説明

電気接続箱

【課題】装着される電気部品の寸法にばらつきがある場合でも、ロック片を電気部品に係止させることができて、電気部品の導通安定性を確保することができる新規な構造の部品装着部を備えた電気接続箱を提供すること。
【解決手段】部品装着部20には、装着される電気部品22を挟んだ両側に配置される一対のロック片18を突設すると共に、各ロック片18の基端部46を本体部14に対して片持ち状に一体連結して撓み変形可能とする一方、各ロック片18の先端部には電気部品に向かって突出する係止突部48を設けて、係止突部48の電気部品22への係止面50が、ロック片18の先端側に向かって電気部品22側への突出量が次第に大きくなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品が装着される部品装着部を備えた電気接続箱に係り、特に、電気部品を装着状態に保持するロック機構を備えた電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用の電気接続箱では、本体部の内部に接続端子を備えた内部回路が配設されている一方、本体部の外面にリレーや抵抗等の電気部品を収容して装着する部品装着部が設けられている。そして、部品装着部に装着される電気部品の端子部が、部品装着部の底面に貫設された端子挿通孔を挿通して、本体部の内部に挿入されて、内部に配設された接続端子と接続されることにより、外部の電気部品が内部回路と導通されるようになっている。
【0003】
ところで、このような電気接続箱においては、部品装着部に装着される電気部品の接続安定性を確保するために、部品装着部にロック機構を採用したものが広く用いられている。例えば、特開2003−304624号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。具体的には、部品装着部の外縁部において、電気部品を挟んだ両側に一対のロック片が対向配置されており、各ロック片の先端部に、ロック片の延出方向に直交して電気部品側に突出する係止爪を設けた構造とされている。そして、電気部品が部品装着部から抜け出す方向に移動した際には、係止爪の底面が電気部品の上面に当接して、電気部品の抜け出しを阻止するようになっている。
【0004】
ところが、このような従来の電気接続箱では、特許文献1の図2(b)に示されているように、電気部品が部品装着部に完全に装着された状態で、係止爪の底面と電気部品の上面の間に若干の隙間を設けることにより、一対のロック片が初期位置に復元するようにされている。従って、寸法公差の大きな部品の場合は、この隙間寸法のばらつきが大きくなる。例えば、隙間寸法が予想以上に大きい場合には、ロック片による十分なロック効果が得られないばかりでなく、電気部品が係止爪に当接するまでの移動距離が大きくなってしまい、ガタツキが発生したり、電気部品の導通安定性を確保できなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−304624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、装着される電気部品の寸法にばらつきがある場合でも、ロック片を電気部品に係止させることができて、電気部品の導通安定性を確保することができる新規な構造の部品装着部を備えた電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、電気部品の端子部が接続される接続端子が配設された本体部と、該本体部の外面に突設された部品装着部を備え、該部品装着部に設けられた端子挿通孔を挿通して、前記部品装着部に装着された前記電気部品の前記端子部が前記本体部に配設された前記接続端子に接続されるようになっている電気接続箱において、前記部品装着部には装着される前記電気部品を挟んだ両側に配置された一対のロック片が突設されており、各前記ロック片の基端部が前記本体部に対して片持ち状に一体連結されて、撓み変形が可能とされている一方、各前記ロック片の先端部には前記電気部品に向かって突出する係止突部が設けられており、該係止突部の前記電気部品への係止面が、前記ロック片の先端側に向かって前記電気部品側への突出量が次第に大きくされていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、各ロック片の先端部に設けられた電気部品への係止突部の係止面が、各ロック片の先端側に向かうに従って、その電気部品側への突出量が大きくなるようにされている。これにより、電気部品の寸法公差により外形形状が比較的小さな電気部品を収容した場合には、係止面の電気部品への突出量が小さな部位(基端側)において電気部品に係止して、電気部品を両側から安定して装着状態に保持することができる。一方、電気部品の寸法公差により外形形状が比較的大きな電気部品を収容した場合には、係止面の電気部品への突出量が大きな部位(先端側)において電気部品に係止して、ロック片の撓み変形による弾性力を利用して電気部品の両側から電気部品の端子の挿し入れ方向に押し付ける力を加えることができ、電気部品を装着状態に強固に保持することができる。従って、許容寸法公差の範囲内で大小様々な大きさの電気部品が装着された場合においても、各ロック片の係止突部と電気部品との間に隙間を生ずることなく、安定して保持することが可能となる。
【0009】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の電気接続箱において、前記部品装着部の前記端子挿通孔に、挿通される前記電気部品の前記端子部に圧接される圧接部が設けられているものである。
【0010】
本態様によれば、一対のロック片の係止突部による電気部品の係止に加えて、端子挿通孔に設けられた圧接部による端子部への圧接力を協働させることにより、電気部品の部品装着部への装着状態を一層安定させ、ガタツキなく電気部品を保持させることが出来る。
【0011】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載の電気接続箱において、前記圧接部が前記端子挿通孔の長さ方向両側端部に設けられており、前記電気部品の前記端子部の基端側で幅方向両側に張り出す幅広部が装着されるようになっているものである。
【0012】
本態様によれば、端子挿通孔に圧接部を設けた場合でも、電気部品の端子部の基端部が挿通されるまでは、端子部が圧接部に圧接されることがなく、電気部品の挿入力が不必要に高くなることを回避することができる。また、圧接部により圧接される幅広部が、端子部の基端部において設けられていることにより、端子部の圧接が、電気部品の装着における初期の段階ではなく、装着の最終段階付近において行われることから、電気部品の装着時における節度感の向上を図ることができる。
【0013】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された電気接続箱において、各前記ロック片の前記係止突部の前記係止面よりもさらに先端側には、前記ロック片の先端側に向かって前記電気部品側への突出量が次第に小さくなる案内面が設けられており、前記係止面と前記案内面が湾曲面を介して連接されているものである。
【0014】
本態様によれば、各ロック片の係止突部の先端側に案内面が設けられていることにより、抵抗なく各ロック片を外方に撓み変形させて、電気部品を部品装着部の所定位置に案内して確実に装着することができる。しかも、案内面が湾曲面を介して係止面に連接されていることにより、案内面を越えて本体部側に挿し入れられた電気部品が、湾曲面を介してスムーズに挿入される。また、湾曲面の基端側が電気部品から離れる方向に傾斜する係止面とされていることから、電気部品の挿入時に、係止面が電気部品へ当接することが回避されて、係止面と電気部品との摺動抵抗による挿入力の増大やロック片の過大な撓み変形が回避されて、ロック片の耐久性向上効果も図ることが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従う電気接続箱によれば、ロック片に設けられた電気部品への係止面が、ロック片の先端側に向かうに従って電気部品側への突出量が次第に大きくされていることにより、装着される電気部品の寸法にばらつきがあっても、ロック片の係止面を電気部品に対して安定して隙間なく当接させることができる。また、電気部品の寸法が大きい場合においては、電気部品に対してロック片の弾性力を作用させることにより、電気部品の装着方向の押し込み力を及ぼすことができる。これにより、電気部品の寸法公差が大きい場合においても、常に電気部品のガタツキを防止しつつ、電気部品の導通安定性を有利に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の要部を示す斜視図。
【図2】図1の電気接続箱の要部を示す拡大平面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図2のIV−IV断面図。
【図5】図1の電気接続箱の要部と電気部品とを拡大して示す一部断面分解斜視図。
【図6】図5の電気接続箱と電気部品との組み付け状態を示す一部断面斜視図。
【図7】図1の電気接続箱に、外形寸法の異なる電気部品が組み付けられた状態を示す図3に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
先ず、図1〜図4に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10の要部を示す。電気接続箱10は、アッパケース12と図示しないロアケースとが相互に組み付けられて構成されており、略中空箱体形状の本体部14を有している。本体部14の内部には、図示しないバスバーや被覆電線等からなる内部回路や、接続端子16が配設されている。一方、本体部14の外面には、一対のロック片18が設けられた部品装着部20が突設されている。図5および図6に示すように、本実施形態では、この部品装着部20に対して電気部品22が装着されることにより、電気部品22の端子部24と本体部14に配設された接続端子16とが相互に接続されるようになっている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上方とは図1,図3,図4における上側を言い、下方とは図1,図3,図4における下側を言うものとする。
【0019】
より詳しくは、電気接続箱10は、例えばリレーボックスやジャンクションボックス等として自動車の電装系に用いられるものであり、合成樹脂製のアッパケース12および図示しないロアケースを含んで構成されている。全体の図示は省略するが、アッパケース12は、ロアケース側(図1中、下側)に開口する略矩形の箱形状とされている一方、ロアケースは略矩形平板状とされている。そして、このロアケースを外周側から覆うようにして、アッパケース12が図1における上下方向で重ね合わされることにより、略中空箱体形状の本体部14が構成されている。これにより、本実施形態では、図1に示す本体部14の上側外面26および側方外面28は、何れもアッパケース12の上面および側面により構成されている。
【0020】
本体部14の内部には、図示しないバスバーや被覆電線等により構成された内部回路が収容されている。また、図3および図4に示すように、本体部14の内側には、複数の接続端子収容部30が形成されている。各接続端子収容部30には、図3および図4に仮想線で示すように、電気部品22の端子部24が接続される公知の接続端子16がそれぞれ一対ずつ配設されている。詳細な図示は省略するが、これらの接続端子16は、本体部14内に収容された内部回路と相互に接続されている。
【0021】
図1に示すように、本体部14の上側外面26には、図示しない公知のリレーやコネクタ等の外部電気部品が装着される外部電気部品装着部31が突設されている。さらに、本体部14の上側外面26には、電気部品22が装着される部品装着部20が突設されている。
【0022】
図2〜図4に、部品装着部20を拡大して示す。部品装着部20は、本体部14の上側外面26から突設された一対の支持壁32を備えている。支持壁32は、図2に示すように、平面視で略コの字状に延びるようにして互いに対向して配設されている。そして、これら一対の支持壁32の内周側の領域により、平面視で長手矩形状とされた部品収容領域34が形成されており、この部品収容領域34内に電気部品22が収容されるようになっている。また、部品装着部20には、アッパケース12を上下方向に貫通する二個の端子挿通孔36が形成されている。端子挿通孔36の上側開口部は、部品収容領域34の底面に対して平面視で略長手矩形状に開口されている一方、端子挿通孔36の下側開口部は、本体部14の内側に形成された接続端子収容部30に開口されている。これにより、部品装着部20と本体部14の内部領域とが、端子挿通孔36を介して相互に連通されている。
【0023】
図3に示すように、端子挿通孔36の上下方向の中間部分には、段差部38が形成されている。これにより、端子挿通孔36は、段差部38よりも上側の部分が、図3における幅方向寸法が大きな幅広開口部40とされている一方、段差部38よりも下側の部分は、図3における幅方向寸法がやや小さな挿通部42とされている。なお、段差部38は、図2に示すように、平面視で略長手矩形状に開口する端子挿通孔36の長手方向両端部のみに形成されている。
【0024】
また、部品装着部20には、コの字形状が向かい合うように対向配置された支持壁32の間において、一対のロック片18が突設されている。図2に示すように、一対のロック片18は、平面視で長手矩形状とされた部品収容領域34の長手方向中間部分に配置されており、部品収容領域34内に装着される電気部品22を幅方向両側から挟むようにして対向配置されている。なお、ロック片18と支持壁32との間には、それぞれ切欠溝44が形成されている。
【0025】
各ロック片18は、本体部14の上側外面26から上方に向かって突出されている。また、各ロック片18の基端部46は、各ロック片18の基端部46は、薄肉の平板状とされていると共に、本体部14に対して片持ち状に一体連結されている。これにより、各ロック片18は、全体が板圧方向(図3中、左右方向)に撓み変形が可能とされている。なお、図3に示すように、ロック片18の本体部14の上側外面26からの突出高さは、支持壁32の突出先端部の突出高さよりも小さくされている。
【0026】
各ロック片18の先端部には、部品収容領域34内に収容される電気部品22側に向かって突出する係止突部48が設けられている。係止突部48は、全体に図3に示す断面形状が山型となるようにして電気部品22側に向かって突出されている。これにより、係止突部48の上下の端面、即ち、ロック片18における先端側および基端側の端面が、何れも傾斜面とされている。そして、本実施形態の係止突部48においては、これら先端側および基端側の傾斜面のうち、基端側の傾斜面により、係止突部48の電気部品22への係止面50が構成されている一方、係止突部48の先端側の傾斜面により、電気部品22に対する案内面52が構成されている。
【0027】
係止面50は、各ロック片18の先端側に向かって電気部品22側への突出量が次第に大きくされている。一方、各ロック片18の係止突部48の係止面50よりもさらに先端側に形成された案内面52は、ロック片18の先端側に向かって電気部品22側への突出量が次第に小さくなるようにされている。また、これら係止面50と案内面52は、湾曲面54を介して相互に連接されている。
【0028】
なお、対向配置された一対のロック片18の外方側(電気部品22側とは反対側)には、ロック片18の外周面から所定の距離を隔てて、外部電気部品装着部31等の壁部が形成されている。本実施形態においては、これらの壁部により、ロック片18の外方側への過剰な撓み変形を規制する規制壁部56が構成されている。
【0029】
このような電気接続箱10の部品装着部20に対して、図5および図6に示すように、二つの端子部24と部品本体58とを備えた電気部品22が装着される。全体の図示は省略するが、部品本体58は、平面視で長手矩形状とされており、図5および図6に示す断面形状は略正方形とされている。なお、本実施形態では、電気部品22として、セメント抵抗が装着されるようになっている。この電気部品22としてのセメント抵抗は、一般的なリレー等の電気部品に比べて、部品本体58の外形寸法のばらつきが大きくなっており、図5および図6に示す略正方形状の断面形状における高さ寸法および幅寸法の公差(最小寸法と最大寸法の差)は略1mmとされている。図5および図6においては、具体例として、部品本体58の外形寸法が公差範囲内の最小寸法のものが示されている。また、図面を明瞭とするため、部品本体58の内部の詳細な図示は省略すると共に、図6においては、接続端子16の図示を省略している。
【0030】
電気部品22の端子部24は、金属製の平板により構成されたタブ状の端子とされており、部品本体58から延び出すように設けられている。そして、電気部品22の端子部24の基端側には、幅方向両側に張り出す幅広部60が設けられており、延出方向の先端側の導通部62よりもやや幅広とされている。
【0031】
なお、本実施形態においては、電気接続箱10の部品装着部20に設けられた端子挿通孔36における幅広開口部40の幅寸法W1は、電気部品22の端子部24における幅広部60の幅寸法W2よりもやや小さくされている。一方、端子挿通孔36の挿通部42の幅寸法W3は、端子部24における先端側に設けられた導通部62の幅寸法W4よりもやや大きくされている。
【0032】
そして、このような電気部品22を部品装着部20に対して装着すると、図6に示すように、各端子部24が端子挿通孔36を通じて本体部14の内部へと挿通されて、各接続端子16に接続されると共に、電気部品22の部品本体58が、部品装着部20の部品収容領域34内に収容される。
【0033】
このような電気部品22の装着時においては、端子挿通孔36の挿通部42の幅寸法W3が、電気部品22の端子部24の先端側に設けられた導通部62の幅寸法W4よりも大きくされていることにより、導通部62が端子挿通孔36の周壁部と接触することなく本体部14の内側へと挿通されて、一対の接続端子16により圧接される。一方、端子挿通孔36の幅広開口部40の幅寸法W1が、導通部62よりも幅広とされた幅広部60の幅寸法W2よりも僅かに小さくされていることにより、幅広部60が幅広開口部40の周壁部と当接し、端子挿通孔36の幅広開口部40に対して圧入状態で挿入される。
【0034】
すなわち、本実施形態においては、端子挿通孔36の幅広開口部40の幅寸法W1が、電気部品22の端子部24に設けられた幅広部60の幅寸法W2よりも小さくされていることにより、部品装着部20の端子挿通孔36の長さ方向両側端部において、電気部品22の端子部24に圧接される圧接部64が形成されている。そして、このような圧接部64に対して、電気部品22の端子部24に設けられた幅広部60が装着されることにより、電気部品22の端子部24が電気接続箱10側に保持され、部品装着部20に装着された電気部品22が良好に保持されるようになっている。
【0035】
また、端子挿通孔36の挿通部42を通じて本体部14内に挿通された端子部24の導通部62は、本体部14内に配設された接続端子16に対して接続されるようになっている。これにより、電気部品22が、電気接続箱10の内部に収容された図示しない内部回路と相互に導通されることとなる。
【0036】
そして、本実施形態においては、部品装着部20に電気部品22が装着される際には、電気部品22が、電気部品22を挟んだ両側に配設された一対のロック片18の係止突部48を乗り越えるようにして押し込まれると共に、部品収容領域34内に収容された電気部品22に対して、各ロック片18の係止面50が電気部品22に対して当接されるようになっている。より詳細には、図5に示すように、電気部品22を上方向から部品装着部20に対して挿入すると、電気部品22は、先ず、ロック片18の係止突部48と当接することとなる。このとき、係止突部48におけるロック片18の先端側の領域には、傾斜状の案内面52が形成されていることから、電気部品22が係止突部48と当接すると、案内面52の傾斜により、電気部品22が部品収容領域34内へと案内されるようになっている。
【0037】
また、ロック片18は、板圧方向での撓み変形が可能とされていることから、電気部品22が案内面52に案内されつつ部品収容領域34内へと押し込まれると、案内面52への押圧力に従って、ロック片18が外方側へと撓み変形することとなる。これにより、電気部品22の部品収容領域34内への進入が許容され、電気部品22が適切に部品装着部20に装着されるようになっている。なお、ロック片18の突出高さは、支持壁32の突出先端部(図4における左右両端部)の突出高さ寸法よりも小さくされていることから、電気部品22は、支持壁32により水平方向で位置決めされた状態でロック片18と当接するようになっており、ロック片18と電気部品22との不正な位置での当接や、それに伴うロック片18の破損等が回避されるようになっている。
【0038】
そして、電気部品22がロック片18の係止突部48を乗り越えて、電気部品22が完全に部品装着部20内に収容されると、外方へと撓み変形していたロック片18が内方に向かって、即ち初期位置に弾性復帰する。その結果、係止突部48のロック片18における基端側に形成された係止面50が、電気部品22の外面に対して当接する。これにより、図6に示すように、部品装着部20に装着された電気部品22が、一対のロック片18に設けられた係止面50により、幅方向両側からそれぞれ係止されることとなる。
【0039】
ここにおいて、本実施形態では、係止突部48の電気部品22への係止面50が、ロック片18の先端側に向かって電気部品22側への突出量が次第に大きくされている傾斜面とされていることにより、電気部品22の部品本体58の外形寸法が公差により異なる場合にも、電気部品22を有効に係止することができる。
【0040】
図7に、電気部品22の外形寸法が公差により異なる場合の具体例を示す。なお、図7においては、図6と同様に接続端子16の図示は省略している。先ず、図7(a)に、電気部品22の部品本体58の外形寸法が公差範囲内の最小寸法とされている電気部品22aを装着した場合を示す。部品装着部20に対して、部品本体58の外形形状が比較的小さな電気部品22aを収容した場合には、係止面50における電気部品22a側への突出量が小さな部位(基端側)において、係止面50と電気部品22aの部品本体58の角部とが、相互に隙間なく当接する。これにより、一対のロック片18により電気部品22aを有効に係止し、電気部品22aの両側方向から電気部品22aを安定して保持することができる。
【0041】
また、図7(b)に示すように、電気部品22の部品本体58の外形形状が設計上の基準寸法に近い、標準的な大きさの電気部品22bを収容した場合には、電気部品22b側への突出量が中程度の部位において、係止面50と電気部品22bの部品本体58の角部とが隙間無く当接する。従って、電気部品22bを係止面50により有効に係止することができる。また、このような標準的な大きさの電気部品22bの装着状態においては、係止面50と部品本体58の角部との当接によって、ロック片18がやや外方に撓み変形された状態とされる。これにより、電気部品22bに対して、ロック片18の撓み変形による弾性力が電気部品22bの両側から作用することとなる。その結果、電気部品22bを装着方向に向かって押し付ける力を加えることができ、ロック片18の弾性力を利用して電気部品22bの装着状態を有効に保持することができる。
【0042】
さらに、図7(c)に示すように、電気部品22の寸法公差により部品本体58の外形形状が比較的大きな電気部品22cを収容した場合には、係止面50の電気部品22側への突出量が大きな部位(先端側)において電気部品22cを係止することができる。また、電気部品22cの装着状態において、ロック片18が大きく外方に撓み変形された状態とされることから、ロック片18の撓み変形に伴い、より大きな弾性力が電気部品22に対して作用されることとなる。その結果、電気部品22cを装着方向に向かってより強く押し付けることができ、電気部品22cの装着状態を有効に保持することができる。なお、電気部品22cや前述の電気部品22bの装着時においては、ロック片18が外方に撓み変形することにより係止面50の電気部品22bへのラップ代が小さくなる場合でも、電気部品22b,22cが端子部24に設けられた幅広部60が圧接部64により圧接されていることから、圧接部64による圧接と、ロック片18の弾性力による押込み方向の力と、係止面50による係止が協働することにより、電気部品22b,22cは装着状態に良好に保持されることとなる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、撓み変形が可能とされた一対のロック片18が、傾斜を備えた特定の係止面50を有していることにより、上述の電気部品22a〜22cのように、電気部品22の外形寸法、特に、部品本体58の図7における高さ寸法および幅寸法が寸法公差により大きく異なる場合においても、常に係止面50を電気部品22に当接させ、有効な係止を行うことが可能となる。
【0044】
すなわち、各ロック片18の係止突部48に形成された係止面50が、各ロック片18の先端側に向かうに従って電気部品22側への突出量が大きくなるテーパ面とされている。従って、電気部品22の外形寸法が公差範囲内で最小〜最大寸法のうちどのような寸法とされていても、係止面50を電気部品22に対して常に隙間無く当接させて電気部品22に対する係止作用を及ぼし、電気部品22とロック片18の間でのガタツキの発生を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、部品装着部20の端子挿通孔36において、電気部品22の端子部24に圧接される圧接部64が設けられていることから、電気部品22がさらに安定して保持されるようになっている。
【0046】
加えて、本実施形態によれば、圧接部64が端子挿通孔36の長さ方向両側端部に設けられると共に、この圧接部64が、電気部品22の端子部24の基端側に形成された幅広部60を圧接するようになっている。これにより、端子挿通孔36に電気部品22の端子部24を挿通するに際して、最も基端側の幅広部60が端子挿通孔36内に進入するまでは、端子部24が圧接部64に圧接されないようになっている。従って、電気部品22の挿入力を不必要に増大させることなく、電気部品22の装着安定性を向上させることができる。
【0047】
また、本態様によれば、幅広部60が端子部24の基端側の一部のみに設けられていることにより、圧接部64による幅広部60の圧接が、電気部品22が部品装着部20に対して完全嵌合される際のみにおいて行われるようになっている。これにより、電気部品22の完全嵌合時の節度感を向上させ、電気部品22の装着作業時において不完全な装着が行われるおそれを低減させることができる。
【0048】
さらに、本態様によれば、各ロック片18における係止面50よりもさらに先端側において案内面52が設けられていることから、電気部品22を部品装着部20内の所定位置に案内して確実に装着することができる。また、本態様によれば、係止面50と案内面52とが湾曲面54を介して連接されていることにより、案内面52を越えて本体部14側に挿し入れられた電気部品22が、湾曲面54を介してスムーズに挿入される。さらに、湾曲面54の基端側が、電気部品22から離れる方向に傾斜する係止面50とされていることから、電気部品22の挿入時に係止面50が電気部品22へ当接することが回避されて、係止面50と電気部品22との摺動抵抗による挿入力の増大や、ロック片18の過大な撓み変形の発生を回避することができる。その結果、ロック片18の耐久性を有利に向上させることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、一対のロック片18の具体的な形成位置や個数等は、特に限定されない。即ち、一対のロック片18は、必ずしも対向配置されている必要はなく、一対のロック片18の形成位置が、電気部品22を間に挟んで図2における左右方向で相互にずれていてもよい。なお、係止突部48や係止面50および案内面52の具体的な形状等も特に限定されない。例えば、係止面50の表面を粗面化したり、溝や突起等の凹凸を付してもよい。これにより、係止面50と電気部品22との摩擦を増大させ、電気部品22の抜け出しをより有利に防止することが可能となる。
【0050】
さらに、前記実施形態においては、電気部品22の外形寸法が公差範囲内で最小の時には、一対のロック片18が撓み変形しない状態とされていたが、必要に応じて、電気部品22の外形寸法が公差範囲内で最小の場合においても、一対のロック片18が外方に撓み変形した状態となるようにしてもよい。
【0051】
また、圧接部64の具体的な形状も、電気部品22の端子部24へ圧接するものであれば特に限定されるものではなく、電気部品22の端子部24の形状に対応して任意に変更が可能である。なお、本発明は、抵抗の他、リレーやコネクタ等、各種の部品装着部を備えた電気接続箱にも同様に適用可能である。
【0052】
さらに、前記実施形態では、部品装着部20に装着される電気部品22の部品本体58の外形寸法がばらつく場合を例として示したが、例えば、電気部品22側の他、部品装着部20側の公差等によって電気部品22の装着位置がばらつく場合にも本発明の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
10:電気接続箱、14:本体部、16:接続端子、18:ロック片、20:部品装着部、22:電気部品、24:端子部、36:端子挿通孔、46:基端部、48:係止突部、50:係止面、52:案内面、60:幅広部、64:圧接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品の端子部が接続される接続端子が配設された本体部と、該本体部の外面に突設された部品装着部を備え、該部品装着部に設けられた端子挿通孔を挿通して、前記部品装着部に装着された前記電気部品の前記端子部が前記本体部に配設された前記接続端子に接続されるようになっている電気接続箱において、
前記部品装着部には装着される前記電気部品を挟んだ両側に配置された一対のロック片が突設されており、各前記ロック片の基端部が前記本体部に対して片持ち状に一体連結されて、撓み変形が可能とされている一方、
各前記ロック片の先端部には前記電気部品に向かって突出する係止突部が設けられており、該係止突部の前記電気部品への係止面が、前記ロック片の先端側に向かって前記電気部品側への突出量が次第に大きくされている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記部品装着部の前記端子挿通孔に、挿通される前記電気部品の前記端子部に圧接される圧接部が設けられている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記圧接部が前記端子挿通孔の長さ方向両側端部に設けられており、前記電気部品の前記端子部の基端側で幅方向両側に張り出す幅広部が装着されるようになっている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
各前記ロック片の前記係止突部の前記係止面よりもさらに先端側には、前記ロック片の先端側に向かって前記電気部品側への突出量が次第に小さくなる案内面が設けられており、前記係止面と前記案内面が湾曲面を介して連接されている請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−191691(P2012−191691A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51105(P2011−51105)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】