説明

電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器

【課題】表示される画像における境界部の滲みの発生を抑制する。
【解決手段】電気光学装置の制御方法は、表示部(3)に表示される画像を書き換える画像書き換えの際、表示すべき階調が変化する第1の画素(20a)の画素電極(21a)に、対向電極(220)の電位とは異なる電位を、複数のフレーム期間において供給する第1制御工程と、複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、第1の画素に隣り合い且つ画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない第2の画素(20b)の画素電極(21b)に、対向電極の電位と同一の電位を供給する第2制御工程と、第1制御工程で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間において、第2の画素の画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を供給する第3制御工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟んで対向する画素電極及び対向電極間に電圧を印加して、例えば黒色粒子及び白色粒子等の電気泳動粒子を移動させることで表示部に画像を表示する電気泳動表示装置がある(例えば特許文献1及び2参照)。電気泳動素子は、例えば、複数の電気泳動粒子を夫々含む複数のマイクロカプセルから構成され、画素電極及び対向電極間に、樹脂等からなる接着剤によって固定される。なお、対向電極は、共通電極と呼ばれることもある。
【0003】
このような電気泳動表示装置では、表示部に表示されている画像を書き換える際、画像が部分的にしか変化しない場合には、変化する部分に対応する画素のみの画素電極及び対向電極間に電圧を印加することにより、画像を部分的に書き換える駆動方法(以下「部分書き換え駆動」と適宜称する)が採用されることがある。このような部分書き換え駆動が採用された電気泳動表示装置では、例えば、表示部に表示される画像のうち黒色で表示される黒画像部分と白色で表示される白画像部分との境界部が滲んだように表示されてしまうおそれがある、言い換えれば、黒画像部分の輪郭部が白画像部分側に広がったように(或いは膨らんだように)表示されてしまうおそれがあることが知られている(例えば特許文献2参照)。このような境界部の滲みが発生すると、黒画像部分に対応する画素のみに電圧を印加することにより、表示部に表示される画像を全白画像に書き換えた場合、境界部の滲みが残像として残ってしまう、言い換えれば、表示されていた黒画像部分の輪郭部に沿った残像が発生してしまうおそれがある。なお、以下では、このような輪郭部に沿った残像が発生する現象、或いは、このような輪郭部に沿った残像そのものを「輪郭残像」と適宜称する。例えば特許文献2には、表示部に表示された画像を部分書き換え駆動により全白画像に書き換える(即ち、黒画像部分を消去する)際、黒画像部分に対応する画素に加えて、黒画像部分の輪郭部に対応する画素と隣り合って配置され白色を表示する画素にも電圧を印加することにより、輪郭残像を消去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3750565号公報
【特許文献2】特開2010−113281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した例えば特許文献2に開示された技術によれば、輪郭残像を消去できるが、前述したような境界部の滲みの発生を抑制できないという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、表示部に表示される画像における境界部の滲みの発生を抑制でき、高品質な画像を表示可能な電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気光学装置の制御方法は上記課題を解決するために、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を所定のフレーム期間中に供給する電位供給を複数回行う駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、表示すべき階調が変化する第1の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を、複数のフレーム期間において供給する第1制御工程と、前記複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、前記第1の画素に隣り合い且つ前記画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第2制御工程と、前記第1制御工程で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間において、前記第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を供給する第3制御工程とを含む。
【0008】
本発明に係る電気光学装置の制御方法によって制御される電気光学装置は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置などであり、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して例えばマトリクス状に配列された複数の画素を有する表示部と、各画素の画素電極に画像データに応じたデータ電位を供給する駆動部とを備える。電気光学装置では、駆動部が所定のフレーム期間中に、複数の画素の各々における画素電極に画像データに応じたデータ電位を供給する(具体的には、所定のフレーム期間中に、複数の走査線を所定の順番で1回ずつ選択するとともに、該選択した走査線に対応する画素における画素電極にデータ電位を複数のデータ線を介して供給する)電位供給(言い換えれば、所定のフレーム期間中に画像データに応じたデータ電位を複数の画素の各々の画素電極に書き込む書き込み動作)を複数回行うことにより、表示部に画像データに応じた画像が表示される。即ち、複数の画素の各々の画素電極に所定のフレーム期間を周期としてデータ電位が複数回書き込まれることにより、表示部に画像データに応じた画像が表示される。ここで、本発明に係る「フレーム期間」は、複数の走査線を所定の順番で1回ずつ選択する期間として予め定められた期間である。つまり、連続する複数のフレーム期間の各々において、複数の画素の各々における画素電極にデータ電位を供給する電位供給が駆動部によって1回ずつ行われることにより表示部に画像データに応じた画像が表示される。
【0009】
本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、表示部に表示されている画像(例えば、白色及び黒色の2階調からなる2階調画像)を書き換える画像書き換えの際、前述した複数回の電位供給として、第1制御工程、第2制御工程及び第3制御工程が行われる。なお、第1制御工程、第2制御工程及び第3制御工程の各工程は、夫々が順次行われていくのではなく、互いに並行して行われる工程である。
【0010】
第1制御工程では、表示すべき階調が変化する(例えば、白から黒へ、或いは黒から白へ変化する)第1の画素の画素電極に、対向電極の電位とは異なる電位(例えば、対向電極の電位よりも高い高電位、或いは対向電極の電位よりも低い低電位)が、複数のフレーム期間において供給される。これにより、第1制御工程では、第1画素の階調が複数のフレーム期間をかけて段階的に表示すべき階調へと変化する。
【0011】
一方、第2制御工程では、第1制御工程が行われる複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、第1の画素に隣り合い且つ画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない(例えば白色を維持する、或いは黒色を維持する)第2の画素の画素電極に、対向電極の電位と同一の電位(例えば0ボルト)が供給される。なお、ここでの「少なくとも一部のフレーム期間」とは、画像が書き換えられる複数のフレーム期間のうち、後述する第3制御工程によって電位供給が行われるフレーム期間以外のフレーム期間を意味している。第2制御工程では、階調が変化しない第2の画素の画素電極には対向電極の電位と同一の電位が供給されているため、画素電極及び対向電極間に電圧が印加されず、画像は変化しない。ここで、「対向電極の電位と同一の電位」とは、厳密に等しい電位のみを指す趣旨ではなく、僅かに異なる電位であることを含む。例えば、対向電極電位が、フィードスルーによる画素電極電位の変動を考慮して、第2の画素の画素電極に供給される電位とは異なる値とされている場合においても、第2の画素の画素電極に供給される電位と対向電極の電位とが同一であるとみなす。
【0012】
上述した第1制御工程及び第2制御工程によれば、画像書き換えの際には、階調が変化する第1の画素において画素電極及び対向電極間に電圧が印加され、階調が変化しない第2の画素における画素電極及び対向電極間には電圧が印加されない。よって、画像書き換えの際には、画像全体が書き換えられるのではなく、画像が変化する領域が部分的に書き換えられる。
【0013】
ここで本発明では特に、第3制御工程によって、第1制御工程で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間(即ち、画像書き換えによって第1画素の階調が少なからず変化した後のフレーム期間)において、第2の画素の画素電極に、対向電極の電位とは異なる電位が供給される。なお、第3制御工程で第2の画素に供給される「対向電極の電位とは異なる電位」は、第1制御工程において第1の画素に供給される「対向電極の電位とは異なる電位」と同一の電位であってもよいし、異なる電位であってもよい。
【0014】
第3制御工程によれば、第1制御工程及び第2制御工程によって生じる画像の滲みを低減することができる。例えば、共に白色を表示している第1の画素及び第2の画素のうち、第1の画素のみが黒色に書き換えられる場合、第1の画素には黒色を表示させるための電圧がされる一方で、第2の画素には電圧が印加されない。この際、第1の画素に印加された電圧が第2の画素にリークすることによって、第2の画素の第1の画素側には部分的に灰色の滲みが生じる。これに対し、第3制御工程では、第2の画素に白色を表示するための電圧が印加される。よって、第2の画素に生じる滲みを低減することができる。
【0015】
或いは、第1の画素が黒色を表示しており、第2の画素が白色を表示している状態から、第1の画素のみが白色に書き換えられる場合、第1の画素には白色を表示させるための電圧がされる一方で、第2の画素には電圧が印加されない。この際、階調が変化しない第2の画素に既に滲みが発生していたとすると(即ち、先のフレーム期間で第1の画素を黒色に書き換える際に滲みが発生していたとすると)、第1の画素が白色に書き換えられた後も第2の画素における滲みが残り、第1の画素を囲むような輪郭残像として現れてしまう。これに対し、第3制御工程では、第2の画素に白色を表示するための電圧が印加される。よって、第2の画素において発生する輪郭残像を低減することができる。
【0016】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置の制御方法によれば、画像の書き換えによって生じる新たな滲みを低減できると共に、既に滲みが生じている状態での画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
【0017】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の一態様では、前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の後半のフレーム期間に行われる。
【0018】
この態様によれば、第3制御工程が、画像を書き換えるための複数のフレーム期間のうち後半の少なくとも一のフレーム期間(即ち、第1制御工程及び第2制御工程が少なくとも半分終わった後のフレーム期間)で行われるので、画像を書き換える際に生じる滲みをより確実に低減できる。
【0019】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の最後のフレーム期間に行われる。
【0020】
この態様によれば、第3制御工程が、画像を書き換えるための複数のフレーム期間のうち最後の一フレーム期間を含む期間で行われるので、画像を書き換える際に生じる滲みをより確実に低減できる。
【0021】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の直後のフレーム期間に行われる。
【0022】
この態様によれば、第3制御工程が、画像を書き換えるための複数のフレーム期間の直後(即ち、第1制御工程及び第2制御工程が終わった直後)のフレーム期間で行われるので、画像を書き換える際に生じる滲みをより確実に低減できる。
【0023】
上述した第3制御工程を複数のフレーム期間の直後のフレーム期間に行う態様では、前記複数のフレーム期間の直後のフレーム期間において、前記第1の画素の画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第4制御工程を含むようにしてもよい。
【0024】
この場合、複数のフレーム期間において画像の書き換えが終了した第1の画素には、複数のフレーム期間の直後のフレーム期間において電圧が印加されない。よって、第1の画素におけるDCバランス比(即ち、画素電極及び対向電極間に一の階調に応じた電圧が印加される時間と、画素電極及び対向電極間に他の階調に応じた電圧が印加される時間との比)が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。この結果、表示の焼き付きや表示部の劣化を低減することができる。
【0025】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程は、1つのフレーム期間でのみ行われる。
【0026】
この態様によれば、第3制御工程が行われるのは一フレーム期間のみとなるため、第2画素に電圧が印加される期間を最大限短くできる。これにより、第2の画素におけるDCバランス比が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。
【0027】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記複数のフレーム期間の後のフレーム期間において、前記第2画素の前記画素電極に、前記第3制御工程で供給された電位とは異なる階調に対応する電位を、前記第3制御工程で電位を供給したフレーム期間分だけ多く供給する第5制御工程を含む。
【0028】
この態様によれば、複数のフレーム期間の後(即ち、画像の書き換えが終了した後)のフレーム期間において、第4の制御工程が行われる。第5制御工程では、第2画素の画素電極に、第3制御工程で供給された電位とは異なる階調に対応する電位が、第3制御工程で電位を供給したフレーム期間分だけ多く供給される。例えば、第3制御工程において、白色を表示するための電位が2フレーム期間供給された場合、第5制御工程では、黒色を表示するための電位が通常の書き換えに要する期間より2フレーム期間分多く供給される。これにより、第2の画素におけるDCバランス比が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。
【0029】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程は、所定期間あたりの実行回数が所定回数以下となるように制限されている。
【0030】
この態様によれば、第3制御工程の所定期間あたりの実行回数が、所定回数以下となるように制限されているため、第3制御工程が連続して行われることによって、第2の画素におけるDCバランス比が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。なお、ここでの「所定期間」とは、第3制御工程の実行回数を制限するための基準となる期間として設定されるものであり、例えば第3制御工程がある一定の期間に連続して行われることに起因するDCバランス比への影響に基づいて予め設定される。また、「所定回数」とは、所定期間において許可される第3制御工程の実行回数として設定されるものであり、例えば第3制御工程が連続して行われることに起因するDCバランス比への影響が全く或いは殆ど出ないような回数として予め設定される。
【0031】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程は、前記第2の画素で表示すべき階調によって、前記第2の画素の前記画素電極及び前記対向電極間に印加される電圧の絶対値又は電位が供給されるフレーム期間数が異なる。
【0032】
この態様によれば、第2の画素で表示すべき階調によって、第2の画素の画素電極及び対向電極間に印加される電圧の絶対値、又は第2の画素の画素電極に電位が供給されるフレーム期間数が異なる。即ち、第3制御工程による滲み低減の効果が、第2の画素で表示すべき階調によって異なるように設定されている。
【0033】
例えば、電気泳動素子を利用する電気泳動表示装置では、白色の応答速度及び黒色の応答速度が互いに異なるため、白色を表示する画素に発生する滲み及び黒色を表示する画素に発生する滲みの程度は互いに異なる。よって、第2の画素で表示すべき階調に応じて、第3制御工程による滲み低減の効果を変化させれば、より適切に滲みを低減することができる。
【0034】
本発明に係る電気光学装置の制御方法の他の態様では、前記第3制御工程において前記第2の画素の前記画素電極に供給される電位と前記対向電極の電位との差の絶対値は、前記第1制御工程において前記第1の画素の前記画素電極に供給される電位と前記対向電極の電位との差の絶対値より小さい。
【0035】
この態様によれば、第3制御工程において第2の画素の画素電極に供給される電位と対向電極の電位との差の絶対値(即ち、滲みを低減するために印加される電圧)が、第1制御工程において第1の画素の画素電極に供給される電位と対向電極の電位との差の絶対値(即ち、通常の書き込み時に印加される電圧)より小さくされる。例えば、第3制御工程において第2の画素に印加される電圧は−5Vとされ、第1制御工程において第1の画素に印加される電圧は+15Vとされる。
【0036】
上述した制御によれば、第3制御工程において第2の画素に印加される電圧を比較的小さいものとすることができるため、DCバランス比が崩れてしまうのを効果的に抑制できる。
【0037】
本発明に係る電気光学装置の制御装置は上記課題を解決するために、互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を所定のフレーム期間中に供給する電位供給を複数回行う駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、表示すべき階調が変化する第1の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を、複数のフレーム期間において供給する第1制手段と、前記複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、前記第1の画素に隣り合い且つ前記画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第2制御手段と、前記第1制御手段で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間において、前記第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を供給する第3制御手段とを備える。
【0038】
本発明に係る電気光学装置の制御装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法と同様に、電気光学装置において、画像の書き換えによって生じる新たな滲みを低減できると共に、既に滲みが生じている状態での画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
【0039】
なお、本発明に係る電気光学装置の制御装置においても、前述した本発明に係る電気光学装置の制御方法における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0040】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0041】
本発明に係る電気光学装置によれば、前述した本発明に係る電気光学装置の制御装置を備えるので、画像の書き換えによって生じる新たな滲みを低減できると共に、既に滲みが生じている状態での画像の書き換えによって生じる輪郭残像を低減できる。この結果、高品位な画像を表示することが可能となる。
【0042】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、前述した本発明に係る電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0043】
本発明に係る電子機器によれば、前述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品質な画像を表示することが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0044】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図3】実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】比較例に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その1)である。
【図5】表示部に表示される画像における境界部の滲みの発生を説明するための模式図である。
【図6】面積階調残像の一例を示す平面図(その1)である。
【図7】面積階調残像の一例を示す平面図(その2)である。
【図8】実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その1)である。
【図9】実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その2)である。
【図10】比較例に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その2)である。
【図11】輪郭残像の一例を示す平面図である。
【図12】実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その3)である。
【図13】実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その4)である。
【図14】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図15】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0047】
<電気光学装置>
先ず、本実施形態に係る電気光学装置について、図1から図13を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例として電気泳動表示装置を挙げて説明する。
【0048】
<装置構成>
本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0049】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0050】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、アクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置であり、表示部3と、コントローラー10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220とを備えている。なお、コントローラー10が本発明に係る「電気光学装置の制御装置」の一例である。また、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70が本発明に係る「駆動部」の一例を構成する。
【0051】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
【0052】
コントローラー10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラー10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
【0053】
走査線駆動回路60は、コントローラー10による制御下で、所定のフレーム期間中に、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0054】
データ線駆動回路70は、コントローラー10による制御下で、データ線X1、X2、…、Xnにデータ電位を供給する。データ電位は、基準電位GND(例えば0ボルト)、高電位VH(例えば+15ボルト)又は低電位VL(例えば−15ボルト)のいずれかの電位をとる。なお、後述するように、本実施形態では、前述した部分書き換え駆動が採用されている。
【0055】
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcom(本実施形態では、基準電位GNDと同一の電位)を供給する。なお、共通電位Vcomは、共通電位Vcomが供給された対向電極22と基準電位GNDが供給された画素電極21との間に電圧が実質的に生じない範囲内で、基準電位GNDとは異なる電位であってもよい。例えば、共通電位Vcomが、フィードスルーによる画素電極21の電位の変動を考慮して、画素電極21に供給される基準電位GNDとは異なる値とされていてもよく、この場合であっても、本明細書では、共通電位Vcomと基準電位GNDとが同一であるとみなす。ここで、フィードスルーとは、走査線40に走査信号が供給され、データ線50を介して画素電極21に電位が供給された後に、走査線40への走査信号の供給が終了した際(例えば走査線40の電位が低下した際)、画素電極21の電位が、走査線40との間の寄生容量に起因して変動する(例えば走査線40の電位低下とともに低下する)現象をいう。共通電位Vcomは、フィードスルーにより画素電極21の電位が低下することを予め想定して、画素電極21に供給される基準電位GNDより僅かに低い値とされることがあるが、この場合も共通電位Vcomと基準電位GNDとが同電位であるとみなす。
【0056】
なお、コントローラー10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0057】
図2は、画素20の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0058】
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24と、画素電極21と、対向電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
【0059】
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給されるデータ電位を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
【0060】
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ電位が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して対向電極22と互いに対向するように配置されている。
【0061】
対向電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
【0062】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0063】
保持容量27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によってデータ電位を一定期間だけ維持することができる。
【0064】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3を参照して説明する。
【0065】
図3は、電気泳動表示装置1の表示部3の部分断面図である。
【0066】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。なお、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0067】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して前述した画素スイッチング用トランジスター24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0068】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、対向電極22が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0069】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。なお、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
【0070】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び対向電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0071】
マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0072】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0073】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0074】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0075】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0076】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と対向電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0077】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0078】
図3において、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に対向電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられるとともに、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、対向電極22側)には白色粒子82が集まることになり、表示部3の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられるとともに、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、表示部3の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
【0079】
なお、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
【0080】
<制御方法>
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について、図4から図13を参照して説明する。
【0081】
まず、画像書き換え時に発生する滲みについて、図4から図7を参照して説明する。なお、以下では、黒色及び白色の2階調からなる2階調画像の書き換えを例にとり説明する。
【0082】
図4は、比較例に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その1)である。
【0083】
図4において、互いに隣り合う画素20a(第1の画素)及び画素20b(第2の画素)が、共に白色を表示している状態から、画素20aのみが黒色を表示するように書き換えられる場合を考える。この場合、表示すべき階調が変化する画素20aには、黒色を表示するためのデータ電位として高電位VH(例えば+15V)が3フレーム期間に渡って供給される。これにより、白色を表示していた画素20aは、各フレーム期間単位で段階的に黒色へと画像が書き換えられる。
【0084】
なお、ここでのフレーム期間とは、m本の走査線を順次に1回ずつ選択する期間として予め定められた期間である。つまり、フレーム期間の各々において、複数の画素20の各々の画素電極21へのデータ電位の供給が、コントローラー10による制御下で走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70(以下、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70を「駆動部」と適宜総称する)によって1回ずつ行われることにより表示部3に表示されていた画像が段階的に書き換えられる。
【0085】
一方で、表示すべき階調が変化しない画素20bには、対向電極と同一の電位である基準電位GND(例えば0V)が3フレームに渡って供給される。このようにすれば、画素20bには電圧が印加されないため白色表示が保持される。
【0086】
しかしながら、上述したようなデータ電位の供給が行われると、階調が変化する画素20aと階調が変化しない画素20bとの境界付近に、例えば灰色など白色から黒色側に近づいた色が表示される滲み部500が発生するおそれがある。以下では、この滲みが発生する原理について、図5を参照して説明する。
【0087】
図5は、表示部に表示される画像における境界部の滲みの発生を説明するための模式図である。
【0088】
図5に示すように、画素20aの画素電極21aにデータ電位として高電位VHが供給されるとともに、この画素20aに隣り合う画素20bの画素電極21bにデータ電位として基準電位GNDが供給された場合、画素スイッチング用トランジスター24(図2参照)がオフ状態とされたときに、画素電極21aと画素電極21bとの間にリーク電流が生じて、基準電位GNDであった画素電極21bの電位が高くなる(即ち、高電位VHに近づく)おそれがある。よって、画素20bにおいて、画素電極21bと対向電極22との間に生じた電位差によって、黒色粒子83が対向電極22側に移動するとともに白色粒子が画素電極21b側に移動してしまうおそれがある。したがって、白色を表示すべき画素20bにおいて、灰色や黒色などの白色とは異なる色が表示されてしまうおそれがある。この結果、表示部3に表示される画像における黒画像部分と白画像部分との境界部の滲みが発生してしまうおそれがある。
【0089】
図6及び図7は夫々、面積階調残像の一例を示す平面図である。
【0090】
図6に示すように、例えば全黒画像が、白色及び黒色を互いに同じ面積で市松模様に配置する中間階調画像に書き換えられる場合、上述した滲みが発生することにより、白色の面積が黒色の面積より大きくなってしまう現象(いわゆる、白太り)が起きる。
【0091】
また図7に示すように、例えば全白画像が、中間階調の画像に書き換えられる場合、上述した滲みが発生することにより、黒色の面積が白色の面積より大きくなってしまう現象(いわゆる、黒太り)が起きる。
【0092】
以上のように、滲みが発生してしまうと、同じ中間階調を表示したつもりでも、結果として表示される階調値が異なり、面積階調残像として視認されてしまう。本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法によれば、上述した滲みの発生を抑制することができる。
【0093】
以下では、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法について、図8及び図9を参照して説明する。
【0094】
図8は、本実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その1)である。
【0095】
図8において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、互いに隣り合う画素20a及び20bが、共に白色を表示している状態から、画素20aのみが黒色を表示するように書き換えられる場合、各フレーム期間において、以下のようなデータ電位供給が行われる。
【0096】
即ち、第1フレーム期間及び第2フレーム期間では、上述した比較例(図4参照)と同様に、階調を変化させるべき画素20aに黒色に対応する高電位VH(例えば+15V)が供給されるとともに、階調を保持すべき画素20bには基準電位GND(例えば0V)が供給される。
【0097】
第1フレーム期間及び第2フレーム期間においてこのようなデータ電供給が行われた後には、白色から黒色へと変化するべき画素20aでは例えば灰色など白色から黒色側にやや近づいた色が表示される。一方で、白色を保持すべき画素20bでは引き続き白色が表示される。但し、この段階では、上述した比較例と同様に、画素20a及び20bの境界付近には、滲み部500が発生してしまう。
【0098】
ここで本実施形態では特に、第1フレーム期間及び第2フレーム期間に続く第3フレーム期間において、階調を変化させるべき画素20aには黒色に対応する高電位VH(例えば+15V)が供給され、階調を保持すべき画素20bには白色に対応する低電位VL(例えば−15V)が供給される。これにより、画素20bは白色に近づくように駆動され、結果として画素20a及び画素20b付近に発生していた滲み部500が消失する、或いは視認できない程度にまで薄くなる。よって、よりくっきりした画像を表示できると共に、図6及び図7で示したような面積階調残像の発生を抑制することができる。
【0099】
本実施形態のうち、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20aに高電位VHを供給する工程は第1制御工程に対応し、第1、第2フレーム期間において画素20bに基準電位GNDを供給する工程は第2制御工程に対応し、第3フレーム期間において画素20bに低電位VLを供給する工程は第3制御工程に対応する。
【0100】
なお、発生した滲みを消すという観点からすれば、図8で示したように、書き換えに要するフレーム期間のうち最後のフレーム期間である第3フレーム期間において、画素20bに白色に対応する電位を供給することが好ましい。但し、他のフレーム期間(例えば、第2フレーム期間等)において、画素20bに白色に対応する電位を供給する場合であっても、上述した効果は相応に得られる。
【0101】
図9は、本実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その2)である。
【0102】
図9に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、互いに隣り合う画素20a及び20bが、共に白色を表示している状態から、画素20aのみが黒色を表示するように書き換えられる場合に、各フレーム期間において、以下のようなデータ電位供給が行われてもよい。
【0103】
即ち、第1フレーム期間から第3フレーム期間では、上述した比較例(図4参照)と同様に、階調を変化させるべき画素20aに黒色に対応する高電位VH(例えば+15V)が供給されるとともに、階調を保持すべき画素20bには基準電位GND(例えば0V)が供給される。このため、画像を書き換えた直後においては、画素20a及び20bの境界付近に滲み部500が発生している。
【0104】
ここで本実施形態では特に、第3フレーム期間の直後の第4フレーム期間において、階調を変化させた画素20aには基準電位GND(例えば0V)が供給され、階調を保持した画素20bには白色に対応する低電位VL(例えばマイナス15V)が供給される。これにより、画素20aは書き換え後の黒色のまま維持されるとともに、画素20bは白色に近づくように駆動される。よって、既に書き換えられた画素20aの階調を変化させることなく、画素20a及び画素20b付近に発生していた滲み部500を消失させる、或いは視認できない程度にまで薄くさせることができる。
【0105】
本実施形態のうち、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20aに高電位VHを供給する工程は第1制御工程に対応し、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20bに基準電位GNDを供給する工程は第2制御工程に対応し、第4フレーム期間において画素20bに低電位VLを供給する工程は第3制御工程に対応し、第4フレーム期間において画素20aに基準電位GNDを供給する工程は第4制御工程に対応する。
【0106】
なお、第4フレーム期間の書き込みによって、画素20a及び20bの境界付近における画素20a側には、黒色を表示していた領域が白色に近づけられることによって滲み部550が生じる場合がある。しかしながら、滲み部550は、第4フレーム期間のみによって生じるものであるため、滲み部500と比べると極めて薄い。よって、滲み部550が画質に及ぼす影響は極めて小さい。
【0107】
以上、図8及び図9を用いて説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法によれば、画像書き換え時に発生する滲みを効果的に低減することができる。
【0108】
次に、画像書き換え時に既に発生していた滲みに起因する輪郭残像ついて、図10及び図11を参照して説明する。
【0109】
図10は、比較例に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その2)である。
【0110】
図10において、画素20aが黒色を表示しており、画素20aと隣り合う画素20b白色を表示している状態から、画素20a及び20bが共に白色を表示するように書き換えられる場合(より正確には、画素20aの階調のみが白色へと変化させられる場合)を考える。この場合、表示すべき階調が変化する画素20aには、白色を表示するためのデータ電位として低電位VL(例えば−15V)が3フレーム期間に渡って供給される。これにより、黒色を表示していた画素20aは、各フレーム期間単位で段階的に白色へと画像が書き換えられる。
【0111】
一方で、表示すべき階調が変化しない画素20bには、対向電極と同一の電位である基準電位GND(例えば0V)が3フレームに渡って供給される。このようにすれば、画素20bには電圧が印加されないため白色表示が保持される。
【0112】
しかしながら、上述したようなデータ電位の供給では、画像の書き換え前に発生していた滲み部500には電圧が印加されないため、画素20aの書き換えが終了した後でも滲み部500が残ったままとなるおそれがある。この場合、滲み部500は輪郭残像として視認されてしまう。
【0113】
図11は、輪郭残像の一例を示す平面図である。
【0114】
図11に示すように、例えば白色の背景中に黒色で「H」の文字が表示されている状態から、全白画像への書き換えが行われたとする。この場合、電圧が印加される「H」の文字の領域は白色へと変化するが、書き換え前から白色を表示している背景部分には電圧が印加されないため、「H」の文字の輪郭部分に生じていた滲みはそのまま、或いは多少薄くなった状態で残る。この結果として、書き換え後の全白画像には図に示すような輪郭残像が発生してしまう。しかるに本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法によれば、上述した輪郭残像の発生を抑制することができる。
【0115】
以下では、本実施形態に係る電気泳動表示装置の他の制御方法について、図12及び図13を参照して説明する。
【0116】
図12は、本実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その3)である。
【0117】
図12において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、画素20aが黒色を表示しており、画素20aと隣り合う画素20b白色を表示している状態から、画素20a及び20bが共に白色を表示するように書き換えられる場合、各フレーム期間において、以下のようなデータ電位供給が行われる。
【0118】
即ち、第1フレーム期間及び第2フレーム期間では、上述した比較例(図10参照)と同様に、階調を変化させるべき画素20aに白色に対応する低電位VL(例えば−15V)が供給されるとともに、階調を保持すべき画素20bには基準電位GND(例えば0V)が供給される。
【0119】
第1フレーム期間及び第2フレーム期間においてこのようなデータ電位供給が行われた後には、黒色から白色へと変化するべき画素20aでは例えば灰色など黒色から白色側にやや近づいた色が表示される。一方で、白色を保持すべき画素20bでは引き続き白色が表示される。但し、この段階では、上述した比較例と同様に、画素20a及び20bの境界付近には、滲み部500が残ったままとなってしまう。
【0120】
ここで本実施形態では特に、第1フレーム期間及び第2フレーム期間に続く第3フレーム期間において、階調を変化させるべき画素20aには白色に対応する低電位VL(例えば−15V)が供給され、階調を保持すべき画素20bにも白色に対応する低電位VL(例えば−15V)が供給される。これにより、画素20bは白色に近づくように駆動され、結果として画素20a及び画素20b付近に発生していた滲み部500が消失する、或いは視認できない程度にまで薄くなる。よって、図11で示したような輪郭残像の発生を抑制することができる。
【0121】
本実施形態のうち、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20aに低電位VLを供給する工程は第1制御工程に対応し、第1、第2フレーム期間において画素20bに基準電位GNDを供給する工程は第2制御工程に対応し、第3フレーム期間において画素20bに低電位VLを供給する工程は第3制御工程に対応する。
【0122】
図13は、本実施形態に係る画像書き換え時のフレーム期間毎の表示階調及び駆動電圧を示す平面図(その4)である。
【0123】
図13に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、画素20aが黒色を表示しており、画素20aと隣り合う画素20b白色を表示している状態から、画素20a及び20bが共に白色を表示するように書き換えられる場合に、各フレーム期間において、以下のようなデータ電位供給が行われてもよい。
【0124】
即ち、第1フレーム期間から第3フレーム期間では、上述した比較例(図10参照)と同様に、階調を変化させるべき画素20aに白色に対応する低電位VL(例えば−15V)が供給されるとともに、階調を保持すべき画素20bには基準電位GND(例えば0V)が供給される。このため、画像を書き換えた直後においては、画素20a及び20bの境界付近に滲み部500が残ったままとなっている。
【0125】
ここで本実施形態では特に、第3フレーム期間の直後の第4フレーム期間において、階調を変化させた画素20aには基準電位GND(例えば0V)が供給され、階調を保持した画素20bには白色に対応する低電位VL(例えばマイナス15V)が供給される。これにより、画素20aは書き換え後の白色のまま維持されるとともに、画素20bは白色に近づくように駆動される。よって、既に書き換えられた画素20aの階調を変化させることなく、画素20a及び画素20b付近に発生していた滲み部500を消失させる、或いは視認できない程度にまで薄くさせることができる。
【0126】
本実施形態のうち、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20aに低電位VLを供給する工程は第1制御工程に対応し、第1フレーム期間から第3フレーム期間において画素20bに基準電位GNDを供給する工程は第2制御工程に対応し、第4フレーム期間において画素20bに低電位VLを供給する工程は第3制御工程に対応し、第4フレーム期間において画素20aに基準電位GNDを供給する工程は第4制御工程に対応する。
【0127】
以上、図12及び図13を用いて説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法によれば、画像書き換え時に発生する輪郭残像を効果的に低減することができる。
【0128】
なお、図8及び図9、並びに図12及び図13を用いて説明した本実施形態に係る電気泳動表示装置の制御方法では、滲みを消去するための駆動(即ち、図8及び図12における第3フレーム期間の駆動、並びに図9及び図13における第4フレーム期間の駆動)を1フレーム期間でのみ行っているが、複数のフレーム期間で行うようにしてもよい。但し、滲みを消去するための駆動を短くすることで、画素20におけるDCバランス比(即ち、画素電極21及び対向電極22間に白色に応じた電圧(即ち、低電位VLと基準電位GNDとの電位差)が印加される時間と、画素電極21及び対向電極22間に黒色に応じた電圧(即ち、高電位VHと基準電位GNDとの電位差)が印加される時間との比)が崩れてしまうのを抑制或いは防止できる。即ち、各画素20について、画素電極21及び対向電極22間に白色に応じた電圧が印加される時間と黒色に応じた電圧が印加される時間との差を小さくすることができる。
【0129】
画素20におけるDCバランス比が崩れるのを抑制或いは防止するための他の方法としては、滲みを消去するための電圧を、通常の書き込みに使用する電圧よりも低くすることも効果的である。すなわち、第3制御工程において画素20b(第2の画素)の画素電極に供給する電位と対向電極22の電位の差の絶対値を、第1制御工程において画素20a(第1の画素)の画素電極に供給する電位と対向電極22の電位の差の絶対値より小さくすればよい。具体的には、図8及び図9、並びに図12及び図13において画素20bに対して行われる滲みを消去するための駆動(即ち、図8及び図12における画素20bに対する第3フレーム期間の駆動、並びに図9及び図13における画素20bに対する第4フレーム期間の駆動)の電圧の絶対値が、画素20aにおける駆動電圧の絶対値(15V)より小さなるようにする。例えば画素20bにおける滲み消去のための駆動電圧として−5Vなどを印加すればよい。
【0130】
また、上述したDCバランス比を崩さないようにするため、滲みを消去するための駆動を行った場合には、後の画像書き換えの際に、DCバランスの崩れを相殺するような駆動を行ってもよい。具体的には、滲みを消去するために1フレーム期間だけ多く黒色に対応する高電位VHを印加した画素20には、後の画像書き換えの際に、1フレーム期間だけ多く白色に対応する低電位VLを多く印加するようにすればよい。この例において、低電位VLを印加する工程は、第5制御工程に対応する。
【0131】
更に、滲みを消去するための駆動の回数を制限することによっても、DCバランスの崩れを抑制できる。具体的には、所定期間あたりの滲みを消去するための駆動の回数を制限すれば、滲みを消去するための駆動が短期間で連続して行われることによるDCバランスの崩れを抑制できる。
【0132】
また、電気泳動表示装置において白色粒子82及び黒色粒子83の移動速度が互いに異なるように、白色と黒色とでは滲みの発生の程度が互いに異なる場合がある。このような場合には、白色に対する滲みを消去するための駆動と、黒色に対する滲みを消去するための駆動とで強度を互いに異ならせることで、より適切に滲みを消去することが可能となる。例えば、黒色よりも白色の滲みが発生し難い場合には、白色に対する滲みを消去するための駆動において、印加される電圧を小さくしたり、フレーム期間数を少なくすればよい。
【0133】
以上説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、表示部3に表示される画像における境界部の滲みの発生を効果的に抑制することが可能である。従って、高品質な画像を表示することが可能となる。
【0134】
<電子機器>
次に、前述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図14及び図15を参照して説明する。以下では、前述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0135】
図14は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0136】
図14に示すように、電子ペーパー1400は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0137】
図15は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0138】
図15に示すように、電子ノート1500は、図14で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0139】
前述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、前述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0140】
なお、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、前述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0141】
なお、上記実施形態では、白色粒子82が負に帯電し、黒色粒子83が正に帯電している例で説明したが、白色粒子82が正に帯電し、黒色粒子83が負に帯電していてもよい。また、電気泳動素子23は、マイクロカプセル80を有する構成に限られず、隔壁によって仕切られた空間に電気泳動分散媒と電気泳動粒子が含まれる構成であってもよい。また、電気光学装置として電気泳動素子23を有するものを例に説明したが、これに限定する趣旨ではない。電気光学装置は、上記実施形態のように輪郭残像が生じ得る表示素子を備えるものであればどのようなものであってもよく、例えば電子粉流体を用いた電気光学装置であってもよい。
【0142】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置の制御方法、電気光学装置の制御装置、電気光学装置、及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
3…表示部、10…コントローラー、20…画素、21…画素電極、22…対向電極、24…画素スイッチング用トランジスター、28…素子基板、29…対向基板、40…走査線、50…データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、82…白色粒子、83…黒色粒子、220…共通電位供給回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を所定のフレーム期間中に供給する電位供給を複数回行う駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御方法であって、
前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、表示すべき階調が変化する第1の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を、複数のフレーム期間において供給する第1制御工程と、
前記複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、前記第1の画素に隣り合い且つ前記画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第2制御工程と、
前記第1制御工程で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間において、前記第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を供給する第3制御工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の制御方法。
【請求項2】
前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の後半のフレーム期間に行われることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項3】
前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の最後のフレーム期間に行われることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項4】
前記第3制御工程は、前記複数のフレーム期間の直後のフレーム期間に行われることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項5】
前記複数のフレーム期間の直後のフレーム期間において、前記第1の画素の画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第4制御工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項6】
前記第3制御工程は、1つのフレーム期間でのみ行われることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項7】
前記複数のフレーム期間の後のフレーム期間において、前記第2画素の前記画素電極に、前記第3制御工程で供給された電位とは異なる階調に対応する電位を、前記第3制御工程で電位を供給したフレーム期間分だけ多く供給する第5制御工程を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項8】
前記第3制御工程は、所定期間あたりの実行回数が所定回数以下となるように制限されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項9】
前記第3制御工程は、前記第2の画素で表示すべき階調によって、前記第2の画素の前記画素電極及び前記対向電極間に印加される電圧の絶対値又は電位が供給されるフレーム期間数が異なることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項10】
前記第3制御工程において前記第2の画素の前記画素電極に供給される電位と前記対向電極の電位との差の絶対値は、前記第1制御工程において前記第1の画素の前記画素電極に供給される電位と前記対向電極の電位との差の絶対値より小さいことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置の制御方法。
【請求項11】
互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられ、互いに対向する画素電極及び対向電極間に電気光学物質を夫々有する複数の画素を有する表示部と、該表示部に画像データに応じた画像を表示させるために、前記複数の画素の各々の前記画素電極に前記画像データに応じたデータ電位を所定のフレーム期間中に供給する電位供給を複数回行う駆動部とを備えた電気光学装置を制御する制御装置であって、
前記表示部に表示されている画像を書き換える画像書き換えの際、表示すべき階調が変化する第1の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を、複数のフレーム期間において供給する第1制手段と、
前記複数のフレーム期間の少なくとも一部のフレーム期間において、前記第1の画素に隣り合い且つ前記画像書き換えの際に表示すべき階調が変化しない第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位と同一の電位を供給する第2制御手段と、
前記第1制御手段で少なくとも1つのフレーム期間に電位を供給した後のフレーム期間において、前記第2の画素の前記画素電極に、前記対向電極の電位とは異なる電位を供給する第3制御手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置の制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電気光学装置の制御装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−237955(P2012−237955A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182706(P2011−182706)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】