電気化学的に分解可能なポリマー

【課題】 変性キノン部分を、ポリマーの架橋のために、またはポリマーのモノマー単位として、組み込むポリマー材料を提供する。
【解決手段】 架橋性キノン部分を含む、電気分解性ポリマーにおいて、電位の変化に曝されると、分解可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解性ポリマー(degradable polymer)に関し、特に、制御された方法で分解され得るポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬的用途での合成ポリマーの使用の促進を少なくとも部分的にもたらし得る新規の分解性ポリマーの合成に対する関心が高まっている。現在では、分解性ポリマーは、生物活性物質の送達用マトリックスにおいて、再生医療(tissue engineering)の足場(scaffolding)として、縫合材料では、骨折固定のために、歯科用途では、シーラントとして、ならびに、他の用途で使用されている。理論的に言えば、これらの合成ポリマーは、分解可能である必要があり、分解生成物は、人体に適合性がある必要がある。
【0003】
薬剤送達システムは、分解性ポリマーの使用により利益を得る場合があり、特に、これらの薬剤送達システムが適当な生物環境に置かれるまで1種類または複数種類の薬剤の放出が不可能であるように設計される場合に、利益を得る。ポリマーに応じて、環境の変化がpH、温度、または、イオン強度に影響を与えることが可能であり、このシステムは、このような環境要因の変化の際に収縮するか、膨張するか、または、分解することが可能である。生分解性ポリマーは、例えば、自然の生体内作用の結果として、体内で分解し、これにより、活性剤の放出が完了した後に薬剤送達システムを取り除く必要性をなくす。
【0004】
ほとんどの生分解性ポリマーは、ポリマー鎖(polymer chains)を生物学的に受容可能であり、かつ、漸次小さくなる化合物に加水分解する結果として分解するように設計される。ポリラクチド、ポリグリコリド、または、これらのコポリマーを用いるシステム等では、ポリマーは、乳酸およびグリコール酸に最終的に分解され、クレブス回路に入り、さらに、二酸化炭素および水に分解され、通常の処理によって排出される場合があるだろう。分解性ポリマーのシステムによっては、放出速度は、用途に応じて調整され得る。例えば、ポリ無水物またはポリオルトエステルを使用するシステムでは、分解は、ポリマーの表面で主として生じ、これにより、薬剤送達システムの表面積に比例する放出速度を結果として得る。
【0005】
しかしながら、これらの生分解性ポリマーは、ポリマーの制御された分解を不可能にする。例えば、ポリエステルポリマーの生分解性は、水の存在下で加水分解または分解するための、ポリマー骨格のエステル結合の能力に応じて異なる。ポリマーが水系の環境内に置かれた場合、これらのポリマーにより、しばしば、分解速度に対して予想通りの制御を不可能にする。さらに、このようなポリマーシステムでは、典型的には、投与または植え込み後に、ポリマーが放出速度を変更するのが不可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当分野では、例えば、局所環境または外的刺激の変化に対して、制御された方法で分解可能なポリマーを合成するための新規の組成物および方法を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、変性されたキノン部分を、ポリマーを架橋するためか、または、ポリマーのモノマー単位として、導入するポリマー物質を開示している。これらのポリマー物質は、ペンダント化学基の迅速な放出およびポリマーの分解をもたらすキノンの電気化学的還元によって効果的に分解され得る。キノン含有組成物、および、電気化学的分解性ポリマーを製造する方法が開示されている。本発明の方法および組成物は、薬剤送達、組織再生、生物医学的インプラント、および、電子装置を含むものの、これらに限定されない広範な用途で使用可能である。
【0008】
本発明は、ポリマーを架橋するためか、または、ポリマーの調製におけるモノマーとしての、変性キノンポリマー部分の導入に部分的に基づいている。本願明細書で用いられる用語、「部分("moiety")」、「キノン部分("quinone moiety")」、および、「ポリマー部分("polymer moiety")」は、ポリマー架橋剤およびポリマーにおけるモノマー成分の両方を包含することを意図する。ポリマー内のキノンの電気化学的還元により、ペンダント化学基の迅速な加水分解をもたらし、これにより、ポリマーの分解およびポリマーの特性の変化を結果としてもたらす。
【0009】
本発明により、ポリマーに導入され得る変性キノン部分を使用し、これにより得られるポリマー物質は、電気化学的還元を介して制御可能に分解され得る。電気化学的に分解可能なポリマーは、以下に示される中心構造(core structure)を有していてもよい。
【0010】
【化1】

式中、R1、R2、R3、R4、R5、および、R6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および、尿素を含むものの、これらに限定されない有機官能基であってもよい。
ポリマーの架橋における反応性基として、または、重合における反応性基として使用される化学的部分は、構造(1)のXおよび/またはYにおいてキノン構造に付加されていてもよい。例えば、ペンダント基XおよびYは、キノンの還元時に分解される任意の官能基であってもよく、例えば、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、および、チオールを含む基であってもよいが、これらに限定されるものではない。ペンダント基XおよびYは、以下のいずれかの元素、すなわち、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、窒素(N)、リン(P)、および/または、ヒ素(As)の置換によって誘導され得る。2個の基XおよびYは、同一であっても、または、異なっていてもよい。結果として得られるキノンは、電気化学的に分解可能なポリマーの合成において、架橋剤として、および/または、モノマーとして使用することが可能である。本発明のポリマー物質は、電気化学的還元によって制御可能に分解され得る。分解は、ポリマーを、電位、化学還元剤、または、化学分解を誘発可能な他の試薬に供することによって行われ得る。一実施形態では、電気化学的還元は、Ag/AgCl基準電極に対して約0.05〜約1.0Vか、または、Ag/AgCl基準電極に対して約0.5〜約1.0Vの電位の変化を受けることによって誘発される。Ag/AgCl(銀/塩化銀)基準電極は、安定であり、かつ、容易に製造されるので、しばしば、最適な基準電極として使用される。しかしながら、電位を計測するための任意の技術を用いてもよい。
【0011】
さらに、本発明の電気分解性ポリマーの分解は、R1、R2、R3、R4、R5、および、R6においてキノン架橋剤を変更することによって調節され得る。R1、R2、R3、R4、R5、および、R6、特にR3およびR4を変更することにより、キノンの還元電位に影響を及ぼし、これにより、ポリマーの分解における速度、程度、および/または、条件を制御する重要な手段を提供する。例えば、R3および/またはR4位のメトキシル、または、ジメチルアミノ等の電子供与基によって、キノンを容易に還元しにくくなるので、ポリマーの分解を妨害(retard)することが可能となる。対照的に、R3および/またはR4位のハロゲン、または、シアノ等の電子吸引基によって、キノンを容易に還元しやすくなるので、ポリマーの分解を促進することが可能となる。
【0012】
一実施形態では、本発明は、式(1)のキノン化合物を含む電気分解性ポリマー部分を提供するものであり、ここで、(このポリマー部分は、電位の変化に曝されると分解可能である。キノン化合物は、スチレン、アクリレート、メタクリレート、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−ビニルピリジン、エチレンオキシド、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリレートビニリデンシアニド、プロピレン、ブテン、イソブチレン、亜リン酸(phosphorus acid)、亜ホスホン酸(phosphonous acid)、亜ホスフィン酸(phosphinous acid)、リン酸(phosphoric acid)、ホスホン酸(phosphonic acid)、ホスフィン酸、メチレンビス(ホスホン酸)(methylene bis (phosphonic acid))、ポリ(ビニルホスホン酸)(poly(vinylphosponic acid))、アジリジン、スペルミン、カダベリン、および、プトレシンからなる群から選択される、1種以上のモノマーを架橋するために使用され得る。
【0013】
さらに本発明は、モノマーから誘導され、かつ、前述の中心構造を有するキノン架橋剤を用いて架橋される電気的に制御されたポリマーを植え込む工程と、医薬品の放出をもたらすポリマーの化学分解を電気的に誘発させる工程と、を含む、被験者体内での医薬品の制御された放出を行う方法を提供する。
【0014】
他の実施形態(他の態様)では、本発明は、少なくとも1つのキノン部分を含む電気分解性ポリマーと、電気分解性ポリマーに結合される1種以上の医薬品と、電気分解性ポリマーに電気的に結合される電流生成装置(current producing device)と、を含む薬剤送達システムを提供する。このシステムでは、ポリマーは、電気化学的還元を受けると、架橋剤の加水分解および1種以上の医薬品の制御された放出を結果としてもたらすことが可能となる。
【0015】
電流生成装置は、定電流または変電流(constant current or variable current)、例えば、被験者内における少なくとも1種の内部パラメータの変化に応答して、または、少なくとも1種の外部パラメータに応答して変化する電流を供給することが可能である。他の実施形態において、電気化学的に分解可能なポリマーは、種々の組織を再生するための仮設足場(temporary scaffold)として組織再生において使用することが可能である。さらに、電気化学的に分解可能なポリマーは、血管グラフト、縫合糸、カテーテル、靭帯、骨固定装置(骨プレート、スクリュー、および、ステープル)、および、歯科インプラントを含む一時的なインプラントとして使用することが可能である。さらに、本発明の電気分解性ポリマーシステムにより、電位の変化に対して、第1の状態から第2の状態への転換可能である。したがって、これらの組成物(システム)は、微小電気機械(MEM)装置、通信装置、および、リソグラフィに利用することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
例えば、局所環境または外的刺激の変化に対して、制御された方法で分解可能なポリマーを合成するための新規の組成物および方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、モノマーとしてスチレンを使用する本発明の電気化学的に分解可能なポリマーの概略図である。
【図2】図2は、架橋ポリマーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)を使用する本発明の電気化学的に分解可能なポリマーの概略図である。
【図3】図3は、1,2−ジアミノヘキサンおよびキノンモノマーを使用する本発明の電気化学的に分解可能なコポリマーの概略図である。
【図4】図4は、キノン酸5の三次元構造である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施では、特に示さない限り、当分野で一般的な有機化学およびポリマー化学の方法を使用する。このような技術は、文献で十分に説明されている。
【0019】
本願明細書で使用される技術用語は、特定の実施形態を説明するためのものであって、限定を目的としていない。特に規定しない限り、全ての科学的および技術的な用語は、当分野で一般的に用いられる用語と同一の意味を有するものとして理解されるべきである。本発明の場合、以下の用語が、以下に規定される。
【0020】
本願明細書で用いられる用語「アルキル("alkyl")」は、鎖に約1個〜約20個の炭素原子を有し、直鎖であっても、または、分岐した鎖であってもよい(straight or branched-chain)脂肪族炭化水素基を称する。鎖に1個〜約12個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。分岐(branched)とは、1個以上の低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、または、プロピルが直鎖のアルキル鎖(linear alkyl chain)に結合されていることを意味する。「低級アルキル(lower alkyl)」は、1個〜約4個の炭素原子を、直鎖でもまたは分岐であってもよい鎖に含むことを意味する。アルキルは、同一であっても、または、異なっていてもよい1個以上の「アルキル基の置換基(alkyl group substituents)」で置換されてもよく、ハロ(halo)、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルバモイル、アシルアミノ、アロイルアミノ(aroylamino)、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル(aralkyloxycarbonyl)、または、ヘテロアラルキルオキシカルボニル(heteroaralkyloxycarbonyl)を含んでいてもよい。代表的なアルキル基は、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピルメチル(cyclopropylmethyl)、シクロペンチルメチル(cyclopentylmethyl)、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、1−ブチル、n−ペンチル、3−ペンチル、メトキシエチル、カルボキシメチル、メトキシカルボニルエチル(methoxycarbonylethyl)、ベンジルオキシカルボニルメチル(benzyloxycarbonylmethyl)、および、ピリジルメチルオキシカルボニルメチル(pyridylmethyloxycarbonylmethyl)である。
【0021】
本願明細書で用いられる用語「アルキレン("alkylene")」は、1個〜約6個の炭素原子からなる直鎖または分岐の2価の炭化水素鎖を称する。アルキレンは、同一であってもまたは異なっていてもよい1個以上の「アルキレン基の置換基(alkylene group substituents)」で置換されてもよく、ハロ、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、カルボキシ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、または、オキソを含んでいてもよい。好ましいアルキレン基は、1個〜約4個の炭素原子を有する低級アルキレン基である。代表的なアルキレン基は、メチレン、エチレン等を含む。
【0022】
本願明細書で用いられる用語「アミノ("amino")」は、式Z12Nで表される基を称しており、(式中、Z1およびZ2が、独立して、水素、アシル、もしくは、アルキルを表すか、あるいは、Z1およびZ2が、Z1およびZ2に結合するNと合体して、4〜7員のアザヘテロシクリル(azaheterocyclyl)を形成する。代表的なアミノ基は、アミノ(H2N−)、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等を含む。
【0023】
本願明細書で用いられる用語「アリール("aryl")」は、3個〜約14個、好ましくは、6個〜約10個の炭素原子からなる単環式または多環式の芳香族環系(aromatic monocyclic or multicyclic ring system)を称する。アリールは、同一であってもまたは異なっていてもよく、本願明細書で定義されている、1個以上の「環系の置換基(ring system substituents)」で置換されていてもよい。代表的なアリール基は、フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、インドリル、キノリニル、または、イソキノリニルである。
【0024】
I.ポリマーの構造
結果として得られるポリマーの物理特性は、キノン架橋剤を用いて架橋される置換モノマーの種類を変更することによって制御され得る。物理特性は、ポリマーのコンシステンシー、および、ポリマーが耐え得る処理工程の種類を決定することに重要であり、これにより、特定のポリマーが最も適合するであろう用途を決定する。
【0025】
本発明の一実施形態では、変性キノン部分(modified quinone moieties)は、結果として得られるポリマー材料が電気化学的還元を介して制御可能に分解され得るようにポリマーに導入され得る。電気化学的に分解可能なポリマーは、以下に示される中心構造を有していてもよい。
【0026】
【化2】

式中、R1、R2、R3、R4、R5、および、R6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および、尿素を含むものの、これらに限定されない有機官能基であってもよい。ポリマーの架橋での反応性基として、または、重合での反応性基として使用される化学的部分は、構造(1)のXおよび/またはYにおいてキノン構造に付加されていてもよい。例えば、ペンダント基XおよびYは、キノンの還元時に分解される任意の官能基であってもよく、例えば、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、および、チオールを含む基であってもよいが、これらに限定されるものではない。ペンダント基XおよびYは、以下のいずれかの元素、すなわち、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、窒素(N)、リン(P)、および/または、ヒ素(As)の置換によって誘導され得る。2個の基XおよびYは、同一であっても、または、異なっていてもよい。結果として得られるキノンは、電気化学的に分解可能なポリマーの合成において、架橋剤として、および/または、モノマーとして使用することが可能である。
【0027】
本発明の変性キノンで架橋される電気分解性ポリマーは、スチレン、アクリレート、メタクリレート、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−ビニルピリジン、エチレンオキシド、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリレートビニリデンシアニド(alpha-cyanoacrylate vinylidene cyanide)、プロピレン、ブテン、イソブチレン、亜リン酸、亜ホスホン酸、亜ホスフィン酸、リン酸(phosphoric acid)、ホスホン酸、ホスフィン酸、メチレンビス(ホスホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、アジリジン、スペルミン、カダベリン、および、プトレシンからなる群から選択されるモノマーの任意の組み合わせの重合、縮合、または、他の反応により、作製することが可能である。
【0028】
一実施形態では、本発明の方法による変性キノンで架橋される電気分解性ポリマーは、セルロール、スクロース、キトサン、アルギネート、ヒアルロン酸、グアーガム(guar gum)、および、ゼラチンの誘導体を含むものの、これらに限定されない変性炭水化物からなるポリマーを含んでいてもよい。
【0029】
さらに別の実施形態において、本発明の方法による変性キノンで架橋される電気分解性ポリマーは、リシン、アルギニン、フェノール、チロシンおよびシステインまたはこれらの変性種を含むものの、これらに限定されないアミノ酸の重合、縮合、または、変性により形成されるポリマーを含んでいてもよい。
【0030】
結果として得られる本発明のポリマーは、エステル、エーテル、アミン、アミド、ウレタン、ケトン、無水物、カーボネート、ホスホジエステル、シリコーン、ジスルフィド、尿素、および、フェノールからなる群から選択される1種以上の結合を含む。
【0031】
結合は、結果として得られるポリマーの所望の使用に基づいて決定される。例えば、エステル結合の存在により、必要な官能性を提供して、分解性、特に生分解性を可能にする。なぜなら、エステル結合は、弱塩基性条件下(under mildly basic condition)、例えば体内(in vivo)で見出される条件下で加水分解を受けるからである。他の結合、例えばアミド結合は、分解するために厳しい条件を必要とする。アミド結合では、より厳しい条件を必要とし、強酸性または強塩基性条件下であっても容易に加水分解されない。したがって、体内で、アミド結合の開裂に利用可能な唯一の経路は酵素によるものであり、開裂は、しばしば、アミノ酸配列に対して特異的である。ポリアミド、例えばナイロンの高結晶性により、さらに、水分子および酵素がアミド結合に接近するのを防止するか、または、ブロックすることによる退化(degradation)を示す。
【0032】
II.キノン構造の例示
本発明の一実施形態では、スチレンがモノマーとして使用され得る。変性キノン架橋剤の具体例としては、図1に示される1a(R1=R2=R3=R4=R5=R6=CH3、X=Y=p−ビニルアニリン)で表される。この例示では、キノン1aは、ポリスチレンベースのポリマー(polystyrene-based polymer)の合成において、一般的な架橋剤のジビニルベンゼン(divinylbenzene)の代わりに架橋剤として使用される。生成物、すなわち、ポリスチレンポリマー2aは、ストランド(strands)間の架橋にキノン部分を含む。電気的に、化学的に、または、その他の方法によって行われ得る還元時に、ヒドロキノン−架橋ポリマー3aが形成される。ポリマー3aは、架橋のアミド結合を自発的に開裂することが可能であり、これにより架橋を伴わずに分解されたポリスチレンがもたらされ、ポリマーの材料特性を実質的に変更する。
【0033】
本発明の他の実施形態では、カルボキシメチルセルロース(CMC)は、本発明の変性キノンで架橋され得る。具体的な変性キノン構造、すなわち1b(R1=R2=R3=R4=R5=R6=CH3、X=Y=p−オキシリジノアニリン)の例示は、図2に示されている。この例示では、変性キノン1bは、カルボキシメチルセルロース(CMC)の架橋剤として、一般的な架橋剤のエピクロロヒドリン(epichlorohydrin)の代わりに使用される。生成物は、ストランド間の架橋にキノン部分を含むCMCヒドロゲル2bである。電気的に、化学的に、または、その他の方法のいずれかによって行われ得る還元時に、ヒドロキノン−架橋ヒドロゲル(hydroquinone-crosslinked hydrogel)3bが形成される。ポリマー3bは、架橋のアミド結合を自発的に開裂することが可能であり、これにより、架橋を伴わずにCMC誘導体がもたらされ、ヒドロゲルの材料特性を実質的に変更する。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態では、モノマーとしてキノンおよび1,6−ジアミノヘキサン(1,6-diaminohexane)を用いて、コポリマーが形成され得る。この実施形態に有用なキノンの例示は、図3に示される1c(R1=R2=R3=R4=R5=R6=CH3、X=Y=Cl)で表されるキノン構造として表される。この例示において、キノン1cは、1,6−ジアミノヘキサンとの縮合ポリマーにおけるモノマーの1つとして使用される。生成物、すなわち、縮合キノン酸−ジアミンコポリマー(condensation quinone acid-diamine copolymer)2cは、ジアミノヘキサンとの交互単位(alternating unit)にキノン部分を含む。還元時に、ヒドロキノン含有ポリマー3cが形成され得る。ポリマー3cは、ポリマーを共に保持するアミド結合を自発的に開裂することが可能であり、これにより、完全に分解されたポリマーがもたらされる。
【0035】
ポリマーの架橋での反応性基として、または、重合での反応性基として使用される任意の化学的部分は、Xおよび/またはYにおいてキノン中心構造(1)に付加されていてもよい。結果として得られるキノンは、ポリマーの電気化学的に分解可能な合成で使用され得る。変性キノン架橋剤、および、モノマーは、結果として得られるポリマーの所望の使用に基づいて選択される。
【0036】
ある実施形態では、本発明の電気化学的に分解可能なポリマーは、生分解性または非生分解性ポリマー材料を含む他の生体適合性ポリマー材料に利用されるか、または、これらのポリマー材料とブレンドされてもよい。電気化学的に分解可能なポリマーと他のポリマー材料とを組み合わせることにより、分解速度をさらに制御することが可能になる。
【0037】
III.電気分解性ポリマーの使用
本発明の方法および構成は、薬剤送達、組織の再生、生物医薬的インプラント、電子装置、マイクロチップの設計、および/または、化学/生物戦争に使用され得る。
【0038】
電気化学的に分解可能なポリマーの寸法および形状は、所望の使用に基づいて決定され得る。例えば、ポリマーは、ペレット、フィルム、微小球、重合性ゲル、ヒドロゲル、ウェハー、コーティング(coating)に処方され得る。ある実施形態では、本発明の電気化学的に分解可能なポリマーは、例えば、経口送達システム(経口送達系)、および、皮下注射される送達システムで使用することが可能な微粒子に処方され得る。例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)の微粒子を実際に均一な方法で調製して、主として非多孔性の微小球を形成することが可能である。電気化学的な刺激時に、ポリマーは、分解するように誘導されて、ポリマーフラグメントを結果としてもたらすことが可能である。ある実施形態では、ポリマーフラグメントは、身体に吸収され得る。
【0039】
薬剤送達
持続的なまたは制御された薬剤放出のための方法では、植え込まれるか、経口投与されるか、または、注入され得る電気分解性ポリマーのマトリックスに分散される薬剤を利用することが可能である。このような用途で使用される具体的なポリマーは、本発明の変性キノンで架橋されるポリ(乳酸)、および、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)を含む。これらのポリマーは、体内で徐々に加水分解し、これにより封入された薬剤を放出する。ポリマー分解生成物は、体内で吸収される親酸(parent acid)である。
【0040】
注入によって投与されるポリマー/薬剤のマトリックス粒子は、一般的に約200μm未満の寸法範囲を有している必要がある。ポリマー/薬剤のマトリックス粒子の寸法および形態は、用いられる製造方法に応じて異なり、薬剤がタンパク質である小さなポリマー/薬剤のマトリックス粒子の形成は、現時点では、数種類の技術に限定される。例えば、ポリ(乳酸)、および、トリプシンまたはインスリンのいずれかを含むポリマー/タンパク質マトリックス粒子は、油/水エマルジョン法およびニート混合法(neat mixing)の両方によって高温条件下で調製され得る(タバタ他著(Tabata et al.,)ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(J. Cont. Release)第23巻: 55-64頁 (1993))。これにより形成されるポリマー/タンパク質マトリックスは、次に、顆粒に粉砕され得る。
【0041】
他の実施形態では、電気化学的に分解可能なポリマーは、電気分解性ポリマー、および、電流生成装置(current producing device)または電荷生成装置(electric charge generating device)を含む薬剤送達システムで使用され得る。電気分解性ポリマーは、例えば、1種以上の医薬品を収容するために使用され得る。あるいは、電気化学的に分解可能なポリマーは、植え込み可能な装置(implantable device)における薬剤貯蔵器に対する被覆(covering)として使用され得る。電流生成装置は、分解性ポリマーと電気的に結合可能であり、これによりポリマーは、キノン架橋剤の加水分解および1種以上の医薬品の制御された放出を結果としてもたらす電気化学的還元を受けることが可能である。
【0042】
電流生成装置は、定電流または変電流、例えば、被験者内における少なくとも1種の内部パラメータの変化に対してか、または、少なくとも1種の外部パラメータに対して変化する電流を供給することが可能である。
【0043】
内部パラメータの非限定例としては、以下のものが挙げられる:すなわち、診断用マーカー(例えば、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトプロテイン(AFP)、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β−HCG)、糖鎖抗原125(CA−125)、糖鎖抗原15−3(CA15−3)、糖鎖抗原19−9(CA19−9)、ベータ2(β2)−ミクログロブリン、乳酸脱水素酵素を含む癌マーカー)、コレステロール、血圧、温度、エネルギー消費、活動レベル、心拍数、血液の酸性度、血中アルコール、アンモニア、アスコルビン酸、重炭酸塩(bicarbonate)、ビリルビン、血液量、カルシウム、二酸化炭素圧、一酸化炭素、CD4細胞計数(CD4 cell count)、セルロプラスミン、塩化物、全血球計算(CBC)、銅、クレアチン、キナーゼ(CKまたはCPK)、クレアチンキナーゼイソ酵素、クレアチニン、サイトカイン(cytokine)、電解質(カルシウム、塩化物、マグネシウム、カリウム、ナトリウム)、赤血球沈降速度(ESR、または、沈降速度(Sed-Rate))、グルコース、ヘマトクリット値、ヘモグロビン、鉄、鉄結合能、ラクターテ(乳酸)、乳酸脱水素酵素、鉛、リパーゼ、亜鉛、コレステロール、トリグリセリド、肝機能検査(すなわち、ビリルビン(合計))、ホスファターゼ(アルカリ性)、タンパク質(合計およびアルブミン)、アミノ基転移酵素(アラニンおよびアスパルテート)、プロトロンビン(PTT))、マグネシウム平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、容積モル浸透圧濃度(osmolality)、酸素圧、酸素飽和度(動脈)、ホスファターゼ、リン、血小板数、カリウム、前立腺特異抗原(PSA)、全血漿タンパク、アルブミン、グロブリン、プロトロンビン(PTT)、ピルビン酸、赤血球数(RBC)、ナトリウム、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、アミノ基転移酵素、アラニン(ALT)、アスパルテート(AST)、尿素窒素(BUN)、BUN/クレアチニン比、尿酸、ビタミンA、白血球数(WBC)。1種以上の内部パラメータの変化は、連続的にモニターされ得る。1種以上の内部パラメータの変化が予め設定された範囲に到達すると、自動ターンオンプロトコルがトリガーされ得る。電流生成装置は、例えば、被験者および/または医師によって外部から制御可能である。例えば、薬剤送達システムは、被験者が痛みを感じた際に電流生成装置を作動させた場合、NSAIDS(非ステロイド系抗炎症薬)または他の鎮痛剤が制御可能に放出され得る鎮痛剤のオンデマンド送達として使用され得る。
【0044】
電流生成装置によってモニターされ得る外部パラメータの非限定例としては、以下のものが挙げられる、すなわち、生化学用試薬/生物剤(すなわち、例えば炭疽菌、ペスト菌(Yersia pestis)、野兎病菌、ブルセラ病、ツラレミア、および、ベネズエラウマ脳炎(「VEE」)などのエアロゾル化または凍結乾燥化剤、バシラス・グロビギ(Bacillus globigii)、ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、リシン、SEB(Staphococcal Exterotoxin B))、化学剤、例えば、シアニドガス、および、マスタードガスのような化学剤、ならびに、例えばGA、GB、GD、GFおよびVXとして知られる、有機リン化合物を含む化学剤、以下の病気、例えば、天然痘、水疱瘡、風疹、疱疹、肝炎、AIDS(エイズ)、狂犬病、ポリオ、および、インフルエンザ等の疾患の原因となるウィルス、である(例えば、生物剤をモニターするためのシステムについての、米国特許第6,777,228号および同第6,472,155号を参照のこと。これらの特許文献は、参照することによって本願の内容に組み込まれる。)。例えば、薬剤送達システムは、外部パラメータが予め決定された閾値を超えた場合、解毒剤(すなわち、腺ペスト用ペニシリン)が制御可能に放出され得る生物化学/生物戦争用の解毒剤のオンデマンド送達として使用され得る。
【0045】
電気分解性ポリマーは、処理されるべき領域に極めて近い体の内側または外側のいずれかで使用され得る。システムは、経皮的な使用、皮下的な使用、および、静脈内での使用に対する用途を有している。例えば、このシステムは、医療用または獣医用の医薬品の経皮送達に用いられる経皮薬剤送達システムとして使用され得る。
【0046】
ある実施形態では、電気分解性ポリマーは、症状、例えば、痛み、不整脈、癌、糖尿病、脈管形成、再狭窄、水腫、感染症、伝染病、腐敗症(sepsis)、術後癒着、細胞シグナリング、免疫反応、組織/移植拒絶反応、神経変性病、および、ホルモン不均衡の治療またはモニタリングでの使用を有する薬剤送達システムにおいて使用され得る。
【0047】
再生医療
他の実施形態では、電気化学的に分解可能なポリマーは、軟骨、上皮、心臓、骨格、血管を含むものの、これらに限定されない種々の組織の再生用の仮設足場として使用することが可能であり、また、一時的な神経誘導(temporary nerve guide)としても使用することが可能である。電気分解性ポリマーは、内皮細胞、実質細胞、例えば、肝細胞、幹細胞、島細胞、および、他の臓器細胞、筋細胞、骨および軟骨を形成する細胞、例えば、造骨細胞および軟骨細胞、および、哺乳類の組織または下等動物から得られる神経細胞、ならびに、遺伝子組み換え細胞を含むものの、これらに限定されない細胞型の組み合わせをシード(seed)するために使用され得る。ポリマーの組み合わせは、体内または体外での使用前に細胞の成長および付着の前に形成され得る。電気化学的に分解可能なポリマーは、他の材料の表面におけるコーティングとして塗布されるか、または、材料それ自体を形成するために用いられる他のポリマー材料とブレンドされ得る。
【0048】
電気分解性ポリマーを含む多孔性ポリマー足場(porous polymer scaffolds)は、再生医療および組織誘導再生(tissue guided regeneration)、ならびに、再建外科を含む修復用途に用いられる物品へと成形される。足場用途には、組織、例えば、神経、筋骨格、軟骨、腱、肝臓、膵臓、眼、外皮、動静脈、泌尿器、または、中実もしくは中空の器官を形成する他の組織の再生を含む。足場は、血管グラフト、靭帯再建、癒着防止、および、器官再生の材料として使用され得る。一実施形態では、ポリマー足場により、体外培養およびその後の人体における体内植え込み中に分離細胞に対して、物理的な支持、および、接着性基質を提供する。電気分解性ポリマー足場の他の使用法は、事前に体内足場に細胞を培養することなく足場を身体に直接植え込むことである。植え込まれると、周囲の生体細胞から得られる細胞は、足場に付着し、その足場に移動し、これにより足場の内側に機能性組織を形成する。足場が植え込み前または植え込み後に細胞で占められるかどうかに関わらず、足場は、細胞および組織の物理的支持の必要性が時間に対して小さくなると、足場が電気的刺激に対して分解可能となるように設計される。電気分解性足場の制御可能な分解は、ポリマー足場の変性キノン架橋剤の還元を介して触媒作用を及ぼされ得る。例えば、医師は、培養組織が再生されたと決定すると、電圧が、足場の分解を生じるように、体の内側または外側のいずれかに供給され得る。
【0049】
再生医療に使用可能な材料(植え込み可能なマトリクス)には、縫合糸、チューブ、シート、癒着防止装置(典型的には、フィルム、その場で重合され、液体として塗布されるポリマーコーティング、または、他の物的障壁)、および、創傷治療用品(治癒されるべき創傷によってフィルムおよびコーティングから支持構造に変化する)を含む。正常および遺伝子組み換え神経細胞の両方は、必要により、インプラントにシード可能であり、これにより失われた機能の交換を促進する。
【0050】
ランガー他著(Langer et al.,)、ジャーナル・オブ・ペディアトリック・サージェリー(J. Ped. Surg.)第23巻1号(23(1)), 3−9頁 (1988)、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)による国際公開第88/03785号パンフレットおよび欧州特許出願公開第88900726.6号に記載されているように、新しい組織を形成するための植え込み用マトリックスは、柔軟で、非毒性の、血管内殖用多孔性テンプレート(porous template for vascular ingrowth)である必要がある。細孔によって、細胞および患者に損傷を与えることなく血管内殖および細胞のシーディング(seeding)を可能にする。細孔は、一般に、約100μm〜300μmの範囲の相互に連結する細孔(interconnected pores)である。マトリックスは、表面積を最大にするように成形され、これにより、細胞に対する栄養素および成長因子を適当に拡散することが可能となる。好ましい実施形態では、マトリックスは、変性キノンで架橋され、電気分解性で生体吸収性の、または、生分解性の合成ポリマー、例えば、ポリ無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル、または、ポリヒドロキシ酸(polyhydroxy acid)、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および、これらのコポリマーまたはブレンドから形成される。非分解性材料についても、マトリックスを形成するために使用され得る。適当な材料の例は、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコールの誘導体、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリメタクリレート、および、シリコンポリマー(silicon polymers)を含む。好ましい非分解性材料は、エチレン酢酸ビニルのメッシュ、および、ポリビニルアルコールのスポンジである。市販の材料を使用してもよい。マトリックスで使用する場合のポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によるポリマーの分子量、示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度、熱重量分析(thermal gravimetric analysis)(TGA)による熱安定性、赤外(IR)分光法による結合構造、エイムズアッセイ(Ames assays)および生体外奇形発生アッセイ(in vitro teratogenicity assays)を含む初期スクリーニング検査(initial screening test)による毒性学に対して特徴付けられ、免疫原性、炎症、放出および分解研究に関する動物の植え込み研究によって特徴付けることが可能である。
【0051】
電気分解性ポリマーは、損傷を受けた細胞または組織、例えば神経系統組織を修復または交換するための治療を必要としている患者に体内植え込まれてもよい。再生医療に用いられる足場は、移植された細胞、または、植え込まれたマトリックスに移動し、付着し、かつ、増殖する細胞の再生、成長、または、機能を高めるために、電気分解性ポリマーでコーティングされるか、または、電気分解性ポリマーから作製されていてもよい。植え込みに使用され得る材料は、縫合糸、チューブ、シート、癒着防止装置(典型的には、フィルム、その場で重合され、液体として塗布されるポリマーコーティング、または、他の物的障壁)、および創傷治療用品(治癒されるべき創傷によってフィルムおよびコーティングから支持構造に変化する)を含む。治療の有効性を高めるため、神経組織の治療をさらに促進する組成物、例えば、タンパク質、抗体、神経成長因子、ホルモン、および、付着分子(attachment molecules)がポリマーと共に利用可能であり、組成物は、任意に、ポリマーまたはポリマー支持材料に共有結合していてもよい。当業者であれば、これらの材料の正確な使用法、および、不適当な実験を行うことなく必要な条件を容易に決定することが可能である。
【0052】
分子、例えば、付着分子、または、生物活性分子、例えば、成長因子は、電気分解性ポリマーに対して形成することが可能であり、任意に、ポリマーに共有結合または非共有結合されていてもよい。付着分子は、細胞表面の受容体によって特異的に結合される天然または合成分子と定義される。これらの分子は、1個以上の結合部位を有する天然および合成分子を含む。天然分子の例は、細胞外マトリックス因子、例えば、フィブロネクチン、および、ラミニンである。合成分子の例は、フィブロネクチンの結合部位を含むペプチドである。ある実施形態では、ポリマーへの細胞の付着は、ポリマーを、化合物、例えば、基底膜成分、ゼラチン、アラビアゴム、I型、II型、III型、IV型、および、V型のコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、これらの混合物、および、細胞培養の当業者に公知の他の材料でコーティングすることによって高められる。細胞外マトリックス分子(ECM)は、化合物、例えば、ラミニン、フィブロネクチン、トロンボスポンジン、エンタクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、および、I型〜XII型のコラーゲンを含む。他の天然の付着分子は、簡素な炭水化物、複雑な炭水化物、アシアログリコプロテイン(asialoglycoprotein)、レクチン、成長因子、低密度リポタンパク質、ヘパリン、ポリリシン、トロンビン、ビトロネクチン、および、フィブリノゲンを含む。合成分子は、1つ以上の結合部位、例えば、フィブロネクチンによるRGD、フィブロネクチンによるLIGRKKT、および、ラミニンによるYIGSRを組み込むための従来の方法を用いて作製されるペプチドを含む。
【0053】
生体分子を当分野で利用可能なポリマー基質に付着する方法を使用してもよい。付着分子を基質に施す方法は、PBS等の溶液または高pHのカーボネート緩衝液中の付着分子を施すことによって分子を基質に付着させ、分子を基質の表面に吸収させる工程;付着分子を基質にイオン結合させる工程;グルタルアルデヒドまたはカルボジイミド等の試薬を用いる化学反応によって分子を基質の表面に共有結合させる工程;基質の表面における付着分子を乾燥する工程、を含む。
【0054】
生物医学的植え込み
他の実施形態において、本発明の電気化学的に分解可能なポリマーは、生物医学的インプラントに使用され得る。例えば、電気化学的に分解可能なポリマーは、血管グラフト、縫合糸、カテーテル、靭帯、骨固定装置(すなわち、骨プレート、スクリュー、および、ステープル)、および、歯科インプラントを含む一時的なインプラントとして使用することが可能である。
【0055】
電気分解性ポリマーのさらなる生物医学的用途には、例えば、吸収性の整形外科用固定用具(absorbable orthopedic fixation devices)等の骨折固定での使用を含む。特に、このような電気分解性ポリマーにより、固定による骨折の治療を可能にし、これにより良好な組織/材料の適合性がもたらされ、かつ、交換を容易にするため、(複雑な場合もある形状に)容易な成型がもたらされる。電気分解性ポリマーの制御された分解により、治癒時に最適な骨機能を可能にする。これらの材料は、骨の機械的完全性を回復し、その後、負荷およびリモデリング(remodel)を支えるように新たな骨の形成を可能にするために分解する。これらの電気分解性ポリマーは、機械的完全性を維持し、一方で、骨の内殖を可能にするように漸進的に分解し、寸法を縮小する。スチール製の固定用具(固定器具)による従来の使用と対照的に、電気分解性ポリマー基礎器具は、これらの器具が永久には必要とされないか、または、後に取り除く必要があるという点において有利である。さらに、金属製の整形外科用器具は、治癒の間の応力を遮り、骨萎縮をもたらすことが可能である。
【0056】
電気分解性ポリマーとブレンドされ、またはこれらのポリマーで被覆され得る他のポリマー材料の非限定例は、生分解性ではない生体適合性材料、例えば、ポリ(スチレン)、ポリ(エスエル)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(プロピレン)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ガラス、ポリシリケート、ポリ(カーボネート)、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、および、シリコンゴム(silicon rubber)である。他の有用な材料としては、生体適合性の、生分解性材料、例えば、ポリ(無水物)、ポリ(ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(グリコール酸)、および、ポリ(乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(プロピルフメレート)(poly(propylfumerate))、タンパク質および重合タンパク質、例えば、コラーゲン、および、多糖類および重合多糖類、例えば、グリコサミノグリカン、ヘパリン、ならびに、これらの組み合わせを含む。
【0057】
電子装置
本発明の電気分解性ポリマーシステムにより、電位の変化に対して、第1の状態から第2の状態への適度に迅速な転換が可能である。例えば、これらのシステムは、微小電気機械(MEM)装置、通信装置およびリソグラフィに利用することが可能である。例えば、光ファイバー通信網のクロスバー交換ルーター(cross bar switch router)等のフォトニック応用でのスイッチとして、マイクロ流体システム、MEM、および、光学データパケットを切り替える等の他の電子装置の実際のバルブ(actuable valve)として使用することが可能である。さらに、電気分解性ポリマーは、マイクロチップの設計でマスキング素子として使用され得る。
【0058】
電気分解性ポリマーを使用して、高密度配線(HDI)回路環境内にインテグラルスイッチ開閉装置(integral switching mechanism)を提供することができる。特に、多数のスイッチが必要とされるか、または、スイッチされた信号(switched signals)の高絶縁が望ましかった場合、スイッチおよびアクチュエータを基礎とする先のMEMは、個々のMEM部品をHDI回路に挿入し、その後に、信号をMEM機構(MEM structure)にルーティングする必要がある。HDI機構内でインテグラルMEMスイッチを使用することにより、最小限の信号の迂回およびルーティングでスイッチを所望の位置に配置することが可能となる。さらに、壊れやすいMEMアクチュエータをHDI回路のキャビティ内で操作し(handle)、キャビティ内に挿入し、この挿入処理の収率損失を受ける必要はない。電気分解性ポリマーをHDIアーキテクチャー内の壊れやすいインテグラルスイッチ開閉装置に用いることにより、より低コストのシステムが最終的に結果としてもたらされる。
【0059】
一実施形態では、MEM基礎スイッチ機構またはアクチュエータは、従来からのHDI処理工程を用いて製造され得る。スイッチ機構は、電流を電気分解性ポリマー層を選択的に通過させことによって運転され、これによりこれらのポリマー層を転移温度を超える温度に加熱し、加熱された層の変形を生じさせる。
【0060】
さらに、本発明のポリマーは、環境負荷が少なくなるように設計され得る。現代社会においてポリマーを生成し、社会の全ての分野で急激に使用することは、これらのポリマーが時間と共に分解可能であるか、または、最終的に埋め立て地へ処理されるのかどうかに対して、環境への懸念を生じさせることもある。電気分解性ポリマーを使用して、環境に対するストレスを軽減することにより、ポリマー材料の使用を増大させることが可能となる。
【0061】
実施例
以下の実施例により、本発明の実施を説明する。これらの実施例は、説明目的のみに用いられ、特許請求の行われる本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0062】
本発明は、電流に曝された場合に分解可能なポリマー材料に関する。特に、ポリマーを架橋するために使用され得る変性キノン部分の電気化学的還元により、ポリマーを開裂可能であり、これにより結果として効率的に分解する。以下の実施例では、本発明の方法を用いて一つの具体的なポリマーのポリスチレンの合成を説明する。
【0063】
実施例に記載の全般的な合成では、以下で説明するような3つの反応工程を含む。
【0064】
【化3】

【0065】
実施例1
ビスラクトン4の合成
【0066】
【化4】

本実施例では、ビスラクトン4(bislactone 4)を合成する具体的な方法を示す。メタンスルホン酸(methane sulfonic acid)(1mL)が、油浴中で撹拌しながら70℃に加熱された。これに対して、p−キシロヒドロキノン(p-xylohydroquinone)(91mg、0.658mM)、および、メチルβ,β−ジメチルアクリレート(methyl β,β-dimethylacrylate)(195μL、179mg、1.49mM)が添加され、反応を70℃で15時間進行させた。20℃に冷却後、反応混合物が氷水(15mL)で希釈され、そして、4×20mLのエチルエーテルで抽出された。その後、有機相が2×50mLの飽和NaHCO3で洗浄され、MgSO4で乾燥され、そして、溶剤が真空下で除去された。淡橙色の固体(198mg)が結果として得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(CH2Cl2)での精製により、58.4mg(0.180mM、27%)のラクトンを白色の固体として産出した。RF0.44(CH2Cl2);融点280℃〜282℃;1H−NMR(CDCl3)δ2.59(s、4H、CH2)、2.42(s、6H、CH3)、1.48(s、12H、CH3)。(分析値:C18224に対する計算、C,71.50;H,7.33。実測値:C,71.22;H,7.33)。
【0067】
実施例2
キノン酸(R1=R2=R3=R4=R5=R6=CH3、X=Y=OH)の合成
【0068】
【化5】

本実施例では、キノン酸(R1=R2=R3=R4=R5=R6=CH3、X=Y=OH)を合成する具体的な方法を説明する。ラクトン4(150mg)が15mLのTHFに溶解され、1MのLiOH水溶液(15mL)が添加された。これにより結果として得られる濁った溶液が、フタの外された容器中において20℃で4時間激しく撹拌され、その後、TLC(シリカ、5%のEtOH/CH2Cl2)は、完全な反応を示していた。6MのHCl水溶液を添加することによって反応混合物のpHが3に調節され、混合物がEtOAc(3×50mL)で抽出された。抽出物がH2O(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄され、乾燥され(MgSO4)、そして、溶剤が蒸発されて、159mg(95%)の本質的に純粋なキノン酸5を黄色の固体として生成した。粗酸(crude acid)が、ヘキサン−エタノールから再結晶化されて、分析上純粋なサンプルを鮮黄色の結晶として生成した。融点164℃〜167℃。1H−NMR(CDCl3)δ2.79(s、4H、CH2)、2.08(s、6H)、1.42(s、12H)。ESI MS(マイナスイオン型)(neg. ion mode)m/z335(M−H)。UVλmax257、343nm。分析値:C18246/NH3に対する計算、C,61.17;H,7.70、N,3.96、O,27.16。化合物の構造が、X線結晶学によって確認され、図4に示された。
【0069】
実施例3
キノン架橋剤の合成
【0070】
A:キノンエステルの合成
【0071】
【化6】

本実施例では、キノンエステルを合成する具体的な方法を説明する。時間と共に、キノン酸が、少なくとも3種の化合物の混合物に転化された。この転化は、おそらく、酸性部分のキノンまたはカルボニルへの分子間マイケル付加(Michael addition)に起因するものであり、これは、関連する化合物に関して、コーエンに認められたものと酷似していた(R・T・ボーチャード、L・A・コーエン著(R. T. Borchardt and L. A. Cohen)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)、1973年, 第95巻, 8308)。コーエンの研究の類推により、生成混合物が平衡となり、平衡混合物が、酸触媒の存在下で対応のアルコールと単に撹拌することによって所望のエステルに転化された。これにより、本発明の方法により分解性架橋剤として使用するための任意のキノンエステルが、この合成または関連する合成によって利用可能となった。
【0072】
例えば、キノン酸クロリド(生成物の構造;R=Cl)は、平衡混合物を塩化オキサリルで処理することによって生成された。酸クロリドは、対応のアミンで処理することによって、必要とされるアミドに容易に転化された。あるいは、アミドは、N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)、または、他の縮合剤、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド(diisoproplycarbodiimide)(DIC)の存在下で平衡混合物を対応のアミンと反応させることによって調製された。DCCカップリング法では、カルボン酸により、カルボジイミドとの反応性中間体のO−アシルイソ尿素(O-acylisourea)(シーハン他著(Sheehan et al.)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)、1995年、第77巻、1067-1068頁)を最初に形成する。正確な反応条件に応じて、付加体が、過剰のカルボン酸の存在下で対称な無水物に転化されるか、または、ヒドロキシ成分の存在下で活性エステルに転化された。いずれかの場合で、不溶性のジシクロヘキシル尿素(DCU)が共生成物として形成され、無水物または活性エステルが単離された。
【0073】
DCCのジイソプロピル類似体であるN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)がある実施形態では望ましい場合がある。なぜなら、対応の尿素誘導体が有機溶剤、例えば、DCMおよびDMFでは、より溶解性を示すからである。カルボジイミド媒介カップリングの場合、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(W・ケーニヒ、R・ガイガー著(Koenig, W. and Geiger, R.)ヒェミッシェ・ベリヒテ(Chem. Ber.) 1970年, 第103巻, 2034-2040頁)が添加され、これにより、極めて強力なアシル化剤である、O−アシル−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを生成した。あるいは、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(3-hydroxy-4-oxo-3,4-dihydro-l,2,3- benzotriazine)(Dhbt−OH)を使用した。
【0074】
DCCおよびDICに加えて、数種類の他の現場アシル化剤(in situ acylating reagents)が使用可能であり、例えば、以下のものが挙げられるものの、これらに限定されるものではない:すなわち、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフルオロホスフェート(2-(lH-benzotriazol-l-yl)-N,N,N',N'-tetramethyluronium hexafluorofluorophosphate)(HBTU)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(2-(lH-benzotriazol-l-yl)-N,N,N',N'--tetramethyluronium tetrafluoroborate)、TBTU(V・ドゥートグラウ、B・グロス著(Dourtoglou, V. and Gross, B.)、シンセシス(Synthesis)、1984年, 573-574頁)、BOP(ベンゾトリアゾリルN−オキシトリスジメタミノホスホニウムヘキサフルオロフルオロホスフェート(benzotriazolylN-oxytrisdimethaminophosphonium hexafluorofluorophosphate))、および、PyBOP(ベンゾトリアゾリルN−オキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロフルオロホスフェート(benzotriazolyl N- oxytrispyrrolidinophosphonium hexafluorofluorophosphate))(J・コステ他著(Coste, J. et al.)、テトラヒドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、1990年, 第31巻, 205-208頁)。これらは全て、活性塩基の存在を必要とした。
【0075】
B:スルホンの合成
【0076】
【化7】

【0077】
【化8】

【0078】
本実施例では、スルホン架橋剤を合成する具体的な方法を説明する。キノン酸5(100mg)が、アミン(67mg、2.2当量)を乾燥DMF(5.0mL)に溶解した溶液に溶解され、DCC(135mg、2.2当量)が添加された。反応物が室温条件下で6時間撹拌され、その後、乾燥状態まで蒸発された。クロマトグラフィによって(EtOAc−ヘキサン、1:5)、残留物が精製され、これによりスルフィドアミド6が得られた。
【0079】
スルフィドアミド6(10mg)が、0℃で、30%の過酸化水素水(0.5mL)を酢酸(1.0mL)に溶解した溶液に添加された。反応混合物が0℃で12時間撹拌され、その後、室温まで温められた。混合物が乾燥状態まで蒸発され、その後、EtOHに溶解された。スルホン7のエタノール溶液がポリマーの架橋反応で直接使用された。スルホン7は、使用直前に調製されるのが好ましい。
【0080】
本発明は特定の方法および組成物に関して説明したが、当業者が変更および変形を本発明の検討時に想到することは理解される。
【0081】
当業者であれば、通常の実験法を用いるだけで、前述の実施形態に基づく本発明の他の特徴および利点を認識するか、または、確認することが可能であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に示された事項を除いて、特に示され、かつ、記載された事項によって限定されない。全ての刊行物および参考文献は、本明細書において、これらの全体を参照することによって明確に組み込まれる。
【0082】
〔実施の態様〕
(1)電気分解性ポリマー部分において、
下式のキノン化合物、
を含み、
【0083】
【化9】

式中、
1、R2、R3、R4、R5、およびR6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および尿素からなる群から選択され、
XおよびYが、同一であっても、または異なっていてもよく、かつ、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、およびチオールアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYの少なくとも一方が、前記キノンの還元時に分解可能であり、
前記ポリマー部分が、電位の変化に曝されると分解可能である、
電気分解性ポリマー部分。
(2)実施態様1に記載の電気分解性ポリマー部分において、
前記ポリマーが、スチレン、アクリレート、メタクリレート、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−ビニルピリジン、エチレンオキシド、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリレートビニリデンシアニド、プロピレン(propyelene)、ブテン、イソブチレン、亜リン酸(phosphorus acid)、亜ホスホン酸(phosphonous acid)、亜ホスフィン酸(phosphinous acid)、リン酸(phosphoric acid)、ホスホン酸(phosphonic acid)、ホスフィン酸、メチレンビス(ホスホン酸)(methylene bis (phosphonic acid))、ポリ(ビニルホスホン酸)(poly(vinylphosponic acid))、アジリジン、スペルミン、カダベリン、および、プトレシンからなる群から選択される、モノマーをさらに含む、電気分解性ポリマー部分。
(3)実施態様1に記載の電気分解性ポリマー部分において、
前記ポリマーが、少なくとも0.05Vの電位の変化に曝されると分解可能である、電気分解性ポリマー部分。
(4)被験者内での医薬品の制御された放出を行う方法において、
少なくとも1つの下式の部分を含む、電気的に制御されたポリマーを植え込む工程であって、
【0084】
【化10】

式中、
1、R2、R3、R4、R5、およびR6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および尿素からなる群から選択され、
XおよびYが、同一であっても、または異なっていてもよく、かつ、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、およびチオールアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYの少なくとも一方が、前記キノンの還元時に分解可能である、
工程と、
前記ポリマーの化学分解を電気的に誘発させ、医薬品を放出する工程と、
を含む、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記ポリマーが、スチレン、アクリレート、メタクリレート、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−ビニルピリジン、エチレンオキシド、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリレートビニリデンシアニド、プロピレン、ブテン、イソブチレン、亜リン酸、亜ホスホン酸、亜ホスフィン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メチレンビス(ホスホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、アジリジン、スペルミン、カダベリン、およびプトレシンからなる群から選択される、少なくとも1種のモノマーをさらに含む、方法。
(6)実施態様4に記載の方法において、
前記化学分解を電気的に誘発させる工程が、少なくとも0.05Vの電圧を印加する工程、をさらに含む、方法。
(7)実施態様4に記載の方法において、
前記化学分解を電気的に誘発させる工程が、被験者によって制御される電流生成装置を利用する工程、をさらに含む、方法。
(8)実施態様4に記載の方法において、
前記化学分解を電気的に誘発させる工程が、被験者における少なくとも1種の内部パラメータを検出する工程、をさらに含む、方法。
(9)実施態様4に記載の方法において、
前記化学分解を電気的に誘発させる工程が、少なくとも1種の外部パラメータを検出する工程、をさらに含む、方法。
(10)薬剤含浸ポリマーにおいて、
少なくとも1つの下式の部分を含む、電気的に制御されたポリマーであって、
【0085】
【化11】

式中、
1、R2、R3、R4、R5、およびR6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および尿素からなる群から選択され、
XおよびYが、同一であっても、または異なっていてもよく、かつ、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、およびチオールアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYの少なくとも一方が、前記キノンの還元時に分解可能である、
電気的に制御されたポリマーと、
前記電気的に制御されたポリマーに含浸されている1種以上の医薬品と、
を含む、薬剤含浸ポリマー。
(11)実施態様10に記載の薬剤含浸ポリマーにおいて、
前記ポリマーが、微小体(microsphere)になるよう形成される、薬剤含浸ポリマー。
(12)実施態様10に記載の薬剤含浸ポリマーにおいて、
前記ポリマーが、被験者に植え込まれる、薬剤含浸ポリマー。
(13)薬剤送達システムにおいて、
少なくとも1つの下式の部分を含む、電気分解性ポリマーであって、
【0086】
【化12】

式中、
1、R2、R3、R4、R5、およびR6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および尿素からなる群から選択され、
XおよびYが、同一であっても、または異なっていてもよく、かつ、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、およびチオールアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYの少なくとも一方が、前記キノンの還元時に分解可能である、
電気分解性ポリマーと、
前記電気分解性ポリマーに含浸されている1種以上の医薬品と、
前記含浸ポリマーに電気的に結合される電流生成装置と、
を含み、
前記ポリマーが、電気化学的還元を受けると、前記架橋剤の加水分解、および1種以上の医薬品の制御された放出、を結果として生じさせることが可能である、
薬剤送達システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気分解性ポリマー部分において、
下式のキノン化合物、
を含み、
【化1】

式中、
1、R2、R3、R4、R5、およびR6が、水素、アルキル、アリール、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、アミン、シアノ、ハロ、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カーボネート、カルバメート、および尿素からなる群から選択され、
XおよびYが、同一であっても、または異なっていてもよく、かつ、ビニルスルホン、エポキシド、ハロゲン化アルキル、アルケン、アミン、アルコール、酸ハロゲン化物、酸無水物、スルフェート、ホスフェート、イソシアネート、イソチオシアネート、およびチオールアルキル基からなる群から選択され、
XおよびYの少なくとも一方が、前記キノンの還元時に分解可能であり、
前記ポリマー部分が、電位の変化に曝されると分解可能である、
電気分解性ポリマー部分。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100541(P2013−100541A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23112(P2013−23112)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2007−536998(P2007−536998)の分割
【原出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(507123383)トラスティーズ・オブ・タフツ・カレッジ (2)
【Fターム(参考)】