説明

電気光学装置、配線基板および電子機器

【課題】 半導体要素を基板上に実装したときに半導体要素と基板上の配線との間に接触不良が発生することを防止できる電気光学装置を提供する。
【解決手段】 液晶を含む液晶パネルと、その液晶パネルに接続されるFPC5とを有する電気光学装置である。そのFPC5には電源用IC33が実装される。電源用IC33にはバンプ33aが設けられる。FPC5には配線36,37が形成され、各配線36,37の先端にはランド部36a,37aが設けられる。駆動用IC33のバンプ33aはランド部36a,37aに導電接続される。ランド部36a,37aの幅T2は電源用IC33のバンプ33aの幅T1より広く形成する。または、ランド部はバンプ33aに対して少なくとも2本設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマディスプレイ装置等といった電気光学装置に関する。また、本発明は、その電気光学装置に用いる配線基板に関する。また、本発明は、上記の電気光学装置を用いて構成される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機、携帯情報端末機等といった各種の電子機器において、液晶表示装置、EL装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示するための表示部として電気光学装置が用いられている。この電気光学装置において、電気光学物質として液晶を用いた装置、すなわち液晶表示装置が知られている。また、電気光学物質としてEL(Electro Luminescence)を用いたEL装置も知られている。
【0003】
例えば、液晶表示装置は電気光学パネルとしての液晶パネルを有する。この液晶パネルは、一般に、それぞれが電極を備えた一対の基板の間に液晶層を介在させた構造を有する。この液晶層は、例えば次のようにして、すなわち、前記一対の基板の間にシール材によって囲まれた空間を形成し、この空間の中に液晶を封止することによって形成される。この液晶表示装置では、液晶層に光を供給すると共に該液晶層に印加される電圧を画素ごとに制御することにより、液晶層内の液晶分子の配向を画素ごとに制御する。液晶層へ供給された光は、液晶分子の配向状態に従って変調され、この変調された光を偏光板の液晶側表面に供給することにより、その偏光板の観察側表面に文字、数字、図形等といった像が表示される。
【0004】
上記の液晶パネルには、一般に、可撓性を備えた配線基板、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)が接続される。このFPCには入力用端子が形成され、この入力用端子に外部電源や種々の外部機器が接続される。そして、液晶パネルを駆動するための信号や電力が、FPCを通して外部機器や外部電源から供給される。また、FPCには、液晶パネルを駆動するために必要となる回路が形成される。この回路は、通常、ベース基板上に所定のパターンで配線を形成し、さらにコンデンサ、コイル、抵抗、半導体要素であるIC(Integrated Circuit)等といった回路部品をベース基板上の所定位置に実装することによって形成される。
【0005】
上記ICは、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)を用いて熱圧着することによってFPC上に実装される。このような実装構造は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この実装構造において、ICはその能動面に入出力用の複数の端子を有する。ICをベース基板上に実装したとき、それらの端子はベース基板上の複数の配線にそれぞれ導電接続する。この実装構造において、配線基板上に形成された各配線の幅は、実装されるICの端子の幅と略同じに形成されていた。
【0006】
【特許文献1】特開2002−164628号公報(第6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ICを配線基板上に実装する際には、ボンディングツールを用いて熱圧着を行う。この際、ボンディングツールとICとの間に異物が入ることによってボンディングツールに対してICが傾くことがある。このような場合には、配線基板に対して傾いた状態でICが実装されてしまうおそれがある。このように、ICが傾くと配線基板上の配線に対してICの端子の位置がずれるおそれがある。特許文献1に開示された液晶表示装置では、配線基板上の配線の幅とICの端子の幅とが略同じであるので、ICの端子が配線に対して位置ズレすると、端子と配線との間で接触不良が発生するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、IC等といった半導体要素を基板上に実装したときにその半導体要素と基板上の配線との間に接触不良が発生することを防止できる電気光学装置、配線基板および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明に係る第1の電気光学装置は、電気光学物質を含む電気光学パネルと、該パネルに接続される基板と、前記基板上に実装される半導体要素と、該半導体要素に設けられる端子と、該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線とを有し、前記ランド部の幅が前記半導体要素の前記端子の幅より広いことを特徴とする。
【0010】
上記第1の電気光学装置によれば、基板上に設けられたランド部の幅を半導体要素の端子の幅より広くしたので、半導体要素を実装する際の基板に対する半導体要素の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子とランド部とが確実に接触できる。そのため、半導体要素を実装する際において不良が発生することを防止できる。
【0011】
本発明に係る第1の電気光学装置において、前記ランドの幅は前記端子の幅の略2倍であることが望ましい。こうすれば、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子とランド部とがより確実に接触できる。
【0012】
次に、本発明に係る第2の電気光学装置は、電気光学物質を含む電気光学パネルと、該パネルに接続される基板と、前記基板上に実装される半導体要素と、該半導体要素に設けられる端子と、該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線とを有し、前記ランド部は前記半導体要素の前記端子に対して少なくとも2本設けられることを特徴とする。
【0013】
上記第2の電気光学装置によれば、半導体要素の端子に対してランド部を少なくとも2本設けたので、半導体要素を実装する際の基板に対する半導体要素の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子は2本のランド部の一方もしくは両方と接触できる。そのため、半導体要素を実装する際において接触不良が発生することを防止できる。
【0014】
また、本発明に係る第2の電気光学装置において、前記ランド部における前記少なくとも2本の配線のうちの隣接する配線の間隔は前記端子の幅より狭いことが望ましい。こうすれば、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子は2本のランド部の一方もしくは両方と必ず接触できる。
【0015】
また、本発明に係る電気光学装置において、前記半導体要素は前記電気光学パネルに電力を供給するための電源用ICであることが望ましい。こうすれば、電源用ICの実装に際して接続不良が発生することを防止できるので、電気光学パネルに電力を確実に供給できる。
【0016】
また、本発明に係る電気光学装置において、前記配線基板は可撓性配線基板であることが望ましい。可撓性配線基板とは、配線が形成された基板であって、可撓性を有する基板である。この可撓性配線基板としては、例えば、可撓性を有するプリント回路、いわゆるFPCが考えられる。
【0017】
次に、本発明に係る第1の配線基板は、基板と、該基板上に実装される半導体要素と、該半導体要素に設けられる端子と、該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線とを有し、前記ランド部の幅が前記半導体要素の前記端子の幅より広いことを特徴とする。
【0018】
上記第1の配線基板によれば、基板上に設けられたランド部の幅を半導体要素の端子の幅より広くしたので、半導体要素を実装する際の基板に対する半導体要素の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子とランド部とが確実に接触できる。そのため、半導体要素を実装する際において不良が発生することを防止できる。
【0019】
次に、本発明に係る第2の配線基板は、基板と、該基板上に実装される半導体要素と、該半導体要素に設けられる端子と、該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線とを有し、前記ランド部は前記半導体要素の前記端子に対して少なくとも2本設けられることを特徴とする。
【0020】
上記第2の配線基板によれば、半導体要素の端子に対してランド部を少なくとも2本設けたので、半導体要素を実装する際の基板に対する半導体要素の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子は2本のランド部の一方もしくは両方と接触できる。そのため、半導体要素を実装する際において接触不良が発生することを防止できる。
【0021】
次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置を有することを特徴とする。本発明による電気光学装置は、半導体要素が傾いた状態で基板に実装されても、半導体要素の端子とランド部とが接触できるので、半導体要素を実装する際において接触不良が発生することを防止できる。そのため、この電気光学装置を用いた本発明に係る電子機器は、接触不良が発生することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(電気光学装置および配線基板の第1実施形態)
以下、本発明を電気光学装置の一例である液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、これ以降に説明する実施形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素をわかり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示している。
【0023】
図1は、本発明に係る電気光学装置である液晶表示装置の一実施形態を分解状態で示している。また、図2は、図1の液晶表示装置を組み立てた場合の要部の断面構造を示している。図1において、液晶表示装置1は、電気光学パネルとしての液晶パネル2と、可撓性を備えた配線基板としてのFPC5と、照明装置4とを有する。照明装置4は観察側(すなわち、矢印A方向)から見て液晶パネル2の背面側に配設されてバックライトとして機能する。なお、照明装置4は、液晶パネル2の観察側に配設してフロントライトとして機能させても良い。
【0024】
照明装置4は、導光体7と、その光入射面7aに対向して配置された光源としてのLED(Light Emitting Diode)6とを有する。導光体7は、例えば透光性の樹脂によって形成される。観察側から見て導光体7の背面側には、図2に示すように、必要に応じて反射層8が設けられる。また、導光体7の観察側、すなわち光出射面7b側には、必要に応じて拡散層9が設けられる。光入射面7aに面して配置したLED6から発生した光は、光入射面7aを通して導光体7の内部へ導入され、導光体7の内部を進行した後、光出射面7bから平面的な光として出射し、液晶パネル2へ供給される。なお、光源は、LED6以外の点状光源や、冷陰極管等といった線状光源によって構成することもできる。
【0025】
液晶パネル2は、図1において、第1基板11と、それに対向する第2基板12とを有し、それらの基板を矢印A方向から見て正方形又は長方形の枠状のシール材13によって貼り合わせて形成する。第1基板11と第2基板12との間には間隙、いわゆるセルギャップが形成され、その中に電気光学物質としての液晶が封入されて液晶層を構成する。
【0026】
図2に示すように、第1基板11は、矢印A方向からみて長方形または正方形の第1の透光性の基板16aを有する。この第1透光性基板16aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、この第1透光性基板16aの外側表面には、位相差板26aおよび偏光板27aが、それぞれ貼着等によって装着される。
【0027】
また、第1基板11に対向する第2基板12は、矢印A方向からみて長方形または正方形の第2の透光性の基板16bを有する。この第2透光性基板16bは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。第2透光性基板16bの外側表面には、位相差板26b及び偏光板27bが、それぞれ貼着等によって装着される。
【0028】
液晶パネル2は任意の表示モードによって構成できる。例えば、液晶駆動方式でいえば、単純マトリクス方式およびアクティブマトリクス方式のいずれであっても良い。また、液晶モードの種別でいえば、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、負の誘電率異方性を持つ液晶、すなわち垂直配向用液晶、その他任意の液晶を用いることができる。また、採光方式でいえば、透過型、反射型、半透過反射型のいずれであっても良い。なお、本実施形態では、図1に示すように照明装置4を用いるので、採光方式としては透過型または半透過反射型ということになる。
【0029】
単純マトリクス方式とは、各画素に能動素子を持たず、走査電極とデータ電極との交差部が画素またはドットに対応し、駆動信号が直接に印加されるマトリクス方式である。この方式に対する液晶モードとしては、TN、STN、垂直配向モードが用いられる。次に、アクティブマトリクス方式とは、画素またはドットごとに能動素子が設けられ、書き込み期間では能動素子がON状態となってデータ電圧が書き込まれ、他の期間では能動素子がOFF状態になって電圧が保持されるマトリクス方式である。この方式で使用する能動素子には3端子型と2端子型がある。3端子型の能動素子には、例えば、TFT(Thin Film Transistor)がある。また、2端子型の能動素子には、例えば、TFD(Thin Film Diode)がある。
【0030】
上記のような液晶パネル2において、カラー表示を行う場合には、第1基板11または第2基板12にカラーフィルタが設けられる。カラーフィルタは、特定の波長域の光を選択的に透過するフィルタである。具体的には、3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)の1色ずつを第1基板11または第2基板12上の各ドットに対応させて所定の配列、例えばストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列で並べる。
【0031】
第1基板11を構成する第1透光性基板16aは、対向基板である第2基板12の外側へ張り出す張出し部29を有する。この張出し部29の第2基板12側の表面上には、駆動用IC3が、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)59を用いたCOG(Chip On Glass)技術によって実装される。駆動用IC3は、図1に示すように、3個実装されている。これらの駆動用IC3は、液晶パネル2の電極に走査信号およびデータ信号を出力して液晶パネル2を駆動する。
【0032】
図3は、図1において矢印Bで示す部分、すなわち張出し部29の端部を拡大して示している。この張り出し部29の端部には、複数の外部接続用端子58が形成される。これらの外部接続用端子58は、図2に示すように、駆動用IC3の入力用端子、例えば入力用バンプにつながる。また、これらの外部接続用端子58には、可撓性配線基板であるFPC5が、例えばACF59によって接続される。FPC5と外部接続用端子58との接続には、ハンダ付け、ヒートシール等といった導電接続手法を用いることもできる。
【0033】
張出し部29の液晶層側には配線51が形成される。この配線51は、複数本が図2の紙面垂直方向に互いに間隔を開けて形成されている。これらの配線51は駆動用IC3の出力用端子、例えば出力用バンプに繋がる。また、これらの配線51は液晶パネル2の内部、すなわち液晶層へ向かって延びており、単純マトリクス方式の場合には走査電極およびデータ電極に接続される。また、アクティブマトリクス方式の場合にはTFD素子やTFT素子といった能動素子および電極に接続される。
【0034】
張出し部29に接続されるFPC5は、例えば、ポリイミドやポリエステル等から成るフィルムを基材として形成される曲げ性に優れた基板である。このFPC5は、図1の矢印Cのように曲げられたときに液晶パネル2の背面に位置する側の表面S1と液晶パネル2に対面する側の表面S2とを有する。表面S1は曲げられて延びる面である。一方、表面S2は曲げられて縮む面である。また、FPC5は、回路形成部5aと、入力用端子5bと、曲げ部5cと、出力用端子5d(図3参照)とを有する。回路形成部5aは電子回路が形成される部分である。曲げ部5cはFPC5を矢印Cのように曲げたときに曲がる部分である。また、入力用端子5bには、携帯電話機、携帯情報端末機等といった電子機器内に設けられる制御回路、電源等が接続される。
【0035】
本実施形態ではFPC5として2層の配線構造を有するFPCを用いるものとする。従って、回路形成部5aは表面S1と表面S2との間にわたって形成され、必要に応じてスルーホールによってそれら各面間で導通がとられる。表面S1側の回路形成部5aの上には、液晶パネル2を駆動するために必要となる複数の回路部品32が実装される。また、回路形成部5a上には、半導体要素としての電源用IC33が実装される。この電源用IC33は、回路部品32を駆動するための電力を供給する。さらに、回路形成部5a上には、各回路部品32を接続して回路を構成する複数の配線がパターニングによって形成される。
【0036】
図4は、図1において矢印Dで示す部分、すなわち、回路形成部5a上における電源用IC33を実装する領域Xおよびその近傍を示している。また、図5は、図4のE−E線に従った断面を示している。図4に示すように、回路形成部5a上の電源用IC実装領域Xのうち、図4において上下に対向する2辺の近傍には複数の配線36が形成される。各配線36は、その一端がIC実装領域Xの内側に入り込むように形成する。配線36の他端は、IC実装領域Xの外側へ延びて回路形成部5aにおいて他の回路部品または他の配線に接続する。各配線36の先端部分であって、IC実装領域Xの内側に位置する部分からその外側の近傍にかけての部分の幅T2はその他の部分の配線よりも広く形成する。このように幅T2が広い部分がランド部36aである。そして、このランド部36aに、電源用IC33の端子であるバンプ33aが電気的に接続される。
【0037】
また、IC実装領域Xのうち、図4において左右に対向する2辺の近傍には複数の配線37が形成される。各配線37は、IC実装領域Xの内側において、それぞれが電気的に接続するために一体となったパターンを形成する。この一体に形成した配線37は、基準電位を得るための接地線として用いられる。また、配線37は、IC実装領域Xの近傍からその内側にかけて広い幅T2のランド部37aを形成している。このランド部37aに、電源用IC33の端子であるバンプ33aが電気的に接続される。上記のランド部36aおよび37aの幅T2は、電源用IC33のバンプ33aの幅T1に対して略2倍に形成する。
【0038】
FPC5上に形成したランド部36aおよび37aと電源用IC33との接続には、例えばACF59を用いることができる。具体的には、図5に示すように、電源用IC33とFPC5との間にACF59を介在させた状態で、FPC5に電源用IC33を加熱しながら押圧して熱圧着する。こうすることにより、複数のバンプ33aと複数のランド部36a,37aとがACF59内の導通粒子59aを介して個々に一括して接続され、導通を得ることができる。
【0039】
図3において、曲げ部5cの表面S2には回路形成部5aから液晶パネル2へ向けて延びる複数の配線34が設けられる。これらの配線34は、回路形成部5a上の電子回路の出力信号を出力用端子5dへ伝送するための配線である。出力用端子5dは第1基板11の外部接続用端子58に接続される。配線34を通じて電子回路から出力用端子5dへ伝送された信号は、外部接続用端子58を通して図1の駆動用IC3へ伝送されて液晶パネル2を駆動するために用いられる。
【0040】
ところで、電源用IC33をFPC5上に実装するには、図5に示すようにACF59を用いて熱圧着する。この場合、電源用IC33はボンディングツール57によって矢印Gのように押圧されてFPC5上に圧着される。この際、ボンディングツール57と電源用IC33との間に異物が入る場合がある。この場合には、ボンディングツール57に対して電源用IC33が傾くことがある。このような状態でFPC5に電源用IC33を実装すると、FPC5に対して傾いた状態で電源用IC33が実装されてしまうおそれがあった。
【0041】
図9は、従来の液晶表示装置における電源用ICの実装部を示している。この従来の液晶表示装置で用いられるFPC105において、複数の配線136のランド部136aおよび複数の配線137のランド部137aの幅T3は、電源用IC133のバンプ133aと略同じ幅、すなわち、図4に示すランド部36aおよび37aより狭い幅に形成されていた。
【0042】
上記ような構造のFPC105上に、FPC105に対して図9の上下方向に関して傾いた状態で電源用IC133が実装された場合には、図9に示すように、ランド部136a,137aに対して、複数のバンプ133aのうちの一部または全部の位置がずれてしまうことがあった。この場合、電源用IC133の傾きが大きい程、バンプ133aの位置はずれ易くなる。また、バンプ133aがランド部136aまたは137aの幅方向にずれた場合には、バンプ133aがランド部136aまたは137aに接触しなくなることがあった。これにより、電源用IC133と配線136または137との間で導通不良が発生するおそれがあった。
【0043】
このことに関し、本実施形態では、図4に示すように、配線36のランド部36aおよび配線37のランド部37aを、電源用IC33のバンプ33aの幅T1に対して略2倍の幅T2に形成するようにした。こうすれば、電源用IC33を実装する際のFPC5に対する電源用IC33の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、電源用IC33が傾いた状態でFPC5上に実装されても、電源用IC33のバンプ33aとランド部36aまたは37aとが確実に接触できる。その結果、電源用IC33をFPC5上に実装する際において不良が発生することを防止できる。
【0044】
(電気光学装置および配線基板の第2実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置および配線基板の他の実施形態を説明する。本実施形態において、第1実施形態と同じ要素は同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略する。
【0045】
図6は、本発明に係る電気光学装置である液晶表示装置の他の実施形態を示している。具体的には、図1において矢印Dで示す部分、すなわち、回路形成部5a上における電源用IC33を実装する領域Xおよびその近傍を示している。
【0046】
第1実施形態においては、図4に示すように、ランド部36aおよび37aは1本の帯形状にそれぞれ形成している。また、帯形状に形成したランド部36aおよび37aの幅T2は、配線の本線部36および37の幅に対して広く形成している。本実施形態においては、図6に示すように、1本の配線46および47に対して、ランド部46aおよび47aをそれぞれ2本形成する。つまり、1個のバンプ33aに対して2本のランド部46または47が設けられる。
【0047】
そして、1本の配線から分岐する2本のランド部46aおよび47aの間隔D0は、バンプ33aの幅T1より狭く形成する。また、これら隣接する2本のランド部46aおよび47aとが形成する全体の幅T4は、図4におけるランド部36aおよび37aの幅T2と同じように設定できる。つまり、幅T4はバンプ33aの幅T1の略2倍に形成することができる。
【0048】
本実施形態においては、電源用IC33のバンプ33aに対してランド部46aおよび47aをそれぞれ2本設けた。こうすれば、電源用IC33を実装する際のFPC5に対する電源用IC33の位置ずれに関して、その許容幅を広げることができる。具体的には、電源用IC33が傾いた状態でFPC5上に実装されても、電源用IC33のバンプ33aは2本のランド部の少なくとも一方、もしくは両方と接触できる。その結果、電源用IC33をFPC5上に実装する際において不良が発生することを防止できる。
【0049】
また、隣接する2本のランド部46aおよび47aの間隔D0と、2本のランド部46aおよび47aの全体の幅T4は、図4に示すランド部36aおよび37aの幅T2と同じ幅に形成している。つまり、本実施形態のランド部46aおよび47aは、ランド部36aおよび37aに間隔D0のスリットを設けた形状である。この場合、図6においてFPC5上に形成される配線全体の面積は、図1における配線全体の面積よりも小さくできるのでFPC5を軽く形成できる。これにより、液晶表示装置1を軽くできる。
【0050】
さらに、図6において、ランド部46aおよび47aの1本の幅T5は、図1のランド部36aおよび37aの幅T2に比べて狭く形成される。この場合には、FPC5が曲がる際に生じる応力の影響を受け難いので、配線46とランド部46aとの境において断線が発生し難くなる。
【0051】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0052】
例えば、以上に説明したそれぞれの実施形態においては、図4に示すように、FPC5上に形成するランド部36aおよび37aの幅T2をバンプ33aの幅T1に対して略2倍に形成した。また、図6に示すように、ランド部46aおよび47aの幅T4をバンプ33aの幅T1に対して略2倍に形成した。しかしながら、ランド部36aおよび37aの幅T2、ならびに46aおよび47aの幅T4は、バンプ33aの幅T1に対して広い幅であればバンプ33aの幅T1の2倍でなくても良い。この場合においても、電源用IC33の位置ずれに関する許容幅を広げることができるので、電源用IC33をFPC5に実装する際において不良が発生することを防止できる。
【0053】
また、上記それぞれの実施形態においては、半導体要素として電源用IC33を用いた場合に本発明を適用した。しかしながら本発明は、電源用IC33以外の半導体要素を基板上に実装する場合においても適用できる。
【0054】
また、上記それぞれの実施形態においては、電気光学パネルに接続される基板として可撓性配線基板であるFPC5を用いた場合に本発明を適用した。しかしながら、前記配線基板には、FPC以外の可撓性を備えた基板や、可撓性を備えていない基板上に半導体要素を実装する場合においても適用できる。
【0055】
また、本発明は、液晶表示装置以外の電気光学装置、例えば、有機EL装置、無機EL装置、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display)、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:Field Emission Display:電界放出表示装置)にも適用できる。
【0056】
(電子機器の実施形態)
次に、本発明に係る電子機器の実施形態を図面を用いて説明する。図7は、本発明に係る電子機器の一実施形態のブロック図を示している。ここに示す電子機器は、液晶表示装置91と、これを制御する制御回路70とを有する。液晶表示装置91は、液晶パネル71と、半導体IC等で構成される駆動回路72とを有する。また、制御回路70は、表示情報出力源73と、表示情報処理回路74と、電源回路76と、タイミングジェネレータ77とを有する。
【0057】
表示情報出力源73は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から成るメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等から成るストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを有する。この表示情報出力源73は、タイミングジェネレータ77によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路74に供給する。
【0058】
表示情報処理回路74は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路72へ供給する。駆動回路72は、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路76は、上記の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0059】
液晶表示装置91は、例えば、図1に示した液晶表示装置1によって構成できる。この液晶表示装置1は、FPC5上において図4または図6に示した配線構造を有している。この液晶表示装置1は、FPC5上に電源用IC33を実装する際に、電源用IC33の位置がずれた場合でも、それが許容範囲内であれば、電源用IC33と配線36および37との間で接触不良が発生することを防止できる。そのため、この液晶表示装置1を用いた本電子機器においても接触不良の発生を防止でき、それ故、安定した表示を行うことができる。
【0060】
図8は、本発明を電子機器の一例である携帯電話機に適用した場合の一実施形態を示している。ここに示す携帯電話機80は、本体部81と、これに開閉可能に設けられた表示体部82とを有する。液晶表示装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置83は、表示体部82の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部82において表示画面84によって視認できる。本体部81には操作ボタン86が配列されている。
【0061】
表示体部82の一端部にはアンテナ87が伸縮自在に取付けられている。表示体部82の上部に設けられた受話部88の内部には、図示しないスピーカが配置される。また、本体部81の下端部に設けられた送話部89の内部には図示しないマイクが内蔵されている。表示装置83の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部81又は表示体部82の内部に格納される。
【0062】
表示装置83は、例えば、図1に示した液晶表示装置1によって構成できる。この液晶表示装置1は、FPC5上において図4または図6に示した配線構造を有している。この液晶表示装置1は、FPC5上に電源用IC33を実装する際に、電源用IC33の位置がずれた場合でも、それが許容範囲内であれば、電源用IC33と配線36および37との間で接触不良が発生することを防止できる。そのため、この液晶表示装置1を用いた図8の携帯電話機80においても接触不良の発生を防止でき、それ故、安定した表示を行うことができる。
【0063】
(変形例)
本発明に係る電子機器としては、以上に説明した携帯電話機の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、デジタルスチルカメラ、腕時計、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、その他各種の機器が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を分解して示す斜視図である。
【図2】図1の液晶表示装置を組み立てた状態の主要部の断面構造を示す断面図である。
【図3】図1の矢印Bで示す部分を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明に係る配線基板の一実施形態の要部を示す平面図である。
【図5】図4のE−E線に従った断面図である。
【図6】本発明に係る配線基板の他の実施形態の要部を示す平面図である。
【図7】本発明に係る電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】従来の配線基板の一例の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1.液晶表示装置(電気光学装置)、 2.液晶パネル(電気光学パネル)、
3.駆動用IC、 4.照明装置、 5.FPC(配線基板)、 5a.回路形成部、 5b.入力用端子、 5c.曲げ部、 5d.出力用端子、 6.LED、
7.導光体、 7a.光入射面、 7b、光出射面、 8.反射層、 9.拡散層、
11.第1基板、 12.第2基板、 16a,16b.透光性基板 、
26a,26b.位相差板、 27a,27b.偏光板、 29.張出し部、
32.回路部品、 33.電源用IC(半導体要素)、
36,37,46,47.配線、 36a,37a,46a,47a.ランド部、
58.外部接続用端子、 59.ACF、 80.携帯電話機(電子機器)、
83.液晶表示装置、 S1,S2.表面、X.電源用ICの実装領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学物質を含む電気光学パネルと、
該電気光学パネルに接続される基板と、
前記基板上に実装される半導体要素と、
該半導体要素に設けられる端子と、
該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線と
を有し、
前記ランド部の幅が前記半導体要素の前記端子の幅より広い
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気光学装置において、前記ランドの幅は前記端子の幅の略2倍であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
電気光学物質を含む電気光学パネルと、
該電気光学パネルに接続される基板と、
前記基板上に実装される半導体要素と、
該半導体要素に設けられる端子と、
該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線と
を有し、
前記ランド部は前記半導体要素の前記端子に対して少なくとも2本設けられる
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項3記載の電気光学装置において、前記ランド部における前記少なくとも2本の配線のうちの隣接する配線の間隔は前記端子の幅より狭いことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電気光学装置において、前記半導体要素は前記電気光学パネルに電力を供給するための電源用ICであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の電気光学装置において、前記配線基板は可撓性配線基板であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
基板と、
該基板上に実装される半導体要素と、
該半導体要素に設けられる端子と、
該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線と
を有し、
前記ランド部の幅が前記半導体要素の前記端子の幅より広い
ことを特徴とする配線基板。
【請求項8】
基板と、
該基板上に実装される半導体要素と、
該半導体要素に設けられる端子と、
該端子が接続されるランド部を備えると共に前記基板上に設けられる配線と
を有し、
前記ランド部は前記半導体要素の前記端子に対して少なくとも2本設けられる
ことを特徴とする配線基板。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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