電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器
【課題】曲げによる外力が働いた場合であっても基板間に電気光学材料を良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板300及び第2基板310と、第1基板300及び第2基板310の間に配置される電気光学層32Aと、第1基板300又は第2基板310の一方に形成され、電気光学層32Aを注入するための注入穴Hと、注入穴Hを介して第1基板300及び第2基板310間に注入された電気光学層32Aを封止する封止材110と、を備えた電気光学装置100に関する。封止材110は、注入穴Hが形成されない他方の基板310側まで到達した状態に設けられる。
【解決手段】互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板300及び第2基板310と、第1基板300及び第2基板310の間に配置される電気光学層32Aと、第1基板300又は第2基板310の一方に形成され、電気光学層32Aを注入するための注入穴Hと、注入穴Hを介して第1基板300及び第2基板310間に注入された電気光学層32Aを封止する封止材110と、を備えた電気光学装置100に関する。封止材110は、注入穴Hが形成されない他方の基板310側まで到達した状態に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる薄型軽量の装置形態を有する表示装置の実用化が進められている。このような電子ペーパーではフレキシブル性を有する電気光学装置が用いられている。このようなフレキシブル性を有する電気光学装置として液晶装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液晶装置は、可撓性を有するプラスチック基板間に液体材料である液晶層(電気光学材料)を注入した後、封止材で封止することで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−64037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように基板間に液体材料を挟持してなる液晶装置は折り曲げられると封止部分に負荷が加わることで剥がれ落ちて液晶層が漏れ出すといった問題を引き起こすおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、曲げによる外力が働いた場合であっても基板間に電気光学材料を良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に配置される電気光学層と、前記第1基板又は前記第2基板の一方に形成され、前記電気光学層を注入するための注入穴と、前記注入穴を介して前記第1基板及び前記第2基板間に注入された前記電気光学層を封止する封止材と、を備え、前記封止材は、前記注入穴が形成されない他方の基板側まで到達した状態に設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、可撓性を有する第1基板及び第2基板を備えているので、全体として可撓性を有したものとなる。また、封止材が注入穴の形成されていない他方の基板側まで到達するように設けられているので、封止材が強固に保持されたものとなる。よって、電気光学装置を折り曲げた場合であっても、封止材が剥離するといった不具合が生じることが防止され、電気光学材料を良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を提供できる。
【0008】
また、上記電気光学装置においては、前記第2基板の前記電気光学層と反対側の面に表示面が設定され、前記注入穴は前記第1基板に形成されているのが好ましい。
【0009】
この構成によれば、表示面を構成しない第1基板側に注入穴が形成されるので、注入穴及び該注入穴に注入された封止材が表示面の表示画像に重なるといった不具合の発生を防止することができる。
【0010】
また、上記電気光学装置においては、前記第1基板は複数の基材が積層された多層構造から構成されるとともに前記注入穴が形成され、前記第1基板は、前記複数の基材間のいずれかに電子部品が挟持されることで該電子部品が基板本体内に埋め込まれているのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1基板が多層構造からなり、内部に電子部品が埋め込まれているので、電気光学装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、上記電気光学装置においては、前記注入穴は、該注入穴に対して前記電気光学層と反対側に設けられ、当該注入穴の穴径よりも大きい穴径を有するザグリ部に連通しているのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、基板間に電気光学層を注入する際、ザグリ部によって電気光学層が注入穴の形成された基板表面に溢れ出して基板表面が汚れるのを防止し、組み立て性に優れたものとなる。また、ザグリ部が封止材の溢れを防止することで封止材の表面が基板表面から突出するのを防止できる。これにより、封止材が基板表面に突出して邪魔になるといった問題の発生を無くすことができる。
【0014】
また、上記電気光学装置においては、前記注入穴が複数形成されるのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、注入穴が複数形成されるので、装置組立時に電気光学材料を基板間の全域に亘って良好に配置することができる。
【0016】
また、上記電気光学装置においては、前記第1基板及び前記第2基板の間に前記電気光学層の配置領域を区画する隔壁が設けられ、前記注入穴は前記電気光学層の配置領域に対応するように形成されるのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、電気光学層の配置領域を複数備えるとともに該複数の領域に注入穴を介して異なる電気光学層を注入することができる。よって、例えば色の異なる電気光学層を備え、カラー表示が可能な電気光学層を提供できる。
【0018】
また、上記電気光学装置においては、前記隔壁の一部が前記電気光学層を前記第1基板及び前記第2基板間にシールするシール部材を兼ねるのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、シール部材を別途設ける必要が無くなり、装置の部品点数を削減し、製造コスト低減を図ることができる。
【0020】
また、上記電気光学装置においては、前記電気光学層が電気泳動層であるのが好ましい。
【0021】
この構成によれば、可撓性を備えるとともに電子ペーパーとして好適な電気光学装置を提供することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の製造方法は、互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板間に電気光学層が挟持されてなる電気光学装置の製造方法において、貼り合わされた前記第1基板及び前記第2基板の一方に設けられた注入穴を介して前記基板間に前記電気光学層を注入する工程と、前記注入穴を封止材で封止する工程と、を備え、前記封止工程においては、前記注入穴を介して、該注入穴が形成されない他方の基板側まで到達させるように前記封止材を配置させることを特徴とする。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、注入穴の形成されていない他方の基板側まで到達させるように封止材を注入孔から注入しているので、封止材を確実に注入することができる。これにより、電気光学装置を折り曲げた場合であっても、封止材が剥離するといった不具合が生じることが防止され、電気光学材料を良好に封止する信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を製造できる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記電気光学装置を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明の電子機器は、上述した電気光学装置を備えるので、電子機器自体も折り曲げ可能な構造を採用した場合でも耐久性に優れた信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は電気泳動表示装置の平面構成を示す図であり、(b)は(a)のA−A線矢視による断面図。
【図2】電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図。
【図3】(a)、(b)は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図。
【図4】(a)、(b)は第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図。
【図5】(a)、(b)は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図。
【図6】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の変形例に係る構成を示す図。
【図7】(a)は、第3実施形態に係る画像表示部における画素構成の一部を拡大して示す概略図であり、(b)は隔壁の構成を示す平面図。
【図8】第3実施形態の電気泳動表示装置の断面図。
【図9】電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図。
【図10】観測側から見たときに視認される着色粒子の面積による階調の違いについて示すサブ画素の概念図。
【図11】(a)は、白表示時における粒子の分布状態を示す図、(b)は、赤表示時における粒子の分布状態を示す図、(c)は、青表示時における粒子の分布状態を示す図、(d)は、黒表示時における粒子の分布状態を示す図。
【図12】緑表示時における粒子の分布状態を示す図。
【図13】(a)は、暗い緑表示における粒子の分布状態を示す図、(b)は、暗い赤表示における粒子の分布状態を示す図、(c)は、暗い青表示における粒子の分布状態を示す図。
【図14】第3実施形態の第1変形例に係る構成を示す図。
【図15】第3実施形態の第2変形例に係る構成を示す図。
【図16】本発明を液晶表示装置に適用した構成を示す図。
【図17】本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0028】
(第1実施形態)
図1は本発明の電気光学装置を電気泳動表示装置に適用した場合の構成を示す図であり、同図(a)は(b)のA−A断面図である。図2は、電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図である。
【0029】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、フレキシブル性を有する素子基板(第1基板)300と、素子基板300に対向配置され、フレキシブル性を有する対向基板(第2基板)310と、これら素子基板300および対向基板310間に挟持される電気泳動層(電気光学層)32Aと、を備えている。これにより、電気泳動表示装置100は、全体としてフレキシブル性を備えたものとなっている。
【0030】
素子基板300および対向基板310の周縁部どうしの間には、電気泳動層32Aに対する耐湿性の確保と電気泳動層32Aの保持のために、電気泳動層32Aの周囲を取り囲むようにしてシール材65が配置されている。シール材65で囲まれた内側の領域は、画像表示部5を構成している。例えば、シール材65はエポキシ樹脂から構成される。
【0031】
素子基板300には上記シール材65で囲まれた画像表示部5に電気泳動層32Aを注入するための注入穴Hが形成されている。注入穴Hは、素子基板300を貫通した状態に形成されており、電気泳動層32Aの注入後、封止材110によって封止されている。封止材110は例えばエポキシ樹脂から構成されるものであり、注入穴Hを介した電気泳動層32Aへの水分や酸素等の外部材料の浸入の防止と電気泳動材料28の保持するためのものである。封止材110は、注入穴Hが形成されていない対向基板310側まで到達して該対向基板310に接触した状態に設けられている。ここで、電気泳動層32Aのセルギャップは例えば30μm程度に設定されている。そのため、封止材110は素子基板300の表面から電気泳動表示装置100の内部まで確実に入り込むことで強固に保持された状態となっている。
【0032】
電気泳動表示装置100は上述のようにフレキシブル性を有するため、折り曲げられた状態で使用されることがある。このとき、封止材110に対して負荷が加わることとなる。本実施形態によれば、封止材110が対向基板310側まで注入されることで強固に保持されているので、折り曲げによる負荷による封止材110の剥離を防止し、折り曲げ耐性を向上させることで信頼性の高いものとなっている。
【0033】
また、電気泳動表示装置100は、画像表示部5に表示された画像が対向基板310側から視認されるようになっている。そのため、注入穴Hに注入された封止材110は画像表示部5の表示画像に重なるといった不具合が防止されたものとなっている。
【0034】
図2は、電気泳動表示装置100の要部構成を具体的に示す断面図である。図2に示すように、素子基板300は、第1基板30と、その表面に形成された駆動回路層24とを主として構成されている。
【0035】
第1基板30は、フレキシブル性を有する3つの基材30A、30B、30Cが積層されてなり、駆動IC(電子部品)51、各種配線等が埋め込まれている。これにより、IC等の電子部品を積載したプリント基板等を外部に設ける必要がなくなり、第1基板30の小型化が実現できる。さらに、駆動回路層24の一部を第1基板30中に形成することにより高精細化が実現できる。第1基板30の小型化を図っている。第1基板30内に埋め込まれた各種配線は、例えば厚さ10μmのCuから構成されている。また、各基材30A〜30Cは、厚さ50μmのポリイミドからなるフレキシブル基板である。
【0036】
ユーザーは、上述のように画像を対向基板310側から視認するため、第1基板30を非透明基板で形成するのが好ましい。具体的には、電子部品である、駆動IC51が埋め込まれている基材30Aには非透明基板を用いることが好ましい。このように駆動IC51の周囲の基材に遮光性を付与することで、光リークによる駆動IC51の誤作動を抑制することができる。ここで駆動IC51が基板30Aに埋め込まれて保持されているが、この形態に限らない。素子基板300中のどこかに保持されていれば良い。
【0037】
駆動回路層24は、電気泳動表示装置100の画像表示部5を構成するマトリクス状に配置された複数の画素ごとに画素電極35と、当該画素電極35を制御する画素トランジスタTRsと、内蔵ドライバーDrと、を含む。内蔵ドライバーDrは、データ線駆動ドライバー、走査線駆動ドライバー、又はゲート線駆動ドライバー等を含む。
【0038】
駆動IC51は基材30B,30C間を貫通するコンタクトホールCH1に埋設された接続部51aおよび接続部51aに電気的に接続され、基材30C上に引き出された配線部51bを介して内蔵ドライバーDrと電気的に接続されている。
【0039】
画素トランジスタTRsは、複数の走査線66と複数のデータ線68との交差する箇所のそれぞれに設けられている。そして、画素トランジスタTRsのうち、半導体層41aのチャネル領域に対向するようにゲート電極41eが配置され、走査線66の一部が接続されている。この画素トランジスタTRsは、ボトムゲート/トップコンタクト構造であり、有機半導体層を有する有機TFTである。なお、内蔵ドライバーDrは、画素トランジスタTRsと同一の工程で第1基板30上に形成される。
【0040】
ゲート電極41eは厚さ0.3μmのCuからなり、該ゲート電極41eを覆うようにして第1基板30の表面全体には、ゲート絶縁膜41bが設けられている。ゲート絶縁膜41bは、厚さ0.5μmのアクリルからなり、その上に厚さ0.05μmのペンタセンからなる半導体層41aが形成されている。ゲート絶縁膜41b上にはさらに半導体層41aの周縁部に一部乗り上げるようにして、厚さ0.3μmのAuからなるソース電極41cおよびドレイン電極41dが設けられている。これら半導体層41a、ソース電極41cおよびドレイン電極41dは、厚さ1μmのアクリルからなる保護層42によって覆われており、当該保護層42の厚さ方向を貫通するコンタクトホールCH2を介して画素電極35が下層のドレイン電極41dと電気的に接続されている。このように画素トランジスタTRsは、第1基板30側から順次薄膜を作成することで形成されている。
【0041】
データ線68は、上記内蔵ドライバーDrを介して画像信号を画素トランジスタTRsのソース電極41cに入力するようになっている。ここで、データ線68に書き込む画像信号は、線順次に供給しても良いし、互いに隣接するデータ線68に対してグループごと、又は1本のデータ線毎に供給しても良い。
【0042】
画素トランジスタTRsのゲート電極41eには走査線66が電気的に接続されており、所定のタイミングでパルス的に選択信号(走査信号)を、順次に印加するように構成されている。
【0043】
第1基板30の表面に形成された画素電極35は、画素トランジスタTRsのドレイン電極41dと電気的に接続されており、スイッチング素子である画素トランジスタTRsを開状態とすることにより、データ線68から供給される画像信号が電気泳動層32Aに対して所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0044】
電気泳動層32Aは、正負のいずれかに帯電した黒色と白色の2種類の電気泳動粒子(正帯電粒子26、負帯電粒子27)と、シリコンオイルからなる分散媒21とを含む。この電気泳動層32Aは、保持容量(図示せず)が作る画素電極35と対向電極37との電位差によって電気泳動粒子(正帯電粒子26、負帯電粒子27)が対向電極37側あるいは画素電極35側へと移動することとなり、対向基板310側から電気泳動層32Aを見たときに視認される電気泳動粒子の分布状態によって画像が形成されるようになっている。
【0045】
なお、分散媒21に電気泳動粒子26,27を分散させた電気泳動層32Aを用いた例に限らず、例えば、電気泳動粒子と分散媒とをカプセル化したカプセル型のものでも良い。また、異なる極性に帯電した白黒の2粒子以外の粒子構成を採用しても良い。
【0046】
このように本実施形態においては、駆動IC51および内蔵ドライバーDrを画像表示部5の周囲に配置させることなく、画像表示部5の範囲内における第1基板30内に埋め込むことによって、額縁幅、すなわち非表示領域を狭くした構成にしても良い。
【0047】
一方、対向基板310は、厚さ0.2mmのPETからなる透明な第2基板31上に、厚さ0.1μmのカーボンナノチューブからなる対向電極37が形成されてなり、ユーザーは当該対向基板310を通して電気泳動層32Aを観察するため第2基板31には透明基板が用いられる。対向電極37への電圧の印加は第1基板30内に埋め込まれた駆動IC51によって行われる。駆動IC51は上下導通部(不図示)を介して対向電極37と電気的に接続されており、該対向電極37に対して所定の電圧を入力できる構成となっている。
【0048】
次に、上記電気泳動表示装置100の製造方法として、電気泳動層32Aを基板300,310間に注入する方法について図3を参照にしつつ説明する。
はじめに、シール材65を介して貼り合わせた素子基板300及び対向基板310であって素子基板300に注入穴Hが形成された基板本体150を用意する。そして、図3(a)に示すように、注入穴Hの注入口が上向きとなるように基板本体150を配置し、減圧下に保持し、電気泳動層32Aを構成する電気泳動材料28を注入口に塗布する。なお、電気泳動材料28の塗布方法としては、ディスペンサー、インクジェット法等の公知技術を適宜使用することができる。
【0049】
電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置する。これにより、注入口から注入される電気泳動材料28の注入速度を加速させ、対向基板310および素子基板300間においてシール材65で囲まれる領域内に電気泳動材料28を良好に充填することができる。
【0050】
続いて、図3(b)に示すように、注入穴HにエポキシからなるUV硬化樹脂110aを塗布する。このとき、UV硬化樹脂110aが注入穴Hよりも広くセルギャップ中で広がるように注入するのが望ましい。そして対向基板30にも達するように注入する。これによれば、注入穴Hを介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触した状態とさせることができる。
【0051】
そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴Hを封止する封止材110を形成する。以上により、基板本体150は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態(図1(b)参照)となるので、封止材110が強固に基板本体150に保持されたものとなる。図1(b)に示したように封止材110は素子基板300の裏面側に突出した状態となるが、素子基板300は表示面と反対側のため、実用上問題は無い。なお、素子基板300の表面から突出する封止材110のみを部分的に除去しても良い。
【0052】
以上述べたように、本実施形態に係る電気泳動表示装置100では、可撓性を有する素子基板300及び対向基板310からなる基板本体150を主体に構成されるので、全体として可撓性を有したものとなる。また、封止材110が注入穴Hの形成されない対向基板310側まで到達するように設けられているので、封止材110が強固に保持されたものとなる。よって、電気泳動表示装置100を折り曲げた場合であっても、封止材110が剥離することが防止され、電気泳動層32Aを良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を提供できる。
【0053】
また、本実施形態においては、エポキシ樹脂からなるシール材65や封止材110を用いているが、アクリル等の有機材料を用いても構わない。また、帯電粒子として白黒粒子以外にカラー粒子を用いても構わない。
また、画素トランジスタTRsの構成はボトムゲート構造に限られない。画素トランジスタTRsも有機、無機トランジスタのどちらを用いても良い。また、画素トランジスタTRsや第1基板30、第2基板31および対向電極37に用いる材料は上述のものに限られない。
【0054】
さらに、素子基板300を構成する第1基板30と対向基板310の第2基板31に用いる材料は、フレキシブル性を有するポリエステルや他の有機、無機材料を用いてもよい。また、第1基板30や第2基板31に用いる材料としては伸縮性を有する材料であってもよい。これにより、伸縮状態を含めたフレキシブル性を実現することができる。例えば、アクリル等の柔らかい有機材料、これらをコーティングした不織布、織布、またはゴム等であっても構わない。伸縮性を有すると、電気光学装置を服等の布のように変形の大きい材料や複雑な表面形状の上にも隙間なく貼るように設置するだけでなく、変形させて使用するときの剥がれを少なくすることができる。
また、第1基板30を構成する基材の数も上記したものに限られない。
また、画素トランジスタTRsの材料も上記したものに限られない。
また、画素電極35、対向電極37、走査線66、データ線68、および接続配線22等に用いる材料としては、Cu以外の他の金属ペースト、金属、カーボンナノチューブ等の導電性材料、無機導電性材料、有機導電性材料、透明電極、導電性ペーストを用いても良い。
また、図3(a)において、電気泳動表示装置150を減圧下に保持して電気泳動材料28を注入したが、それに限らず例えば大気圧下で行っても良い。
【0055】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、封止材110(UV硬化樹脂110a)を注入するための注入穴の形状であり、それ以外の構成については第1実施形態と共通である。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成或いは部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略若しくは簡略化する。
【0056】
図4は本実施形態に係る電気泳動表示装置200の構成を示す図である。なお、図4においては、図を見やすくするため、対向基板310を上側にして示している。
図4に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置200は、シール材65を介して張り合わされた素子基板300および対向基板310と、これら素子基板300および対向基板310間に挟持される電気泳動層32Aと、を備えている。
【0057】
本実施形態においても、注入穴H2が対向基板310に形成されている。本実施形態に係る注入穴H2は、第1基板30の基材30Cを貫通した状態に形成されている。本実施形態においては、第1基板30の基材30A,30Bを貫通した状態に設けられるザグリ部ZGが設けられており、注入穴H2の一端側(電気泳動層32Aと反対側)が連通している。ザグリ部ZGは、穴径が注入穴H2よりも大きく形成されている。このように基材30A〜30Cの界面にザグリ部ZGを形成することで注入穴H2の加工性を向上させている。
【0058】
なお、本実施形態では、ザグリ部ZGおよび注入穴H2の穴径を基材30Aと基材30Bとの界面で異ならせる場合を例に説明したが、基材30A〜Cの途中で穴径を変える構成を採用しても良い。また、第1基板30として基材30A〜30Cを積層した多層構造のものを例示したが、多層基板でない第1基板30に対して注入穴H2およびザグリ部ZGを形成するようにしても良い。
【0059】
封止材110は、第1実施形態と同様、注入穴H2が形成されていない対向基板310側まで到達して該対向基板310に接触した状態に設けられている。本実施形態では、注入穴H2内に注入された封止材110が素子基板300の表面に対して凹んだ状態となっている。
【0060】
続いて、上記電気光学装置200の製造方法として、電気泳動層32Aを基板300,310間に注入する方法について図5を参照にしつつ説明する。はじめに、素子基板300に注入穴H2が形成された基板本体250を用意する。そして、図5(a)に示すように、注入穴H2が上向きとなるように基板本体150を配置し、減圧下に保持し、電気泳動材料28を注入穴H2のザグリ部ZG内に塗布する。ザグリ部ZGは上述のように穴径が注入穴H2よりも大きいため、塗布された電気泳動材料28が素子基板300の表面に溢れ出させることなく良好に保持されたものとなる。
【0061】
そして、電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置し、対向基板310および素子基板300間においてシール材65で囲まれる領域内に電気泳動材料28を良好に充填することができる。このとき、上述のように電気泳動材料28はザグリ部ZGから素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に充填されるので、素子基板300の表面が電気泳動材料28で汚れるのを防止できる。
【0062】
続いて、図5(b)に示すように、注入穴H2のザグリ部ZG内にエポキシからなるUV硬化樹脂110aを塗布する。このとき、第1実施形態と同様、注入穴H2を介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触した状態とする。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H2を封止する封止材110を形成する。
【0063】
本実施形態では、注入穴H2に設けられたザグリ部ZGを介して封止材110が基板300,310間に充填されるので、電気泳動材料28と同様、封止材110(UV硬化樹脂110a)が素子基板300の表面を汚すことがない。すなわち、注入穴H2内に配置された封止材110は、素子基板300の表面から出っ張った状態となるのを防止することができる。
【0064】
本実施形態においても、基板本体250は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体250に保持されたものとなる。また、本実施形態によれば、ザグリ部ZGを設けたことで素子基板300の表面が電気泳動表示材料で汚れることで不良品となるといった不具合の発生を防止できる。特に黒色の電気泳動粒子は粒径が細かく、付着すると洗浄しても除去し難いので、汚れを原因として不良品とみなされることがある。そのため、本実施形態に係る構成は、特に顕著な効果を得ることができる。
【0065】
(変形例)
続いて、上述した第2実施形態に係る電気泳動表示装置200の変形例について説明する。なお、本変形例は注入穴H2の形状が第2実施形態に係る構成と異なっており、それ以外の構成は共通である。そのため、以下の説明では注入穴H2の形状について説明する。図6は本変形例に係る電気泳動表示装置200の構成を示す図であり、同図(a)は電気泳動表示装置200の平面図であり、同図(b)は(a)のA−A線矢視による断面図を示すものである。なお、図6は図を簡略化するため、電気泳動層32Aを注入しない状態の基板本体250を図示している。
【0066】
図6(a),(b)に示されるように、電気泳動表示装置200は、注入穴H2が3つ形成されている。また、ザグリ部ZGは素子基板300の長辺方向に沿って形成されており、3つの注入穴H2がそれぞれ連通した状態に設けられている。このように本変形例においては、注入穴H2が共通のザグリ部ZGに連通した構成となっている。
【0067】
続いて、本変形例に係る構成において、基板300,310間に電気泳動材料28を充填する工程について説明する。はじめに、注入穴H2が上向きとなるように基板本体250を配置し、減圧下に保持し、電気泳動材料28をザグリ部ZG内に塗布する。本実施形態に係るザグリ部ZGは上述のように素子基板300の長辺方向に沿って形成されるため、第2実施形態に係る構成に比べて電気泳動材料28を多く保持することができる。よって、電気泳動材料28が素子基板300の表面に溢れ出すのを確実に防止できる。
【0068】
そして、電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体250を大気圧下に配置し、注入穴H2を介して電気泳動材料28を基板300,310間に充填する。このとき、本変形例では上述のように注入穴H2が複数(本変形例では3つ)設けられているので、電気泳動材料28はザグリ部ZGから素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に短時間で良好に充填できる。
【0069】
続いて、注入穴H2のザグリ部ZG内にUV硬化樹脂110aを塗布し、第1実施形態と同様、注入穴H2を介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触させるまで引き込ませる。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H2を封止する封止材110を形成する。このように本変形例においても、基板本体250は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体250に保持されたものとなる。
【0070】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の構成について説明する。本実施形態と第1、第2実施形態との違いは、画素表示部における画素構造および注入穴の形状であり、それ以外の構成については第1、第2実施形態と共通である。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成或いは部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略若しくは簡略化する。
【0071】
図7(a)は、画像表示部における画素構成の一部を拡大して示す概略図であり、(b)は隔壁の構成を示す平面図である。また、図8は電気泳動表示装置の断面図である。
【0072】
図7(a)に示すように、本実施形態における1つの画素40は2つのサブ画素40Aおよびサブ画素40Bから構成されている。これら2つのサブ画素40A,40Bは、走査線66の延在方向に沿って交互に存在するとともに、データ線68の延在方向に同じサブ画素40A,40B同士が連続して存在している。1画素を構成するサブ画素40A,40Bの間には隔壁64が存在している。この隔壁64は、素子基板300と対向基板310との間に配置され、図7(b)に示すように、少なくとも画像表示領域(画像表示部5)を2つの領域に分離するものである。具体的には、画像表示部5に対応する素子基板300および対向基板310間の空間を2つの空間5a,5bに区画形成している。そして、この隔壁64の両側に存在するサブ画素40A,40Bによって、表示を行う1つの画素40を構成している。隔壁64によって区画形成された空間5a,5b内にそれぞれ存在するサブ画素40Aとサブ画素40Bとはそれぞれ異なる画素40を構成するものである。
【0073】
隔壁64の具体的な構成について述べると、隔壁64の外形を枠状に形成すべく互いに対向配置されたL字形状の一対の外壁部64Aと、これら外壁部64Aによって囲まれた領域を二等分する波型形状の内壁部64Cとから構成されている。外壁部64Aと内壁部64Cとの間に上記空間5aと5bが形成される。これら空間5a,5b内には異なる電気泳動材料が封入されており、電気泳動層32Aが構成されている。また、隔壁64の外周を囲むようにシール材65が設けられている。これにより、隔壁64がシールから電気泳動層32Aへの不純物の溶出等を防止することができる。
【0074】
本実施形態においては、図7(b)、図8に示すように、上記空間5aに後述の電気泳動層32Aを注入するための注入穴H3と、上記空間5bに後述の電気泳動層32Aを注入するための注入穴H4と、を備えている。具体的に本実施形態では、素子基板300における画像表示部5の外側に設定される非表示部6に注入穴H3,H4が3つずつ形成されている。また、本実施形態においては、非表示部6の延在方向に沿ってザグリ部ZG1,ZG2が設けられている。注入穴H3はザグリ部ZGに連通しており、注入穴H4はザグリ部ZG2に連通している。各注入穴H3,H4は封止材110によって封止されている。
【0075】
上記隔壁64の材料としては、例えばポリイミドが用いられる。隔壁64の配置領域は表示に係わらない領域であるため、その色は、非透明で黒色または明度の低い無彩色であることが望ましい。
このため、コントラストの低下が生じにくい。
【0076】
従来の隔壁構成では空間5a、5b内のサブ画素40A、40B間にも隔壁を設ける。そのため本実施例の2倍の数の隔壁が必要になる。本実施例の隔壁が占める面積が従来のそれが占める面積に比べて小さいことから、明るく高コントラストの表示が可能となっている。また、高精細な画像表示を必要とする表示装置に有効である。なお、隔壁64の形状は上記したものに限らない。
【0077】
ここで、電気泳動表示装置350の製造時における電気泳動層の形成工程のうち、電気泳動材料を注入する工程を主体について述べる。
まず、素子基板300上にポリイミドから成る隔壁形成材料を塗布して所定の厚さになるように成膜し、フォトリソグラフィーを用いてパターニングを行うことによって隔壁64を形成する。隔壁64の高さは、例えば10〜30μmである。続いて隔壁64上にエポキシからなる紫外性硬化性樹脂をスクリーン印刷等で塗布する。
【0078】
続いて、素子基板300上に隔壁64を介して対向基板310を貼り合わせ、両基板300,310に圧力を加えながら紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させる。これにより、隔壁64は素子基板300と対向基板310とが隔壁64を介して接続される。本実施形態では、電気泳動層32Aによりカラー表示を行うため、液晶表示装置のようにカラーフィルターを用いないことから素子基板300および対向基板310の貼り合わせ精度は要求されない。本形態に係る構成では隔壁64の位置精度が重要とされるからである。
【0079】
続いて、注入穴H3,H4が上向きとなるように基板本体を配置し、減圧下に保持し、電気泳動層32Aの電気泳動材料28をザグリ部ZG1、G2内に塗布する。ザグリ部ZG1,2は上述のように注入穴H3,H4の穴径よりも内径が大きいため、塗布された電気泳動層32Aの構成材料が素子基板300の表面に溢れ出させることなく良好に保持されたものとなる。
【0080】
そして、電気泳動層32A(電気泳動材料28)を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置し、上記領域5a,5b内に電気泳動層32Aをそれぞれ良好に充填する。このとき、上述のように電気泳動層32Aの構成材料はザグリ部ZG1,ZG2から素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に充填されるので、素子基板300の表面が電気泳動表示材料で汚れるのを防止できる。
【0081】
続いて、注入穴H3,H4のザグリ部ZG1,ZG2内にUV硬化樹脂110aを塗布し、第1実施形態と同様、注入穴H3,H4を介して注入された封止材110を対向基板310の内面に接触させるまで引き込ませる。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H3,H4を封止する封止材110を形成する。これにより、空間5aに電気泳動層32Aが形成され、空間5bに電気泳動層32Aが形成される。以上により、基板本体150は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体150に保持されたものとなる。
【0082】
図9は本実施形態に係る電気泳動表示装置350の要部構成を示す断面図である。
図9に示すように、各サブ画素40A,40B内には、2つの画素電極35A,画素電極35B、対向電極37、および反射電極13が備えられている。画素電極35A、35Bは、それぞれ異なるトランジスタにより駆動されるようになっており、対向電極37との間で独立して電圧を印加できる構成となっている。また、反射電極13は、対向電極37と略同電位の電圧が印加される。この反射電極13は少なくともその表面(電気泳動層32A側の面)に反射性を有している。
【0083】
また、サブ画素40Aに対応する電気泳動層32Aは、青色の負帯電粒子26Bと赤色の正帯電粒子27Rとを有し、サブ画素40Bに対応する電気泳動層32Aは、緑色の正帯電粒子27Gと黒色の負帯電粒子26Bkとを有する。このため、1画素内には4種類(4色)の粒子が保持されていることになる。
【0084】
ここで、サブ画素40Aの電気泳動層32Aにおける2種類の帯電粒子の色として、赤、青、緑のいずれか2つの色(本実施形態では、赤と青)が選択されるものとし、サブ画素40Bの電気泳動層32Aにおける2種類の帯電粒子の色として、赤、青、緑のうち、サブ画素40Aにおける各粒子の色とは異なる色(本実施形態では緑)と、黒色が選択されている。また、黒色以外にも、他方の帯電粒子の色の補色の関係となる色であれば選択することができる。
【0085】
分散媒21の材料としては、実質的に無色透明であることが好ましい。このような分散媒21としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。かかる分散媒21の材料としては、上記以外にも、例えば各種類(蒸留水、純水、イオン交換水等)、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、流動パラフィンなどの鉱物油類、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の植物油類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系液体またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。分散媒21として気体や真空を用いても良い。
【0086】
また、分散媒21中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、例えばチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等カップリング剤やその他の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0087】
分散媒21中に含まれる、帯電粒子、無帯電粒子および透明粒子は、それぞれいかなるものを用いることができ、特に限定はされないが、染料粒子、顔料粒子、樹脂粒子、セラミックス粒子、金属粒子、金属酸化物粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0088】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫化亜鉛、亜鉛華等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料、フェロシアン化第二鉄等のシアン色顔料、あるいは無機酸化鉄等のマゼンタ色顔料等が挙げられる。無機顔料、有機顔料を用いることも出来る。
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0089】
上記顔料の代わりに染料を用いて染料粒子を構成できる。この場合は白色顔料に染料を混入させても良いし、着色の顔料と混ぜて用いても良い。例えばカルボニウム系のマゼンタ等の染料を用いることもできる。
【0090】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、スチレンとアクリロニトリルを共重合したAS樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。また、分散媒21中に含まれる各種粒子としては、粒子の中心を空洞にした構造のものを用いても良い。このような構成によれば、粒子の表面で光を散乱させることに加えて、粒子内部の、空洞を構成する壁面においても光を散乱させることができ、光の散乱効率を向上させることが可能となる。よって、白、及びその他の色の発色性を向上させることができる。
【0092】
また、このような電気泳動粒子の分散媒21中における分散性を向上させることを目的に、各粒子の表面に、分散媒21と相溶性の高い高分子を物理的に吸着させたり、化学的に結合させたりすることができる。これらの中でも、電気泳動粒子の表面からの離脱着の問題から、高分子が化学的に結合しているものが特に好ましい。かかる構成とすれば、電気泳動粒子の見かけの比重が小さくなる方向に作用して、電気泳動粒子の分散媒21での親和性、すなわち分散性を向上させることができる。
【0093】
このような高分子としては、例えば、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基を有する高分子、電気泳動粒子と反応性を有する基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子、および、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子等が挙げられる。
【0094】
上述したような高分子において、電気泳動粒子と反応性を有する基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アルコキシシラン基、シラノール基、アルキルアミド基、アジリジン基、オキサゾン基、およびイソシアネート基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を選択して用いることができるが、用いる電気泳動粒子の種類等に応じて、選択するようにすればよい
【0095】
このような構成に基づき、本実施形態に係る電気泳動表示装置は、1画素を構成するサブ画素40A,40Bにおいて互いに異なる表示を行うことで、これら表示の組み合わせによる多様な表現を実現可能となっている。
【0096】
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の動作原理について図9を参照にしながら述べる。
ここでは、1つのサブ画素に着目して説明する。なお、実際には画素電極と反射電極とは異なる層に形成されているが、説明をわかりやすくするために、図9では反射電極を画素電極と同じ層に示している。以下の説明において、便宜上、画素電極に印加する電圧に符号VL、Vl、VH、Vh2、Vl2を付して説明する。
【0097】
図示していないが、最初に画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加し赤の正帯電粒子27Rを画素電極35Aに集合させ、画素電極35Bにプラス電圧VHを印加し青の負帯電粒子26Bを画素電極35Bに集合させる。
【0098】
次に、図9に示すように、画素電極35Aおよび画素電極35Bに対してそれぞれ同じ大きさのマイナス電圧VLを印加すると、例えば画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rが複数吸着し、対向電極37上に複数の青色の負帯電粒子26Bを分布させる事ができる。一方、画素電極35Aおよび画素電極35Bに対してそれぞれ同じ大きさのプラス電圧VHを印加すると、例えば画素電極35B上に青色の負帯電粒子26Bが複数吸着し、対向電極37上に赤色の正帯電粒子27Rが複数分布させる事ができる。
【0099】
このように、画素電極35A,35Bのそれぞれに印加する電圧を介して、各帯電粒子を画素電極35A,35B側と対向電極37側とに非対象に分布させることによって表示を制御することができる。
【0100】
図10は、観測側(対向基板側)から見たときに視認される着色粒子の面積による階調の違いについて示すサブ画素の概念図である。ここでは、分かりやすくするために赤色粒子のみを用いて説明する。
図10(a)は、マイナス電圧VLが印加された画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rが吸着した状態である。この状態で対向基板310側から見ると、赤色粒子の分布面積に応じた小さな赤色ドットと、反射電極13によって表現される白色とにより、若干赤みを帯びた白表示として見える。
【0101】
図10(b)は、画素電極35Aに対してマイナス電圧Vl(Vl<VL)において印加するマイナス電圧より低い)を印加して、図10(a)の状態において画素電極35A上に吸着していた正帯電粒子27Rの一部を対向電極37側へと移動させた状態である。この状態で、対向基板310側から見ると、図10(a)の状態よりも大きい赤ドットが分布した状態となり、淡い赤色が表現される。
【0102】
図10(c)は、電気泳動層32A側における複数の正帯電粒子27Rのすべてを対向電極37側へと移動させた状態である。この状態で、対向基板310側から見るとサブ画素40Aの全体が赤色に見える。
このように、電気泳動表示装置では、対向基板310側から見たときに視認される着色粒子の面積により階調を制御するように構成されている。
【0103】
次に、本実施形態の電気泳動表示装置における動作(表示方法)について述べる。
図11(a)は、白表示時における粒子の分布状態を示す図である。
サブ画素40A,40B内の各画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加するとともに、各画素電極35Bにプラス電圧VHを印加する。これにより、サブ画素40Aにおける画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rを吸着させるとともに画素電極35B上に青色の負帯電粒子26Bを吸着させ、また、サブ画素40Bにおける画素電極35A上に緑色の正帯電粒子27Gを吸着させるとともに画素電極35B上に黒色の負帯電粒子26Bkを吸着させる。
【0104】
このように、サブ画素40A,40B内の画素電極35A,35B上にすべての帯電粒子を集合させることにより、対向基板310側から電気泳動層32A内へ入射した外光は粒子が吸着していない反射電極13において反射され、対向基板310側から観測者側へと出射する。これにより、明るい表示、すなわち明るい白表示が実現できる。
【0105】
ここで、反射電極13の表面を酸化して形成した酸化物で構成しておくか、あるいは反射電極13の表面に酸化膜を形成しておくことによって、反射率が向上するだけでなく、反射光を乱反射させることができる。その結果、メタリックな反射ではなく、紙のような白色により近い白表示を実現できるようになる。
【0106】
また、この状態は、電気泳動表示装置100の表示画像を切り換えるときのプリセット状態でもある。電気泳動材料はメモリー性を有するため、表示画像を書き換えるときに画像表示部5における表示全体を一度クリアにするプリセット動作を行い、粒子の分布状態をリセットする必要がある。このリセットされた状態(プリセット状態)を基準として、そこから新たな表示画像の書き換え動作を行う。
【0107】
図11(b)は、赤表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、先に述べたプリセット動作を実行して画素40(各サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40A内の画素電極35Aにプラス電圧VHを印加するとともに、画素電極35Bにもプラス電圧VHを印加した。これにより、プリセット状態から引き続き、画素電極35B上には青色の負帯電粒子26Bが吸着した状態のまま保持され、プリセット時に画素電極35A上に吸着していた赤色の正帯電粒子27Rはすべて対向電極37側へと移動して、サブ画素40Aが赤表示となる。一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対してはマイナス電圧VLをそれぞれ印加して、帯電粒子26Gをすべて画素電極35A上に保持させておくとともに、帯電粒子27Bkを対向電極37側へとすべて移動させることで、サブ画素40Bが黒表示となる。
【0108】
ここで、サブ画素40Aにおける赤色の正帯電粒子27Rは透明粒子(透過粒子)であることから、対向基板310側から入射した外光は、正帯電粒子27Rを透過した後に素子基板300側の反射電極13において反射されて、再度、正帯電粒子27Rを透過して外部に出射する。この際、最初に透過する正帯電粒子27Rにおいて赤色以外の光の一部が吸収されて、赤色を含む光が反射電極13で反射される。そして、この反射光が再び正帯電粒子27Rに入射することによって、赤色以外の光が再度吸収されるため、くっきりした赤い光のみが対向基板310側から外部に出て行くことになる。このため、サブ画素40Aは赤表示となる。
【0109】
このときの出射光(表示画像)の明るさは反射電極13の面積に比例する。このため、画素電極35A,35Bが存在する領域にも反射性(散乱性)を付与することが好ましい。すなわち、反射電極13と同様に、画素電極35A,35Bに反射性を付与し、その表面を金属酸化物で構成してもよいし、金属層の表面を別途酸化させて酸化膜を形成してもよい。
【0110】
ここで、透明粒子とは、可視光領域において特定波長領域の光を吸収し、それ以外の波長の光を散乱または透過させる粒子のことである。本実施形態においては、赤色の約600〜800nmの光を散乱または透過させている。なお、可視光以外の領域は不問とする。
【0111】
上記したように、サブ画素40Aを赤表示、サブ画素40Bを黒表示とすることにより、画素40全体が赤表示となる。
【0112】
図11(c)は、青表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、プリセット動作を実行した後、サブ画素40A内の画素電極35A,35Bにマイナス電圧VLをそれぞれ印加して、赤色の正帯電粒子27Rを画素電極35A上に保持させたままにするとともに、プリセット時に画素電極35B上に吸着していた青色の負帯電粒子26Bを対向電極37側へとすべて移動させることにより、サブ画素40Aを青表示にする。一方、サブ画素40B内の画素電極35A,35Bには引き続きプリセット動作後に、図11(b)と同様の動作で黒表示とする。
【0113】
ここで、青色の負帯電粒子26Bは反射粒子であり、対向基板310側から入射した光の一部はこの負帯電粒子26Bにおいて反射される。具体的には、青色以外の光は負帯電粒子26Bにおいて吸収され、青色光のみが負帯電粒子26Bにおいて反射されて対向基板310側から出射する。このときの青表示の明るさは、対向電極37上に分布した青色の負帯電粒子26Bの実行的な分布面積に比例する。そのため、十分な青色光の反射が行えるような範囲(厚さ)で、対向電極37上に青色粒子を2次元あるいは3次元的に分布させることが好ましい。
【0114】
青色の負帯電粒子26Bにおける青色光の反射率は極力高いことが望ましく、少なくとも60%以上、より好ましくは90%以上の反射率を有していることである。さらに、青色以外の光の反射率は低い程よく、できれば10%以下、より好ましくは5%以下が好適である。
また、少なくとも反射において拡散反射(乱反射)の成分を有していることが望ましい。ここで、反射粒子とは、可視光領域において特定波長領域の光を吸収し、それ以外の波長の光を散乱または反射させる粒子を指す。本実施形態においては、青色の波長、約400〜500nmの光を散乱または反射させている。なお、可視光領域以外は不問とする。
【0115】
なお、緑色の正帯電粒子27Gは反射粒子および透過粒子のいずれであってもよいが、本実施形態では透明粒子とした。
なお、反射粒子とする場合は、緑色光の反射率が極力高いことが望ましく、上記の青粒子と同様に、少なくとも60%以上、より好ましくは90%以上の反射率を有しているとともに、緑色以外の光の反射率は低い程よく、できれば10%以下、より好ましくは5%以下が好適である。
【0116】
上記したように、サブ画素40Aを青表示、サブ画素40Bを黒表示とすることで、画素40全体が青表示となる。
【0117】
図11(d)は、黒表示時における粒子の分布状態を示す図である。
黒表示を行う際においても、まずプリセット動作を実行する。プリセット動作を実行して画素40(各サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40Aの画素電極35Aにプラス電圧VHを印加して対向電極37側へ赤色の正帯電粒子27Rをすべて移動させる。移動した複数の正帯電粒子27Rは、対向電極37の表面を覆うように分布することになる。
【0118】
その後、所定の時間をおいてから、画素電極35Bに対してマイナス電圧VLを印加して、対向電極37側へ青色の負帯電粒子26Bをすべて移動させる。対向電極37側へと移動した青色の負帯電粒子26Bは、対向電極37の表面上に分布している赤色の正帯電粒子27Rの下側に配置され、これら正帯電粒子27Rと重なるようにして3次元的に分布する。このように、対向電極37の直下にまず赤色の正帯電粒子27Rを配置した後、これら正帯電粒子27Rの直下に負帯電粒子26Bを配置させる。
【0119】
この状態だと、対向基板310側から入射した光は、まず透過粒子である赤色の正帯電粒子27Rにおいて赤色以外の光の一部が吸収されて青色の負帯電粒子26Bに到達する。負帯電粒子26Bに到達した光のうち、青色光以外の光、つまり赤色光は負帯電粒子26Bにおいて吸収される。また、正帯電粒子27Rを透過することなく負帯電粒子26Bに直接到達した外光は、そのうちの青色光のみが負帯電粒子26Bにおいて反射されて、それ以外の色の光は吸収される。負帯電粒子26Bで反射された青色光は正帯電粒子27Rにおいて吸収される。このため、結果として黒表示となる。
【0120】
一方のサブ画素40Bにおいては図11(b)と同様にプリセット動作後に黒表示とする。また、サブ画素40Aを黒表示する正帯電粒子27Rと負帯電粒子26Bとの移動を開始する時間のずれは上記に限らない。正帯電粒子27Rを移動開始させ、まだ、対向電極37側に移動しきらない時に負帯電粒子26Bを移動開始させても良い。
【0121】
図12は、緑表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、プリセット動作を実行して画素40(サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40Aの画素電極35A,35Bに対して当該サブ画素40Aを黒表示にする所定の電圧を、それぞれ時間差を設けて印加するとともに、サブ画素40Bの画素電極35A,35Bにプラス電圧VHをそれぞれ印加する。
【0122】
これにより、サブ画素40Aでは、対向電極37上に分布する赤色の正帯電粒子27Rの直下に青色の負帯電粒子26Bが配置されて黒表示となる。サブ画素40Bでは、画素電極35B上に黒色の負帯電粒子26Bkが吸着するとともに、対向電極37上に緑色の正帯電粒子27Gが広く分布して、緑表示となる。
つまり、サブ画素40Bでは、外光が対向電極37上に広く分布した透過性の緑色の正帯電粒子27Gに入射して、緑色以外の光の一部が吸収される。正帯電粒子27R)を透過した緑色光を含む光は反射電極13において反射された再び正帯電粒子27Gへと入射し、緑色以外の光が吸収されて緑色光のみが外部に出射する。これにより、緑表示となる。
ここで、緑粒子を透過粒子としたが、反射粒子であってもよい。
【0123】
次に、RGBそれぞれの低い明度(暗い色)表示する方法を示す。
図13(a)は、暗い緑表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、サブ画素40Aの画素電極35A,35Bに対して黒表示を実現する電圧をそれぞれ印加するとともに、サブ画素40Bの画素電極35Aに対してVh2(0<Vh2<VH)を印加して緑色の正帯電粒子27Gの一部を対向電極37側に移動させ、さらに、画素電極35Bに対してVl2(VL<Vl2<0)を印加して黒色の負帯電粒子26Bkを対向電極37側に移動させた。ここで、対向電極37側へ移動する緑粒子の方が黒粒子よりも多くなるように各画素電極35A,35Bに対して印加する電圧の大きさを調整する。
【0124】
この状態で対向基板310側から見ると、サブ画素40Bでは緑色の中に黒ドットが存在し、その結果、暗い緑表示となる。この緑色と黒色の面積を制御することで任意の明度を表現できる。また、各色の面積は、画素電極35A,35Bに印加する電圧の大きさ、印加時間の長短、電圧を印加するタイミングで制御することができる。この面積とは、対向電極37近傍または溶媒中も含んだ2次元、3次元的な広がりをすべて考慮した、観測者側(外部)から観察される実効的な面積である。このように、階調表示を行うことができるのは、サブ画素40A,40Bがそれぞれ複数の画素電極35A,35Bの集合体からなり、これら画素電極35A,35Bをそれぞれ独立に制御しているからである。
【0125】
次に、赤粒子および青粒子による階調制御を行った際の表示を示す。
図13(b)は、暗い赤表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、まず、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してプラス電圧VHを印加して赤色の正帯電粒子27Rをすべて対向電極37側へと移動させる。その後、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してマイナス電圧Vl(VL<Vl<0)を印加して青色の負帯電粒子26Bの一部を対向電極37側へと移動させることにより、赤色の中に黒ドットを形成できる。その結果、サブ画素40Aが暗い赤表示となる。
一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対しては、黒表示となる電圧を印加しておく。
【0126】
図13(c)は、暗い青表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、まず、サブ画素40Aの画素電極35Aに対してプラス電圧Vh(0<Vh<VH)を印加して赤色の正帯電粒子27Rの一部を対向電極37側へと移動させる。その後、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してマイナス電圧VLを印加して青色の負帯電粒子26Bをすべて対向電極37側へと移動させることにより、青色の中に黒ドットが存在する。その結果、サブ画素40Aが暗い青表示となる。
一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対しては、黒表示となる電圧を印加しておく。
【0127】
上記は一例であり、各粒子の分布面積および分布状態の制御は、画素電極35A,35Bに対してそれぞれ印加する電圧の大きさ、印加時間、印加タイミングによって制御する。
また、赤表示領域および黒表示領域における各面積は、対向基板310側(対向電極37上)における各色の帯電粒子の2次元あるいは3次元的な広がりをすべて考慮した、対向基板310側から観測される実効的な面積である。
【0128】
以上述べたように、本実施形態の電気泳動表示装置100では、サブ画素40A,40Bにおける各帯電粒子の分布状態を制御することによって、サブ画素40Aとサブ画素40Bとで異なる表示を行うことができ、これら異なる表示の組み合わせによって多様な表現を実現することができる。また、上記実施形態と同様、封止材110が強固に基板本体に保持されたものとなっているので、折り曲げ耐性を備えた信頼性の高いものとなる。
【0129】
(第3実施形態の第1変形例)
なお、上記実施形態では、ザグリ部ZG1,ZG2を非表示部6の延在方向に沿って1つずつ形成する場合について説明したが、ザグリ部の形状及び配置位置はこれに限られることはない。例えば、図14に示すように注入穴H3の各々に対応させてザグリ部ZG1をそれぞれ形成し、注入穴H4の各々に対応させてザグリ部ZG2をそれぞれ形成するようにしても良い。この構成によれば、素子基板300全体に占めるザグリ部ZG1,ZG2の形成領域を小さくできるので、素子基板300の機械的強度を高めることができ、電気光学装置の折り曲げ耐性を向上させることができる。
【0130】
(第3実施形態の第2変形例)
また、上記第3実施形態では、隔壁64により少なくとも画像表示領域(画像表示部5)を2つの領域に分離する場合を例に挙げたが、画像表示領域を3つの領域に分離するようにしても良い。図15は隔壁64により画像表示領域(画像表示部5)を3つの空間5c〜5eに分離した構成を示す平面図である。
【0131】
本形態に係る隔壁64は、図15に示すように、隔壁64の外形を枠状に形成する枠状外壁部64Dと、枠状外壁部64Dによって囲まれた領域を三等分する波型形状の第1内壁部64Eおよび第2内壁部64Fとから構成されている。第1内壁部64Eと枠状外壁部64Dとの間に上記空間5cが形成され、第1内壁部64Eと第2内壁部64Fとの間に上記空間5dが形成され、第2内壁部64Fと枠状外壁部64Dとの間に上記空間5eが形成される。各空間5c〜5e内には異なる電気泳動材料が封入されており、電気泳動層32C〜32Eが構成されている。電気泳動層32Cは赤色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成され、電気泳動層32Dは緑色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成され、電気泳動層32Eは青色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成される。
【0132】
本変形例では3つのサブ画素40A、40B、40Cから構成された画素40が画像表示領域(画像表示部5)に多数設けられている。サブ画素40A、40B、40Cは上記電気泳動層32C、32D、32Eにそれぞれ対応するものであり、それぞれR(赤色)表示、G(緑色)表示、B(青色)表示を行うものである。画素40は、画像表示部5の長辺方向において、サブ画素40A、40B、40Cの配置順をRGBと示すと、RGB、BGRの順番を繰り返すようにして配置されている。また、サブ画素40Aおよびサブ画素40Cは、画像表示部5の長辺方向において隣の画素40との仕切りが設けられない構成となっている。
【0133】
また、本変形例では、空間5cに対応する注入穴H10、空間5dに対応する注入穴H11、および空間5eに対応する注入穴H12が設けられている。具体的に、注入穴H10,H12は非表示部6の延在方向に沿って3つ形成されている。また、注入穴H11は空間5dを構成する素子基板300の両端部にそれぞれ合計2つ形成されている。また、本変形例では、ザグリ部ZGが各注入穴H10乃至H12に対応するように形成されている。これにより、本変形例においても注入穴H10乃至H12内に封止材110を良好に注入することで折り曲げ耐性を備えた電気光学装置を提供できる。
【0134】
ここで、液晶表示装置のようにセルギャップが3μm程度の狭い空間内に粘度の高い液晶材料を注入する場合には、図15に示すような経路の長いパターンでは注入時間が長くなってしまい生産的ではない。しかし、電気泳動表示装置のようにセルギャップが厚く、例えば10μm以上のセルギャップを有する場合には、粘度の低い電気泳動材料であれば短時間で注入作業を行うことができ、生産的であり、実用的な方法となる。
【0135】
また、本実施形態では隔壁64がシール材を兼ねた構成となっている。これによれば、シール材を別途設ける必要が無くなり、電気泳動表示装置の部品点数を削減し、製造コストの低減を図ることができる。
【0136】
また、上記実施形態及び変形例では、素子基板300及び対向基板310間に電気光学層として電気泳動層を挟持した場合を例に説明したが、図16に示すように電気光学層として液晶層を挟持した液晶表示装置についても本発明は適用可能である。なお、図16は第2実施形態に係る構成において電気光学層を液晶層50に置き換えたものである。上述のように素子基板300及び対向基板310はフレキシブル性を有するため、液晶表示装置は折り曲げられるとセルギャップが変化し易い。そのため、液晶層50としてはセルギャップが変化しても表示特性への影響が小さいもの、例えば高分子分散型液晶(PDLC)、ポリマー分散型液晶(PNLC)等を用いるのが好ましい。また、本発明は、電気光学層として、液晶層の他、エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック表示装置についても適用可能である。
本発明の用いる第1基板30は必ずしも多層基板である必要はない。封止材110も紫外線硬化樹脂に限らず、熱硬化樹脂やそれらの混合を用いても良い。図7(b)等に示したように、封止材110は画像表示部5の画部に設けるのが好適である。
【0137】
(電子機器)
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置を電子機器に適用した場合について説明する。
図17は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図17(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック(電子機器)1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
【0138】
図17(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計(電子機器)1100は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
【0139】
図17(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー(電子機器)1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0140】
例えば電子ブックや電子ペーパーなどは、白地の背景上に文字を繰り返し書き込む用途が想定されるため、消去時残像や経時的残像の解消が必要とされる。
なお、本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0141】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、折り曲げ耐性を有し、良好なフルカラーに近い表示の行える信頼性に優れた高品位の電子機器となる。
【0142】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部や、マニュアル等の業務用シート、教科書、問題集、情報シート等にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0143】
H、H2,H3,H4,H10,H11,H12…注入穴、ZG,ZG1,ZG2…ザグリ部、32A…電気泳動層(電気光学層)、50…液晶層(電気光学層)、51…駆動IC(電子部品)、64…隔壁、65…シール材、100,200,350…電気泳動表示装置(電気光学装置)、110…封止材、300…素子基板(第1基板)、310…対向基板(第2基板)、400…液晶表示装置(電気光学装置)、1000…電子ブック(電子機器)、1100…腕時計(電子機器)、1200…電子ペーパー(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる薄型軽量の装置形態を有する表示装置の実用化が進められている。このような電子ペーパーではフレキシブル性を有する電気光学装置が用いられている。このようなフレキシブル性を有する電気光学装置として液晶装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液晶装置は、可撓性を有するプラスチック基板間に液体材料である液晶層(電気光学材料)を注入した後、封止材で封止することで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−64037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように基板間に液体材料を挟持してなる液晶装置は折り曲げられると封止部分に負荷が加わることで剥がれ落ちて液晶層が漏れ出すといった問題を引き起こすおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、曲げによる外力が働いた場合であっても基板間に電気光学材料を良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に配置される電気光学層と、前記第1基板又は前記第2基板の一方に形成され、前記電気光学層を注入するための注入穴と、前記注入穴を介して前記第1基板及び前記第2基板間に注入された前記電気光学層を封止する封止材と、を備え、前記封止材は、前記注入穴が形成されない他方の基板側まで到達した状態に設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、可撓性を有する第1基板及び第2基板を備えているので、全体として可撓性を有したものとなる。また、封止材が注入穴の形成されていない他方の基板側まで到達するように設けられているので、封止材が強固に保持されたものとなる。よって、電気光学装置を折り曲げた場合であっても、封止材が剥離するといった不具合が生じることが防止され、電気光学材料を良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を提供できる。
【0008】
また、上記電気光学装置においては、前記第2基板の前記電気光学層と反対側の面に表示面が設定され、前記注入穴は前記第1基板に形成されているのが好ましい。
【0009】
この構成によれば、表示面を構成しない第1基板側に注入穴が形成されるので、注入穴及び該注入穴に注入された封止材が表示面の表示画像に重なるといった不具合の発生を防止することができる。
【0010】
また、上記電気光学装置においては、前記第1基板は複数の基材が積層された多層構造から構成されるとともに前記注入穴が形成され、前記第1基板は、前記複数の基材間のいずれかに電子部品が挟持されることで該電子部品が基板本体内に埋め込まれているのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1基板が多層構造からなり、内部に電子部品が埋め込まれているので、電気光学装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、上記電気光学装置においては、前記注入穴は、該注入穴に対して前記電気光学層と反対側に設けられ、当該注入穴の穴径よりも大きい穴径を有するザグリ部に連通しているのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、基板間に電気光学層を注入する際、ザグリ部によって電気光学層が注入穴の形成された基板表面に溢れ出して基板表面が汚れるのを防止し、組み立て性に優れたものとなる。また、ザグリ部が封止材の溢れを防止することで封止材の表面が基板表面から突出するのを防止できる。これにより、封止材が基板表面に突出して邪魔になるといった問題の発生を無くすことができる。
【0014】
また、上記電気光学装置においては、前記注入穴が複数形成されるのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、注入穴が複数形成されるので、装置組立時に電気光学材料を基板間の全域に亘って良好に配置することができる。
【0016】
また、上記電気光学装置においては、前記第1基板及び前記第2基板の間に前記電気光学層の配置領域を区画する隔壁が設けられ、前記注入穴は前記電気光学層の配置領域に対応するように形成されるのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、電気光学層の配置領域を複数備えるとともに該複数の領域に注入穴を介して異なる電気光学層を注入することができる。よって、例えば色の異なる電気光学層を備え、カラー表示が可能な電気光学層を提供できる。
【0018】
また、上記電気光学装置においては、前記隔壁の一部が前記電気光学層を前記第1基板及び前記第2基板間にシールするシール部材を兼ねるのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、シール部材を別途設ける必要が無くなり、装置の部品点数を削減し、製造コスト低減を図ることができる。
【0020】
また、上記電気光学装置においては、前記電気光学層が電気泳動層であるのが好ましい。
【0021】
この構成によれば、可撓性を備えるとともに電子ペーパーとして好適な電気光学装置を提供することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の製造方法は、互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板間に電気光学層が挟持されてなる電気光学装置の製造方法において、貼り合わされた前記第1基板及び前記第2基板の一方に設けられた注入穴を介して前記基板間に前記電気光学層を注入する工程と、前記注入穴を封止材で封止する工程と、を備え、前記封止工程においては、前記注入穴を介して、該注入穴が形成されない他方の基板側まで到達させるように前記封止材を配置させることを特徴とする。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、注入穴の形成されていない他方の基板側まで到達させるように封止材を注入孔から注入しているので、封止材を確実に注入することができる。これにより、電気光学装置を折り曲げた場合であっても、封止材が剥離するといった不具合が生じることが防止され、電気光学材料を良好に封止する信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を製造できる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記電気光学装置を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明の電子機器は、上述した電気光学装置を備えるので、電子機器自体も折り曲げ可能な構造を採用した場合でも耐久性に優れた信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は電気泳動表示装置の平面構成を示す図であり、(b)は(a)のA−A線矢視による断面図。
【図2】電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図。
【図3】(a)、(b)は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図。
【図4】(a)、(b)は第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図。
【図5】(a)、(b)は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための図。
【図6】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の変形例に係る構成を示す図。
【図7】(a)は、第3実施形態に係る画像表示部における画素構成の一部を拡大して示す概略図であり、(b)は隔壁の構成を示す平面図。
【図8】第3実施形態の電気泳動表示装置の断面図。
【図9】電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図。
【図10】観測側から見たときに視認される着色粒子の面積による階調の違いについて示すサブ画素の概念図。
【図11】(a)は、白表示時における粒子の分布状態を示す図、(b)は、赤表示時における粒子の分布状態を示す図、(c)は、青表示時における粒子の分布状態を示す図、(d)は、黒表示時における粒子の分布状態を示す図。
【図12】緑表示時における粒子の分布状態を示す図。
【図13】(a)は、暗い緑表示における粒子の分布状態を示す図、(b)は、暗い赤表示における粒子の分布状態を示す図、(c)は、暗い青表示における粒子の分布状態を示す図。
【図14】第3実施形態の第1変形例に係る構成を示す図。
【図15】第3実施形態の第2変形例に係る構成を示す図。
【図16】本発明を液晶表示装置に適用した構成を示す図。
【図17】本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0028】
(第1実施形態)
図1は本発明の電気光学装置を電気泳動表示装置に適用した場合の構成を示す図であり、同図(a)は(b)のA−A断面図である。図2は、電気泳動表示装置の要部構成を示す断面図である。
【0029】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、フレキシブル性を有する素子基板(第1基板)300と、素子基板300に対向配置され、フレキシブル性を有する対向基板(第2基板)310と、これら素子基板300および対向基板310間に挟持される電気泳動層(電気光学層)32Aと、を備えている。これにより、電気泳動表示装置100は、全体としてフレキシブル性を備えたものとなっている。
【0030】
素子基板300および対向基板310の周縁部どうしの間には、電気泳動層32Aに対する耐湿性の確保と電気泳動層32Aの保持のために、電気泳動層32Aの周囲を取り囲むようにしてシール材65が配置されている。シール材65で囲まれた内側の領域は、画像表示部5を構成している。例えば、シール材65はエポキシ樹脂から構成される。
【0031】
素子基板300には上記シール材65で囲まれた画像表示部5に電気泳動層32Aを注入するための注入穴Hが形成されている。注入穴Hは、素子基板300を貫通した状態に形成されており、電気泳動層32Aの注入後、封止材110によって封止されている。封止材110は例えばエポキシ樹脂から構成されるものであり、注入穴Hを介した電気泳動層32Aへの水分や酸素等の外部材料の浸入の防止と電気泳動材料28の保持するためのものである。封止材110は、注入穴Hが形成されていない対向基板310側まで到達して該対向基板310に接触した状態に設けられている。ここで、電気泳動層32Aのセルギャップは例えば30μm程度に設定されている。そのため、封止材110は素子基板300の表面から電気泳動表示装置100の内部まで確実に入り込むことで強固に保持された状態となっている。
【0032】
電気泳動表示装置100は上述のようにフレキシブル性を有するため、折り曲げられた状態で使用されることがある。このとき、封止材110に対して負荷が加わることとなる。本実施形態によれば、封止材110が対向基板310側まで注入されることで強固に保持されているので、折り曲げによる負荷による封止材110の剥離を防止し、折り曲げ耐性を向上させることで信頼性の高いものとなっている。
【0033】
また、電気泳動表示装置100は、画像表示部5に表示された画像が対向基板310側から視認されるようになっている。そのため、注入穴Hに注入された封止材110は画像表示部5の表示画像に重なるといった不具合が防止されたものとなっている。
【0034】
図2は、電気泳動表示装置100の要部構成を具体的に示す断面図である。図2に示すように、素子基板300は、第1基板30と、その表面に形成された駆動回路層24とを主として構成されている。
【0035】
第1基板30は、フレキシブル性を有する3つの基材30A、30B、30Cが積層されてなり、駆動IC(電子部品)51、各種配線等が埋め込まれている。これにより、IC等の電子部品を積載したプリント基板等を外部に設ける必要がなくなり、第1基板30の小型化が実現できる。さらに、駆動回路層24の一部を第1基板30中に形成することにより高精細化が実現できる。第1基板30の小型化を図っている。第1基板30内に埋め込まれた各種配線は、例えば厚さ10μmのCuから構成されている。また、各基材30A〜30Cは、厚さ50μmのポリイミドからなるフレキシブル基板である。
【0036】
ユーザーは、上述のように画像を対向基板310側から視認するため、第1基板30を非透明基板で形成するのが好ましい。具体的には、電子部品である、駆動IC51が埋め込まれている基材30Aには非透明基板を用いることが好ましい。このように駆動IC51の周囲の基材に遮光性を付与することで、光リークによる駆動IC51の誤作動を抑制することができる。ここで駆動IC51が基板30Aに埋め込まれて保持されているが、この形態に限らない。素子基板300中のどこかに保持されていれば良い。
【0037】
駆動回路層24は、電気泳動表示装置100の画像表示部5を構成するマトリクス状に配置された複数の画素ごとに画素電極35と、当該画素電極35を制御する画素トランジスタTRsと、内蔵ドライバーDrと、を含む。内蔵ドライバーDrは、データ線駆動ドライバー、走査線駆動ドライバー、又はゲート線駆動ドライバー等を含む。
【0038】
駆動IC51は基材30B,30C間を貫通するコンタクトホールCH1に埋設された接続部51aおよび接続部51aに電気的に接続され、基材30C上に引き出された配線部51bを介して内蔵ドライバーDrと電気的に接続されている。
【0039】
画素トランジスタTRsは、複数の走査線66と複数のデータ線68との交差する箇所のそれぞれに設けられている。そして、画素トランジスタTRsのうち、半導体層41aのチャネル領域に対向するようにゲート電極41eが配置され、走査線66の一部が接続されている。この画素トランジスタTRsは、ボトムゲート/トップコンタクト構造であり、有機半導体層を有する有機TFTである。なお、内蔵ドライバーDrは、画素トランジスタTRsと同一の工程で第1基板30上に形成される。
【0040】
ゲート電極41eは厚さ0.3μmのCuからなり、該ゲート電極41eを覆うようにして第1基板30の表面全体には、ゲート絶縁膜41bが設けられている。ゲート絶縁膜41bは、厚さ0.5μmのアクリルからなり、その上に厚さ0.05μmのペンタセンからなる半導体層41aが形成されている。ゲート絶縁膜41b上にはさらに半導体層41aの周縁部に一部乗り上げるようにして、厚さ0.3μmのAuからなるソース電極41cおよびドレイン電極41dが設けられている。これら半導体層41a、ソース電極41cおよびドレイン電極41dは、厚さ1μmのアクリルからなる保護層42によって覆われており、当該保護層42の厚さ方向を貫通するコンタクトホールCH2を介して画素電極35が下層のドレイン電極41dと電気的に接続されている。このように画素トランジスタTRsは、第1基板30側から順次薄膜を作成することで形成されている。
【0041】
データ線68は、上記内蔵ドライバーDrを介して画像信号を画素トランジスタTRsのソース電極41cに入力するようになっている。ここで、データ線68に書き込む画像信号は、線順次に供給しても良いし、互いに隣接するデータ線68に対してグループごと、又は1本のデータ線毎に供給しても良い。
【0042】
画素トランジスタTRsのゲート電極41eには走査線66が電気的に接続されており、所定のタイミングでパルス的に選択信号(走査信号)を、順次に印加するように構成されている。
【0043】
第1基板30の表面に形成された画素電極35は、画素トランジスタTRsのドレイン電極41dと電気的に接続されており、スイッチング素子である画素トランジスタTRsを開状態とすることにより、データ線68から供給される画像信号が電気泳動層32Aに対して所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0044】
電気泳動層32Aは、正負のいずれかに帯電した黒色と白色の2種類の電気泳動粒子(正帯電粒子26、負帯電粒子27)と、シリコンオイルからなる分散媒21とを含む。この電気泳動層32Aは、保持容量(図示せず)が作る画素電極35と対向電極37との電位差によって電気泳動粒子(正帯電粒子26、負帯電粒子27)が対向電極37側あるいは画素電極35側へと移動することとなり、対向基板310側から電気泳動層32Aを見たときに視認される電気泳動粒子の分布状態によって画像が形成されるようになっている。
【0045】
なお、分散媒21に電気泳動粒子26,27を分散させた電気泳動層32Aを用いた例に限らず、例えば、電気泳動粒子と分散媒とをカプセル化したカプセル型のものでも良い。また、異なる極性に帯電した白黒の2粒子以外の粒子構成を採用しても良い。
【0046】
このように本実施形態においては、駆動IC51および内蔵ドライバーDrを画像表示部5の周囲に配置させることなく、画像表示部5の範囲内における第1基板30内に埋め込むことによって、額縁幅、すなわち非表示領域を狭くした構成にしても良い。
【0047】
一方、対向基板310は、厚さ0.2mmのPETからなる透明な第2基板31上に、厚さ0.1μmのカーボンナノチューブからなる対向電極37が形成されてなり、ユーザーは当該対向基板310を通して電気泳動層32Aを観察するため第2基板31には透明基板が用いられる。対向電極37への電圧の印加は第1基板30内に埋め込まれた駆動IC51によって行われる。駆動IC51は上下導通部(不図示)を介して対向電極37と電気的に接続されており、該対向電極37に対して所定の電圧を入力できる構成となっている。
【0048】
次に、上記電気泳動表示装置100の製造方法として、電気泳動層32Aを基板300,310間に注入する方法について図3を参照にしつつ説明する。
はじめに、シール材65を介して貼り合わせた素子基板300及び対向基板310であって素子基板300に注入穴Hが形成された基板本体150を用意する。そして、図3(a)に示すように、注入穴Hの注入口が上向きとなるように基板本体150を配置し、減圧下に保持し、電気泳動層32Aを構成する電気泳動材料28を注入口に塗布する。なお、電気泳動材料28の塗布方法としては、ディスペンサー、インクジェット法等の公知技術を適宜使用することができる。
【0049】
電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置する。これにより、注入口から注入される電気泳動材料28の注入速度を加速させ、対向基板310および素子基板300間においてシール材65で囲まれる領域内に電気泳動材料28を良好に充填することができる。
【0050】
続いて、図3(b)に示すように、注入穴HにエポキシからなるUV硬化樹脂110aを塗布する。このとき、UV硬化樹脂110aが注入穴Hよりも広くセルギャップ中で広がるように注入するのが望ましい。そして対向基板30にも達するように注入する。これによれば、注入穴Hを介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触した状態とさせることができる。
【0051】
そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴Hを封止する封止材110を形成する。以上により、基板本体150は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態(図1(b)参照)となるので、封止材110が強固に基板本体150に保持されたものとなる。図1(b)に示したように封止材110は素子基板300の裏面側に突出した状態となるが、素子基板300は表示面と反対側のため、実用上問題は無い。なお、素子基板300の表面から突出する封止材110のみを部分的に除去しても良い。
【0052】
以上述べたように、本実施形態に係る電気泳動表示装置100では、可撓性を有する素子基板300及び対向基板310からなる基板本体150を主体に構成されるので、全体として可撓性を有したものとなる。また、封止材110が注入穴Hの形成されない対向基板310側まで到達するように設けられているので、封止材110が強固に保持されたものとなる。よって、電気泳動表示装置100を折り曲げた場合であっても、封止材110が剥離することが防止され、電気泳動層32Aを良好に封止できる信頼性の高い封止構造を備えた電気光学装置を提供できる。
【0053】
また、本実施形態においては、エポキシ樹脂からなるシール材65や封止材110を用いているが、アクリル等の有機材料を用いても構わない。また、帯電粒子として白黒粒子以外にカラー粒子を用いても構わない。
また、画素トランジスタTRsの構成はボトムゲート構造に限られない。画素トランジスタTRsも有機、無機トランジスタのどちらを用いても良い。また、画素トランジスタTRsや第1基板30、第2基板31および対向電極37に用いる材料は上述のものに限られない。
【0054】
さらに、素子基板300を構成する第1基板30と対向基板310の第2基板31に用いる材料は、フレキシブル性を有するポリエステルや他の有機、無機材料を用いてもよい。また、第1基板30や第2基板31に用いる材料としては伸縮性を有する材料であってもよい。これにより、伸縮状態を含めたフレキシブル性を実現することができる。例えば、アクリル等の柔らかい有機材料、これらをコーティングした不織布、織布、またはゴム等であっても構わない。伸縮性を有すると、電気光学装置を服等の布のように変形の大きい材料や複雑な表面形状の上にも隙間なく貼るように設置するだけでなく、変形させて使用するときの剥がれを少なくすることができる。
また、第1基板30を構成する基材の数も上記したものに限られない。
また、画素トランジスタTRsの材料も上記したものに限られない。
また、画素電極35、対向電極37、走査線66、データ線68、および接続配線22等に用いる材料としては、Cu以外の他の金属ペースト、金属、カーボンナノチューブ等の導電性材料、無機導電性材料、有機導電性材料、透明電極、導電性ペーストを用いても良い。
また、図3(a)において、電気泳動表示装置150を減圧下に保持して電気泳動材料28を注入したが、それに限らず例えば大気圧下で行っても良い。
【0055】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、封止材110(UV硬化樹脂110a)を注入するための注入穴の形状であり、それ以外の構成については第1実施形態と共通である。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成或いは部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略若しくは簡略化する。
【0056】
図4は本実施形態に係る電気泳動表示装置200の構成を示す図である。なお、図4においては、図を見やすくするため、対向基板310を上側にして示している。
図4に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置200は、シール材65を介して張り合わされた素子基板300および対向基板310と、これら素子基板300および対向基板310間に挟持される電気泳動層32Aと、を備えている。
【0057】
本実施形態においても、注入穴H2が対向基板310に形成されている。本実施形態に係る注入穴H2は、第1基板30の基材30Cを貫通した状態に形成されている。本実施形態においては、第1基板30の基材30A,30Bを貫通した状態に設けられるザグリ部ZGが設けられており、注入穴H2の一端側(電気泳動層32Aと反対側)が連通している。ザグリ部ZGは、穴径が注入穴H2よりも大きく形成されている。このように基材30A〜30Cの界面にザグリ部ZGを形成することで注入穴H2の加工性を向上させている。
【0058】
なお、本実施形態では、ザグリ部ZGおよび注入穴H2の穴径を基材30Aと基材30Bとの界面で異ならせる場合を例に説明したが、基材30A〜Cの途中で穴径を変える構成を採用しても良い。また、第1基板30として基材30A〜30Cを積層した多層構造のものを例示したが、多層基板でない第1基板30に対して注入穴H2およびザグリ部ZGを形成するようにしても良い。
【0059】
封止材110は、第1実施形態と同様、注入穴H2が形成されていない対向基板310側まで到達して該対向基板310に接触した状態に設けられている。本実施形態では、注入穴H2内に注入された封止材110が素子基板300の表面に対して凹んだ状態となっている。
【0060】
続いて、上記電気光学装置200の製造方法として、電気泳動層32Aを基板300,310間に注入する方法について図5を参照にしつつ説明する。はじめに、素子基板300に注入穴H2が形成された基板本体250を用意する。そして、図5(a)に示すように、注入穴H2が上向きとなるように基板本体150を配置し、減圧下に保持し、電気泳動材料28を注入穴H2のザグリ部ZG内に塗布する。ザグリ部ZGは上述のように穴径が注入穴H2よりも大きいため、塗布された電気泳動材料28が素子基板300の表面に溢れ出させることなく良好に保持されたものとなる。
【0061】
そして、電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置し、対向基板310および素子基板300間においてシール材65で囲まれる領域内に電気泳動材料28を良好に充填することができる。このとき、上述のように電気泳動材料28はザグリ部ZGから素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に充填されるので、素子基板300の表面が電気泳動材料28で汚れるのを防止できる。
【0062】
続いて、図5(b)に示すように、注入穴H2のザグリ部ZG内にエポキシからなるUV硬化樹脂110aを塗布する。このとき、第1実施形態と同様、注入穴H2を介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触した状態とする。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H2を封止する封止材110を形成する。
【0063】
本実施形態では、注入穴H2に設けられたザグリ部ZGを介して封止材110が基板300,310間に充填されるので、電気泳動材料28と同様、封止材110(UV硬化樹脂110a)が素子基板300の表面を汚すことがない。すなわち、注入穴H2内に配置された封止材110は、素子基板300の表面から出っ張った状態となるのを防止することができる。
【0064】
本実施形態においても、基板本体250は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体250に保持されたものとなる。また、本実施形態によれば、ザグリ部ZGを設けたことで素子基板300の表面が電気泳動表示材料で汚れることで不良品となるといった不具合の発生を防止できる。特に黒色の電気泳動粒子は粒径が細かく、付着すると洗浄しても除去し難いので、汚れを原因として不良品とみなされることがある。そのため、本実施形態に係る構成は、特に顕著な効果を得ることができる。
【0065】
(変形例)
続いて、上述した第2実施形態に係る電気泳動表示装置200の変形例について説明する。なお、本変形例は注入穴H2の形状が第2実施形態に係る構成と異なっており、それ以外の構成は共通である。そのため、以下の説明では注入穴H2の形状について説明する。図6は本変形例に係る電気泳動表示装置200の構成を示す図であり、同図(a)は電気泳動表示装置200の平面図であり、同図(b)は(a)のA−A線矢視による断面図を示すものである。なお、図6は図を簡略化するため、電気泳動層32Aを注入しない状態の基板本体250を図示している。
【0066】
図6(a),(b)に示されるように、電気泳動表示装置200は、注入穴H2が3つ形成されている。また、ザグリ部ZGは素子基板300の長辺方向に沿って形成されており、3つの注入穴H2がそれぞれ連通した状態に設けられている。このように本変形例においては、注入穴H2が共通のザグリ部ZGに連通した構成となっている。
【0067】
続いて、本変形例に係る構成において、基板300,310間に電気泳動材料28を充填する工程について説明する。はじめに、注入穴H2が上向きとなるように基板本体250を配置し、減圧下に保持し、電気泳動材料28をザグリ部ZG内に塗布する。本実施形態に係るザグリ部ZGは上述のように素子基板300の長辺方向に沿って形成されるため、第2実施形態に係る構成に比べて電気泳動材料28を多く保持することができる。よって、電気泳動材料28が素子基板300の表面に溢れ出すのを確実に防止できる。
【0068】
そして、電気泳動材料28を塗布して一定時間が経過した後、基板本体250を大気圧下に配置し、注入穴H2を介して電気泳動材料28を基板300,310間に充填する。このとき、本変形例では上述のように注入穴H2が複数(本変形例では3つ)設けられているので、電気泳動材料28はザグリ部ZGから素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に短時間で良好に充填できる。
【0069】
続いて、注入穴H2のザグリ部ZG内にUV硬化樹脂110aを塗布し、第1実施形態と同様、注入穴H2を介して注入されたUV硬化樹脂110aを対向基板310の内面に接触させるまで引き込ませる。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H2を封止する封止材110を形成する。このように本変形例においても、基板本体250は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体250に保持されたものとなる。
【0070】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の構成について説明する。本実施形態と第1、第2実施形態との違いは、画素表示部における画素構造および注入穴の形状であり、それ以外の構成については第1、第2実施形態と共通である。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成或いは部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略若しくは簡略化する。
【0071】
図7(a)は、画像表示部における画素構成の一部を拡大して示す概略図であり、(b)は隔壁の構成を示す平面図である。また、図8は電気泳動表示装置の断面図である。
【0072】
図7(a)に示すように、本実施形態における1つの画素40は2つのサブ画素40Aおよびサブ画素40Bから構成されている。これら2つのサブ画素40A,40Bは、走査線66の延在方向に沿って交互に存在するとともに、データ線68の延在方向に同じサブ画素40A,40B同士が連続して存在している。1画素を構成するサブ画素40A,40Bの間には隔壁64が存在している。この隔壁64は、素子基板300と対向基板310との間に配置され、図7(b)に示すように、少なくとも画像表示領域(画像表示部5)を2つの領域に分離するものである。具体的には、画像表示部5に対応する素子基板300および対向基板310間の空間を2つの空間5a,5bに区画形成している。そして、この隔壁64の両側に存在するサブ画素40A,40Bによって、表示を行う1つの画素40を構成している。隔壁64によって区画形成された空間5a,5b内にそれぞれ存在するサブ画素40Aとサブ画素40Bとはそれぞれ異なる画素40を構成するものである。
【0073】
隔壁64の具体的な構成について述べると、隔壁64の外形を枠状に形成すべく互いに対向配置されたL字形状の一対の外壁部64Aと、これら外壁部64Aによって囲まれた領域を二等分する波型形状の内壁部64Cとから構成されている。外壁部64Aと内壁部64Cとの間に上記空間5aと5bが形成される。これら空間5a,5b内には異なる電気泳動材料が封入されており、電気泳動層32Aが構成されている。また、隔壁64の外周を囲むようにシール材65が設けられている。これにより、隔壁64がシールから電気泳動層32Aへの不純物の溶出等を防止することができる。
【0074】
本実施形態においては、図7(b)、図8に示すように、上記空間5aに後述の電気泳動層32Aを注入するための注入穴H3と、上記空間5bに後述の電気泳動層32Aを注入するための注入穴H4と、を備えている。具体的に本実施形態では、素子基板300における画像表示部5の外側に設定される非表示部6に注入穴H3,H4が3つずつ形成されている。また、本実施形態においては、非表示部6の延在方向に沿ってザグリ部ZG1,ZG2が設けられている。注入穴H3はザグリ部ZGに連通しており、注入穴H4はザグリ部ZG2に連通している。各注入穴H3,H4は封止材110によって封止されている。
【0075】
上記隔壁64の材料としては、例えばポリイミドが用いられる。隔壁64の配置領域は表示に係わらない領域であるため、その色は、非透明で黒色または明度の低い無彩色であることが望ましい。
このため、コントラストの低下が生じにくい。
【0076】
従来の隔壁構成では空間5a、5b内のサブ画素40A、40B間にも隔壁を設ける。そのため本実施例の2倍の数の隔壁が必要になる。本実施例の隔壁が占める面積が従来のそれが占める面積に比べて小さいことから、明るく高コントラストの表示が可能となっている。また、高精細な画像表示を必要とする表示装置に有効である。なお、隔壁64の形状は上記したものに限らない。
【0077】
ここで、電気泳動表示装置350の製造時における電気泳動層の形成工程のうち、電気泳動材料を注入する工程を主体について述べる。
まず、素子基板300上にポリイミドから成る隔壁形成材料を塗布して所定の厚さになるように成膜し、フォトリソグラフィーを用いてパターニングを行うことによって隔壁64を形成する。隔壁64の高さは、例えば10〜30μmである。続いて隔壁64上にエポキシからなる紫外性硬化性樹脂をスクリーン印刷等で塗布する。
【0078】
続いて、素子基板300上に隔壁64を介して対向基板310を貼り合わせ、両基板300,310に圧力を加えながら紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させる。これにより、隔壁64は素子基板300と対向基板310とが隔壁64を介して接続される。本実施形態では、電気泳動層32Aによりカラー表示を行うため、液晶表示装置のようにカラーフィルターを用いないことから素子基板300および対向基板310の貼り合わせ精度は要求されない。本形態に係る構成では隔壁64の位置精度が重要とされるからである。
【0079】
続いて、注入穴H3,H4が上向きとなるように基板本体を配置し、減圧下に保持し、電気泳動層32Aの電気泳動材料28をザグリ部ZG1、G2内に塗布する。ザグリ部ZG1,2は上述のように注入穴H3,H4の穴径よりも内径が大きいため、塗布された電気泳動層32Aの構成材料が素子基板300の表面に溢れ出させることなく良好に保持されたものとなる。
【0080】
そして、電気泳動層32A(電気泳動材料28)を塗布して一定時間が経過した後、基板本体150を大気圧下に配置し、上記領域5a,5b内に電気泳動層32Aをそれぞれ良好に充填する。このとき、上述のように電気泳動層32Aの構成材料はザグリ部ZG1,ZG2から素子基板300の表面に溢れ出ることなく基板300,310間に充填されるので、素子基板300の表面が電気泳動表示材料で汚れるのを防止できる。
【0081】
続いて、注入穴H3,H4のザグリ部ZG1,ZG2内にUV硬化樹脂110aを塗布し、第1実施形態と同様、注入穴H3,H4を介して注入された封止材110を対向基板310の内面に接触させるまで引き込ませる。そして、紫外線(UV)を照射することでUV硬化樹脂110aを硬化させ、注入穴H3,H4を封止する封止材110を形成する。これにより、空間5aに電気泳動層32Aが形成され、空間5bに電気泳動層32Aが形成される。以上により、基板本体150は、封止材110が対向基板310の内面に接触した状態となるので、封止材110が強固に基板本体150に保持されたものとなる。
【0082】
図9は本実施形態に係る電気泳動表示装置350の要部構成を示す断面図である。
図9に示すように、各サブ画素40A,40B内には、2つの画素電極35A,画素電極35B、対向電極37、および反射電極13が備えられている。画素電極35A、35Bは、それぞれ異なるトランジスタにより駆動されるようになっており、対向電極37との間で独立して電圧を印加できる構成となっている。また、反射電極13は、対向電極37と略同電位の電圧が印加される。この反射電極13は少なくともその表面(電気泳動層32A側の面)に反射性を有している。
【0083】
また、サブ画素40Aに対応する電気泳動層32Aは、青色の負帯電粒子26Bと赤色の正帯電粒子27Rとを有し、サブ画素40Bに対応する電気泳動層32Aは、緑色の正帯電粒子27Gと黒色の負帯電粒子26Bkとを有する。このため、1画素内には4種類(4色)の粒子が保持されていることになる。
【0084】
ここで、サブ画素40Aの電気泳動層32Aにおける2種類の帯電粒子の色として、赤、青、緑のいずれか2つの色(本実施形態では、赤と青)が選択されるものとし、サブ画素40Bの電気泳動層32Aにおける2種類の帯電粒子の色として、赤、青、緑のうち、サブ画素40Aにおける各粒子の色とは異なる色(本実施形態では緑)と、黒色が選択されている。また、黒色以外にも、他方の帯電粒子の色の補色の関係となる色であれば選択することができる。
【0085】
分散媒21の材料としては、実質的に無色透明であることが好ましい。このような分散媒21としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。かかる分散媒21の材料としては、上記以外にも、例えば各種類(蒸留水、純水、イオン交換水等)、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、流動パラフィンなどの鉱物油類、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の植物油類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系液体またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。分散媒21として気体や真空を用いても良い。
【0086】
また、分散媒21中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、例えばチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等カップリング剤やその他の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0087】
分散媒21中に含まれる、帯電粒子、無帯電粒子および透明粒子は、それぞれいかなるものを用いることができ、特に限定はされないが、染料粒子、顔料粒子、樹脂粒子、セラミックス粒子、金属粒子、金属酸化物粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0088】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫化亜鉛、亜鉛華等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料、フェロシアン化第二鉄等のシアン色顔料、あるいは無機酸化鉄等のマゼンタ色顔料等が挙げられる。無機顔料、有機顔料を用いることも出来る。
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0089】
上記顔料の代わりに染料を用いて染料粒子を構成できる。この場合は白色顔料に染料を混入させても良いし、着色の顔料と混ぜて用いても良い。例えばカルボニウム系のマゼンタ等の染料を用いることもできる。
【0090】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、スチレンとアクリロニトリルを共重合したAS樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。また、分散媒21中に含まれる各種粒子としては、粒子の中心を空洞にした構造のものを用いても良い。このような構成によれば、粒子の表面で光を散乱させることに加えて、粒子内部の、空洞を構成する壁面においても光を散乱させることができ、光の散乱効率を向上させることが可能となる。よって、白、及びその他の色の発色性を向上させることができる。
【0092】
また、このような電気泳動粒子の分散媒21中における分散性を向上させることを目的に、各粒子の表面に、分散媒21と相溶性の高い高分子を物理的に吸着させたり、化学的に結合させたりすることができる。これらの中でも、電気泳動粒子の表面からの離脱着の問題から、高分子が化学的に結合しているものが特に好ましい。かかる構成とすれば、電気泳動粒子の見かけの比重が小さくなる方向に作用して、電気泳動粒子の分散媒21での親和性、すなわち分散性を向上させることができる。
【0093】
このような高分子としては、例えば、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基を有する高分子、電気泳動粒子と反応性を有する基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子、および、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子等が挙げられる。
【0094】
上述したような高分子において、電気泳動粒子と反応性を有する基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アルコキシシラン基、シラノール基、アルキルアミド基、アジリジン基、オキサゾン基、およびイソシアネート基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を選択して用いることができるが、用いる電気泳動粒子の種類等に応じて、選択するようにすればよい
【0095】
このような構成に基づき、本実施形態に係る電気泳動表示装置は、1画素を構成するサブ画素40A,40Bにおいて互いに異なる表示を行うことで、これら表示の組み合わせによる多様な表現を実現可能となっている。
【0096】
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の動作原理について図9を参照にしながら述べる。
ここでは、1つのサブ画素に着目して説明する。なお、実際には画素電極と反射電極とは異なる層に形成されているが、説明をわかりやすくするために、図9では反射電極を画素電極と同じ層に示している。以下の説明において、便宜上、画素電極に印加する電圧に符号VL、Vl、VH、Vh2、Vl2を付して説明する。
【0097】
図示していないが、最初に画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加し赤の正帯電粒子27Rを画素電極35Aに集合させ、画素電極35Bにプラス電圧VHを印加し青の負帯電粒子26Bを画素電極35Bに集合させる。
【0098】
次に、図9に示すように、画素電極35Aおよび画素電極35Bに対してそれぞれ同じ大きさのマイナス電圧VLを印加すると、例えば画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rが複数吸着し、対向電極37上に複数の青色の負帯電粒子26Bを分布させる事ができる。一方、画素電極35Aおよび画素電極35Bに対してそれぞれ同じ大きさのプラス電圧VHを印加すると、例えば画素電極35B上に青色の負帯電粒子26Bが複数吸着し、対向電極37上に赤色の正帯電粒子27Rが複数分布させる事ができる。
【0099】
このように、画素電極35A,35Bのそれぞれに印加する電圧を介して、各帯電粒子を画素電極35A,35B側と対向電極37側とに非対象に分布させることによって表示を制御することができる。
【0100】
図10は、観測側(対向基板側)から見たときに視認される着色粒子の面積による階調の違いについて示すサブ画素の概念図である。ここでは、分かりやすくするために赤色粒子のみを用いて説明する。
図10(a)は、マイナス電圧VLが印加された画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rが吸着した状態である。この状態で対向基板310側から見ると、赤色粒子の分布面積に応じた小さな赤色ドットと、反射電極13によって表現される白色とにより、若干赤みを帯びた白表示として見える。
【0101】
図10(b)は、画素電極35Aに対してマイナス電圧Vl(Vl<VL)において印加するマイナス電圧より低い)を印加して、図10(a)の状態において画素電極35A上に吸着していた正帯電粒子27Rの一部を対向電極37側へと移動させた状態である。この状態で、対向基板310側から見ると、図10(a)の状態よりも大きい赤ドットが分布した状態となり、淡い赤色が表現される。
【0102】
図10(c)は、電気泳動層32A側における複数の正帯電粒子27Rのすべてを対向電極37側へと移動させた状態である。この状態で、対向基板310側から見るとサブ画素40Aの全体が赤色に見える。
このように、電気泳動表示装置では、対向基板310側から見たときに視認される着色粒子の面積により階調を制御するように構成されている。
【0103】
次に、本実施形態の電気泳動表示装置における動作(表示方法)について述べる。
図11(a)は、白表示時における粒子の分布状態を示す図である。
サブ画素40A,40B内の各画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加するとともに、各画素電極35Bにプラス電圧VHを印加する。これにより、サブ画素40Aにおける画素電極35A上に赤色の正帯電粒子27Rを吸着させるとともに画素電極35B上に青色の負帯電粒子26Bを吸着させ、また、サブ画素40Bにおける画素電極35A上に緑色の正帯電粒子27Gを吸着させるとともに画素電極35B上に黒色の負帯電粒子26Bkを吸着させる。
【0104】
このように、サブ画素40A,40B内の画素電極35A,35B上にすべての帯電粒子を集合させることにより、対向基板310側から電気泳動層32A内へ入射した外光は粒子が吸着していない反射電極13において反射され、対向基板310側から観測者側へと出射する。これにより、明るい表示、すなわち明るい白表示が実現できる。
【0105】
ここで、反射電極13の表面を酸化して形成した酸化物で構成しておくか、あるいは反射電極13の表面に酸化膜を形成しておくことによって、反射率が向上するだけでなく、反射光を乱反射させることができる。その結果、メタリックな反射ではなく、紙のような白色により近い白表示を実現できるようになる。
【0106】
また、この状態は、電気泳動表示装置100の表示画像を切り換えるときのプリセット状態でもある。電気泳動材料はメモリー性を有するため、表示画像を書き換えるときに画像表示部5における表示全体を一度クリアにするプリセット動作を行い、粒子の分布状態をリセットする必要がある。このリセットされた状態(プリセット状態)を基準として、そこから新たな表示画像の書き換え動作を行う。
【0107】
図11(b)は、赤表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、先に述べたプリセット動作を実行して画素40(各サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40A内の画素電極35Aにプラス電圧VHを印加するとともに、画素電極35Bにもプラス電圧VHを印加した。これにより、プリセット状態から引き続き、画素電極35B上には青色の負帯電粒子26Bが吸着した状態のまま保持され、プリセット時に画素電極35A上に吸着していた赤色の正帯電粒子27Rはすべて対向電極37側へと移動して、サブ画素40Aが赤表示となる。一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対してはマイナス電圧VLをそれぞれ印加して、帯電粒子26Gをすべて画素電極35A上に保持させておくとともに、帯電粒子27Bkを対向電極37側へとすべて移動させることで、サブ画素40Bが黒表示となる。
【0108】
ここで、サブ画素40Aにおける赤色の正帯電粒子27Rは透明粒子(透過粒子)であることから、対向基板310側から入射した外光は、正帯電粒子27Rを透過した後に素子基板300側の反射電極13において反射されて、再度、正帯電粒子27Rを透過して外部に出射する。この際、最初に透過する正帯電粒子27Rにおいて赤色以外の光の一部が吸収されて、赤色を含む光が反射電極13で反射される。そして、この反射光が再び正帯電粒子27Rに入射することによって、赤色以外の光が再度吸収されるため、くっきりした赤い光のみが対向基板310側から外部に出て行くことになる。このため、サブ画素40Aは赤表示となる。
【0109】
このときの出射光(表示画像)の明るさは反射電極13の面積に比例する。このため、画素電極35A,35Bが存在する領域にも反射性(散乱性)を付与することが好ましい。すなわち、反射電極13と同様に、画素電極35A,35Bに反射性を付与し、その表面を金属酸化物で構成してもよいし、金属層の表面を別途酸化させて酸化膜を形成してもよい。
【0110】
ここで、透明粒子とは、可視光領域において特定波長領域の光を吸収し、それ以外の波長の光を散乱または透過させる粒子のことである。本実施形態においては、赤色の約600〜800nmの光を散乱または透過させている。なお、可視光以外の領域は不問とする。
【0111】
上記したように、サブ画素40Aを赤表示、サブ画素40Bを黒表示とすることにより、画素40全体が赤表示となる。
【0112】
図11(c)は、青表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、プリセット動作を実行した後、サブ画素40A内の画素電極35A,35Bにマイナス電圧VLをそれぞれ印加して、赤色の正帯電粒子27Rを画素電極35A上に保持させたままにするとともに、プリセット時に画素電極35B上に吸着していた青色の負帯電粒子26Bを対向電極37側へとすべて移動させることにより、サブ画素40Aを青表示にする。一方、サブ画素40B内の画素電極35A,35Bには引き続きプリセット動作後に、図11(b)と同様の動作で黒表示とする。
【0113】
ここで、青色の負帯電粒子26Bは反射粒子であり、対向基板310側から入射した光の一部はこの負帯電粒子26Bにおいて反射される。具体的には、青色以外の光は負帯電粒子26Bにおいて吸収され、青色光のみが負帯電粒子26Bにおいて反射されて対向基板310側から出射する。このときの青表示の明るさは、対向電極37上に分布した青色の負帯電粒子26Bの実行的な分布面積に比例する。そのため、十分な青色光の反射が行えるような範囲(厚さ)で、対向電極37上に青色粒子を2次元あるいは3次元的に分布させることが好ましい。
【0114】
青色の負帯電粒子26Bにおける青色光の反射率は極力高いことが望ましく、少なくとも60%以上、より好ましくは90%以上の反射率を有していることである。さらに、青色以外の光の反射率は低い程よく、できれば10%以下、より好ましくは5%以下が好適である。
また、少なくとも反射において拡散反射(乱反射)の成分を有していることが望ましい。ここで、反射粒子とは、可視光領域において特定波長領域の光を吸収し、それ以外の波長の光を散乱または反射させる粒子を指す。本実施形態においては、青色の波長、約400〜500nmの光を散乱または反射させている。なお、可視光領域以外は不問とする。
【0115】
なお、緑色の正帯電粒子27Gは反射粒子および透過粒子のいずれであってもよいが、本実施形態では透明粒子とした。
なお、反射粒子とする場合は、緑色光の反射率が極力高いことが望ましく、上記の青粒子と同様に、少なくとも60%以上、より好ましくは90%以上の反射率を有しているとともに、緑色以外の光の反射率は低い程よく、できれば10%以下、より好ましくは5%以下が好適である。
【0116】
上記したように、サブ画素40Aを青表示、サブ画素40Bを黒表示とすることで、画素40全体が青表示となる。
【0117】
図11(d)は、黒表示時における粒子の分布状態を示す図である。
黒表示を行う際においても、まずプリセット動作を実行する。プリセット動作を実行して画素40(各サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40Aの画素電極35Aにプラス電圧VHを印加して対向電極37側へ赤色の正帯電粒子27Rをすべて移動させる。移動した複数の正帯電粒子27Rは、対向電極37の表面を覆うように分布することになる。
【0118】
その後、所定の時間をおいてから、画素電極35Bに対してマイナス電圧VLを印加して、対向電極37側へ青色の負帯電粒子26Bをすべて移動させる。対向電極37側へと移動した青色の負帯電粒子26Bは、対向電極37の表面上に分布している赤色の正帯電粒子27Rの下側に配置され、これら正帯電粒子27Rと重なるようにして3次元的に分布する。このように、対向電極37の直下にまず赤色の正帯電粒子27Rを配置した後、これら正帯電粒子27Rの直下に負帯電粒子26Bを配置させる。
【0119】
この状態だと、対向基板310側から入射した光は、まず透過粒子である赤色の正帯電粒子27Rにおいて赤色以外の光の一部が吸収されて青色の負帯電粒子26Bに到達する。負帯電粒子26Bに到達した光のうち、青色光以外の光、つまり赤色光は負帯電粒子26Bにおいて吸収される。また、正帯電粒子27Rを透過することなく負帯電粒子26Bに直接到達した外光は、そのうちの青色光のみが負帯電粒子26Bにおいて反射されて、それ以外の色の光は吸収される。負帯電粒子26Bで反射された青色光は正帯電粒子27Rにおいて吸収される。このため、結果として黒表示となる。
【0120】
一方のサブ画素40Bにおいては図11(b)と同様にプリセット動作後に黒表示とする。また、サブ画素40Aを黒表示する正帯電粒子27Rと負帯電粒子26Bとの移動を開始する時間のずれは上記に限らない。正帯電粒子27Rを移動開始させ、まだ、対向電極37側に移動しきらない時に負帯電粒子26Bを移動開始させても良い。
【0121】
図12は、緑表示時における粒子の分布状態を示す図である。
まず、プリセット動作を実行して画素40(サブ画素40A,40B)を白表示にした後、サブ画素40Aの画素電極35A,35Bに対して当該サブ画素40Aを黒表示にする所定の電圧を、それぞれ時間差を設けて印加するとともに、サブ画素40Bの画素電極35A,35Bにプラス電圧VHをそれぞれ印加する。
【0122】
これにより、サブ画素40Aでは、対向電極37上に分布する赤色の正帯電粒子27Rの直下に青色の負帯電粒子26Bが配置されて黒表示となる。サブ画素40Bでは、画素電極35B上に黒色の負帯電粒子26Bkが吸着するとともに、対向電極37上に緑色の正帯電粒子27Gが広く分布して、緑表示となる。
つまり、サブ画素40Bでは、外光が対向電極37上に広く分布した透過性の緑色の正帯電粒子27Gに入射して、緑色以外の光の一部が吸収される。正帯電粒子27R)を透過した緑色光を含む光は反射電極13において反射された再び正帯電粒子27Gへと入射し、緑色以外の光が吸収されて緑色光のみが外部に出射する。これにより、緑表示となる。
ここで、緑粒子を透過粒子としたが、反射粒子であってもよい。
【0123】
次に、RGBそれぞれの低い明度(暗い色)表示する方法を示す。
図13(a)は、暗い緑表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、サブ画素40Aの画素電極35A,35Bに対して黒表示を実現する電圧をそれぞれ印加するとともに、サブ画素40Bの画素電極35Aに対してVh2(0<Vh2<VH)を印加して緑色の正帯電粒子27Gの一部を対向電極37側に移動させ、さらに、画素電極35Bに対してVl2(VL<Vl2<0)を印加して黒色の負帯電粒子26Bkを対向電極37側に移動させた。ここで、対向電極37側へ移動する緑粒子の方が黒粒子よりも多くなるように各画素電極35A,35Bに対して印加する電圧の大きさを調整する。
【0124】
この状態で対向基板310側から見ると、サブ画素40Bでは緑色の中に黒ドットが存在し、その結果、暗い緑表示となる。この緑色と黒色の面積を制御することで任意の明度を表現できる。また、各色の面積は、画素電極35A,35Bに印加する電圧の大きさ、印加時間の長短、電圧を印加するタイミングで制御することができる。この面積とは、対向電極37近傍または溶媒中も含んだ2次元、3次元的な広がりをすべて考慮した、観測者側(外部)から観察される実効的な面積である。このように、階調表示を行うことができるのは、サブ画素40A,40Bがそれぞれ複数の画素電極35A,35Bの集合体からなり、これら画素電極35A,35Bをそれぞれ独立に制御しているからである。
【0125】
次に、赤粒子および青粒子による階調制御を行った際の表示を示す。
図13(b)は、暗い赤表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、まず、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してプラス電圧VHを印加して赤色の正帯電粒子27Rをすべて対向電極37側へと移動させる。その後、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してマイナス電圧Vl(VL<Vl<0)を印加して青色の負帯電粒子26Bの一部を対向電極37側へと移動させることにより、赤色の中に黒ドットを形成できる。その結果、サブ画素40Aが暗い赤表示となる。
一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対しては、黒表示となる電圧を印加しておく。
【0126】
図13(c)は、暗い青表示における粒子の分布状態を示す図である。
プリセット動作の後、まず、サブ画素40Aの画素電極35Aに対してプラス電圧Vh(0<Vh<VH)を印加して赤色の正帯電粒子27Rの一部を対向電極37側へと移動させる。その後、サブ画素40Aの画素電極35Bに対してマイナス電圧VLを印加して青色の負帯電粒子26Bをすべて対向電極37側へと移動させることにより、青色の中に黒ドットが存在する。その結果、サブ画素40Aが暗い青表示となる。
一方、サブ画素40Bの各画素電極35A,35Bに対しては、黒表示となる電圧を印加しておく。
【0127】
上記は一例であり、各粒子の分布面積および分布状態の制御は、画素電極35A,35Bに対してそれぞれ印加する電圧の大きさ、印加時間、印加タイミングによって制御する。
また、赤表示領域および黒表示領域における各面積は、対向基板310側(対向電極37上)における各色の帯電粒子の2次元あるいは3次元的な広がりをすべて考慮した、対向基板310側から観測される実効的な面積である。
【0128】
以上述べたように、本実施形態の電気泳動表示装置100では、サブ画素40A,40Bにおける各帯電粒子の分布状態を制御することによって、サブ画素40Aとサブ画素40Bとで異なる表示を行うことができ、これら異なる表示の組み合わせによって多様な表現を実現することができる。また、上記実施形態と同様、封止材110が強固に基板本体に保持されたものとなっているので、折り曲げ耐性を備えた信頼性の高いものとなる。
【0129】
(第3実施形態の第1変形例)
なお、上記実施形態では、ザグリ部ZG1,ZG2を非表示部6の延在方向に沿って1つずつ形成する場合について説明したが、ザグリ部の形状及び配置位置はこれに限られることはない。例えば、図14に示すように注入穴H3の各々に対応させてザグリ部ZG1をそれぞれ形成し、注入穴H4の各々に対応させてザグリ部ZG2をそれぞれ形成するようにしても良い。この構成によれば、素子基板300全体に占めるザグリ部ZG1,ZG2の形成領域を小さくできるので、素子基板300の機械的強度を高めることができ、電気光学装置の折り曲げ耐性を向上させることができる。
【0130】
(第3実施形態の第2変形例)
また、上記第3実施形態では、隔壁64により少なくとも画像表示領域(画像表示部5)を2つの領域に分離する場合を例に挙げたが、画像表示領域を3つの領域に分離するようにしても良い。図15は隔壁64により画像表示領域(画像表示部5)を3つの空間5c〜5eに分離した構成を示す平面図である。
【0131】
本形態に係る隔壁64は、図15に示すように、隔壁64の外形を枠状に形成する枠状外壁部64Dと、枠状外壁部64Dによって囲まれた領域を三等分する波型形状の第1内壁部64Eおよび第2内壁部64Fとから構成されている。第1内壁部64Eと枠状外壁部64Dとの間に上記空間5cが形成され、第1内壁部64Eと第2内壁部64Fとの間に上記空間5dが形成され、第2内壁部64Fと枠状外壁部64Dとの間に上記空間5eが形成される。各空間5c〜5e内には異なる電気泳動材料が封入されており、電気泳動層32C〜32Eが構成されている。電気泳動層32Cは赤色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成され、電気泳動層32Dは緑色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成され、電気泳動層32Eは青色の帯電粒子とともに黒粒子が注入されることで構成される。
【0132】
本変形例では3つのサブ画素40A、40B、40Cから構成された画素40が画像表示領域(画像表示部5)に多数設けられている。サブ画素40A、40B、40Cは上記電気泳動層32C、32D、32Eにそれぞれ対応するものであり、それぞれR(赤色)表示、G(緑色)表示、B(青色)表示を行うものである。画素40は、画像表示部5の長辺方向において、サブ画素40A、40B、40Cの配置順をRGBと示すと、RGB、BGRの順番を繰り返すようにして配置されている。また、サブ画素40Aおよびサブ画素40Cは、画像表示部5の長辺方向において隣の画素40との仕切りが設けられない構成となっている。
【0133】
また、本変形例では、空間5cに対応する注入穴H10、空間5dに対応する注入穴H11、および空間5eに対応する注入穴H12が設けられている。具体的に、注入穴H10,H12は非表示部6の延在方向に沿って3つ形成されている。また、注入穴H11は空間5dを構成する素子基板300の両端部にそれぞれ合計2つ形成されている。また、本変形例では、ザグリ部ZGが各注入穴H10乃至H12に対応するように形成されている。これにより、本変形例においても注入穴H10乃至H12内に封止材110を良好に注入することで折り曲げ耐性を備えた電気光学装置を提供できる。
【0134】
ここで、液晶表示装置のようにセルギャップが3μm程度の狭い空間内に粘度の高い液晶材料を注入する場合には、図15に示すような経路の長いパターンでは注入時間が長くなってしまい生産的ではない。しかし、電気泳動表示装置のようにセルギャップが厚く、例えば10μm以上のセルギャップを有する場合には、粘度の低い電気泳動材料であれば短時間で注入作業を行うことができ、生産的であり、実用的な方法となる。
【0135】
また、本実施形態では隔壁64がシール材を兼ねた構成となっている。これによれば、シール材を別途設ける必要が無くなり、電気泳動表示装置の部品点数を削減し、製造コストの低減を図ることができる。
【0136】
また、上記実施形態及び変形例では、素子基板300及び対向基板310間に電気光学層として電気泳動層を挟持した場合を例に説明したが、図16に示すように電気光学層として液晶層を挟持した液晶表示装置についても本発明は適用可能である。なお、図16は第2実施形態に係る構成において電気光学層を液晶層50に置き換えたものである。上述のように素子基板300及び対向基板310はフレキシブル性を有するため、液晶表示装置は折り曲げられるとセルギャップが変化し易い。そのため、液晶層50としてはセルギャップが変化しても表示特性への影響が小さいもの、例えば高分子分散型液晶(PDLC)、ポリマー分散型液晶(PNLC)等を用いるのが好ましい。また、本発明は、電気光学層として、液晶層の他、エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック表示装置についても適用可能である。
本発明の用いる第1基板30は必ずしも多層基板である必要はない。封止材110も紫外線硬化樹脂に限らず、熱硬化樹脂やそれらの混合を用いても良い。図7(b)等に示したように、封止材110は画像表示部5の画部に設けるのが好適である。
【0137】
(電子機器)
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置を電子機器に適用した場合について説明する。
図17は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図17(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック(電子機器)1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
【0138】
図17(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計(電子機器)1100は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
【0139】
図17(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー(電子機器)1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0140】
例えば電子ブックや電子ペーパーなどは、白地の背景上に文字を繰り返し書き込む用途が想定されるため、消去時残像や経時的残像の解消が必要とされる。
なお、本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0141】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、折り曲げ耐性を有し、良好なフルカラーに近い表示の行える信頼性に優れた高品位の電子機器となる。
【0142】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部や、マニュアル等の業務用シート、教科書、問題集、情報シート等にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0143】
H、H2,H3,H4,H10,H11,H12…注入穴、ZG,ZG1,ZG2…ザグリ部、32A…電気泳動層(電気光学層)、50…液晶層(電気光学層)、51…駆動IC(電子部品)、64…隔壁、65…シール材、100,200,350…電気泳動表示装置(電気光学装置)、110…封止材、300…素子基板(第1基板)、310…対向基板(第2基板)、400…液晶表示装置(電気光学装置)、1000…電子ブック(電子機器)、1100…腕時計(電子機器)、1200…電子ペーパー(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置される電気光学層と、
前記第1基板又は前記第2基板の一方に形成され、前記電気光学層を注入するための注入穴と、
前記注入穴を介して前記第1基板及び前記第2基板間に注入された前記電気光学層を封止する封止材と、を備え、
前記封止材は、前記注入穴が形成されない他方の基板側まで到達した状態に設けられることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第2基板の前記電気光学層と反対側の面に表示面が設定され、
前記注入穴は前記第1基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1基板は複数の基材が積層された多層構造から構成されるとともに前記注入穴が形成され、
前記第1基板は、前記複数の基材間のいずれかに電子部品が挟持されることで該電子部品が基板本体内に埋め込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記注入穴は、該注入穴に対して前記電気光学層と反対側に設けられ、当該注入穴の穴径よりも大きい穴径を有するザグリ部に連通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記注入穴が複数形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1基板及び前記第2基板の間に前記電気光学層の配置領域を区画する隔壁が設けられ、
前記注入穴は前記電気光学層の配置領域にそれぞれ対応するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記隔壁の一部が前記電気光学層を前記第1基板及び前記第2基板間にシールするシール部材を兼ねることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記電気光学層が電気泳動層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板間に電気光学層が挟持されてなる電気光学装置の製造方法において、
貼り合わされた前記第1基板及び前記第2基板の一方に設けられた注入穴を介して前記基板間に前記電気光学層を注入する工程と、
前記注入穴を封止材で封止する工程と、を備え、
前記封止工程においては、前記注入穴を介して、該注入穴が形成されない他方の基板側まで到達させるように前記封止材を配置させることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置される電気光学層と、
前記第1基板又は前記第2基板の一方に形成され、前記電気光学層を注入するための注入穴と、
前記注入穴を介して前記第1基板及び前記第2基板間に注入された前記電気光学層を封止する封止材と、を備え、
前記封止材は、前記注入穴が形成されない他方の基板側まで到達した状態に設けられることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第2基板の前記電気光学層と反対側の面に表示面が設定され、
前記注入穴は前記第1基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1基板は複数の基材が積層された多層構造から構成されるとともに前記注入穴が形成され、
前記第1基板は、前記複数の基材間のいずれかに電子部品が挟持されることで該電子部品が基板本体内に埋め込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記注入穴は、該注入穴に対して前記電気光学層と反対側に設けられ、当該注入穴の穴径よりも大きい穴径を有するザグリ部に連通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記注入穴が複数形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1基板及び前記第2基板の間に前記電気光学層の配置領域を区画する隔壁が設けられ、
前記注入穴は前記電気光学層の配置領域にそれぞれ対応するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記隔壁の一部が前記電気光学層を前記第1基板及び前記第2基板間にシールするシール部材を兼ねることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記電気光学層が電気泳動層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
互いが対向配置され、それぞれが可撓性を有する第1基板及び第2基板間に電気光学層が挟持されてなる電気光学装置の製造方法において、
貼り合わされた前記第1基板及び前記第2基板の一方に設けられた注入穴を介して前記基板間に前記電気光学層を注入する工程と、
前記注入穴を封止材で封止する工程と、を備え、
前記封止工程においては、前記注入穴を介して、該注入穴が形成されない他方の基板側まで到達させるように前記封止材を配置させることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−37190(P2013−37190A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173155(P2011−173155)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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