説明

電気光学装置

【課題】異なる方向にそれぞれ表示された異なる画像の視野範囲を異ならせた場合であっ
ても、各画像の明るさを均一にすることができる電気光学装置を提供する。
【解決手段】第一画素Rと第二画素Lは、画像表示領域の縦方向(Y軸方向)及び横方向
(X軸方向)にそれぞれ交互に配置され、第一画素Rの光透過領域(開口部52R)の面
積が第二画素Lの光透過領域(開口部52L)の面積よりも小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像表示領域には各々が表示素子を備えた複数の第一画素と複数の第二画素
とが互いに隣接してマトリックス状に配置され、画像表示領域の視認側には、画像表示領
域と平面的に重なる遮光部材が配置され、遮光部材には第一画素と第二画素の各々をそれ
ぞれ部分的に露出させる開口部が複数形成され、開口部は第一の方向からは第一画素のみ
が、第二の方向からは第二画素のみが視認可能に配置され、第一の方向が画像表示領域の
法線となす角度が、第二の方向が法線となす角度よりも小さい電気光学装置が知られてい
る(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたマルチビュー表示装置によれば、運転席の運転者側にはナビゲ
ーション画像等の運転席用の画像を表示し、助手席の搭乗者にはDVD画像等の助手席用
の画像を表示することができる。さらに、交通安全上の観点から運転者が助手席側に顔を
ずらして覗き込むことを防止するために、光遮蔽部の位置を運転席用の画像を構成する画
素と助手席用の画像を構成する画素との中間から助手席側にずらすことで、助手席用の画
像が見える範囲を助手席側にずらし、運転席側から見え難くする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−184860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電気光学装置においては、助手席用の画像の視野範囲が運転
席用の画像の視野範囲よりも狭くなるため、助手席用の画像の明るさが運転席用の画像の
明るさよりも暗くなるという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、異なる方向にそれぞれ表示された異なる画像の視野範囲を異なら
せた場合であっても、各画像の明るさを均一にすることができる電気光学装置を提供する
ものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、画像表示領域には各々が表示
素子を備えた複数の第一画素と複数の第二画素とが互いに隣接してマトリックス状に配置
され、前記画像表示領域の視認側には該画像表示領域と平面的に重なる遮光部材が配置さ
れ、前記遮光部材には前記第一画素と前記第二画素の各々をそれぞれ部分的に露出させる
開口部が複数形成され、前記開口部の第一の方向からは前記第一画素のみが、第二の方向
からは前記第二画素のみが視認可能に配置され、前記第二の方向が前記画像表示領域の法
線となす角度が、前記第一の方向が前記法線となす角度よりも大きい電気光学装置であっ
て、前記第一画素と前記第二画素は、前記画像表示領域の縦方向及び横方向にそれぞれ交
互に配置され、前記第一画素の光透過領域の面積が前記第二画素の光透過領域の面積より
も大きいことを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、第一の方向から遮光部材の開口部を通して第一の画素を視
認可能な第一画素の視野範囲よりも、第二の方向から遮光部材の開口部を通して第二の画
素を視認可能な第二画素の視野範囲のほうが狭くなる。すなわち、観察者が第一の方向か
ら第一画素を見た場合に開口部を通して見える第一画素の面積の方が、第二の方向から第
二画素を見た場合に開口部を通して見える第二画素の面積よりも大きくなる。
ここで、本発明では、第一画素の光透過領域の面積の方が、第二画素の光透過領域の面
積よりも小さく形成されている。このため、観察者が第一の方向から視認可能な第一画素
の光透過領域の面積と、第二の方向から視認可能な第二画素の光透過領域の面積との差を
小さくするか、またはなくすことができる。
したがって、本発明の電気光学装置によれば、第一の方向における視野範囲が第二の方
向における視野範囲よりも広い場合であっても、第一の画素により構成されて第一の方向
に表示された画像の明るさと、第二の画素により構成されて第二の方向に表示された画像
の明るさを均一にすることができる。
【0008】
また、本発明の電気光学装置は、前記第一画素の前記光透過領域の前記縦方向の幅が、
前記第二画素の前記光透過領域の前記縦方向の幅よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、第一画素及び第二画素の光透過領域の縦方向の幅を調整し
て、第一画素の光透過領域の面積を第二画素の光透過領域の面積よりも小さくすることが
できる。
【0010】
また、本発明の電気光学装置は、前記第一画素の前記光透過領域の前記横方向の幅が、
前記第二画素の前記光透過領域の前記横方向の幅よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、第一画素及び第二画素の光透過領域の横方向の幅を調整し
て、第一画素の光透過領域の面積を第二画素の光透過領域の面積よりも小さくすることが
できる。
【0012】
また、本発明の電気光学装置は、前記表示素子は薄膜トランジスタを備え、前記縦方向
に互いに隣接して前記横方向に並んだ複数の前記第一画素と複数の前記第二画素の各々に
おいて、前記薄膜トランジスタは前記縦方向に互いに隣接する前記第一画素と前記第二画
素との境界の近傍に形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、画像表示領域の縦方向において、第一画素の薄膜トランジ
スタが形成されていない側の境界と、第二画素の薄膜トランジスタが形成されていない側
の境界とを隣り合わせることができる。これにより、縦方向に隣接する第一画素と第二画
素における各光透過領域の面積調整の自由度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の電気光学装置は、前記表示素子は薄膜トランジスタを備え、前記横方向
に互いに隣接して前記縦方向に並んだ複数の前記第一画素と複数の前記第二画素の各々に
おいて、前記薄膜トランジスタは前記隣接する前記第一画素と前記第二画素との境界の近
傍に形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、画像表示領域の横方向において、第一画素の薄膜トランジ
スタが形成されていない側の境界と、第二画素の薄膜トランジスタが形成されていない側
の境界とを隣り合わせることができる。これにより、横方向に隣接する第一画素と第二画
素における各光透過領域の面積調整の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図面で
は、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材により縮
尺を適宜変更している。
本実施形態における電気光学装置は、運転席側の運転者と助手席側の搭乗者に異なる画
像を表示する車載型のカラー液晶装置であって、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光
を出力する3個のサブ画素で1個の画素を構成し、画像表示領域に運転席用の画像を構成
する複数の右サブ画素と助手席用の画像を構成する複数の左サブ画素とを備えるものであ
る。
【0017】
図1は、本実施形態の液晶装置1の等価回路図である。
図1に示すように、液晶装置1の画像表示領域においては、運転席用の画像を構成する
右サブ画素Rと助手席用の画象を構成する左サブ画素Lとが互いに隣接してマトリックス
状に配置されている。右サブ画素R及び左サブ画素Lは、それぞれ表示素子として画素電
極11R,11Lと、画素電極11R,11Lをスイッチング制御するためのTFT(Th
in Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子12R,12Lと、を備えている。
【0018】
右サブ画素RのTFT素子12Rは、ソースが液晶装置1に設けられたデータ線駆動回
路13から延在する右サブ画素R用のデータ線14Rに接続され、ゲートが液晶装置1に
設けられた走査線駆動回路15から延在する右サブ画素R用の走査線16Rに接続され、
ドレインが右サブ画素R用の画素電極11Rに接続されている。
また、左サブ画素LのTFT素子12Lは、ソースがデータ線駆動回路13から延在す
る左サブ画素L用のデータ線14Lに接続され、ゲートが走査線駆動回路15から延在す
る左サブ画素L用の走査線16Lに接続され、ドレインが左サブ画素L用の画素電極11
Lに接続されている。
【0019】
データ線駆動回路13は、データ線14Rを介して画像信号S1R、S2R、…、Sn
Rを各々の右サブ画素Rに供給する構成となっている。また、走査線駆動回路15は、走
査線16Rを介して走査信号G1R、G2R、…、GmRを各々の右サブ画素Rに供給す
る構成となっている。
また、データ線駆動回路13は、データ線14Lを介して画像信号S1L、S2L、…
、SnLを各々の左サブ画素Lに供給する構成となっている。また、走査線駆動回路15
は、走査線16Lを介して走査信号G1L、G2L、…、GmLを各々の左サブ画素Lに
供給する構成となっている。
【0020】
ここで、データ線駆動回路13は、画像信号S1R〜SnR,S1L〜SnLをこの順
で線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線14R,14L同士に対して
グループごとに供給してもよい。また、走査線駆動回路15は、走査信号G1R〜GmR
,G1L〜GmLを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0021】
液晶装置1は、スイッチング素子であるTFT素子12R,12Lが走査信号G1R〜
GmR,G1L〜GmLの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線1
4R,14Lから供給される画像信号S1R〜SnR,S1L〜SnLが所定のタイミン
グで画素電極11R,11Lに書き込まれる構成となっている。
画素電極11R,11Lを介してそれぞれ液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S
1R〜SnR,S1L〜SnLは、画素電極11R,11Lと液晶を介して配置された後
述する共通電極41との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号S1R〜
SnR,S1L〜SnLがリークすることを防止するため、画素電極11R,11Lと後
述する共通電極41との間に形成される液晶容量と並列接続されるように蓄積容量18R
,18Lが付与されている。この蓄積容量18R,18Lは、それぞれTFT素子12R
,12Lのドレインと容量線19との間に設けられている。
【0022】
図2は、本実施形態の液晶装置1の画像表示領域の右サブ画素R及び左サブ画素Lを示
す部分拡大平面図である。図3は、図2のA−A’線に沿う断面図である。なお、図2で
は、遮光部材55の図示を省略している。図4は、本実施形態の液晶装置1を自動車の助
手席と運転席(ハンドルHが設置された側)との間に配置したときの模式図である。また
、図2〜図4においては、画像表示領域の横方向にX軸を、画像表示領域の縦方向にY軸
を、画像表示領域の法線方向にZ軸を設定したXYZ直交座標系を用いて説明する。なお
、観察者から見て画像表示領域の右方向をX軸の正方向とし、画像表示領域の上方向をY
軸の正方向としている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の液晶装置1の画像表示領域には、右サブ画素Rと左サ
ブ画素Lとが、それぞれ画像表示領域の縦方向(Y軸方向)及び横方向(X軸方向)に交
互に配置されている。
また、図3に示すように、液晶装置1は、液晶層23を挟持する素子基板21と対向基
板22とを備えている。素子基板21は、例えばガラスや石英、プラスチックなどの透光
性材料からなる基板本体31を備えている。図3では図示を省略するが、基板本体31上
には、図1に示すデータ線14R,14L、走査線16R,16L及び容量線19等が形
成され、これらを覆って上述のTFT素子12R,12Lや蓄積容量18R,18L等を
含む機能層32が形成されている。
【0024】
機能層32は、例えばSiO等の絶縁材料からなるゲート絶縁膜や、ゲート絶縁膜上
に形成されたTFT素子12R,12Lの半導体層を覆うSiO等の絶縁材料からなる
層間絶縁膜等により構成されている。
機能層32の液晶層23側の表面には、上述の画素電極11R,11Lが形成されてい
る。画素電極11R,11Lは、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電性
材料により形成されている。画素電極11R,11Lは、機能層32に形成されたコンタ
クトホール(図示省略)を介してTFT素子12R,12Lのドレインに接続されている

【0025】
また、機能層32の液晶層23側の表面には、画素電極11R,11Lを覆うように、
例えばポリイミド等の有機材料や、シリコン酸化物などの無機材料からなる配向膜33が
形成されている。配向膜33の上面には、液晶層23を構成する液晶分子を配向規制する
ための配向処理が施されている。また、素子基板21の外側(液晶層23の反対側)には
、偏光板24が接合されている。また、素子基板21の外側には、LED等の光源や反射
板、導光板等からなるバックライト装置(図示省略)が配置されている。
【0026】
素子基板21に対向配置された対向基板22は、例えばガラスや石英、プラスチックな
どの透光性材料で構成された基板本体51を備えている。基板本体51の内側(液晶層2
3側)には、例えば、クロム等、遮光性を有する材料によって遮光膜52が形成されてい
る。遮光膜52には、各々の右サブ画素R及び左サブ画素Lに対応してそれぞれ開口部5
2R及び開口部52Lが形成されている。そして、開口部52R及び開口部52Lの形成
領域が、それぞれ右サブ画素R及び左サブ画素Lの光透過領域となっている。
【0027】
開口部52R及び開口部52Lの形成領域内には、カラーフィルタ層53が配置されて
いる。カラーフィルタ層53は、赤(R)、緑(G)、青(B)の色材を備えている。
なお、図2及び図3では、カラーフィルタ層53の赤(R)の色材が配置された右サブ
画素R及び左サブ画素Lを、それぞれ「R(R)」及び「L(R)」と表している。同様
に、緑(G)の色材が配置された右サブ画素R及び左サブ画素Lを、それぞれ「R(G)
」及び「L(G)」、青(B)の色材が配置された右サブ画素R及び左サブ画素Lを、そ
れぞれ「R(B)」及び「L(B)」と表している。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、右サブ画素Rの開口部52Rの縦方向(Y軸方向
)の幅WR1が左サブ画素Lの開口部52Lの縦方向の幅WL1よりも小さくなっている
。また、右サブ画素Rの横方向(X軸方向)の幅WR2は左サブ画素Lの横方向の幅WL
2と略等しくなっている。これにより、右サブ画素Rの開口部52Rの開口面積が、左サ
ブ画素Lの開口部52Lの開口面積よりも小さくなるように形成され、右サブ画素Rの光
透過領域の面積が左サブ画素Lの光透過領域の面積よりも小さくなっている。したがって
、右サブ画素R(R),R(G),R(B)によって構成され、運転席用の画像を表示す
るための画素の光透過領域が、左サブ画素L(R),L(G),L(B)によって構成さ
れ、助手席用の画像を表示するための画素の光透過領域よりも小さくなっている。
【0029】
図3に示すように、カラーフィルタ層53及び遮光膜52の液晶層23側には共通電極
41が形成されている。共通電極41は液晶装置1の画素表示領域の略全域に複数の画素
に亘って形成されている。共通電極41は、例えば、ITO等の透明導電性材料により形
成されている。
共通電極41の液晶層23側には、共通電極41を覆って、例えばポリイミド等の有機
材料や、シリコン酸化物などの無機材料からなる配向膜54が形成されている。
【0030】
対向基板22の基板本体51の外側(液晶層23の反対側)、すなわち液晶装置1の視
認側(Z軸正方向側)には、例えば、クロム等の遮光性を有する材料により遮光部材55
が形成されている。遮光部材55は、画素電極11R,11L及びTFT素子12R,1
2L(図1参照)等を含む表示素子がマトリックス状に配列された液晶装置1の画像表示
領域と法線方向(Z軸方向)に平面的に重なるように配置されている。そして、遮光部材
55には、複数のスリット開口部(開口部)55Sが形成されている。
【0031】
図2に示すように、遮光部材55のスリット開口部55Sは、画像表示領域の横方向に
互いに隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lとの間に略矩形状に開口されている。そして
、スリット開口部55Sは、画像表示領域の横方向の及び縦方向に交互に配置された右サ
ブ画素Rと左サブ画素Lを、それぞれ部分的に露出させるように形成されている。
【0032】
また、図3及び図4に示すように、スリット開口部55Sには、画像表示領域の横方向
において左側(Y軸負方向側)に右サブ画素Rが、右側(Y軸正方向側)に左サブ画素L
が露出するように形成されている。これにより、スリット開口部55Sは、画像表示領域
の縦方向に隣接するスリット開口部55S同士が横方向に互い違いに配置された市松模様
状の配列に形成されている。画像表示領域をその方線方向から見たときに、スリット開口
部55Sによって遮光部材55から露出された右サブ画素Rの面積は、スリット開口部5
5Sに露出された左サブ画素Lの面積よりも大きくなっている。
【0033】
そのため、スリット開口部55Sは、図3及び図4に示すように、液晶装置1の画像表
示領域の法線方向(Z軸方向)と角度θ1をなす運転席側の第一の方向D1からは、スリ
ット開口部55Sを通して左サブ画素Lのみが視認可能に形成され、画像表示領域の法線
方向と角度θ2をなす助手席側の第二の方向D2からは、スリット開口部55Sを通して
右サブ画素Rのみが視認可能な配置となっている。そして、助手席側の第二の方向D2が
法線方向となす角度θ2は、運転席側の第一の方向D1が法線方向となす角度θ1よりも
大きく形成されることにより、助手席用の映像が運転席側から覗き込みにくい構成とされ
ている。
【0034】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
本実施形態では、図4に示すように、液晶装置1は、自動車の運転席(ハンドルH側)
の運転者Dvと助手席の搭乗者Psとの間の前方に設置される。ここで、図2及び図3に
示すように、遮光部材55の開口部55Sが、右サブ画素Rと左サブ画素Lとの中間から
助手席側(X軸負方向側)にずれている。そのため、図4に示すように、運転席側の第一
の方向D1から遮光部材55のスリット開口部55Sを通して右サブ画素Rを視認可能な
範囲である右サブ画素Rの視野範囲VR1よりも、助手席側の第二の方向D2から遮光部
材55のスリット開口部55Sを通して右サブ画素Rを視認可能な範囲である左サブ画素
Lの視野範囲VR2のほうが狭くなる。
【0035】
すなわち、運転者Dvが、角度θ1(第一の方向D1からみた画像の輝度が最大になる
角度)から遮光部材55のスリット開口部55Sを通して見える右サブ画素Rの面積の方
が、搭乗者Psが、角度θ2(第二の方向D2からみた画像の輝度が最大になる角度)か
らスリット開口部55Sを通して見える左サブ画素Lの面積よりも大きくなる。
【0036】
ここで、本実施形態では右サブ画素Rにおける遮光膜52の開口部52Rの開口面積よ
りも左サブ画素Lのおける遮光膜52の開口部52Lの開口面積の方が小さく形成されて
いる。そして、右サブ画素Rの光透過領域の面積の方が、左サブ画素Lの光透過領域の面
積よりも小さく形成されている。このため、運転席側の第一の方向D1の運転者Dvが視
認可能な右サブ画素Rの光透過領域の面積と、助手席側の第二の方向D2の搭乗者Psが
視認可能な左サブ画素Lの光透過領域の面積との差を小さくするか、またはなくすことが
できる。
【0037】
図5は、液晶装置1の画像表示領域の法線方向(Z軸方向)からの傾き角度θと輝度の
関係を示すグラフである。ここで、傾き角度θは、法線方向から助手席方向(図4のX軸
負方向)への傾きを正、運転席方向(図4のX軸正方向)への傾きを負としている。
また、図5中、本実施形態の液晶装置1のデータを実線d1で表している。また、図中
、右サブ画素Rと左サブ画素Lとの光透過領域の面積を等しくした以外は本実施形態の液
晶装置と同様の構成を備えた液晶装置のデータを二点鎖線d2で示している。また、右サ
ブ画素Rと左サブ画素Lとの光透過領域の面積を等しくし、遮光部材55のスリット開口
を右サブ画素Rと左サブ画素Lとの中間に形成した以外は本実施形態の液晶装置1と同様
の構成を備えた液晶装置のデータを破線d3で示している。また、図中、点線d0は、遮
光部材を設けなかった液晶装置のデータである。
【0038】
図5に示すように、液晶装置1において遮光部材55を設けなかった場合には、点線d
0に示すように、法線方向からの傾き角度θが正方向、負方向に大きくなるに従って、緩
やかに輝度が減少していく。
また、破線d3で示す液晶装置の場合には、助手席側で輝度が最大になるピークP3と
運転席側で輝度が最大になるピークP3の輝度は略等しくなっている。しかし、助手席側
(θ軸正方向側)の輝度のピークP3における傾きθと、運転席側(θ軸負方向側)の輝
度のピークP3における傾きθの大きさは、例えばθ=±30°前後で略等しくとなって
いる。したがって、運転席側の運転者Dvが容易に助手席用の映像を覗き込むことができ
てしまう。
【0039】
また、二点鎖線d2で示す液晶装置の場合には、運転席側の輝度のピークP2dの方が
助手席側の輝度のピークP2pよりも大きくなってしまう。しかし、本実施形態の液晶装
置1と同様の遮光部材55を備えているので、ピークP2d及びピークP2pは、助手席
側にずれた状態となり、運転者Dvの覗き込みは防止することができる。
一方、実線d1で示す本実施形態の液晶装置1では、運転席側の輝度のピークP1と助
手席側の輝度のピークP2の大きさが略等しくなっている。加えて、ピークP1,P1が
助手席側にずれた状態となっている。
【0040】
したがって、本実施形態の液晶装置1によれば、運転席側の第一の方向D1における視
野範囲VR1が、助手席側の第二の方向D2における視野範囲VR2よりも広い場合であ
っても、右サブ画素Rからなる画素により構成されて運転席側の第一の方向D1に表示さ
れた運転席用の画像の明るさと、左サブ画素Lからなる画素により構成されて助手席側の
第二の方向D2に表示された助手席用の画像の明るさを均一にすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、右サブ画素Rの光透過領域の縦方向の幅を、左サブ画素Lの光
透過領域の縦方向の幅よりも小さく形成することで、右サブ画素Rと左サブ画素Lの光透
過領域の大小関係を調整し、右サブ画素Rの光透過領域の面積を左サブ画素Lの光透過領
域の面積よりも小さくすることができる。
【0042】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図1、図3〜図5を援用し、図6を用いて説明
する。本実施形態では、画像表示領域の縦方向に隣接する右サブ画素と左サブ画素のTF
T素子が、縦方向の上下の境界に交互に配置されている点で、上述の第一実施形態で説明
した液晶装置1と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部
分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0043】
図6に示すように、本実施形態の液晶装置1Bでは、画像表示領域の縦方向(Y軸方向
)に互いに隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lとが、横方向(X軸方向)に複数並んだ
ユニット配列Uxにおいて、縦方向上側(Y軸正方向側)の横配列Ux1の右サブ画素R
と左サブ画素LのTFT素子12R,12Lは、ユニット配列Uxの縦方向上側の境界の
近傍に配置されている。
【0044】
また、ユニット配列Uxにおいて、縦方向下側(Y軸負方向側)の横配列Ux2の右サ
ブ画素Rと左サブ画素LのTFT素子12R,12Lも、ユニット配列Uxの縦方向下側
の境界の近傍に配置されている。そのため、画像表示領域の縦方向に互いに隣接するユニ
ット配列Ux同士の間では、TFT素子12R,12Lは、それぞれ縦方向に互いに隣接
する右サブ画素Rと左サブ画素Lとの境界の近傍に形成されている。
【0045】
このように構成することで、画像表示領域の縦方向において、横配列Ux1と横配列U
x2の右サブ画素RのTFT素子12Rが形成されていない側の境界と、左サブ画素Lの
TFT素子12Lが形成されていない側の境界とを、縦方向に隣り合わせることができる
。すなわち、ユニット配列Uxにおいて縦方向に隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lと
の間にTFT素子12R,12L及び配線等が形成されないので、右サブ画素Rと左サブ
画素Lの遮光膜52の開口部52R,52Lの開口面積の調整の自由度が向上する。した
がって、右サブ画素R及び左サブ画素Lの各光透過領域の面積調整の自由度を向上させる
ことができる。
【0046】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、図1、図3〜図5を援用し、図7を用いて説明
する。本実施形態では、右サブ画素Rの遮光膜52の開口部52Rの横方向の幅WR2が
、左サブ画素Lの遮光膜52の開口部52Rの幅WL2よりも小さく形成され、開口部5
2R,52Lの縦方向の幅WR1,WL1が略等しく形成されている点で、上述の第一実
施形態で説明した液晶装置1と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるの
で、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0047】
本実施形態の液晶装置1Cは、右サブ画素Rの遮光膜52の開口部52Rの横方向の幅
WR2が、左サブ画素Lの遮光膜52の開口部52Lの横方向の幅WL2よりも小さくな
っている。これにより、右サブ画素Rの光透過領域の面積が左サブ画素Lの光透過領域の
面積よりも小さくなっている。
したがって、本実施形態によれば、右サブ画素R及び左サブ画素Lの光透過領域の横方
向の幅WR2,WL2を調整して、右サブ画素Rの光透過領域の面積を左サブ画素Lの光
透過領域の面積よりも小さくすることができる。
【0048】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態について、図1、図3〜図5を援用し、図8を用いて説明
する。本実施形態では、画像表示領域の横方向に隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lの
TFT素子12R,12Lが、横方向の左右の境界に交互に配置されている点で、上述の
第三実施形態で説明した液晶装置1Cと異なっている。その他の点は第三実施形態と同様
であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0049】
図8に示すように、本実施形態の液晶装置1Dでは、画像表示領域の横方向(X軸方向
)に互いに隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lとが、縦方向(Y軸方向)に複数並んだ
ユニット配列Uyにおいて、横方向左側(X軸負方向側)の縦配列Uy1の右サブ画素R
と左サブ画素LのTFT素子12R,12Lは、ユニット配列Uyの横方向左側の境界の
近傍に配置されている。
【0050】
また、ユニット配列Uyにおいて、横方向右側(X軸正方向側)の縦配列Uy2の右サ
ブ画素Rと左サブ画素LのTFT素子12R,12Lも、ユニット配列Uyの横方向右側
の境界の近傍に配置されている。そのため、画像表示領域の横方向に互いに隣接するユニ
ット配列Uy同士の間では、TFT素子12R,12Lは、横方向に互いに隣接する右サ
ブ画素Rと左サブ画素Lとの境界の近傍に形成されている。
【0051】
このように構成することで、画像表示領域の横方向において、縦配列Uy1と縦配列U
y2の右サブ画素RのTFT素子12Rが形成されていない側の境界と、左サブ画素Lの
TFT素子12Lが形成されていない側の境界とを、横方向に隣り合わせることができる
。すなわち、ユニット配列Uyにおいて横方向に隣接する右サブ画素Rと左サブ画素Lと
の間にTFT素子12R,12L及び配線等が形成されないので、右サブ画素Rと左サブ
画素Lの遮光膜52の開口部52R,52Lの開口面積の調整の自由度が向上する。した
がって、右サブ画素R及び左サブ画素Lの各光透過領域の面積調整の自由度を向上させる
ことができる。
【0052】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態では、電気光学装
置として液晶装置を用いて説明したが、上述のように第一画素、第二画素、遮光部材及び
遮光膜を備えるものであれば、液晶装置に限られない。例えば、液晶装置の代わりに有機
EL装置等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第一実施形態に係る液晶装置の等価回路図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の拡大平面図である。
【図3】図2のA−A’線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る液晶装置の配置例を示す模式図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る液晶装置の観察方向の法線からの角度と輝度の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第二実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の拡大平面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の拡大平面図である。
【図8】本発明の第四実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1,1B,1C,1D 液晶装置(電気光学装置)、L 左サブ画素(第二画素)、R
右サブ画素(第一画素)、11L,11R 画素電極(表示素子)、12L,12R T
FT素子(表示素子、薄膜トランジスタ)、52L 開口部(光透過領域)、52R 開
口部(光透過領域)、55 遮光部材、55S スリット開口部(開口部)、D1 第一
の方向、D2 第二の方向、WL1,WL2,WR1,WR2 幅、θ1,θ2 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域には各々が表示素子を備えた複数の第一画素と複数の第二画素とが互いに
隣接してマトリックス状に配置され、前記画像表示領域の視認側には該画像表示領域と平
面的に重なる遮光部材が配置され、前記遮光部材には前記第一画素と前記第二画素の各々
をそれぞれ部分的に露出させる開口部が複数形成され、前記開口部の第一の方向からは前
記第一画素のみが、第二の方向からは前記第二画素のみが視認可能に配置され、前記第二
の方向が前記画像表示領域の法線となす角度が、前記第一の方向が前記法線となす角度よ
りも大きい電気光学装置であって、
前記第一画素と前記第二画素は、前記画像表示領域の縦方向及び横方向にそれぞれ交互
に配置され、
前記第一画素の光透過領域の面積が前記第二画素の光透過領域の面積よりも小さいこと
を特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第一画素の前記光透過領域の前記縦方向の幅が、前記第二画素の前記光透過領域の
前記縦方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第一画素の前記光透過領域の前記横方向の幅が、前記第二画素の前記光透過領域の
前記横方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気光学
装置。
【請求項4】
前記表示素子は薄膜トランジスタを備え、前記縦方向に互いに隣接して前記横方向に並
んだ複数の前記第一画素と複数の前記第二画素の各々において、前記薄膜トランジスタは
前記隣接する前記第一画素と前記第二画素との境界の近傍に形成されていることを特徴と
する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記表示素子は薄膜トランジスタを備え、前記横方向に互いに隣接して前記縦方向に並
んだ複数の前記第一画素と複数の前記第二画素の各々において、前記薄膜トランジスタは
前記隣接する前記第一画素と前記第二画素との境界の近傍に形成されていることを特徴と
する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−250994(P2009−250994A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94652(P2008−94652)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】