説明

電気かみそり

【課題】前後一対の内刃を備えた電気かみそりにおいて、前後一対の内刃の間に誤って指先を差し込んで負傷するのを確実に防止し、電気かみそりの安全性を向上する。
【解決手段】一対の内刃51・51の対向周面間に形成される中央空間Sに、内刃用の安全機構を配置する。安全機構は、前後一対の防護体53・53と、両防護体53・53に固定されるピニオン54・54と、ピニオン54・54回動操作する操作ラック55と、防護体53を起立付勢する作動ばね56などで構成する。両防護体53・53は、揺動軸52に連続する基部57と、基部57から所定間隔置きに突設されて内刃51の対向周面を遮蔽する複数個の防護片58とを備えている。待機位置における両防護体53・53の防護片58・58は、中央空間Sの前後中心を越えて、対向する基部57・57に近接する状態で互い違い状に突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かみそりヘッドにロータリー刃からなる前後一対の内刃を備えている電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
前後一対の内刃を備えている電気かみそりにおいて、モーターの回転動力を前後一対の内刃に対して互いに逆転する状態で伝動することは、特許文献1に開示してある。そこでは、第1内刃と第2内刃とを互いに隣接側面側へ向かって内向きに回転駆動することが開示してある。前後一対の内刃を内向きに回転駆動する電気かみそりは特許文献2にも開示されている。
【0003】
本発明の電気かみそりは、前後一対の内刃、および前後一対の外刃のそれぞれをカートリッジ化して、内刃および外刃の交換をカートリッジ単位で簡便に行えるようにするが、この種の電気かみそりは、本出願人が先に提案している特許文献3に公知である。
【0004】
【特許文献1】特開平5−317535号公報(段落番号0017、図7)
【特許文献2】実開昭48−95887号公報(第2頁下段、第3図)
【特許文献3】特開2004−248979号公報(段落番号0029〜0033、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータリー式の内刃を備えた電気かみそりにおいては、外刃ホルダーをかみそりヘッドから取り外した状態において、前後一対の内刃を完全に露出させることにより、内刃を構成する小刃や、プラスチック製の小刃軸の周面、あるいは内刃の周辺の壁面などに付着した毛屑の清掃を簡便に行える。しかし、内刃を露出させた状態においては、その周面に設けたスパイラル状の小刃の一群も同時に露出する。そのため、前後一対の内刃の間に誤って指先を差し込んだ場合に、指先を負傷するおそれがある。とくに、前後一対の内刃を、互いに隣接側面側へ向かって内向きに回転駆動してひげ切断を行う電気かみそりにおいては、前後一対の内刃の間に指先が差し込まれた状態において、指先の皮膚が小刃の切刃に接触するため負傷しやすい。
【0006】
特許文献3の電気かみそりにおいては、前後一対の内刃の間にセンター刃が配置してある。そのため、センター刃の配置スペースの分だけ内刃の隣接間隔が大きくならざるを得ず、先のように前後一対の内刃の間に誤って指先を差し込みやすい。
【0007】
本発明の目的は、前後一対の内刃を備えた電気かみそりにおいて、前後一対の内刃の間に誤って指先が差し込まれて負傷するのを確実に防止し、電気かみそりの安全性を向上することにある。本発明の目的は、内刃の隣接間隔が大きい場合にも、指先が内刃の間に入り込むのを積極的に阻止して、指先などの負傷を確実に防止できる、安全性に優れた電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気かみそりは、本体部1の上方に配置されるかみそりヘッド2に、前後一対の内刃51・51を備えた内刃ユニット16と、前後一対の外刃67・67を備えた外刃ユニット17とを、それぞれ着脱可能に設ける。前後一対の内刃51・51は、互いの対向周面へ向かって内向きに回転駆動できるよう構成する。一対の内刃51・51の対向周面間に形成される中央空間Sに、防護体53を含む内刃用の安全機構を配置する。以て、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外した状態において、中央空間Sに臨む内刃51・51の対向周面が防護体53で遮蔽されるように構成する。
【0009】
具体的には、一対の内刃51・51の間に形成される中央空間Sに、中央空間Sに臨む内刃51・51の対向周面を遮蔽する防護体53と、防護体53を移動付勢する作動ばね56を含む内刃用の安全機構を配置する。防護体53は、中央空間Sから退避する待機位置と、中央空間Sに進出して内刃51・51の対向周面を遮蔽する作動位置との間を往復移動できるように支持し、作動ばね56で作動位置へ向かって移動付勢する。以て、外刃ユニット17をかみそりヘッド2に装着した状態において、防護体53が作動ばね56の付勢力に抗して待機位置に位置保持され、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外した状態において、防護体53が作動ばね56の付勢力で作動位置へ進出移動できるようにする。
【0010】
内刃ユニット(16)は、前後一対の内刃51・51と、両内刃51・51を回転自在に軸支する内刃フレーム50とを含んで構成し、防護体53、および作動ばね56を、内刃フレーム50に組み付ける。
【0011】
安全機構が、内刃フレーム50に設けた左右一対の軸受壁50bで上下揺動自在に軸支される防護体53と、防護体53の揺動軸52に固定されるピニオン54と、前記側壁50bで上下スライド自在に案内支持されてピニオン54を回動操作する操作ラック55と、操作ラック55を介して防護体53を起立付勢する作動ばね56とを含む。外刃ユニット17に、作動ばね56の付勢力に抗して操作ラック55を押し下げ操作する連動片61を設ける。
【0012】
中央空間Sに前後一対の防護体53・53を対向配置し、両防護体53・53の揺動軸52・52のそれぞれにピニオン54・54を固定する。両防護体53・53は、揺動軸52に連続する基部57と、基部57から所定間隔置きに突設されて内刃51の対向周面を遮蔽する複数個の防護片58とを備えている。待機位置における両防護体53・53の防護片58・58は、中央空間Sの前後中心を越えて、対向する基部57・57に近接する状態で互い違い状に突設する。
【0013】
外刃ユニット17は、外刃ホルダー63と、外刃ホルダー63に対して着脱自在に装着される外刃カートリッジ64とで構成する。外刃カートリッジは64が、上下面が開口するカートリッジ枠65と、カートリッジ枠65の内面の前後中央に配置されるばね受枠66と、カートリッジ枠65とばね受枠66とで逆U字に保形支持される網刃からなる前後一対の外刃67・67とを含む。前後の外刃67・67の固定端は、それぞれカートリッジ枠65の前壁と後壁に固定されて、ばね受枠66に設けた外刃緊張構造で緊張付勢する。外刃緊張構造は、前後の外刃67・67の緊張端が固定される緊張ピース85と、緊張ピース85を上下動自在に支持するばね受枠66のガイド桟83と、緊張ピース85とばね受枠66との間に配置されて、緊張ピース85を押し下げ付勢する外刃ばね86とを含む。緊張ピース85は下向きに開口する断面コ字状に形成されて、ガイド桟83で上下動は自在に、しかし前後傾動は不能に案内支持する。
【0014】
ばね受枠66のガイド桟83の上方には、緊張ピース85および外刃ばね86をばね受枠66に組み付けるための空所82を前後貫通状に形成する。外刃ばね86は、前後いずれか一方の外刃67の緊張端と同時に緊張ピース85に固定される装着壁89と、緊張ピース85の上面に接当する上壁90と、上壁90に連続して張り出される複数のばね腕91と、装着壁89の左右側縁のそれぞれに張り出し形成した規制片92とを一体に備えている。規制片92は、前記空所82の左右周縁壁で受け止め支持する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、一対の内刃51・51の対向周面間に形成される中央空間Sに、防護体53を含む内刃用の安全機構を配置し、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外した状態において、内刃51・51の対向周面を防護体53で遮蔽して、中央空間Sに差し込まれた指先が内刃51・51の対向周面に接触するのを確実に防止できるようにした。したがって、本発明の電気かみそりによれば、前後一対の内刃51・51の間に誤って指先が差し込まれるのを防護体53で妨げ、あるいは前後一対の内刃51・51の間に差し込まれた指先が内刃51・51の対向周面に臨む小刃に触れるのを確実に防止できるので、前後一対の内刃51・51を備えた電気かみそりの安全性を向上することができる。
【0016】
電気かみそりを肌面に沿って一定方向へ一定速度で移動させながらひげ切断を行うとき、正転する内刃51は、外刃67の刃穴の移動方向下手側に位置する刃面で捕捉されたひげを切断(迎え切断)できるが、逆転する内刃51は、外刃67の刃穴の移動方向上手側に位置する刃面で受け止めたひげを切断(追いかけ切断)せざるをえず、ひげが内刃51で引っ張られやすい。しかし、前後一対の内刃51・51が、互いの対向周面へ向かって内向きに回転駆動できるよう構成してあると、逆転駆動される側の内刃51は、主として正転する内刃51で切断された短いひげを切断することになるので、切断前のひげが逆転する内刃51によって引っ張られるのを抑止でき、これにより引っ張り感を伴うこともなく快適にひげ切断を行うことができる。正転する内刃51で切断されたひげを、逆転する内刃51で逆向きに再度切断できるので、例えば、前後の内刃のそれぞれが正転駆動される場合に比べて、深ぞりできる。
【0017】
中央空間Sから退避する待機位置と、中央空間Sに進出して内刃51・51の対向周面を遮蔽する作動位置との間を往復移動できるように支持した防護体53と、防護体53を作動位置へ向かって移動付勢する作動ばね56などで安全機構を構成し、外刃ユニット17をかみそりヘッド2に装着した状態において防護体53が待機位置に位置保持され、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外した状態において、防護体53が作動ばね56の付勢力で作動位置へ進出移動できるようにしてあると、図1に示すように外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外し操作するのと同時に、防護体53を作動位置へ進出移動させて内刃51・51の対向周面を自動的に遮蔽できるので、使用者の認識の度合いとは無関係に確実に内刃51・51の対向周面を遮蔽して、電気かみそりの安全性をさらに向上できる。
【0018】
前後一対の内刃51・51を回転自在に軸支する内刃フレーム50に、防護体53および作動ばね56が組み付けてあると、内刃ユニット16をかみそりヘッド2から取り外した状態においても、内刃51・51の対向周面を防護体53で確実に遮蔽できるので、例えばかみそりヘッド2から取り外した内刃ユニット16の交換や清掃を行う場合に、指先が内刃51・51の対向周面に接触して負傷するのを防止し、安全性をさらに向上できる。
【0019】
図12に示すように、上下揺動自在に軸支される防護体53と、防護体53の揺動軸52に固定されるピニオン54と、上下スライド自在に案内支持されてピニオン54を回動操作する操作ラック55と、操作ラック55を介して防護体53を起立付勢する作動ばね56などで安全機構を構成し、外刃ユニット17に操作ラック55を押し下げ操作する連動片61が設けてあると、外刃ユニット17をかみそりヘッド2に装着するのに伴い、操作ラック55を連動片61で押し下げ操作して防護体53を待機姿勢に自動的に切り換え、かみそりヘッド2を使用可能な状態にできる。もちろん、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から取り外し操作するのに連動して、防護体53を作動姿勢に自動的に切り換えて、内刃51・51の対向周面を防護体53で確実に遮蔽できる。
【0020】
中央空間Sに前後一対の防護体53・53を対向配置し、図15に示すように待機位置における両防護体53・53の防護片58・58が、中央空間Sの前後中心を越えて、対向する基部57・57に近接する状態で互い違い状に突設してあると、対向する防護片58・58の基部57・57からの突出寸法を充分に確保することができるうえ、対向する防護片58・58によって前後一対の内刃51・51の対向周面を確実に遮蔽でき、両防護体53・53を中央空間S内にコンパクトに配置して、かみそりヘッド2の小形化を実現できる。
【0021】
両外刃67・67の緊張端に固定される緊張ピース85と、緊張ピース85を上下動自在に支持するガイド桟83と、緊張ピース85を押し下げ付勢する外刃ばね86などで外刃緊張構造を構成し、下向きに開口する断面コ字状に形成した緊張ピース85を、ガイド桟83で上下動は自在に、しかし前後傾動は不能に案内支持すると、一方の外刃67が内刃51で押し上げられ、あるいは一方の外刃67が外刃ばね86で押し下げられるような場合でも、緊張ピース85が前後に係動するのを確実に防止して、前後の外刃67・67を対応する内刃51・51に常に密着させてひげ切断を適正に行える。
【0022】
緊張ピース85に固定される装着壁89と、緊張ピース85の上面に接当する上壁90と、上壁90に連続して張り出される複数のばね腕91と、装着壁89の左右側縁のそれぞれに張り出し形成した規制片92などで外刃ばね86を構成し、緊張ピース85および外刃ばね86をばね受枠66の空所82に組み付けた状態において、規制片92が空所82の左右周縁壁で受け止め支持してあると、ガイド桟83と規制片92との協同作用によって緊張ピース85の前後傾動を規制できるうえ、上下変異する緊張ピース85が後傾しようとするのを規制片92で確実に規制して、ひげ切断をさらに確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例1) 図1ないし図15は本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図2および図3において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、本体部1の上方に配置されるかみそりヘッド2とを備えている。本体部1は、2次電池3および制御基板4などを収容する内ケース5と、内ケース5を前後面から覆う前後カバー6・7と、前カバー6の上下に組み付けられる表示パネル8、およびスイッチパネル9などで構成してある。
【0024】
図4に示すように内ケース5は、前後に分割形成される前内ケース5aと、後内ケース5bとで構成してあり、両ケース5a・5bをパッキン5cを介して接合しビスで締結することにより、内ケース5の内部を水密状に封止できる。前カバー6は前内ケース5aに係合装着される。後カバー7は、前内ケース5aに係合装着されるカバー本体7aと、カバー本体7aの下半部の開口を覆うグリップカバー7bとからなる。カバー本体7aの上部背面には、きわ剃刃ユニット10が組み込まれる。きわ剃刃ユニット10は、それぞれ鋸刃状の切刃を備えた固定刃、および可動刃を備えており、可動刃に後述する受動片44が一体的に設けてある。
【0025】
表示パネル8は、半透明のハーフミラーで形成してあって、電気かみそりの使用時にはモーター19の稼動状態や運転モードなどを表示でき、モーター19を停止した状態では、ひげそり結果を確認するための鏡として使用することができる。スイッチパネル9には、モーター19を起動あるいは停止させるための押しボタン型のスイッチボタン12と、モーター19の運転モードを切り換える押しボタン型のスイッチボタン13とが設けてある。
【0026】
図5ないし図7においてかみそりヘッド2は、基本構造体となる動力モジュールMと、動力モジュールMに対して後述するヘッド内枠29を介して装着固定されるヘッドケース15と、ヘッドケース15に対して着脱可能に装着される内刃ユニット16、および外刃ユニット17などで構成してある。かみそりヘッド2は後述するフロート機構を介して本体部1に取り付けてあり、かみそりヘッド2の全体が前後、左右、上下、および斜め方向の全方位方向へ首振りできる状態で支持されている。
【0027】
図8に示すように動力モジュールMは、横置き配置されるモーター19と、モーター動力を前後一対の内刃51に伝動する第1伝動機構G1と、モーター動力をセンター刃68およびきわ剃刃ユニット10に伝動する第2伝動機構G2と、モーター19、および両動力伝動系の構成部品を組み込むためのケースやカバー群で構成する。ケースおよびカバー群は、モーター19を収容するモーターケース20、およびモーターカバー21と、第1伝動機構G1の減速機構22を収容する減速ケース23と、モーターケース20の上面に固定されるギヤシャーシ24、およびギヤカバー25などからなる。
【0028】
モーターケース20と減速ケース23は、それぞれアルミニウムを素材とするダイキャスト成形品からなり、モーターケース20の外側端と、減速ケース23の外側端のそれぞれに、左右に対向する側枠27・28が上向きに突設してある。モーターカバー21、ギヤシャーシ24、およびギヤカバー25はいずれもプラスチック成形品からなる。
【0029】
モーター19をモーターケース20に収容したうえで、パッキンを介してモーターカバー21をモーターケース20に組み、さらに遊星歯車機構と減速ケース23をモーターカバー21の外側面に組み、これら三者20・21・23と、モーターケース20の外面に装着したギヤシャーシ24とを、減速ケース23の側からねじ込んだ3個のビスで共締め固定することにより、4個の部材20・21・23・24を一体化している。
【0030】
図5において、モーターケース20の側枠27と、減速ケース23の側枠28との間には四角枠状のヘッド内枠29が配置され、各側枠27・28の外側方からねじ込まれるビスで固定してある。ヘッド内枠29の四隅部分には、両側枠27・28を前後に挟む状態のねじボスが設けてあり、これらのねじボスにヘッドケース15がビス30で締結固定される。
【0031】
図8において第1伝動機構G1は、モーター19の回転動力は遊星歯車機構からなる減速機構22と、減速機構22で減速した減速動力を終段ギヤ31に伝動する、タイミングベルトを含む巻掛伝動機構32と、内刃ユニット16に組み付けられる内刃ギヤ33、および逆転ギヤ34などで構成する。第1伝動機構G1を経て伝動された回転動力によって、前後一対の内刃51は、互いの対向周面へ向かって内向きに回転駆動される。減速機構22は、モーターカバー21と減速ケース23との間の空間に収容してあり、減速動力を出力する減速軸35に、巻掛伝動機構32の原動ギヤが固定してある。巻掛伝動機構32の従動ギヤは先の終段ギヤ31が固定される終段ギヤ軸に固定してある。
【0032】
第2伝動機構G2は、モーターカバー21の外側面と、モーターカバー21およびギヤシャーシ24の上面に沿って配置されて、モーター動力を伝動する一群のギヤ群と、終段ギヤ37の上面に一体に設けられる偏心カム38、および偏心ピン39と、偏心カム38に係合する振動アーム40と、偏心ピン39に係合する振動子41などで構成する。偏心カム38と振動アーム40とによって変換された往復動力で、きわ剃刃ユニット10の可動刃を往復駆動する。同様に、偏心ピン39と振動子41とで変換された往復動力で、センター刃68の可動刃を往復駆動する。
【0033】
図9に示すように、かみそりヘッド2の背面から露出する振動アーム40の出力端には駆動溝42が設けてあり、本体部1の背面に設けたきわ剃レバー43を押し上げ操作して、きわ剃刃ユニット10を使用姿勢に切り換えることにより、きわ剃刃ユニット10の受動片44が駆動溝42に係合して可動刃を往復駆動できる。これによりきわ剃刃ユニット10で長毛やくせ毛を切断できる。振動子41は、モーター19の回転に同期して常に往復駆動されており、その上部中央に設けた駆動軸45がヘッドケース15の上面に突出してセンター刃68の可動刃と係合する。駆動軸45とヘッドケース15の開口との間はパッキン46でシールしてある。
【0034】
内刃ユニット16は、左右に長いベース壁50aの両側に一対の軸受壁50bを一体に起立形成した内刃フレーム50と、内刃フレーム50の軸受壁50bの上部に配置される前後一対の内刃51・51と、両内刃51の対向周面間の中央空間Sに配置される指詰防止用の安全機構などで構成する。図11に向かって左方の軸受壁50bには、各内刃51と同行回転する内刃ギヤ33・33と、片方の内刃ギヤ33に噛み合う逆転ギヤ34とが回転自在に軸支してある。摩耗した内刃51は内刃フレーム50ごと交換するが、このとき同時に両内刃ギヤ33と逆転ギヤ34、および安全機構も同時に交換される。
【0035】
内刃51は、円柱状の樹脂基台にスパイラル状の12枚の小刃を埋め込んで構成してあり、スパイラル状の小刃の傾きによってその切刃が内刃51の中心軸に対して斜めに傾く。つまり各小刃の切刃にはリード角が形成されるので、引き切りが可能となりシャープな切れ味を発揮できる。内刃51は横軸回りに回転駆動されて、網刃状の外刃67と協同して短毛を切断する。
【0036】
内刃ユニット16をヘッドケース15に装着した状態においては、一方の内刃ギヤ33と逆転ギヤ34とが終段ギヤ31と同時に噛み合う。したがって、図6に示すように終段ギヤ31が矢印方向へ回転するとき、両内刃51・51は互いに逆向きに回転駆動され、両内刃51・51の隣接側面へ向かって内向きに回転する。
【0037】
図1および図11において安全機構は、内刃フレーム50の両軸受壁50bで上下揺動自在に軸支される前後一対の防護体53・53と、各防護体53の側端の揺動軸52に固定されるピニオン54と、両ピニオン54を同時に回動操作する板状の操作ラック55と、操作ラック55を押し上げ付勢する作動ばね56などで構成する。
【0038】
図11に示すように防護体53は、揺動軸52に連続する棒状の基部57と、基部57から所定間隔置きに突設されて内刃51の対向周面を遮蔽する多数個の防護片58とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。防護体53は、その基部57が中央空間Sの下部外方に臨む状態で配置されて、図15に示すように防護片58が横臥して中央空間Sから退避する待機位置と、図1に示すように防護片58が中央空間Sに進出起立して内刃51・51の対向周面を遮蔽する作動位置との間を往復揺動できる。
【0039】
上記のように、待機位置において防護片58を中央空間Sから退避させるのは、外刃ユニット17をヘッドケース15に装着した状態において、防護体53が中央空間Sに収容される外刃緊張構造やセンター刃68と接当干渉するのを避けるためである。このように基部57を中央空間Sの下部外方に位置させたうえで、内刃51・51の対向周面を起立する防護片58で確実に遮蔽するには、防護片58の基部57からの突出寸法(起立寸法)を大きくする必要がある。しかも、前後一対の防護体53のそれぞれにおいて、防護片58の突出寸法を大きくする必要がある。
【0040】
上記のような相反する条件を全て満足するために、前後の防護片58・58を互い違い状に突設し、各防護片58・58を、その突端が中央空間Sの前後中心を越えて対向する基部57・57に近接するように形成した。これにより、防護体53が作動姿勢に切り換わった状態において、内刃51・51の対向周面を起立する防護片58で確実に遮蔽することができる(図1参照)。なお、駆動軸45の往復範囲に臨む部分の防護片58は省略してある。
【0041】
操作ラック55の板面の内外には、ばね受爪59とスライド片60とが突設してあり、ばね受爪59を軸受壁50bに形成したガイド溝62で、スライド片60をカバー120に形成したガイド溝121でそれぞれ案内することにより、操作ラック55を上下スライド自在に支持できる(図12参照)。カバー120は、軸受壁50bの外側面に締結固定してある。作動ばね56は圧縮コイル形のばねで形成してあり、ガイド溝62の下端とばね受爪59との間に配置されて、操作ラック55を防護片58が起立する向きに押し上げ付勢する。作動ばね56の付勢力に逆らって操作ラック55を押し下げ操作するために、後述するカートリッジ枠65に連動片61が設けてある(図12参照)。
【0042】
図7および図12に示すように、外刃ユニット17をかみそりヘッド2から分離した状態においては、ばね受爪59がガイド溝62の上端で受け止められて、操作ラック55の上端55aが軸受壁50bの周縁壁に開口した操作開口50cに臨んでいる。つまり、防護体53が作動姿勢に切り換わった状態においても、操作ラック55の上端55aは軸受壁50bの外郭線内に位置保持される。そのため、外刃ユニット17を分離した状態において、操作ラック55が誤って押し下げ操作され、防護体53が待機姿勢に切り換わるのを確実に防止でき、内刃ユニット16の清掃や交換などを安全に行える。先の連動片61は、操作開口50c内に進入して操作ラック55を押し下げ操作する。
【0043】
図13および図14において、外刃ユニット17は、上下面が開口する外刃ホルダー63と、外刃ホルダー63に着脱可能に装着される外刃カートリッジ64とからなる。外刃カートリッジ64は、上下面が開口するカートリッジ枠65と、カートリッジ枠65の内面の前後中央に配置されるばね受枠66と、カートリッジ枠65とばね受枠66とで逆U字状に保形支持される網刃からなる前後一対の外刃67・67と、両外刃67・67の間に装着されるセンター刃68などで構成する。
【0044】
カートリッジ枠65の左右側壁には、前後一対の弾性係合爪70が一体に形成してあり、これらの係合爪70が、外刃ホルダー63の側壁内面に設けた係合凹部71に落ち込み係合することにより、外刃カートリッジ64を外刃ホルダー63に装着固定できる。外刃ホルダー63の両側壁には、弾性係合爪70の係合を解除操作するロックボタン72が設けてある。このロックボタン72を押し込み操作すると、外刃カートリッジ64を外刃ホルダー63から取り外すことができる。
【0045】
カートリッジ枠65の左右側壁の内面には、断面が逆L字状の装着腕74が一体に形成してあり、その対向壁面の上部にセンター刃68が装着され、下部にばね受枠66が係合固定してある。図14に示すように、一方の装着腕74に先に説明した連動片61が下向きに突設してある。センター刃68は、それぞれスリット刃を備えた固定刃75、可動刃76と、固定刃75の両端内面に固定される取付片77と、可動刃76の内面中央に固定される連結片78と、連結片78に固定されて可動刃76を密着付勢する板ばね79などで構成してある。先に説明した駆動軸45の往復動力は、連結片78を介して可動刃76に伝動される。
【0046】
図13に示すようにばね受枠66は、左右横長の断面四角形状のプラスチックブロックからなり、その左右中央に連結片78用の逃げ穴81が上下貫通状に形成され、逃げ穴81の左右両側に前後貫通状の空所82が形成され、空所82の下部に前後幅の小さなガイド桟83が形成してある。
【0047】
前後一対の外刃67は、それぞれの固定端がカートリッジ枠65の前壁内面、および後壁内面に、それぞれ装着板84を介して溶着固定される。さらに、カートリッジ枠65の前後中央で隣接する緊張端が、ばね受枠66に設けた外刃緊張構造によって緊張付勢され、これにより両外刃67を内刃51に常に密着させることができる。
【0048】
外刃緊張構造は、前後の外刃67の緊張端が固定される緊張ピース85と、空所82に収容した緊張ピース85を上下動自在に支持するばね受枠66のガイド桟83と、緊張ピース85と空所82の上壁(ばね受枠66)との間に配置されて、緊張ピース85を押し下げ付勢する外刃ばね86などで構成する。緊張ピース85は、下向きに開口する断面コ字状のプラスチック成形品からなり、断面が四角形状のガイド桟83で上下動は自在に、しかし前後傾動は不能に案内支持される。緊張ピース85の前後壁には、それぞれ左右一対の溶着ピンが突設してあり、これらの溶着ピンで外刃67の緊張端と外刃ばね86とが溶着固定されて、緊張ピース85と一体化してある。
【0049】
外刃ばね86は、緊張ピース85の前面に沿う平板状の装着壁89と、緊張ピース85の上面で受け止められる上壁90と、上壁90に連続して斜め上方向へ張り出される左右のばね腕91と、装着壁89の左右側縁の上端に張り出し形成した規制片92とを一体に備えた、ステンレス製の板ばねからなる。先に説明したように装着壁89を外刃67の緊張端と共に溶着固定することにより、外刃ばね86が緊張ピース85と一体化される。緊張ピース85および外刃ばね86をばね受枠66に組み込んだ状態においては、緊張ピース85がガイド桟83でスライド案内され、さらに外刃ばね86の規制片92が空所82の左右周縁壁で受け止め支持されるので、緊張ピース85は上下スライドのみ可能に支持される。
【0050】
ヘッドケース15の上面に装着した外刃ユニット17を分離不能にロック保持するために、ヘッドケース15と外刃ホルダー63との内面左右にロック体116を設け、ロック体116をばね117で外刃ホルダー63と係合する向きにロック付勢している(図7参照)。ロック体116をばね117に抗して押し込み操作すると、外刃ホルダー63の内面の係合凹部118とロック体116の係合爪との係合が解除されるので、外刃ユニット17をヘッドケース15から取り外すことができる。図15に示すように外刃ユニット17をヘッドケース15に装着した状態では、前後の外刃67・67を保形するばね受枠66が防護片58を受け止めて、防護体53を作動ばね56の付勢力に逆らって水平姿勢に位置保持している。
【0051】
ヘッドケース15の上面に嵌合装着した内刃ユニット16を分離不能にロック保持するために、ヘッド内枠29に四角形のロック枠95を組み込み、ばね96でロック付勢している。図5に示すようにロック枠95の前後枠の左右には、ヘッドケース15の上面に突出する4個のロック爪97が設けてあり、これらの爪97が内刃フレーム50の下面に設けた係合片98(図1および図6参照)と係合して、内刃ユニット16をロック保持している。
【0052】
ロック枠95は、モーターケース20側の側枠27の外側面に設けた解除ノブ99でロック解除操作できる。解除ノブ99を押し下げ操作して、ロック枠95の下面前後に設けた受動脚片100をばね96の付勢力に抗して横移動させると、ロック爪97と係合片98との係合を解除して、内刃フレーム50をヘッドケース15から取り外すことができる。解除ノブ99の操作突起のスライド範囲を除く外面は、側枠27に締結固定したカバー101で覆ってある。図9において符号102は、ヘッドケース15に係合装着されて動力モジュールMの下半周面を前後から覆う、断面が部分円弧状のカバーである。
【0053】
内刃51が回転駆動されているとき、その回転を阻止する向きの過剰な外部負荷が内刃51に作用し、あるいは防護片58を作動姿勢に押し広げるような過剰な外力が作用すると、終段ギヤ31の回転モーメントによって内刃ユニット16の全体が上向きに浮離れようとする。この浮離れる向きの力がロック爪97と係合片98の係合力より大きくなると、ロック爪97と係合片98との係合状態が解除され、同時に、内刃ギヤ33および逆転ギヤ34と終段ギヤ31との噛合い状態が解除される。その結果、内刃51への動力伝動が停止されるので、例えば衣服の一部が内刃51に巻き込まれるような場合でも、使用者が負傷するのを確実に防止し、安全性を向上できる。
【0054】
図9および図10においてかみそりヘッド2を支持するフロート機構は、内ケース5の上端に固定されるフロートベース104と、フロートベース104と動力モジュールMとの間に配置される左右一対の圧縮コイル形のばね105・105などからなる。フロートベース104は、中央の連結座106と、連結座106から段落ち状に折り曲げられる左右一対のばね受アーム107と、連結座106から段落状に折り曲げられる前後一対の装着アーム108とを一体に備えたプレス成形品からなる。
【0055】
図10に示すように、連結座106の中央部分に下面側から挿通した連結ボス110を、モーターケース20の下面中央に設けたねじボス111に外嵌装着し、これら両者110・111を連結ボス110の側からねじボス111にねじ込まれるビス112で締結することにより、フロートベース104をかみそりヘッド2と一体化できる。ばね105は、左右のばね受アーム107と、動力モジュールMとの間に介装されて圧縮変形されている。前側の装着アーム108を内ケース5に設けた係合凹部113に差し込み係合し、後側の装着アーム108の前後二箇所をビス114で内ケース5に締結することにより、かみそりヘッド2が本体部1と一体化されて、かみそりヘッド2の全体が前後、左右、上下、および斜め方向の全方位方向へ首振りできる。
【0056】
上記構成の電気かみそりは、従来の電気かみそりに比べて内刃51をより高速度で回転駆動して、従来の電気かみそりに比べてひげ切断をより迅速に行え、しかもひげそり時にひげが引っ張られる感じ(引っ張り感)を抑止して、より快適にひげをそり落とすことができる。従来の電気かみそりでは、モーターの駆動回転数が3000rpmであるとき、内刃の周速度を1.0〜1.27m/秒としていたが、上記実施例の電気かみそりではモーター19の駆動回転数を4300rpmに増速して、内刃51の周速度を1.46m/秒にまで高速化した。なお、内刃51の周速度は、内刃51の直径寸法を従来の内刃の直径寸法と同じ6.5mmとした場合の比較値である。
【0057】
上記のように、内刃51の周速度を高速化すると、内刃51のスパイラル切刃とひげとの接触機会が増えるので、ひげ切断を効果的に行える。さらに正転方向に回転する内刃51でひげ切断を行ったのち、逆転する内刃51が、正転する内刃51で切断されたひげを再捕捉するまでの時間を短くできるのでひげを深ぞりできる。
【0058】
上記の実施例では、内刃51の中央空間Sに前後一対の防護体53を設けたが、その必要はなく、防護体53は前後いずれかに1個あればよい。待機位置から上方移動する1個の防護体53で中央空間Sを塞ぎ、内刃51・51の対向周面を同時に遮蔽することもできる。さらに、図16に示すように、防護片58を断面逆L字状に形成しておき、その縦壁58aと、横壁58bとで内刃51・51の対向周面を同時に遮蔽することができる。
【0059】
前後一対の防護体53はピニオン−ラック機構を介して連動する必要はなく、前後の揺動軸52に設けたレバーを連動片61で押し下げ操作して、前後の防護体53の姿勢を待機位置へ変位操作することができる。防護片58はT字状や逆L字状に形成することができる。
【0060】
上記の実施例におけるきわ剃刃ユニット10やセンター刃68は省略することができる。前段伝動機構における減速動力は、巻掛伝動機構で終段ギヤに伝動することが好ましいが、必要があればギヤ群で伝動することができる。モーター19は縦長姿勢で配置することができる。モーターケースは容器状に構成する必要はなく枠状に構成することができる。減速機構は遊星歯車機構である必要はなく、一群のギヤで順に減速を行うギヤ減速機構であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】外刃ユニットを分離した状態のかみそりヘッドの縦断側面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】電気かみそりの側面図である。
【図4】本体部の構造を示す分解斜視図である。
【図5】かみそりヘッドの分解斜視図である。
【図6】一部構造を破断した外刃および内刃の分解側面図である。
【図7】一部構造を破断したかみそりヘッドの分解正面面図である。
【図8】動力伝動構造を展開した状態で示す説明図である。
【図9】かみそりヘッドの縦断側面図である。
【図10】かみそりヘッドの縦断正面図である。
【図11】内刃ユニットの分解斜視図である。
【図12】防護体の連動構造を示す縦断側面図である。
【図13】外刃ユニットの分解斜視図である。
【図14】外刃カートリッジの縦断正面図である。
【図15】外刃ユニットを装着した状態のかみそりヘッドの縦断側面図である。
【図16】防護片の別の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 本体部
2 かみそりヘッド
16 ヘッドケース
17 内刃ユニット
18 外刃ユニット
50 内刃フレーム
51 内刃
53 防護体
54 ピニオン
55 操作ラック
58 防護片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部(1)の上方に配置されるかみそりヘッド(2)に、前後一対の内刃(51)・(51)を備えた内刃ユニット(16)と、前後一対の外刃(67)・(67)を備えた外刃ユニット(17)とが、それぞれ着脱可能に設けられており、前後一対の内刃(51)・(51)は、互いの対向周面へ向かって内向きに回転駆動できるよう構成されており、
一対の内刃(51)・(51)の対向周面間に形成される中央空間(S)に、防護体(53)を含む内刃用の安全機構が配置されており、
外刃ユニット(17)をかみそりヘッド(2)から取り外した状態において、中央空間(S)に臨む内刃(51)・(51)の対向周面が防護体(53)で遮蔽される電気かみそり。
【請求項2】
一対の内刃(51)・(51)の間に形成される中央空間(S)に、中央空間(S)に臨む内刃(51)・(51)の対向周面を遮蔽する防護体(53)と、防護体(53)を移動付勢する作動ばね(56)を含む内刃用の安全機構が配置されており、
防護体(53)は、中央空間(S)から退避する待機位置と、中央空間(S)に進出して内刃(51)・(51)の対向周面を遮蔽する作動位置との間を往復移動できるように支持されて、作動ばね(56)で作動位置へ向かって移動付勢されており、
外刃ユニット(17)をかみそりヘッド(2)に装着した状態において、防護体(53)が作動ばね(56)の付勢力に抗して待機位置に位置保持され、外刃ユニット(17)をかみそりヘッド(2)から取り外した状態において、防護体(53)が作動ばね(56)の付勢力で作動位置へ進出移動できる請求項1記載の電気かみそり。
【請求項3】
内刃ユニット(16)が、前後一対の内刃(51)・(51)と、両内刃(51)・(51)を回転自在に軸支する内刃フレーム(50)とを含んで構成されており、
防護体(53)、および作動ばね(56)が内刃フレーム(50)に組み付けてある請求項2記載の電気かみそり。
【請求項4】
安全機構が、内刃フレーム(50)に設けた左右一対の軸受壁(50b)で上下揺動自在に軸支される防護体(53)と、防護体(53)の揺動軸(52)に固定されるピニオン(54)と、前記側壁(50b)で上下スライド自在に案内支持されてピニオン(54)を回動操作する操作ラック(55)と、操作ラック(55)を介して防護体(53)を起立付勢する作動ばね(56)とを含み、
外刃ユニット(17)に、作動ばね(56)の付勢力に抗して操作ラック(55)を押し下げ操作する連動片(61)が設けてある請求項2または3記載の電気かみそり。
【請求項5】
中央空間(S)に前後一対の防護体(53)・(53)が対向配置されて、両防護体(53)・(53)の揺動軸(52)・(52)のそれぞれにピニオン(54)・(54)が固定されており、
両防護体(53)・(53)は、揺動軸(52)に連続する基部(57)と、基部(57)から所定間隔置きに突設されて内刃(51)の対向周面を遮蔽する複数個の防護片(58)とを備えており、
待機位置における両防護体(53)・(53)の防護片(58)・(58)が、中央空間(S)の前後中心を越えて、対向する基部(57)・(57)に近接する状態で互い違い状に突設してある請求項4記載の電気かみそり。
【請求項6】
外刃ユニット(17)が、外刃ホルダー(63)と、外刃ホルダー(63)に対して着脱自在に装着される外刃カートリッジ(64)とで構成されており、
外刃カートリッジ(64)が、上下面が開口するカートリッジ枠(65)と、カートリッジ枠(65)の内面の前後中央に配置されるばね受枠(66)と、カートリッジ枠(65)とばね受枠(66)とで逆U字に保形支持される網刃からなる前後一対の外刃(67)・(67)とを含み、前後の外刃(67)・(67)の固定端が、それぞれカートリッジ枠(65)の前壁と後壁に固定されて、ばね受枠(66)に設けた外刃緊張構造で緊張付勢されており、
外刃緊張構造が、前後の外刃(67)・(67)の緊張端が固定される緊張ピース(85)と、緊張ピース(85)を上下動自在に支持するばね受枠(66)のガイド桟(83)と、緊張ピース(85)とばね受枠(66)との間に配置されて、緊張ピース(85)を押し下げ付勢する外刃ばね(86)とを含み、
緊張ピース(85)が下向きに開口する断面コ字状に形成されて、ガイド桟(83)で上下動は自在に、しかし前後傾動は不能に案内支持してある請求項1から5のいずれかに記載の電気かみそり。
【請求項7】
ばね受枠(66)のガイド桟(83)の上方には、緊張ピース(85)および外刃ばね(86)をばね受枠(66)に組み付けるための空所(82)が前後貫通状に形成されており、
外刃ばね(86)が、前後いずれか一方の外刃(67)の緊張端と同時に緊張ピース(85)に固定される装着壁(89)と、緊張ピース(85)の上面に接当する上壁(90)と、上壁(90)に連続して張り出される複数のばね腕(91)と、装着壁(89)の左右側縁のそれぞれに張り出し形成した規制片(92)とを一体に備えており、
規制片(92)が、前記空所(82)の左右周縁壁で受け止め支持してある請求項6記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−61499(P2007−61499A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253931(P2005−253931)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】