説明

電気ランプ及びランプ上に層を蒸着する方法

電気ランプは、細長い光源(2)を収容する湾曲容器部(11)を備える光透過性ランプ容器(1)を有する。湾曲容器部の一部は、厚さが局所的に異なる光学干渉フィルム(5)を備える。干渉フィルムは、湾曲容器部の他の場所と比べ、源軸と実質的に平行な湾曲容器部上の場所でより厚い。材料層をそのような電気ランプ上に蒸着する方法は、蒸着材料の源を越えてランプ容器を移動すると同時に、容器軸に沿ってランプ容器を回転するステップと、ランプ容器上の蒸着材料の厚さを局所的に減少するために、ランプ容器を局所的に遮蔽するステップとを含み、遮蔽手段がランプ容器の近傍に設けられ、且つ、ランプ容器と同一速度で回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉フィルムを含む電気ランプに関する。
【0002】
本発明は、さらに、電気ランプ上に材料の層を蒸着する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
そのような電気ランプは、具体的には、白熱光源を備える白熱灯である。加えて、電気ランプは、動作中にアーク放電が光源として作用する放電ランプであってもよい。そのような電気ランプは、例えば、自動車用途で、例えば、動作中に黄色光を発光する(ハロゲン又は放電)ヘッドランプとして、表示灯における琥珀色光源(「自動車信号灯」とも呼ばれる)として、或いは、停車灯における赤色光源として用いられる。そのような電気ランプは、一般的な照明目的のためにも用いられる。電気ランプは、さらに、交通標識及び指示標識、輪郭照明、交通信号灯、投影照明、並びに、ファイバーオプティクス照明において用いられる。そのような電気ランプの代替的な実施態様は、色温度が変更される及び/又は赤外線が適切な光学干渉フィルムによってランプ容器内に封じ込められるランプを含む。
【0004】
干渉フィルムは、電磁スペクトルの異なる部分に起源する放射線、例えば、紫外光、可視光、及び/又は、赤外光を反射し及び/又は通過させる。そのような干渉フィルムは、電気ランプ(のランプ容器)上及び/又は反射器上の塗膜として通例設けられる。
【0005】
一般的に、2つの種類のランプ容器が用いられている。1つの種類の電気ランプは、互いに反対に配置された第一端部及び第二端部を有する所謂「両口」ランプ容器を含む。両口ランプでは、光源に接続された各電流供給導体は、第一端部及び第二端部を経由して、ランプ容器から出ている。他の種類の電気ランプは、単一端部のみを有する所謂「片口」ランプを含む。片口ランプでは、光源に電気的に接続された電流供給導体は、端部を経由して、ランプ容器から出ている。
【0006】
湾曲した基板上に塗膜を形成するための材料の蒸着は周知であり、例えば、ランプの製造において用いられている。ランプの製造、特に、光源が配置される密閉封止された光透過性ランプ容器を含むランプの製造では、ランプバーナの表面の少なくとも一部の上に塗膜を形成するために、1つ又はそれ以上の材料を蒸着することがしばしば望ましい。例えば、赤外反射性、紫外反射性、熱反射材料、及び、可視スペクトル放射反射性の干渉フィルムを形成するために、ランプ容器の表面上に材料を蒸着することが周知である。
【0007】
例えば、気相成長法(PVD:物理蒸着法)を用いて、或いは、(交流又は直流)(反応性)スパッタリングによって、或いは、浸漬被覆又は吹付けプロセスを用いて、或いは、LP−CVD(低圧化学蒸着法)、PE−CVD(プラズマ化学気相成長法)、又は、PI−CVD(プラズマ衝撃化学気相成長法)を用いて、干渉フィルムを通例の方法で提供し得る。
【0008】
冒頭段落において述べられた種類の電気ランプは、欧州公報EP−A0986083から既知である。既知の電気ランプは、全ての地点で同一の色合成発光を保証するために、局所的な厚さの相違を備える干渉フィルタ塗膜を有する。既知の電気ランプは、西洋ナシ形状ランプ容器を備え、且つ、回転対称軸とランプ容器との交点をテーパ容器領域上の地点と接続する容器上の最短線に沿った厚さを有する干渉フィルタ塗膜を備える白熱灯を含み、その厚さは、このテーパ容器領域の線終点で最小値から最大値に徐々に増大する。
【0009】
既知のランプ上の干渉フィルムを設計するときには、光源は点源であると想定される。これは既知の電気ランプの欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前記欠点が除去された電気ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的のために、冒頭段落において述べられた種類の電気ランプは、
- 湾曲容器部を含む光透過性のランプ容器と、
- 湾曲容器部内に配置された長手の源軸を備える細長い光源とを含み、
- 湾曲容器部の少なくとも一部は、光学干渉フィルムを備え、
- 光学干渉フィルムは、複数の交互する高屈折率層と低屈折率層とを含み、
- 湾曲容器部上の光学干渉フィルムの厚さは局所的に異なり、
- 干渉フィルムは、湾曲容器部の他の部分に比べ、源軸と実質的な平行な湾曲容器部上の場所でより厚い。
【0012】
ランプ容器内の光源によって発光される光は、複数の角度で湾曲容器部を打つ。表面上への光線の所謂「入射角」は、通常、その表面に対する法線について測定される。湾曲容器部の形状及びジオメトリは、光源の広がりを考慮して、どの入射角が湾曲容器部上の特定地点に期待されるかを広範に決定する。入射角のばらつきは、湾曲容器部上の他の場所に比べ、源軸と実質的に平行な湾曲容器部上の場所でより大幅に大きい。入射角の分布のばらつきは、干渉フィルムの性能に対して影響を有する。一般的に言って、もし表面上への光の入射角が0°(「直入射」とも呼ばれる)に接近するならば、干渉フィルムは、その設計された厚さに従って機能する。もし入射角が増大するならば(「非直入射」とも呼ばれる)、干渉フィルムは薄く見え、干渉フィルムのスペクトル特性は変化する。これは、一例として、色効果、赤外反射の減少、及び/又は、干渉フィルムのエッジ波長のシフトを引き起こす。そのような影響は望ましくない。具体的には、記述の影響は、20°を越える入射角にとって決定的になる。
【0013】
非直入射で薄く「作用」する干渉フィルムの影響は、源軸と実質的に平行な湾曲容器部上の場所で最も顕著である。本発明に従って、具体的には、源軸と実質的に平行な湾曲容器部上の場所で厚さを増大することによって、非直入射の影響は有効に弱められる。このようにして、本発明に従った電気ランプでは、ランプ容器の湾曲容器部内の光源の広がりが考慮される。光源の広がりの影響は、具体的には、非直入射の影響が他の場所よりもより顕著な場所で補償される。
【0014】
運動学的逆転の観点から、源軸と実質的に平行な湾曲容器部上の場所から比較的離れた湾曲容器部上の場所で干渉フィルムをより薄くし得るのに対し、干渉フィルムの全体的な厚さは他の場所で増大する。干渉フィルムの局所的薄膜化は、干渉フィルムの全体的な厚さの増大を伴い得る。
【0015】
本発明に従った電気ランプの好適実施態様は、ランプ容器が、源軸と実質的に同軸な長手の容器軸を備える細長い形状を有し、光学干渉フィルムの厚さが、容器軸に対して実質的に直交し且つ光源の幾何学的中心を含む平面が湾曲容器部と交差する湾曲容器部上の場所の近傍で局所的により厚いことを特徴とする。電気ランプのこの好適実施態様は、特に所謂両口ランプに関する。そのような両口ランプは、互いに反対に配置された第一端部及び第二端部を有し、それぞれ光源に電気的に接続された電流供給導体が、第一端部及び第二端部を経由して、ランプ容器から出ていることを特徴とする。
【0016】
細長い光源が配置された湾曲容器部を含む両口ランプのジオメトリは、入射角が、湾曲容器部の中央において、入射角が直入射により限定されるランプの端部に近接する場所よりも大きな角度範囲を包含するよう構成される。入射角のこのより広い範囲に起因する干渉フィルム上への非直入射の影響を補償するために、干渉フィルムの厚さは、源軸に対して実質的に直交し且つ光源の幾何学的中心を含む平面が湾曲容器部と交差する湾曲容器部の近傍でより厚くされる。両口ランプの場合には、干渉フィルムは、湾曲容器部の中心部の周りの帯において、湾曲容器部上のこの中心帯からさらに離れた場所よりも厚くされる。
【0017】
本発明に従った電気ランプの他の好適実施態様は、ランプ容器が、源軸に対して実質的に直交する長手の容器軸を備える細長い形状を有し、光学干渉フィルムの厚さが、源軸及びランプ容器に対して実質的に直交する線が湾曲容器部と交差する湾曲容器部の場所の近傍で局所的により厚いことを特徴とする。電気ランプのこの好適実施態様は、特に所謂片口ランプに関する。そのような片口ランプは、単一の端部を有し、光源に電気的に接続された電気供給導体が、端部を経由して、ランプ容器から出ていることを特徴とする。
【0018】
細長い光源が配置された湾曲容器部を含む片口ランプのジオメトリは、光源が、湾曲容器部上の特定場所で、これらの場所に対して実質的に直交する場所でよりも湾曲容器部の壁により近接するよう構成される。入射角のばらつきは、光源が湾曲容器部の壁から比較的離れる湾曲容器部上の場所よりも、光源が湾曲容器部の壁により近接する湾曲容器部上の場所でより小さい。これらの離れた場所では、入射角のばらつきは比較的大きく、干渉フィルムの物理的厚さに従うよりも薄く作用する干渉フィルムの望ましくない影響を引き起こす。光源が湾曲容器部の壁から比較的離れる場所で干渉フィルムの厚さを局所的に増大することによって、非直入射の影響を補償し得る。
【0019】
好ましくは、干渉フィルムの全体的な厚さにおける局所的厚さのばらつきは、少なくとも3%である。
【0020】
本発明は、塗膜を形成するために、材料の層を基板(ランプ容器)の上に蒸着する方法にも関し、塗膜がランプバーナの表面の少なくとも一部の上に形成されるランプの製造において使用される。本方法は、概ね、ハロゲンランプ及び放電ランプのようなランプの製造に関する。これらの方法において、ランプ容器の表面上に蒸着される材料は、ランプ容器の周縁の周りの塗布面を通じた均一な物理的特性を保有する塗膜を形成することが一般的に望ましい。このようにして、ランプ容器の表面の如何なる1つの部分の上の塗膜の物理的特性も、ランプバーナの表面の他の部分の上の塗膜の物理的特性と同一である。各ランプ容器をその長手又は容器軸の周りに回転すると同時に、塗膜を形成するために、ランプバーナの表面の選択的部分の上に材料を蒸着することによって、蒸着されるランプバーナ材料の周縁の各部分を各ランプバーナの周縁の周りで均一に蒸着し、それによって、ランプバーナの全塗布面の周りの塗布の物理的特性の均一性をもたらし得る。ランプ容器の所定場所の上の干渉フィルムの厚さが制御された方法で局所的に異なる、ランプ容器外被の配列上に均一な塗膜を形成するための新規な塗布方法を提供することが本発明の目的である。本発明によれば、この目的のために、冒頭段落において述べられている種類の方法は、
- ランプ容器を1つ又はそれ以上の蒸着材料を越えて移動すると同時に、ランプ容器を容器軸に沿って回転するステップと、
- ランプ容器上に蒸着される材料の厚さを減少するために、ランプ容器を局所的に遮蔽するステップと、
- 遮蔽手段をランプ容器の近傍に設け、且つ、ランプ容器と実質的に同一速度で回転するステップとを含む。
【0021】
遮蔽手段を同一速度で回転することによって、ランプ容器上の干渉フィルムの厚さを制御された方法で局所的に変更し得る。
【0022】
本発明に従った方法の好適実施態様は、ランプ容器が、長手の容器軸を備える細長い形状を有し、容器軸に対して実質的に直交する長手の源軸を備える細長い光源がランプ容器内に配置されること、並びに、遮蔽手段が、源軸が湾曲容器部と交差する湾曲容器部上の場所の近傍に配置されることを特徴とする。好ましくは、電気ランプは、単一の端部を備える片口ランプであり、光源に電気的に接続された電流供給導体が、端部を経由して、ランプ容器から出ていることを特徴とする。
【0023】
本発明のこれらの及び他の特徴は以下に記載される実施態様を参照することで明瞭に解明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面は純粋に概略的であり、原寸で描写されていない。特に明瞭性のために、一部の寸法は強く誇張されている。図面中、同等の参照番号は、可能な限り同等部材を参照している。
【0025】
図1Aは、本発明に従った両口ランプ容器1を含む電気ランプの実施態様を示す側面図である。ランプは、湾曲容器部11を含む、例えば、石英ガラスの発光ランプ容器1を有する。湾曲容器部11は気密に封止され、長手の源軸22を備える細長い光源2を収容している。図1Aの実施例において、光源2は(螺旋形状の)タングステン白熱体である。代替的な実施態様において、2つの電極がランプ容器内に配置され、動作中、アーク放電が2つの電極の間に維持される。図1Aに示される両口ランプ容器1は、湾曲容器部11の両端に配置された第一端部16及び第二端部17を有する。光源2に電気的に接続された電流供給導体18,19が、第一端部16及び第二端部17を経由して、ランプ容器1から出ている。図1A中のランプ容器1は外部バルブ14内に取り付けられ、外部バルブ14はランプキャップ24によって支持され、電流供給導体18,19はランプキャップ24に電気的に接続されている。図1Aの実施例において、ランプ容器1は、長手容器軸33を備える細長い形状を有する。図1Aにおいて、容器軸33は源軸22と実質的に同軸である。
【0026】
湾曲容器部11の外面の少なくとも一部は、光学干渉フィルム5を備える。干渉フィルム5は、複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を含む。比較的高い屈折率を有する適切な層材料は、例えば、酸化チタン(TiO2の平均屈折率は550nmで約2.35〜2.8)、酸化ニオブ(Nb2O5の平均屈折率は550nmで約2.35)、酸化タンタル(Ta2O5の平均屈折率は550nmで約2.18)、及び、酸化ジルコニウム(ZrO2の平均屈折率は550nmで約2.06)である。比較的低い屈折率を有する適切な層材料は、酸化ケイ素(平均屈折率は約1.46)である。述べられた全ての材料に関して、屈折率は、用いられる蒸着方法に依存して僅かに異なり得る。
【0027】
湾曲容器部11上の干渉フィルム5の厚さは、局所的に異なる。本発明によれば、干渉フィルム5は、湾曲容器部11上の他の場所に比べ、源軸22と実質的に平行な湾曲容器部11上の場所でより厚い。
【0028】
図1Bは、図1Aに示される両口ランプ容器1の断面図を示している。ランプ容器1内の光源2によって発光される光は、複数の角度で湾曲容器部11を打つ。湾曲容器部11の形状及びジオメトリは、光源2の広がりと相俟って、どの入射角が湾曲容器部11上の特定地点で期待されるべきかを広範に決定する。図1Bには、湾曲容器部11上の様々な場所での干渉フィルム5の影響の相違を例示するために、入射角の2つの分布が湾曲容器部11内部に破線によって示されている。入射角のばらつきは、湾曲容器部11上の他の場所(例えば、図1B中で領域「B」によって表示される場所を参照)でよりも、(図1B中に領域「A」によって表示される)源軸22と実質的に平行な湾曲容器部11上の場所で大幅に大きいのが普通である。入射角は湾曲容器部11の表面に対する法線について測定される。図1Bの実施例において、(図1B中の領域「A」によって表示される)源軸と実質的に平行な湾曲容器部11上の場所で、入射角αは+40°と−40°との間で変化する。他方、これらの場所から比較的離れた場所では、入射角βは(図1B中の領域「B」によって表示される)+10°と−30°との間で変化するだけである。入射角の分布のばらつきは、干渉フィルムの性能に対して影響を有する。直入射又は直入射に近い入射では、干渉フィルムは、所望厚さに従って「機能」する。非直入射、具体的には、20°より大きな角度では、干渉フィルムはより薄く「見え」、干渉フィルムのスペクトル特性は変化する。これは具体的には干渉フィルム5のエッジ波長の望ましくないシフトを生じさせる。本発明によれば、干渉フィルム5の厚さを、源軸22と実質的に平行な場所の近傍で局所的により厚くすることによって、光源2の広がりのこの望ましくない影響を補償し得る。干渉フィルム5を局所的に厚くすることによって、干渉フィルム5の性能は入射角のばらつきによって補償される。平均入射角はこれらの場所で幾分より大きく、フィルタ塗膜をこれらの場所で幾分より厚くすることによって、干渉フィルム5の平均性能は許容境界内にある。
【0029】
図1Cは、図1A及び1Bに示されるような両口ランプ容器の斜視図である。図面中、干渉フィルム5は、局所的厚さばらつきを備えて湾曲容器部11上に塗布される。入射角の比較的広い分布の望ましくない影響を補償するために、干渉フィルム5の厚さは、(源軸22と同軸な)源軸33に対して実質的に直交し且つ光源2の幾何学的中心12を含む平面35が湾曲容器部11と交差する湾曲容器部11上の場所(図1Cにおいて垂線で表示される比較的広い帯「A」で表示されている)の近傍で、局所的に厚くされている。
【0030】
図2Aは、本発明に従った片口ランプ容器を含む電気ランプの実施態様の側面図を概略的に示している。ランプは、湾曲容器部11を含む、例えば、硬質ガラスの発光ランプ容器1を有する。図2Aの実施例において、ランプ容器1は、長手の容器軸33を備える細長い形状を有する。湾曲容器部11は気密に封止され、長手の源軸22を備える細長い光源2を収容している。図2Aの実施例において、光源2は源軸22に沿って完全に引き伸ばされておらず、源軸は、好ましくは容器軸33に対して直交する光源の平均方向にある。図2Aの実施例において、光源2は(螺旋形状の)タングステン白熱体である。代替的な実施態様では、2つの電極がランプ容器内に配置され、動作中、アーク放電が2つの電極の間に維持される。図2Aに示される片口ランプ容器1は、単一の端部を有する。光源に電気的に接続された電流供給導体28,29が、端部を経由して、ランプ容器1から出ている(図3を参照)。図2A中のランプ容器1は、(端部を隠して)ランプキャップ34上に取り付けられ、電流供給導体28,29はランプキャップに電気的に接続されている。図2Aにおいて、容器軸33は源軸22に対して実質的に直交している。
【0031】
湾曲容器部11の外面の少なくとも一部は、光学干渉フィルム5を備える。干渉フィルム5は、複数の交互する高屈折率層及び低屈折率層を含む。湾曲容器部11上の干渉フィルム5の厚さは局所的に異なる。本発明によれば、干渉フィルム5の厚さは、源軸22と容器軸33とに対して実質的に直交する線44(図2Bを参照)が湾曲容器部11と交差する湾曲容器部11上の場所の近傍で、局所的により厚い。
【0032】
図2Bは、図2Aに示されるような片口ランプ容器1の断面図を概略的に示している。図2Bは、容器軸33に対して直交し且つ光源2を含む平面を示している。ランプ容器1内の光源2によって発光される光は、複数の角度で、湾曲容器部11を打つ。湾曲容器部11の形状及びジオメトリは、光源2の広がりと相俟って、どの入射角が湾曲容器部11上の特定地点で期待されるべきかを広範に決定する。図2Bには、湾曲容器部11上の様々な場所での干渉フィルム5の影響の相違を例示するために、入射角の2つの分布が湾曲容器部11内部に破線によって示されている。入射角のばらつきは、湾曲容器部11上の他の場所(例えば、図2B中で領域「B」によって表示される場所を参照)でよりも、(図2B中に領域「A」によって表示される)源軸22と実質的に平行な湾曲容器部11上の場所で大幅に大きいのが普通である。入射角は湾曲容器部11の表面に対する法線について測定される。図2Bの実施例において、(図2B中の領域「A」によって表示される)源軸と実質的に平行な湾曲容器部11上の場所で、入射角αは+40°と−40°との間で変化する。他方、これらの場所から比較的離れた場所では、入射角βは(図2B中の領域「B」によって表示される)+10°と−30°との間で変化するだけである。入射角の分布のばらつきは、干渉フィルムの性能に対して影響を有する。直入射又は直入射に近い入射では、干渉フィルムは、所望厚さに従って「機能」する。非直入射、具体的には、20°より大きな角度では、干渉フィルムはより薄く「見え」、干渉フィルムのスペクトル特性は変化する。これは具体的には干渉フィルム5のエッジ波長の望ましくないシフトを生じさせる。本発明によれば、干渉フィルム5の厚さを、源軸22と実質的に平行な場所の近傍で局所的により厚くすることによって、光源2の広範さのこの望ましくない影響を補償し得る。干渉フィルム5を局所的に厚くすることによって、干渉フィルム5の性能は入射角のばらつきによって補償される。平均入射角はこれらの場所で幾分より大きく、フィルタ塗膜をこれらの場所で幾分より厚くすることによって、干渉フィルム5の平均性能は許容境界内にある。
【0033】
図2Cは、図2A及び2Bに示されるような片口ランプ容器の斜視図である。図面中、干渉フィルム5は、局所的厚さばらつきを備えて湾曲容器部11上に塗布される。入射角の比較的広い分布の望ましくない影響を補償するために、干渉フィルム5の厚さは、源軸22に対して実質的に直交する線44が湾曲容器部11と交差する湾曲容器部11上の場所の近傍で、局所的に厚くされている。
【0034】
塗布されるべき表面の選択的部分の上での塗布材料の蒸着を阻止することがしばしば望ましい。選択的部分をマスキングすることによって、例えば、選択的部分の上での塗布材料の蒸着を阻止する物理的障壁を設けることによって、これを達成し得る。このために、本発明は、電気ランプ上に材料層を蒸着する方法を提供することを目的とし、電気ランプは、長手の容器軸を備える細長いランプ容器を含む。本発明によれば、この目的のために冒頭段落で述べられた種類の方法は、1つ又はそれ以上の蒸着材料の源を越えて移動すると同時に、ランプ容器をその容器軸に沿って回転するステップと、ランプ容器上の蒸着材料の厚さを局所的に減少するために、ランプ容器を局所的に遮蔽するステップとを含む。遮蔽手段は、ランプ容器の近傍に設けられ、ランプ容器と実質的に同一速度で回転する。遮蔽手段を同一速度で回転することによって、ランプ容器上の干渉フィルムの厚さを制御された方法で局所的に変更し得る。
【0035】
図3Aは、層材料の蒸着期間中の片口ランプ容器の斜視図を概略的に示している。ランプ容器1は、端部26を備える細長い形状を有する。光源2に電気的に接続された電流供給導体28,29が、端部26を経由して、ランプ容器1から出ている。ランプ容器1は、長手の容器軸33を有する。長手の源軸22を備える細長い光源2が、ランプ容器1内に配置されている。図3Aの実施例において、源軸22は容器軸33に対して実質的に直交している。
【0036】
層材料の蒸着期間中、遮蔽手段55,56が、源軸22が湾曲容器部11と交差する容器部11上の場所の近傍に配置される。図3Aの実施例において、遮蔽手段55,56は、細長い光源2の端部に隣接して、ランプ容器1の外面の近傍に配置されている。ランプ容器1は電流供給導体28,29を経由して、遮蔽手段55,56は支持手段57,58を経由して、基板支持体50上に取り付けられている。電気ランプ上への層材料の蒸着期間中、ランプ容器及び遮蔽手段55,56は、同一速度で回転する。遮蔽手段55,56は、細長い光源2の端部に隣接する干渉フィルム5が、ランプ容器上の他の場所よりも局所的に薄いことを定める。入射角の分布(図2Bを参照)は、源軸22がランプ容器1を交差するランプ容器1上の場所でより小さいので、干渉フィルム5はこれらの場所で局所的により薄い。干渉フィルム5の厚さを相応して増大することによって、干渉フィルムの所望性能が達成される。
【0037】
図3Bは、図3Aに示されるような電気ランプの断面図を概略的に示し、容器軸に対して直交する平面を示し、平面は光源を含む。遮蔽手段55,56は、細長い光源2の端部に隣接して、ランプ容器1の外面の近傍に配置されている。干渉フィルムは、遮蔽手段55,56に隣接するランプ容器1上の平面で局所的により薄い。
【0038】
好ましくは、遮蔽手段は、ロッド、メッシュ、板、及び/又は、リングを含む。遮蔽手段の如何なる組み合わせも設け得る。好ましくは、光学干渉フィルムを形成するために、材料はスパッタ堆積法によって蒸着される。
【0039】
上述の実施態様は本発明を制限するというよりもむしろ例証すること、及び、当業者であれば添付の請求項の範囲から逸脱することなしに多くの代替的な実施態様を設計し得るであろうことが留意されるべきである。請求項中、括弧内の如何なる参照記号も請求項を制限するものと解釈されてはならない。「含む」という動詞及びその活用形の使用は、請求項中に述べられている素子又はステップ以外の素子又はステップの存在を排除しない。素子に先行する冠詞又は不定冠詞は、そのような素子が複数存在することを排除しない。幾つかの明確な素子を含むハードウェアを用いて、並びに、適切にプログラム化されたコンピュータを用いて本発明を実施し得る。幾つかの手段を列挙する装置の請求項では、単一及び同一品目のハードウェアによってこれらの手段の幾つかを具現化し得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用い得ないことを指し示さない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】本発明に従った両口ランプ容器を含む電気ランプの実施態様を示す側面図である。
【図1B】図1Aに示されるような両口ランプ容器を示す断面図である。
【図1C】図1A及び1Bに示されるような両口ランプ容器を示す斜視図である。
【図2A】本発明に従った片口ランプ容器を含む電気ランプの実施態様を示す側面図である。
【図2B】図2Aに示されるような電気ランプを示す断面図であり、容器軸に対して直交する平面を示し、平面波光源を含む。
【図2C】図2A及び2Bに示されるような片口ランプ容器を示す斜視図である。
【図3A】層材料の蒸着期間中の片口ランプ容器を示す斜視図である。
【図3B】図3Aに示されるような電気ランプを示す断面図であり、容器軸に対して直交する平面を示し、平面波光源を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲容器部を含む光透過性のランプ容器と、
前記湾曲容器部内に配置された長手の源軸を備える細長い光源とを含み、
前記湾曲容器部の少なくとも一部は、光学干渉フィルムを備え、
該光学干渉フィルムは、複数の交互する高屈折率層と低屈折率層とを含み、
前記湾曲容器部上の前記光学干渉フィルムの厚さは局所的に異なり、
前記干渉フィルムは、前記湾曲容器部の他の部分に比べ、前記源軸と実質的な平行な前記湾曲容器部上の場所でより厚い、
電気ランプ。
【請求項2】
前記ランプ容器は、前記源軸と実質的に同軸な長手の容器軸を備える細長い形状を有し、
前記光学干渉フィルムの厚さは、前記容器軸に対して実質的に直交し且つ前記光源の幾何学的中心を含む平面が、前記湾曲容器部と交差する前記湾曲容器部上の場所の近傍で、局所的により厚いことを特徴とする、
請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項3】
当該電気ランプは、互いに反対に配置された第一端部及び第二端部を有し、それぞれ前記光源に電気的に接続された電流供給導体が、前記第一端部及び前記第二端部を経由して、前記ランプ容器から出ていることを特徴とする、請求項2に記載の電気ランプ。
【請求項4】
前記ランプ容器は、前記源軸に対して実質的に直交する長手の容器軸を備える細長い形状を有し、
前記光学干渉フィルムの厚さは、前記源軸及び前記ランプ容器に対して実質的に直交する線が、前記湾曲容器部と交差する前記湾曲容器部の場所の近傍で、局所的により厚いことを特徴とする、
請求項1に記載の電気ランプ。
【請求項5】
当該電気ランプは、単一の端部を有し、前記光源に電気的に接続された電気供給導体が、前記端部を経由して、前記ランプ容器から出ていることを特徴とする、請求項4に記載の電気ランプ。
【請求項6】
前記光学干渉フィルムの全体的厚さの局所的厚さのばらつきが少なくとも3%である、請求項1、2、又は、4に記載の電気ランプ。
【請求項7】
前記光源は、少なくとも1つの白熱灯本体又は動作中の放電ランプのアークを含むことを特徴とする、請求項1、2、又は、4に記載の電気ランプ。
【請求項8】
請求項1、2、又は、4に従った長手の容器軸を備える細長いランプ容器を含む電気ランプの上に材料の層を蒸着する方法であって、
前記ランプ容器を1つ又はそれ以上の蒸着材料を越えて移動すると同時に、前記ランプ容器を前記容器軸に沿って回転するステップと、
前記ランプ容器上に蒸着される材料の厚さを減少するために、遮蔽手段によって前記ランプ容器を局所的に遮蔽するステップとを含み、
前記遮蔽手段は、前記ランプ容器の近傍に設けられ、且つ、前記ランプ容器と実質的に同一速度で回転する、
方法。
【請求項9】
前記ランプ容器は、長手の容器軸を備える細長い形状を有し、
前記容器軸に対して実質的に直交する長手の源軸を備える細長い光源が前記ランプ容器内に配置されること、並びに、
前記遮蔽手段は、前記源軸が前記湾曲容器部と交差する前記湾曲容器部上の場所の近傍に配置されることを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電気ランプは、単一の端部を備える片口ランプであり、前記光源に電気的に接続された電流供給導体が、前記端部を経由して、前記ランプ容器から出ていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記遮蔽手段は、ロッド、メッシュ、板、及び/又は、リングを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
光学干渉フィルムを形成するために、前記材料はスパッタ堆積法で蒸着されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2007−513461(P2007−513461A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527528(P2006−527528)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051763
【国際公開番号】WO2005/029537
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】