的に用いられるが、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
【0114】
前記カソードは通常電極触媒層とガス拡散層から形成されている。
ガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であっても構わないが、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素系多孔質材料や、軽量化のためにステンレス、耐食材を被服したアルミニウム箔が用いられる。
【0115】
また本発明の燃料電池は、上記膜電極接合体を備えることを特徴としている。
燃料電池の電極反応はいわゆる3相界面(電解質‐電極触媒‐反応ガス)で起こる。燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。中でも本発明の膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に使用することが好ましい。
【実施例】
【0116】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
(電極触媒の製造)
2−エチルヘキサン酸チタン(IV)(和光純薬製)5.0gと2−エチルヘキサン酸ニオブ(IV)(和光純薬製)0.1gをアルミナ製坩堝に入れ、電気炉(株式会社デンケン製 卓上マッフル炉 KDF P90)中で、窒素を50NL/分の流量で流しながら下記条件で酸化熱分解した。固形分0.71gを回収した。さらに、回収した固形分を乳鉢で充分に解砕を行い、電極触媒(1)を得た。
【0117】
昇温速度:20℃/分
酸化熱分解温度:600℃
酸化熱分解時間(保持時間):2時間
(燃料電池用電極の製造)
酸素還元能の測定は、次のように行った。上記酸化熱分解で得られた電極触媒(1)0.95gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.5gをイソプロピルアルコール:純水=2:1の重量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、縣濁して混合した。これをグラッシーカーボン電極(径:5.2mm)に30μl塗布し、50℃で2時間乾燥した。ナフィオン(登録商標)(デュポン社 5%ナフィオン溶液(DE521))10μlをさらに塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(1)を得た。
【0118】
(酸素還元能の評価)
このようにして作製した燃料電池用電極(1)の触媒能(酸素還元能)を以下の方法で評価した。
【0119】
まず、作製した燃料電池用電極(1)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
【0120】
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とし、両者の差を酸素還元電流とした。
【0121】
この酸素還元開始電位および酸素還元電流により作成した燃料電池用電極(1)の触媒能(酸素還元能)を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、また、酸素還元電流が大きいほど、燃料電池用電極(1)の触媒能(酸素還元能)が高いことを示す。
【0122】
図1に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例1で作製した燃料電池用電極(1)は、酸素還元開始電位が0.9V(vs.NHE)であり、高い酸素還元能を示すことがわかった。
【0123】
(X線回折)
理学電機株式会社製 ロータフレックスを用いて、得られた電極触媒(1)のX線回折を行った。図2に、電極触媒(1)のXRDスペクトルを示す。アナターゼ型の酸化チタン(ニオブが約2モル%含有)であることがわかった。
【0124】
(BET比表面積測定)
島津製作所株式会社製 マイクロメリティクス ジェミニ2360を用いて電極触媒(1)のBET比表面積を測定した。
【0125】
電極触媒(1)の比表面積は、8.3g/m2であった。
[実施例2]
(電極触媒の製造)
チタン(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬製)5.0gとニオブ(V)エトキシド(和光純薬製)0.05gをエタノール(和光純薬製)100mlに溶解した。撹拌しながら、この溶液にイオン交換水1.2mlを滴下した。その後、1時間撹拌を継続した。冷却後、この溶液を減圧ろ過し、固形分を得た。この固形分を100mlのイオン交換水で洗浄した後、減圧ろ過した。この洗浄、減圧ろ過の操作を5回繰り返し、固形分を得た。この固形分の全量をガラス製シャーレーに入れ、120℃で1時間乾燥し、固形分1.2gを得た。回収した固形分を乳鉢で充分に解砕を行った。
【0126】
得られた固形分1.0gをアルミナ製坩堝に入れ、電気炉(株式会社デンケン製 卓上マッフル炉 KDF P90)中で、空気を50NL/分の流量で流しながら下記条件で熱処理した。
【0127】
昇温速度:20℃/分
熱処理温度:600℃
熱処理時間(保持時間):2時間
熱処理後、自然冷却し、固形分1.0gを回収した。さらに、回収した固形分を乳鉢で充分に解砕を行い、電極触媒(2)を得た。
【0128】
(燃料電池用電極の製造)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(2)を用いた以外は実施例1と同様にして燃料電池用電極(2)を得た。
【0129】
(酸素還元能の評価)
燃料電池用電極(1)に替えて燃料電池用電極(2)を用いた以外は実施例1と同様にして酸素還元能の評価を行った。
【0130】
図3に、当該測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例2で作製した燃料電池用電極(2)は、酸素還元開始電位が1.0V(vs.NHE)であり、高い酸素還元能を示すことがわかった。
【0131】
(X線回折)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(2)を用いた以外は実施例1と同様にしてX線回折を行った。図4に、電極触媒(2)のXRDスペクトルを示す。アナターゼ型の酸化チタン(ニオブが約1モル%含有)であることがわかった。
【0132】
(BET比表面積測定)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(2)を用いた以外は実施例1と同様にしてBET比表面積を測定した。
【0133】
電極触媒(2)の比表面積は、6.4g/m2であった。
[実施例3]
(電極触媒の製造)
還流冷却管を具備した容器に、硫酸酸化チタン(和光純薬製)5.0gおよび純水125mlを入れ、撹拌した。さらに、該容器に五塩化ニオブ(和光純薬製)0.9gおよびエタノール(和光純薬製)0.9gを混合した溶液を滴下した。その後、沸点まで加熱し、5時間沸点を維持した。冷却後、この溶液を減圧ろ過し、固形分を得た。この固形分を100mlのイオン交換水で洗浄した後、減圧ろ過した。この洗浄、減圧ろ過の操作を5回繰り返し、固形分を得た。この固形分の全量をガラス製シャーレーに入れ、120℃で1時間乾燥し、固形分2.0gを得た。回収した固形分を乳鉢で充分に解砕を行った。
【0134】
得られた固形分1.8gをアルミナ製坩堝に入れ、電気炉(株式会社デンケン製 卓上マッフル炉 KDF P90)中で、空気を50NL/分の流量で流しながら下記条件で熱処理した。
【0135】
昇温速度:20℃/分
熱処理温度:1000℃
熱処理時間(保持時間):2時間
熱処理後、自然冷却し、固形分1.8gを回収した。さらに、回収した固形分を乳鉢で充分に解砕を行い、電極触媒(3)を得た。
【0136】
(燃料電池用電極の製造)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(3)を用いた以外は実施例1と同様にして燃料電池用電極(3)を得た。
【0137】
(酸素還元能の評価)
燃料電池用電極(1)に替えて燃料電池用電極(3)を用いた以外は実施例1と同様にして酸素還元能の評価を行った。
【0138】
図5に、当該測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例3で作製した燃料電池用電極(3)は、酸素還元開始電位が1.0V(vs.NHE)であり、高い酸素還元能を示すことがわかった。
【0139】
(X線回折)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(3)を用いた以外は実施例1と同様にしてX線回折を行った。図6に、電極触媒(3)のXRDスペクトルを示す。ルチル型の酸化チタン(ニオブが約10モル%含有)であることがわかった。電極触媒(3)のXRDパターンは、市販のルチル型の酸化チタン(添川理化学製)に比べて低角度側へシフトしていること、およびルチル型の酸化チタン以外のXRDパターンがみられないことから、約10モル%のニオブが酸化チタンに固溶していると考えられる。参考として図7に、市販のルチル型の酸化チタン(添川理化学製)のXRDスペクトルを示す。
【0140】
(BET比表面積測定)
電極触媒(1)に替えて電極触媒(3)を用いた以外は実施例1と同様にしてBET比表面積を測定した。
【0141】
電極触媒(3)の比表面積は、1.3g/m2であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも二種以上の遷移金属元素を含み、且つ白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする酸素還元触媒。
【請求項2】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(a)を含む金属化合物(A)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(b)を含む金属化合物(B)(ただし、遷移金属元素(a)と遷移金属元素(b)とは異なる)とを、
前記遷移金属元素(a)および/または前記遷移金属元素(b)の価数が大きくなるように、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする請求項1に記載の酸素還元触媒。
【請求項3】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(c)を含む、金属塩または金属錯体(C)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(d)を含む、金属塩または金属錯体(D)(ただし、遷移金属元素(c)と遷移金属元素(d)とは異なる)とを、
加水分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする請求項1に記載の酸素還元触媒。
【請求項4】
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(e)を含む金属有機化合物(E)と、
ニオブ、チタン、タンタルおよびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素(f)を含む金属有機化合物(F)(ただし、遷移金属元素(e)と遷移金属元素(f)とは異なる)とを、
酸化熱分解することにより得られる白金を含まない金属酸化物材料からなることを特徴とする請求項1に記載の酸素還元触媒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸素還元触媒を含むことを特徴とする電極触媒層。
【請求項6】
さらに電子伝導性粒子を含むことを特徴とする請求項5に記載の電極触媒層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46913(P2013−46913A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256196(P2012−256196)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2007−328807(P2007−328807)の分割
【原出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】