説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、好適なラビング処理を行えるようにすることで、高品質な画像を表示可能とする。
【解決手段】電気光学装置は、基板(10)と、基板上の画素領域(10a)に設けられた画素部と、前記画素部に設けられた透明導電膜(71)、透明導電膜の上層に形成された誘電体膜(71a)、及び誘電体膜の上層に形成された透明な画素電極(9)からなる蓄積容量(70)と、基板上の画素領域の周辺に位置する周辺領域に設けられており、透明導電膜(71a)及び画素電極と同一膜からなる第1導電膜(9a)が、互いに電気的に接続されるように積層されてなる複数の外部回路接続端子(102)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、例えば一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置がある。このような液晶装置では、一対の基板の液晶層に接する面に、電圧無印加時における液晶分子の配列を揃えるためのラビング処理が施された配向膜が設けられる。
【0003】
ラビング処理は、例えばラビングクロスを表面に備えるラビングローラーで、基板上に配置された配向膜の表面を擦ることによって施される。この際、基板上に段差が生じていると、配向膜に意図しないスジが発生したり、削りカスが発生したりする可能性が高くなる。このため、基板の表面付近に積層される絶縁膜は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−354966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気光学装置を他の回路基板等と接続するための外部回路接続端子等の部位では、例えば絶縁膜上より下層の導電層を露出させるような形態がとられるため、絶縁膜に平坦化処理を施したとしても、基板表面に比較的大きな段差が発生してしまう。即ち、上述した技術には、ラビング処理を好適に行えなくなってしまうおそれがあるという技術的問題点がある。また、仮に平坦化処理を施すことで基板表面の段差を小さくできたとしても、平坦化処理に対する精度が求められてしまう分、製造工程が複雑化してしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、好適なラビング処理を行えるようにすることで、高品質な画像を表示可能な電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上の画素領域に設けられた画素部と、前記画素部に設けられた透明導電膜、該透明導電膜の上層に形成された誘電体膜、及び該誘電体膜の上層に形成された透明な画素電極からなる蓄積容量と、前記基板上の前記画素領域の周辺に位置する周辺領域に設けられており、前記透明導電膜及び前記画素電極と同一膜からなる第1導電膜が、互いに電気的に接続されるように積層されてなる接続端子とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えば基板上の画素領域に設けられた複数の画素部に対して、複数の走査線から走査信号が供給されると共に、複数のデータ線から画像信号が供給される。これにより各画素部が制御され、画素領域に様々な画像を表示することが可能となる。より具体的には、複数の画素部が制御されることによって、基板及び該基板と対向する対向基板間に挟持された液晶等の電気光学物質に対して画像信号に応じた電圧が印加され、各画素において表示される色調が制御される。
【0009】
複数の画素部は、典型的には、画素領域にマトリクス状に設けられており、例えばトランジスター、容量電極及び画素電極等として機能する複数の導電層が積層されることにより形成されている。即ち、ここでの「画素部」は、画素毎に設けられた各部材によって形成されている部位全体を包括する概念である。
【0010】
本発明に係る電気光学装置では、複数の画素部は、透明導電膜、透明導電膜の上層に形成された誘電体膜、及び誘電体膜の上層に形成された透明な画素電極が積層されることによって構成されている。そして、上述した透明導電膜、誘電体膜及び画素電極は蓄積容量を構成している。
【0011】
具体的には、透明導電膜は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料から構成されており、画素領域における光を透過する開口領域(即ち、表示に寄与する領域)に延びるように設けられている。
【0012】
誘電体膜は、透明導電膜及び画素電極間に設けられた透明な膜であり、蓄積容量の容量値を大きくするためにも、誘電率が高い材料を用いて薄く形成されていることが望ましい。
【0013】
画素電極は、透明導電膜と同様に、例えばITO等の透明導電材料から構成されており、開口領域に延びるように設けられている。画素電極は、典型的には、基板上の積層構造における最表面に位置しており、配向膜を介して電気光学物質と対向するように設けられている。
【0014】
画像を表示するための画像信号は、例えば外部の回路基板等から、基板上の周辺領域に設けられた回路接続端子を介して供給される。尚、接続端子は、典型的には、フレキシブル基板を介して外部の回路基板と電気的に接続されている。
【0015】
本発明に係る電気光学装置では、接続端子は、複数の画素部を構成する透明導電膜及び画素電極と同一膜からなる第1導電膜が、互いに電気的に接続されるように積層されることで構成されている。尚、ここでの「同一膜」とは、同一の成膜工程によって形成される膜を意味しており、画素電極及び第1導電層が完全に同一の膜であることを意味するものではなく、同一の導電膜を同時にパターニングして形成された膜を意味する。即ち、画素電極及び第1導電層は、互いに電気的に接続されるようなものでなくともよく、厚さ等の各種条件が異なっていてもよい。
【0016】
本発明では特に、接続端子が2つの透明な導電層(即ち、透明導電膜及び第1導電層)を含んで構成されている。よって、例えば接続端子が1つの導電層によって構成される場合と比較して、積層構造の表面における段差を小さくすることができる。具体的には、より多くの層が積層されることにより、表面の起伏がなだらかなものとされている。
【0017】
基板上には、上述したような積層構造が形成された後、電気光学物質の配向方向を揃えるための配向膜が配置され、ラビング処理が施される。この際、仮に基板上に段差が生じていると、配向膜に意図しないスジが発生したり、削りカスが発生したりする可能性が高くなる。
【0018】
しかるに本発明では、接続端子が2つの透明な導電層を含んで構成されることで、表面における段差が小さくされている。よって、上述したラビング処理における様々な不都合を回避することが可能である。また本発明では、複数の画素部も2つの透明な導電層(即ち、透明導電膜及び画素電極)を含んで構成されている。このため、画素領域において複数の画素部を構成している透明な導電層を周辺領域まで延在させることにより、上述した接続端子の構成を容易に実現することができる。
【0019】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、ラビング処理を好適に行うことが可能となる。これにより、スジムラ等の表示不良を防止することができるため、高品質な画像を表示することが可能である。
【0020】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記誘電体膜は、前記周辺領域にまで設けられると共に、前記接続端子の各々に対応した複数の第1開口部を有しており、前記透明導電膜及び前記第1導電膜は、前記第1開口部を介して互いに電気的に接続される。
【0021】
この態様によれば、画素領域だけでなく周辺領域にまで設けられている。誘電体膜には、接続端子の各々に対応した複数の第1開口部が形成されている。即ち、基板上で平面的に見て、接続端子に重なる箇所が、部分的に取り除かれたようになっている。
【0022】
そして本態様では特に、透明導電膜及び第1導電膜は、誘電体膜に設けられた第1開口部を介して互いに電気的に接続されている。このように構成すれば、透明導電膜及び第1導電膜を、確実に電気的に接続することができる。従って、接続端子における積層構造を容易に形成することができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記透明導電膜の下層側に設けられると共に、平坦化処理の施された第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜の上層に設けられたデータ線とを更に備え、前記画素電極は、前記データ線と電気的に接続されており、前記接続端子は、前記データ線と同一膜からなる第2導電膜と電気的に接続されている。
【0024】
この態様によれば、透明導電膜の下層側(即ち、より基板に近い側)に、平坦化処理の施された第1層間絶縁膜が設けられている。更に、第1層間絶縁膜の上層には、画像信号を供給するデータ線が設けられている。尚、データ線は、典型的には遮光性を有する導電層(例えば、アルミニウム等)によって構成されており、画素領域における光を透過しない非開口領域に設けられる。
【0025】
本態様では、複数の画素部における画素電極の各々は、例えばコンタクトホール等を介してデータ線と電気的に接続されている。このため、画素電極に対して、確実に画像信号を供給することが可能となる。また、接続端子も同様に、データ線と同一膜からなる第2導電膜と電気的に接続されている。このため、接続端子から入力された各種信号を、第2導電膜を介して、確実にデータ線駆動回路や走査線駆動回路等の周辺回路に伝達することが可能となる。
【0026】
更に本態様では、第1層間絶縁膜に平坦化処理が施されているため、基板表面に生じてしまう段差を極めて小さいものとすることができる。従って、より好適にラビング処理を行うことが可能である。
【0027】
上述した第1層間絶縁膜及びデータ線を備える態様では、前記周辺領域において、前記透明導電膜及び前記第1導電膜を含むように設けられており、前記第2導電膜と電気的に接続されないダミー端子を更に備えるように構成してもよい。
【0028】
この場合には、周辺領域に透明導電膜及び第1導電膜を含むダミー端子が設けられる。ダミー端子は、概ね接続端子と同様の構成とされるが、第2導電膜とは電気的に接続されない。よって、ダミー端子による信号の入出力は行われない。
【0029】
ダミー端子は、上述したように、第2導電膜とは電気的にされないため、接続端子とは部分的に構成が異なる。具体的には、ダミー端子は、接続端子が有している一部の層やコンタクトホール等を有さないように構成される場合がある。このため、仮に何らの対策も施さなければ、接続端子における表面とダミー端子における表面とで段差が生じてしまう場合がある。
【0030】
しかるに上述した構成によれば、ダミー端子が透明導電膜及び第1導電膜を含むように構成されているため、接続端子とダミー端子との間に生じる段差を小さくすることができる。よって、基板表面をよりなだらかなものとすることができる。従って、より好適にラビング処理を行うことが可能である。
【0031】
或いは第1層間絶縁膜及びデータ線を備える態様では、前記透明導電膜及びデータ線間に設けられた第2層間絶縁膜を更に備え、前記接続端子は、前記透明導電膜及び前記第1導電膜が、前記第2層間絶縁膜に開口された第2開口部に沿うように設けられることで、前記第2導電膜と電気的に接続されるように構成してもよい。
【0032】
この場合には、透明導電膜及びデータ線間に、第2層間絶縁膜が設けられる。即ち、透明導電膜と、データ線と同一膜からなる第2導電膜との間に、第2層間絶縁膜が設けられる。第2層間絶縁膜には、接続端子の各々に対応するように、第2開口部が形成されている。即ち、基板上で平面的に見て、接続端子に重なる箇所が、部分的に取り除かれたようになっている。
【0033】
このように構成すれば、透明導電膜及び第1導電膜が、上述した第2開口部に沿って設けられることによって、第2導電膜と電気的に接続されることとなる。具体的には、第2層間絶縁膜の上層に設けられている透明導電膜及び第1導電膜が、第2開口部を介して、第2導電膜まで延在するように設けられることにより、接続端子と第2導電膜とが互いに電気的に接続されている。上述した構成によれば、接続端子及び第2導電膜を、容易且つ確実に電気的に接続することができる。
【0034】
或いは第1層間絶縁膜及びデータ線を備える態様では、前記第1層間絶縁膜の下層側に設けられた半導体層と、前記半導体層及び前記データ線間に設けられた遮光性を有する第3導電膜とを更に備えるように構成してもよい。
【0035】
この場合、第1層間絶縁膜の下層側には、例えば複数の画素部においてスイッチング制御を行うトランジスターの一部をなす半導体層が設けられる。また、半導体層及びデータ線間には、例えばアルミニウム等を含んでなる遮光性を有する第3導電膜が設けられる。
【0036】
このような構成によれば、半導体層に上層側から入射しようとする光が、第3導電膜によって遮光される。よって、半導体層に光が入射することによってリーク電流が発生してしまうことを防止することができる。従って、リーク電流に起因する装置の不具合を低減することが可能である。また、第3導電膜が周辺領域にまで延びるように設けられていれば、周辺領域についても遮光能力を向上させることが可能である。
【0037】
更に半導体層及び第3導電膜を備えるでは、前記半導体層の下層側に設けられた遮光膜を更に備えるように構成してもよい。
【0038】
このように構成すれば、半導体層の下層側に遮光膜が設けられるため、半導体層に対して基板側から入射しようとする光を遮光することができる。よって、半導体層に光が入射することによってリーク電流が発生してしまうことを効果的に防止することができる。従って、リーク電流に起因する装置の不具合を低減することが可能である。また、第遮光膜が周辺領域にまで延びるように設けられていれば、周辺領域についても遮光能力を向上させることが可能である。
【0039】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0040】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品質な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0041】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】本実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図4】本実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域における電極及び配線等の位置関係を図式的に示した平面図である。
【図5】画像表示領域の一部の構成を詳細に示した平面図(その1)である。
【図6】画像表示領域の一部の構成を詳細に示した平面図(その2)である。
【図7】図4から図6の各々におけるA−A´線断面図である。である。
【図8】外部回路接続端子及びダミー端子の構成を示す平面図である。
【図9】外部回路接続端子の具体的な構成を示す平面図である。
【図10】図9のB−B´線断面図である。
【図11】ダミー端子の具体的な構成を示す平面図である。
【図12】図11のB−B´線断面図である。
【図13】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクターの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0044】
<電気光学装置>
本実施形態に係る電気光学装置について、図1から図12を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0045】
先ず、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
【0046】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対向基板20は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0047】
TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極9が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により、相互に接着されている。尚、ここでの画像表示領域は、本発明の「画素領域」の一例である。
【0048】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0049】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。尚、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0050】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び本発明の「接続端子」の一例である外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。尚、ここでは説明の便宜上、後述するダミー端子の図示を省略している。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0051】
TFTアレイ基板10上における対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域には、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0052】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図2では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO等の透明材料からなる画素電極9が、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。TFTアレイ基板10上の積層構造については、後に詳述する。
【0053】
画素電極9は、対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9上には、配向膜16が画素電極9を覆うように形成されている。
【0054】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上には、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が、例えばプロジェクター用のランプや直視用のバックライトから出射された光を透過させる開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0055】
遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向するように形成されている。また遮光膜23上には、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルターが形成されるようにしてもよい。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0056】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、上述したデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0057】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0058】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素部の各々には、画素電極9及びTFT30が夫々形成されている。TFT30は、画素電極9に電気的に接続されており、本実施形態に係る電気光学装置の動作時に画素電極9をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6は、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0059】
TFT30のゲートには、走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る電気光学装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、・・・、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0060】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。例えば、ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0061】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9と対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9の電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の構成については、後に詳述する。
【0062】
次に、上述の動作を実現する画素部の具体的な構成について、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域における、電気光学動作を行うために配置された電極及び配線等の位置関係を図式的に示した平面図である。図5及び図6は夫々、画像表示領域の一部の構成を詳細に示した平面図である。尚、図5及び図6は夫々、TFTアレイ基板10上において互いに異なる層を実線で示しており、図4より若干広い領域における平面構造を示している。図7は、図4から図6の各々におけるA−A´線断面図である。尚、図4から図7では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0063】
図4において、TFTアレイ基板10上には、走査線11と、データ線6とが、X方向及びY方向の夫々に沿って延びている。データ線6及び走査線11の交差付近において、走査線11に重なるようにTFT30(即ち、半導体層30a及びゲート電極30b)が形成されている。
【0064】
走査線11は、例えばTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属を含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、或いはこれらを積層したもの等の遮光性材料から形成されている。また走査線11は、TFT30の半導体層30aより幅広に形成されている。ここで、後述するように、走査線11は半導体層30aより下層側に配置されているので、このように走査線11をTFT30の半導体層30aよりも幅広に形成することによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクター等で他の電気光学装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域30bを殆ど或いは完全に遮光できる。その結果、電気光学装置の動作時に、TFT30における光リーク電流が低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。即ち、走査線11は、本発明の「遮光膜」の一例である。
【0065】
走査線11は、遮光性を有しているため、データ線6と共に、画像表示領域10aにおける非開口領域を規定している。但し、走査線11及びデータ線6の各々は、走査線11及びデータ線6の夫々の縁が非開口領域を規定していなくともよい。言い換えれば、走査線11及びデータ線6の各々は、TFTアレイ基板10上に形成された他の遮光性の膜等によって規定された非開口領域に形成されていればよい。
【0066】
TFT30は、半導体層30aと、ゲート電極30bとを有して構成されている。半導体層30aは、ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3含んで形成されている。ここで、チャネル領域30a2とソース領域30a1、又は、チャネル領域30a2とドレイン領域30a3との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。即ち、TFT30はLDD構造とされてもよい。
【0067】
ゲート電極30bは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域と重なる領域にゲート絶縁膜を介して形成されている。ゲート電極30bは、下層側に配置された走査線11にコンタクトホール34を介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT30をオン/オフ制御している。
【0068】
データ線6は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6は、TFT30上においてTFT30に重なっているため、TFT30をその上側から遮光可能である。
【0069】
図5において、本発明の「透明導電膜」の一例である容量電極71は、例えば、ITO等の透明導電材料から構成されており、画素電極9と共に、蓄積容量70における一対の容量電極を構成している。容量電極71は、画像表示領域10aの略全体に重なっており、光が透過可能な開口領域においてデータ線6の上層側に延びている。
【0070】
容量電極71は、画素電極9(図5において図示省略)より下層側に形成されており、画素毎に開口部5aを有している。開口部5aの内側には、画素電極9及びドレイン領域30a3(図7参照)間を電気的に接続するコンタクトホール33が、図中上下方向、即ち、TFTアレイ基板10の厚み方向に沿って形成されている。従って、コンタクトホール33によれば、画素電極9の下層側に形成された容量電極71に電気的に短絡することなく、画素電極9にドレイン領域30a3から出力される画像信号電位を供給可能である。その結果、画素電極9の下層側に容量電極71を設けつつ、画素電極9をオン/オフ駆動することができるので、極めて効率的な配線レイアウトを有する電気光学装置を実現することができる。
【0071】
図6において、画素電極9は、画素毎に島状に形成されている。本実施形態では、各画素はデータ線6及び走査線11によってマトリクス状に区分けされている。そして、図4において点線のライン9bで示したように、画素電極9は各画素において、その端部がTFTアレイ基板10上で平面的に見たときに、データ線6及び走査線11に部分的に重なるように形成されている。蓄積容量70は、容量電極71及び画素電極9が相互に重なる領域に形成されている。
【0072】
図7において、上述した各導電層は、図に示すように層間絶縁膜12、13、14、15及び17、並びに誘電体膜72と共に積層されている。
【0073】
具体的には、先ずTFTアレイ基板10上に走査線11が積層され、その上に層間絶縁膜12が積層されている。層間絶縁膜12は、走査線11とTFT30とを互いに絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
【0074】
層間絶縁膜12の上層には、半導体層30aとゲート電極30bが層間絶縁膜13を介して対向するように積層されている。即ち、層間絶縁膜13は、TFT30におけるゲート絶縁膜として機能する。
【0075】
層間絶縁膜12の上層には、下層側から順に、層間絶縁膜14、中継層7、層間絶縁膜17、データ線6、層間絶縁膜15が積層されている。データ線6は、コンタクトホール34、中継層7及びコンタクトホール31を介して、TFT30のソース領域30a1に電気的に接続されている。一方、TFT30のドレイン領域30a3は、コンタクトホール32、中継層7、及びコンタクトホール33、35、36を介して画素電極9に電気的に接続されている。中継層7は、データ線6及びTFT30間を電気的に接続するという機能の他に、TFT30に対して上層側から入射しようとする光を遮光するという機能も有している。
【0076】
層間絶縁膜15の上層には、容量電極71、誘電体膜72及び画素電極9が順に積層され、蓄積容量70を構成している。誘電体膜72は、光が透過可能な開口領域において、容量電極71上に形成された透明な膜である。蓄積容量70は、各々が透明な容量電極71、誘電体膜72及び画素電極9によって構成されているため、開口領域を狭めることもなく、画素のうち開口領域が占める割合である開口率を低下させることもない。加えて、このような蓄積容量70によれば、非開口領域と比べて非常に大きい領域である開口領域に容量を形成可能であるため、非開口領域にのみに蓄積容量を形成する場合に比べて、その容量値を効果的に増大させることが可能である。
【0077】
尚、ここでの図示は省略しているが、画素電極9の上側表面には、ラビング処理が施された配向膜16(図2参照)が設けられている。以上に説明した画素部の構成は、図4等に示すように、各画素部に共通である。画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されている。
【0078】
次に、周辺領域に形成される外部回路接続端子102の構成について、図8から図12を参照して詳細に説明する。ここに図8は、外部回路接続端子及びダミー端子の構成を示す平面図である。また図9は、外部回路接続端子の具体的な構成を示す平面図であり、図10は、図9のB−B´線断面図である。更に図11は、ダミー端子の具体的な構成を示す平面図であり、図12は、図11のB−B´線断面図である。尚、図9から図12では、説明の便宜上、図7に示した各層のうち必要なもののみを図示しており、その他の層を省略している。
【0079】
図8において、外部回路接続端子102は、配線200を介して、夫々データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104等の周辺回路に電気的に接続されている。また、本実施形態に係る電気光学装置では、外部回路接続端子102を模擬するように構成されたダミー端子102dが設けられている。ダミー端子102dは、外部回路接続端子102とは異なり、配線200を介して周辺回路と電気的に接続されていない。このため、ダミー端子102dでは、電気光学装置の動作時において、各種信号の入出力が行われない。
【0080】
ダミー端子102dは、例えば製造工程の途中において検査用配線(図示せず)と電気的に接続され、検査用の信号を入出力するのに用いられる。検査用配線は、典型的には検査終了後に切断される。このため、製品としての電気光学装置では、ダミー端子102dには検査用配線は電気的に接続されていない状態となる。
【0081】
図9及び図10において、外部回路接続端子102は、半導体層30cと、中継層7aと、第1中継層7aと、第2中継層6aと、第1透明導電膜71aと、第2透明導電膜9aとが積層されることによって形成されている。
【0082】
半導体層30cは、画素部におけるTFT30を構成する層と同一膜で構成されており、コンタクトホール81を介して、第1中継層7aと電気的に接続されている。
【0083】
第1中継層7aは、半導体層30cの上層に、層間絶縁膜14を介して積層されている。第1中継層7aは、画素部における中継層7と同一膜で構成されている。ここでの、第1中継層7aは、本発明の「第3導電膜」の一例である。
【0084】
第2中継層は、第1中継層7aの上層に、絶縁膜17を介して積層されている。第2中継層6aは、画素部におけるデータ線6と同一膜で構成されており、コンタクトホール82によって、第1中継層7aと電気的に接続されている。コンタクトホール82は、図9に示すように、端子部の外周を囲うように複数設けられている。また、層間絶縁膜17には、成膜後に平坦化処理が施されている。ここでの、第2中継層6aは、本発明の「第2導電層」の一例であり、層間絶縁膜17は、本発明の「第1層間絶縁膜」の一例である。
【0085】
第2中継層6aの上層には、層間絶縁膜15を介して、第1透明導電膜71aが設けられている。第1透明導電膜71aは、画素部における容量電極71と同一膜で構成されており、コンタクトホール83を介して、第2中継層6aと電気的に接続されている。ここでの層間絶縁膜15は、本発明の「第2層間絶縁膜」の一例であり、コンタクトホール83は、本発明の「第2開口部」の一例である。
【0086】
第1透明導電膜71aの上層には、誘電体膜72aを介して、第2透明導電膜9aが設けられている。第2透明導電膜9aは、画素部における画素電極9と同一膜で構成されており、コンタクトホール84を介して、第1透明導電膜71aと電気的に接続されている。ここでの第2透明導電膜9aは、本発明の「第1導電膜」の一例であり、コンタクトホール84は、本発明の「第1開口部」の一例である。
【0087】
上述したように、本実施形態に係る電気光学装置では、外部回路接続端子102が2つの透明な導電層(即ち、第1透明導電膜71a及び第2透明導電膜9a)を含んで構成されている。よって、例えば外部回路接続端子102が1つの導電層によって構成される場合と比較して、TFTアレイ基板10表面における段差を小さくすることができる。具体的には、より多くの層が積層されることにより表面の起伏がなだらかなものとされている。
【0088】
TFTアレイ基板10上には、上述したような積層構造が形成された後、液晶層50の配向方向を揃えるための配向膜16(図2参照)が配置され、ラビング処理が施される。この際、仮にTFTアレイ基板10上に段差が生じていると、配向膜16に意図しないスジが発生したり、削りカスが発生したりする可能性が高くなる。
【0089】
これに対し、本実施形態に係る電気光学装置では、外部回路接続端子102が2つの透明な導電層を含んで構成されることで、表面における段差が小さくされている。よって、上述したラビング処理における様々な不都合を回避することが可能である。
【0090】
また本実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、各画素部も2つの透明な導電層(即ち、容量電極71及び画素電極9)を含んで構成されている。このため、画像表示領域10aにおいて画素部を構成している透明な導電層を周辺領域まで延在させることにより、上述した外部回路接続端子102の構成を容易に実現することができる。
【0091】
図11及び図12において、ダミー端子102dは、外部回路接続端子102と同様に、半導体層30cと、中継層7aと、第1中継層7aと、第2中継層6aと、第1透明導電膜71aと、第2透明導電膜9aとが積層されることによって形成されている。但し、ダミー端子102dでは、外部回路接続端子102のように、半導体層30cと第1中継層7aとを電気的に接続するコンタクトホール81、及び第1中継層7aと第2中継層6aとを電気的に接続するコンタクトホール82が形成されていない。
【0092】
ダミー端子102dは、上述したように、TFTアレイ基板10の表面に位置する端子部分(即ち、第2透明導電膜9a)が、第1中継層7a及び半導体層30cとは電気的にされないため、その分が積層構造の起伏の差となって、外部回路接続端子102との間に段差が生じてしまう場合がある。
【0093】
これに対し本実施形態に係る電気光学装置では、ダミー端子102dが第1透明導電膜71aと、第2透明導電膜9aを含むように構成されているため、外部回路接続端子102とダミー端子102dとの間に生じる段差を小さくすることができる。よって、TFTアレイ基板10表面をよりなだらかなものとすることができる。従って、より好適にラビング処理を行うことが可能である。
【0094】
尚、ここでは、外部回路接続端子102とダミー端子102dとの相違点を、コンタクトホール81及び82の有無として説明したが、例えば外部回路接続端子102における一部の層が、ダミー端子102dには設けられないような場合であっても、上述した効果は同様に得られる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、TFTアレイ基板10上の段差を小さくすることができるため、ラビング処理を好適に行うことが可能となる。これにより、スジムラ等の表示不良を防止することができるため、高品質な画像を表示することが可能である。
【0096】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図13は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。
【0097】
図13に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0098】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0099】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0100】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。
【0101】
尚、図13を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダー型、モニタ直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0102】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
6…データ線、6a…第2中継層、7…中継層、7a…第1中継層、9…画素電極、9a…第2透明導電膜、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、12,13,14,15,17…層間絶縁膜、20…対向基板、30…TFT、30a、30c…半導体層、30b…ゲート電極、50…液晶層、70…蓄積容量、71…容量電極、71a…第1透明導電膜、72a…誘電体膜、81,82,83,84…コンタクトホール、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、102d…ダミー端子、104…走査線駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の画素領域に設けられた画素部と、
前記画素部に設けられた透明導電膜、該透明導電膜の上層に形成された誘電体膜、及び該誘電体膜の上層に形成された透明な画素電極からなる蓄積容量と、
前記基板上の前記画素領域の周辺に位置する周辺領域に設けられており、前記透明導電膜及び前記画素電極と同一膜からなる第1導電膜が、互いに電気的に接続されるように積層されてなる接続端子と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記誘電体膜は、前記周辺領域にまで設けられると共に、前記接続端子の各々に対応した複数の第1開口部を有しており、
前記透明導電膜及び前記第1導電膜は、前記第1開口部を介して互いに電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記透明導電膜の下層側に設けられると共に、平坦化処理の施された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜の上層に設けられたデータ線と
を更に備え、
前記画素電極は、前記データ線と電気的に接続されており、
前記接続端子は、前記データ線と同一膜からなる第2導電膜と電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記周辺領域において、前記透明導電膜及び前記第1導電膜を含むように設けられており、前記第2導電膜と電気的に接続されないダミー端子を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記透明導電膜及びデータ線間に設けられた第2層間絶縁膜を更に備え、
前記接続端子は、前記透明導電膜及び前記第1導電膜が、前記第2層間絶縁膜に開口された第2開口部に沿うように設けられることで、前記第2導電膜と電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1層間絶縁膜の下層側に設けられた半導体層と、
前記半導体層及び前記データ線間に設けられた遮光性を有する第3導電膜と
を更に備えることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記半導体層の下層側に設けられた遮光膜を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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