電気光学装置及び電子機器
【課題】液晶装置等の電気光学装置において、屈折率異方性の極性が異なる補償素子を用いて、効果的に画質を向上させる。
【解決手段】電気光学装置は、一対の第1基板(20)及び第2基板(10)間に液晶層が挟持されてなる液晶パネル(100)と、液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板(310)と、液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板(320)とを備える。
【解決手段】電気光学装置は、一対の第1基板(20)及び第2基板(10)間に液晶層が挟持されてなる液晶パネル(100)と、液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板(310)と、液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板(320)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、例えば液晶パネルに光を照射することで画像を表示するものがある。照射される光は、例えば偏光板等によって位相が揃えられた上で液晶パネルに入射されるが、液晶パネルやマイクロレンズアレイ等の光学素子等において位相がずれてしまい、コントラストの低下や視野角の狭小化を招くことがある。このため、入射される光の位相のずれを補償するために、光学位相差補償素子を使用するという技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、無機材料からなる光学補償プレートによって、光の位相差を補償するという技術が開示されている。また特許文献2では、2つの位相差補償層を所定の角度で配置することで、光の位相差を補償するという技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3864929号公報
【特許文献2】特開2006−119444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、2つの位相差補償層における屈折率異方性の極性は、互いに同一のものとされている。即ち、一方が正であれば他方も正、一方が負であれば他方も負のものが用いられている。
【0006】
ここで、本願発明者の研究したところによると、屈折率異方性の極性は、位相差に対する補償効果に影響を与える。また、構成する材料等も異なることから、製造コストも極性毎に互いに異なるものとなる。このため、複数の補償素子を用いる場合には、正の光学補償素子と負の光学補償素子とを組み合わせて用いる方がよい場合があり得る。よって、上述した技術のように、同一の極性の補償素子による補償を行う場合には、設計段階で制限が課されてしまい、所望の条件で装置を設計できないという技術的問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、屈折率異方性の極性が異なる補償素子を用いて、効果的に画質を向上させることが可能な電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に液晶層が挟持されてなる液晶パネルと、前記液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板と、前記液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板とを備える。
【0009】
本発明に係る電気光学装置によれば、その動作時に、例えば投射光やバックライト等の光源光が液晶パネルに入射されることにより、例えば投影画像や直視画像として画像が表示される。液晶パネルは、一対の第1及び第2基板が液晶層を挟持することで構成されており、例えばTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動される。
【0010】
本発明では、液晶パネルにおける光源光の入射側に第1光学補償板が配置されている。また出射側には、第2光学補償板が配置されている。即ち、液晶パネルを挟み込むようにして、光学補償板が2つ配置されている。ここで特に、第1及び第2光学補償板における屈折率異方性の極性は互いに異なるものとされている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が正であれば、第2光学補償板の屈折率異方性は負であり、第1光学補償板の屈折率異方性が負であれば、第2光学補償板の屈折率異方性は正である。
【0011】
屈折率異方性が正の光学補償板(以下、適宜「正の光学補償板」と称する)は、典型的には、水晶等の結晶を研磨することによって形成される。このように形成された光学補償板は、形成する際に研磨の精度が要求されるため、比較的コストが高くなってしまうが、光軸方向のばらつきを少なくできるため、補償効果は高い。一方、屈折率異方性が負の光学補償板(以下、適宜「負の光学補償板」と称する)は、典型的には、無機材料を蒸着することで形成される。このように形成された光学補償板は、光軸方向にある程度のばらつきが生じてしまう反面、製造が容易でコストが低減できる。
【0012】
上述したように、光学補償板は屈折率異方性が正であるか負であるかによって特性が異なる。よって本発明のように、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用すれば、製造条件やコスト等に応じて、より好適に電気光学装置を設計することが可能である。具体的には、2つの光学補償板の屈折率異方性がいずれも正である場合と比較すると、一方を負の光学補償板とする分、コストを低減させることができる。更に、斜方蒸着等を用いて単なる膜として負の光学補償板を形成すれば、省スペース化を実現することもできる。また、2つの光学補償板の屈折率異方性がいずれも負である場合と比較すると、一方を負の光学補償板とする分、光軸方向のばらつきが少なくなるため、補償効果を高めることが可能である。
【0013】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、屈折率異方性の正負が互いに異なる第1及び第2光学補償板が挟込配置されているため、屈折率異方性が正及び負の光学補償板の特性を生かしつつ、確実に光源光の位相差を補償することが可能である。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の近い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されており、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の遠い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。
【0015】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が正である方の光軸は、液晶層の第1及び第2基板の近い方との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が正である場合には、光軸が光源光の入射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板の屈折率異方性が正である場合には、光軸が光源光の出射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。
【0016】
また、第1及び第2光学補償板のうち、極性が負である方の光軸は、液晶層の第1及び第2基板の遠い方との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が負である場合には、光軸が光源光の出射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板の屈折率異方性が負である場合には、光軸が光源光の入射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。
【0017】
本願発明者の研究によれば、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用する場合、夫々の光学補償板の光軸を、いずれも近い方又は遠い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜したのでは、補償効果が低下してしまうことが判明している。即ち、第1及び第2光学補償板の光軸が、互いに異なる基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜したのでは補償効果が低下してしまう。
【0018】
これに対し、本態様では上述したように、正の光学補償板の光軸は、近い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜しており、負の光学補償板の光軸は、遠い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜している。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板の光軸は、同じ基板の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。本願発明者の研究によれば、極性の相異なる2つの光学補償板を上述したように配置することで、極性が同じである2つの光学補償板により補償する場合と比較して、同程度或いはそれ以上の補償効果を得ることができることが判明している。
【0019】
以上の結果、本態様に係る電気光学装置によれば、屈折率異方性の極性が異なる補償素子を用いた場合であっても、十分な補償効果を得ることが可能となる。従って、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、前記極性が正である結晶を研磨することによって形成されている。
【0021】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が正である方は、屈折率異方性が正である結晶を研磨することによって形成される。具体的には、正の光学補償板は、例えば水晶のような正の一軸性結晶を、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)等の各種研磨技術によって、所定の厚みになるように研磨することで形成される。尚、光軸は、形成される段階で傾斜されてもよいし、配置される段階で傾斜されてもよい。
【0022】
上述したように、屈折率異方性が正である方の光学補償板を形成することで、光軸方向のばらつきを低減させることができる。従って、光源光の位相差に対する補償効果が高められ、より高品質な画像を表示させることが可能である。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、前記極性が負である材料を斜方に蒸着することによって形成されている。
【0024】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が負である方は、例えばガラス基板等の基板に無機材料を斜方蒸着することによって形成される。尚、屈折率異方性が負である材料には、例えばTa2O5(酸化タンタル)等の比較的屈折率の高いものから、SiO2(酸化シリコン)等の比較的屈折率の低いものまで、様々な種類の材料を用いることができる。
【0025】
上述したように、屈折率異方性が負である方の光学補償板を形成することで、製造工程を比較的容易なものとすることができる。また、材料も比較的安価なため、コストを低減させることも可能である。更に、他の基板上に膜として形成することが可能であるため、省スペース化も実現できる。
【0026】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1光学補償板は、前記極性が負であり、前記第2光学補償板は、前記極性が正である。
【0027】
この態様によれば、第1光学補償板は屈折率異方性が負であり、第2光学補償板は屈折率異方性が正である。即ち、液晶パネルの入射側には負の光学補償板が配置され、出射側には正の光学補償板が配置される。
【0028】
本願発明者の研究によれば、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用する場合、液晶パネルの入射側に正の光学補償板を配置し、出射側に負の光学補償板を配置するよりも、入射側に負の光学補償板を配置し、出射側に正の光学補償板を配置した方が、補償効果が高いことが判明している。
【0029】
しかるに本態様では特に、上述したように、第1光学補償板は屈折率異方性が負であり、第2光学補償板は屈折率異方性が正であるので、より高い補償効果を得ることが可能である。従って、より高品質な画像を表示させることが可能である。
【0030】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方には、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされている。
【0031】
この態様によれば、第1及び第2基板のうち少なくとも一方に、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされており、入射される光源光を集光することで、光の利用効率を高めている。マイクロレンズアレイは、集光の際に光源光を屈折させるため、マイクロレンズアレイを設けない場合と比較すると、光源光に位相差が生じる可能性は高くなる。即ち、表示される画像のコントラスト等が低下してしまうおそれが高くなる。
【0032】
しかるに本態様では特に、上述したように、第1及び第2光学補償板が夫々適切に配置されているため、液晶層の界面等で発生する光源光の位相差を、適切に補償することができる。従って、本態様に係る電気光学装置によれば、高品質な画像を表示することが可能である。
【0033】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0034】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、製造条件やコスト等を考慮しつつ、高品質な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0037】
<液晶パネル>
先ず、本実施形態に係る電気光学装置に用いられる液晶パネルについて図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。尚、以下では、本実施形態に係る液晶パネルの一例として駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを例にとる。
【0038】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶パネル100では、本発明の「第2基板」の一例であるTFTアレイ基板10と、本発明の「第1基板」一例である対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板である。対向基板20も、TFTアレイ基板10と同様に、透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0039】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0040】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0041】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0042】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0043】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。画素電極9aは、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜からなり、配向膜は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。他方、対向基板20上には、格子状又はストライプ状の遮光膜23が形成された後に、その全面に亘って対向電極21が設けられており、更には最上層部分に配向膜が形成されている。対向電極21は、ITO膜などの透明導電膜からなり、配向膜は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0044】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0045】
<電気光学装置>
次に、上述した液晶パネル100を有する電気光学装置について、図3から図8を参照して説明する。尚、以降の図においては、図1及び図2で示した、液晶パネル100の詳細な部材については適宜省略し、直接関連のある部材のみを示す。
【0046】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電気光学装置の構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。尚、以下では、液晶層50の液晶がTN(Twisted Nematic)方式の液晶である場合を例にとり説明する。
【0047】
図3において、本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶パネル100と、第1光学補償板310と、第2光学補償板320と、第1偏光板410と、第2偏光板420とを備えて構成されている。
【0048】
液晶パネル100は、TFTアレイ基板10及び対向基板20によって液晶層50が挟持されてなり、外部回路接続端子102(図1参照)には、フレキシブル基板200が電気的に接続されている。フレキシブル基板200における液晶パネル100と接続されない端部は、例えば図示しない回路基板等に電気的に接続される。
【0049】
第1偏光板410は、液晶パネル100に対する光源光の入射側に配置されており、第2偏光板420は、液晶パネル100に対する光源光の出射側に配置されている。第1偏光板410と液晶パネル100との間には、第1光学補償板310が配置されている。また、第2偏光板420と液晶パネル100との間には、第2光学補償板320が配置されている。ここで特に、第1光学補償板310は屈折率異方性が負の補償素子であり、第2光学補償板320は屈折率異方性が正の補償素子である。即ち、第1光学補償板310及び第2光学補償板320は、屈折率異方性の極性が互いに異なる。
【0050】
続いて、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸の傾きについて、図4から図8を参照して説明する。ここに図4から図6は夫々、本実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図であり、図7は、本実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。また図8は、光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフである。
【0051】
図4に示すように、液晶層50における液晶分子は、光源光の入射側と出射側とで90°ねじれて配置されている。この液晶分子の傾きは、液晶層50と、TFTアレイ基板10及び対向基板20との界面に設けられた配向膜によって設定される。ここで仮に、第1光学補償板310及び第2光学補償板320が、いずれも正の光学補償板であるとすると、典型的には、光学補償板の光軸は夫々、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。即ち、第1光学補償板310の光軸は、液晶層50の対向基板20との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板320の光軸は、液晶層50のTFTアレイ基板10との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。尚、正の光学補償板は、図に示すように、対応する液晶分子の光軸と概ね90°になり、且つ遠い方の液晶の傾きと逆に傾くように配置されることで、適切に補償効果を発揮することが可能となる。
【0052】
図5に示すように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320が、いずれも負の光学補償板であるとすると、典型的には、上述した正の光学補償板の場合と同様に、光学補償板の光軸は夫々、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。即ち、第1光学補償板310の光軸は、液晶層50の対向基板20との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板320の光軸は、液晶層50のTFTアレイ基板10との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。尚、負の光学補償板は、図に示すように、平板状の結晶が、その主面で、対応する液晶分子の傾きを受けるように配置されることで、適切に補償効果を発揮することが可能となる。
【0053】
図6において、第1光学補償板310が負の光学補償板であり、第2光学補償板320が正の光学補償板である場合を考える。本願発明者の研究によれば、正及び負の光学補償板を組み合わせて用いる際に、図に示すように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸を、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜すると、補償効果が低下してしまうことが判明している。即ち、正及び負の光学補償板を組み合わせて用いる際に、図4及び図5で示した場合と同様に光軸を傾斜させたのでは、十分な補償効果が得られない。
【0054】
図7において、本実施形態に係る電気光学装置では、上述した補償効果が低下してしまうという問題を解決するために、第1光学補償板310の光軸を遠い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させ、第2光学補償板320の光軸を近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させている。即ち、出射側の正の光学補償板については、図4と同様に光軸を傾斜させ、入射側の負の光学補償板については、図5の出射側の光学補償板と同様に光軸を傾斜させている。このように第1光学補償板310及び第2光学補償板320を配置することで、上述した図6の配置と比較して、補償効果を向上させることが可能である。
【0055】
以下に、上述した配置毎の補償効果を、互いに比較しつつ、より具体的に説明する。尚、図4に示す配置を配置(a)、図5に示す配置を配置(b)、図6に示す配置を配置(c)、図7に示す本実施形態に係る配置を配置(d)として説明する。
【0056】
図8に示すように、配置(a)で光学補償板を配置すると、表示される画像のコントラストは補償板がない場合と比較して非常に大きく向上する。また、配置(b)の場合も、配置(a)には及ばないものの、高いコントラストを得ることができる。即ち、正の光学補償板を2つ用いる場合及び負の光学補償板を2つ用いる場合は、いずれもコントラストを効果的に高めることが可能である。一方、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合は、配置(c)で光学補償板を配置すると、コントラストを向上させる効果は、配置(a)及び配置(b)と比べて低いものとなる。しかしながら、配置(d)の場合には、配置(a)には及ばないものの、配置(b)よりも高いコントラストを得ることが可能である。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合であっても、配置(d)のように光学補償板を配置すれば、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0057】
正の光学補償板は、典型的には、水晶等の結晶を研磨することによって形成される。このように形成された光学補償板は、形成する際に研磨の精度が要求されるため、比較的コストが高くなってしまうが、光軸方向のばらつきを少なくできるため、補償効果は高い。一方、負の光学補償板は、典型的には、無機材料を蒸着することで形成される。このように形成された光学補償板は、光軸方向にある程度のばらつきが生じてしまう反面、製造が容易でコストが低減できる。
【0058】
上述したように、光学補償板は屈折率異方性が正であるか負であるかによって特性が異なる。よって本実施形態のように、正の光学補償板及び負の光学補償板を適切に配置して使用すれば、製造条件やコスト等に応じて、高品質な画像を表示可能な電気光学装置を設計することが可能である。
【0059】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の動作について、図3を参照して説明する。尚、以下では、光源光の経路に従って上述した各部の動作を説明する。
【0060】
図3において、光源光は、先ず第1偏光板410に入射される。第1偏光板410は、所定の方向に振動する光のみが通過できるように構成されている。よって、第1偏光板410に入射した光源光は直線偏光となる。
【0061】
第1偏光板410を通過した光源光は、第1光学補償板310に入射する。ここで光源光は、液晶層50に入射するのに先立って、位相差を補償されることとなる。第1光学補償板310の光軸は、図7に示したように、TFTアレイ基板10側の界面における液晶分子に対応するように傾斜されている。
【0062】
続いて光源光は、液晶パネル100に入射する。即ち、対向基板20を通して、液晶層50に入射する。ここで、液晶層50には電圧が印加されており、液晶層50に含まれる液晶分子は印加された電圧によって傾きが変化している。しかしながら、例えば対向基板20及びTFTアレイ基板10との界面付近には、電圧をかけても完全に立ち上がらない液晶分子や、中間調表示の際に立ち上がりきらない液晶分子が存在する。よって、液晶層50に入射した光源光は、その界面付近において、位相がずれてしまうこととなる。
【0063】
液晶パネル100を通過した光は、第2光学補償板320に入射される。第2光学補償板320の光軸は、図7に示したように、TFTアレイ基板10側の界面における液晶分子に対応するように傾斜されている。この第2光学補償板320と、上述した第1光学補償板310によって、液晶層50において生じた位相差が補償される。
【0064】
第2光学補償板320を通過した光は、第2偏光板420に入射される。光源光は、上述したように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320によって、殆ど或いは全く位相のずれがない状態とされているため、第2偏光板420において、通過させる光が通過されない、或いは通過させない光が通過してしまうことを防止することができる。よって、表示される画像のコントラストを高めることが可能である。
【0065】
以上説明したように、第1実施形態に係る電気光学装置によれば、液晶層50等において発生してしまう位相のずれを、正及び負の光学補償板によって好適に補償できる。従って、正及び負の光学補償板夫々の特性を生かしつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0066】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電気光学装置について、図9から図12を参照して説明する。ここに図9は、第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。また図10は本実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図であり、図11は、第2実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。図12は、光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフである。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、第1及び第2光学補償板の構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第2実施形態では、光学補償板の構成や補償効果について詳細に説明し、その他については適宜説明を省略する。尚、図9から図11では、第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0067】
図9において、第2実施形態に係る電気光学装置では、第1光学補償板310は屈折率異方性が正の補償素子であり、第2光学補償板320は屈折率異方性が負の補償素子である。即ち、第2実施形態では、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の屈折率異方性の極性が、第1実施形態とは逆になっている。
【0068】
図10において、光源光の入射側に配置された第1光学補償板310が正の光学補償板であり、出射側に配置された第2光学補償板320が負の光学補償板である場合であっても、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸を、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜すると、補償効果が低下してしまう。即ち、図10に示すような配置では、図6に示した場合と同様に十分な補償効果が得られない。
【0069】
図11において、第2実施形態に係る電気光学装置では、上述した補償効果が低下してしまうという問題を解決するために、第1光学補償板310の光軸を近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させ、第2光学補償板320の光軸を遠い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させている。即ち、入射側の正の光学補償板については、図4と同様に光軸を傾斜させ、出射側の負の光学補償板については、図5の入射側の光学補償板と同様に光軸を傾斜させている。このように第1光学補償板310及び第2光学補償板320を配置することで、上述した図10の配置と比較して、補償効果を向上させることが可能である。
【0070】
以下に、上述した配置毎の補償効果を、互いに比較しつつ、より具体的に説明する。尚、図4に示す配置(a)及び図5に示す配置(b)に加えて、図6に示す配置を配置(e)、図7に示す本実施形態に係る配置を配置(f)として説明する。
【0071】
図12において、上述したように、配置(a)及び配置(b)で光学補償板を配置した場合には、いずれもコントラストを効果的に高めることが可能である。一方、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合は、配置(e)で光学補償板を配置すると、コントラストを向上させる効果は、配置(a)及び配置(b)と比べて低いものとなる。しかしながら、配置(f)の場合には、配置(a)及び配置(b)に比較的近いコントラストを得ることが可能である。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合であっても、配置(f)のように光学補償板を配置すれば、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0072】
第2実施形態では更に、図9に示すように、第2光学補償板320が膜としてTFTアレイ基板10上に形成されている。具体的には、例えば斜方蒸着等を用いることにより、第2光学補償板320を他の基板上に形成することが可能となる。このように、単なる膜として負の光学補償板を形成すれば、コストを低減させることができると共に、装置の省スペース化を実現することもできる。
【0073】
以上説明したように、第2実施形態に係る電気光学装置によれば、液晶層50等において発生してしまう位相のずれを、正及び負の光学補償板によって好適に補償できる。従って、正及び負の光学補償板夫々の特性を生かしつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0074】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る電気光学装置について、図13を参照して説明する。ここに図13は、第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。第3実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、マイクロレンズアレイを備えている点で構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第3実施形態では、マイクロレンズアレイによる影響について詳細に説明し、その他の構成については適宜説明を省略する。尚、図13では、第1及び第2実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0075】
図13において、第3実施形態に係る電気光学装置では、第1偏光板410と液晶パネル100との間に、マイクロレンズアレイ基板800が設けられている。マイクロレンズアレイ基板800は、入射される光源光を集光する。これにより、液晶パネル100における光の利用効率を高めることが可能となる。
【0076】
しかしながら、マイクロレンズアレイ基板800は、集光の際に光源光を屈折させるため、マイクロレンズアレイ基板800を設けない場合と比較すると、光源光に位相差が生じる可能性は高くなる。即ち、表示される画像の品質が低下してしまうおそれが高くなる。
【0077】
これに対し、第3実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、屈折率異方性が負である第1光学補償板310及び屈折率異方性が正である第2光学補償板320の光軸が、効果的な補償が可能な角度に傾斜されている。よって、液晶層50において生じる位相のずれは、確実に補償される。
【0078】
以上説明したように、第3実施形態に係る電気光学装置によれば、マイクロレンズアレイ基板800を設けたことに起因する位相のずれも適切に補償できるため、光源光の利用効率を高めつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0079】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図14は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0080】
図14に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0081】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0082】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0083】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0084】
尚、図14を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0085】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図4】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その1)である。
【図5】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その2)である。
【図6】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その3)である。
【図7】第1実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。
【図8】光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフ(その1)である。
【図9】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図10】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その4)である。
【図11】第2実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。
【図12】光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフ(その2)である。
【図13】第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図14】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0088】
10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、50…液晶層、100…液晶パネル、200…フレキシブル基板、310…第1光学補償板、320…第2光学補償板、410…第1偏光板、420…第2偏光板、800…マイクロレンズアレイ基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、例えば液晶パネルに光を照射することで画像を表示するものがある。照射される光は、例えば偏光板等によって位相が揃えられた上で液晶パネルに入射されるが、液晶パネルやマイクロレンズアレイ等の光学素子等において位相がずれてしまい、コントラストの低下や視野角の狭小化を招くことがある。このため、入射される光の位相のずれを補償するために、光学位相差補償素子を使用するという技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、無機材料からなる光学補償プレートによって、光の位相差を補償するという技術が開示されている。また特許文献2では、2つの位相差補償層を所定の角度で配置することで、光の位相差を補償するという技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3864929号公報
【特許文献2】特開2006−119444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、2つの位相差補償層における屈折率異方性の極性は、互いに同一のものとされている。即ち、一方が正であれば他方も正、一方が負であれば他方も負のものが用いられている。
【0006】
ここで、本願発明者の研究したところによると、屈折率異方性の極性は、位相差に対する補償効果に影響を与える。また、構成する材料等も異なることから、製造コストも極性毎に互いに異なるものとなる。このため、複数の補償素子を用いる場合には、正の光学補償素子と負の光学補償素子とを組み合わせて用いる方がよい場合があり得る。よって、上述した技術のように、同一の極性の補償素子による補償を行う場合には、設計段階で制限が課されてしまい、所望の条件で装置を設計できないという技術的問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、屈折率異方性の極性が異なる補償素子を用いて、効果的に画質を向上させることが可能な電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に液晶層が挟持されてなる液晶パネルと、前記液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板と、前記液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板とを備える。
【0009】
本発明に係る電気光学装置によれば、その動作時に、例えば投射光やバックライト等の光源光が液晶パネルに入射されることにより、例えば投影画像や直視画像として画像が表示される。液晶パネルは、一対の第1及び第2基板が液晶層を挟持することで構成されており、例えばTFT(Thin Film Transistor)等によって駆動される。
【0010】
本発明では、液晶パネルにおける光源光の入射側に第1光学補償板が配置されている。また出射側には、第2光学補償板が配置されている。即ち、液晶パネルを挟み込むようにして、光学補償板が2つ配置されている。ここで特に、第1及び第2光学補償板における屈折率異方性の極性は互いに異なるものとされている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が正であれば、第2光学補償板の屈折率異方性は負であり、第1光学補償板の屈折率異方性が負であれば、第2光学補償板の屈折率異方性は正である。
【0011】
屈折率異方性が正の光学補償板(以下、適宜「正の光学補償板」と称する)は、典型的には、水晶等の結晶を研磨することによって形成される。このように形成された光学補償板は、形成する際に研磨の精度が要求されるため、比較的コストが高くなってしまうが、光軸方向のばらつきを少なくできるため、補償効果は高い。一方、屈折率異方性が負の光学補償板(以下、適宜「負の光学補償板」と称する)は、典型的には、無機材料を蒸着することで形成される。このように形成された光学補償板は、光軸方向にある程度のばらつきが生じてしまう反面、製造が容易でコストが低減できる。
【0012】
上述したように、光学補償板は屈折率異方性が正であるか負であるかによって特性が異なる。よって本発明のように、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用すれば、製造条件やコスト等に応じて、より好適に電気光学装置を設計することが可能である。具体的には、2つの光学補償板の屈折率異方性がいずれも正である場合と比較すると、一方を負の光学補償板とする分、コストを低減させることができる。更に、斜方蒸着等を用いて単なる膜として負の光学補償板を形成すれば、省スペース化を実現することもできる。また、2つの光学補償板の屈折率異方性がいずれも負である場合と比較すると、一方を負の光学補償板とする分、光軸方向のばらつきが少なくなるため、補償効果を高めることが可能である。
【0013】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、屈折率異方性の正負が互いに異なる第1及び第2光学補償板が挟込配置されているため、屈折率異方性が正及び負の光学補償板の特性を生かしつつ、確実に光源光の位相差を補償することが可能である。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の近い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されており、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の遠い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。
【0015】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が正である方の光軸は、液晶層の第1及び第2基板の近い方との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が正である場合には、光軸が光源光の入射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板の屈折率異方性が正である場合には、光軸が光源光の出射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。
【0016】
また、第1及び第2光学補償板のうち、極性が負である方の光軸は、液晶層の第1及び第2基板の遠い方との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。即ち、第1光学補償板の屈折率異方性が負である場合には、光軸が光源光の出射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板の屈折率異方性が負である場合には、光軸が光源光の入射側の基板との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。
【0017】
本願発明者の研究によれば、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用する場合、夫々の光学補償板の光軸を、いずれも近い方又は遠い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜したのでは、補償効果が低下してしまうことが判明している。即ち、第1及び第2光学補償板の光軸が、互いに異なる基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜したのでは補償効果が低下してしまう。
【0018】
これに対し、本態様では上述したように、正の光学補償板の光軸は、近い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜しており、負の光学補償板の光軸は、遠い方の基板との界面における液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜している。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板の光軸は、同じ基板の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている。本願発明者の研究によれば、極性の相異なる2つの光学補償板を上述したように配置することで、極性が同じである2つの光学補償板により補償する場合と比較して、同程度或いはそれ以上の補償効果を得ることができることが判明している。
【0019】
以上の結果、本態様に係る電気光学装置によれば、屈折率異方性の極性が異なる補償素子を用いた場合であっても、十分な補償効果を得ることが可能となる。従って、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、前記極性が正である結晶を研磨することによって形成されている。
【0021】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が正である方は、屈折率異方性が正である結晶を研磨することによって形成される。具体的には、正の光学補償板は、例えば水晶のような正の一軸性結晶を、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)等の各種研磨技術によって、所定の厚みになるように研磨することで形成される。尚、光軸は、形成される段階で傾斜されてもよいし、配置される段階で傾斜されてもよい。
【0022】
上述したように、屈折率異方性が正である方の光学補償板を形成することで、光軸方向のばらつきを低減させることができる。従って、光源光の位相差に対する補償効果が高められ、より高品質な画像を表示させることが可能である。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、前記極性が負である材料を斜方に蒸着することによって形成されている。
【0024】
この態様によれば、第1及び第2光学補償板のうち、屈折率異方性が負である方は、例えばガラス基板等の基板に無機材料を斜方蒸着することによって形成される。尚、屈折率異方性が負である材料には、例えばTa2O5(酸化タンタル)等の比較的屈折率の高いものから、SiO2(酸化シリコン)等の比較的屈折率の低いものまで、様々な種類の材料を用いることができる。
【0025】
上述したように、屈折率異方性が負である方の光学補償板を形成することで、製造工程を比較的容易なものとすることができる。また、材料も比較的安価なため、コストを低減させることも可能である。更に、他の基板上に膜として形成することが可能であるため、省スペース化も実現できる。
【0026】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1光学補償板は、前記極性が負であり、前記第2光学補償板は、前記極性が正である。
【0027】
この態様によれば、第1光学補償板は屈折率異方性が負であり、第2光学補償板は屈折率異方性が正である。即ち、液晶パネルの入射側には負の光学補償板が配置され、出射側には正の光学補償板が配置される。
【0028】
本願発明者の研究によれば、正の光学補償板と負の光学補償板とを組み合わせて使用する場合、液晶パネルの入射側に正の光学補償板を配置し、出射側に負の光学補償板を配置するよりも、入射側に負の光学補償板を配置し、出射側に正の光学補償板を配置した方が、補償効果が高いことが判明している。
【0029】
しかるに本態様では特に、上述したように、第1光学補償板は屈折率異方性が負であり、第2光学補償板は屈折率異方性が正であるので、より高い補償効果を得ることが可能である。従って、より高品質な画像を表示させることが可能である。
【0030】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方には、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされている。
【0031】
この態様によれば、第1及び第2基板のうち少なくとも一方に、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされており、入射される光源光を集光することで、光の利用効率を高めている。マイクロレンズアレイは、集光の際に光源光を屈折させるため、マイクロレンズアレイを設けない場合と比較すると、光源光に位相差が生じる可能性は高くなる。即ち、表示される画像のコントラスト等が低下してしまうおそれが高くなる。
【0032】
しかるに本態様では特に、上述したように、第1及び第2光学補償板が夫々適切に配置されているため、液晶層の界面等で発生する光源光の位相差を、適切に補償することができる。従って、本態様に係る電気光学装置によれば、高品質な画像を表示することが可能である。
【0033】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0034】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、製造条件やコスト等を考慮しつつ、高品質な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0035】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0037】
<液晶パネル>
先ず、本実施形態に係る電気光学装置に用いられる液晶パネルについて図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。尚、以下では、本実施形態に係る液晶パネルの一例として駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを例にとる。
【0038】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶パネル100では、本発明の「第2基板」の一例であるTFTアレイ基板10と、本発明の「第1基板」一例である対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板である。対向基板20も、TFTアレイ基板10と同様に、透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0039】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0040】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0041】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0042】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0043】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。画素電極9aは、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜からなり、配向膜は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。他方、対向基板20上には、格子状又はストライプ状の遮光膜23が形成された後に、その全面に亘って対向電極21が設けられており、更には最上層部分に配向膜が形成されている。対向電極21は、ITO膜などの透明導電膜からなり、配向膜は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0044】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0045】
<電気光学装置>
次に、上述した液晶パネル100を有する電気光学装置について、図3から図8を参照して説明する。尚、以降の図においては、図1及び図2で示した、液晶パネル100の詳細な部材については適宜省略し、直接関連のある部材のみを示す。
【0046】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電気光学装置の構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。尚、以下では、液晶層50の液晶がTN(Twisted Nematic)方式の液晶である場合を例にとり説明する。
【0047】
図3において、本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶パネル100と、第1光学補償板310と、第2光学補償板320と、第1偏光板410と、第2偏光板420とを備えて構成されている。
【0048】
液晶パネル100は、TFTアレイ基板10及び対向基板20によって液晶層50が挟持されてなり、外部回路接続端子102(図1参照)には、フレキシブル基板200が電気的に接続されている。フレキシブル基板200における液晶パネル100と接続されない端部は、例えば図示しない回路基板等に電気的に接続される。
【0049】
第1偏光板410は、液晶パネル100に対する光源光の入射側に配置されており、第2偏光板420は、液晶パネル100に対する光源光の出射側に配置されている。第1偏光板410と液晶パネル100との間には、第1光学補償板310が配置されている。また、第2偏光板420と液晶パネル100との間には、第2光学補償板320が配置されている。ここで特に、第1光学補償板310は屈折率異方性が負の補償素子であり、第2光学補償板320は屈折率異方性が正の補償素子である。即ち、第1光学補償板310及び第2光学補償板320は、屈折率異方性の極性が互いに異なる。
【0050】
続いて、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸の傾きについて、図4から図8を参照して説明する。ここに図4から図6は夫々、本実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図であり、図7は、本実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。また図8は、光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフである。
【0051】
図4に示すように、液晶層50における液晶分子は、光源光の入射側と出射側とで90°ねじれて配置されている。この液晶分子の傾きは、液晶層50と、TFTアレイ基板10及び対向基板20との界面に設けられた配向膜によって設定される。ここで仮に、第1光学補償板310及び第2光学補償板320が、いずれも正の光学補償板であるとすると、典型的には、光学補償板の光軸は夫々、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。即ち、第1光学補償板310の光軸は、液晶層50の対向基板20との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板320の光軸は、液晶層50のTFTアレイ基板10との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。尚、正の光学補償板は、図に示すように、対応する液晶分子の光軸と概ね90°になり、且つ遠い方の液晶の傾きと逆に傾くように配置されることで、適切に補償効果を発揮することが可能となる。
【0052】
図5に示すように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320が、いずれも負の光学補償板であるとすると、典型的には、上述した正の光学補償板の場合と同様に、光学補償板の光軸は夫々、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。即ち、第1光学補償板310の光軸は、液晶層50の対向基板20との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜され、第2光学補償板320の光軸は、液晶層50のTFTアレイ基板10との界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜される。尚、負の光学補償板は、図に示すように、平板状の結晶が、その主面で、対応する液晶分子の傾きを受けるように配置されることで、適切に補償効果を発揮することが可能となる。
【0053】
図6において、第1光学補償板310が負の光学補償板であり、第2光学補償板320が正の光学補償板である場合を考える。本願発明者の研究によれば、正及び負の光学補償板を組み合わせて用いる際に、図に示すように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸を、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜すると、補償効果が低下してしまうことが判明している。即ち、正及び負の光学補償板を組み合わせて用いる際に、図4及び図5で示した場合と同様に光軸を傾斜させたのでは、十分な補償効果が得られない。
【0054】
図7において、本実施形態に係る電気光学装置では、上述した補償効果が低下してしまうという問題を解決するために、第1光学補償板310の光軸を遠い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させ、第2光学補償板320の光軸を近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させている。即ち、出射側の正の光学補償板については、図4と同様に光軸を傾斜させ、入射側の負の光学補償板については、図5の出射側の光学補償板と同様に光軸を傾斜させている。このように第1光学補償板310及び第2光学補償板320を配置することで、上述した図6の配置と比較して、補償効果を向上させることが可能である。
【0055】
以下に、上述した配置毎の補償効果を、互いに比較しつつ、より具体的に説明する。尚、図4に示す配置を配置(a)、図5に示す配置を配置(b)、図6に示す配置を配置(c)、図7に示す本実施形態に係る配置を配置(d)として説明する。
【0056】
図8に示すように、配置(a)で光学補償板を配置すると、表示される画像のコントラストは補償板がない場合と比較して非常に大きく向上する。また、配置(b)の場合も、配置(a)には及ばないものの、高いコントラストを得ることができる。即ち、正の光学補償板を2つ用いる場合及び負の光学補償板を2つ用いる場合は、いずれもコントラストを効果的に高めることが可能である。一方、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合は、配置(c)で光学補償板を配置すると、コントラストを向上させる効果は、配置(a)及び配置(b)と比べて低いものとなる。しかしながら、配置(d)の場合には、配置(a)には及ばないものの、配置(b)よりも高いコントラストを得ることが可能である。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合であっても、配置(d)のように光学補償板を配置すれば、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0057】
正の光学補償板は、典型的には、水晶等の結晶を研磨することによって形成される。このように形成された光学補償板は、形成する際に研磨の精度が要求されるため、比較的コストが高くなってしまうが、光軸方向のばらつきを少なくできるため、補償効果は高い。一方、負の光学補償板は、典型的には、無機材料を蒸着することで形成される。このように形成された光学補償板は、光軸方向にある程度のばらつきが生じてしまう反面、製造が容易でコストが低減できる。
【0058】
上述したように、光学補償板は屈折率異方性が正であるか負であるかによって特性が異なる。よって本実施形態のように、正の光学補償板及び負の光学補償板を適切に配置して使用すれば、製造条件やコスト等に応じて、高品質な画像を表示可能な電気光学装置を設計することが可能である。
【0059】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の動作について、図3を参照して説明する。尚、以下では、光源光の経路に従って上述した各部の動作を説明する。
【0060】
図3において、光源光は、先ず第1偏光板410に入射される。第1偏光板410は、所定の方向に振動する光のみが通過できるように構成されている。よって、第1偏光板410に入射した光源光は直線偏光となる。
【0061】
第1偏光板410を通過した光源光は、第1光学補償板310に入射する。ここで光源光は、液晶層50に入射するのに先立って、位相差を補償されることとなる。第1光学補償板310の光軸は、図7に示したように、TFTアレイ基板10側の界面における液晶分子に対応するように傾斜されている。
【0062】
続いて光源光は、液晶パネル100に入射する。即ち、対向基板20を通して、液晶層50に入射する。ここで、液晶層50には電圧が印加されており、液晶層50に含まれる液晶分子は印加された電圧によって傾きが変化している。しかしながら、例えば対向基板20及びTFTアレイ基板10との界面付近には、電圧をかけても完全に立ち上がらない液晶分子や、中間調表示の際に立ち上がりきらない液晶分子が存在する。よって、液晶層50に入射した光源光は、その界面付近において、位相がずれてしまうこととなる。
【0063】
液晶パネル100を通過した光は、第2光学補償板320に入射される。第2光学補償板320の光軸は、図7に示したように、TFTアレイ基板10側の界面における液晶分子に対応するように傾斜されている。この第2光学補償板320と、上述した第1光学補償板310によって、液晶層50において生じた位相差が補償される。
【0064】
第2光学補償板320を通過した光は、第2偏光板420に入射される。光源光は、上述したように、第1光学補償板310及び第2光学補償板320によって、殆ど或いは全く位相のずれがない状態とされているため、第2偏光板420において、通過させる光が通過されない、或いは通過させない光が通過してしまうことを防止することができる。よって、表示される画像のコントラストを高めることが可能である。
【0065】
以上説明したように、第1実施形態に係る電気光学装置によれば、液晶層50等において発生してしまう位相のずれを、正及び負の光学補償板によって好適に補償できる。従って、正及び負の光学補償板夫々の特性を生かしつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0066】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電気光学装置について、図9から図12を参照して説明する。ここに図9は、第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。また図10は本実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図であり、図11は、第2実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。図12は、光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフである。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、第1及び第2光学補償板の構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第2実施形態では、光学補償板の構成や補償効果について詳細に説明し、その他については適宜説明を省略する。尚、図9から図11では、第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0067】
図9において、第2実施形態に係る電気光学装置では、第1光学補償板310は屈折率異方性が正の補償素子であり、第2光学補償板320は屈折率異方性が負の補償素子である。即ち、第2実施形態では、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の屈折率異方性の極性が、第1実施形態とは逆になっている。
【0068】
図10において、光源光の入射側に配置された第1光学補償板310が正の光学補償板であり、出射側に配置された第2光学補償板320が負の光学補償板である場合であっても、第1光学補償板310及び第2光学補償板320の光軸を、近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜すると、補償効果が低下してしまう。即ち、図10に示すような配置では、図6に示した場合と同様に十分な補償効果が得られない。
【0069】
図11において、第2実施形態に係る電気光学装置では、上述した補償効果が低下してしまうという問題を解決するために、第1光学補償板310の光軸を近い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させ、第2光学補償板320の光軸を遠い側の界面における液晶分子の傾きに対応するように傾斜させている。即ち、入射側の正の光学補償板については、図4と同様に光軸を傾斜させ、出射側の負の光学補償板については、図5の入射側の光学補償板と同様に光軸を傾斜させている。このように第1光学補償板310及び第2光学補償板320を配置することで、上述した図10の配置と比較して、補償効果を向上させることが可能である。
【0070】
以下に、上述した配置毎の補償効果を、互いに比較しつつ、より具体的に説明する。尚、図4に示す配置(a)及び図5に示す配置(b)に加えて、図6に示す配置を配置(e)、図7に示す本実施形態に係る配置を配置(f)として説明する。
【0071】
図12において、上述したように、配置(a)及び配置(b)で光学補償板を配置した場合には、いずれもコントラストを効果的に高めることが可能である。一方、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合は、配置(e)で光学補償板を配置すると、コントラストを向上させる効果は、配置(a)及び配置(b)と比べて低いものとなる。しかしながら、配置(f)の場合には、配置(a)及び配置(b)に比較的近いコントラストを得ることが可能である。即ち、正の光学補償板及び負の光学補償板を組み合わせて用いる場合であっても、配置(f)のように光学補償板を配置すれば、効果的に画質を向上させることが可能である。
【0072】
第2実施形態では更に、図9に示すように、第2光学補償板320が膜としてTFTアレイ基板10上に形成されている。具体的には、例えば斜方蒸着等を用いることにより、第2光学補償板320を他の基板上に形成することが可能となる。このように、単なる膜として負の光学補償板を形成すれば、コストを低減させることができると共に、装置の省スペース化を実現することもできる。
【0073】
以上説明したように、第2実施形態に係る電気光学装置によれば、液晶層50等において発生してしまう位相のずれを、正及び負の光学補償板によって好適に補償できる。従って、正及び負の光学補償板夫々の特性を生かしつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0074】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る電気光学装置について、図13を参照して説明する。ここに図13は、第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。第3実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、マイクロレンズアレイを備えている点で構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第3実施形態では、マイクロレンズアレイによる影響について詳細に説明し、その他の構成については適宜説明を省略する。尚、図13では、第1及び第2実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付している。
【0075】
図13において、第3実施形態に係る電気光学装置では、第1偏光板410と液晶パネル100との間に、マイクロレンズアレイ基板800が設けられている。マイクロレンズアレイ基板800は、入射される光源光を集光する。これにより、液晶パネル100における光の利用効率を高めることが可能となる。
【0076】
しかしながら、マイクロレンズアレイ基板800は、集光の際に光源光を屈折させるため、マイクロレンズアレイ基板800を設けない場合と比較すると、光源光に位相差が生じる可能性は高くなる。即ち、表示される画像の品質が低下してしまうおそれが高くなる。
【0077】
これに対し、第3実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、屈折率異方性が負である第1光学補償板310及び屈折率異方性が正である第2光学補償板320の光軸が、効果的な補償が可能な角度に傾斜されている。よって、液晶層50において生じる位相のずれは、確実に補償される。
【0078】
以上説明したように、第3実施形態に係る電気光学装置によれば、マイクロレンズアレイ基板800を設けたことに起因する位相のずれも適切に補償できるため、光源光の利用効率を高めつつ、高品質な画像を表示させることが可能である。
【0079】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図14は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0080】
図14に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0081】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0082】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0083】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0084】
尚、図14を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0085】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図4】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その1)である。
【図5】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その2)である。
【図6】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その3)である。
【図7】第1実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。
【図8】光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフ(その1)である。
【図9】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図10】実施形態の比較例に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図(その4)である。
【図11】第2実施形態に係る、光学補償板の光軸と液晶分子の傾きとの関係を概念的に示す斜視図である。
【図12】光学補償板の配置とコントラストの関係を示すグラフ(その2)である。
【図13】第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示す断面図である。
【図14】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0088】
10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、50…液晶層、100…液晶パネル、200…フレキシブル基板、310…第1光学補償板、320…第2光学補償板、410…第1偏光板、420…第2偏光板、800…マイクロレンズアレイ基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1及び第2基板間に液晶層が挟持されてなる液晶パネルと、
前記液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板と、
前記液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の近い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されており、
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の遠い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、前記極性が正である結晶を研磨することによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、前記極性が負である材料を斜方に蒸着することによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1光学補償板は、前記極性が負であり、
前記第2光学補償板は、前記極性が正である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方には、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
一対の第1及び第2基板間に液晶層が挟持されてなる液晶パネルと、
前記液晶パネルにおける光源光の入射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち一方の極性である第1光学補償板と、
前記液晶パネルにおける光源光の出射側に配置されており、屈折率異方性が正及び負のうち他方の極性である第2光学補償板と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の近い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されており、
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、光軸が前記液晶層の前記第1及び第2基板の遠い方との界面における前記液晶層の液晶分子の傾きに対応するように傾斜されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が正である方は、前記極性が正である結晶を研磨することによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1及び第2光学補償板のうち、前記極性が負である方は、前記極性が負である材料を斜方に蒸着することによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1光学補償板は、前記極性が負であり、
前記第2光学補償板は、前記極性が正である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方には、マイクロレンズアレイが内蔵又は外付けされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−134111(P2009−134111A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310523(P2007−310523)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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