説明

電気光学的スイッチング素子および電気光学的ディスプレイ

本発明は、電気光学的スイッチング素子およびそれを含むディスプレイに関する。特に、可視光を選択的に反射する両巻きねじれ方向、および/または、コレステリック液晶層または他の層に埋め込まれる発光部分、および、透過および/または反射された光の量を制御する光制御素子を持つ、コレステリック液晶層を含む、電気光学的スイッチング素子に関する。ディスプレイは、明るいまたは暗い条件の下で、小さな消費電力で明るい画像を与える。これらは、e−ペーパーへの応用および/または電子署名への応用に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学的スイッチング素子および電気光学的ディスプレイにおけるそれらの使用、ならびにこれらのディスプレイに関する。特に、本発明は、明るい周囲光条件下で優れた可視性で、およびしたがって低電力消費で明るい画像をもたらし、さらに長期間の信頼性を特徴とする電気光学的スイッチング素子に関する。これらの電気光学的スイッチング素子は、1つまたは2つ以上の発光部分を含む材料をオプションで含む、少なくとも1つのコレステリック液晶の層を含む。本発明の電気光学的スイッチング素子は、特にいわゆる電子ペーパー(e−ペーパー)への応用に適している。
【背景技術】
【0002】
らせん構造を有し、任意に蛍光色素を含む液晶材料を、液晶らせん構造による周囲光の他の方法での典型的な、強い選択的反射を回避することによって改善されたコントラストを有する照明材料として、および/または反射材料として用いる電気光学スイッチング素子は、日本国特許出願公開2008-233915(A)に記載されている。
【0003】
らせん構造を有する液晶材料を利用した、電気光学スイッチング素子は、光(例えば、バックライトシステムからの周囲光および/または光)を変換することが可能な光変換手段として、任意に蛍光色素を含み、前記光変換手段の各々は、
光の偏光の状態を、非偏光光から、直線偏光光または円偏光光、および同時に変換することが可能であり、
任意に、光の波長をより長い値にシフトすることが可能であり、
未公開の国際特許出願PCT/EP2009/005866に記載されている。しかしながら、それらは、デバイスがすべての光の半分だけを活用すること、および/または、メモリー効果を有するディスプレイ効果を活用するのが困難であることにつながる、1つまたは2つ以上の偏光板を含む液晶セルを利用する。
【0004】
日本国特許出願公開H08-286214(A)(1996)において、ゲスト−ホスト液晶および金属反射器を利用した、反射型液晶ディスプレイが記載されている。
WO2007/007384において、電圧を印加することでその選択的反射を変化させる、コレステリック液晶層がスタックされた、反射型液晶ディスプレイが記載されている。
アドレス電圧に対する反応における光の伝搬を制御および修正する材料として、すなわちスイッチング媒体として、コレステリック液晶を利用するディスプレイデバイスは、一般的にメモリー効果を示し、表示された画像は、アドレス電圧が止められた後に維持される。
【0005】
しかしながら、これらの種類の電子ペーパーは、薄暗い周囲光条件の下でも、良好なコントラストおよび良好な可読性で明瞭な画像を表示することは不可能である。カラーフィルタがこの種類のディスプレイに利用される場合は、状況はさらに悪くなる。この場合、表示された画像は、明るい照明条件の下でさらに弱くなる。ディスプレイによる光の活用の効率性は、入射光の大部分を吸収するカラーフィルタにより強く還元される。
【0006】
液晶がスイッチング媒体として利用されるこれらのディスプレイに加えて、電気泳動スイッチング素子は、例えば“電子粉流体”または重クロム酸粒子が利用されるディスプレイとして知られる。これらのディスプレイはまた、一般的にメモリー効果を有し、画像は、アドレス電圧が止められた後でも保持される。例えば、日本国特許出願公開2003-005225(A)において、ディスプレイデバイスにおいて、荷電粒子は、集められ小さな領域を有する電極上に集中するか、または、大きな領域を有する電極上にわたって分散する。したがって、デバイスは、白色状態から黒色状態にスイッチ可能である。WO2005/098525においては、そのような粒子の好ましいサイズが記載されている。
【0007】
日本国特許出願公開2004-045643(A)および2007-206365(A)において、小さな重クロム酸球体部を含むディスプレイデバイスが記載されている。これらの極小球体は、流体内で浮遊/分散され、フレームと共に一組の基材により形成されるセル内に包まれる。これらの球体は、それぞれ2つの半球体を有する。これら半球体の1つは黒色であり、もう一つは白色である。そして同時に、2つの半球体は帯電され、お互いに逆の符号を有する。基材の内側上の一組の電極に対する電圧を適切な極性で印加すると、特定の方向の電界が生成される。異なる方法で帯電される半球体の方向に依存して、重クロム酸球体は、トルクを受け、回転する。したがって、適切な極性の電圧が印加された半球体は、観察者に対して、その黒色半球体か、または、その白色半球体を二者択一的に示すように作成されるため、黒色および白色状態が表示される。これらのディスプレイの電気光学的な効果はまた、電界により誘発される回転から、“電子ジャイロ”(electro-gyric)効果と呼ばれる。
【0008】
カラー画像を実現するために、日本国特許出願公開2004-199022(A)において、3つの異なる種類の重クロム酸を利用することが提案され、そこでは重クロム酸球体の半球体は黒色ではなく、3つの選択肢の内の1つ、例えば、白の代わりに、3原色(赤、緑および青)の内の1つの異なる色を有する。
その代案として、米国特許出願公開US2002/0180688(A)では、黒色および白色ディスプレイ上で、カラーフィルタを利用することを提案している。
【0009】
これらのディスプレイは、しかしながら、動く画像を表示することができないが、それらの画像は、電力が保存されなければならない特定の応用のために有利な駆動電圧をスイッチオフされた後に維持される。これらは、しばしば電子ペーパー(e−ペーパー)と呼ばれ、現在研究され、表示媒体として普通の紙を置き換えるために広く開発されている。
また、バイポーラ電荷を有する2色の半球体が利用される、電子ジャイロディスプレイのために、光活用効率はとても低い。ここで、原因は、特にカラー画像のためにカラーフィルタを利用するため、それらの反射の効率がとても低いことにある。それらは、明るい照明条件の下であっても鮮明な画像を与えることができない。
【0010】
偏光板を利用しない反射型液晶ディスプレイが、SID 06 DIGEST, p.769 to 772に記載されている。ここには、逆反射体を持つポリマー分散液晶(PLCD)ディスプレイが記載されている。PDLCが透明の場合の状態において、画像は黒色であり、PDLCが散乱光の場合、画像は白色である。
この種類のディスプレイにおいて、逆反射体は、ヒトの目の瞳孔よりも小さいことが望ましい。PDLCが透明の場合、逆反射体により反射される光の間で、瞳孔に対する方向において伝搬する光の一部だけが観察者にとって可視のものである。これは、実際に観察者が見る光がなく、画像が黒色のように見えることを意味する。しかしながら、PDLCが光散乱状態にある場合、周囲光は逆反射体により反射され、PDLCにより散乱される。この場合もまた、観察者の瞳孔に対する方向と異なる方向から最初に来る光は、可視的になり、画像は白色のように見える。
しかしながら、これらのディスプレイに利用される逆反射体の準備は、高解像度の極小リソグラフィックステップを要求し、それをより大きなディスプレイの全体領域に拡大することは困難である。
【発明の概要】
【0011】
本発明において、光の強度を変更、好ましくは光の強度を調整または修正、すなわち、電圧の印加に応じて、光の強度を制御することが可能な、1つまたは2つ以上の電気光学的スイッチング素子が利用される。前記電気光学的スイッチング素子は、デバイスの各部分により透過および/または反射される光の強度を調整することが可能である。本発明の前記電気光学的スイッチング素子は、例えば偏光板等の光を偏光する手段を必要とせず、好ましくは含まない。好ましくは、本発明のデバイスは、光を偏光するか、または、光の偏光を変える手段を含まず、より好ましくは、それらは偏光板を含まない。
【0012】
好ましくは、本発明のデバイスは、光の透過/反射/散乱の程度をスイッチングおよび/または制御することが可能な1つまたは2つ以上の電気光学的素子を含む。
好ましくは、本発明のデバイスは、光(例えば、周囲光)を反射することが可能な、1つまたは2つ以上の光反射手段を含み、前記光反射手段は、特定の波長領域の光を選択的に反射することが可能である。
好ましくは、本発明のデバイスは、電子ディスプレイである。
特に好ましくは、それらは情報の表示のためのディスプレイであり、より好ましくは、それらはいわゆる“電子ペーパー”のためのディスプレイである。
【0013】
反射光だけを活用するこの新規のディスプレイデバイスは、電力消費において有意な減少を達成するため、有利に利用される。
光の透過/反射/散乱の程度をスイッチングおよび/または制御することが可能な1つまたは2つ以上の電気光学的素子の利用は、1つの電気光学的素子に関して、すなわち、1つの電気光学的素子において、2つの異なるコレステリック層を利用することを可能にする。コレステリック液晶のこれら2つの異なる層は、好ましくは、お互いに関して、相互に向かい合うねじれ方向(twisting sense)(すなわち、相互に向かい合う掌性)を有する。
【0014】
本発明の好ましい態様において、本発明の電気光学的デバイスは、光学的素子の特徴的な組み合わせおよび配置を有しているため、それらは反射された周囲光と同様にバックライトからの光を活用し、よって、それらは明るい周囲光条件の下でも、低い電力消費で明瞭な可視性のある明るい画像をもたらす。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、1つまたは2つ以上の光学的素子が利用され、該素子は、
光(例えば、周囲光)を反射することが可能な1つまたは2つ以上の光反射手段であって、
特定の波長領域の光を選択的に反射することが可能であり、同時に、
オプションで、光の波長をより長い値に、好ましくは可視光に、シフトすることが可能である、前記光反射手段と
前記変換手段の少なくとも1つであって、光の波長をより長い値にシフトすることが可能なものと、
光の強度を変更、好ましくは光の強度を調整または修正、すなわち、光の強度をスイッチングおよび/または制御することが可能で、好ましくは前記材料の電気的アドレッシングの1つまたは2つ以上手段が提供される、好ましくは層の形態の材料と、
好ましくは光を偏光しない手段と、および
オプションで、例えばバックライト等の照明のための手段と
を含む。
【0016】
本発明の電気光学的デバイスは、それらがバックライトシステムからの光を極めて効率的に利用し、さらにバックライトシステムからの放射が高エネルギーを有する放射を含まず、好ましくはそれが、いかなるUV放射も含まず、より好ましくはまた短波長を有する青色光を全く含まないように配置された、1つまたは2つ以上の光学素子を含む。好ましくは、光の波長は、385nmまたはそれ以上、より好ましくは420nmまたはそれ以上および最も好ましくは435nmまたはそれ以上である。
光の強度を変更することが可能な材料という表現は、材料を介した透過の状態が、外部の力を適用、好ましくはそれを電気的にアドレッシングすることで、1つの状態から、少なくとも1つの他の状態に変更することを意味する。透過の変化は、グレースケールの表現を促進するために、実質的に連続的であり得、好ましくは連続的である。
【0017】
しかしながら、双安定性を示す効果を利用した電気光学的スイッチング素子もまた可能である。後者の場合は、例えばe−ペーパーへの応用のような、エネルギー利用の節約を必要とする応用のためのデバイスに好適に利用される。
本発明に利用される光反射手段は、異なる形態を有する。好ましい態様において、それらは、実質的に平らな1つまたは2つ以上の層、好ましくはディスプレイのすべてのスイッチング素子を本質的に覆う本質的に連続的な層を含む。他の態様において、反射手段は、以下で詳細に説明されるように、好ましくは、例えば、ディスプレイのピクセルまたはサブピクセルと本質的に合致するように、例えばパターン化されて構造化される。
【0018】
本発明によれば、少なくとも1つのねじれ方向またはコレステリック液晶層を有する、1つまたは2つ以上のコレステリック液晶の層を含む、光学的素子が実現され、前記コレステリック液晶は、反射板として少なくとも1つの発光部分を含有し、光の強度を制御する光学的成分を有する。コレステリック液晶は、効果的な光反射板であるため、反射強度は極めて高い。右巻きおよび左巻きのねじれ方向の両方を持つコレステリック液晶が利用可能であるため、理論上は、100%の反射効率が達成され得る。さらにまた、コレステリック液晶層の少なくとも1つは、1つまたは2つ以上の発光部分を含有する材料を含んでもよい。したがって、コレステリック液晶層を適切な光源で照らすことにより、暗い条件の下であっても、明瞭で十分に可読な画像が表示される。コレステリック液晶層は、基材上に容易に被覆可能であり、光重合性材料が利用可能なため、容易に製造可能である。発光部分または部分は、コレステリック液晶層の異なる層において現れ、好ましくはコレステリック液晶層の観察者に面した側上に位置する。
【0019】
コレステリック層または層は、ポリマーフィルム(単数)またはポリマーフィルム(複数)の形態で存在する。それらは、ディスプレイのピクセルにマッチする面積部分を有するマトリックスの形態で好適に構造化してもよい。これらの面積部分は、パターン化された異なるカラーに適合してもよい。それらは、お互いに対して相互に向かい合うねじれ方向を有する二重層から成ってもよい。
【0020】
本発明の第1の好ましい態様において、光の量を制御する光学的素子は、1つまたは2つ以上の二色性色素でドープされるネマチック液晶を含む液晶セルである。図1において、ねじれネマチック液晶構造が利用される態様のためのデバイスが示される。構造は、ねじれネマチック構造または垂直配向構造における液晶に適用してもよい。これら2つの異なる可能性のある構造において、対応するスイッチング状態は、電圧が出来ようされる場合と電圧が印加されない場合とで交換される。ねじれ角は、好ましくは90°または約90°である。液晶は、1つまたは2つ以上の二色性色素(101)を含む。液晶は、“ホスト”と呼ばれ、二色性色素は、“ゲスト”と呼ばれる。二色性色素は、その長い分子軸に平行なその遷移モーメントを有し、この場合、ホスト液晶の方向に平行、すなわち、液晶の長い分子軸の平均に平行に配向される。
【0021】
しかしながら、長い分子軸の平均配向、すなわち、液晶ホストの方向に垂直な遷移モーメントを有する二色性色素もまた利用される。この図面に示される液晶ホスト(102)は、正の誘電異方性を有する。しかしながら、負の誘電異方性を有する液晶もまた、好適に利用され、この場合、ホスト液晶に対するキラル成分(chiral dopant)の追加はオプションでしかない。液晶ホストおよび二色性色素(単数)、各々の二色性色素(複数)から成るゲスト−ホスト混合物は、少なくとも1つが透明基材である2つの基材から構成される液晶セルの中、および適切なフレームに充填される。2つの基材の各々は、透明電極(103)を有し、それぞれその内側(すなわち、液晶に面して)上に透明電極を有する。電極は、好ましくは配向層、好ましくはポリイミド配向層で覆われる。これは図面には示されない。
【0022】
態様のこの部分は、従来のネマチック液晶セルの部分に類似する。液晶は、例えば、薄膜トランジスタ(TFTs:(104))を利用する、アクティブマトリックス駆動システム(active matrix driving system)により、従来の液晶ディスプレイの場合と同様に、好適にアドレスされる。液晶は、しかしながらまた、直接アドレスされるか、パッシブマトリックス駆動システムで、すなわち“時分割多重化”される。後者の場合のこれら2つのアドレッシングは、アクティブ駆動素子(例えば、TFTs)のマトリックスを必要としない。アクティブマトリックス駆動システムにおいては、一般的に好ましくは、液晶の方向が、下部基材から上部基材(“TN”構成)へのセルを介して絶対値90°または約90°の角度でねじられた、液晶セルが利用される。対照的に、パッシブマトリックス駆動システムを利用したディスプレイにおいて、液晶の方向は、180°〜270°の範囲、好ましくは、240°〜270°の範囲(“STN”構成)の絶対値の角度でねじられる。
【0023】
本発明のこれら電気光学的スイッチング素子と従来の液晶スイッチング素子との大きな違いは、これらは、可視光の範囲における選択的な反射を有する、コレステリック液晶(105)の層を含むことである。このコレステリック液晶の層は、好ましくは下方基材およびこの基材のそれぞれの電極の間に位置する。例えば、選択的な反射の異なる波長を示す、異なるコレステリック液晶をそれぞれが有する、これらスイッチング素子の3つを便利に利用して、カラーディスプレイを実現する。好ましくは、これら異なるコレステリック液晶の各々の1つは、3原色、赤(R)、緑(G)および青(B)の各々の1つに対応するスペクトル領域における、選択的な反射の波長領域を有する。
【0024】
図1aは、90°のねじれ角を有する、ゲスト−ホスト液晶のためのスイッチング素子の概略的構造を示し、この場合、正の誘電異方性を持つ液晶ホスト混合物が利用され、スイッチング素子の電極には電圧は印加されない。そして、液晶の方向は基材に平行に配向され、下部基材から上部基材に向けて90°の角度に渡ってねじられる。この状態で、ゲストホスト液晶に入る周囲光(106)は、その長い分子軸に沿って強い吸収性を有する二色性色素により強力に吸収される。そして、その結果として、光はコレステリック液晶の層に到達しない。この状態において、スイッチング素子(ピクセル)は暗い画像を示す。スペクトルの可視範囲の殆どまたは全てを覆う広いスペクトルを達成するために、1つ以上の二色性色素の組み合わせ、好ましくは3つの二色性色素が利用される。これらの色素は、スペクトルに対するこれら個々の貢献のために適切に選択される。
【0025】
図1bは、好適な大きさの電圧(すなわち、閾値電圧より十分に高い)が、ゲストホスト液晶を挟む電極に印加される状態における、1つのスイッチング素子の典型例を示す。ここで、液晶の方向は、基材に対して垂直に配向され、二色性色素(101)は、周囲光を強力に吸収することはない。そして、入射光はコレステリック液晶(105)の層には到達せず、好適な波長を有する入射光の一部は選択的に反射される。コレステリック液晶層(105)からの選択的な反射は比較的強いため、かなり明るい画像が得られる。画像のコントラストが良好に維持されるので、これは薄暗い照明下であっても保持される。異なるスイッチング素子の異なるコレステリック液晶の選択的な反射の波長領域は、3原色の各々の1つに対応して選択してもよく、よって、カラーフィルタは、これらディスプレイには必要ない。さらにまた、反射板も必要ない。
【0026】
図1aおよび1bにおいては、コレステリック液晶の単層のみを有する態様が示される。しかしながら、別の態様において、コレステリック液晶の第1の層のねじれ方向に対して対照的なねじれ方向を有するコレステリック液晶の第2の層を追加的に利用してもよい。2つの層は、1つがもう1つの上部の上にスタックしてもよく、また、その代わりとして、それらは隣り合って被覆してもよい。第1の場合、2つの層のスタックが利用される場合、コレステリック液晶の2つの層のスタックは、ねじれ方向の両方の円偏光光を反射するため、特に明るい画像が実現され得る。
コレステリック液晶からの選択的な反射により生成される光は、反射された光の明るさのより強力な角度依存をもたらす、より狭い角度分布により特徴づけられる。しかしながら、それはコレステリック液晶層の軸方向性の意図的な散乱により低減される。これは、日本国特許出願公開2005-003823(A)に示されるように、視野の増大をもたらす。
【0027】
上記の態様において、1以上の二色性比率を有する二色性色素(すなわち、その長い分子軸に垂直なものより、その長い分子軸に平行なものの方がより強い吸収性を有する二色性色素)は、正の誘電異方性を持つ液晶ホスト混合物において利用される。二色性色素または利用される液晶が逆の異方性を持つ(すなわち、二色性色素が1以下の二色性比率を有するか、または、液晶ホストが負の二色性色素を有する)場合、黒色および白色の画像は、印加される電圧の“オン状態”および“オフ状態”に関連して反転される。二色性色素および液晶ホストの両方が、図1aおよび1bに描かれる状態と比較して逆の異方性を有する場合、液晶の初期配置だけが変化されなければならないが、印加される電圧に従った黒色および白色状態の変化はない。
【0028】
光吸収層は、コレステリック液晶層および下部基材の間、および/または、コレステリック液晶層に対して逆側の基材において、好適に配置してもよい。
本発明の第2の好ましい態様のディスプレイの構造は、図2aおよび2bに概略的に示される。これは上記第1の態様から特に2つの意味で異なる。ここで、ディスプレイは光源(208)を含み、コレステリック液晶層(複数)および/または層(複数)は、1つまたは2つ以上の発光部分(207)を含む、少なくとも1つの材料を追加的に含有する。ここで、発光部分は、コレステリック液晶層またはもう一つの層の中にあってもよく、それは図2には示されない。
【0029】
1つまたは2つ以上の発光部分を含む、少なくとも1つの材料を追加的に含有する、前記コレステリック液晶層(複数)および/または他の層(複数)は、光変換手段として有用である。
本発明で利用される光変換手段は、1つまたは2つ以上の有機色素および/または1つまたは2つ以上の無機蛍光体を含んでいてもよい。
各々の材料が励起された光を吸収して、また光も放出する、1つまたは2つ以上の発光部分(207)を含む材料が利用されてもよい。有機蛍光色素および/または無機蛍光体を利用することが可能である。小さなストークスシフト(Stokes shift)を持つ色素が利用される場合、周囲光は、励起のための光として利用することが可能である。励起のために光源(208)が利用される場合には、より明るい画像が得られ、それは、470nmの波長を有する青色光を放出、および/または、470nmより短い、または、より望ましくは、400nmより短い波長を有する光を放出する。励起(208)のための光源として、無機発光ダイオード(LEDs)、有機発光ダイオード(OLEDs)または蛍光灯またはレーザーを利用してもよい。
【0030】
エネルギーの利用を節約するために、それぞれのディスプレイにおいてバックライトを局所的に調光する方法を適用することもまた可能である。そのようなディスプレイにおいて、バックライトは一般的にセグメント化され、原理的に、明るいカラーを表示するピクセルだけが、励起光を提供するセグメント化されたバックライトのそれぞれのセグメントからの光により照射される。
有機色素としては、種々の蛍光色素およびリン光を発する色素、例えば有機発光ダイオードにおいて用いるレーザー色素および/または発光色素を、有益に用い得る。それぞれのレーザー色素は、Exciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であり、一方他の好適な色素は、American Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能である。
【0031】
ここで用いることができる、青色スペクトル領域における発光波長を有するレーザー色素は、例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であり、例えばクマリン460、クマリン480、クマリン481、クマリン485、クマリン487、クマリン490、LD489、LD490、クマリン500、クマリン503、クマリン504、クマリン504Tおよびクマリン515である。これらのレーザー色素に加えて、青色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばペリレン、9−アミノ−アクリジン、12(9−アントロイルオキシ)ステアリン酸、4−フェニルスピロ[フラン−2(3H),1’−フタラン]−3,3’−ジオン、N−(7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリニル)マレイミドおよび/またはAmerican Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能な色素ADS135BE、ADS040BE、ADS256FS、ADS086BE、ADS084BEもまた、用いてもよい。これらの色素を、本発明にしたがって、個々に、または適切な混合物の形態で用いてもよい。
【0032】
ここで用いることができる、緑色スペクトル領域において放出するレーザー色素は、商業的に入手可能である:例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であるクマリン522、クマリン522B、クマリン525およびクマリン540A、シグマアルドリッチジャパン株式会社、日本国、Sigma-Aldrich, USAの子会社からならびにクマリン6、8−ヒドロキシ−キシノリン*、である。これらのレーザー色素に加えて、また、緑色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばAmerican Dye Sources Inc., Canadaからの色素ADS061GE、ADS063GE、ADS108GE、ADS109GEおよびADS128GEもまた、用いてもよい。また、これらの色素を、個々に、または適切な混合物の形態で、本発明にしたがって用いてもよい。
【0033】
ここで用いることができる、赤色スペクトル領域において放出するレーザー色素は、商業的に入手可能である:例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であるDCM、Fluorol555、ローダミン560過塩素酸塩、ローダミン560塩化物およびLDS698である。さらに、赤色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばAmerican Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能であるADS055RE、ADS061RE、ADS068RE、ADS069REおよびADS076REを、用いてもよい。また、これらの色素を、個々に、または適切な混合物の形態で、本発明において用いてもよい。
【0034】
あるいはまた、有機色素として、有機発光ダイオード(OLED)のために開発された光を放出する色素もまた、ここで用いてもよい。色素、例えば日本国特許第2795932号明細書に記載されている、色を変換することが可能であるものを、本発明にしたがって用いてもよい。論文S. A. Swanson et al., Chem. Mater., 第15巻(2003) 2305〜2312頁に記載されている色素もまた、有益に用いることができる。日本国特許出願の特開2004-263179(A)、同2006-269819(A)および同2008-91282(A)に記載されている青色色素および緑色色素および赤色色素もまた、用いてもよい。特に、赤色色素について、UV放射または青色光を変換する緑色発光色素を、日本国特許出願公開2003-264081(A)に記載されているように、緑色光を吸収し、赤色光を放出する、赤色光を発する色素と組み合わせて用いてもよい。これらの色素を、最も一般的には、それらがそれぞれの参考文献によって記載されているように用いてもよい。しかし、それらの化学構造を、公知の手段によって、例えばアルキル鎖の導入またはアルキル鎖の修正によってわずかに修正して、有機溶媒中での、および特に液晶中でのそれらの可溶性を増大させることが必要であり得る。
【0035】
青色無機蛍光体として、日本国特許出願公開2002-062530(A)に記載されている、Cuで付活された硫化亜鉛蛍光体および/または、日本国特許出願公開2006-299207(A)に記載されている、Euで付活されたハロホスフェート(halophosphate)蛍光体、Euで付活されたアルミン酸塩蛍光体を、用いてもよい。緑色無機蛍光体について、日本国特許出願公開2006-299207(A)に記載されている、CeまたはTbで付活された希土類元素ホウ酸塩蛍光体を、用いてもよい。赤色発光のために、日本国特許出願公開2006-299207(A)に記載されている、Euで付活された硫化ランタン蛍光体またはEuで付活された硫化イットリウム蛍光体を、用いてもよい。
【0036】
日本国特許出願公開2007-063365(A)に記載されている、色中心としてBaSおよびCu2+からなる黄色蛍光体ならびに、日本国特許出願公開2007-63366(A)に記載されている、色中心としてBaZnSおよびMn2+からなる赤色蛍光体もまた、用いることができる。前述の日本国特許第3503139号明細書に記載されている、Ceで付活されたガーネット蛍光体、日本国特許出願公開2005-48105(A)に記載されている、赤色蛍光体、日本国特許出願公開2007-262417(A)に記載されている、ベータ−サイアロン緑色蛍光体、Caアルファ−サイアロン赤色蛍光体もまた、用いることができる。上述の蛍光体を、粉砕材料(ground material)として、および/または光変換層中に分散した、表面修飾材料として用いることができる。WO 2006-017125に記載されている量子ドットもまた、用いてもよい。
【0037】
本発明の電気光学的スイッチング素子における光変換手段によって、色度範囲が増大し、バックライトからの光分布の均一性が改善され、短波長を有する光の透過が抑制され、したがって液晶材料に対する損傷が低減されるか、またはさらに防止される。
本発明によれば、用いる光変換手段は、例えば1種または数種の有機色素および/または無機蛍光体を含む単一層の形態を有するか、あるいは異なる色素および/または無機蛍光体を各々の層中に含む、積み重ねた層の形態を有してもよい。それらはさらに、事実上連続的であるかまたはそれぞれパターン化された空間的構造であり得る。
【0038】
本発明の第3の好ましい態様によれば、光の強度を変更、すなわち、電圧を印加することで光の強度をスイッチまたは制御することが可能な素子として使用されるものは、電気泳動スイッチング素子である。これらの態様は、それぞれ図3および4に概略的に示される。速い応答時間を有するディスプレイの実現を可能にするために、これらの電気泳動スイッチング素子において、荷電粒子は、流体媒体、好ましくは低い粘性を有する液体の中で、浮遊/分散されている。本発明の1つの好ましい態様において、公開の日本国特許出願公開2006-058550(A)に記載されているように、荷電粒子は、プラスチック材料、電荷制御剤および着色剤から成る。プラスチック材料として、例えば、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリラート樹脂および/またはポリエステル樹脂を利用してもよい。
【0039】
粒子に負電荷を与える電荷制御剤として、例えば、サリチル酸の金属錯体、金属原子またはイオンを含有するアゾ色素、金属イオンまたは原子を含有する疎水性色素材料、(第3級)アンモニウム化合物および化合物(例えば、ベンジル酸ホウ素錯体)を含有するホウ素を利用してもよい。粒子に正電荷を与える電荷制御剤として、例えば、ニグロシン色素、トリフェニルメタン化合物、(第3級)アンモニウム化合物、ポリアミン樹脂およびイミダゾール誘導体を使用してもよい。着色剤として、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラックおよび活性炭を利用してもよい。低い粘性を持つ流体として、乾燥空気、窒素、不活性ガス、および/または、真空でさえもセル内で利用してもよい。荷電粒子としては、例えば、樹脂で覆われたカーボンブラック等の帯電された着色顔料が記載されている、日本国特許出願公開2007-240679(A)に記載されている粒子を利用してもよい。セルはまた、水、アルコールおよび/またはオイル等の透明な液体で充填してもよい。
【0040】
図3aに示されるように、基材上には2つの電極(303)が付着しており、規定のねじれ方向を有するコレステリック液晶層の上方基材および下方基材上のそれぞれの1つは、下部電極の上部上に用意され、前記コレステリック液晶層の一部は、前記コレステリック液晶層の残りの部分より薄い厚さを有する。コレステリック液晶層は、凹形状または下の電極に到達する孔を有していてもよい。
【0041】
適切な極性を有するDC電圧が電極に印加される場合、その電圧により荷電粒子(301)の電荷と逆の符号を有する電荷で下部電極を荷電し、荷電粒子は、図3aに示されるように、層の凹部分、それぞれの欠落部分の上に集められる。そして、コレステリック液晶層は、スイッチング素子の略すべての領域において露出する。そして、周囲光(306)は、コレステリック液晶層により選択的に反射され、コレステリック液晶層のキラルピッチ(chiral pitch)にマッチする波長領域における光は、強力に反射される。反射光だけを活用する反射モードにおいて、光吸収材料は、下部基材の上部上または下に位置してもよい。
【0042】
図3bは、上記図3aの場合と逆の極性を有するDC電圧が、電極に印加される場合の状態を示す。ここで、上部電極は、荷電粒子(301)の電荷と逆の符号を有する電荷が帯電される。その結果として、この状態の荷電粒子(301)は、上部電極上に集められ、スイッチング素子の全ての領域は黒色にレンダリングされる。
【0043】
このような電気光学的スイッチング素子は、アクティブマトリックス駆動方法により便利にアドレスされてもよい。電圧は、例えば、薄膜トランジスタ、好ましくは基材の少なくとも1つの上に位置する薄膜トランジスタ等の、非線形電子スイッチング素子を介して、電気光学的スイッチング素子の電極に便利に印加してもよい。この場合、対電極は、TFT(s)を支える基材と逆の基材のために便利に提供される。代替として、印加される電圧は、電極が上部および下部基材上にそれぞれ用意される、パッシブマトリックス駆動により制御してもよく、前記電極は、好ましくはストライプ形状であり、基材のどちらかの上で異なる方向に伸び、前記方向は、例えば、1つの基材上の線形状の電極が“x”軸方向に伸びる場合、他の基材上のものが“y”軸方向に伸びるように、お互いに相互に直交(例えば、垂直)する。
【0044】
図3に示される態様において、コレステリック液晶層は、電気光学的スイッチング素子の隣接する電極の電界を修正する誘電体層として利用してもよい。
しかしながら、図4aおよび4bに描かれるように、適切な誘電体層(409)は、コレステリック液晶層(405)とは分離および独立して製造してもよい。誘電体層は、窒化シリコンおよび/または酸化シリコンのスパッタフィルム等の無機材料、および/または、光重合性樹脂等の有機材料から成るものでもよい。
【0045】
図4aおよび4bはまた、本発明のより好ましい態様の他の側面を描く。図3に描かれる態様において、コレステリック液晶層の励起のために光源は利用されていない。しかしながら、反射光(410)を活用するたけでなく、バックライトを電気光学的スイッチング素子に提供して、反射光(410)に加えて放出された光(411)を利用することもまた可能であり、場合によってはむしろ望ましい。この場合、1つまたは2つ以上の発光部分(407)を含む発光材料は、図2に描かれる態様のように、コレステリック液晶層(405)内に埋め込まれる。この発光材料は、周囲光および/またはバックライト(408)の光により励起してもよい。特に、小さなストークスシフトを示す発光材料を利用する場合、発光材料を励起するのは周囲光だけで十分である。発光材料を励起するために光源(408)を利用する場合、励起のための光を通し、同時に可視光を吸収することが可能なフィルタを、コレステリック液晶層およびバックライトの間に配置、および/または、カラーフィルタを、上部基材のどちらかの側の上に配置してもよい。
【0046】
上記のように、本発明のこれらの態様においては、荷電粒子を採用する電気光学的スイッチング素子が利用される。荷電粒子を採用するこれらの電気光学的スイッチング素子に加えて、日本国特許出願公開H09-185087(A)(1997)に記載されているような、電気泳動ディスプレイを利用してもよい。
本発明の第4の態様は、例えば、ポリマー分散液晶ディスプレイ(PDLC)等の、低い分子量を有する液晶材料およびポリマーを含む複合材料を利用する、電気光学的スイッチング素子を、光の量を制御する光学的素子として利用する。この態様は、図5aおよび5bに概略的に描かれている。電気光学的スイッチング素子の動作原理は、PDLCおよび再帰反射体(retro−reflector)を活用する、偏光板なしの反射型液晶ディスプレイの場合と同様である。
【0047】
図5aは、PDLCが光を散乱する状態を示す。通常モードのPDLCでは、これは“非作動”状態であり、PDLC層を挟む基材上のそれぞれの電極には、電圧は印加されない。PDLCの反転モード(“フェイルセーフモード”とも呼ばれる)では、作動状態、すなわち、PDLC層を挟む基材上のそれぞれの電極に適切な大きさの電圧が印加された状態である。これらのモードのどちらにおいても、電極に印加される電圧は好ましくはAC電圧である。いくつかの態様において、印加される電圧は、正弦波形状(sinus-shaped)の時間関数を有し、一方では、いくつかの応用において、好ましくは矩形波(方形波)が適用される。しかしながら、例えば、三角波または“のこぎり歯”形状の波のような、他の波動関数を適用してもよい。
【0048】
図5aに示されるPDLCの散乱状態において、低い分子量(501)を有する液晶およびポリマー(502)を含む複合材料系(例えば、PDLC)により散乱されずにコレステリック液晶層(505)に到達した周囲光(506)の一部は、コレステリック液晶層(505)により選択的に反射され、また、PDLC(501および502)により散乱される。
したがって、観察者は、観察者の瞳孔の方向から入射する光とは別の光を観察すること、および、ピクセルにおける選択的に反射されたカラーを見ることが可能である。
【0049】
図5bに概略的に示されるように、PDLCが逆の状態、すなわち透明な状態である場合、観察者は、実際に光をまったく見ることはなく、スイッチング素子は黒色に見える。これは特に、各々のコレステリック液晶層が人間の目の瞳孔より小さい場合に保持される。この効果は、以下のように理解してもよい。コレステリック液晶の選択的な反射が、単一方向に高く集中する。コレステリック液晶層が、人間の目の瞳孔より小さい伸張部(extension)を有する場合、反射光の殆どは、瞳孔の方向から偏位した角度から入射する。
【0050】
他の態様において、コレステリック液晶層のねじれ軸を故意に乱すことは、例えば、日本国特許出願公開2005-003823(A)に記載されるように、視界の強化のために効果的である。しかしながら、本発明において、コレステリック液晶層のすべてのねじれ軸が、1つの同じ方向に整列されることは非常に望ましい。この種類の配向は、例えば、以下の工程により、容易に実現できるであろう。配向層は、機械的に塗布、および/または、光化学的に処理され、コレステリック液晶の層は、配向層の上部に被覆される。そして、コレステリック液晶の層は、その透明点より上の温度(すなわち、等方相へ遷移する温度)まで熱せられ、そして、周囲の温度まで徐々に冷えるに任せられる。
【0051】
相変化モードにおいて動作する液晶セルは、PDLCモードにおいて動作するセルまたはフィルムの代わりに利用してもよい。相変化モードにおいて動作するセル内で利用される液晶材料は、好ましくはスメクチック材料、好ましくはS位相を示す材料、または、適切なピッチのコレステリック材料である。これらの液晶セルは、散乱モードにおいて利用されるため、偏光板を利用する必要がない。利用されるこれらのコレステリック液晶は、その状態を、好ましくは、その散乱焦点円錐配向から、そのプレーナーな(または、ホメオトロピック)透明状態へ変化させる。これらの電気光学的モードは、これらがメモリー効果を示すために特に有益である。
【0052】
本態様によれば、カラーフィルタの利用は必須ではない。しかしながら、カラーフィルタを利用してもよい。それらは好ましくは上部基材、すなわち、観察者に面した基材上に配置される。カラーフィルタが利用される場合、電気光学的スイッチング素子の明るさの減少が観察され得る。しかしながら、明るさの減少は、カラーフィルタの異なるカラー(すなわち、カラーフィルタのそれぞれの部分の最大透過の波長領域)の透過を、コレステリック液晶の対応する部分の選択的な反射領域にマッチングさせることにより、最小限にしてもよい。
【0053】
代替として、“広帯域”反射コレステリック液晶の、すなわち、広範囲の波長を有する“選択的”反射を示すコレステリック液晶の層を適用してもよい。そのような広帯域反射コレステリック液晶は、例えば、層の厚さを通した位置の関数として、徐々に変化するコレステリックピッチを有するコレステリック層を用意することで実現してもよい。そのような層を用意することは、単純で直截的で有り得る。
広帯域コレステリック液晶の第1の層のそれと比較して逆のねじれ方向を有する、広帯域コレステリック液晶の第2の層を追加することは、結果的に最も明るい画像を実現する。
【0054】
本発明の第5の態様もまた、図6に示されるように反射光の量を制御する光学的素子として、好適な電界内に2つの逆極性に荷電された半球体を有する球体の回転を活用する、電子ジャイロ効果を利用する。最初に、半球体は、適した選択反射を有するコレステリック液晶層で覆われる一方、他の半球体は、黒色物質で覆われる。また、従来の電子ジャイロディスプレイの場合のように、2つの半球体は、お互いに逆の符号の電荷が荷電される。
【0055】
これらの球体は、以下のように用意される。日本国特許出願公開H11-085069(A)(1999)の説明と同様に、50μmの平均直径を有する酸化亜鉛の球体が、光活性コレステリック液晶材料の溶液に浸され、例えば、プロピレングリコール・モノメチルエテル・アセタートを有機溶媒として利用してもよい。そして、球体はコレステリック液晶層で覆われる。コレステリック液晶層は、UV照射により光重合される。そして、覆われた球体は、電極上に広がり、コロナ放電を利用して、それらの表面が帯電される。放電により処理された領域の曝露の後、黒色トナーを利用した光の改善が行われ、最後に焼結(すなわち、加熱)によりトナーが固定される。
【0056】
1つは黒色で、他は好適な選択反射を持つコレステリック液晶の層で覆われた、2つの逆帯電された半球体を有するこのような球体(601)もまた、日本国特許出願公開H10-214050(A)に記載されるような方法を利用して得ることができる。平均直径50μmを有するチタン酸バリウムの小さな球体は、光活性コレステリック液晶材料の溶液に浸され、前記コレステリック液晶の層で覆われる。
【0057】
層のコレステリック液晶の光重合の後、球体は水中のビニル・アルコールの溶液内に分散され、電極を支える基材の中へのスピンコーティングにより適用される。球体の下部半球体は、ビニル・アルコールで覆われる。上部電極は球体と接触させ、球体を分極させるために、上部および下部電極に約3kVの電圧が約10時間印加される。そして、上部基材が取り除かれ、球体を伴った下部基材は、真空蒸発システムの中へ運ばれる。蒸発フッ化マグネシウムおよび二硫化アンチモンなどの黒色材料は、蒸発され、各1つの球体の2つの半球体の1つの上に浸される。そして基材は、界面活性剤を含むアセトン溶液に浸され、コレステリック液晶層に覆われた1つの半球体、および、黒色材料で覆われた他の半球体を有する、偏光された球体が得られる。そして球体は、シリコンオイルなどのオイルまたは透明ポリマー・マトリクス中に分散され、電極または球体の分散に面したその内側上の電極がそれぞれに提供された、2つの基材により挟まれる。そして、日本国特許出願公開H11-085069(A)(1999)およびH10-214050(A)(1998)に記載されているように、好適な大きさのDC電圧を印加することにより、画像が表示される。
【0058】
この態様において、コレステリック液晶の層は、光のための高効率の反射板としての役割を果たす。それは光を放出する材料をさらに含んでもよい。小さなストークスシフトおよび/または量子ドットを持つそのような光放出物質を含む場合、選択的な反射だけでなく、蛍光性(および/または)リン光を発する光が、画像を表示、ひいてはかなり明るい画像を表示することに貢献する。
すべての態様において、必要であれば、より明瞭な画像を提供するディスプレイを作成するために、カラーフィルタを適用してもよい。
本発明のすべての態様のために、図7に示されるように、観察者に面したコレステリック液晶(702)の層側の上の追加的な層(701)に、発光部分を含む材料を埋め込んでもよい。この場合、例えば、多種多様なマトリックス物質が利用可能で、放出光がコレステリック液晶層により反射される等の、好ましい効果が実現可能である。
【0059】
さらにまた、図8に示されるように、励起光(803)を再利用するコレステリック層(805)を利用してもよい。コレステリック液晶層のピッチは、励起光(803)の波長にマッチする。したがって、表示される画像を作成する光(804)は、これらの層の影響を受けない。コレステリック液晶の層は、セルの内側に位置してもよい。しかし、これらは、代替的にセルの外側に位置してもよい。後者の態様は、製造工程の大幅な簡略化をまさに実現する。
【0060】
本発明の第6の態様は、小型の電気機械スイッチング素子、すなわち、微小機械スイッチング素子を、上記電気光学的スイッチング素子の代用として利用する。この応用の専門用語において、電気光学的スイッチング素子なる用語はまた、これら微小機械スイッチング素子を含む。このような微小機械スイッチング素子の一般例は、Hagood, N., Steyn, L., Fijil, J. Gandhi, J., Brosnihan, T., Lewis, S., Fike, G., Barton, R. Halfman, M., and Payne, Richard, “MEMMS-Based Direct View Displays using Digital Micro Shutters”, Proceedings of IDW ’08, pages 1345-1348に記載されるように、例えば、テキサス・インスツルメンツ社の“Digital Light Processing、DLP(登録商標)”デバイス、または、微小機械シャッター(MEMS)に利用されるような、ヒンジマイクロミラー(hinged micro-mirrors)である。 “デジタル・マイクロシャッター、DMS(登録商標)”とも呼ばれる、これらのMEMSシャッターは、光の通路を機械的にブロックするための機械的シャッターとして、数μmの範囲の寸法を有する可動部分を利用する。
【0061】
シャッターは、電界を適用することで作動する。これらの電気光学的スイッチング素子において、適切なカラーの光を反射するコレステリック液晶の層は、光源に面する側上のデバイス、すなわち、微小シャッター自体に到達する前に光が通過するスロットの内側に好適に製造される。好ましくは、1つのサブピクセルに対してそれぞれ1つのコレステリック層のアレイが製造される。1つのサブピクセルのそれぞれにおいて、好適なスペクトル特性の単一コレステリック層を利用することが可能である。このコレステリック層は、2つの可能性のある螺旋ねじれ方向のどちらか1つを有していてもよい。しかしながら、特に反射光の強度を最適化することを考慮して、好ましくは、相互に逆のねじれ方向を有する2つのコレステリック層のスタックが利用される。これらのコレステリック液晶層は、蛍光色素または蛍光体などの、発光部分を含む材料を含んでいてもよい。
【0062】
利用されるコレステリック液晶層の固有の着色のため、これらのデバイスは、カラー画像を描くためのカラーフィルタを利用する必要がない。さらにまた、好ましくは光源からの光路のすべての領域幅を覆う、各サブピクセル内のコレステリック液晶層のそれぞれの部分の着色は、通常のMEMSデバイスで起こる視差問題を取り除く。これらのデバイスの操作を改善するために、好ましくは470nmまたはそれ以下、例えば400nmのやや短い放出の波長を有する光源を利用することが望ましい。これらの波長は、発光部分の励起のために好ましい。しかしながら、より小さな波長は、ほとんどの場合、利用される様々な材料の分解につながるため、望ましくない。ここで光源として特に好ましいのはLEDsである。
【0063】
自然な周囲光に加えて、光源からの光を光放出物質を励起するために利用してもよい。この光のために、例えば、好ましくは400nm〜470nmの間の範囲の波長を有する光が、照射のために利用される。そして、薄暗いまたは暗い周囲照明条件の下であっても、より明るい画像を表示することができる。
本発明によれば、励起に利用される好ましい光は、400nmまたはそれ以上の波長、すなわち、紫色光を含むがUV放射は含まず、好ましくは、420nmまたはそれ以上、より好ましくは435nmまたはそれ以上の波長を持つ光である。
本発明によれば、すべての既知のLCDモード、例えば、ねじれネマチック(TN)モードおよび垂直配向(VA)モードを、液晶スイッチング層に適用してもよい。
当業者にとって、本発明の好ましい態様は、本出願の一部を形成する、本出願と共に提出された特許請求の範囲から明らかである。
液晶の融点T(C,N)、スメクティック(S)相からネマティック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)を、摂氏度において示す。
本出願において、すべての温度を摂氏度(セルシウス度、短縮形℃)において示し、すべての物理的データは20℃の温度に該当し、すべての濃度は、他に明確に述べない限りすべて重量パーセント(重量当たりの%)である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、電気光学的スイッチング素子としての二色性色素をドープしたねじれネマチック液晶の層を利用した、本発明の態様の略図である。a)は、電圧不印加時のねじれネマチック状態。b)は、電圧印加あり。
【図2】図2は、バックライトを追加的に利用した、図1の改良された態様の略図である。a)は、電圧不印加時のねじれネマチック状態。b)は、電圧印加あり。
【図3】図3は、電気光学的スイッチング素子として電気泳動セルを利用した、本発明の態様の略図である。a)は、下側電極が粒子の電荷に対して逆極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。b)は、下側電極が粒子の電荷に対して同極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。
【図4】図4は、バックライトを追加的に利用した、図3の改良された態様の略図である。a)は、下側電極が粒子の電荷に対して逆極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。b)は、下側電極が粒子の電荷に対して同極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。
【図5】図5は、低分子量の液晶および電気光学的スイッチング素子としてのポリマーの複合材料の層を利用した、本発明の第5の態様の略図である。a)は、電圧不印加状態。b)は、電圧印加あり。
【図6】図6は、電子ジャイロ電気光学的スイッチング素子を利用した、本発明の第6の態様の略図である。a)は、下側電極が球体粒子の黒色部の電荷に対して逆極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。b)は、下側電極が球体粒子の黒色部の電荷に対して同極性の電荷によって荷電されるように、直流電圧印加時。
【図7】図7は、発光部分を含む材料が(夫々の部分が)追加的な層に埋め込まれた態様の略図である。
【図8】図8は、励起光を反射する層が、光を放出する層上に配置されている態様の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】

本発明は、以下の例によってより詳細に説明される。それらは、本発明を、いかなる意味においてもそれを限定せずに例示することを意図する。
しかし、それらの組成、構成および物理特性を含む種々の態様は、専門家に極めて良好に例示され、当該特性を、本発明によって達成することができ、また、特に、当該範囲において、それらを変更することができる。特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせを、このように専門家のために良好に定義する。
【実施例1】
【0066】
例1
青色、緑色および赤色の選択的反射および各色のための2つのねじれ方向に対応する、コレステリック液晶の6つの層は、ドイツ、メルクKGaA社から商業的に入手可能な光開始剤を含む、反応性メソゲンの混合物である、光重合液晶材料RMM34Cを利用して用意される。キラル成分は、右巻きねじれのためのBDH1281(メルクKGaA社から入手可能)、および、左巻きねじれのためのS-5011(メルクKGaA社から入手可能)である。キラル成分の濃度は、BDH1281用で、それぞれ4.54%(青色)、3.78%(緑色)および3.00%(赤色)であり、S-5011用で、それぞれ2.87%(青色)、2.44%(緑色)および1.95%(赤色)である。
【0067】
ガラス基材は、通常通りに洗浄されて乾燥され、日本の東京化成のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液が、1500rpmのスピンコーティング(spin-coating)で適用される。そして基材は30分間80℃の温度で固化(cure)され、その後夫々一つの方向にラビングされる。各キラル成分にドープされたRMM34Cは、プロピレングリコール・モノメチル・エーテル・アセタート(PGMEA)内で溶解され、60%の溶液は、ラビングされたPVAで覆われた基材上で1500rpmでスピンコーティングされる。そして、各基材は30分間60℃の温度で乾燥される。この工程で形成されたコレステリック液晶構造は、365nmの波長を有するUVによる、(2000±50)mJ/cmの照射に曝されることにより開始される重合により安定化される。
結果として生じるコレステリック液晶の層の反射スペクトルは、輝度計CS−1000(コニカミノルタ、日本)、および、光源として、Dolan-Jenner Industriesの白熱灯Fiber Lite Model 190を利用して測定される。入射光は、基材に対して垂直な方向から30°傾けられ、反射は、垂直方向から検出される。R−円偏光板またはL−円偏光板のどちらかが、コレステリック層に面したその四分の一波長板の側と共に、コレステリック液晶層上に配置される。参考用に、完全に散乱する板が利用され、関連する反射光の強度が測定される。
【0068】
ここで、右巻きに円偏光された光だけを透過する、R−円偏光板(美舘イメージング、日本)は、直線偏光板に対して広い範囲の波長を有する四分の一波長の板を配置することにより実現され、よって、その光軸は、偏光板の透過軸に対して45°時計回りにねじられる。左巻き回転方向を有する円偏光光だけを透過する、L−円偏光板(美舘イメージング、日本)は、直線偏光板および四分の一波長板の組み合わせを含み、そこでは、四分の一波長板の遅軸は、偏光板の吸収軸に対して45°回転する。
【0069】
右巻きねじれコレステリック液晶層による結果が、表1に示される。明確に分かるように、右巻き円偏光された光だけが、各々の選択的反射周波数領域において反射されている。結果的な左巻きねじれコレステリック液晶層(表2)は、略同じであり、右巻き方向および左巻き方向が反対であることだけが異なる。
【0070】
表1:右巻きねじれコレステリック液晶層の反射の相対強度
【表1a】

【表1b】

注釈:*)右:右巻き円偏光板を持つ
#)左:左巻き円偏光板を持つ
n.d.:測定されていない
【0071】
表2:左巻きねじれコレステリック液晶層の反射の相対強度
【表2a】

【表2b】

注釈:*)右:右巻き円偏光板を持つ
#)左:左巻き円偏光板を持つ
【0072】
ドイツ、メルクKGaA社から商業的に入手可能な、二色性色素F355、F357およびF593は、これもドイツ、メルクKGaA社から商業的に入手可能な、液晶ZLI−3449−100およびMLC−6609の中へ組み込まれる。ZLI−3449−100およびMLC−6609の物理的性質は、表3に示される。2つの種類のセルが用意される。タイプ(1)のセルは、アンチパラレルラビング(anti-parallel rubbing)で処理されたホモジニアス配列を含むポリイミドで覆われたパターン化されたITO電極を有し、セルギャップ10μmを有し、タイプ(2)のセルは、直交ラビング(ねじれネマチック状態へ導く)で処理されホモジニアス配列を含むポリイミドで覆われたパターン化されたITO電極を有し、6μmのセルギャップを有する。
【0073】
表3:LC混合物ZLI−3449−100およびMLC−6609の物理的性質
【表3】

【0074】
二色性色素、F355、F357およびF593の二色性比率および吸収波長領域をチェックするために、各色素が1%の濃度でZLI−3449−100の中へドープされた。個々の混合物は、上記タイプ(1)のセルの中へ注入された。ラビング方向に平行および垂直の両方である、直線偏光された光のためのその吸収スペクトルは、表4に示される。明らかに高い二色性比率が、可視波長領域において達成されている。
【0075】
表4:1%の濃度でアンチパラレルに塗布されたセルを持つ、ZLI−3449−100における3つの色素F355、F357およびF593の吸収度
【表4a】

【表4b】

【0076】
スイッチング素子として利用されるTNセルは、以下のように製造される。二色性色素F355、F357およびF593が、それぞれ3%の濃度でドープされた、ネマチック液晶混合物は、上記タイプ(2)のセルの中へ充填される。これは、表1および2に示される反射性質を持つコレステリック液晶層の2つのスタックされた層の前に配置される。このアセンブリの反射は、コレステリック液晶層自体の測定と同様の方法で測定される。入射光は再び基材に垂直な方向から30°傾斜され、反射は垂直方向から検出される。この測定において反射板は利用されない。TNセルに対して、電圧が印加されていない(0Vの電圧)各カラーの反射スペクトルおよび40Vの電圧が印加された場合の、青色、緑色および赤色反射が表5、6および7に示される。明確に示されるように、各カラーは、二色性色素を含むTNセルによりスイッチされている。
【0077】
表5:青色、緑色および赤色スペクトル領域における、2つのスタックされたコレステリック液晶層からの相対反射強度
【表5a】

【表5b】

注釈:n.d.:測定されていない
【実施例2】
【0078】
例2
例1と同様の方法により、蛍光色素を持つコレステリック液晶層は、以下のように製造される。3つ目のセル(タイプ3)が用意される。この目的を達成するために、洗浄および乾燥されたガラス基材が、日本の日産化学のポリイミド配向層SE−7492の好適な溶液で、1500rpmでスピンコーティングされる。基材は、3分間100℃で予備加熱され、1時間200℃で湾曲され、後に1つの方向へ塗布される。商業的に入手可能な、12.5μmの厚さを持つポリイミド(デュポン社のカプトンフィルムHタイプ50H)が、2つの基材の間のスペーサーとして利用され、基材は、アンチパラレル配向で組み立てられ、ポリイミド粘着テープを利用して固定される。
【0079】
コレステリック液晶層は、ドイツ、メルクKGaA社から商業的に入手可能な光重合性液晶材料RMMC34Cを利用して用意され、商業的に入手可能なキラル成分BDH1281(メルクKGaA社から)でドープされる。RMMC34Cにおけるキラル成分の濃度は4.54%であった。Exciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能である、青色色素クマリン−500は、この重合可能な混合物の中へ、2.74%の濃度で組み込まれる。混合物は、上の章に示されるタイプ3の液晶セルの中へ導入される。混合物を持つセルは、混合物が等方相になる温度である、80℃まで熱せられ、次に冷却速度0.1/分で、25℃まで冷却される。そして、コレステリックLC構造が、UVの照射に曝されることで開始される重合により安定化される。365nmの波長を持つUV放射が利用され、曝露量は、(2000±50)mJ/cmである。
【0080】
コレステリックLC層の性質は、例1に示されたものと同様の方法で調査された。コレステリック液晶層にドープされた色素からの発光および反射におけるスペクトルは、輝度計CS−1000(コニカミノルタ、日本)を利用して測定される。励起のために、400nmの波長を持つLED(ダイナテック株式会社のLB−50/150UV−400)が利用される。一方で、反射の測定のためには、白熱灯(Dolan-Jenner IndustriesのFiber Lite Model 190)が利用される。ここで再び、入射光は、基材に垂直な方向から30°傾けられ、反射は垂直方向から検出される。発光スペクトルの結果は、表6aに示され、反射スペクトル(反射板が利用されない場合、R−円偏光板が利用される場合、および、L−円偏光板が利用される場合、それぞれ3つの場合における)は、表6bに示される。発光ピークは、約467nmの波長に位置し、明らかに選択的反射ピークである、反射ピークは、約460nmの波長に位置する。
【0081】
表6a:コレステリックLC層の発光スペクトル
【表6a】

【0082】
表6b:コレステリックLC層の反射スペクトル
【表6b】

【0083】
例1の場合と同様に、ドイツメルクKGaA社から商業的に入手可能な、二色性色素F357は、これもドイツメルクKGaA社から商業的に入手可能な、2つの液晶ZLI−3449−100およびMLC−6609の中へ組み込まれる。これら混合物の物理的性質は、上記表3にすでに示されている。
二色性色素F357の二色性比率および吸収波長領域をチェックするために、10%のF357が混合物MLC−6609の中へドープされ、結果としての混合物は、図1に示されるように、、アンチパラレルラビング(anti-parallel rubbing)処理がなされてセルギャップ10μmを有する、ホモジニアス配列を含むポリイミドで覆われたパターン化されたITO電極を有する、タイプ1のセルの中へ注入される。ラビング方向に平行および垂直な直線偏光光の吸収のための、このセルのスペクトルは、表7に示される。明確に示されるように、F357は、可視スペクトルの青色領域における吸収を有する。
【0084】
表7:MLC−6609におけるF357のスペクトル特徴
【表7】

【0085】
例1に示された調査と同様に、ここで3%のF357でドープされたZLI−3449−100は、ラビング処理され、2つの基材のそれぞれのラビング方向がお互いに垂直となるように組み立てられ(組み立て後は、ねじれネマチック状態へ導く)、6μmのセルギャップを有する、ホモジニアス配列を含むポリイミドで覆われたパターン化されたITO電極を有する、TNセルである、タイプ(2)のセルの中へ注入される。コレステリック液晶層の前に配置される、色素がドープされたZLI−3449−100を含む、TNセルのための透過および反射両方のスペクトルも、輝度計CS−1000(コニカミノルタ、日本)を利用して測定され、その光学的性質は、表6aおよび6bに示される。励起のために、ここで400nmの波長のLEDが再び利用される。その結果は、表8a(透過スペクトル)および表8b(反射スペクトル)に示される。明確に示されるように、好適な電圧の印加により、透過および反射の両方が増加し、透過および反射の両方が、二色性色素がドープされた液晶を含むセルにより同調される。
【0086】
表8a:種々の電圧が印加された、TNセルおよびコレステリックLC層のアセンブリの発光スペクトル
【表8a】

【0087】
表8b:種々の電圧が印加された、TNセルおよびコレステリックLC層のアセンブリの反射光スペクトル
【表8b】

【実施例3】
【0088】
例3
例2に示された調査と同様に、コレステリックLC層を介した透過およびからの反射の両方は、垂直配向(VA)の液晶を含む液晶セルを利用して同調される。3%のF357がドープされた混合物MLC−6609は、アンチパラレルラビング処理(垂直配向状態を与える)され、6μmのセルギャップを有する、ホモジニアス配列を含むポリイミドで覆われたパターン化されたITO電極を有する、タイプ3のセル、VAセルの中へ注入される。このセルは、例2で製造されたコレステリック液晶層の上に配置され、その光学的性質は、表8aおよび8bに示される。複合セル構造の電気光学的性質も、輝度計CS−1000(コニカミノルタ、日本)を利用して測定される。励起のために、上記のような400nmの波長を有するLEDが再び利用される。コレステリック液晶層の前に配置される、色素がドープされた混合物MLC−6609を含む、タイプ3のセルの透過および反射におけるスペクトルは、表9aに透過スペクトル、表9bに反射スペクトルが示される。明らかなように、適切な電圧を適用すると、透過および反射の両方が減少し、透過および反射の両方が、液晶セルの動作モードの如何に関わらず、色素がドープされた液晶を含む液晶セルにより同調される。
【0089】
これらの例は、コレステリック液晶層が、優れた光のための反射板および/または光の放出としてまさに働くこと、および、光の強度が、任意の光制御層を利用して効果的に制御し得ることを明確に示している。
【0090】
表9a:種々の電圧が印加された、VAセルおよびコレステリックLC層のアセンブリの発光スペクトル
【表9a】

【0091】
表9b:種々の電圧が印加された、VAセルおよびコレステリックLC層のアセンブリの反射スペクトル
【表9b】

【実施例4】
【0092】
例4
6つのコレステリック液晶層が例1に示されるように用意され、各カラーのための単層の反射性質は、3つのカラーそれぞれのために、右巻きねじれ方向を持つ1つの層、および、左巻きねじれ方向を持つ1つの層から成る、2つの層と比較して決定される。1つのカラーのための、右巻きおよび左巻き層は、お互いに同一であるが、利用されるキラル成分は、お互いに光学的に反対、すなわちお互いの光学異性体であり、よって、層はコレステリックピッチの大きさが同じだが、ねじれ方向はお互いに反対である。
【0093】
測定は、例1に示されるように、輝度計CS−1000(コニカミノルタ、日本)を利用して行われる。第一セットの実験、例えば4aにおいて、光源として、Dolan-Jenner Industriesの白熱灯Fiber Lite Model 190が利用される。入射光は、基材に垂直な方向から30°の角度で傾斜され、基材に垂直な方向において反射が検出される。光源およびコレステリック液晶層の間の距離は15cmである。代替として第二セットの実験、例えば4bにおいて、ダイナテック株式会社の白色LED(MDBL−CW25)も、光源として利用される。照明の強度は、ウシオ電機株式会社の分光放射計USHIOタイプUSR−40D−13を利用して測定される。
白熱灯および白色LEDの照明スペクトルは、それぞれ352μW/cmおよび43.8μW/cmとなる15cmの距離において測定される。白熱灯および白色LEDの照明スペクトルは、表10および表11にそれぞれ示される。
【0094】
表10:白熱灯の照明強度
【表10】

【0095】
表11:白色LEDの照明強度
【表11】

【0096】
例4a
単一層のコレステリック液晶層(左手系ねじれ方向)および二重層のコレステリック液晶層の反射強度は、表12において、白熱灯の照明の下で、3つのカラー(R、G、B)のそれぞれにおいて比較される。
【0097】
表12:白熱灯の照明下における、単層および二重層のコレステリック液晶層の反射強度
【表12】

注釈:*)右巻きねじれ方向
【0098】
表12aにまとめられたデータは、単層と比較して二重層の方が、すべてのカラーにおいてより高い反射強度を示していることを明確に示している。すべての反射強度は、各カラーのための反射の波長領域に渡る積分として決定されるため、二重層構造のための反射強度のすべてに渡る強度は、単一層行動のための値の約2倍である。この事実は、非偏光光を活用してもよい、e−ペーパーの応用に利用されるデバイスのための二重層構造の利点を示す。
【0099】
例4b
前例のサンプル層から、例5が再び調査される。ここでは、例4aで利用された白熱灯の代わりに、白色LED(例4の表11に示される発光スペクトルを有する)が光源として利用される。その結果が表13に示される。
【0100】
表13:白色LEDの照明下における、色素なしの単層コレステリックフィルム、および、色素ありの二重層のコレステリックフィルムの反射強度
【表13】

注釈:*)右巻きねじれ方向
これらの結果から明らかなように、二重層は、白色LEDの照明下においても、単層の値の約2倍の反射光強度をもたらす。
【実施例5】
【0101】
例5
例1に示されるように、3つのカラー、赤色、緑色および青色の各1つを反射するコレステリック液晶層の3つのセットが用意される。ここではしかし、緑色および赤色のために各3つ、青色のために2つの、計8つのコレステリック液晶層が製造される。2つの色、緑色および赤色の各1つのために、右巻きねじれ方向を有する1つの層が用意される。これら2つのカラーの各1つのために、各1つが右巻きおよび左巻き螺旋ねじれ方向を持つ、さらにもう2つの層が用意される。しかしながら、例1の層とは対照的に、これら4つの追加的なコレステリック層のそれぞれ、すなわち、カラー毎に2つにおいて、蛍光色素がコレステリック層の中へ組み込まれる。緑色選択反射を与える2つのコレステリック層のために、合成混合物の全質量の量に対して2.16%のアルドリッチから商業的に入手可能な緑色色素クマリン6が組み込まれる。赤色選択反射を与える2つのコレステリック層のために、合成混合物の全質量の量に対して0.2%のクマリン6と、0.26%の林原生物化学研究所から商業的に入手可能なNK−3590が組み込まれる。それぞれの色素を組み込んだ、相互に逆のねじれ方向を持つ層は、各カラーのための二重層の中へ組み込まれる。
【0102】
最後に、青色光を反射する2つのコレステリック液晶層がこの例のために用意される。これらはお互いに逆のねじれ方向を有する。これらの層の1つ、右巻きねじれ方向を持つ1つは、単層として調査され、そして両方が二重層の中へ組み込まれて、再び調査される。これら後者の2つの層は、どのような色素分子も含まない。
【0103】
例5a
3つが単層で3つが二重層である、これら6つの層は、例4aで示された白熱灯を利用して調査され、単層(右巻きねじれ方向を有する)のための反射強度は、二重層のそれ、緑色のそれ、および、赤色組み込み色素と比較される。表14において、色素のない単層のための反射強度は、二重層のそれと比較される。
【0104】
表14:白熱灯の照明下における、色素なしの単層コレステリックフィルム、および、色素ありの二重層のコレステリックフィルムの反射強度
【表14】

注釈:*)右巻きねじれ方向
【0105】
表14のデータは、反射された光の強度における、コレステリック層の中への色素の組み込みの多大な影響を明確に示す。特に、赤色スペクトル領域において反射するフィルムは、色素を含む二重層のための反射強度のピークは、色素を含まない単層のそれの3倍である。光の波長を変換する色素分子の効果により、短い波長を有する光が活用されたことが、寄与していることが分かる。さもなければ、短い波長を有するこの光は、反射に対して寄与しない。したがって、反射光の強度が、単層の代わりに二重層を利用することによる増大に加えて、コレステリック層の中へ色素を組み込むことによって、顕著に強化さることは明らかである。
【0106】
例5b
これら6つの層は、再び調査される。しかしここでは、例4bのように、白熱灯の代わりに白色KEDを光源として利用する。単層の反射強度は、表15において、各二重層のそれ、緑色のそれ、および赤色色素を組み込んだそれと比較される。
【0107】
表15:白色LEDの照明下における、色素なしの単層コレステリックフィルム、および、色素ありの二重層のコレステリックフィルムの反射強度
【表15】

注釈:*)右巻きねじれ方向
これらのデータは、コレステリック層の中へ色素を組み込む効果が、反射光の強度、白色LEDの照明を顕著に改善していることを明確に示す。
【0108】
図面の符号の説明
I.概論
1.図のaおよびb部分
それぞれの図面の第一の部分(すなわち、ラベル“a”の部分)においては、非スイッチ状態、、より強力な吸収状態、電気光学的スイッチング素子(複数)の低透過を持つ状態が示される。それぞれの図面の第二の部分(すなわち、ラベル“b”の部分)は、それぞれの補足的な状態を示す。図1b、2b、3aおよび3bにおいては、簡略化のために、単一の、例示的な電気光学的スイッチング素子だけが示される。図1a、2a、4a、4b、5aおよび5bにおいては、各1つが各カラー(R、G、B)のためのものである、3つのスイッチング素子が示される。
2.光路
図中の太矢じり印は、光路を示す。
3.光のカラー
R 赤色
B 青色
G 緑色
【符号の説明】
【0109】
1.図1aおよび1b
101 二色性色素
102 液晶分子
103 電極
104 TFT
105 コレステリック液晶
106 入射光
107 反射光
2.図2aおよび2b
201 二色性色素
202 液晶分子
203 電極
204 TFT
205 コレステリック液晶
206 1つまたは2つ以上の発光部分を含む材料
207 バックライトからの光
【0110】
3.図3aおよび3b
301 荷電粒子
302 流体材料
303 電極
304 TFT
305 コレステリック液晶
306 入射光
307 1つまたは2つ以上の発光部分を含む材料
312 スイッチング素子のセルのフレーム
4.図4aおよび4b
401 荷電粒子
402 流体材料
403 電極
404 TFT
405 コレステリック液晶
406 入射光
407 1つまたは2つ以上の発光部分を含む材料
408 バックライトからの光を伴うバックライト
409 誘電遮蔽
410 反射光
411 バックライトからの変換された光
412 スイッチング素子のセルのフレーム
【0111】
5.図5aおよび5b
501 ポリマー材料
502 低分子量液晶
503 電極
504 TFT
505 コレステリック液晶
506 入射光
6.図6aおよび6b
601 ねじれボール(twist ball)
602 電気泳動材料
603 電極
604 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
605 コレステリック液晶層
606 周囲光
607 コレステリック液晶層からの反射光
613 ねじれボールの黒色半球体
【0112】
7.図7
701 発光層
702 コレステリック液晶層
703 励起光
704 発光部から放出された光
8.図8
801 発光層
802 コレステリック液晶層
803 励起光
804 発光部から放出された光
805 励起光反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学的スイッチング素子であって、
選択的に光(可視光)を反射することが可能な、1つまたは2つ以上のコレステリック液晶層、および
光の強度を制御することが可能な、電気光学的素子
を含む、前記電気光学的スイッチング素子。
【請求項2】
光の波長をより長い値にシフトすることと、選択的に光(可視光)を反射することとが可能な、1つまたは2つ以上のコレステリック液晶層、および
光の強度を制御することが可能な、電気光学的素子
を含む、請求項1に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項3】
選択的に光(可視光)を反射することが可能な、1つまたは2つ以上のコレステリック液晶層、
光の波長をより長い値にシフトすることが可能な、1つまたは2つ以上の前記層とは別の層、および
光の強度(透過/反射/散乱)を制御することが可能な、電気光学的素子
を含む、請求項1または2に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項4】
照明(例えば、バックライトとして)のための手段を含む、請求項1〜3の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項5】
励起光を選択的に反射するための手段を含む、請求項1〜4の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項6】
励起光を選択的に反射するための手段を含み、前記励起光を選択的に反射するための手段が、コレステリック液晶材料を含む、請求項5に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項7】
光の強度を制御することが可能な電気光学的素子が、液晶材料を含む、請求項1〜6の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学的スイッチング素子であって、電気光学的素子が、つぎの液晶スイッチング素子の群から選択される液晶スイッチングを含むものである、前記スイッチング素子。
1つまたは2つ以上の二色性色素を含む液晶、
低分子量を有する成分およびポリマー成分(例えば、PDLC、NCAPまたはPNのような)を含む液晶の複合材料、および、
相変化液晶材料(例えば、S相変化材料またはコレステリック相変化材料)。
【請求項9】
光の強度を制御することが可能な電気光学的素子が、電気泳動スイッチング素子である、請求項1〜6の少なくとも1つに記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項10】
光の強度を制御することが可能な電気光学的素子が、電子ジャイロスイッチング素子である、請求項1〜6の少なくとも1つに記載の電気光学的スイッチング素子。
【請求項11】
光変換手段が、積層された層またはフィルムの層である、請求項10に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイ。
【請求項12】
光変換手段が、3つのカラー、赤色、緑色および青色それぞれのための分離した領域を有する、空間的に構造化/パターン化された層の形態を有する、請求項10に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイ。
【請求項13】
請求項11および12の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイを含む、電気光学的ディスプレイ。
【請求項14】
ディスプレイをアドレッシングすることが可能な、例えば、TFTsのマトリックスのような、アクティブマトリックスアレイを含むことを特徴とする、請求項13に記載のディスプレイ。
【請求項15】
請求項1〜10の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子、または、請求項11および12の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイの、電気光学的ディスプレイにおける使用。
【請求項16】
請求項1〜10の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子、または、請求項11および12の1つまたは2つ以上に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイの、情報の表示における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521521(P2013−521521A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555319(P2012−555319)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000644
【国際公開番号】WO2011/107215
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】