説明

電気接続用端子及びその実装方法

【課題】複数の端子を吸着ノズルで直接吸着して基板に実装することができるとともに、端子を無用に大型化させることがなく、端子同士の位置ずれを生ずることもない電気接続用端子及びその実装方法を提供する。
【解決手段】複数の端子部10を連結した連結部20を吸着ノズルで吸着して基板1の実装面に載置することにより、各端子部10の接続部11を基板1に接続するようにしたので、従来のように複数の端子を保持したコネクタを用いる必要がない。この場合、各端子部10が連結部20で連結されたまま基板1に接続されるので、各端子部10を同時に実装することができるとともに、各端子部10同士の位置ずれを生ずることもない。また、各端子部10を基板1に接続した後、各端子部10から連結部20を除去するようにしたので、実装後には無用となる連結部20を残存させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田付け等によって基板に実装され、例えば携帯電話機、携帯端末、デジタルカメラ等の電子機器のバッテリーを基板と電気的に接続するために用いられる電気接続用端子及びその実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば携帯電話機の本体背面側には、充電式電池からなるバッテリーが着脱自在に取り付けられており、バッテリーの接点には携帯電話機本体側の基板に実装されたコネクタの端子が接触することにより、バッテリーと基板が電気的に接続されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記コネクタは、バッテリー等の接続対象物と接触する弾性変形可能な複数の端子と、各端子を保持する絶縁性のハウジングとを備え、各端子の一端側をハウジング内に固定するとともに、各端子の他端側をハウジングの一端面から外部に突出させ、接続対象物をハウジングの外部から端子の他端側に接触させることにより、各端子を接続対象物の電気接点に圧接させるように構成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、前記コネクタを基板に実装する場合は、ハウジングを実装機の吸着ノズルで吸着してコネクタを基板の所定位置に載置し、リフローにより端子を基板に半田付けするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−36941号公報
【特許文献2】特開2008−66199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のように各端子を基板に接続する場合、端子を吸着ノズルで直接吸着して基板に実装するようにすれば、コネクタのハウジングが不要となり、構造の簡素化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。しかしながら、このような実装方法では、端子自体にノズル用の吸着部を設けなければならず、しかも吸着部は実装時にしか必要としないため、端子を無用に大型化させるという問題点がある。また、各端子を一つずつ実装するのでは、実装作業の効率を低下させるとともに、端子同士の位置ずれが生じやすくなるという問題点もある。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の端子を吸着ノズルで直接吸着して基板に実装することができるとともに、端子を無用に大型化させることがなく、端子同士の位置ずれを生ずることもない電気接続用端子及びその実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、接続対象物と接触する接触部と、基板に接続される接続部とを備え、吸着ノズルで吸着されて基板に実装される電気接続用端子において、前記接触部及び接続部を備えた複数の端子部と、各端子部と一体に形成され、各端子部を連結する連結部とを備え、連結部を、吸着ノズルによって吸着可能に形成するとともに、基板に接続された各端子部から除去可能に形成している。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、接続対象物と接触する接触部と、基板に接続される接続部とを備えた電気接続用端子を吸着ノズルで吸着して基板に実装する電気接続用端子の実装方法において、前記電気接続用端子に、接触部及び接続部を有する複数の端子部と、各端子部を連結する連結部とを一体に形成し、各端子部を連結部で連結したまま連結部を吸着ノズルで吸着して基板の実装面に載置し、各端子部の接続部を基板に接続した後、各端子部から連結部を除去するようにしている。
【0010】
これにより、各端子部を連結した連結部を吸着ノズルで吸着して基板の実装面に載置することにより、各端子部の接続部が基板に接続されることから、従来のように複数の端子を保持したコネクタを用いる必要がない。この場合、各端子部が連結部で連結されたまま基板に接続されることから、各端子部が同時に実装されるとともに、各端子部同士の位置ずれを生ずることもない。また、吸着ノズルによって連結部が吸着されるので、吸着ノズル用の吸着部を端子部側に設ける必要がない。更に、各端子部を基板に接続した後、各端子部から連結部を除去することにより、実装後には無用となる連結部を残存させることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のように複数の端子を保持したコネクタを用いる必要がないので、構造の簡素化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。この場合、各端子部を同時に実装することができるとともに、各端子部同士の位置ずれを生ずることがないので、迅速且つ正確な実装を行うことができる。また、吸着ノズル用の吸着部を端子部側に設ける必要がないので、その分だけ各端子部を小型化することができる。更に、実装後には無用となる連結部を残存させることがないので、各端子部の周囲に連結部用のスペースを確保する必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す電気接続用端子の斜視図
【図2】バッテリーとの接触状態を示す電気接続用端子の側面図
【図3】曲げ加工前の電気接続用端子の斜視図
【図4】曲げ加工後の電気接続用端子の斜視図
【図5】電気接続用端子の側面図
【図6】電気接続用端子の実装工程を示す斜視図
【図7】電気接続用端子の実装工程を示す斜視図
【図8】電気接続用端子の実装工程を示す斜視図
【図9】電気接続用端子の他の実装例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図9は本発明の一実施形態を示すものであり、例えば携帯電話機等の電子機器用のバッテリーを電子機器本体の基板と電気的に接続するために用いられる電気接続用端子及びその実装方法に関するものである。
【0014】
同図に示す基板1は、図示しない電子機器本体内に設けられるもので、その上面側には接続対象物としてのバッテリー2が着脱自在に配置されるようになっている。
【0015】
本実施形態の電気接続用端子は、基板1の一端側に実装される複数の端子部10と、各端子部10を連結する連結部20とからなり、各端子部10及び連結部20は導電性の金属板によって互いに一体に形成されている。
【0016】
各端子部10は、基板1に接続される接続部11と、バッテリー2の電気接点2aに接触する接触部12とからなり、互いに幅方向に間隔をおいて配置されている。接続部11は平板状に形成され、その下面が基板1の導電パターン(図示せず)に接続されるようになっている。接続部11の幅方向両端には幅方向外側に突出する突出部11aがそれぞれ設けられ、各突出部11aの前端側は上方に向かって屈曲している。接触部12は、接続部11の一端から上方に延出する延出部12aと、延出部12aの上端側に前方に屈曲するように形成された屈曲部12bと、屈曲部12bの前端にが設けられた接点部12cとからなり、接点部12cがバッテリー2の電気接点2aと接触すると、接触部12が後方に弾性変形するようになっている。
【0017】
連結部20は、各端子部10の幅方向に延びる平板状に形成され、各接続部11の他端側に設けられている。連結部20は、その上面が各接続部11の上面と平行になるように設けられ、各接続部11よりも高さHだけ上方に配置されている。この場合、連結部20の上面は吸着ノズルAが吸着可能な広さに形成されている。また、連結部20は各接続部11に延びる複数の延設部21を有し、各延設部21は接続部11よりも幅の小さい帯状に形成されている。この場合、各延設部21は、前端側と後端側がそれぞれ接続部11及び連結部20の高さに位置するようにクランク状に屈曲している。この場合、各延設部21の下面には幅方向に延びる切り込み部21aが設けられ、切り込み部21aは延設部21の前端と接続部11との間に形成されている。また、連結部20には厚さ方向に貫通する複数の孔22が設けられ、各孔22は各延設部21の間に位置するように連結部20の長手方向に等間隔で配置されている。
【0018】
以上の構成からなる電気接続用端子は、図3に示すように平板状に打ち抜き加工された後、図4及び図5に示すように曲げ加工されることにより、各端子部10及び連結部20が形成される。
【0019】
次に、前記電気接続用端子を基板1に実装する場合は、図6に示すように連結部20の上面の長手方向中央部を吸着ノズルAで吸着することにより、電気接続用端子を基板1の実装位置まで搬送し、図7に示すように半田(図示せず)を介して基板1の実装面(上面)に載置する。その際、電気接続用端子は、各接続部11の一端側に各接触部12が設けられ、各接続部11の他端側に連結部20が設けられていることから、各接続部11の前後の重量バランスがほぼ均等になり、前方または後方に転倒することがない。次に、電気接続用端子が載置された基板1をリフローで半田付けすることにより、各接続部11を基板1に接続した後、図8に示すように連結部20を各端子部10から除去する。その際、連結部20は、各延設部21を切り込み部21aから折り曲げることにより、各延設部21が切り込み部21aで破断し、各端子部10から分離する。
【0020】
このように、本実施形態によれば、電気接続用端子に、接続部11及び接触部12を有する複数の端子部10と、各端子部10を連結する連結部20とを一体に形成し、連結部20を吸着ノズルAで吸着して基板1の実装面に載置することにより、各端子部10の接続部11を基板1に接続するようにしたので、従来のように複数の端子を保持したコネクタを用いる必要がなく、構造の簡素化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。この場合、各端子部10が連結部20で連結されたまま基板1に接続されるので、各端子部10を同時に実装することができるとともに、各端子部10同士の位置ずれを生ずることもなく、迅速且つ正確な実装を行うことができる。また、吸着ノズルAによって連結部20が吸着されるので、吸着ノズルA用の吸着部を端子部10側に設ける必要がなく、その分だけ各端子部10を小型化することができる。更に、各端子部10を基板1に接続した後、各端子部10から連結部20を除去するようにしたので、実装後には無用となる連結部20を残存させることがなく、各端子部10の周囲に連結部20用のスペースを確保する必要がないという利点がある。
【0021】
また、各端子部10との連結部分をなす各延設部21を折り曲げて破断することにより、連結部20を各端子部10から分離するようにしたので、切断工具等を用いることなく連結部20を容易に除去することができる。
【0022】
この場合、連結部20の各延設部21に切り込み部21aを設けたので、連結部20の除去作業を容易に行うことができるとともに、連結部20を常に切り込み部21aから分離させることができ、破断部分が不揃いになることがないという利点がある。
【0023】
また、各端子部10の接触部12を各接続部11の前後方向一端側に設け、連結部20を各接続部11の前後方向他端側に設けたので、各接続部11の前後の重量バランスをほぼ均等にすることができ、端子を転倒させることなく基板1に確実に載置することができる。
【0024】
更に、連結部20を基板1の実装面に対して各接続部11よりも高い位置に設けたので、例えば図9の他の実装例に示すように、連結部20の下方に基板1がある位置に実装する場合でも、連結部20と基板1との間に隙間を確保することができ、連結部20を容易に曲げ起こして折り取ることができる。
【0025】
また、各端子部10及び連結部20を金属板の打ち抜き加工によって形成したので、各端子部10及び連結部20を容易に成形することができるとともに、連結部20を打ち抜き加工時のキャリアストリップとして用いることもできる。
【0026】
尚、前記実施形態では、3つの端子部10を連結部20と一体に形成したものを示したが、2つまたは4つ以上の端子部10を連結部20と一体に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1…基板、2…バッテリー、10…端子部、11…接続部、12…接触部、20…連結部、21…延設部、21a…切り込み部、A…吸着ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と接触する接触部と、基板に接続される接続部とを備え、吸着ノズルで吸着されて基板に実装される電気接続用端子において、
前記接触部及び接続部を備えた複数の端子部と、
各端子部と一体に形成され、各端子部を連結する連結部とを備え、
連結部を、吸着ノズルによって吸着可能に形成するとともに、基板に接続された各端子部から除去可能に形成した
ことを特徴とする電気接続用端子。
【請求項2】
前記連結部を、各端子部との連結部分を折り曲げて破断することにより各端子部から分離可能に形成した
ことを特徴とする請求項1記載の電気接続用端子。
【請求項3】
前記連結部分に切り込み部を設けた
ことを特徴とする請求項2記載の電気接続用端子。
【請求項4】
前記各端子部の接触部を接続部の一端側に設け、連結部を接続部の他端側に設けた
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の電気接続用端子。
【請求項5】
前記連結部を、基板の実装面に対して各接続部よりも高い位置に設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の電気接続用端子。
【請求項6】
前記各端子部及び連結部を金属板の打ち抜き加工によって形成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の電気接続用端子。
【請求項7】
接続対象物と接触する接触部と、基板に接続される接続部とを備えた電気接続用端子を吸着ノズルで吸着して基板に実装する電気接続用端子の実装方法において、
前記電気接続用端子に、接触部及び接続部を有する複数の端子部と、各端子部を連結する連結部とを一体に形成し、
各端子部を連結部で連結したまま連結部を吸着ノズルで吸着して基板の実装面に載置し、
各端子部の接続部を基板に接続した後、
各端子部から連結部を除去する
ことを特徴とする電気接続用端子の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−33598(P2013−33598A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168062(P2011−168062)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【特許番号】特許第5129372号(P5129372)
【特許公報発行日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【出願人】(390012977)イリソ電子工業株式会社 (76)
【Fターム(参考)】