説明

電気刺激電極組立体

【課題】体外に位置する部位に外力が作用しても、血管内に留置された電極に伝達されにくい電気刺激電極組立体を提供する。
【解決手段】血管内に留置される電気刺激電極組立体1は、管状の第一シース11と、第一シースに挿入された管状の第二シース12とを有する絶縁性の本体部10と、電極面が露出された電極を有し、本体部の先端側に設けられた電極部20と、弾性体からなる付勢部材31、32を有し、電極部を血管の壁面に向かって付勢する付勢部30とを備え、第一シースと第二シースとは、長手方向に相対移動可能かつ軸線回りに相対回転可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に留置される電気刺激電極組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織に電気的刺激を与えて治療を行う刺激発生装置が知られている。このような刺激発生装置の例としては、例えば、心臓ペースメーカー、埋込型除細動装置、神経刺激装置、疼痛緩和装置、てんかん治療装置、および筋肉刺激装置等を挙げることができる。
通常、これらの刺激発生装置は、生体内の刺激対象組織の付近に配置される電極リード(電気刺激電極組立体)を備えている。
【0003】
このような電極リードとして、例えば、電極が形成された少なくとも1つの腕部を有する電極支持体を備え、この腕部を、例えば頸部迷走神経などの生体組織に巻き付けて装着するようにした生体植え込み用電極リードが記載されている。
【0004】
また、神経に接触することによる神経への刺激を避けるため、刺激されるべき神経に隣接して位置する血管内に電極リードを配置し、血管壁越しに電気的刺激を与えることも提案されている。特許文献1には、このような用途に用いられる電極リードが記載されている。この電極リードは、血管内に留置される遠位領域にらせん状の構造を有し、このらせん状構造が血管壁と接触することにより血管内に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−516385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電極リードでは、体外に露出した端部と刺激発生装置とを接続する際や、患者の体動等によって体外に露出した端部に外力が加わると、当該外力が直接遠位領域まで伝達される。その結果、電極支持体が軸方向に移動されて留置位置からずれたり、変形して血流を阻害した結果、血栓形成を誘発したりする恐れがある等の問題がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、体外に位置する部位に外力が作用しても、血管内に留置された電極に伝達されにくい電気刺激電極組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、血管内に留置される電気刺激電極組立体であって、管状の第一シースと、前記第一シースに挿入された管状の第二シースとを有する絶縁性の本体部と、電極面が露出された電極を有し、前記本体部の先端側に設けられた電極部と、弾性体からなる付勢部材を有し、前記電極部を血管の壁面に向かって付勢する付勢部とを備え、前記第一シースと前記第二シースとは、長手方向に相対移動可能かつ軸線回りに相対回転可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の電気刺激電極組立体は、前記第一シースの長手方向中間部に設けられ、前記第一シースを先端側領域と基端側領域とに分離するための分離部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、本発明の電気刺激電極組立体は、前記第一シースに設けられ、刺激発生装置と接続されるコネクタと、前記電極と前記コネクタとを電気的に接続する配線とをさらに備え、前記配線は、複数のループを形成するように巻きぐせがつけられた余長部を有してもよい。
【0011】
また、本発明の電気刺激電極組立体は、前記第一シースの内腔であって、前記第一シースの内面と前記第二シースの外面との間に配置され、前記本体部内への血液の浸入を抑制するシールをさらに備えてもよい。
【0012】
さらに、本発明の電気刺激電極組立体は、前記第一シースの内腔であって、前記シールよりも基端側に設けられ、前記コネクタ内への血液の浸入を抑制する第二シールをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気刺激電極組立体によれば、体外に位置する部位に外力が作用しても、血管内に留置された電極に伝達されにくいため、留置後の電極部の位置ずれ等を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態の電気刺激電極組立体を模式的に示す図である。
【図2】同電気刺激電極組立体の使用時の一形態を示す図である。
【図3】同電気刺激電極組立体が血管内に留置された状態を示す模式図である。
【図4】同電気刺激電極組立体の抜去時の動作を示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態の電気刺激電極組立体を模式的に示す図である。
【図6】本発明の電気刺激電極組立体の変形例における電極部および付勢部を示す斜視図である。
【図7】本発明の電気刺激電極組立体の変形例における電極部および付勢部を示す斜視図である。
【図8】同電極部に対応するコネクタ構造の一例を示す図である。
【図9】本発明の電気刺激電極組立体の変形例における電極部および付勢部を示す斜視図である。
【図10】本発明の電気刺激電極組立体の変形例における電極部および付勢部を示す斜視図である。
【図11】同電極部および同付勢部を第二シースの先端側から見た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の電気刺激電極組立体(以下、単に「電極組立体」と称する。)1を模式的に示す図である。電極組立体1は、血管内に留置されて迷走神経等の所定の対象組織に対して血管壁越しに電気刺激を与えるものであり、管状に形成された本体部10と、本体部10の先端側に取り付けられた電極部20と、電極部20を血管内に留置するための付勢部30とを備えている。
【0016】
本体部10は、管状に形成された第一シース11と、第一シース11の先端側に挿入された管状の第二シース12とを備えており、留置される血管の内径に対して充分小さい外径を有する。第一シース11および第二シース12は、可撓性を有する絶縁性材料で形成されている。絶縁性材料としては、生体適合性に優れたものが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、およびフッ素樹脂等を挙げることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。各シース11、12の表面には、必要に応じて血栓防止コーティングが施されてもよい。
【0017】
第一シース11の基端側には、電気刺激を発生する刺激発生装置と接続されるコネクタ13が設けられている。コネクタ13は、接続される機器に応じて適宜公知の構成を採用することができる。
電極組立体1と接続される刺激発生装置としては、心臓ペースメーカー、除細動装置、神経刺激装置、疼痛緩和装置、てんかん治療装置、または筋肉刺激装置等で従来から用いられているものが挙げられる。刺激発生装置には、生体に植え込まれるものや、体外に装着されるものがあるが、いずれの場合も、電極駆動用電源(バッテリー)、治療用の刺激信号を発生するための電気回路、およびコネクタ13と接続される接続部を有している。
また、第一シース11の長手方向中間部には、柔軟な樹脂等で形成された易切断部(分離部)15が設けられており、使用者が手で引き裂く等により、第一シース11を先端側領域と基端側領域とに分離することができる。易切断部15は、電極組立体1の抜去時に使用するものであるが、詳細については後述する。
【0018】
第二シース12の外径は、第一シース11の内径よりも小さく形成されており、第一シース11に対して、長手方向に進退可能かつ自身の軸線回りに相対回転可能に挿入されている。第二シース12の先端側には、電極部20および付勢部30が取り付けられている。第一シース11の先端側において、第一シース11の内面と第二シース12の外面との隙間は、シール14で封止されており、水密性が保持されている。シール14は、生体適合性が高く、第一シース11と第二シース12との相対回転を阻害しない程度の滑り性を有するものが好ましく、例えばグリースやジェル等の材料や、へパリン等の抗血栓作用を持つ薬物を混合した親水性ポリマーやハイドロゲル等を用いることができる。親水性ポリマーとしては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine、MPC)、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(VEMA)等を、ハイドロゲルとしては、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、メチルビニルエーテル無水マレイン酸等を含むものをそれぞれ例示することができる。
【0019】
電極部20は、負極21と正極22との2つの電極を備えており、各電極21、22が導電性の電極面を露出させている。電極面の材料としては、生体適合性に優れた金属材料が好ましく、例えば、白金イリジウム合金等の貴金属材料を挙げることができる。各電極21、22に電気エネルギーを供給する配線23は、各電極21、22から第二シース12および第一シース11の内腔を通ってコネクタ13に接続されている。
【0020】
付勢部30は、弾性体からなる一対の付勢部材31、32を備える。各付勢部材31、32は、後述する第一の形状と第二の形状とに可逆的に変形可能な可撓性と、留置される血管壁の変形に抗して一定の形状を保持可能な程度の剛性とを有しており、例えばニッケルチタン製の超弾性ワイヤ等を用いて好適に形成することができる。必要に応じて付勢部材の表面を生体適合性樹脂で被覆したり、血栓防止のためのコーティング等を施したりしてもよい。
【0021】
付勢部材31、32は、外力が作用しない自然状態で、本体部10の軸線方向に見て所定の曲率半径を有する円弧状であり、かつ当該円弧の中点位置またはその付近に電極部20が位置し、電極面が当該円弧の外側に向く状態(以下、この状態を「第一の形状」と定義する。)を呈するように形状のくせ付けがされている。第一の形状における上記所定の曲率半径は、電極組立体1が留置される部位(留置部位)の血管径によって異なり、留置部位の半径よりも若干大きく設定される。また、本体11の軸線方向に見たときの付勢部材31、32の長さは、血管の内壁(以下、血管壁と称することがある。)のうち、付勢部材が接触した部位が優弧となるよう、留置部位の血管壁の周長の1/2以上とされるのが好ましい。
【0022】
上記のように構成された電極組立体1の留置時の動作について、迷走神経を刺激対象組織として上大静脈に留置する場合の例で説明する。
まず術者は、患者の頸部の皮膚を切開して、上大静脈に切開部を形成する。次に術者は、切開部にイントロデューサーやガイドシース等の管状部材を挿入し、管状部材の先端を迷走神経が並行する血管内壁の近傍に位置させる。
【0023】
次に術者は、付勢部30を手で折り畳みながら第二シース12を第一シース11内に押し込んでいき、図2に示すように電極部20および付勢部30を第一シース11内に収容する。この操作により、付勢部30は、第一シース11の内腔内に収まる第二の形状に変形する。
【0024】
続いて術者は、電極組立体1を管状部材に挿入し、血管内を前進させて管状部材の先端開口から上大静脈の内部に突出させる。術者は、X線透視像等により第一シース11の先端位置を確認し、先端が電極部20の留置位置の手前に来たところで、図2に示すように棒状の留置アクセサリー2をコネクタ13基端に設けられた図示しない穴から挿入する。そして、留置アクセサリー2の先端で第二シース12の基端を押し、第二シース12を第一シース11に対して前進させる。すると、電極部20および付勢部30が第一シース11の外に出て、付勢部材31、32が血管壁に沿う第一の形状に復帰して血管壁に接触する。付勢部材31、32は、接触した血管壁に押されるため、若干弾性変形したりすることもあるが、その剛性により、少なくとも血管の内壁に沿う状態を保持する。これにより、付勢部30は血管壁と接触して電極部20の各電極の電極面が血管壁に密着するように本体部10を付勢し、電極組立体1の留置中、電極面と血管壁との接触状態を良好に保持する。
【0025】
図3には、血管Vに留置完了後の電極組立体1を模式的に示している。本体部10のうち、第一シース11の基端側および易切断部15は、管状部材100の基端から体外に露出されている。電極部20、付勢部30、および本体部10の先端側(主に第二シース12)は、いずれも血管Vの内壁に沿って設置されるため、血管V内における血液の流れを阻害しにくい。したがって、電極組立体1の留置に起因する血栓の発生を抑制しつつ電極組立体1を留置することができる。
【0026】
電極組立体1の留置後、コネクタ13を刺激発生装置に接続して、刺激発生装置から予め設定された電気刺激パルスを印加する。これにより、電極部20から放出された電気刺激エネルギーが血管壁越しに迷走神経に伝達され、間接的に電気刺激されて治療が行われる。
【0027】
電極組立体1の留置中、患者が意図せず体外に露出した第一シース11に触れたり、体動等により電極組立体1と刺激発生装置との位置関係が変化したりすると、本体部10に外力が作用することがある。このような外力は、電極部20を留置位置から移動させ、位置ずれを起こす原因となりうるが、電極組立体1の本体部10は、第一シース11と第二シース12とを有し、これらシース11、12が長手方向に相対移動可能かつ軸線回りに相対回転可能となっているため、作用した外力は、第一シース11と第二シース12との相対移動により吸収され、ほとんど第二シース12に伝達しない。したがって、電極部20の位置ずれが好適に防止され、所定の留置位置に安定して留置される。
【0028】
治療が終了した等により電極組立体1を抜去する際は、術者は第一シース11の易切断部15を引き裂いて、図4に示すように、第一シース11を基端側領域11Aと先端側領域11Bとの2つに分離する。そして、第一シースの先端側領域11Bの基端から露出した第二シース12の基端部を把持して後退させ、電極部20および付勢部30を第一シース11内に収容する。その後、先端側領域11Bを把持して電極組立体1を血管Vから抜去し、血管に形成した開口を塞ぐ。
【0029】
以上説明したように、本発明の電極組立体1によれば、本体部のうち体外に露出した部位に作用する外力が体内に留置された本体部の先端側に伝達しにくいため、当該外力による電極部の位置ずれ等を好適に防いでより安全に治療を行うことができる。
【0030】
また、第一シース11と第二シースとの隙間にシール15が配置されているため、体内留置の際に当該隙間から本体部10内に血液等が浸入することが防止される。その結果、本体部内に浸入した血液が凝固することによる不具合の発生等を好適に抑制することができる。
【0031】
本実施形態では、分離部が易切断部とされた例を説明したが、分離部の構成はこれには限定されず、例えば、第一シースに着脱可能に取り付けられた軟性のチューブ体であってもよい。分離部が軟性であると、シール15の滑り性が高い等の場合に、術者が分離部を変形させて内腔側に突出させつつ第一シースおよび第二シースを保持して、留置操作中における第一シースと第二シースとの相対移動を防止することができる。
【0032】
次に、本発明の第二実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態の電極組立体41と上述の電極組立体1との異なるところは、本体部および配線の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
図5は、電極組立体41を模式的に示す図である。コネクタ13に接続される配線42の基端側は、複数のループを形成するように巻きぐせがつけられた余長部42Aとされている。また、コネクタ13の先端側には、コネクタ13内への液体の浸入を防止する第二シール43が取り付けられている。第ニシール43の材質は、配線42が通った状態でコネクタ13の先端側を水密に封止することができれば特に制限はなく、例えばゴムパッキン等を用いることができる。
【0034】
本実施形態の電極組立体41においても、第一実施形態の電極組立体1と同様に、本体部に作用する外力による電極部の位置ずれ等を好適に防ぐことができる。
また、配線42に余長部42Aが設けられているため、第一シース11と第二シース12とが離間するように相対移動された際に余長部42Aが伸びることで配線42に作用する外力を吸収する。したがって、配線42の引きつれや断線等による不具合の発生を好適に防ぐことができる。
さらに、第二シール43を備えるため、万一シール14を超えて血液等の液体が本体部10内に入ってきても、コネクタ13内に液体が浸入することはなく、当該液体による不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0035】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0036】
例えば、本発明の電極組立体において、電極部および付勢部の構成は、上述のものに限られず、それぞれ様々に変更可能である。以下に、電極部および付勢部の変形例をいくつか示す。
【0037】
図6に示す変形例では、付勢部50が3本の付勢部材51、52、53で構成されている。各付勢部材は、第二シース12の軸線方向に見てそれぞれ軸線回りに120度ずつずれながら放射状に突出している。血管内では、各付勢部材51、52、53が放射状に突出することにより、負極21および正極22を血管壁に押し付けるように付勢する。
【0038】
図7に示す変形例では、正極および負極がそれぞれ複数設けられた多極構成の電極部となっている。付勢部60は、第二シース12の軸線方向に見て環状を呈する2本の付勢部材61、62が、第二シース12の軸線方向に間隔を空けて第二シース12に取り付けられることにより形成されている。基端側の付勢部材61には、5つの正極22A〜22Eが取り付けられており、先端側の付勢部材62には、各正極22A〜22Eに対応する周方向の位置に、5つの負極21A〜21Eが取り付けられている。
【0039】
電極部を多極構成とする場合、電極部への配線の接続態様は適宜設定されてよく、一本の配線すべての正極あるいは負極に接続してもよいし、5つの正極をそれぞれ独立に配線してもよい。後者の態様をとる場合、任意の正極と負極に通電することにより、電気刺激の与え方をきめ細かく調節することができる。
図8に、多極構成かつ個々の電極に独立に配線する場合のコネクタの内部構造の一例を示す。コネクタ90には、負極21A〜21E(図8には不図示)のそれぞれに対応した端子91A〜91Eが長手方向に整列配置される領域と、正極22A〜22E(図8には不図示)のそれぞれに対応した端子92A〜92Eが長手方向に整列配置される領域とが形成されている。
ここで、各端子の一部あるいは全部にマーカーを設け、端子ごとの視認性を向上させたり、電極との対応関係をわかりやすくしたりしてもよい。マーカーの具体的態様には特に制限はなく、色彩や形状、模様、あるいはそれらの組み合わせなど、自由に設定されてよい。
【0040】
図9に示す変形例は、図7の変形例と同様の多極構成としながら、2箇所のループ部71A、71Bを有する一本の付勢部材71で付勢部70を構成した例である。この場合、付勢部70が第一シース内に収容される際に略直線状に延びるため、第一シースへの出し入れ時の抵抗が小さくなり、扱いやすい電極組立体とすることができる。
【0041】
図10および図11に示す変形例の付勢部80は、第二シース12の軸線方向に見て環状を呈する2箇所のループ部81を、それぞれ第二シース12の側面視において屈曲させた3本の付勢部材81Aで形成し、ループ部81どうしを直線状の付勢部材82で連結して構成している。この形状は、公知の自己拡張型ステントに近い構成であり、拡張した第一の形状では、血管壁に密着して電極部の各電極21、22を確実に血管壁に向かって付勢すると同時に、径方向に容易に折り畳まれて第二の形状に変形し、第一シースへの出し入れ操作を容易に行うことができる。
【0042】
また、上述の各実施形態では、留置時において、第一シースの先端が血管内に位置する例を説明したが、これに代えて、第一シースの先端が留置時において体外に位置するように第一シースおよび第二シースの寸法等が設定されてもよい。この場合は、第一シースの内腔内に血液等が入る可能性がかなり低くなるため、シール14を備えない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、41 電気刺激電極組立体
10 本体部
11 第一シース
12 第二シース
13 コネクタ
14 シール
15 易切断部(分離部)
20 電極部
30、50、60、70、80 付勢部
31、32、51、52、53、61、62、71、81A,82 付勢部材
42 配線
42A 余長部
43 第二シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に留置される電気刺激電極組立体であって、
管状の第一シースと、前記第一シースに挿入された管状の第二シースとを有する絶縁性の本体部と、
電極面が露出された電極を有し、前記本体部の先端側に設けられた電極部と、
弾性体からなる付勢部材を有し、前記電極部を血管の壁面に向かって付勢する付勢部と、
を備え、
前記第一シースと前記第二シースとは、長手方向に相対移動可能かつ軸線回りに相対回転可能であることを特徴とする電気刺激電極組立体。
【請求項2】
前記第一シースの長手方向中間部に設けられ、前記第一シースを先端側領域と基端側領域とに分離するための分離部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激電極組立体。
【請求項3】
前記第一シースに設けられ、刺激発生装置と接続されるコネクタと、
前記電極と前記コネクタとを電気的に接続する配線と、
をさらに備え、
前記配線は、複数のループを形成するように巻きぐせがつけられた余長部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気刺激電極組立体。
【請求項4】
前記第一シースの内腔であって、前記第一シースの内面と前記第二シースの外面との間に配置され、前記本体部内への血液の浸入を抑制するシールをさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気刺激電極組立体。
【請求項5】
前記第一シースの内腔であって、前記シールよりも基端側に設けられ、前記コネクタ内への血液の浸入を抑制する第二シールをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気刺激電極組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−228359(P2012−228359A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98175(P2011−98175)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】