説明

電気ドリル用安全装置

【課題】電気ドリルのドリルが充電部に接触した際の電子部品の破壊を防止して回路を保護することができ、また、電源電圧の変動の影響を受けることなく、電気ドリルのドリルが接地されたことを確実に検知して作動する電気ドリル用安全装置を提供する。
【解決手段】直流安定化電源6を電源とするオペアンプIC1の比較回路7によって電気ドリル4のドリル4aと接地G間の電圧と基準電位とを比較し、電気ドリル4のドリル4aが電気、ガス、水道等の配管に接触して接地されたことを検知し、ドリル4aと接地G間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路10をオンしてブザー11を鳴動させるとともに、電気ドリル4aの電源が接続された漏電遮断器5を遮断動作させる。また、ドリル4aが電線を傷つける等して充電部17に接触した場合に電子回路に過電圧がかからないようにして保護し、ブザー11を鳴動させるとともに漏電遮断器5を遮断動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ドリルで建造物に穴を開ける際に建造物に設けられた電気、ガス、水道等の配管にドリルが当たると電気ドリルの電源を遮断して警報を発する電気ドリル用安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気ドリル用安全装置は電気ドリルのドリルと接地間の接地電流をフォトサイリスタにより検知し、電気ドリルで建造物に穴を開ける際に建造物に設けられた電気、ガス、水道等の配管にドリルが接触すると接地電流がフォトサイリスタに流れてオンすることでブザーが鳴動するとともに、電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器が遮断動作することで電気ドリルの運転を停止して配管の損壊を防止するようになっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】実開昭59−183709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電気ドリル用安全装置は、電気ドリルで建造物に穴を開ける際に誤って電線を傷つけるなどしてドリルが充電部に接触した場合は安全装置の回路を構成する電子部品が破壊され、安全装置が機能しなくなるという問題があった。また、電気ドリルのドリルと接地間には降圧トランスにより電源電圧の100Vから3.3V程度に降圧した電圧が印加されるようになっているが、電源電圧が変動するとドリルと接地間に印加される電圧も変動してフォトサイリスタがオンしないことがあり、安全装置が働かないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載の発明によれば、電気ドリルのドリルと接地間の電圧を検知し、ドリルと接地間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路をオンしてブザーを鳴動させるとともに、電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器を遮断動作させる電気ドリル用安全装置であって、ドリルが充電部に接触した場合に電子回路を保護し、ブザーを鳴動させるとともに漏電遮断器を遮断動作させることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、電気ドリルのドリルと接地間の電圧を検知し、ドリルと接地間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路をオンしてブザーを鳴動させるとともに、電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器を遮断動作させる電気ドリル用安全装置であって、直流安定化電源を電源とするオペアンプの比較回路によって電気ドリルのドリルと接地間の電圧と基準電位とを比較し、ドリルの接地状態を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、電気ドリルのドリルが充電部に接触した際の電子部品の破壊を防止して回路を保護することができるという効果がある。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、電源電圧の変動の影響を受けることなく、電気ドリルのドリルが接地されたことを確実に検知して安全装置が作動するという効果がある。
という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
電気ドリル用安全装置は、直流安定化電源を電源とするオペアンプの比較回路によって電気ドリルのドリルと接地間の電圧と基準電位とを比較し、電気ドリルのドリルが電気、ガス、水道等の配管に接触して接地されたことを検知し、ドリルと接地間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路をオンしてブザーを鳴動させるとともに、電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器を遮断動作させる。また、ドリルが電線を傷つける等して充電部に接触した場合に電子回路に過電圧がかからないようにして保護し、ブザーを鳴動させるとともに漏電遮断器を遮断動作させる。
【実施例1】
【0010】
本発明に係る電気ドリル用安全装置の実施例1を図1の添付図面に基づいて説明する。
【0011】
電気ドリル用安全装置1は商用電源2に接続された電源線3と、一次側を電源線3に接続し、二次側に電気ドリル4が接続されて電源を供給する漏電遮断器5と、電源線3に接続されて安定した直流電源を各回路に供給する直流安定化電源6と、電気ドリル4のドリル4aと接地G間の電圧を検知し、電気ドリル4のドリル4aと接地G間の電圧と基準電位とを比較する比較回路7と、比較回路7の出力を平均化して出力する平均値回路8と、平均値回路8の出力によりスイッチング回路10に信号を出力するトリガ回路9と、トリガ回路9の出力によりオンするスイッチング回路10と、スイッチング回路10のオンにより鳴動するブザー11と、電気ドリル4のドリル4aが充電部17に接触した際にトリガ回路9に信号を出力する充電部接触検知保護回路12と、運転切換スイッチ13とを備えて成っている。
【0012】
このように構成された電気ドリル用安全装置1は、漏電遮断器5の二次側に電気ドリル4の電源を接続して漏電遮断器5のスイッチをオンすることで電気ドリル4に電源が供給される。そして、電気ドリル4のドリル4aと電気的に接続した信号線14を電気ドリル用安全装置1の接続端子Eに接続し、接続端子Fを接地Gに接続し、運転切換スイッチ13をAの位置にすると電源がオンして使用することができる。
【0013】
電源がオンした電気ドリル用安全装置1は、トランジスタTR1とツェナーダイオードZD1とで構成される直流安定化電源6で一定の電圧にして比較回路7に電源を供給し、比較回路7では抵抗R1と抵抗R2の分圧電圧を基準電位としてオペアンプIC1のマイナス端子に入力し、電気ドリル4のドリル4aと接地G間の抵抗及び抵抗R3及び抵抗R4と抵抗R5とで分圧してオペアンプIC1のプラス端子に入力して比較出力するようになっている。
【0014】
そして、建造物15等に電気ドリル4で穴を開ける際に電気、ガス、水道等の接地された配管16にドリル4aが当たると、電気ドリル4のドリル4aと接地G間の電圧が変動し、電気ドリル4のドリル4aと接地G間の抵抗及び抵抗R3及び抵抗R4と抵抗R5とで分圧した分圧電圧が基準電位より高くなると比較回路7のオペアンプIC1から平均値回路8に信号を出力する。平均値回路8では、比較回路7から入力された信号を平均化してトリガ回路9に出力し、特にオペアンプIC1のプラス端子の電圧と基準電位との電位差がほとんどないときに出力される方形波形を定波形にして出力するようにしている。
【0015】
平均値回路8から出力された信号によりトリガ回路9のトランジスタTR2とトランジスタTR3が順にオンしてスイッチング回路10のサイリスタSCR1にトリガ信号を出力する。スイッチング回路10のサイリスタSCR1にトリガ信号が入力されるとサイリスタSCR1がオンし、ブザー11が鳴動してユーザに異常を知らせるとともに、漏電遮断器5の零相変流器5aに擬似漏洩電流が流れて電路を遮断し、電気ドリル4の運転を停止させる。
【0016】
また、電気ドリル4で建造物15に穴を開ける際に誤って電線を傷つけるなどしてドリル4aが充電部17に接触した場合はダイオードD1と抵抗R6を介して充電部接触検知保護回路12のフォトカプラPCのダイオードに電流が流れ、フォトカプラPCのダイオードに電流が流れることでフォトカプラPCのトランジスタがオンし、トランジスタTR4がオンする。トランジスタTR4のオンによりダイオードD2を介して電流が流れ、サイリスタSCR2がオンし、抵抗R4と抵抗R5間の電位が0となって、オペアンプIC1のプラス端子を過電圧から保護し、オペアンプIC1の破損を防止することができる。また、トランジスタTR4のオンによりサイリスタSCR3がオンし、トランジスタTR5がオンする。トランジスタTR5がオンすると、ダイオードD3に電流が流れてトリガ回路9のトランジスタTR2とTR3がオンするため、トリガ回路9からトリガ信号が出力されてスイッチング回路10のサイリスタSCR1をオンすることによりブザー11が鳴動してユーザに異常を知らせるとともに、漏電遮断器5の零相変流器5aに擬似漏洩電流が流れて電路を遮断し、電気ドリル4の運転を停止させる。これにより電子部品の破壊を防止して回路を保護することができる。
【0017】
なお、運転切換スイッチ13をBの位置にすると電気ドリル用安全装置1をオフすることができ、運転切換スイッチ13をCの位置にすると異常時にブザー11は鳴るが漏電遮断器5は動作しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電気ドリル用安全装置の回路図である。
【符号の説明】
【0019】
1 電気ドリル用安全装置
2 商用電源
3 電源線
4 電気ドリル
4a ドリル
5 漏電遮断器
5a 零相変流器
6 直流安定化電源
7 比較回路
8 平均値回路
9 トリガ回路
10 スイッチング回路
11 ブザー
12 充電部接触検知保護回路
13 運転切換スイッチ
14 充電部
15 建造物
16 配管
17 充電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ドリルのドリルと接地間の電圧を検知し、前記ドリルと前記接地間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路をオンしてブザーを鳴動させるとともに、前記電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器を遮断動作させる電気ドリル用安全装置であって、前記ドリルが充電部に接触した場合に電子回路を保護し、前記ブザーを鳴動させるとともに前記漏電遮断器を遮断動作させることを特徴とする電気ドリル用安全装置。
【請求項2】
電気ドリルのドリルと接地間の電圧を検知し、前記ドリルと前記接地間の電圧が所定電圧になったときにスイッチング回路をオンしてブザーを鳴動させるとともに、前記電気ドリルの電源が接続された漏電遮断器を遮断動作させる電気ドリル用安全装置であって、直流安定化電源を電源とするオペアンプの比較回路によって前記電気ドリルのドリルと前記接地間の電圧と基準電位とを比較し、前記ドリルの接地状態を検知することを特徴とする電気ドリル用安全装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−36306(P2010−36306A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202466(P2008−202466)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】