説明

電気回路装置

【課題】コストアップや搭載スペース上の問題を回避しつつ、回路部となる液晶表示モジュール40のアース電位部分と、配線基板70のアース電位部分とを耐電気ノイズ性に対して有利な構造で結合できる電気回路装置を提供する。
【解決手段】回路部となる液晶表示モジュール40の金属筐体43と、配線基板70のアース電位部分とを配線92で接続する電気回路装置であって、配線92は、内部に信号線とアース線を含み、金属筐体43の平面部に接合した電気回路接合部92aと、配線基板70の表面に接合した配線基板接合部92bとのうち、少なくともいずれか一方の接合部を有する。この接合部92a、92bにより、液晶表示モジュール40の金属筐体43と配線基板70との間の容量成分92abが増加し、耐電気ノイズ性に対して有利な構造を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路部を有する基盤のアース構造を改良した電気回路装置に関するものである。特に、液晶表示ディスプレイを有する車両用計器板において、液晶表示ディスプレイと配線基板とを接続するフレキシブルワイヤを介してのアース構造を有する電気回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示ディスプレイによって画像表示動作を行う車両用表示装置においては、液晶表示ディスプレイを駆動制御する回路部、つまり液晶駆動回路は高い周波数で作動するため、その作動時に当該回路部分から高周波を電気ノイズ(電磁波)として放射することがある。
【0003】
この電気ノイズが、車両用表示装置を備える他の機能の回路部に侵入して悪影響を及ぼすことがある。これを防止するために、液晶駆動回路が形成された配線基板上に液晶駆動回路部分を覆うように導電性金属板を取り付けて、それにより高周波を遮蔽することが行われている。
【0004】
この種のものとして、特許文献1に記載の車両用計器が知られている。図10は、公知の特許文献1に示された車両用計器板における液晶表示モジュールの取り付け構造図である。この特許文献1では、図10のように、配線基板70の前面に液晶表示パネル41を取り付けた表示板70hを有し、配線基板70の裏面に、金属からなるシールドケース70cを有し、このシールドケース70c内に制御回路が設けられ、液晶表示パネル41と制御回路とは配線92で接続されている。
【0005】
シールドケース70cは、制御回路を覆う金属部材からなり、この金属部材を貫通するコネクタ70d内を液晶表示パネル41からの配線92が貫通している。この特許文献1では記載されていないが、通常この種の液晶表示パネル41は、アース(接地またはグランド接続とも言う)される必要がある。
【0006】
この場合、シールドケース70cもアースされるのが通常であるから、配線92内にアース線が存在し、このアース線がシールドケース70cや配線基板70内のアース線と接続されていると考えられる。
【0007】
図11は、周知の液晶表示モジュール40と配線基板70との間の配線92となるフレキシブルワイヤを用いた接続構造図である。液晶表示モジュール40は、金属筐体43内にTFT型の液晶表示素子を使用した液晶表示ディスプレイ41が内蔵され、耐電気ノイズ性能を向上させるために、液晶表示ディスプレイ41の表示面以外の箇所は金属筐体43に覆われている。
【0008】
接続用のコネクタ90、91を介して金属筐体43が配線基板70上のアース線に接続される。また、コネクタ90、91を介して液晶表示モジュール40が配線基板70上の信号線と接続される。このフレキシブルワイヤから成る配線92も、図10の特許文献1の配線92と同様に、ある程度ゆとりを持った長さでコネクタ90、91相互間を接続している。
【0009】
このように、車両用計器板内に車両情報を表示する液晶表示素子を使用した液晶表示ディスプレイ41を有する装置においては、配線基板70と金属筐体43とをコネクタ90、91を介してフレキシブルワイヤからなる配線92で接続されることが多い。
【0010】
また、液晶表示モジュール40自体、あるいは、配線基板70と液晶表示モジュール40との間の配線92内には高周波電流が流れ、電気ノイズの発生や吸収が問題となる。このため、液晶表示モジュール40自体の中にアース電位の金属筐体を使用し、フレキシブルワイヤ自体をアース電位のシールド線を用いてグランドシールドすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−210255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1の技術および上記周知技術の場合、液晶表示モジュールの金属筐体のアース電位部分と、配線基板のアース電位部分とを可能な限り広い面積で接触させて低インピーダンスで導通させることが耐電気ノイズ性に対して有利である。しかし、そのために、金属の別部品が必要になったのでは、コスト及ぶ搭載スペース上の問題で不利になってしまう。
【0013】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、コストアップや搭載スペース上の問題を回避しつつ、各々回路部を有し、該回路部の対向面に接地電位が付与されたアース接続部を有する電気回路装置において、耐電気ノイズ性に対して有利な構造の電気回路装置を提供することにある。
【0014】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、第1対向面と、該第1対向面に設けられてアースされる第1アース接続部とを有する第1回路基板、両端部間において折り返されてなり、第1アース接続部に一端部が接続されるアース配線、及び第1対向面に対向する第2対向面と、該第2対向面に設けられると共にアース配線の他端部に接続されてアースされる第2アース接続部とを有する第2回路基板を備え、第1及び第2アース接続部のうち一方は、他方とアース配線を介して接続されており、アース配線は、第1アース接続部から第1対向面にそって当該第1対向面に接合されていることを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、第1及び第2アース接続部のうち一方は、他方とアース配線を介して接続されており、アース配線は、第1アース接続部から第1対向面にそって当該第1対向面に接合されているから、接合されていることによって、容量成分(キャパシタンス)が増加し、第1回路基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。従って、第1第2回路基板間のアース配線に高周波電流が発生しても、この高周波電流は低インピーダンスで第1第2アース接続部に流れ易いから、耐電気ノイズ性に対して有利な構造を実現できる。すなわち、外来の電気ノイズを第1回路基板内に入れることが少なく、第1回路基板から電気ノイズが発生する場合は、電気ノイズの原因となる高周波電流を低インピーダンスでアース接続部に流せるから、第1回路基板から放射される電気ノイズを少なくできる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、アース配線は、第2アース接続部から第2対向面に沿って延伸し、該第2対向面と接合されることを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、アース配線は、第2アース接続部から第2対向面に沿って延伸し、該第2対向面と接合されるから、接合されていることによって、容量成分(キャパシタンス)が増加し、第2回路基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。従って、第1第2回路基板間のアース配線に高周波電流が発生しても、この高周波電流は低インピーダンスで第2アース接続部に流れ易いから、耐電気ノイズ性に対して有利な構造を実現できる。すなわち、外来の電気ノイズを第2回路基板内に入れることが少なく、第2回路基板から電気ノイズが発生する場合は、電気ノイズの原因となる高周波電流を低インピーダンスでアース接続部に流せるから、第2回路基板から放射される電気ノイズを少なくできる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間するから、折り返し部によって、容量成分が増加し、第1第2回路基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。従って、第1第2回路基板間のアース配線に高周波電流が発生しても、この高周波電流は低インピーダンスで第2アース接続部に流れ易いから、耐電気ノイズ性に対して有利な構造を実現できる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することなく第1第2対向面の一方に形成されていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することなく第1第2対向面の一方に形成されているから、第1第2対向面の一方での容量成分が増加し、基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。従って、基板間のアース配線に高周波電流が発生しても、この高周波電流は低インピーダンスでアース接続部に流れ易いから、耐電気ノイズ性に対して有利な構造を実現できる。また、アース配線が長すぎる場合においても、折り返し部で長さを調整できる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、アース配線は、第1対向面と面接触する帯状に形成されていることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、アース配線は、第1対向面と面接触する帯状に形成されているから、容量成分を増加させ易く、基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、アース配線は、第2アース接続部から第2対向面に沿って延伸し、当該第2対向面と接続されると共に、第2対向面と面接触する帯状に形成されていることを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、アース配線は、第2アース接続部から第2対向面に沿って延伸し、当該第2対向面と接続されると共に、第2対向面と面接触する帯状に形成されているから、容量成分を増加させ易く、基板とアース配線との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。
【0027】
請求項7に記載の発明では、第1及び第2アース接続部のうち、いずれか一方の接続部が、アース配線を介してアースされる第1基板は金属筐体に形成されていることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、第1及び第2アース接続部のうち、いずれか一方の接続部が、アース配線を介してアースされる第1基板は金属筐体に形成されているから、アース配線と金属筐体との間の容量成分が増加し、アース配線と金属筐体との間の少なくとも交流接続を、低インピーダンスで接続できる。従って、金属筐体に高周波電流が発生しても、この高周波電流は低インピーダンスを介してアース接続部に流れ易いから、耐電気ノイズ性に有利な構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用計器板の正面図である。
【図2】図1中のF2−F2線に沿う断面図である。
【図3】図1の車両用計器板に使用した液晶表示モジュールの斜視図である。
【図4】図1の液晶表示モジュールと配線基板との接続部分の拡大図である。
【図5】図4の配線を構成するフレキシブルワイヤをまっすぐに延ばして図示した模式断面図である。
【図6】図4のフレキシブルワイヤとして使用した別タイプの配線の構造図であり、図6の(a)部は断面構成、図6の(b)部は、矢印Y6方向から見た平面構成を示してしている。
【図7】本発明の第2実施形態を示す液晶表示モジュールと配線基板との接続部分の拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す液晶表示モジュールと配線基板との接続部分の拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態を示す配線基板相互間の接続部分の拡大図である。
【図10】公知の特許文献1に示された車両用計器板における液晶表示モジュールの取り付け構造図である。
【図11】周知の液晶表示モジュールと、配線基板との間の配線となるフレキシブルワイヤを用いた接続構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0031】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図6を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態における車両用計器板の正面図である。図2は、図1中のF2−F2線に沿う断面図である。
【0033】
図1、及び図2において、車両用計器板1のコンビネーションメータは、自動車の運転席前方のインスツルメントパネル内に配置され、各種車両情報を表示するものであり、例えば樹脂製のケース10内に、検出情報(エンジン回転数、車速)に応じて回動する指針計器20、30、自動車内の各種警告情報を絵文字で表示する液晶表示モジュール40、光透過率調整パネルであるスモークレンズからなるフロントパネル50、表示板60、プリント基板からなる配線基板70、および各機器20、30、40等を制御する制御装置80(図2)等を収納している。配線基板70は、例えば、ガラスエポキシ基板等から形成されてコンビネーションメータ1の回路部を構成している。
【0034】
指針計器20、30は、個別に発光制御可能な指針21、31、シャフト23(図2)を介して指針21を回動するムーブメント22(但し、計器30のムーブメントは図示してない)を備え、制御装置80の制御信号により、指針21、31を個別に発光表示したり、この表示板60と一体に形成された指針計器20、30の文字板20a、30aやその外枠20b、30bを個別に(独立して)発光表示したりできる構成にしてある。
【0035】
液晶表示モジュール40は、例えばTFTタイプの液晶デバイスからなる液晶表示ディスプレイ41を有する。金属筐体43内に存在するバックライト42は、この液晶表示ディスプレイ41に背面から光を入射させる。バックライト42は、例えば白色発光ダイオードと、その白色光を液晶表示ディスプレイ41の背面(裏面)に導く導光板とから構成されている。
【0036】
次に、制御装置80内の図示しない制御回路は、CPU、ROM、RAMを含むマイクロコンピュータから構成され、機能実現手段として指針制御手段、液晶表示制御手段、バックライト制御手段を有する。また制御回路の制御信号を受けて各機器20、30、41、42を駆動する駆動回路および映像回路を有する。これらの回路の一部は、金属筐体43内にも収納されている。
【0037】
図3は、図1の車両用計器板1に使用した液晶表示モジュール(LCDモジュール)40の斜視図である。この液晶表示モジュール40は、耐電気ノイズ性を向上させるために、アース電位に接続された導電性の金属筐体43の内部に液晶表示ディスプレイ41の表示面を露出させて収納されている。
【0038】
液晶表示ディスプレイ41で表示される各種警告情報は、例えば、ドア開放もしくは半ドア情報、変速機のオーバードライブ段のオンオフ情報、バッテリー充電状態、残存燃料不足状態、ヘッドランプ遠方照明状態、エンジンオイル量低下情報等であり、警告すべき状態にある項目をカラー表示したり、もしくは点滅表示、もしくは拡大表示したりする。
【0039】
液晶表示ディスプレイ41を駆動制御する液晶駆動回路は、高い周波数で作動するため、その作動時に当該回路部分から高周波を電磁波として放射することがある。この高周波が、車両用計器板1内等の他の機能の回路部に、電気ノイズとして影響を及ぼすことがある。
【0040】
この電気ノイズを防止するために、液晶駆動回路が内部に形成された液晶表示モジュールの液晶駆動回路部分を覆うように導電性金属板からなる金属筐体43を取り付けて、それにより高周波を遮蔽することが行われている。金属筐体43は、本発明にいう基板の他方を構成している。
【0041】
なお、液晶駆動回路が、本発明にいう基板の一方を構成する配線基板70側に存在していても良い。液晶表示モジュール43には、例えば、TFT型のドットマトリクスタイプの液晶表示ディスプレイ41が用いられている。
【0042】
図4は、図1の液晶表示モジュール40と配線基板70との接続部分の拡大図である。液晶表示モジュール40の金属筐体43は、夫々アース接続部をなすコネクタ90、91を介してフレキシブルワイヤからなる配線92で配線基板70側のコネクタ91に接続されている。
【0043】
配線92は、本発明のアース配線を構成し、回路部を構成する液晶表示モジュール40の平面部に接合した電気回路接合部92aと、配線基板70の表面に接合した配線基板接合部92bと、電気回路接合部92aと配線基板接合部92bとの間の空間部102aを経由して橋絡する橋絡部92cとを有している。
【0044】
そして、電気回路接合部92aと配線基板接合部92bと橋絡部92cとでU字状の断面形状を形成している。これにより、電気回路接合部92aと配線基板接合部92bとの間の容量成分(キャパシタンス)92abが充分に大きな値となり、電気ノイズを抑制することができる。
【0045】
なお、電気回路接合部92aと金属筐体43の間、及び配線基板接合部92bと配線基板70表面の図示しないアース電位部分とは、導体同士が直接接触するようにすれば、広い面積で直接接触するため、接触抵抗が低下し、より一層の電気ノイズ抑制作用が得られる。
【0046】
なお、図4において、接合部の接合長さLは、少なくとも10mm以上、好ましくは、15mmないし40mmの範囲に選ばれる。また、幅Wは、3mm以上、好ましくは5mmないし30mmの範囲に選ばれる。
【0047】
このフレキシブルワイヤから成る配線92は、後述するようにシールド線として構成されており、内部には多数本の信号線やアース線が設けられている。配線基板70は、プリント配線基板からなり、導体のアース電位部分が敷設されている。
【0048】
図5は、図4の配線92を構成するフレキシブルワイヤをまっすぐに延ばして図示した模式断面図である。配線92の内部には、多数本の信号線やアース線が設けられている。これらの多数本の信号線やアース線を一括して信号ライン93と称する。
【0049】
この信号ライン93の両端には、金属の電極94、95が設けられており、それぞれの電極94、95は、各コネクタ90、91(図4)に接続される。帯状の信号ライン93の表裏には、図示しない絶縁部材を介して導電性のグランドシールド96となるシールドのための導電膜が設けられている。図5は、グランドシールド96が露出しているタイプである。
【0050】
一方、図6は、図4のフレキシブルワイヤとして使用した別タイプの配線92の模式構造図である。図6の(a)部は断面構成、図6の(b)部は、矢印Y6方向から見た平面構成を示している。
【0051】
図6は、グランドシールド96が絶縁外層膜(絶縁コーティング)97によって覆われているタイプであり、絶縁外層膜97によって他の配線とのショートを防止することができる。図5、図6のいずれのタイプの配線92を使用しても良い。
【0052】
この第1実施形態においては、第1対向面と、該第1対向面に設けられてアースされる第1アース接続部90とを有する第1回路基板43を有する。両端部間において折り返されてなり、第1アース接続部90に一端部が接続されるアース配線92を有する。
【0053】
第1対向面に対向する第2対向面と、該第2対向面に設けられると共にアース配線92の他端部に接続されてアースされる第2アース接続部91を有する第2回路基板70を備えている。
【0054】
第1及び第2アース接続部のうち一方90は、他方とアース配線92を介して接続されており、アース配線92は、第1アース接続部90から第1対向面にそって当該第1対向面に接合されている。
【0055】
次に、アース配線92は、第2アース接続部91から第2対向面に沿って延伸し、該第2対向面と接合されている。次に、両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間している。
【0056】
次に、アース配線は、第1対向面と面接触する帯状に形成されている。更に、アース配線92は、第2アース接続部91から第2対向面に沿って延伸し、当該第2対向面と接続されると共に、第2対向面と面接触する帯状に形成されている。また、第1及び第2アース接続部のうち、いずれか一方の接続部90が、アース配線92を介してアースされる第1基板は金属筐体40に形成されている。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0058】
図7は、本発明の第2実施形態を示す液晶表示モジュール40と配線基板70との接続部分の拡大図である。図7において、配線基板70に金属の台座100がビス等で取り付けられている。台座100は、前方方向となる図7中右側に、液晶表示モジュール40を載置し、かつ収容するための凹部101が設けられている。
【0059】
凹部101には、配線92を通すための貫通穴102が設けられている。この貫通穴102内に、一方の基板を成す配線基板70側のアース接続部を成すコネクタ91と液晶表示モジュール40側のアース接続部を成すコネクタ90とが相対向して設けられている。配線92は、フレキシブルワイヤを成すシールド線からなり、アース配線を構成しているが、市販のものを使用するため長さが長すぎるのを調整する必要がある。
【0060】
この長さを調節するためと、液晶表示モジュール40と配線92の接合部92aを長く確保するために、図7の(a)部に示すように、液晶表示モジュール40側のコネクタ90を出た配線92は、接合部92aを過ぎたあたりで折り返された部分を成す折り返し部92Uを有する。配線92は、折り返し部92Uの後に、傾斜部92Sを介して配線基板70側のコネクタ91に接続される。
【0061】
折り返し部92Uは、台座100と液晶表示モジュール40の金属筐体43との間に挟持され、電気回路接合部92aを構成する。この配線92は、図5または図6のシールド線を使用して構成される。このように、図7においては配線基板70の表面に接合した配線基板接合部を有しない。
【0062】
しかし、電気回路接合部92aを有するため、この配線92を介して金属筐体43と配線基板70との間の増加した容量成分92abを介して、金属筐体43側と配線基板70側とが低インピーダンスで結合される。従って、外部から飛来する電気ノイズの影響を受け難く、また、液晶表示モジュール40や、配線92から放射される電波の外部への飛来を抑制することができる。
【0063】
この第2実施形態においては、第1対向面と、該第1対向面に設けられてアースされる第1アース接続部90とを有する第1回路基板43を有する。両端部間において折り返されてなり、第1アース接続部90に一端部が接続されるアース配線92を有する。
【0064】
第1対向面に対向する第2対向面と、該第2対向面に設けられると共にアース配線92の他端部に接続されてアースされる第2アース接続部91を有する第2回路基板70を備えている。
【0065】
第1及び第2アース接続部90、91のうち一方90は、他方91とアース配線92を介して接続されており、アース配線92は、第1アース接続部90から第1対向面にそって当該第1対向面に接合されている。次に、アース配線92の両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することなく第1第2対向面の一方に形成されている。
【0066】
アース配線92は、第1対向面と面接触する帯状に形成されている。次に、第1及び第2アース接続部90、91のうち、いずれか一方の接続部90が、アース配線92を介してアースされる第1基板は金属筐体43に形成されている。
【0067】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図8は、本発明の第3実施形態を示す液晶表示モジュールと配線基板との接続部分の拡大図である。
【0068】
図8において、液晶表示モジュール40は、配線基板70に対して鉄製のブラケット100aで取り付けられている。ブラケット100aは、金属筐体43をアースしている。液晶表示モジュール40の金属筐体43には配線92が接合し電気回路接合部92aが構成されている。
【0069】
また、配線基板70と配線92が接合した部分である配線基板接合部92bが形成されている。これらの電気回路接合部92a、及び配線基板接合部92bは、金属筐体43や配線基板70に接合した状態を保持するために接着や結合具を使用することができるが、この第3実施形態では、電気回路接合部90aと配線基板接合部90bとの間の空間部102aに樹脂製のメータケース部分100bを介在させて、電気回路接合部90aと配線基板接合部90bとを押さえ付けている。
【0070】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図9は、本発明の第4実施形態を示す配線基板相互間の接続部分の拡大図である。本発明は、液晶表示ディスプレイを使用するものに限らず適用できる。
【0071】
図9において、本発明の回路部を有する他方の基板を成す板状部材(第1回路基板を成すプリント配線基板)701から一方の基板を成す配線基板(第2回路基板を成すプリント配線基板)702に、アース線を成す配線92を接続する場合、この配線92に対して外部から電気ノイズが侵入するのを防止したり、あるいは配線92に流れる高周波電流に起因して外部に電気ノイズを放射したりすることを抑制する必要がある場合、配線92には、シールド線が使用される。
【0072】
シールド線は、相対向する他方のアース接続部を成すコネクタ90と一方のアース接続部を成すコネクタ91を介して、板状部材701と配線基板702とに接続されている。板状部材側の接合部と成る電気回路接合部92aと配線基板接合部92bとによって、一方側と他方側との間の浮遊容量からなる容量成分(キャパシタンス)が増大し、一方側と他方側とで基板とアース線とが交流的に結合され、耐電気ノイズ性能の優れた電気回路装置を得ることができる。
【0073】
また、コネクタ90とコネクタ91から出たばかりの配線部分は、配線基板や金属筐体から少し浮いているが、この出たばかりの配線部分を、夫々基板を成す配線基板や金属筐体側に折り曲げて接合部を形成している。
【0074】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、液晶表示ディスプレイの例を述べたが、有機EL等のその他のディスプレイであっても良い。
【0075】
また、配線として信号線とアース線とが設けられたシールド線を使用する例について述べたが、シールド部分が無い配線を使用することもできる。更に、配線の中のシールド線やアース線は、プリント配線基板上の導体、あるいは金属筐体に対して、直接接触して直流的に接続されていることが好ましいが、間に絶縁部材が介在していても良く、要は容量成分を介して交流的に接続されていれば良い。
【0076】
また、液晶表示ディスプレイは、TFT型以外の液晶表示素子を使用しても良い。また、配線を、プリント配線基板上の導体、あるいは金属筐体に対して、接合及び導通させるために、導電性接着剤を使用しても良い。
【0077】
更に、図7の第2実施形態においては、折り返し部92Uが、接合部92aの電気回路側、つまり液晶表示モジュール40側に設けたが、配線基板70側に設けても良い。この場合は、台座100と配設基板70との間に接合部が挟持される。また、折り返し部を液晶表示モジュール40側と配線基板70側との両側に設けても良い。
【0078】
次に、図9において、接合部92a、92bは、いずれか一方のみとしても良い。この場合は、配線92の形状はU字状でなく、L字状となり、これによっても、容量成分92abを増加させることができる。
【0079】
なお、図示は省略したが、図9において容量成分は、接合部92a、92b相互間のみでなく、各接合部92a、92bと各プリント基板内のアース電位部分となる導体間に存在している。
【0080】
そして、ある程度の長さを有する接合部92a、92bを設けることで直接的には、各接合部92a、92bと各プリント基板内のアース電位部分となる導体間に存在している容量成分が増加し、副次的に接合部92a、92b相互間の容量成分も増加している。これによりコネクタ90側とコネクタ91側とが直流的交流的に電流が流れ易い上体で接続され、耐電気ノイズ性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両用計器板
40 液晶表示モジュール
41 液晶表示ディスプレイ
43 金属筐体(第1回路基板)
70 配線基板(第2回路基板)
90 コネクタ(第1アース接続部)
91 コネクタ(第2アース接続部)
92 配線(アース配線)
92a 電気回路接合部
92b 配線基板接合部
92c 橋絡部
92U 折り返し部
102a 空間部
701 板状部材(第1回路基板)
702 配線基板(第2回路基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対向面と、該第1対向面に設けられてアースされる第1アース接続部とを有する第1回路基板、
両端部間において折り返されてなり、前記第1アース接続部に一端部が接続されるアース配線、及び
第1対向面に対向する第2対向面と、該第2対向面に設けられると共に前記アース配線の他端部に接続されてアースされる第2アース接続部とを有する第2回路基板、を備え、
第1及び第2アース接続部のうち一方は、他方と前記アース配線を介して接続されており、前記アース配線は、前記第1アース接続部から前記第1対向面にそって当該第1対向面に接合されていることを特徴とする電気回路装置。
【請求項2】
前記アース配線は、前記第2アース接続部から前記第2対向面に沿って延伸し、該第2対向面と接合されることを特徴とする請求項1に記載の電気回路装置。
【請求項3】
前記両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することを特徴とする請求項1または2に記載の電気回路装置。
【請求項4】
前記両端部間の折り返し部が、第1第2対向面の対向方向において、離間することなく前記第1第2対向面の一方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気回路装置。
【請求項5】
前記アース配線は、第1対向面と面接触する帯状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項6】
前記アース配線は、第2アース接続部から第2対向面に沿って延伸し、当該第2対向面と接続されると共に、第2対向面と面接触する帯状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気回路装置。
【請求項7】
前記第1及び第2アース接続部のうち、いずれか一方の接続部が、前記アース配線を介してアースされる前記第1基板は金属筐体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電気回路装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−244133(P2012−244133A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116314(P2011−116314)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】