説明

電気接続箱の分割ブロック構造

【課題】二つの接続ブロックの合体時のLA端子のねじ締め状態を容易に確認し、両接続ブロック間のLA端子の過度の加熱を防ぎ、両接続ブロックのロック操作をスムーズ且つ確実に行わせる。
【解決手段】電気接続箱1のフレーム2内に二つの接続ブロック3,4を左右に合体した状態で収容し、第一の接続ブロック3よりも第二の接続ブロック4を上方に突出して位置させ、第一の接続ブロック内の端子24bにねじ締め接続する第一の電線付き端子43のねじ締め部44を第二の接続ブロック4の下側に露出して位置させ、両接続ブロックを相互にロックさせる前後一対のロック部31,33を上下に位置をずらして配置した電気接続箱の分割ブロック構造を採用する。第一の接続ブロック3の端子台16にねじ締め接続する第二の電線付き端子7を、端子台の周囲に立設したフレーム2の絶縁壁17で囲むと共に、第二の接続ブロック4の絶縁外壁47に隣接して位置させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電気接続箱のフレーム内に二つの接続ブロックを合体させた状態で収容する電気接続箱の分割ブロック構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱の合成樹脂製のフレーム内に二つの分割した接続ブロックを合体させた状態で収容する電気接続箱の分割ブロック構造として、種々の形態のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、接続箱本体(フレーム)内に左右二つのカセットブロック(接続ブロック)を並列に収容し、各カセットブロックの下半側に電線付き端子をボルトとナットでねじ締め固定し、各カセットブロックの上半側にヒューズを装着して、電線付き端子とヒューズとを接続させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、接続箱本体(フレーム)内に二つのヒューズブロック(接続ブロック)を並列に収容し、両ヒューズブロックを導電金属製のバスバーで接続させることが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、外部カバー(フレーム)内に二つの電気接続箱本体(接続ブロック)を並列に収容し、両電気接続箱本体をロック部と被ロック部とで相互に固定させると共に、外部カバーのロック部に同様に固定させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−293973号公報
【特許文献2】特開2006−320147号公報
【特許文献3】特開2005−160246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電気接続箱の分割ブロック構造にあっては、例えば一方の接続ブロックに電線付きのLA端子(丸型板端子)をねじ締め固定(接続)し、LA端子の上から一方の接続ブロックに他方の接続ブロックを合体ロックさせた場合に、LA端子のねじ締め部分が良好に締結されているか否かを目視確認する作業が面倒であるという懸念があった。また、LA端子に例えば大電流を流す場合に、両接続ブロックの間でLA端子が過度に加熱され兼ねないという懸念があった。また、両接続ブロックを相互に合体ロックさせる際に、ロック同士の係合をスムーズに行い難いという懸念があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、二つの接続ブロックを合体させた状態でLA端子のねじ締め部分の締結状態を容易に確認することができ、また、両接続ブロック間のLA端子の過度の加熱を防ぐことができ、また、両接続ブロックのロック操作をスムーズ且つ確実に行うことのできる電気接続箱の分割ブロック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱の分割ブロック構造は、電気接続箱のフレーム内に二つの接続ブロックが左右に合体した状態で収容され、第一の接続ブロックよりも第二の接続ブロックが上方に突出して位置し、該第一の接続ブロック内の端子にねじ締め接続させる第一の電線付き端子のねじ締め部が該第二の接続ブロックの下側に露出して位置し、両接続ブロックを相互にロックさせる前後一対のロック部が上下に位置をずらして配置されたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、第一の接続ブロックと第二の接続ブロックとで成る二つの接続ブロックが合体ロックした状態で、第一の電線付き端子のねじ締め部が外部に露出して、ねじ締め状態を目視確認可能であると共に、外部に放熱される。また、両接続ブロックが上下にずれたことに起因して、両接続ブロックの左右方向(開き方向)の外力に対するロック力の低下の懸念が生じるが、両接続ブロックの前後の各ロック部が上下に位置ずれしたことで、左右方向の外力に対するロック力が高まり、上記懸念が解消される。また、両接続ブロックの例えば下側のロック部同士を狙って相互にロックさせることで、上側のロック部同士も自動的にロックされる。
【0011】
請求項2に係る電気接続箱の分割ブロック構造は、請求項1記載の電気接続箱の分割ブロック構造において、前記第一の接続ブロックの端子台にねじ締め接続される第二の電線付き端子が、該端子台の周囲に立設された前記フレームの絶縁壁で囲まれると共に、前記第二の接続ブロックの絶縁外壁に隣接して位置したことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、第二の接続ブロックが第一の接続ブロックよりも高い位置にあるので、第一の接続ブロックの端子台の周囲のフレームの絶縁壁と第二の接続ブロックの絶縁外壁とで第二の電線付き端子が外部に対して絶縁されて絶縁性能が高まる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、二つの接続ブロックを合体させた状態で第一の電線付き端子のねじ締め部分の締結状態を容易に確認することができ、また、両接続ブロック間の第一の電線付き端子の過度の加熱を防ぐことができ、また、両接続ブロックのロック操作をスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、フレームの絶縁壁と第二の接続ブロックの絶縁外壁とで第二の電線付き端子の絶縁性を高めて、大電流の第二の電線付き端子のリーク電流から各接続ブロックの電気部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電気接続箱の分割ブロック構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じく電気接続箱の分割ブロック構造の組立状態を示す斜視図である。
【図3】電気接続箱の分割ブロック構造の組立状態を示す平面図である。
【図4】第一のLA端子の接続状態を含む図3のA−A断面図である。
【図5】第一の接続ブロックを示す平面図である。
【図6】第二の接続ブロックを第二のLA端子と共に示す平面図である。
【図7】両接続ブロックの合体状態を示す平面図である。
【図8】同じく両接続ブロックを合体させて第二のLA端子をねじ締め接続した状態の斜視図である。
【図9】図6の矢視D正面図である。
【図10】図5の矢視B正面図である。
【図11】図6の矢視C正面(背面)図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図11は、本発明に係る電気接続箱の分割ブロック構造の一実施形態を示すものである。
【0017】
図1の如く、電気接続箱1は合成(絶縁)樹脂製のフレーム2と、フレーム2内に下方から挿入係止される二つ(第一及び第二)の接続ブロック3,4と、図2の如く、第一の接続ブロック3に上方からボルト5でねじ締め接続される電線6付きのLA端子(第二のLA端子)7とを含むものである。
【0018】
両接続ブロック3,4は左右(幅)方向に相互に合体した状態でフレーム2内に挿入される。フレーム2は前半の略矩形状の幅広部分2aと、幅広部分2aに続く後半の略矩形状の幅狭部分2bとで成り、上下に貫通された(上部開口と下部開口を有する)内部空間8を有している。
【0019】
図1,図2の如く、二つの接続ブロック3,4はフレーム2の幅広部分2aの内側において幅狭部分2bの延長方向の空間(右側の空間)8に左右並列に収容される。幅広部分2aの幅方向略中央に垂直な隔壁9が設けられて、両接続ブロック3,4と左側の他の接続ブロック10(図2)とが区画される。他の接続ブロック10については説明を省略する。フレーム2の外面には不図示の合成樹脂製の上カバーと下カバーとに対するロック部11が設けられている。
【0020】
図1,図3の如く、フレーム2の一側壁(右壁)12の内面に第一の接続ブロック3に対するロック部13が設けられ、隔壁9の内面に第二の接続ブロック4に対するロック部14(図3)が設けられている。また、隔壁9とフレーム2の前壁15とに隣接して(隔壁9と前壁15との交差部の近傍に)電線6付きのLA端子7をボルト締めで接続する端子台16が第一の接続ブロック3に設けられている。端子台16の内側に不図示のナットが配設され、ナットの上側に例えば導電金属板状の不図示のバスバーの水平部が配置される。
【0021】
端子台16の上側の左右と後側の三方において絶縁樹脂製の絶縁壁17がフレーム2に立設されている。絶縁壁17の高さはLA端子7の電気接触部7aの先端の枠状のフック部7bの高さよりも高い。端子台16の上部前側において絶縁壁17は開口されてフレーム2の前壁15に続いている。図2,図3の如く、LA端子7の電気接触部7aが三方の絶縁壁17の内側に収容されてフレーム2内で良好に絶縁される。明細書で前後左右の方向性は説明の便宜上のものである。
【0022】
図1の如く、LA端子7はL字状に屈曲され、垂直な電線6の芯線に対する圧着部(接続部)7cと絶縁被覆に対する圧着部7dと、水平な接触板部7aと、接触板部7aの先端に立設された枠状のフック部7bと、フック部7bの開口7eから接触板部7aに設けられたスリット孔7fとを備える既存のものである。フック部7bはボルト締め前の仮係止部として機能する。LA端子7にはオルタネータ又はバッテリとの接続のために大電流が通電される。
【0023】
図1,図2の如く、第一の接続ブロック3は第二の接続ブロック4よりも二倍程度の長さで前後方向に長く形成されている。第一の接続ブロック3は前端右側の前後二つのリレー接続部18と、前端左側の端子台(LA端子接続部)16と、長手方向中間部の複数(本例で三つ)の大きなFL(ヒュージブルリンク)接続部19と、長手方向後側の小さなFL(ヒュージブルリンク)接続部20と、小さなFL接続部20の後端に配置された大きなFL接続部21と、小さなFL接続部20の左側に沿って並列に配置された小さなブレード型ヒューズ接続部22とを備えている。
【0024】
図2の如く、フレーム2内に挿入された両接続ブロック3,4にリレー23や大小のFL24,25やヒューズ26等といった電気部品が装着接続され、次いで電線付きのLA端子7がボルト5締めで接続される。
【0025】
図4(図3のA−A断面図)の如く、ヒュージブルリンク24は、絶縁樹脂製のケース24a内に不図示の可溶部を有してケース24aから下方に可溶部に続く一対の雄端子(端子)24bを突出させた既存のものである。また、図2のブレード型ヒューズ26は、絶縁樹脂材の内部に可溶部を有して絶縁樹脂材から下向きに一対の雄端子を突出させた既存のものである。リレー23やFL24,25やヒューズ26等は電気部品とも呼称され、各接続部18〜22は装着部とも呼称される。
【0026】
図1の如く、リレー接続部18は絶縁樹脂ハウジング(符号18で代用)の内側に例えば四つの電線27付き雌端子(図示せず)を有し、電線27付き雌端子にリレー23(図2)の雄端子が接続される。FL接続部19〜21やヒューズ接続部22は絶縁樹脂ハウジング(符号19〜22で代用)の内側にそれぞれ二つの電線28付き雌端子(図示せず)を有し、電線28付き雌端子にFL24,25(図2)やヒューズ26(図2)の一対の雄端子が接続される。
【0027】
各絶縁樹脂ハウジング18〜22が一体化して第一の接続ブロック本体(符号3で代用)が構成され、接続ブロック本体と各電線付き端子とで接続ブロック3が構成される。図5の如く、接続ブロック本体3の左右の壁部29,30の外面にロック部31,32が設けられている。右側のロック部32はフレーム2のロック部13(図1)に係合し、左側のロック部31は図6の第二の接続ブロック4の右側のロック部33に係合する。
【0028】
図1,図4,図5の如く第一の接続ブロック3の左側のロック部31は前後一対の横断面L字状のレール部31aと、一対のレール部31a間に配置された突起31bとで成り、突起31bは上側の傾斜面と下側の略水平な係止面とを有する。第一の接続ブロック3の左側後部には、フレーム2に対するロック部34として下向きの可撓性のロックアーム34bが前後一対のレール部34a間に配置されている。図5の右側のロック部32は一対のレール部32a間に配置された下向きの可撓性のロックアーム32bである。図5で符号35は端子台16のナットを示す。
【0029】
図1,図6の如く、第二の接続ブロック4は、複数(本例で五つ)の前後方向に並んだ小さなFL接続部36と、後端側のブレード型ヒューズ接続部37とを備えている。絶縁樹脂製の接続ブロック本体(符号4で代用)と各接続部36,37のハウジング内に収容された電線38付き端子(図示せず)とで第二の接続ブロック4が構成される。図6は図5(第一の接続ブロック3)よりも大きな倍率で拡大して示している。
【0030】
第二の接続ブロック4の右側の壁部39の外面に第一の接続ブロック3に対する前後一対のロック部33が設けられ、ロック部33は前後一対の横断面L字状のレール部33aとレール部33a間の上向きの可撓性のロックアーム33bとで成る。図4の如く、上向きのロックアーム33bは接続ブロック4の下端側から上向きに立ち上げられて、上端外側に第一の接続ブロック3の突起31bに係合する突起部33cを有している。突起31bは上側の傾斜面と下側の略水平な係止面を有し、突起部33cは上側の略水平な係止面と下側の傾斜面を有している。
【0031】
第二の接続ブロック4の左側の壁部40の外面には、ロック部41として前後一対の横断面L字状のレール部41aの間に下向きのロックアーム41bが設けられている。図4の如く下向きのロックアーム41bは接続ブロック4の上端側から垂下されて、下端外側にフレーム2の隔壁9の突起14に係合する突起部41cを有している。突起14は上側の係止面と下側の傾斜面を有し、突起部41cは上側の傾斜面と下側の係止面を有している。図4の左右の突起31b,14の係止面の高さはほぼ同じであり、第二の接続ブロック4の下半に右側(上向き)のロックアーム33bが位置し、上半に左側(下向き)のロックアーム41bが位置する。
【0032】
図1の状態から第二の接続ブロック4が矢印の如く第一の接続ブロック3に上方からスライド係合(合体)して、図4の如く、第二の接続ブロック4が第一の接続ブロック3よりも寸法Hのように上方に突出して位置する。スライド係合はレール部31a,33a(図5,図6)同士のスライド操作で行われ、それと同時に突起31b(図5)とロックアーム33b(図6)とが係合する。図4の隔壁9の上端は第二の接続ブロック4の上端と同一水平面に位置し、第一の接続ブロック3の上端はフレーム2の右壁12の上端と略同一水平面に位置する。
【0033】
図4の如く、第二の接続ブロック4の下端は第一の接続ブロック3の大きなFL24の下端と略同一水平面に位置し、第二の接続ブロック4の下側において第一の接続ブロック3に左側の第一の電線42付きのLA端子43が水平なボルト(ねじ締め部)44で締付接続される。左側のLA端子43は例えば給電用又はアース用のバスバー45を介して大きなFL24の下向きの左側のタブ状(雄)端子24bに接触し、LA端子43の孔43aとバスバー45の孔45aと端子24bの孔とにボルト44が挿通されて内側のナット46に螺挿される。右側の電線付きのLA端子43’はバスバーを介さずに直接、FL24の左側のタブ状端子24bに接触して同様にボルト締めで接続される。
【0034】
左側のLA端子43と締付用のボルト44は第二の接続ブロック4の下側において外部に露出されているから、第一と第二の接続ブロック3,4を合体させた状態で、作業者はLA端子43の締付状態を容易に且つ確実に目視確認することができる。また、LA端子43やボルト44が通電時に加熱されても、外部への放熱性が良いので、過度の発熱が防止されて、電気的接続の信頼性が高まる。これらは、第二の接続ブロック4を寸法Hの如く第一の接続ブロック3よりも上側に突き出して配置したことに伴う効果である。
【0035】
図2,図3の如く、第二の接続ブロック4には小さなFL48とヒューズ49が装着接続される。図7は、図5の第一の接続ブロック3と図6の第二の接続ブロック4とを合体させた状態を示しており、図8は両接続ブロック3,4を合体させた後、第二の電線6付きLA端子7を図7の第一の接続ブロック3の前端左側の端子台16にボルト5締めで接続した状態を示している。
【0036】
図6の如く、第二のLA端子7は第二の接続ブロック4の前端に近接して位置し、図8の如く、第二の接続ブロック4は第一の接続ブロック3よりも上方に突出して位置し、且つ図9(図6の左側の矢視D正面図)の如く、LA端子7よりも第二の接続ブロック4が高く位置しているから、端子台16の周囲のフレーム2の絶縁壁17(図2,図9)と第二の接続ブロック4の前端の絶縁性のハウジング壁部(絶縁外壁)47(図8,図9)との両方で第二のLA端子7が絶縁されて良好な絶縁性能を発揮する。これにより、大電流用のLA端子7のリーク電流から近傍のFL48等の電気部品を保護することができる。
【0037】
図5の左側の矢視B正面図を図10に示し、図6の右側の矢視C正面図を図11に示している。図9(図6の左側の矢視D正面図)の如く、第二の接続ブロック4の左側の壁部40の前後各一対のロック部41の高さは同一である。
【0038】
図10の如く、第一の接続ブロック3の左側の壁部29における前後一対のロック部31の位置は上下にずれて配置され、それに合わせて、図11の如く、第二の接続ブロック4の右側の壁部39における前後一対のロック部33の位置が上下にずれて配置されている。図10,図11で上下のずれ量を符号Lで示す。各図の上下のずれ量Lは同一である。
【0039】
図10のロック部31は前後一対のレール部31aとその間の突起31bとで成り、図4の如く突起31bは上側の傾斜面と下側の略水平の係止面を有する。図11のロック部33は前後一対のレール部33aとその間の上向きのロックアーム33bとで成り、図4の如くロックアーム33bは上向きの略水平な係止面と下側の傾斜面を有する。
【0040】
図10の前側の高いロック部31は前後一対のレール部31aの間の垂直な壁部分31cと共に上方に大きく突出し、レール部31aと壁部分31cとの上端は大きなFL接続部19の上端と同一水平面に位置する。図10の後側の低いロック部31は前後一対のレール部31aの間の垂直な壁部分31cと共に上方に小さく突出し、レール部31aと壁部分31cとの上端は、前側の高いロック部31の突起31bの上端及びLA端子7を締付後のボルト5の頭部の上端と略同一水平面に位置する。
【0041】
図11の前側(図11で向かって左側)の高いロック部33のレール部33aは第二の接続ブロック4の高さ方向中間部に位置し、後側(図11で向かって右側)の低いロック部33のレール部33aの下端は第二の接続ブロック4の下端と略同一水平面に位置する。前後のロック部33の上向きのロックアーム33bの下端すなわち立ち上げ基部は各レール部33aの下端よりも若干上側に位置し、各ロックアーム33bの上端は各レール部33aの高さ方向中間部に位置する。
【0042】
各接続ブロック3,4の前側の高いロック部31,33同士がスライド係合すると同時に後側の低いロック部31,33同士がスライド係合する。例えば、作業者が両接続ブロック3,4をスライド係合(合体)させる際に、第一の接続ブロック3の後側の低いロック部31を狙って、第二の接続ブロック4の後側の低いロック部33を係合させることで、両接続ブロック3,4の前側の高いロック部31,33は自動的に位置決め且つスライド係合されるから、両接続ブロック3,4のスライド係合(合体)が作業性良く容易にスムーズに行われる。
【0043】
また、図4の如く、両接続ブロック3,4を上下にずらして配置したことで、図4の矢印Eの如く両接続ブロック3,4を左右方向に外向きに開かせる(互いに離間させる)外力に対する係合強度が低下する懸念があるが、図10,図11の如く、前後の各ロック部31,33を上下にずらして配置したことで、両接続ブロック3,4を外向きに開かせる力に対する係合強度が高められ、両接続ブロック3,4の不意なロック解除(ロック外れ)が防止される。
【0044】
図10で、符号43は第一の電線42付きLA端子を示す。各LA端子(丸型板端子)43は前後方向に並列に配置され、上半の垂直な電気接触板部43bにボルト挿通用の孔部43aを有し、下半の圧着部で電線42に接続されている。図1の第二のLA端子7は丸型ではないが、ボルト挿通用の孔部7fを有しているのでLA端子と呼称する。
【0045】
なお、本発明は、電気接続箱1の分割ブロック構造として以外に、電気接続箱1自体としても有効なものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る電気接続箱の分割ブロック構造は、例えば自動車用の電気接続箱のフレーム内に収容するための二つの接続ブロックを合体させた状態でLA端子のねじ締め状態を確認したり、両接続ブロック間のLA端子等の過度の加熱を防いだり、両接続ブロックのロック操作をスムーズ且つ確実に行わせるために利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 電気接続箱
2 フレーム
3 第一の接続ブロック
4 第二の接続ブロック
7 第二の電線付き端子
16 端子台
17 絶縁壁
24b 端子
31,33 ロック部
43 第一の電線付き端子
44 ボルト(ねじ締め部)
47 絶縁外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱のフレーム内に二つの接続ブロックが左右に合体した状態で収容され、第一の接続ブロックよりも第二の接続ブロックが上方に突出して位置し、該第一の接続ブロック内の端子にねじ締め接続させる第一の電線付き端子のねじ締め部が該第二の接続ブロックの下側に露出して位置し、両接続ブロックを相互にロックさせる前後一対のロック部が上下に位置をずらして配置されたことを特徴とする電気接続箱の分割ブロック構造。
【請求項2】
前記第一の接続ブロックの端子台にねじ締め接続される第二の電線付き端子が、該端子台の周囲に立設された前記フレームの絶縁壁で囲まれると共に、前記第二の接続ブロックの絶縁外壁に隣接して位置したことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱の分割ブロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−170204(P2012−170204A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28221(P2011−28221)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】