説明

電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器

【課題】電気泳動表示装置等の電気光学装置において、細い線幅を有する線画像を確実に表示させる。
【解決手段】電気光学装置の制御方法は、表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像が含まれている場合には、複数の画素のうち線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における画素電極(21Bw、21Bb)に高電位(VH)及び低電位(VL)のうちの一方の電位が供給されるように、駆動部を制御することにより、第2画素に第1階調を表示させる第1表示制御工程と、第1表示制御工程の後に、第2画素における画素電極(21Lb、21Lw)に基準電位が供給されるとともに、第1画素における画素電極に高電位及び低電位のうちの他方の電位が供給されるように、駆動部を制御することにより、第1画素に第1階調とは異なる第2階調を表示させる第2表示制御工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、電気泳動粒子を含む分散媒を有する電気泳動素子を挟持するように設けられた画素電極及び対向電極間に電圧を印加することにより、電気泳動粒子を移動させることで画像を表示する電気泳動表示装置がある(例えば特許文献1参照)。電気泳動素子は、電気泳動粒子として例えば黒色粒子及び白色粒子を含んでおり、これら2種類の粒子が画素毎に選択的に対向電極側に引き寄せられることによって、黒色又は白色の2つの階調が表示される。
【0003】
このような電気泳動表示装置では、例えば、黒色を表示させるべき画素の画素電極に、対向電極の電位(例えば0ボルト)よりも高い正極性の電位(例えば15ボルト)を供給するとともに、白色を表示させるべき画素の画素電極に、対向電極の電位よりも低い負極性の電位(例えば−15ボルト)を供給することにより、画像を表示させる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した電気泳動表示表示装置では、画像表示の際、例えば、黒色を表示すべき1つの画素が白色を表示すべき2つの画素間に位置する場合(即ち、正極性の電位が供給される画素電極が、負極性の電位が夫々供給される2つの画素電極間に位置することになる場合、言い換えれば、正極性の電位が供給される画素電極と隣り合う画素電極に負極性の電位が供給される場合)、黒色を表示すべき画素の画素電極と白色を表示すべき画素の画素電極との間に強い電界が生じることにより、黒色を表示すべき画素の画素電極と対向電極との間に十分な電圧を印加することができず、黒色を表示すべき画素に黒色を表示することが困難になるおそれがあるという技術的問題点がある。このため、例えば1つの画素の幅(即ち、1画素の幅)に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を適切に表示することが困難になってしまうおそれがある。即ち、表示された線画像の線幅が、表示すべき線画像の線幅よりも細くなってしまったり、表示すべき線画像がほとんど或いは全く表示されなくなってしまう事態が生じ得る。
【0006】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば1画素の幅に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を確実に表示させることができ、高品質な画像を表示させることが可能な電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気光学装置の制御方法は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を含む表示部と、該表示部に表示すべき画像に応じて前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、前記表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像が含まれている場合には、前記複数の画素のうち前記線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における前記画素電極に基準電位よりも高い高電位及び前記基準電位よりも低い低電位のうちの一方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第2画素に第1階調を表示させる第1表示制御工程と、該第1表示制御工程の後に、前記第2画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるとともに、前記第1画素における前記画素電極に前記高電位及び前記低電位のうちの前記一方の電位とは異なる他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第1画素に前記第1階調とは異なる第2階調を表示させる第2表示制御工程とを含む。
【0008】
本発明に係る電気光学装置の制御方法は、互いに対向する画素電極及び対向電極間に、例えば電気泳動粒子等の電気光学物質を夫々有する複数の画素を含む表示部と、該表示部に表示すべき画像に応じて画素電極及び対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置を制御する制御方法である。電気光学装置は、画素電極及び対向電極間に印加される電圧に応じて例えば電気泳動粒子等の電気光学物質の状態が変化することにより、表示部において画像を表示することができる。駆動部は、例えば、対向電極に基準電位を供給するとともに、画素電極に、基準電位よりも高い高電位又は基準電位よりも低い低電位を、表示すべき階調に応じて供給することにより、画素電極及び対向電極間に電圧を印加する。
【0009】
本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像(例えば、1画素の幅に相当する線幅を有する線画像)が含まれている場合には、第1表示制御工程及び第2表示制御工程をこの順で行うことにより、表示すべき画像を表示部に表示させる。
【0010】
第1表示制御工程では、複数の画素のうち線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における画素電極に低電位及び高電位のうちの一方の電位が供給されるように、駆動部を制御することにより、第2画素に第1階調(例えば白色)を表示させる。即ち、第1表示制御工程では、所定幅よりも細い線幅を有する線画像(例えば黒色である第2階調の線画像)の背景となる第1階調(例えば白色)が、該線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素に表示されるように、第2画素における画素電極に一方の電位(即ち、低電位及び高電位のうち第1階調に対応する電位)が駆動部によって供給される。なお、第1表示制御工程では、第1画素における画素電極及び対向電極間に、第1画素に第1階調が表示されるように電圧が印加されてもよいし(例えば、第1画素における画素電極に、低電位及び高電位のうち第2階調に対応する電位が供給されてもよいし)、電圧が印加されなくてもよい(例えば、第1画素における画素電極に基準電位が供給されてもよい)。
【0011】
第2表示制御工程では、第2画素における画素電極に基準電位が供給されるとともに、第1画素における画素電極に高電位及び低電位のうちの一方の電位とは異なる他方の電位(即ち、第2階調に対応する電位)が供給されるように、駆動部を制御することにより、第1画素に第2階調(例えば黒色)を表示させる。即ち、第2表示制御工程では、背景となる第1階調(例えば白色)を表示する状態となった第2画素の画素電極に基準電位が供給されるとともに、線画像に対応する第1画素における画素電極に他方の電位(即ち、第2階調に対応する電位)が供給されることで、表示部には、第1階調(例えば白色)を背景として第2階調(例えば黒色)の線画像が表示される。
【0012】
ここで、仮に、複数の画素のうち背景となる第2画素における画素電極に高電位及び低電位のうち第1階調(例えば白色)に対応する一方の電位(例えば低電位)が供給されている状態で、線画像に対応する第1画素における画素電極に高電位及び低電位のうち第2階調(例えば黒色)に対応する他方の電位(例えば高電位)が供給される場合には、第2画素における画素電極と第1画素における画素電極との間の電位差によって生じる電界によって、線画像に対応する第1画素における画素電極と対向電極との間に、印加すべき電圧を十分に印加することができず、線画像を適切に表示することが困難になってしまうおそれがある。例えば、表示部に表示される線画像の線幅が、表示すべき線画像の線幅よりも細くなってしまったり、表示すべき線画像がほとんど或いは全く表示されない事態が生じ得る。
【0013】
しかるに本発明では特に、第2表示制御工程において、第2画素における画素電極に基準電位が供給されるとともに、第1画素における画素電極に他方の電位(即ち、第2階調に対応する電位)が供給される。よって、例えば、前述した、背景となる第2画素における画素電極に一方の電位(例えば低電位)が供給されている状態で、線画像に対応する第1画素における画素電極に他方の電位(例えば高電位)が供給される場合と比較して、第2画素における画素電極と第1画素における画素電極との間の電位差を低減することができ、線画像に対応する第1画素における画素電極と対向電極との間に、印加すべき電圧を十分に印加することが可能となる。したがって、所定幅よりも細い線幅を有する線画像(例えば1画素の幅に相当する線幅を有する線画像)を確実に表示させることができる。即ち、例えば、表示部に表示される線画像の線幅が、表示すべき線画像の線幅よりも細くなってしまったり、表示すべき線画像がほとんど或いは全く表示されないという事態を回避することができる。この結果、高品質な画像を表示させることが可能となる。
【0014】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、電気光学装置の表示部に、例えば1画素の幅に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を確実に表示させることができる。この結果、高品質な画像を表示させることが可能となる。
【0015】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の一態様では、前記第1表示制御工程は、前記第1画素における前記画素電極に前記他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御する。
【0016】
この態様によれば、第1及び第2表示制御工程によって、第1画素に第1階調が表示されるように、第1画素における画素電極及び対向電極間に電圧を確実に印加することができる。したがって、表示部に線画像を確実に表示させることができる。
【0017】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第1表示制御工程は、前記第1画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるように、前記駆動部を制御する。
【0018】
この態様によれば、第1表示制御工程では、第1画素における画素電極に基準電位が供給されることで、第1画素における画素電極及び対向電極間には電圧が印加されない。よって、第2表示制御工程において、第1画素における画素電極に他方の電位が供給され、第1画素における画素電極及び対向電極間に電圧が印加されることにより、第1画素における画素電極と対向電極との間に電圧が印加されすぎてしまい、例えば電気泳動粒子などの電気光学物質が損傷或いは劣化してしまうことを抑制できる。
【0019】
本発明に係る電気光学装置の制御装置は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を含む表示部と、該表示部に表示すべき画像に応じて前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、前記表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像が含まれている場合には、前記複数の画素のうち前記線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における前記画素電極に基準電位よりも高い高電位及び前記基準電位よりも低い低電位のうちの一方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第2画素に第1階調を表示させる第1表示制御手段と、該第1表示制御手段によって前記第2画素に前記第1階調が表示された後に、前記第2画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるとともに、前記第1画素における前記画素電極に前記高電位及び前記低電位のうちの前記一方の電位とは異なる他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第1画素に前記第1階調とは異なる第2階調を表示させる第2表示制御手段とを備える。
【0020】
本発明に係る電気光学装置の制御装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法と同様に、電気光学装置において、例えば1画素の幅に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を確実に表示させることができ、高品質な画像を表示させることができる。
【0021】
なお、本発明に係る電気光学装置の制御装置においても、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0022】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0023】
本発明に係る電気光学装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置を備えるので、例えば1画素の幅に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を確実に表示することができ、高品質な画像を表示することができる。
【0024】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0025】
本発明に係る電子機器によれば、前述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品質な画像を表示することが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0026】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図3】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】第1実施形態に係るマイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図5】線画像が含まれる画像の一例を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係る第1表示制御工程を示す模式図である。
【図7】第1実施形態に係る第2表示制御工程を示す模式図である。
【図8】第2実施形態に係る第1表示制御工程を示す模式図である。
【図9】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図10】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例である電気泳動表示装置を例にとる。
【0029】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図7を参照して説明する。
【0030】
まず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0031】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0032】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、表示部3と、コントローラ10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220とを備えている。なお、コントローラ10が本発明に係る「電気光学装置の制御装置」の一例である。また、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220が本発明に係る「駆動部」の一例を構成する。
【0033】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
【0034】
コントローラ10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラ10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
【0035】
走査線駆動回路60は、コントローラ10による制御下で、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0036】
データ線駆動回路70は、コントローラ10による制御下で、データ線X1、X2、…、Xnにデータ信号を供給する。データ信号は、基準電位GND(例えば0V)、高電位VH(例えば+15V)又は低電位VL(例えば−15V)のいずれかの電位をとる。なお、本実施形態では、基本的には、黒色が表示されるべき画素20に対して低電位VLのデータ信号が供給され、白色が表示されるべき画素20に対して高電位VHのデータ信号が供給される。
【0037】
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcom(本実施形態では、基準電位GNDと同一の電位)を供給する。なお、共通電位Vcomは、共通電位Vcomが供給された対向電極22と基準電位GNDが供給された画素電極21との間に電圧が実質的に生じない範囲内で、基準電位GNDとは異なる電位であってもよい。
【0038】
なお、コントローラ10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0039】
図2は、画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0040】
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24と、画素電極21と、対向電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
【0041】
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給されるデータ信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
【0042】
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ信号が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して対向電極22と互いに対向するように配置されている。
【0043】
対向電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
【0044】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0045】
保持容量27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によってデータ信号を一定期間だけ維持することができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0047】
図3は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【0048】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。なお、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0049】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して前述した画素スイッチング用トランジスター24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0050】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、対向電極22が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0051】
電気泳動素子23は、本発明に係る「電気光学物質」の一例であり、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
【0052】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び対向電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0053】
図4は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。なお、図4では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0054】
図4において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0055】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0056】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0057】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0058】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0059】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と対向電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0060】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0061】
図3及び図4において、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に対向電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられるとともに、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、対向電極22側)には白色粒子82が集まることになり、表示部3の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられるとともに、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、表示部3の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
【0062】
なお、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について、図5から図7を参照して説明する。
【0064】
図5は、線画像が含まれる画像の一例を示す平面図である。
【0065】
以下では、図5に示すような線画像Lb及びLwが含まれる画像Pが表示部3(図1参照)に表示される場合を例にとりながら、前述した電気泳動表示装置1の制御方法、即ち、コントローラ10が走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220を制御する制御方法について説明する。なお、画像Pは、黒色及び白色の2階調からなる2階調画像である。また、以下では、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220を総称して「駆動部」と適宜称する。
【0066】
図5に示すように、画像Pには、黒色の線画像Lbと、この線画像Lbの背景となる白色の背景画像Bwと、白色の線画像Lwと、この白色の背景となる黒色の背景画像Bbとが含まれている。線画像Lb及びLwは、1画素に相当する線幅を有している。即ち、線画像Lbの線幅WLb及び線画像Lwの線幅WLwは、画素電極21の幅とほとんど同じである。
【0067】
本実施形態では、表示すべき画像に1画素に相当する線幅を有する線画像が含まれている場合には、以下のように第1表示制御工程及び第2表示制御工程が順に行われることで、表示すべき画像が表示部3に表示される。
【0068】
即ち、表示部3に、1画素に相当する線幅をそれぞれ有する線画像Lb及びLwが含まれる画像Pが表示される際には、コントローラ10によって第1及び第2表示制御工程が順に行われる。なお、コントローラ10は、表示すべき画像に、1画素に相当する線幅を有する線画像が含まれているか否か(言い換えれば、1画素に相当する線幅よりもやや太い所定幅よりも細い線画像が含まれているか否か)を画像データに基づいて判定する。コントローラ10は、表示すべき画像に、1画素に相当する線幅を有する線画像が含まれていると判定した場合に、第1及び第2表示制御工程を行う。なお、本実施形態では、表示すべき画像に1画素に相当する線幅を有する線画像が含まれている場合に、第1及び第2表示制御工程が順に行われる例を挙げるが、表示すべき画像に、2画素に相当する線幅(即ち、1画素に相当する線幅の2倍の線幅)以下の線幅や3画素に相当する線幅(即ち、1画素に相当する線幅の3倍の線幅)以下の線幅など、1つの画素20の幅の複数倍に相当する線幅以下の線幅を有する線画像が含まれている場合に、第1及び第2表示制御工程が順に行われてもよい。
【0069】
図6は、本実施形態に係る第1表示制御工程を示す模式図である。図6(a)は、本実施形態に係る第1表示制御工程における、黒色の線画像Lb及び白色の背景画像Bwに対応する画素20の状態を示しており、図6(b)は、本実施形態に係る第1表示制御工程における、白色の線画像Lw及び黒色の背景画像Bbに対応する画素20の状態を示している。
【0070】
図5及び図6において、第1表示制御工程では、表示部3に配列されたm行×n列分の画素20(図1参照)のうち、白色の背景画像Bwに対応する画素20における画素電極21Bw(図6(a)参照)、及び白色の線画像Lwに対応する画素20における画素電極21Lw(図6(b)参照)の各々に低電位VL(例えば−15V)が供給されるとともに、黒色の背景画像Bbに対応する画素20における画素電極21Bb(図6(b)参照)、及び黒色の線画像Lbに対応する画素20における画素電極21Lb(図6(a)参照)の各々に高電位VH(例えば+15V)が供給されるように、駆動部がコントローラ10によって制御される。即ち、第1表示制御工程では、白色を表示すべき画素20における画素電極21(即ち、画素電極21Bw及び画素電極21Lw)に低電位(例えば−15V)が供給されるとともに、黒色を表示すべき画素20における画素電極21(即ち、画素電極21Bb及び画素電極21Lb)に高電位(例えば+15V)が供給されるように、駆動部がコントローラ10によって制御される。なお、対向電極22には、共通電位Vcom(本実施形態では、例えば0Vである基準電位GND)が供給されている。
【0071】
よって、図6(a)に示すように、白色の背景画像Bwに対応する画素20では、対向電極22から画素電極21Bwに向って電界EBwが生じて、黒色粒子83は画素電極21Bw側に引き寄せられて画素電極21Bwに到達するとともに、白色粒子82は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達する。この結果、白色の背景画像Bwに対応する画素20に白色が表示される。また、図6(b)に示すように、黒色の背景画像Bbに対応する画素20では、画素電極21Bbから対向電極22に向って電界EBbが生じて、黒色粒子83は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達するとともに、白色粒子82は画素電極21Bb側に引き寄せられて画素電極21Bbに到達する。この結果、黒色の背景画像Bbに対応する画素20に黒色が表示される。また、図6(a)に示すように、黒色の線画像Lbに対応する画素20では、当該画素20における画素電極21Lbと、当該画素20の隣りに位置する白色の背景画像Bwに対応する画素20の画素電極21Bwとの間に横向きの電界(即ち、画素電極21Lbから画素電極21Bwに向かう電界)Et1が生じるため、画素電極21Lbと対向電極22との間に生じる電界ELbの大きさは、電界EBwや電界EBbの大きさよりも小さい。ここで、画素電極21Lbと画素電極21Bwとの電位差(即ち、高電位VHと低電位VLとの差、例えば30V)は、画素電極21Lbと対向電極22と電位差(即ち、高電位VHと基準電位GNDとの差、例えば15V)よりも大きく、更に、画素電極21Lbと画素電極21Bwとの間の距離(即ち、画素電極間距離、例えば10um程度)は、画素電極21Lbと対向電極22との間の距離(例えば35〜45um程度)よりも小さいので、画素電極21Lbから対向電極22に向かう電界ELbの大きさは、横向きの電界Et1の大きさよりも小さくなる(即ち、黒色の線画像Lbに対応する画素20では、横向きの電界Et1が黒色粒子83及び白色粒子82に対して支配的に働く)。したがって、黒色の線画像Lbに対応する画素20では、黒色粒子83は対向電極22側に引き寄せられるが、黒色粒子83は対向電極22に到達せず、白色粒子82は画素電極21Lb側に引き寄せられるが、画素電極21Lbに到達しない。また、図6(b)に示すように、白色の線画像Lwに対応する画素20では、当該画素20における画素電極21Lwと、当該画素20の隣りに位置する黒色の背景画像Bbに対応する画素20の画素電極21Bbとの間に横向きの電界(即ち、画素電極21Bbから画素電極21Lwに向かう電界)Et2が生じるため、画素電極21Lwと対向電極22との間に生じる電界ELwの大きさは、電界EBwや電界EBbの大きさよりも小さい。ここで、画素電極21Lwと画素電極21Bbとの電位差(即ち、低電位VLと高電位VHとの差、例えば30V)は、画素電極21Lwと対向電極22と電位差(即ち、低電位VLと基準電位GNDとの差、例えば15V)よりも大きく、更に、画素電極21Lwと画素電極21Bbとの間の距離(即ち、画素電極間距離、例えば10um程度)は、画素電極21Lwと対向電極22との間の距離(例えば35〜45um程度)よりも小さいので、画素電極21Lwから対向電極22に向かう電界ELwの大きさは、横向きの電界Et2の大きさよりも小さくなる(即ち、白色の線画像Lwに対応する画素20では、横向きの電界Et2が黒色粒子83及び白色粒子82に対して支配的に働く)。したがって、白色の線画像Lwに対応する画素20では、白色粒子82は対向電極22側に引き寄せられるが、対向電極22に到達せず、黒色粒子83は画素電極21Lw側に引き寄せられるが、画素電極21Lwに到達しない。
【0072】
このような第1表示制御工程が行われた後に、以下のような第2表示制御工程が行われる。
【0073】
図7は、本実施形態に係る第2表示制御工程を示す模式図である。図7(a)は、本実施形態に係る第2表示制御工程における、黒色の線画像Lb及び白色の背景画像Bwに対応する画素20の状態を示しており、図7(b)は、本実施形態に係る第2表示制御工程における、白色の線画像Lw及び黒色の背景画像Bbに対応する画素20の状態を示している。
【0074】
図5及び図7において、第2表示制御工程では、表示部3に配列されたm行×n列分の画素20(図3参照)のうち、白色の背景画像Bwに対応する画素20における画素電極21Bw(図7(a)参照)、及び黒色の背景画像Bbに対応する画素20における画素電極21Bb(図7(b)参照)の各々に基準電位GNDが供給され、かつ、黒色の線画像Lbに対応する画素20における画素電極21Lb(図7(a)参照)に高電位VH(例えば+15V)が供給されるとともに、白色の線画像Lwに対応する画素20における画素電極21Lw(図7(b)参照)に低電位VL(例えば−15V)が供給されるように、駆動部がコントローラ10によって制御される。即ち、第2表示制御工程では、背景画像Bw及びBbを表示すべき画素20における画素電極21(即ち、画素電極21Bw及び画素電極21Bb)に基準電位GNDが供給されるとともに、線画像Lb及びLwを表示すべき画素20における画素電極21(即ち、画素電極21Lb及び画素電極21Lb)に、当該画素20が表示すべき線画像に応じて高電位VH(例えば+15V)又は低電位VL(例えば−15V)が供給されるように、駆動部がコントローラ10によって制御される。なお、対向電極22には、共通電位Vcom(本実施形態では、例えば0Vである基準電位GND)が供給されている。
【0075】
つまり、第2表示制御工程では、背景画像に対応する画素電極21Bw及び21Rbに基準電位GNDが供給され、かつ、線画像Lbに対応する画素電極21Lbに高電位VHが供給されるとともに、線画像Lwに対応する画素電極21Lwに低電位VLが供給される。
【0076】
よって、図7に示すように、白色の背景画像Bwに対応する画素20、及び黒色の背景画像Bbに対応する画素20の各々では、画素電極21(即ち、画素電極21Bw或いは21Bb)と対向電極22との間に電界がほとんど或いは全く生じないので、黒色粒子83及び白色粒子82は、図6を参照して前述した第1表示制御工程が行われた後の状態とほとんど同じ状態に維持される。また、図7(a)に示すように、黒色の線画像Lbに対応する画素20では、画素電極21Lbから対向電極22に向って電界ELbが生じて、黒色粒子83は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達するとともに、白色粒子82は画素電極21Lb側に引き寄せられて画素電極21Lbに到達する。この結果、黒色の線画像Lbに対応する画素20に黒色が表示される。また、図7(b)に示すように、白色の線画像Lwに対応する画素20では、対向電極22から画素電極21Lwに向って電界ELwが生じて、黒色粒子83は画素電極21Lw側に引き寄せられて画素電極21Lwに到達するとともに、白色粒子82は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達する。この結果、白色の線画像Lwに対応する画素20に白色が表示される。
【0077】
ここで、第2表示制御工程における画素電極21Lbと画素電極21Bwとの電位差(即ち、高電位VHと基準電位GNDとの差、例えば15V)は、第1表示制御工程における画素電極21Lbと画素電極21Bwとの電位差(即ち、高電位VHと低電位VLとの差、例えば30V)よりも小さいので、第1表示制御工程と比べて、画素電極21Lbから画素電極21Bwに向かう横向きの電界が小さい。よって、第2表示制御工程によれば、黒色の線画像Lbに対応する画素20において、黒色粒子83を対向電極22に確実に到達させることができるとともに、白色粒子82を画素電極21Lbに確実に到達させることができる。したがって、黒色の線画像Lbに対応する画素20に黒色を確実に表示させることができる。この結果、黒色の線画像Lbを表示部3に確実に表示させることができる。同様に、第2表示制御工程における画素電極21Lwと画素電極21Bbとの電位差(即ち、低電位VLと基準電位GNDとの差、例えば15V)は、第1表示制御工程における画素電極21Lwと画素電極21Bbとの電位差(即ち、低電位VLと高電位VHとの差、例えば30V)よりも小さいので、第1表示制御工程と比べて、画素電極21Bbから画素電極21Lwに向かう横向きの電界が小さい。よって、第2表示制御工程によれば、白色の線画像Lwに対応する画素20において、白色粒子82を対向電極22に確実に到達させることができるとともに、黒色粒子8を画素電極21Lbに確実に到達させることができる。したがって、白色の線画像Lwに対応する画素20に白色を確実に表示させることができる。この結果、白色の線画像Lwを表示部3に確実に表示させることができる。
【0078】
以上の結果、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、1画素の幅に相当する線幅を有する線画像Lb及びLwを含む画像Pを表示部3に確実に表示することができる。即ち、本実施形態によれば、例えば、表示部3に線画像Lb及びLwとして表示される線画像の線幅が、表示すべき線画像Lb及びLwの線幅よりも細くなってしまったり、表示すべき線画像Lb及びLwがほとんど或いは全く表示されないという事態を回避することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示部3に、1画素の幅に相当する線幅など細い線幅を有する線画像を確実に表示させることができ、高品質な画像を表示させることができる。
【0080】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る電気泳動表示装置について、図8を参照して説明する。
【0081】
第2実施形態に係る電気泳動表示装置は、前述したコントローラ10が駆動部を制御する制御方法(具体的には、図6を参照して前述した第1表示制御工程)が、前述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と異なる。その他の点については、第2実施形態に係る電気泳動表示装置は、前述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と概ね同様に構成されている。
【0082】
図8は、第2実施形態に係る第1表示制御工程を示す模式図である。図8(a)は、第2実施形態に係る第1表示制御工程における、黒色の線画像Lb及び白色の背景画像Bwに対応する画素20の状態を示しており、図8(b)は、第2実施形態に係る第2表示制御工程における、白色の線画像Lw及び黒色の背景画像Bbに対応する画素20の状態を示している。なお、図8において、図1から図7に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0083】
図5及び図8において、第1表示制御工程では、表示部3に配列されたm行×n列分の画素20(図1参照)のうち、白色の背景画像Bwに対応する画素20における画素電極21Bw(図8(a)参照)に低電位VL(例えば−15V)が供給されるとともに、黒色の背景画像Bbに対応する画素20における画素電極21Bb(図8(b)参照)に高電位VH(例えば+15V)が供給され、かつ、黒色の線画像Lbに対応する画素20における画素電極21L、及び白色の線画像Lwに対応する画素20における画素電極21Lw(図8(b)参照)の各々に基準電位GND(例えば0V)が供給されるように、駆動部がコントローラ10によって制御される。なお、対向電極22には、共通電位Vcom(本実施形態では、例えば0Vである基準電位GND)が供給されている。
【0084】
よって、図8(a)に示すように、白色の背景画像Bwに対応する画素20では、対向電極22から画素電極21Bwに向って電界EBwが生じて、黒色粒子83は画素電極21Bw側に引き寄せられて画素電極21Bwに到達するとともに、白色粒子82は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達する。この結果、白色の背景画像Bwに対応する画素20に白色が表示される。また、図8(b)に示すように、黒色の背景画像Bbに対応する画素20では、画素電極21Bbから対向電極22に向って電界EBbが生じて、黒色粒子83は対向電極22側に引き寄せられて対向電極22に到達するとともに、白色粒子82は画素電極21Bb側に引き寄せられて画素電極21Bbに到達する。この結果、黒色の背景画像Bbに対応する画素20に黒色が表示される。また、図8(a)に示すように、黒色の線画像Lbに対応する画素20では、画素電極21Lbと対向電極22との間に電位差がほとんど或いは全く生じないので、黒色粒子83及び白色粒子82は、隣りの画素20に生じる電界EBwの影響によって画素電極21Lb側及び対向電極22側にそれぞれ移動するものの、画素電極21Lb或いは対向電極22に到達しない。同様に、図8(b)に示すように、白色の線画像Lbに対応する画素20では、画素電極21Lwと対向電極22との間に電位差がほとんど或いは全く生じないので、黒色粒子83及び白色粒子82は、隣りの画素20に生じる電界EBbの影響によって画素電極21Lw側及び対向電極22側にそれぞれ移動するものの、画素電極21Lw或いは対向電極22に到達しない。
【0085】
このような第1表示制御工程が行われた後に、前述した第1実施形態と同様に、第2表示制御工程が行われる。
【0086】
図8に示した第2実施形態に係る第1表示制御工程では特に、線画像Lb及びLwに対応する画素20における画素電極21(即ち、画素電極Lb及びLw)に基準電位GND(例えば0V)が供給される。即ち、本実施形態に係る第1表示制御工程では特に、線画像に対応する画素20における画素電極21及び対向電極22間に電圧がほとんど或いは全く印加されない。よって、この第1表示制御工程の後に行われる第2表示制御工程(図7参照)において、線画像に対応する画素20における画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加された際、画素電極21及び対向電極22間に電圧が印加されすぎてしまうことにより黒色粒子83及び白色粒子82が損傷或いは劣化してしまうことを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、当該電気泳動表示装置の信頼性を高めることができる。
【0087】
<電子機器>
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図9及び図10を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0088】
図9は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0089】
図9に示すように、電子ペーパー1400は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0090】
図10は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0091】
図10に示すように、電子ノート1500は、図10で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0092】
前述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、消費電力が小さく、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0093】
なお、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、前述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0094】
なお、本発明は、電気泳動表示装置のほか、電子粉流体が用いられた表示装置にも適用することが可能である。
【0095】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0096】
3…表示部、10…コントローラ、20…画素、21…画素電極、22…対向電極、28…素子基板、29…対向基板、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、82…白色粒子、83…黒色粒子、220…共通電位供給回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を含む表示部と、該表示部に表示すべき画像に応じて前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、
前記表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像が含まれている場合には、前記複数の画素のうち前記線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における前記画素電極に基準電位よりも高い高電位及び前記基準電位よりも低い低電位のうちの一方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第2画素に第1階調を表示させる第1表示制御工程と、
該第1表示制御工程の後に、前記第2画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるとともに、前記第1画素における前記画素電極に前記高電位及び前記低電位のうちの前記一方の電位とは異なる他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第1画素に前記第1階調とは異なる第2階調を表示させる第2表示制御工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の制御方法。
【請求項2】
前記第1表示制御工程は、前記第1画素における前記画素電極に前記他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項3】
前記第1表示制御工程は、前記第1画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項4】
互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を含む表示部と、該表示部に表示すべき画像に応じて前記画素電極及び前記対向電極間に電圧を印加する駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、
前記表示すべき画像に所定幅よりも細い線幅を有する線画像が含まれている場合には、前記複数の画素のうち前記線画像に対応する第1画素の隣りに位置する第2画素における前記画素電極に基準電位よりも高い高電位及び前記基準電位よりも低い低電位のうちの一方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第2画素に第1階調を表示させる第1表示制御手段と、
該第1表示制御手段によって前記第2画素に前記第1階調が表示された後に、前記第2画素における前記画素電極に前記基準電位が供給されるとともに、前記第1画素における前記画素電極に前記高電位及び前記低電位のうちの前記一方の電位とは異なる他方の電位が供給されるように、前記駆動部を制御することにより、前記第1画素に前記第1階調とは異なる第2階調を表示させる第2表示制御手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置の制御装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194341(P2012−194341A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57923(P2011−57923)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】