説明

電気掃除機用吸込具

【課題】床面における狭い部分を効果的に掃除できる電気掃除機用吸込具を提供すること。
【解決手段】電気掃除機用吸込具1のハウジング10では、前面10Bの副吸込口13をシャッター14が開閉する。床面Xにおける狭い部分を掃除したい場合には、副吸込口13が床面Xに対向するようにハウジング10を倒立させ、シャッター14を開く。シャッター14は、開いた状態においてハウジング10内と連通する取込穴20を有している。そのため、狭い部分の塵埃を副吸込口13からハウジング10内に吸い込み、狭い部分においてシャッター14に対向している部分の塵埃を取込穴20からハウジング10内に吸い込める。ハウジング10内に設けられたフラップ部材21が、シャッター14が開くのに連動して、取込穴20から流入する空気および塵埃をベンドパイプ11へと導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機用吸込具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機用吸込具は、幅広のハウジングを有しており、ハウジングの底面には、吸込口が形成されている(特許文献1参照)。ハウジング底面の吸込口を床面に対向させた状態で電気掃除機用吸込具を床面上で移動させることによって、床面の塵埃が吸込口からハウジング内部に取り込まれ、これにより、床面の掃除が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−16606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気掃除機用吸込具では、何もない広い床面であれば、床面上で電気掃除機用吸込具を移動させるだけで、なんら問題なく掃除できる。
しかし、床面において家具と家具との間といった狭い部分には、電気掃除機用吸込具が入りにくいので、この狭い部分を電気掃除機用吸込具で掃除するのは困難である。
ただし、このような狭い部分には、塵埃が大量に溜まっている場合があるので、狭い部分ほど念入りに掃除する必要がある。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、床面における狭い部分を効果的に掃除できる電気掃除機用吸込具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、一端は前記ハウジングに連結され、他端は前記ハウジングから後方へ突出していて、電気掃除機本体と接続でき、前記主吸込口および前記副吸込口から前記ハウジング内に流入する空気および塵埃を前記電気掃除機本体へ誘導するためにベンドパイプと、前記ハウジング内に回転可能に設けられ、前記主吸込口および前記副吸込口に臨む回転ブラシと、前記副吸込口を開閉可能に覆うシャッターであって、開いた状態において前記シャッターを通じて前記ハウジング内と連通するように形成された取込穴を有するシャッターと、前記ハウジング内に設けられ、前記シャッターの開閉に応じて移動可能であり、前記シャッターが開くのに連動して、前記取込穴から流入する空気および塵埃を前記ベンドパイプの一端へと導くフラップ部材と、を含むことを特徴とする、電気掃除機用吸込具である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記フラップ部材は、前記取込穴から前記ベンドパイプの一端へと流入風が向かう方向において、前記取込穴に対して下流側から隣接した位置にあることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機用吸込具のハウジングでは、底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されている。シャッターが、副吸込口を開閉可能に覆う。そして、ハウジングには、ベンドパイプの一端が連結され、ベンドパイプの他端は、ハウジングから後方へ突出していて、電気掃除機本体と接続できる。ハウジング内には、回転ブラシが回転可能に設けられており、回転ブラシは、主吸込口および副吸込口に臨んでいる。
【0009】
ハウジング底面の主吸込口が床面に対向した状態で、電気掃除機用吸込具を床面上で移動させる際、電気掃除機本体で発生した吸引力が主吸込口に作用する。これにより、床面上の塵埃が、空気とともに、主吸込口からハウジング内に吸い込まれ、ベンドパイプによって電気掃除機本体へ誘導される。ここで、シャッターが副吸込口を覆っていると、吸引力を主吸込口だけに作用させることができる。また、回転ブラシが主吸込口から床面の塵埃を掻き上げるので、塵埃を主吸込口からハウジング内へ効果的に流入させることができる。
【0010】
一方、床面において家具と家具との間といった狭い部分を掃除したい場合には、まず、主吸込口の代わりに副吸込口が床面に対向するように、ハウジング(電気掃除機用吸込具)の姿勢を変える。すると、一般的に幅広で上下に扁平なハウジングが倒立し、床面に対するハウジングの対向面積が小さくなる。これにより、前述した狭い部分にハウジングを入り込ませることができる。また、ハウジングを倒立させるのに応じて、シャッターを開く。
【0011】
そして、倒立させたハウジング(電気掃除機用吸込具)を狭い部分に入り込ませると、前述した吸引力が副吸込口に作用するので、狭い部分の塵埃が、空気とともに、副吸込口からハウジング内に吸い込まれ、ベンドパイプによって電気掃除機本体へ誘導される。これにより、床面における狭い部分を掃除できる。また、回転ブラシが副吸込口から床面(狭い部分)の塵埃を掻き上げるので、塵埃を副吸込口からハウジング内へ効果的に流入させることができる。
【0012】
ここで、シャッターは、開いた状態においてシャッターを通じてハウジング内と連通するように形成された取込穴を有している。そのため、前述した狭い部分の塵埃を副吸込口からハウジング内に吸い込むのに加えて、狭い部分においてシャッターに対向している部分(副吸込口では塵埃を吸い込みにくい部分)の塵埃を取込穴からハウジング内に吸い込むこともできる。これにより、床面における狭い部分を効果的に掃除できる。
【0013】
さらに、ハウジング内には、シャッターの開閉に応じて移動可能なフラップ部材が設けられており、フラップ部材は、シャッターが開くのに連動して、取込穴から流入する空気および塵埃をベンドパイプの一端へと導く。つまり、ハウジング内において取込穴からベンドパイプの一端へ向かう空気および塵埃の円滑な流れが、フラップ部材によって確保される。そのため、取込穴からハウジング内に流入した空気および塵埃は、フラップ部材によってベンドパイプの一端へ次々に送り込まれていくことから、前述した狭い部分において副吸込口では塵埃を吸い込みにくい部分の塵埃を取込穴からハウジング内に効果的に吸い込むことができる。これにより、床面における狭い部分をより効果的に掃除できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、フラップ部材は、取込穴からベンドパイプの一端へと流入風が向かう方向において、取込穴に対して下流側から隣接した位置にあるので、取込穴から流入する空気および塵埃をベンドパイプの一端へと効果的に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具1および伸縮パイプ2等の右側面図であって、電気掃除機用吸込具1が通常姿勢にある状態を示し、(b)は、(a)において電気掃除機用吸込具1を倒立姿勢へと変化させた状態を示している。
【図2】通常姿勢にある電気掃除機用吸込具1の右側断面図である。
【図3】図2において、シャッター14を開いた状態を示している。
【図4】倒立姿勢にある電気掃除機用吸込具1の右側断面図である。
【図5】図4の状態における電気掃除機用吸込具1を副吸込口13側から見た図である。
【図6】図4の状態における電気掃除機用吸込具1を主吸込口12側から見た図である。
【図7】図6において回転ブラシ17を省略した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、(a)は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機用吸込具1および伸縮パイプ2等の右側面図であって、電気掃除機用吸込具1が通常姿勢にある状態を示し、(b)は、(a)において電気掃除機用吸込具1を倒立姿勢へと変化させた状態を示している。
以下では、図1(a)における電気掃除機用吸込具1(以下では、単に「吸込具1」という。)の姿勢(通常姿勢)を基準として、吸込具1の前後左右方向を規定する。図1(a)において、左側が前側であり、右側が後側であり、奥側が左側であり、手前側が右側である。また、左右方向は、幅方向と同義である。
【0017】
吸込具1には、伸縮することで全長を変えることができる伸縮パイプ2の一端が接続されていて、伸縮パイプ2の他端には、操作部3を介してホース4が接続されている。操作部3は、伸縮パイプ2とホース4とを連結させる筒状の連結筒5と、連結筒5の外周面に取り付けられたメイングリップ6およびサブグリップ7とを含んでいる。ホース4には、電動送風機を内蔵した電気掃除機本体(図示せず)が接続されている。
【0018】
吸込具1は、図1(a)に示す通常姿勢と、図1(b)に示す倒立姿勢とに姿勢を変えることができる。吸込具1が通常姿勢にある状態において、たとえば、図1(a)ではサブグリップ7より上側にあるメイングリップ6が逆にサブグリップ7より下側に来るようにメイングリップ6をねじり、メイングリップ6からサブグリップ7に持ち変える。すると、伸縮パイプ2が少し上昇し、その際、吸込具1の後端部側を持ち上げるので、吸込具1の姿勢が倒立姿勢に変わる。
【0019】
次に、吸込具1について説明する。
図2は、通常姿勢にある吸込具1の右側断面図である。図3は、図2において、シャッター14を開いた状態を示している。図4は、倒立姿勢にある吸込具1の右側断面図である。
図2に示された通常姿勢の吸込具1を参照して、吸込具1は、ハウジング10とベンドパイプ11とを主に含んでいる。
【0020】
ハウジング10は、幅方向に長手(幅広)かつ上下方向に扁平で中空のボックス形状である。ハウジング10の底面10Aの前側には、幅方向に長手の主吸込口12が形成されており、ハウジング10の前面10Bには、幅方向に長手の副吸込口13が形成されている。副吸込口13は、主吸込口12に対して前側から連続している。主吸込口12および副吸込口13は、ハウジング10内に連通している。
【0021】
ハウジング10の前面10Bには、シャッター14が設けられている。シャッター14は、幅方向に長手の板状である。シャッター14は、幅方向から見て、前上側へ円弧状に膨出するように、湾曲している。シャッター14の前端の幅方向両端部には、前上側へ突出する凸部15が一体的に設けられている。シャッター14は、前上側から、副吸込口13を開閉可能に覆っている。図2では、シャッター14が副吸込口13を閉じており、図3では、シャッター14が開いて副吸込口13を前側へ露出させている。開いたシャッター14では、後側部分(隠れ部分14Aという。)が、ハウジング10の天壁10Cの前端部の下側に隠れるようにハウジング10内に収容される。
【0022】
ここで、シャッター14は、閉じるように付勢部材(ばねなど)で付勢されている。そのため、図3のように、壁Yに対して凸部15を押し付けることで、付勢部材の付勢力に抗してシャッター14を開くことができる。逆に、凸部15を壁Yから離すと、シャッター14は速やかに閉じる(図2参照)。
図2を参照して、ハウジング10の後面の幅方向中央には、接続筒16が取り付けられている(図2において右下へ延びる斜線で構成されたハッチングが施された部分を参照)。接続筒16は、前後方向に延びる中心軸を有する略円筒状であり、ハウジング10の後面に対して後から挿通され、ハウジング10によって、上述した中心軸を中心として回動自在に支持されており、ハウジング10の一部となっている。接続筒16の内部は、ハウジング10内に連通している。接続筒16の後端面と外周部分の周上1箇所とは、連続して切欠かれており、切欠き部16Aとされる。
【0023】
ベンドパイプ11は、図2では前後方向に長手であり、その前端11A(一端)は、略球体状に形成されている。ベンドパイプ11の前端11Aは、ハウジング10の接続筒16の切欠き部16Aに対して後から挿通されており、これによって、ベンドパイプ11は、接続筒16(ハウジング10)によって支持されている。
詳しくは、ベンドパイプ11では、前端11Aがハウジング10に連結され、後端11B(他端)は、ハウジング10から後方へ突出している。この状態で、ベンドパイプ11は、前端11Aを支点として、接続筒16に対して回動自在である。図2では、ベンドパイプ11は、上下に回動自在である。そして、接続筒16が、前後方向に延びる中心軸を中心として回動自在であることから、ベンドパイプ11は、接続筒16に対して回動しつつ、接続筒16とともに、前後方向に延びる中心軸を中心として回動することができる。
【0024】
ベンドパイプ11の内部は、接続筒16の内部を介して、ハウジング10内に連通している。ベンドパイプ11の後端11Bは、前述した伸縮パイプ2(図1参照)に接続されるので、伸縮パイプ2やホース4(図1参照)等を介して、電気掃除機本体(図示せず)に接続される。
また、ハウジング10内には、回転ブラシ17が設けられている。回転ブラシ17は、幅方向に長手でハウジング10の左右の側壁によって回転可能に支持される略円柱状の芯体18と、芯体18の外周面に植立されたブラシ毛19とを含んでいる。回転ブラシ17において、ブラシ毛19は、主吸込口12および副吸込口13の両方に臨んでいる。回転ブラシ17は、図示しないモータ等から駆動力を受けることによって、右側面視で反時計回りに回転する。
【0025】
清掃時に電気掃除機本体(図示せず)が運転されると、電気掃除機本体(図示せず)の電動送風機(図示せず)が吸引力を発生し、この吸引力が、ベンドパイプ11およびハウジング10の内部に作用する。これにより、ハウジング10の底面10Aの主吸込口12にも吸引力が作用するので、ハウジング10の外部の空気が主吸込口12からハウジング10内に吸い込まれる。
【0026】
そのため、主吸込口12が床面Xに対向した状態で、吸込具1を床面X上で移動させれば、床面X上の塵埃が、主吸込口12からハウジング10内に吸引される空気に乗って、主吸込口12からハウジング10内に吸い込まれる(太い実線矢印参照)。その後、ハウジング10内に流入したこれらの塵埃および空気は、ベンドパイプ11によって、前述した伸縮パイプ2およびホース4(図1参照)を介して、電気掃除機本体(図示せず)へ誘導され、電気掃除機本体(図示せず)内に溜められる。ここで、シャッター14が閉じて副吸込口13を覆っているので、吸引力を主吸込口12だけに作用させることができる。また、回転する回転ブラシ17が主吸込口12から床面Xの塵埃を掻き上げるので、塵埃を主吸込口12からハウジング10内へ効果的に流入させることができる。
【0027】
そして、図3に示すようにシャッター14が副吸込口13を開いていれば、前述した吸引力が副吸込口13に作用するので、副吸込口13からハウジング10内に塵埃を吸い込むことができる。図3では、シャッター14が開くことで、副吸込口13が壁Yに対向しているので、壁Yに付着した塵埃を副吸込口13からハウジング10内に吸い込むことができる(太い破線矢印参照)。副吸込口13からハウジング10内に吸い込まれた(流入した)塵埃および空気は、主吸込口12の場合と同様に、ベンドパイプ11によって電気掃除機本体(図示せず)へ誘導される。ここで、回転する回転ブラシ17において副吸込口13に臨むブラシ毛19が壁Yの塵埃を副吸込口13へ掻き込むので、効率的に壁Yを掃除することができる。
【0028】
また、図4に示すように、ハウジング10の底面10Aの主吸込口12でなく、前面10Bの副吸込口13が床面Xに上から対向するように、ハウジング10(吸込具1全体)を倒立させる。このときの吸込具1の姿勢は、前述した倒立姿勢である(図1(b)も参照)。吸込具1を倒立姿勢にする際、前述した凸部15が床面Xに接触して下から押されることによって、シャッター14が開く。
【0029】
吸込具1が倒立姿勢にあると、通常姿勢(図2および図3参照)のときに幅広で上下に扁平だったハウジング10において、副吸込口13側が底面となってベンドパイプ11側が天面となることで、ハウジング10が、前後方向(水平方向)に薄くなる(床面Xに対するハウジング10の対向面積が小さくなる)。そのため、家具と家具との間といった狭い部分にハウジング10を入り込ませることができる。
【0030】
そして、倒立させたハウジング10(吸込具1)を狭い部分に入り込ませると、前述した吸引力が副吸込口13に作用するので、狭い部分の塵埃が、空気とともに、副吸込口13からハウジング10内に吸い込まれ(太い破線矢印参照)、ベンドパイプ11によって電気掃除機本体(図示せず)へ誘導される。これにより、床面Xにおける狭い部分を掃除できる。また、回転する回転ブラシ17が副吸込口13から床面X(狭い部分)の塵埃を掻き上げるので、塵埃を副吸込口13からハウジング10内へ効果的に流入させることができる。
【0031】
図5は、図4の状態における吸込具1を副吸込口13側から見た図である。
ここで、吸込具1が倒立姿勢にある状態において、開いた状態にあるシャッター14には、床面Xに対向する部分(対向部分14Bという。)がある。図5を参照して、対向部分14Bの幅方向両側には、対向部分14Bを貫通する取込穴20が形成されている。左右の取込穴20のそれぞれは、幅方向に細長い。
【0032】
図6は、図4の状態における吸込具1を主吸込口12側から見た図である。図7は、図6において回転ブラシ17を省略した状態を示している。
図6の状態で回転ブラシ17を取り外すと、図7に示すように、ハウジング10の内部および天壁10Cの内面(ハウジング10内に臨む面)が主吸込口12から露出される。この天壁10Cの内面(ハウジング10内)には、フラップ部材21が設けられている。フラップ部材21の幅方向位置は、左右の取込穴20の間に相当する位置である。
【0033】
フラップ部材21は、幅方向に長手の薄板状である。フラップ部材21において天壁10Cに対向する側面の幅方向略中央には、天壁10C側へ突出する突起22が一体的に設けられている(図2参照)。突起22は、幅方向から見て天壁10C側へ向かって細くなる略台形状である(図2参照)。
天壁10Cには、フラップ部材21における副吸込口13側の端部を幅方向から挟む1対の軸部23が設けられており、左右の軸部23は、フラップ部材21における副吸込口13側の端部に挿通されている。これにより、フラップ部材21は、軸部23を中心に揺動することができる。詳しくは、フラップ部材21は、突起22が天壁10Cに接近する接近位置(図2参照)と、接近位置の場合に比べて突起22が天壁10Cから離間する離間位置(図3参照)との間で揺動することができる。図7における右側の軸部23には、トーションばね24が取り付けられており、このトーションばね24は、フラップ部材21を接近位置へ揺動するように付勢している。
【0034】
そして、前述したように吸込具1を通常姿勢(図2参照)から、図4に示す倒立姿勢にすると、その際に開くシャッター14において、前述した隠れ部分14Aが、ハウジング10の天壁10Cとフラップ部材21との間に入り込みながら、接近位置のフラップ部材21の突起22を押す。これにより、突起22が天壁10Cから離間するようにフラップ部材21が離間位置へ向けて揺動する。そして、図4に示すようにシャッター14が完全に開いたときには、フラップ部材21が離間位置に到達する。
【0035】
ここで、逆にシャッター14を閉じると、隠れ部分14Aが天壁10Cとフラップ部材21との間から外れて突起22を押さなくなるので、フラップ部材21は、トーションばね24(図7参照)の付勢力によって接近位置へと戻る(図2参照)。つまり、フラップ部材21は、シャッター14の開閉に応じて離間位置と接近位置とに移動可能である。
そして、吸込具1が倒立姿勢になってフラップ部材21が離間位置まで揺動した状態では、フラップ部材21(突起22を除く)とシャッター14の隠れ部分14Aとの間には、隙間Zが形成される。図4の状態を基準として、隙間Zは、接続筒16(図2参照)に対して下側から連通しつつ、開いたシャッター14の取込穴20を介して、床面X(前述した狭い部分)に上から連通している。隙間Zの代わりに取込穴20を基準とすると、取込穴20は、シャッター14が開いた状態において、シャッター14を通じてハウジング10内の隙間Zと連通する。
【0036】
そのため、この状態で、前述した吸引力が発生すると、吸引力は、主吸込口12や副吸込口13だけでなく、隙間Zを介して取込穴20にも作用する。これにより、主吸込口12および副吸込口13から床面X(前述した狭い部分であり、以下同じ。)の塵埃および空気がハウジング10内に吸い込まれるとともに(太い実線矢印および太い破線矢印参照)、取込穴20から床面Xの塵埃および空気がハウジング10内に吸い込まれる(太い1点鎖線矢印参照)。
【0037】
このように、前述した狭い部分の塵埃を副吸込口13からハウジング10内に吸い込むのに加えて、狭い部分においてシャッター14に対向している部分(シャッター14の対向部分14Bが邪魔なため副吸込口13では塵埃を吸い込みにくい部分)の塵埃を取込穴20からハウジング10内に吸い込むこともできる。これにより、床面Xにおける狭い部分を効果的に掃除できる。
【0038】
そして、取込穴20からハウジング10内に吸い込まれた塵埃および空気は、太い1点鎖線矢印で示すように、前述した隙間Zを通ることでフラップ部材21によって接続筒16(換言すれば、ベンドパイプ11の前端11A)へ導かれ、その後、ベンドパイプ11に誘導されて掃除機本体(図示せず)へ送られる。このように、フラップ部材21は、シャッター14が開くのに連動して離間位置へと移動し、取込穴20から流入する空気および塵埃をベンドパイプ11の前端11Aへと導いている。
【0039】
つまり、ハウジング10内において取込穴20からベンドパイプ11の前端11Aへ向かう空気および塵埃の円滑な流れ(バイパス流路)が、フラップ部材21によって確保される。そのため、取込穴20からハウジング10内に流入した空気および塵埃は、フラップ部材21によってベンドパイプ11の前端11Aへ次々に送り込まれていくことから、前述した狭い部分において副吸込口13では塵埃を吸い込みにくい部分の塵埃を取込穴20からハウジング10内に効果的に吸い込むこともできる。これにより、床面Xにおける狭い部分をより効果的に掃除できる。
【0040】
ここで、フラップ部材21は、取込穴20からベンドパイプ11の前端11Aへと空気(流入風)および塵埃が向かう方向(太い1点鎖線矢印参照)において、取込穴20に対して下流側から隣接した位置にある。そのため、フラップ部材21は、取込穴20から流入する空気および塵埃をベンドパイプ11の前端11Aへと効果的に導くことができる。
シャッター14に取込穴20がない場合には、前述した吸引力が主吸込口12に必要以上に作用してしまうので、その分、床面Xの狭い部分の塵埃を副吸込口13から円滑に吸い込むのが困難である。そこで、取込穴20があると、吸引力は、主吸込口12に必要以上に作用せず、その分、副吸込口13および取込穴20に大きく作用するので、床面Xの狭い部分の塵埃を副吸込口13および取込穴20から円滑に吸い込むことができる。
【0041】
なお、吸込具1を通常姿勢にして主吸込口12から床面Xの塵埃を吸い込む場合において(図2参照)、取込穴20からもハウジング10内に空気が吸い込まれるが、このことが主吸込口12における吸引力の低下を引き起こすことはない。むしろ、取込穴20からも空気が吸い込まれることによって、主吸込口12における吸引力が必要以上に強くなることを抑えることができる。
【0042】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 電気掃除機用吸込具
10 ハウジング
10A 底面
10B 前面
11 ベンドパイプ
11A 前端
11B 後端
12 主吸込口
13 副吸込口
14 シャッター
17 回転ブラシ
20 取込穴
21 フラップ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に主吸込口が形成され、前面に副吸込口が形成されたハウジングと、
一端は前記ハウジングに連結され、他端は前記ハウジングから後方へ突出していて、電気掃除機本体と接続でき、前記主吸込口および前記副吸込口から前記ハウジング内に流入する空気および塵埃を前記電気掃除機本体へ誘導するためにベンドパイプと、
前記ハウジング内に回転可能に設けられ、前記主吸込口および前記副吸込口に臨む回転ブラシと、
前記副吸込口を開閉可能に覆うシャッターであって、開いた状態において前記シャッターを通じて前記ハウジング内と連通するように形成された取込穴を有するシャッターと、
前記ハウジング内に設けられ、前記シャッターの開閉に応じて移動可能であり、前記シャッターが開くのに連動して、前記取込穴から流入する空気および塵埃を前記ベンドパイプの一端へと導くフラップ部材と、
を含むことを特徴とする、電気掃除機用吸込具。
【請求項2】
前記フラップ部材は、前記取込穴から前記ベンドパイプの一端へと流入風が向かう方向において、前記取込穴に対して下流側から隣接した位置にあることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機用吸込具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−172739(P2011−172739A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39175(P2010−39175)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】