説明

電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器

【課題】レジストの膜減り及びレジストパターンの不良の発生を防止する。
【解決手段】 端縁が面取り処理された透光性基板と、前記透光性基板の前記面取り処理された部分に形成され、前記透光性基板の透光率よりも低い透光率を有し、前記面取り処理された部分に入射した前記光が透過するのを抑制する膜73とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの不良の発生を防止するようにした電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気光学装置、例えば、電気光学物質に液晶を用いて所定の表示を行う液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された構成となっている。このうち、アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置等の電気光学装置においては、縦横に夫々配列された多数の走査線(ゲート線)及びデータ線(ソース線)の各交点に対応して、画素電極及びスイッチング素子を基板(アクティブマトリクス基板)上に設けて構成される。
【0003】
TFTを配置したTFT基板(素子基板)と、TFT基板に対向配置される対向基板とは、別々に製造される。両基板は、パネル組立工程において高精度に貼り合わされた後、液晶が封入される。
【0004】
このようなスイッチング素子を構成する素子基板は、ガラス又は石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。即ち、各種膜の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、レジスト剥離工程の繰返しによって、TFT基板等は形成されている。
【0005】
フォトリソグラフィ工程においては、成膜された膜上にレジストを塗布し、マスクを介して露光して、レジストパターンを形成する。レジストパターンが形成された膜に対して、ウェット又はドライ方式のエッチングが施される。これにより、パターン化された膜が形成される。
【0006】
なお、特許文献1,2においては、基板周縁の不要なレジストを除去するための周辺露光の技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−186066号
【特許文献2】特開平6−338453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的には、電気光学装置用基板として用いられるガラス基板又は石英基板等は、周縁が面取りされている。このような面取りされた基板は、基板端面の面取り部分において、基板表面に対して所定角度傾斜した部分を有する。このような基板に対して周辺露光を行うと、基板端面の傾斜部分に進入した光が向きを変えて、基板内側に進行する。更に、基板内に進行した光は基板裏面で反射して基板表面側に進行する。即ち、基板端面から基板内に入射した光が基板表面のレジストに到達して、基板表面のレジストを感光させてしまう。
【0008】
従って、基板周縁部近傍においては、レジストの膜減りやレジストパターンの不良等が生じることがあるという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、基板端面からの光の入射を抑制することによって、基板端縁部近傍におけるレジストの膜減り及びレジストパターンの不良の発生を防止して、歩留まりを向上させることができる電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電気光学装置用基板は、前記透光性基板の前記面取り処理された部分に形成され、前記透光性基板の光の透過率よりも低い透過率を有し、前記面取り処理された部分に入射した前記光が透過するのを抑制する膜とを具備したことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、面取り処理された部分には膜が形成されている。この膜は透光性基板よりも光の透過率が低い。従って、面取り処理された部分は他の部分に比べて透光性基板に入射する光の強度が低下する。例えば、フォトレジスト形成後の露光時において、面取り処理された部分から入射する光は抑制されることになり、レジストに透光性基板内部で反射した強い光が照射されることを防止することができる。内部反射によるレジストの露光を防止することができるので、レジストの膜減り及びレジストパターンの不良の発生を抑制して、歩留まりを向上させることができる。
【0012】
また、前記膜は、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド膜又は反射防止膜のいずれか1つであることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、面取り処理された部分から光が入射することを確実に防止することができ、内部反射を抑制して、レジストの膜減り及びレジストパターンの不良の発生をなくすことができる。
【0014】
また、前記光は紫外光であることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、紫外光の透過を抑制することができるので、レジスト不良の発生を防止することができる。
【0016】
本発明に係る電気光学装置は、上記電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、レジスト不良等が生じていない電気光学装置用基板を用いるので、表示むら等の発生を抑制して高品位の表示が可能である。
【0018】
また、本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を用いたことを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、高品位の画像表示が可能である。
【0020】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は、端縁が面取り処理された透光性基板の表面全域に、前記透光性基板の光の透過率よりも低い透過率を有する膜を形成する工程と、少なくとも前記面取り処理された部分及び面取り処理がされていない部分の所定の箇所には前記膜を残すように、前記膜の一部を除去して、前記膜を所定のパターンに成形する成膜工程とを具備したことを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、透光性基板の端縁の面取り処理された部分には膜が形成される。この膜によって、透光性基板の内部に進入しようとする光が十分に阻止され、入射光の強度が低下する。これにより、フォトレジスト形成後の露光時において、透光性基板内部の反射によるレジストの露光を防止することができ、レジストの膜減り及びレジストパターンの不良の発生を抑制して、歩留まりを向上させることができる。
【0022】
また、前記成膜工程は、前記膜上にレジストを形成する工程と、前記透光性基板に所定のパターンで紫外光を露光して、前記レジストをパターニングするフォトリソグラフィ工程と、前記パターニングされたレジストを利用して前記膜を除去する工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、膜上に形成されたレジストは、面取り処理された部分と他の部分とでパターニングされる。例えば面取り処理された部分にレジストを残し、エッチングによってレジスト形成部分以外の膜を除去する。これにより、面取り処理された部分に、膜を残すことができ、この部分からの光の入射を抑制することができる。
【0024】
また、前記成膜工程は、前記透光性基板の前記面取り処理された部分において前記膜上から前記透光性基板をクランプで押圧する工程と、前記クランプによって固定された前記透光性基板に対してドライエッチングを施す工程とを含むことを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、面取り処理された部分において、膜上からクランプで透光性基板を押圧固定する。この状態でドライエッチングを施すことにより、膜を除去する。この場合には、クランプで覆われた部分はエッチングが行われず膜が残る。即ち、面取り処理された部分に、膜を残すことができ、この部分からの光の入射を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置用基板の端部の断面形状を示す説明図である。図2は本実施の形態の電気光学装置用基板の外観形状の例を示す平面図である。図3は図2(b)の電気光学装置用基板として液晶装置用基板を採用し、これを用いて構成した電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図である。図4は素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。図5は液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図6は液晶装置の画素構造を詳細に示す断面図である。図7は本実施の形態の電気光学装置用基板の製造方法を示すフローチャートである。また、図8は本実施の形態の電気光学装置用基板の製造方法を工程順に示す工程図である。なお、上記各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0027】
本実施の形態における電気光学装置用基板としては、例えば、図2(a)に示す円形状の基板、或いは図2(b)に示す4角形状の基板を採用することができる。本実施の形態における電気光学装置用基板70は、ガラスや石英等の透光性の材料によって形成されており、所定の厚さ及びサイズを有する。また、電気光学装置用基板70は、図1に示すように、端縁に面取りが施されている。図1の例では、電気光学装置用基板70の上面と側面との角に面取り部71が形成され、底面と側面との角に面取り部72が形成されている。
【0028】
先ず、図3乃至図6を参照して、図2(b)の電気光学装置用基板を用いて構成する液晶装置について説明する。図2(b)の電気光学装置用基板に対して各種膜の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、レジスト剥離工程の繰返しによって、TFT基板等の素子基板10が形成される。同様に、図2(b)の電気光学装置用基板よりも若干小さいサイズの電気光学装置用基板に対して各種膜の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、レジスト剥離工程の繰返しによって、対向基板20が形成される。
【0029】
図3及び図4に示すように、素子基板10と対向基板20とは対向配置され、素子基板10と対向基板20との間に液晶50が封入されている。素子基板10上には画素を構成する画素電極等がマトリクス状に配置される。図5は画素を構成する素子基板10上の素子の等価回路を示している。
【0030】
図5に示すように、画素領域においては、複数本の走査線3aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線3aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線3aとデータ線6aの各交差部分に対応してTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9aが接続される。
【0031】
TFT30は走査線3aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。また、画素電極9aと並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
【0032】
図6は、一つの画素に着目した液晶パネルの模式的断面図である。
【0033】
ガラスや石英等の素子基板10には、素子基板完成時の段差形状を調整するために溝11が形成されている。この溝11上に遮光膜12及び第1層間絶縁膜13を介してLDD構造をなすTFT30が形成されている。溝11によって、TFT基板の液晶50との境界面が平坦化される。
【0034】
TFT30は、チャネル領域1a’、ソース領域1d、ドレイン領域1eが形成された半導体層1aに絶縁膜2を介してゲート電極をなす走査線3aが設けられてなる。なお、半導体層1aは、例えばポリシリコン膜で形成されており、遮光膜12は、例えば、タングステンシリサイド膜で形成されている。遮光膜12は、TFT30の形成領域に対応する領域、データ線6a及び走査線3a等の形成領域、即ち各画素の非表示領域に対応した領域に形成されている。この遮光膜12によって、反射光がTFT30のチャネル領域1a’、ソース領域1d及びドレイン領域1eに入射することが防止される。
【0035】
TFT30上には第2層間絶縁膜14が積層され、第2層間絶縁膜14上には中間導電層15が形成されている。中間導電層15上には誘電体膜17を介して容量線18が対向配置されている。容量線18は、容量層と遮光層とからなり、中間導電層15との間で蓄積容量を構成すると共に、光の内部反射を防止する遮光機能を有する。半導体層1aに比較的近接した位置に中間導電層15を形成しており、光の乱反射を効率よく防止することができる。
【0036】
容量線18上には第3層間絶縁膜19が配置され、第3層間絶縁膜19上にはデータ線6aが積層される。データ線6aは、第3及び第2層間絶縁膜19,14を貫通するコンタクトホール24b,24aを介してソース領域1dに電気的に接続される。データ線6a上には第4層間絶縁膜25を介して画素電極9aが積層されている。画素電極9aは、第4〜第2層間絶縁膜25,19,14を貫通するコンタクトホール26b,26aにより中間導電層15を介してドレイン領域1eに電気的に接続される。画素電極9a上にはポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜16が積層され、所定方向にラビング処理されている。
【0037】
走査線3a(ゲート電極)にON信号が供給されることで、チャネル領域1a’が導通状態となり、ソース領域1dとドレイン領域1eとが接続されて、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに与えられる。
【0038】
一方、対向基板20には、TFTアレイ基板のデータ線6a、走査線3a及びTFT30の形成領域に対向する領域、即ち各画素の非表示領域において第1遮光膜23が設けられている。この第1遮光膜23によって、対向基板20側からの入射光がTFT30のチャネル領域1a’、ソース領域1d及びドレイン領域1eに入射することが防止される。第1遮光膜23上に、対向電極(共通電極)21が基板20全面に亘って形成されている。対向電極21上にポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜22が積層され、所定方向にラビング処理されている。
【0039】
図3及び図4に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜42が設けられている。遮光膜42は例えば遮光膜23と同一又は異なる遮光性材料によって形成されている。
【0040】
遮光膜42の外側の領域に液晶を封入するシール材41が、素子基板10と対向基板20間に形成されている。シール材41は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、素子基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材41は、素子基板10の1辺の一部において欠落しており、貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶50を注入するための液晶注入口78が形成される。液晶注入口78より液晶が注入された後、液晶注入口78を封止材79で封止するようになっている。こうして、素子基板10と対向基板20との間に液晶50が封入される。
【0041】
素子基板10のシール材41の外側の領域には、データ線駆動回路61及び実装端子62が素子基板10の一辺に沿って設けられており、この一辺に隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路63が設けられている。素子基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路63間を接続するための複数の配線64が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間を電気的に導通させるための導通材65が設けられている。
【0042】
このように構成された液晶装置においては、所定のタイミングでデータ線6aから供給される画像信号がTFT30によって画素電極9aに書き込まれる。書き込まれた画素電極9aと対向電極21との電位差に応じて液晶50の分子集合の配向状態が変化して、光を変調し、階調表示を可能にする。
【0043】
図1において、電気光学装置用基板70は、端縁部に形成した面取り部71において、光の透過を阻止又は抑制する膜73が形成されている。この膜73によって、面取り部71に照射された光は、反射又は吸収されて、基板70の内部に進入することが抑制又は阻止される。
【0044】
図7及び図8は面取り部71における膜73の形成方法の一例を示すものである。
【0045】
図7のステップS1においては、所定層の成膜パターン形成のためのレジスト形成に先立ってポリシリコン膜を形成する。例えば、基板上に素子を形成する前にステップS1を実施するようにしてもよい。図8(a)に示すように、端縁部が面取りされた基板に対して、CVD法等を用いて全面にポリシリコン膜81を形成する。次に、ステップS2において、スピンコート等によりレジスト82を表面に塗布する(図8(b))。次に、基板端縁部をマスクして、紫外光、例えば波長365nmの光を入射光として露光を行うことで、レジスト82を端縁部のみに残す(ステップS3)。
【0046】
次に、ステップS4において、残ったレジスト83(図8(c))をマスクとして、ドライエッチング等によってポリシリコン膜81を除去する。即ち、端縁部を除く基板表面のポリシリコン膜81が除去され、基板の端縁部及び裏面にポリシリコン膜84が残る(図8(d))。次のステップS5において、残ったレジスト83を剥離する(図8(e))。こうして、少なくとも基板の端縁部にポリシリコン膜84(図1の膜73に相当)を形成する。なお、ポリシリコン膜84のうち基板裏面については、他の工程によって除去してもよい。
【0047】
なお、図7及び図8の例では、基板の面取り部71にポリシリコン膜を形成する例について説明したが、基板の透光率よりも低い透光率を有する膜、入射光の透過を阻止或いは十分に抑制することが可能な膜であればいずれの膜を形成してもよい。例えば、タングステンシリサイド膜や反射防止膜等を形成するようにしてもよい。
【0048】
このように構成された実施の形態においては、面取り部71に形成された膜73によって、良好なレジストパターンが形成されることを可能にする。図9は面取り部71に膜73が形成されていない場合の光の進入を説明するためのものである。
【0049】
図9に示すように、基板表面にはレジスト74が形成されている。露光時において周辺露光が行われると、面取り部71にも光が入射し、この入射光が図9の矢印に示すように、基板内に進入する。基板内に進入した光の一部は、基板底面から外部に出射されるが、他の一部は基板底面で反射して基板内で上面側に進行する。このような基板底面での反射光75は基板表面に形成されたレジスト74に到達する。基板内からのこのような照射により、レジスト74の一部(斜線部)は露光される。この露光部76は本来のパターンとは無関係に生じ、レジスト74の膜減り及びレジストパターンの不良を生じさせる。
【0050】
これに対し、本実施の形態における電気光学装置用基板70においては、面取り部71の表面には膜73が形成されており、膜73は光の通過を十分に阻止する。即ち、露光時の入射光(例えば紫外光)は面取り部71の表面において大部分が吸収又は反射され、基板70内への光の進入が阻止されるか又は基板70内に進入する光の強度が十分に低減される。従って、基板70内に入射した光の底面反射光によって、レジスト77が露光されることを防止することができる。
【0051】
このように、本実施の形態においては、基板端縁部に形成される膜73によって、露光時に光が基板内に十分な強度で進入することを防止又は抑制することができ、露光時の底面反射光によるレジストの膜減り及びレジストパターンの不良が生じることを防止することができる。これにより、電気光学装置の製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0052】
図10は本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置用基板の製造方法を説明するための説明図である。本実施の形態は光の通過を阻止する膜を基板端縁部に形成する他の方法を示すものである。
【0053】
成膜パターンを形成する前に、光の透過を阻止する例えばポリシリコン膜を基板表面に形成する。図10(a)は表面にポリシリコン膜92を形成した基板91を、ドライエッチング装置の下部電極90上に配置した状態を示している。クランプ93は基板91の端縁部において、ポリシリコン膜92の上方から基板91を下部電極90側に押圧することで、基板91を下部電極90上に固定する。この状態でドライエッチング処理を行う。
【0054】
そうすると、クランプ93によって覆われている基板91の端縁部を除く部分においてポリシリコン膜92が除去される。こうして、基板91の端縁部にはポリシリコン膜94が残留する。
【0055】
このように構成された実施の形態においては、ポリシリコン膜94によって、基板91の端縁部からの基板91内部への光の入射が阻止される。これにより、露光時において、端縁部から入射した光の底面反射光によってレジストが感光されることを防止することができる。
【0056】
他の作用及び効果は第1の実施の形態と同様である。
【0057】
上記各実施の形態においては、電気光学装置の基板工程とは別工程で、基板の端縁部に光の入射を阻止する膜を形成する例について説明したが、電気光学装置の基板工程の一部を流用して、端縁部に光の入射を阻止する膜を形成するようにしてもよい。例えば、図6の遮光膜12、半導体層1a、容量線18及びデータ線6aの各成膜工程に際して、これらの膜の形成時に、基板端縁部に光の入射を阻止する膜を形成するようにしてもよい。
【0058】
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置用基板を用いて構成した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図12は、投射型カラー表示装置の説明図である。
【0059】
図12において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトパルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電気光学装置用基板は、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルだけでなく、アクティブマトリクス型の液晶パネル(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた液晶表示パネル)用の基板にも同様に適用することが可能である。また、透光性を有する基板であれば、液晶表示パネル用基板だけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等)、DLP(Digital Light Processing)(別名DMD:Digital Micromirror Device)等の各種の電気光学装置用の基板においても本発明を同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置用基板の端部の断面形状を示す説明図。
【図2】本実施の形態の電気光学装置用基板の外観形状の例を示す平面図。
【図3】図2(b)の電気光学装置用基板として液晶装置用基板を採用し、これを用いて構成した電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。
【図4】素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図。
【図5】液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図6】液晶装置の画素構造を詳細に示す断面図。
【図7】本実施の形態の電気光学装置用基板の製造方法を示すフローチャート。
【図8】本実施の形態の電気光学装置用基板の製造方法を工程順に示す工程図。
【図9】面取り部71に膜73が形成されていない場合の光の進入を説明するための説明図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置用基板の製造方法を説明するための説明図。
【図11】投射型カラー表示装置を示す説明図。
【符号の説明】
【0062】
70…電気光学装置用基板、71,72…面取り部、73…膜、77…レジスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記透光性基板の前記面取り処理された部分に形成され、前記透光性基板の光の透過率よりも低い透過率を有し、前記面取り処理された部分に入射した前記光が透過するのを抑制する膜とを具備したことを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
前記膜は、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド膜又は反射防止膜のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記光は紫外光であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置を用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
端縁が面取り処理された透光性基板の表面全域に、前記透光性基板の光の透過率よりも低い透過率を有する膜を形成する工程と、
少なくとも前記面取り処理された部分及び面取り処理がされていない部分の所定の箇所には前記膜を残すように、前記膜の一部を除去して、前記膜を所定のパターンに成形する成膜工程とを具備したことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項7】
前記成膜工程は、
前記膜上にレジストを形成する工程と、
前記透光性基板に所定のパターンで紫外光を露光して、前記レジストをパターニングするフォトリソグラフィ工程と、
前記パターニングされたレジストを利用して前記膜を除去する工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項8】
前記成膜工程は、
前記透光性基板の前記面取り処理された部分において前記膜上から前記透光性基板をクランプで押圧する工程と、
前記クランプによって固定された前記透光性基板に対してドライエッチングを施す工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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