説明

電気化学的検出に用いる改良型試薬組成物

測定装置及び方法に用いるための、患者サンプルの血糖濃度に対して検出感度を改良した生物学的試薬組成物。試薬組成物は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年1月22日出願の米国特許出願第12/017,496号に基づいて優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、電気化学的検出装置に関し、より詳しくは、血糖レベルを電気化学的に検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業では、大量生産する上で、液体中の特定成分の濃度を監視する必要性がある。精油業、ワイン醸造所、及び乳業は、液体の検査を日常的に行う産業の例である。健康管理分野では、体液内の特定の成分を監視する必要のある例が多く、体液(例えば、血液、尿、唾液)を検査して、特定の液体成分(例えば、コレステロール、タンパク質、及びブドウ糖など)のレベルを簡便に監視できる装置が数多く市販されている。糖尿病(不十分なインシュリンの生成により糖分の消化を妨げる膵臓疾患)を患う患者は、その血糖レベルを日々注意深く監視しなければならないが、人が血糖レベルを簡便に監視できる装置は、数多く市販されている。このような装置には、通常、使用者が血液サンプルを付着する検査ストリップ(test strip)と、検査ストリップを「読み取って」、血液中のブドウ糖レベルを測定する計測器と、が含まれる。
【0003】
血糖レベルの測定に有効な様々な技術の中でも、とりわけ電気化学的技術は、測定を行う上で、ごく僅かな血液サンプルしか必要とされないため、特に好ましい。電気化学ベースの装置において、検査ストリップは、通常、試薬(例えば、ブドウ糖酸化酵素や伝達物質など)を収めるサンプルチャンバー、及び電極を含む。使用者が、血液サンプルをサンプルチャンバーへ付着させると、試薬はブドウ糖と反応し、計測器は、電極に電圧を印加して酸化還元反応を起こす。
【0004】
通常の電気化学的検出装置では、装置の大きさに関わらず、ブドウ糖を含んだ酸化又は還元の半電池反応が、電子を生成するか、又は消費する。電子が、分析すべきサンプルと接触する作用電極と相互作用可能であれば、この電子の流れを測定できる。電気回路は、これもまたサンプルと接触する対電極により完成する。対電極で起きる化学反応(酸化又は還元)は、作用電極の反応と反対である。例えば、Fundamentals Of Analytical Chemistry,第4版,D.A.Skoog及びD.M.West;フィラデルフィア:Saunders College Publishing(1982年),第304〜341頁、を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の小型電気化学的検査ストリップの中には、作用電極及び対電極にまたがって単層の生物学的試薬が存在するという別の特徴を有するものもある。この試薬の構成には、ブドウ糖、補酵素、及び、酸化−還元反応と作用電極との間の電子の運搬を促進するいかなる伝達物質又は他の物質の酸化−還元反応を容易にする酵素が含まれる。単層試薬の使用により、電極上に材料を被覆する1つの付着工程しか必要とされないため、ストリップの簡単な製造が可能である。しかしながら、試薬層の生物学的性質により、夫々が全く同一の検出感度を備えたストリップを、再現性良く製造することは困難である。加えて、殆どの試薬組成物は、非常に異なる電気化学的性質を示す。最も良い試薬組成物は、分析すべきサンプルと電極及びその接続電気回路との間で、電子の自由な流れを容易にすることで向上した検出感度を示すものである。
【0006】
血糖レベルの精密な測定は、多くの使用者の長期的健康にとっては非常に重要である。そのため、血糖レベルの測定に用いられる計測器及び検査ストリップには、高い信頼性が求められるべきである。しかしながら、サンプルの大きさが小さくなるにつれ、検査ストリップ中のサンプルチャンバー及び電極の寸法もまた、小さくなる。このことは、ひいては、検査ストリップがより小さな製造欠陥やその後の取り扱いによる損傷から、影響を受けやすくするものである。
【0007】
そこで、本発明は、測定装置及び方法を使用するために、患者サンプル中の血糖濃度に対する検出感度を向上させて改良された生物学的試薬組成物を提供し、これにより、測定電流とブドウ糖濃度との間に、分析時間のスケールで相対的に一定の直線関係が現れる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップの試薬層を提供する。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤(mediator formulation)と、を含んで構成される。伝達物質剤は、フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0009】
第2の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップの試薬層を提供する。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、鉄、オスミウム、又はルテニウムの各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0010】
第3の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップの試薬層を提供する。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0011】
第4の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップの試薬層を提供する。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される。少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである。
【0012】
第5の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップの試薬層を提供する。試薬層は、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0013】
第6の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを提供する。検査ストリップは、基材と、血液サンプルのためのサンプルチャンバーと、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極と、試薬層と、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物資剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0014】
第7の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを提供する。検査ストリップは、基材と、血液サンプルのためのサンプルチャンバーと、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極と、試薬層と、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、鉄、オスミウム、又はルテニウムの各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0015】
第8の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを提供する。検査ストリップは、基材と、血液サンプルのためのサンプルチャンバーと、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極と、試薬層と、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0016】
第9の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを提供する。検査ストリップは、基材と、血液サンプルのためのサンプルチャンバーと、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極と、試薬層と、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される。少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである。
【0017】
第10の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを提供する。検査ストリップは、基材と、血液サンプルのためのサンプルチャンバーと、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極と、試薬層と、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0018】
第11の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを製造する方法を提供する。その方法は、基材上に第1の電極を付着することと、基材上に第2の電極を付着することと、少なくとも第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って、基材上に試薬層を塗布することと、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0019】
第12の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを製造する方法を提供する。その方法は、基材上に第1の電極を付着することと、基材上に第2の電極を付着することと、少なくとも第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って基材上に試薬層を塗布することと、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、鉄、オスミウム、又はルテニウムの各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。
【0020】
第13の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを製造する方法を提供する。その方法は、基材上に第1の電極を付着することと、基材上に第2の電極を付着することと、少なくとも第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って、基材上に試薬層を塗布することと、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0021】
第14の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを製造する方法を提供する。その方法は、基材上に第1の電極を付着することと、基材上に第2の電極を付着することと、少なくとも第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って、基材上に試薬層を塗布することと、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される。少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである。
【0022】
第15の主な態様において、本発明は、血液サンプルを検査するための検査ストリップを製造する方法を提供する。その方法は、基材上に第1の電極を付着することと、基材上に第2の電極を付着することと、少なくとも第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って、基材上に試薬層を塗布することと、を含んで構成される。試薬層は、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドと、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成される。
【0023】
第16の主な態様において、本発明は、検査ストリップと組み合わせて用いて、検査ストリップ中のサンプルチャンバーに付着される血液サンプルのブドウ糖レベルを測定する計測器を提供する。前記検査ストリップは、基材と、作用電極と、対電極と、少なくとも1つの試薬層と、を含んで構成され、このうち少なくとも1つの試薬層は、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドと、伝達物質剤と、を含んで構成される。前記伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、このうち、少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択され、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。計測器は、前記検査ストリップを受ける第1のコネクタと、着脱可能なデータ保存装置を受ける第2のコネクタと、処理装置と、表示装置と、前記検査ストリップが挿入された場合に、前記作用電極及び対電極間に少なくとも第1の電圧を印加する少なくとも1つの電極と、を含んで構成される。
【0024】
第17の主な態様において、本発明は、検査ストリップと組み合わせて用いて、検査ストリップ中のサンプルチャンバーに付着される血液サンプルのブドウ糖レベルを測定する計測器を提供する。前記検査ストリップは、基材と、作用電極と、対電極と、少なくとも1つの試薬層と、を含んで構成され、このうち少なくとも1つの試薬層は、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド補酵素及び/又はニコチンアミド・ヌクレオチド補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。前記伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、このうち、少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択され、少なくとも1つの配位錯体はルテニウムヘキサミンである。計測器は、前記検査ストリップを受ける第1のコネクタと、着脱可能なデータ保存装置を受ける第2のコネクタと、処理装置と、表示装置と、前記検査ストリップが挿入された場合に、前記作用電極及び対電極間に少なくとも第1の電圧を印加する少なくとも1つの電極と、を含んで構成される。
【0025】
当然のことながら、前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、主張されるように本発明を限定するものではない。
【0026】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面には、本発明の1つの(複数の)実施形態が図示され、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】異なる伝達物質剤を有する検出装置ストリップについて、ブドウ糖濃度の関数として測定された電流のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、本発明の例示的な実施形態について詳細に言及し、その実施例を、添付図面に図示する。図面全体にわたって使用される同一の参照番号は、可能な限り、同一又は類似した部分に言及しているものとする。
【0029】
例示的な実施形態によれば、試薬組成物は、サンプル中のブドウ糖レベルを測定する電気化学的検出装置に使用するために提供される。また、検出装置には、検査ストリップと計測器が含まれる。検査ストリップには、作用電極と対電極とが含まれ、そのうち少なくとも1つの電極が、試薬層を形成する試薬組成物により部分的に覆われている。試薬層には、酸化還元酵素、補酵素、及び伝達物質剤、が含まれる。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。本発明の試薬層は、精度、検出感度、分析範囲、及び安定性、の向上のために提供されるものである。
【0030】
「サンプル」には、未知量の特定検体(例えば、ブドウ糖)を含有する組成物が含まれる。通常、電気化学的分析のサンプルは液体状であり、水性混合物であることが好ましい。サンプルは、例えば、血液、尿、又は唾液などの生物学的サンプルであってもよい。サンプルは、例えば、抽出物、希釈物、ろ過物、又は再構成沈殿物など、生物学的サンプルの誘導体であってもよい。
【0031】
「伝達物質剤」には、酸化又は還元可能な物質、及び第1の物質と第2の物質との間で1以上の電子の運搬が可能な物質、が含まれる。伝達物質剤は、電気化学的分析における試薬であり、特定の検体ではない。簡単な系において、酸化還元酵素が適切な基質との接触を通して還元又は酸化された後、伝達物質剤は、酸化還元酵素との酸化還元反応を起こす。次に、この酸化又は還元された伝達物質は、電極において反対方向の反応を起こして、元の酸化数まで再生される。
【0032】
「酸化還元酵素」には、基質の酸化又は還元を促進する酵素が含まれる。酸化還元酵素には、酸素分子が電子の受容体となる酸化反応を促進する「酸化酵素」、酸素分子でない検体が還元される還元反応を促進する「還元酵素」、及び酸素分子が電子受容体とならない酸化反応を促進する「脱水素酵素」、が含まれる。例えば、Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,改定版,A.D.Smith,編集,ニューヨーク:Oxford University Press(1997年)第161,476,477,及び560頁(その全体は参照により本書に組み込まれる)を参照されたい。酸化還元酵素の例には、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)、ブドウ糖酸化酵素、コレステロール・エステラーゼ、リポタンパク質リパーゼ、グリセリン酸キナーゼ(glyceral kinase)、乳酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ウリカーゼ等、が含まれる。本発明の一実施形態において、酸化還元酵素は、GDH及びブドウ糖酸化酵素から選択される。
【0033】
「配位錯体」には、明瞭な配位構造を有する錯体(例えば、正八面体又は正方平面形構造)が含まれる。遷移金属が、シグマ結合により少なくとも1つの炭素原子と結合する錯体として定義される有機遷移金属錯体と異なり、配位錯体は、その構造により定義される。従って、配位錯体は、有機遷移金属錯体(例えば、ヘキサシアノ鉄酸塩(III)、及びそれを還元したヘキサシアノ鉄酸塩(II)の対応部分)、又は炭素原子以外の非金属原子(例えば、窒素、硫黄、酸素、及びリンなど)が中心遷移金属に供与型結合をする錯体、
であってもよい。例えば、ルテニウムヘキサミンは、明瞭な正八面体構造を有する配位錯体であり、6つのNH3配位子(6つの各配位子上の形式電荷は0である)が、中心のルテニウムに対して供与型結合をする。有機遷移金属錯体、配位錯体、及び結合遷移金属については、Collman等,Principles and Applications of Organotransition Metal Chemistry(1987年)、及び、Miessler & Tarr,Inorganic Chemistry(1991年)、により詳しく解説されており、その全体は参照により本書に組み込まれる。本発明の一実施形態において、配位錯体は、鉄、ルテニウム、及びオスミウムの各錯体から選択される。
【0034】
「補酵素」には、非タンパク質の酸化還元補欠分子(redox prosthetic)が含まれる。本発明の補酵素は、酵素に対して共有結合又は非共有結合し、検体の転換により変化(例えば、酸化又は還元)する有機分子であることが望ましい。補酵素の例としては、フラビン、ニコチンアミド、及びキノンの各誘導体、がある(例えば、フラビン・ヌクレオシド誘導体(FAD、FADH2、FMN、FMNH2など)、ニコチンアミド・ヌクレオチド誘導体(NAD+、NADH/H+、NADP+、NADPH/H2など)、又はユビキノン(補酵素Q若しくはPQQなど))。本発明の一実施形態では、補酵素は、フラビン・ヌクレオシドである。別の実施形態では、補酵素は、ニコチンアミド・ヌクレオチドである。
【0035】
「電気活性有機分子」には、金属を含有せず、酸化還元反応が可能な有機分子が含まれる。電気活性有機分子は、酸化還元反応種及び伝達物質として作用し得る。電気活性有機分子の例には、ベンゾキノン及びナフサキノン、N−オキシド、ニトロソ化合物、ヒドロキシラミン、オキシン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、インドフェノール、並びにインダミン、が含まれる。電気活性有機分子の他の例には、米国特許第5,520,786号に記載されるものが含まれ、その全体が参照により本書に組み込まれる。本発明の一実施形態において、少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェナジン、フェノチアジン、若しくはフェノキサジン、又はこれらの塩(例えば、フェノキサジニウム塩)から単独で選択される。フェノキサジン及びこれらの塩には、限定するものではないが、ベンゾフェノキサジン及びそれらに対応する塩(すなわちベンゾフェノキサジニウム塩)が含まれる。好ましい実施形態では、少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジニウム塩である。例示的なベンゾフェノキサジン及びベンゾフェノキサジニウム塩には、限定するものではないが、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、8−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、8−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、1,2−ベンゾフェノキサジン、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、及び/又は9−ジメチルアミノ−5−アミノ−ベンゾフェノキサジン(ナイルブルー)、が含まれる。
【0036】
好ましい実施形態では、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)及びフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD)は、酸化還元酵素−補酵素の組み合わせを含んで構成される。別の好ましい実施形態では、GDH及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)は、酸化還元酵素−補酵素の組み合わせを含んで構成される。また、電気活性有機分子及び配位錯体を含んで構成される伝達物質剤は、酸化還元酵素−補酵素を備えた試薬層に組み込まれてもよい。好ましい実施形態では、ベンゾフェノキサジニウム塩(例えば、メルドラブルー)及びルテニウム錯体(例えば、ルテニウムヘキサミン)は、GDH−FADと組み合わされる。別の好ましい実施形態では、ベンゾフェノキサジニウム塩(例えば、メルドラブルー)及びルテニウム錯体(例えば、ルテニウムヘキサミン)は、GDH−NAD+と組み合わされる。
【0037】
任意的であるが、試薬組成物には、電気化学的検出装置のいかなる酸化還元反応にも直接関与しない不活性成分が含まれてもよい。このような不活性成分の例には、結合剤、増粘剤、及び緩衝成分が含まれる。結合剤には、ベントン(bentone)、酸化ポリエチレン、及び/又はカルボキシメチルセルロース(carbomethyl cellulose)が含まれる。増粘剤には、シリカ及び/又は酸化ポリエチレンが含まれる。緩衝成分は、1又はそれより多い(例えば、2、3、又は4以上)異種緩衝剤から構成されてもよい。この場合、緩衝成分は、乾燥状態で試薬組成物を保存する間、伝達物質を安定させ、これにより使用前(例えば、保存中)に伝達物質が還元されることは殆どなくなる。緩衝剤は、その存在下で、一定の保存期間を通して伝達物質が還元型に殆ど転換しない場合には、伝達物質を安定させると考えられる。緩衝剤として適切なのは、電気化学的検査における背景信号を時間とともに増加させない緩衝剤である。背景信号は、検体が含まれていないサンプルを電気化学的検査装置に取り入れた場合に得られる信号である。
【0038】
また、試薬組成物は、湿潤剤をさらに含んでもよい。一実施形態では、湿潤剤は、洗浄剤と組み合わせて用いられる。湿潤剤は、添加されて、電気化学的検査ストリップ上への試薬組成物の均一被覆を容易にする。また、1以上の薬剤の組み合わせが、複数用いられてもよい。使用される薬剤は、分析試薬の溶解性を向上させるとともに、毛細管ウィッキング性を高めてストリップを満たす。薬剤には、当該技術分野において公知のもの(例えば、高分子、消泡剤、及び界面活性剤)が含まれる。特定の界面活性剤/洗浄剤の代表的なタイプには、限定するものではないが、トリトン(Tritons)、マコール(Macols)、テトロニック(登録商標)(Tetronics)、シルウェット(Silwets)、ゾニル(Zonyls)、及びプルロニック(登録商標)(Pluronics)が含まれる。適切な薬剤には、酸化エチレン及び酸化ポリプロピレンのブロック共重合体であるプルロニック(登録商標)型の物質が含まれる。プルロニック(登録商標)型物質の例には、良好な湿潤性を有するプルロニック(登録商標)P103、及び良好な消泡性を有するプルロニック(登録商標)F87プリル(Prill)、が含まれる。プルロニック(登録商標)P103及びF87プリルのいずれも、その性質が、乾燥処理中の試薬組成物の相変化を回避するので、望ましい80℃より高い曇り点(温度)を有する。
【0039】
試薬組成物の中には、1以上の酵素補助因子を含むものもある。特定の酵素補助因子は、2価の金属カチオン(例えば、Ca2+及び/又はMg2+)を含む。
【0040】
酵素の安定及びタンパク質変性の抑制を促進するために、試薬組成物には安定剤が添加されてもよい。安定剤は、伝達物質(特に、酸化された酸化還元伝達物質)の酸化還元状態の安定にも役立つ。安定剤の例には、限定するものではないが、炭水化物(例えば、スクロース、トレハロース、マンニトール、及びラクトース)、アミノ酸、タンパク質(例えば、BSA及びアルブミン)、並びに、例えばEDTAなどの有機成分、が含まれる。
【0041】
また、液体試薬のレオロジーを調整するために、試薬には粘度調整剤が添加されてもよい。このような薬剤の例には、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、及び/又はBSA、が含まれる。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、検体を測定するための電気化学的検出装置に関する。検出装置には、検査ストリップ及び計測器が含まれる。検査ストリップは、本書で説明した試薬組成物を少なくとも1つ含んで構成される試薬層を有する。また、個々の検査ストリップは、多数の検査ストリップに関連するデータ、又はその個々のストリップ固有のデータ、に関する内蔵コードを含んでもよい。このようなコード化されたストリップは、米国特許公開公報第2007/0015286号に更に説明されており、その全体は参照により本書に組み込まれる。
【0043】
検査ストリップは、サンプルチャンバーを含み、使用者の液体サンプル(例えば、血液サンプル)を収める。サンプルチャンバー及び検査ストリップは、共同所有された米国特許第6,743,635号(その全体は参照により本書に組み込まれる)に説明される材料及び方法を用いて形成可能である。従って、サンプルチャンバーは、検査ストリップの近接端部における第1の開口部、及びサンプルチャンバーに通気孔を設けるための第2の開口部、を含んでもよい。サンプルチャンバーは、第1の開口部を通して血液サンプルを引き込み、毛細管作用によりサンプルチャンバー内に血液サンプルを保持できるように、寸法が決められる。検査ストリップは、近接端部で最も狭い先細の断面を備えるか、又は、他の印を備えることで、より簡単に使用者が第1の開口部の位置を決めて血液サンプルを付着させることができる。
【0044】
計測器は、電池を動力源としてもよく、電力を節約するため、不使用時には、低電力のスリープモードで待機する。検査ストリップが計測器に挿入されると、検査ストリップ上における第1及び第2の複数電気接点が、計測器の電気接点に対応して接触する。第2の複数電気接点は、計測器の1組の電気接点を橋渡しし、電流が、第2の複数電気接点の一部を通って流れるようにする。第2の複数電気接点を通る電流により、計測器はウェークアップされ、アクティブ状態に移行する。また、計測器は、第2の複数電気接点により提供されるコード情報を読み取って、その後、例えば、実行すべき特定の検査又は正常動作状態の確認、を識別することができる。さらに、計測器は、挿入されたストリップが、その固有のコード情報に基づいて、検査ストリップであるか、チェックストリップ(check strip)であるか、識別することもできる。計測器がチェックストリップであることを検出した場合には、チェックストリップシーケンスを行い、計測器が検査ストリップであることを検出した場合には、検査ストリップシーケンスを行う。
【0045】
検査ストリップシーケンスでは、計測器は、作用電極、対電極、及び(もしも備えている場合には)充填検出電極を、これら全ての電極間に低インピーダンス経路がないことを確認して有効化する。電極が有効である場合、計測器は、使用者に対して、サンプルを検査ストリップに付着するよう指示する。次に、計測器は、作用電極と対電極との間に液滴検出電圧を印加して、作用電極と対電極との間の電流(すなわち、血液サンプルは、作用電極と対電極間を橋渡しするので、血液サンプルを通って流れる電流)を検出することにより、液体サンプル(例えば、血液サンプル)を検出する。適切なサンプルがサンプルチャンバー内に存在すること、及び血液サンプルが試薬層に浸透して、試薬層中の化学的及び生物学的構成物と混合したこと、を検出するために、計測器は、充填検出電極間に充填検出電圧を印加して、充填検出電極間に流れるいかなる派生電流も測定する。この派生電流が所定時間内に十分なレベルに達した場合には、計測器は、使用者に対し、適切なサンプルが存在し、試薬層と混合したことを示す。
【0046】
計測器は、初めに血液サンプルを検出した後、所定時間待機するようにプログラムされて、血液サンプルを試薬層と反応させることができ、あるいは、シーケンスにおける読み取りを直ちに開始することもできる。液体測定時間中、計測器は、作用電極と対電極との間に分析電圧を印加して、作用電極と対電極との間に流れる派生電流の1以上の測定を行う。分析電圧は、試薬層における製剤の酸化還元電位に近似し、派生電流は、測定すべき特定成分(例えば、血液サンプル中のブドウ糖レベル)の濃度に関係する。
【0047】
一実施例において、試薬層は、特定のブドウ糖濃度を測定するために、血液サンプル中のブドウ糖と反応する。一実施例において、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)及びフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD)は、試薬層に用いられる。GDH−FADは、単に一実施例として挙げただけであり、本発明の範囲から逸脱しない限り、他の物質も使用することができる。他の可能な伝達物質の組み合わせは、酸化還元酵素−補酵素の組み合わせに添加して用いられる。例えば、フェノキサジン(例として、ベンゾフェノキサジン)、及び配位錯体(例として、ルテニウム錯体)は、GDH−FADを備えた試薬層に組み込まれる。サンプル検査中、GDHは、ブドウ糖をグルコン酸に酸化し、配位錯体を還元する(例えば、ルテニウム(III)からルテニウム(II)へ)反応を開始する。対電極に対して、作用電極へ適切な電圧が印加されると、還元された配位錯体(例えば、ルテニウム(II))は酸化され(例えば、ルテニウム(III))、これにより、血液サンプル中のブドウ糖濃度に関連する電流を生じさせる。次に、計測器は、測定電流、及び、検査ストリップに付属する第2の複数電気接点から読み取ったコードデータが計測器に送信されてアクセスする較正データ、に基づいてブドウ糖レベルを計算する。その後、計測器は、使用者に対して計算されたブドウ糖レベルを表示する。
【0048】
(本発明の例示的な実施形態)
一実施形態において、試薬層は、特定のブドウ糖濃度を測定するために、血液サンプル内のブドウ糖と反応する。試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、又はこれらの塩、から単独で選択される。少なくとも1つの配位錯体は、鉄、オスミウム、又はルテニウムの各錯体から単独で選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェノキサジニウム塩であり、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。
【0049】
別の実施形態において、試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、この場合、酸化還元酵素は、ブドウ糖酸化還元酵素であり、補酵素は、フラビン・ヌクレオシド及び/又はニコンチンアミド・ヌクレオチドから選択される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、又はこれらの塩、から単独で選択され、一方、少なくとも1つの配位錯体は、鉄、オスミウム、又はルテニウムの各錯体から単独で選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェノキサジニウム塩であり、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。
【0050】
別の実施形態において、試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、この場合、酸化還元酵素はブドウ糖脱水素酵素(GDH)であり、補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD+)及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)から選択される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェノキサジニウム塩であり、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。好ましい実施形態において、ルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである。
【0051】
別の実施形態において、試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、この場合、酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)であり、補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD+)及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)から選択される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、フェノキサジン又はその塩であり、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はその塩である。
【0052】
別の実施形態において、試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、この場合、酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)であり、補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD+)及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)から選択される。伝達物資剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はその塩であり、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される。
【0053】
別の実施形態において、試薬層は、酸化還元酵素と、補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、この場合、酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素(GDH)であり、補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD+)及び/又はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)から選択される。伝達物質剤は、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成される。少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択され、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である。好ましい実施形態において、少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである。
【0054】
本発明の他の実施形態は、本書に開示した本発明の仕様及び実施を考慮すれば、当業者にとって明白である。その仕様及び実施例は、以下の特許請求の範囲に示される本発明の真の範囲及び精神を備えつつ、例示としてのみ考慮されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウ糖酸化還元酵素と、
フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、
フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子、及び、少なくとも1つの配位錯体、を含んで構成される伝達物質剤と、
を含んで構成される検体の検出用試薬。
【請求項2】
前記補酵素はフラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項1に記載の試薬。
【請求項4】
前記少なくとも1つの配位錯体は、鉄、オスミウム、又はルテニウム、の各錯体から単独で選択される、請求項1に記載の試薬。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択される、請求項1に記載の試薬。
【請求項6】
前記少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である、請求項1に記載の試薬。
【請求項7】
ブドウ糖酸化還元酵素と、
フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、
ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子、及び、鉄、オスミウム、又はルテニウム、の各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体、を含んで構成される伝達物質剤と、
を含んで構成される検体の検出用試薬。
【請求項8】
前記ブドウ糖酸化還元酵素はブドウ糖脱水素酵素である、請求項7に記載の試薬。
【請求項9】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項7に記載の試薬。
【請求項10】
前記配位錯体は、ルテニウム錯体である、請求項7に記載の試薬。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、又は8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項7に記載の試薬。
【請求項12】
ブドウ糖酸化還元酵素と、
フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、
ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子、及び、少なくとも1つのルテニウム配位錯体、を含んで構成された伝達物質剤と、
を含んで構成される検体の検出用試薬。
【請求項13】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項12に記載の試薬。
【請求項14】
前記フラビン・ヌクレオシド補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項12に記載の試薬。
【請求項15】
前記配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項12に記載の試薬。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項12に記載の試薬。
【請求項17】
ブドウ糖酸化還元酵素と、
フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、
9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子、及び、ルテニウムヘキサミン、を含んで構成された伝達物質剤と、
を含んで構成される検体の検出用試薬。
【請求項18】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項17に記載の試薬。
【請求項19】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項17に記載の試薬。
【請求項20】
ブドウ糖脱水素酵素と、
フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドから選択された補酵素と、
ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子、及び、少なくとも1つのルテニウム錯体、を含んで構成された伝達物質剤と、
を含んで構成される検体の検出用試薬。
【請求項21】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項20に記載の試薬。
【請求項22】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項20に記載の試薬。
【請求項23】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項21に記載の試薬。
【請求項24】
基材と、
作用電極と、
対電極と、
少なくとも1つの試薬層と、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成された電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項25】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項24に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項26】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項24に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項27】
前記少なくとも1つの配位錯体は、鉄、オスミウム、又はルテニウム、の各錯体から単独で選択される、請求項24に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項28】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択される、請求項24に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項29】
基材と、
作用電極と、
対電極と、
少なくとも1つの試薬層と、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、鉄、オスミウム、及びルテニウムの各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成された電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項30】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項29に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項31】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項29に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項32】
前記少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である、請求項29に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項33】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項29に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項34】
基材と、
作用電極と、
対電極と、
少なくとも1つの試薬層と、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機成分と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成された電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項35】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項34に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項36】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項34に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項37】
基材と、
作用電極と、
対電極と、
少なくとも1つの試薬層と、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの電気活性有機分子が、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択され、
前記少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである、電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項38】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項37に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項39】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項37に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項40】
基材と、
作用電極と、
対電極と、
少なくとも1つの試薬層と、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成された電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項41】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項40に記載の検出装置のストリップ。
【請求項42】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項40に記載の検出装置のストリップ。
【請求項43】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項41に記載の検出装置のストリップ。
【請求項44】
基材上に第1の電極を付着させることと、
前記基材上に第2の電極を付着させることと、
少なくとも前記第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って前記基材上に試薬層を塗布することと、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、フェノキサジン又はフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成された、電気化学的検出装置のストリップを製造する方法。
【請求項45】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの配位錯体は、鉄、オスミウム、又はルテニウム、の各錯体から単独で選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
基材上に第1の電極を付着させることと、
前記基材上に第2の電極を付着させることと、
少なくとも前記第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って前記基材上に試薬層を塗布することと、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから単独で選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機分子と、鉄、オスミウム、又はルテニウム、の各錯体から単独で選択された少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成された、電気化学的検出装置のストリップを製造する方法。
【請求項50】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウム錯体である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
基材上に第1の電極を付着させることと、
前記基材上に第2の電極を付着させることと、
少なくとも前記第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って前記基材上に試薬層を塗布することと、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択された少なくとも1つの電気活性有機成分と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成された、電気化学的検出装置のストリップを製造する方法。
【請求項55】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
基材上に第1の電極を付着させることと、
前記基材上に第2の電極を付着させることと、
少なくとも前記第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って前記基材上に試薬層を塗布することと、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択され、
前記少なくとも1つの配位錯体は、ルテニウムヘキサミンである、電気化学的検出装置のストリップを製造する方法。
【請求項58】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項57に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項59】
前記補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項57に記載の電気化学的検出装置のストリップ。
【請求項60】
基材上に第1の電極を付着させることと、
前記基材上に第2の電極を付着させることと、
少なくとも前記第1又は第2の電極の少なくとも一部を覆って前記基材上に試薬層を塗布することと、
を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、少なくとも1つのベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩と、少なくとも1つのルテニウム配位錯体と、を含んで構成された、電気化学的検出装置のストリップを製造する方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項60に記載の検出装置のストリップ。
【請求項62】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項60に記載の検出装置のストリップ。
【請求項63】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項61に記載の検出装置のストリップ。
【請求項64】
検査ストリップと組み合わせて用いて、前記検査ストリップ中のサンプルチャンバーに付着される血液サンプルの血糖レベルを測定し、
前記検査ストリップが、基材と、作用電極と、対電極と、少なくとも1つの試薬層と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ糖脱水素酵素と、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの電気活性有機分子が、ベンゾフェノキサジン又はベンゾフェノキサジニウム塩から単独で選択され、
前記少なくとも1つの配位錯体が、ルテニウム錯体である計測器であって、
前記検査ストリップを受ける第1のコネクタと、
着脱可能なデータ保存装置を受ける第2のコネクタと、
処理装置と、
表示装置と、
前記検査ストリップが挿入された場合に、前記作用電極及び対電極間に少なくとも第1の電圧を印加する少なくとも1つの電極と、
を含んで構成された、計測器。
【請求項65】
前記少なくとも1つの電気活性有機分子は、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択される、請求項64に記載の計測器。
【請求項66】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項64に記載の計測器。
【請求項67】
前記少なくとも1つのルテニウム錯体は、ルテニウムヘキサミンである、請求項65に記載の計測器。
【請求項68】
検査ストリップと組み合わせて用いて、前記検査ストリップ中のサンプルチャンバーに付着される血液サンプルの血糖レベルを測定し、
前記検査ストリップが、基材と、作用電極と、対電極と、少なくとも1つの試薬層と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの試薬層が、ブドウ酸化還元酵素と、フラビン・ヌクレオシド及びニコチンアミド・ヌクレオチドから選択された補酵素と、伝達物質剤と、を含んで構成され、
前記伝達物質剤が、少なくとも1つの電気活性有機分子と、少なくとも1つの配位錯体と、を含んで構成され、
前記少なくとも1つの電気活性有機分子が、9−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノキサジン−7−イウム=クロリド、N−(9H−ベンゾフェノキサジン−9−イリデン)−N−メチルメタンアミニウム=クロリド、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン=ヘミ(塩化亜鉛)塩、7−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェノキサジン、又は、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、から単独で選択され、
前記少なくとも1つの配位錯体が、ルテニウムヘキサミンである計測器であって、
前記検査ストリップを受ける第1のコネクタと、
着脱可能なデータ保存装置を受ける第2のコネクタと、
処理装置と、
表示装置と、
前記検査ストリップが挿入された場合に、前記作用電極及び対電極間に少なくとも第1の電圧を印加する少なくとも1つの電極と、
を含んで構成された、計測器。
【請求項69】
前記ブドウ糖酸化還元酵素は、ブドウ糖脱水素酵素である、請求項68に記載の計測器。
【請求項70】
前記フラビン・ヌクレオシド補酵素は、フラビン・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項69に記載の計測器。
【請求項71】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項1に記載の試薬。
【請求項72】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項7に記載の試薬。
【請求項73】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項17に記載の試薬。
【請求項74】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項24に記載の試薬。
【請求項75】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項29に記載の試薬。
【請求項76】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項34に記載の試薬。
【請求項77】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項37に記載の試薬。
【請求項78】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項44に記載の試薬。
【請求項79】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項49に記載の試薬。
【請求項80】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項54に記載の試薬。
【請求項81】
前記補酵素は、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドである、請求項57に記載の試薬。

【図1】
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【公表番号】特表2011−510301(P2011−510301A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543265(P2010−543265)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/031190
【国際公開番号】WO2009/094297
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(504144529)ニプロ ダイアグナスティックス,インコーポレーテッド (28)