説明

電気光学装置

【課題】COF構造を採用する電気光学装置において、液晶パネルから引き出された可撓性基板状に載置されている駆動用ICの熱を効率よく放熱させる。
【解決手段】TFT基板21には端子25L−1,25L−2,25R−1,25R−2がある。端子25L−1,25L−2からは可撓性基板32L−1,32L−2が引き出され、両可撓性基板上にはICチップ40L−1,40L−2が載置されている。端子25R−1,25R−2からは可撓性基板32R−1,32R−2が引き出され、両可撓性基板上にはICチップ40L−1,40L−2が載置されている。可撓性基板32L−1,32L−2は、ICチップ40L−1,40L−2の位置が重なるように積層されており、可撓性基板32R−1,32R−2は、ICチップ40R−1,40R−2の位置が重なるように積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やプロジェクターなどに表示装置として搭載される電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の中には、COF(Chip On Film)と呼ばれる構造を採るものがある。COF構造の電気光学装置では、液晶層とこれを挟持する2枚の基板からなる液晶パネルから両基板を駆動する駆動回路を分離し、基板の端部からパネル外に引き出された可撓性基板上に駆動回路を搭載する。COF構造の電気光学装置によると、液晶パネル内に駆動回路を搭載する構造を有するものよりも液晶パネルのサイズを小型化することができる。
【0003】
特許文献1には、COF構造を採用する電気光学装置である液晶表示装置に関わる技術の開示がある。この文献1に開示された液晶表示装置の液晶パネルは、液晶とこの液晶を挟んで対向するTFT(Thin Film Transistor)基板及び対向基板と、両基板を挟んで対向する2枚のカバーガラスとを有する。この液晶パネルにおけるTFT基板の一端部からは、可撓性をもった素材からなる可撓性基板が外側に向かって引き出されており、この可撓性基板における光の入射方向側(光源が配置される側)の面上にパネル駆動ICが載置されている。この液晶表示装置の液晶パネルにおける照射方向側(光源が配置される側と反対側)には矩形枠状のフレームが固定されており、入射方向側には矩形枠状の遮光板が固定されている。この液晶表示装置では、光源から当該液晶表示パネルに向かって照射される光のパネル駆動ICへの到達が遮光板によって妨げられる。このため、光源の光がパネル駆動ICに到達してパネル駆動ICが誤動作してしまう、という問題の発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−48019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の電気光学装置では、長時間に亙ってパネル駆動ICを動作させ続けると、ICの熱が高くなって誤動作を起こし、表示画像が劣化してしまう場合がある。従って、表示画像の画質を良好に保つためには、駆動用ICの駆動により発生する熱を適度に放熱させることが必要であるが、特許文献1に開示された技術では、このような対策は為されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みて為されたものであり、COF構造を採用する電気光学装置において、液晶パネルから引き出された可撓性基板上に載置されているパネル駆動ICの熱を効率よく放熱させることができる技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明にかかる電気光学装置は、回路が形成された第1基板を有する電気光学パネル部と、前記第1基板の端部から多層状をなして引き出された複数枚の可撓性基板と、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板を積層方向に沿って見た場合において、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板の各々の面の同じ位置に各々固定されたICチップとを有する複数の可撓性基板モジュールとを具備する。
【0008】
この発明では、複数枚の可撓性基板上におけるICチップが、前記複数枚の可撓性基板を積層方向に沿って見た場合において、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板の各々の表面の同じ位置に各々固定されている。このため、各可撓性基板上のICチップの駆動により発生する熱が上下の層のICチップに伝わり易くなる。よって、ICチップの駆動により発生する熱を効率よく放熱させることができる。
【0009】
この電気光学装置において、前記ICチップは、前記電気光学パネル部に駆動信号を供給する電気光学パネル駆動ICチップであり、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板は、重畳する可撓性基板の間であって、前記電気光学パネル駆動ICチップが配置される位置に、空気よりも高い熱伝導率を持った素材が充填されていてもよい。これによると、可撓性基板モジュール間において熱が一層伝わり易くなり、放熱効率を高めることができる。
【0010】
また、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板は、それぞれの前記電気光学パネル駆動ICチップが重なって配置される位置を前記積層方向外側から覆う放熱材が設けられていてもよい。これによると、放熱効率をより一層高めることができる。
【0011】
また、前記複数個の可撓性基板モジュールは、複数層ずつ当該電気光学装置の横幅方向に分けて積層されていてもよい。これによると、当該電気光学装置の厚さを大きくせずに十分な放熱効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の電気光学装置の正面図、左側面図、及び断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の電気光学装置を採用した投射型プロジェクターの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A:構成)
図1(A)は、本発明の一実施形態である電気光学装置10の正面図である。図1(B)は、電気光学装置10の右側面図である。図1(C)は、図1(A)のC−C’線断面図である。この電気光学装置10は、光源(不図示)から当該電気光学装置10の背面に照射される光をM×N個の画素PIXからなる画像として正面側に照射する液晶ディスプレイ(例えば、図2に示したような投射型液晶プロジェクターに用いられる液晶ディスプレイ)として動作する。
【0014】
電気光学装置10は、液晶パネル部20と、該液晶パネル部20のTFT基板21の対向基板22より張り出した張出し部25(端部)に接続された可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,及び19R−2と、該可撓性基板モジュールの発熱箇所、すなわち、ICチップ40が配置される箇所に対応する位置に配置された放熱板36−1及び36−2と、該放熱板36−1と放熱板36−2とを所定の間隔で保持するための放熱板スペーサー34と、これらを収容するフレーム4とを有する。
【0015】
電気光学装置10のフレーム4は、横幅W1(例えば、W1=100mm)、縦幅L1(例えば、L1=150mm)、及び厚さH1(例えば、H1=10mm)の寸法を持った薄い直方体状をなしている。図1(C)に示すように、フレーム4における正面と裏面との間には縦幅L1方向における一端側と他端側とに分かれた2つの開口部11及び12が設けられている。フレーム4における開口部11と開口部12との間には幅薄な隙間部14が延在している。
【0016】
フレーム4の開口部11には、液晶パネル部20が収納されている。液晶パネル部20は、液晶層LQ(不図示)と、液晶層LQを挟んで対向するTFT基板21及び対向基板22と、これら両基板21及び22を挟んで対抗する透光性の防塵基板23及び24とを有する。より詳細に説明すると、液晶層LQは、電気光学物質である複数種類のネマティック液晶の混合物から形成されている。液晶層LQは、TFT基板21と、対向基板22と、両基板21及び22の周端部に沿って配されたシール部材(不図示)とに囲まれた密閉空間に封入されている。TFT基板21上における液晶層LQに臨む領域ARには、M行N列のマトリクスを成すM×N個の画素電極5−m(m=1〜M)−n(n=1〜N)が設けられている。TFT基板21上における縦幅L1方向に隣り合う画素電極5−m−n間には、横幅W1方向に延在する走査線6−mが敷設されている。TFT基板21上における横幅W1方向に隣り合う画素電極5−m−n間には、縦幅L1方向に延在するデータ線7−nが敷設されている。
【0017】
また、TFT基板21の張出し部25には、図1(A)に点線で示したよう4つの外部回路接続端子25L−1および25L−2並びに25R−1およびR−2が設けられている。具体的には、開口部12側の端部よりも僅かに内側の位置には2つの外部回路接続端子25L−2及び25R−2が設けられている。外部回路接続端子25L−2及び25R−2は互いの間に僅かな間隔を空けて横幅W1方向に並んでいる。TFT基板21上における外部回路接続端子25L−2及び25R−2と領域ARとの間の位置には2つの外部回路接続端子25L−1及び25R−1が設けられている。外部回路接続端子25L−1及び25R−1は、互いの間に僅かな間隔を空けて横幅W1方向に並んでいる。
【0018】
そして、外部回路接続端子25L−1には、可撓性基板モジュール19L−1が接続され、外部回路接続端子25L−2には、可撓性基板モジュール19L−2が接続されている。また、外部回路接続端子25R−1には、可撓性基板モジュール19R−1が接続され、外部回路接続端子25R−2には、可撓性基板モジュール19R−2が接続されている。したがって、可撓性基板モジュール19L−1と可撓性基板モジュール19L−2とは重畳するように配置され、可撓性基板モジュール19R−1と可撓性基板モジュール19R−2とは重畳するように配置されている。 TFT基板21上には、データ線7−n及び走査線6−mと外部回路接続端子25L−1,25L−2,25R−1,及び25R−2とを接続する配線(不図示)が敷設されている。対向基板22上には、TFT基板21の画素電極5−m(m=1〜M)−n(n=1〜N)と対峙する対向電極(不図示)が設けられている。液晶層LQにおける画素電極5−m−n及び対向電極に挟まれた部分の液晶により1つの画素PIXが形成される。
【0019】
フレーム4における開口部11が設けられた部分にはフック51及び52が装着されている。フック51及び52は、略コの字状に屈曲した金属製の部材である。フック51及び52の各々には領域ARとほぼ同じ寸法を持った矩形状の開口が設けられている。フック51及び52は、開口部11内の液晶パネル部20を覆うようにして向かい合い、お互いの端部同士を嵌合させることによりフレーム4に固定されている。液晶パネル部20の防塵基板23はフック51の開口を介して正面側に露出しており、同部20の防塵基板24はフック52の開口を介して裏面側に露出している。
【0020】
フレーム4の開口部12には、可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,及び19R−2が配置される。可撓性基板モジュール19L−1は、可撓性基板32L−1とこの基板32L−1上に載置されたICチップ40L−1及びコンデンサー41L−1とを有する。可撓性基板モジュール19L−2は、可撓性基板32L−2とこの基板32L−2上に載置されたICチップ40L−2及びコンデンサー41L−2とを有する。可撓性基板モジュール19R−1は、可撓性基板32R−1とこの基板32R−1上に載置されたICチップ40R−1及びコンデンサー41R−1とを有する。可撓性基板モジュール19R−2は、可撓性基板32R−2とこの基板32R−2上に載置されたICチップ40R−2及びコンデンサー41R−2とを有する。
【0021】
可撓性基板モジュール19L−1におけるICチップ40L−1は、液晶パネル部20の領域ARを横幅W1方向に4分割した領域AR−i(i=1〜4)における領域AR−1の画素電極を駆動させる第1の電気光学パネル駆動装置としての役割を果たす。可撓性基板モジュール19L−2におけるICチップ40L−2は、液晶パネル部20の領域AR−2の画素電極を駆動させる第2の電気光学パネル駆動装置としての役割を果たす。可撓性基板モジュール19R−1におけるICチップ40R−1は、液晶パネル部20の領域AR−3の画素電極を駆動させる第3の電気光学パネル駆動装置としての役割を果たす。可撓性基板モジュール19R−2におけるICチップ40R−2は、液晶パネル部20の領域AR−4の画素電極を駆動させる第4の電気光学パネル駆動装置としての役割を果たす。
【0022】
これら4つの可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,及び19R−2のうち可撓性基板モジュール19L−1及び19L−2の可撓性基板32L−1及び32L−2は、TFT基板21の外部回路接続端子25L−1及び25L−2から多層状をなして隙間部14に引き出されている。両基板32L−1及び32L−2は、両基板32L−1及び32L−2の厚さH1方向の間隔を保ちつつ、外壁面16の外に向かって平行に延在している。可撓性基板モジュール19R−1及び19R−2の可撓性基板32R−1及び32R−2は、TFT基板21の外部回路接続端子25R−1及び25R−2から多層状をなして隙間部14に引き出されている。両基板32R−1及び32R−2は、両基板32R−1及び32R−2の厚さH1方向の間隔を保ちつつ、外壁面16の外に向かって平行に延在している。
【0023】
可撓性基板モジュール19L−1のICチップ40L−1及び可撓性基板モジュール19L−2のICチップ40L−2は、可撓性基板32L−1及び32L−2の積層方向に沿ってICチップ40L−1及び40L−2を見た場合におけるICチップ40L−1及び40L−2の位置が同じになるように各基板32L−1及び32L−2上に固定されている。また、可撓性基板モジュール19R−1のICチップ40R−1及び可撓性基板モジュール19R−2のICチップ40R−2は、可撓性基板32R−1及び32R−2の積層方向に沿ってICチップ40R−1及び40R−2を見た場合におけるICチップ40R−1及び40R−2の位置が同じになるように各基板32R−1及び32R−2上に固定されている。
【0024】
より詳細に説明すると、可撓性基板モジュール19L−1のICチップ40L−1は、可撓性基板32L−1の両面35LU−1及び35LD−1のうち可撓性基板32L−2と反対側の面35LU−1上における開口部12と重なる部分に設けられている。可撓性基板モジュール19L−1のコンデンサー41L−1は、可撓性基板32L−1の面35LU−1上におけるICチップ40L−1から外壁面16側に離れた位置に設けられている。
【0025】
可撓性基板モジュール19L−2のICチップ40L−2は、可撓性基板32L−2の両面35LU−2及び35LD−2のうち可撓性基板32L−1の側の面35LU−2上におけるICチップ40L−1の真裏の位置に設けられている。可撓性基板モジュール19L−2のコンデンサー41L−2は、可撓性基板32L−2の面35LU−2上におけるコンデンサー41L−1の真裏の位置に設けられている。また、可撓性基板32L−2の面35LU−2上のICチップ40L−2の周囲の部分と可撓性基板32L−1の面35LD−1におけるICチップ40L−1の真裏の部分との間には、空気よりも高い熱伝導率を持った素材からなる接着材ADH(不図示)が充填されている。
【0026】
可撓性基板モジュール19R−1のICチップ40R−1は、可撓性基板32R−1の両面35RU−1及び35RD−1のうち可撓性基板32R−2と反対側の面35RU−1上における開口部12と重なる部分に設けられている。可撓性基板モジュール19R−1のコンデンサー41R−1は、可撓性基板32R−1の面35RU−1上におけるICチップ40R−1から外壁面16側に離れた位置に設けられている。
【0027】
可撓性基板モジュール19R−2のICチップ40R−2は、可撓性基板32R−2の両面35RU−2及び35RD−2のうち可撓性基板32R−1の側の面35RU−2上におけるICチップ40R−1の真裏の位置に設けられている。可撓性基板モジュール19R−2のコンデンサー41R−2は、可撓性基板32R−2の面35RU−2上におけるコンデンサー41R−1の真裏の位置に設けられている。また、可撓性基板32R−2の面35RU−2上のICチップ40R−2の周囲の部分と可撓性基板32R−1の面35RD−1におけるICチップ40R−1の真裏の部分との間には、空気よりも高い熱伝導率を持った素材からなる接着材ADH(不図示)が充填されている。
【0028】
フレーム4の開口部12における可撓性基板モジュール19L−1及び19L−2のICチップ40L−1及び40L−2と可撓性基板モジュール19R−1及び19R−2のICチップ40R−1及び40R−2が配置される位置を両側から挟む位置には、放熱板36−1及び36−2が配置されている。放熱板36−2は、フレーム4に係合して位置決めされており、放熱板36−1は、放熱スペーサー34に係合して位置決めされている。より詳細に説明すると、放熱板スペーサー34は、開口部12と略同じ寸法の外郭を持ったPSS(Polyphenylene Sulfide)樹脂性の部材である。放熱板スペーサー34には矩形状の開口が設けられている。放熱板スペーサー34の開口における縦幅L1方向に対向する内縁部には凸部が設けられている。放熱板36−1及び36−2は、略矩形状の金属性の部材である。放熱板36−1における縦幅L1方向に対向する外縁部には凸部が設けられている。放熱板36−2における縦幅L1方向に対向する外縁部には凸部が設けられている。放熱板36−1は、当該放熱板36−1の凸部を放熱板スペーサー34の開口の凸部に係合させるようにして放熱板スペーサー34に嵌め込まれている。また、放熱板36−2は、当該放熱板36−2の凸部をフレーム4における開口部12の内縁に係合させるようにして嵌め込まれている。
【0029】
フレーム4における開口部12が設けられた部分にはフック53が方向Bから装着されている。フック53は、略コの字状に屈曲した金属製の部材である。フック53には、放熱板36−1及び36−2よりも僅かに小さい寸法を持った矩形状の開口が設けられている。フック53は、開口部12内の放熱板36−1及び36−2を覆うようにして開口部12と向い合い、当該フック53の端部をフレーム4に嵌合させることによりフレーム4に固定されている。フック53と放熱板36−1の凸部との間には、フック53がフレーム4に固定された状態において放熱板36−1の凸部を放熱板スペーサー34の凸部の側に付勢する役割を果たす押さえばね61及び62が介挿されている。
【0030】
以上が、本実施形態である電気光学装置10の構成の詳細である。本実施形態によると、次の4つの効果が得られる。
第1に、本実施形態では、可撓性基板モジュール19L−1及び19L−2のICチップ40L−1及び40L−2が、それらの積層方向に沿ってICチップ40L−1及び40L−2を見た場合において、可撓性基板32L−1及び32L−2の同じ位置に固定されている。また、可撓性基板モジュール19R−1及び19R−2のICチップ40R−1及び40R−2が、それらの積層方向に沿ってICチップ40R−1及び40R−2を見た場合において、可撓性基板32R−1及び32R−2の同じ位置に固定されている。このため、可撓性基板上のICチップ40L−1,40L−2,40R−1,40R−2の駆動により発生する熱が上下の層のICチップに伝わり易くなる。よって、ICチップ40L−1,40L−2,40R−1,40R−2の駆動により発生する熱を効率よく放熱させることができる。
【0031】
第2に、本実施形態では、積層された可撓性基板モジュール19L−1及び19L−2における可撓性基板モジュール19L−1の可撓性基板32L−1とその下の層の可撓性基板モジュール19L−2のICチップ40L−2との間に接着材ADHが充填されている。また、積層された可撓性基板モジュール19R−1及び19R−2における可撓性基板モジュール19R−1の可撓性基板32R−1とその下の層の可撓性基板モジュール19R−2のICチップ40R−2との間に接着材ADHが充填されている。このため、可撓性基板モジュール19L−1及び19L−2間と可撓性基板モジュール19R−1及び19R−2間において熱が伝わり易くなり、放熱効率を高めることができる。
【0032】
第3に、本実施形態では、積層された可撓性基板モジュールにおける最上層の可撓性基板モジュール19L−1及び19R−1の上側に放熱板36−1が設けられ、最下層の可撓性基板モジュール19L−2及び19R−2の下側にも放熱板36−2が設けられている。よって、放熱効率をより一層高めることができる。
【0033】
第4に、本実施形態では、4つの可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,19R−2が2層ずつ当該電気光学装置10の横幅W1方向に分けて積層されている。よって、当該電気光学装置10の厚さH1を大きくせずに十分な放熱効率を得ることができる。
図2は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0034】
(B:変形)
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態に以下に述べる変形を加えても勿論良い。
(1)上記実施形態において、複数個の可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,2R−2の厚みH1方向の積層数を3つ以上にしてもよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、積層された可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,19R−2における厚みH1方向の両側に放熱板36−1及び36−2が設けられていた。しかし、厚みH1方向における最上層の可撓性基板モジュール19L−1,19R−1の側と最下層の可撓性基板モジュール19L−2,19R−2の側のいずれか一方の側にだけ放熱板を設けてもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、4個の可撓性基板モジュール19L−1,19L−2,19R−1,19R−2が2層ずつ当該電気光学装置10の横幅W1方向に分けて配置されていた。しかし、複数個の可撓性基板モジュールの横幅W1方向の配置数を3つ以上にしてもよい。
【0037】
(4)上記実施形態では、可撓性基板32L−2の面35LU−2上のICチップ40L−2の周囲の部分と可撓性基板32L−1の面35LU−1におけるICチップ40L−1の真裏の部分との間、及び可撓性基板32R−2の面35LU−2上のICチップ40R−2の周囲の部分と可撓性基板32R−1の面35LU−1におけるICチップ40−1の真裏の部分との間に接着材ADHが充填されていた。しかし、空気よりも高い熱伝導率を持った他の素材(例えば、グリス)により接着材ADHを代用してもよい。
【0038】
(5)液晶パネル部20は電気光学パネルの例示に過ぎない。本発明に適用される電気光学パネルについて、自身が発光する自発光型と外光の透過率や反射率を変化させる非発光型との区別や、電流の供給によって駆動される電流駆動型と電界(電圧)の印加によって駆動される電圧駆動型との区別は不問である。例えば、有機EL素子,無機EL素子,LED(Light Emitting Diode),電界電子放出素子(FE(Field−Emission)素子),表面伝導型電子放出素子(SE(Surface conduction Electron emitter)素子),弾道電子放出素子(BS(Ballistic electron Emitting)素子),電気泳動素子、エレクトロクロミック素子など様々な電気光学素子を利用した電気光学パネルに本発明は適用される。すなわち、電気光学素子は、電流の供給や電圧(電界)の印加といった電気的な作用に応じて階調(透過率や輝度などの光学的な特性)が変化する電気光学物質を利用した被駆動素子(典型的には、階調信号に応じて階調が制御される表示素子)として包括される。
【符号の説明】
【0039】
5…画素電極、6…走査線、7…データ線、10…電気光学装置、11,12…開口部、13…内壁面、14…隙間、16…外壁面、17…可撓性基板モジュール、20…液晶パネル部、21…TFT基板、22…対向基板、23,24…防塵基板、25…外部回路接続端子、26…データ線、32…可撓性基板、34…放熱板スペーサー、36…放熱板、40…IC、41…コンデンサー、61,62…押さえばね。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路が形成された第1基板を有する電気光学パネル部と、
前記第1基板の端部から多層状をなして引き出された複数枚の可撓性基板と、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板を積層方向に沿って見た場合において、前記多層状をなす複数枚の可撓性基板の各々の面の同じ位置に各々固定されたICチップとを有する複数の可撓性基板モジュールと
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記ICチップは、前記電気光学パネル部に駆動信号を供給する電気光学パネル駆動ICチップであり、
前記多層状をなす複数枚の可撓性基板は、重畳する可撓性基板の間であって、前記電気光学パネル駆動ICチップが配置される位置に、空気よりも高い熱伝導率を持った素材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記多層状をなす複数枚の可撓性基板は、それぞれの前記電気光学パネル駆動ICチップが重なって配置される位置を前記積層方向外側から覆う放熱材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数個の可撓性基板モジュールは、複数層ずつ当該電気光学装置の横幅方向に分けて積層されていることを特徴とする請求項1乃至3の1項に記載の電気光学装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate