説明

電気機器およびその制御方法、並びに制御プログラム

【課題】不安定な供給電力に対応可能な電気機器を提供する。
【解決手段】電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される洗濯機4aである。洗濯機4aは、供給された電力により駆動する駆動部14と、電源のうち、太陽光発電装置が供給している供給電力値と、洗濯機4aを含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較部32と、取得された比較結果に基づき、駆動部14を駆動させるかを判断する駆動判断部35と、駆動判断部35の判断結果に基づき、駆動部14を駆動させるように制御する駆動制御部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器およびその制御方法、並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、化石燃料に替わるエネルギーの確保、および地球環境問題の解決策の1つとして、太陽光発電、風力発電など、自然エネルギーを利用した再生可能電源が注目されており、これらの再生可能電源が家庭にも普及し始めている。しかしながら、上記再生可能電源は、発電出力が天候、風量など自然条件によって影響を受け安定しない。このため、電力供給と電力消費とのバランスが崩れ易く、消費電力が供給電力よりも大きくなったり、供給電力が消費電力よりも大きくなったりし易い。
【0003】
消費電力が供給電力よりも大きくなると、ブレーカが作動して供給電力が遮断され、動作の停止を望まない負荷装置も動作が停止するといった問題が発生する。一方、供給電力が消費電力よりも大きくなると、供給電圧の上昇、周波数変動などが発生して負荷装置が安定して動作しないなどの問題が発生する。このため、集中電源を利用した商用電源と、再生可能電源を含む各種の分散電源とによる供給電力と、家庭用電気器具(以下「家電」と略称する。)など、各種の負荷による消費電力とのバランスを維持することが重要となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、電力系統内の複数の分散電源の発電出力を調整して分散電源の総発電出力と負荷電力(消費電力)との差を一定にする電力需給制御装置が開示されている。また、特許文献2には、家電から電力供給要求があると、該家電の要求電力と、商用電源、発電装置、蓄電装置等の電源の供給可能電力とに基づいて、電力供給を許可するかどうかかを判断する調停サーバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−271723号公報(2008年11月06日公開)
【特許文献2】特開2010−193562号公報(2010年09月02日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1・2では、各電源の供給電力を調整することにより、供給電力と消費電力とのバランスを維持している。しかしながら、自然エネルギーを利用した再生可能電源の場合、発電のために燃料を購入する必要が無いので、発電に必要なコストはゼロである。従って、自然エネルギーを利用した再生可能電源は、供給可能な最大の電力を出力することが望ましい。このため、電気機器も、不安定な供給電力に対応可能であり、電力コストの削減に対応可能であることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、不安定な供給電力に対応可能な電気機器などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気機器は、電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器であって、上記課題を解決するために、上記供給された電力により稼働する稼働部と、上記電源のうち、自然エネルギーを利用した再生可能電源が供給している供給電力値と、当該電気機器を含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較取得手段と、該需給比較取得手段が取得した比較結果に基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断する稼働判断手段と、該稼働判断手段の判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させるように制御する稼働制御手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る電気機器の制御方法は、電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器の制御方法であって、上記課題を解決するために、上記電源のうち、自然エネルギーを利用した再生可能電源が供給している供給電力値と、当該電気機器を含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較取得ステップと、該需給比較ステップにて取得された比較結果に基づき、上記電力により稼働する稼働部を稼働させるかを判断する稼働判断ステップと、該稼働判断ステップの判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させるように制御する稼働制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0010】
上記の構成および方法によると、自然エネルギーを利用した再生可能電源からの供給電力値と、負荷による消費電力値との比較結果に基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断し、該判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させている。
【0011】
具体的には、上記供給電力値が上記消費電力値よりも大きいとの上記比較結果である場合、上記稼働部の稼働を開始させると判断する。これにより、上記再生可能電源からの供給電力に余剰が発生すると、上記電気機器が稼働し、その分、負荷による消費電力が増加するので、上記余剰を低減することができる。さらに、上記供給電力値が上記消費電力値よりも小さいとの上記比較結果である場合、上記稼働部の稼働を一時停止させると判断する。これにより、上記再生可能電源からの供給電力に不足が発生すると、上記電気機器が一時停止し、その分、負荷による消費電力が減少するので、上記不足を低減することができる。
【0012】
従って、本発明によると、上記供給電力の余剰または不足に応じて、稼働部の稼働を開始したり停止したりできるので、不安定な供給電力に対応可能である。その結果、自然エネルギーを利用した再生可能電源が、供給可能な最大の電力を出力することができ、電力コストを削減することができる。
【0013】
なお、上記比較結果は、上記供給電力値と上記消費電力値とを収集している外部の電力情報収集装置から取得すればよい。或いは、該電力情報収集装置から上記供給電力値と上記消費電力値とを取得して、取得した上記供給電力値と上記消費電力値とを比較することにより取得してもよい。
【0014】
本発明に係る電気機器では、上記電源から供給される電力のコストを取得する電力コスト取得手段をさらに備えており、上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記電力コスト取得手段が取得した電力のコストとに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断してもよい。
【0015】
この場合、自然エネルギーを利用した再生可能電源からの供給電力の余剰または不足に加えて、各種電源からの供給電力のコストに応じて、稼働部の稼働を開始したり停止したりできる。例えば、上記再生可能電源からの供給電力の余剰が無くても、各種電源からの供給電力のコストが低い場合、上記稼働部の稼働を開始させることができる。また、上記再生可能電源からの供給電力の不足が発生しても、各種電源からの供給電力のコストが低い場合、上記稼働部の稼働を一時停止せずに続行することができる。その結果、上記電気機器は、供給電力のコストが低い時に稼働させることができるので、各種電源から供給された電力量に対するコストを低減することができる。
【0016】
なお、上記電源から供給される電力のコストは、各電源からの供給電力にその単価を乗算し、これの全電源の総和を算出することにより求めることができる。上記電力のコストは、外部の上記電力情報収集装置から取得すればよい。或いは、各電源からの供給電力の単価を予め記憶しておき、各電源からの供給電力値を上記電力情報収集装置から取得して、上記電源から供給される電力のコストを算出してもよい。
【0017】
ところで、ユーザは、電気機器を直ちに稼働させたい、或いは所望の時刻に稼働させたい場合がある。そこで、本発明に係る電気機器ではユーザが操作する操作部をさらに備えており、上記稼働制御手段は、上記ユーザから上記操作部を介して開始指示を受け取ると、上記稼働判断手段の判断結果に関係なく、上記ユーザから上記操作部を介しての指示に基づく時刻に、上記稼働部の稼働を開始させるように制御することが好ましい。この場合、ユーザは、操作部を操作することにより、ユーザの所望するタイミングで上記電気機器を稼働させることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0018】
ところで、例えば洗濯機の場合、衣服などの洗濯対象物が少ないと、洗濯の回数がむやみに増加することになり、稼働効率が悪化する。また、食器洗浄機も同様である。そこで、本発明に係る電気機器では、上記稼働部の状態を検知するセンサをさらに備えており、上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記センサが検知した上記稼働部の状態が稼働の条件を満たした状態になっているかとに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断してもよい。この場合、上記稼働部の状態に基づいて、上記稼働部の稼働を制御することができ、稼働効率の悪化を防止することができる。
【0019】
ところで、食器洗浄機の場合、食器洗浄機が食器の洗浄を完了してから1時間程度であれば、次の食事に使用された食器が食器洗浄機に入っている可能性が低い。この場合、食器洗浄機は、食器の洗浄を実行する必要が無い。また、集合住宅などでは、洗濯機を夜間に動作させることは望ましくない。
【0020】
そこで、本発明に係る電気機器では、上記稼働部の稼働履歴の情報を記憶する記憶部をさらに備えており、上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記記憶部に記憶された稼働履歴の情報とに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断してもよい。この場合、上記稼働履歴の情報を参照して、稼働が不要または望ましくない場合に、上記稼働部を稼働しないように制御することができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0021】
なお、上記電気機器は、設定された期間内で動作が完了すればよいものであれば、上記設定された期間内で、上記供給電力の余剰または不足に応じて、稼働を制御すればよく、好適である。
【0022】
また、電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムであって、上記電源は、自然エネルギーを利用した再生可能電源を備えており、上記負荷は、上記構成の電気機器を備えることを特徴とする電力システムであれば、上述と同様の効果を奏することができる。
【0023】
なお、上記電気機器の制御方法における各ステップを、制御プログラムによりコンピュータに実行させることができる。さらに、上記制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る電気機器は、自然エネルギーを利用した再生可能電源からの供給電力値と、負荷による消費電力値との比較結果に基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断し、該判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させることにより、上記供給電力の余剰または不足に応じて、稼働部の稼働を開始したり停止したりできるので、不安定な供給電力に対応可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である電力システムにおける洗濯機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記電力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記洗濯機の記憶部に記憶された洗濯履歴情報の一例を表形式で示す図である。
【図4】上記洗濯機における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】上記洗濯機における処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】上記洗濯機における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。図2は、本実施形態である電力システムの概略構成を示している。なお、図2において、太線は電力の流れを示しており、細線はデータの流れを示している。
【0027】
図2に示すように、電力システム1は、各種の電源2からの電力を、配電盤3を介して、各種の負荷装置(電気機器)4に供給するものである。なお、本実施形態では、電力システム1は、家屋に設置する場合を想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、オフィス、工場など、複数の電源を利用する任意の建物に設置した電力システムに、本発明を適用することもできるし、複数の建物を含む特定の地域に設置した電力システムに、本発明を適用することもできる。
【0028】
電源2は、電力を供給するものである。本実施形態では、電源2として、商用電源2aと、太陽光発電装置2bおよび燃料電池装置2cの分散電源とを利用しているが、これに限られるものではない。太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置など、自然エネルギーを利用した再生可能電源を少なくとも1台利用すれば、商用電源、燃料電池装置、蓄電池など、任意の電源を本実施形態の電力システム1に利用することができる。ここで、分散電源とは、比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置して電力の供給を行う装置をいう。なお、以下では、電源2a〜2cを総称する場合には「電源2」と記載する。
【0029】
配電盤3は、電源2から供給された電力を、負荷装置4に分配するものである。負荷装置4は、電力を消費するものである。図2の例では、負荷装置4として、洗濯機4aおよびTV(テレビジョン受像機)4bを使用しているが、冷蔵庫、エアコン、食器洗浄機、電気ポット、ノートPC(Personal Computer)、電灯など、任意の電気機器を使用することができる。なお、以下では、負荷装置4a・4bを総称する場合には「負荷装置4」と記載する。
【0030】
さらに、電力システム1は、電力情報収集装置5を備えている。図2に示すように、電力情報収集装置5は、配電盤3、太陽光発電装置2b、燃料電池装置2c、および負荷装置4と通信可能に接続されている。なお、電力情報収集装置5と負荷装置4とは、通信ネットワークにより通信可能に接続されていることが好ましい。この通信ネットワークとしては、電力線通信(PLC:Power Line Communications)による有線LAN(Local Area Network)、無線LAN(IEEE802.11)などが挙げられる。
【0031】
電力情報収集装置5は、電源2および負荷装置4の電力に関する電力情報を収集するものである。なお、商用電源2aの供給電力値は、配電盤3から収集される。電力情報収集装置5は、収集した電力情報を負荷装置4の全部または一部に送信する。
【0032】
具体的には、電力情報収集装置5は、電源2が供給する供給電力値と、負荷装置4が消費する消費電力値とを収集する。また、電力情報収集装置5は、電源2からの供給電力値と、その単価(以下、「電力単価」と称する。)とから、各電源2から供給される供給電力のコストの総和(以下、「電力コスト合計値」と称する。)を算出する。そして、電力情報収集装置5は、自然エネルギーを利用した再生可能電源である太陽光発電装置2bの供給電力値と、各負荷装置4が消費する消費電力値の総和(以下、「消費電力合計値」と称する。)と、全電源2から供給される供給電力のコストとを、洗濯機4aに送信する。
【0033】
洗濯機4aは、衣服など、洗濯を要する物(以下、「洗濯物」と称する。)を洗濯するための電気機器である。本実施形態では、洗濯機4aは、電力情報収集装置5からの電力情報に基づいて、自動的に稼働を開始したり一時停止したりするものである。
【0034】
図1は、洗濯機4aの概略構成を示している。図示のように、洗濯機4aは、制御部10、記憶部11、操作部12、通信部13、駆動部(稼働部)14、電力センサ15、および重量センサ16を備える構成である。
【0035】
制御部10は、電力情報収集装置5内における各種構成の動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。記憶部11は、情報を記録するものであり、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記録装置によって構成される。なお、制御部10および記憶部11の詳細については後述する。
【0036】
操作部12は、ユーザの操作によりユーザから各種の入力を受け付けるものであり、入力用ボタン、タッチパネル、その他の操作デバイスによって構成されている。操作部12は、ユーザが操作した情報を操作データに変換して制御部10に送信する。
【0037】
通信部13は、外部の電力情報収集装置5とデータ通信を行うためのものである。通信部13は、制御部10から受信した各種データを、データ通信に適した形式に変換した後、電力情報収集装置5に送信する。また、通信部13は、電力情報収集装置5から受信した各種データを装置内部のデータ形式に変換した後、制御部10に送信する。
【0038】
駆動部14は、配電盤3から供給された電力により駆動して洗濯を実行するものである。駆動部14の駆動は、制御部10によって制御される。図2に示すように、駆動部14は、給水および排水のためのバルブ20、洗濯槽を回転させるためのモータ21などを備えている。洗濯機4aに供給される電力の大半は、駆動部14にて消費される。なお、駆動部14の詳細は公知であるので、その説明を省略する。
【0039】
電力センサ15は、洗濯機4aが消費する消費電力値を計測するものである。電力センサ15は、計測した消費電力値を制御部10に送信する。なお、電力センサ15の詳細は公知であるので、その説明を省略する。
【0040】
重量センサ16は、洗濯槽に収容された収容物の重量を計測するものである。重量センサ16は、上記重量の計測値を制御部10に送信する。なお、重量センサ16が計測する重量について、洗濯の実行前は洗濯物の重量となり、洗濯の実行中は、各工程にて、水の重量が追加されたり、脱水で重量が減少したりする。また、重量センサ16の詳細は公知であるので、その説明を省略する。
【0041】
次に、制御部10および記憶部11の詳細について説明する。図1に示すように、制御部10は、消費電力取得部30、モード選択部31、需給比較部(需給比較取得手段)32、電力コスト取得部(電力コスト取得手段)33、重量取得部34、駆動判断部(稼働判断手段)35、および駆動制御部(稼働制御手段)36を備える構成である。また、記憶部11は、洗濯履歴記憶部40を備える構成である。
【0042】
洗濯履歴記憶部40は、洗濯機4aが洗濯を実行した履歴を示す洗濯履歴情報(稼働履歴情報)を記憶している。図3は、該洗濯履歴情報の一例を表形式で示している。図示の例では、上記洗濯履歴情報として、洗濯の開始時刻および終了時刻が格納されている。
【0043】
消費電力取得部30は、電力センサ15から洗濯機4aの消費電力値を取得するものである。消費電力取得部30は、取得した洗濯機4aの消費電力値を、通信部13を介して電力情報収集装置5に送信する。
【0044】
モード選択部31は、ユーザから操作部12を介しての指示に基づき、洗濯の開始を手動で行う手動開始モードと、洗濯の開始を自動で行う自動開始モードとの何れかを選択するものである。モード選択部31は、選択したモードを各ブロック32〜36に通知する。
【0045】
需給比較部32は、上記自動開始モードの場合に、自然エネルギーを利用した太陽光発電装置2bの供給電力値と、消費電力値合計値とを比較するものである。太陽光発電装置2bの供給電力値と、各負荷装置4の消費電力値とは、電力情報収集装置5から通信部13を介して取得する。需給比較部32は、比較結果を駆動判断部35に通知する。
【0046】
電力コスト取得部33は、上記自動開始モードの場合に、上記電力コスト合計値を、電力情報収集装置5から通信部13を介して取得するものである。上記電力コスト合計値は、各電源2からの供給電力値に、電力情報収集装置5が予め記憶している各電源2の電力単価をそれぞれ乗算して、各電源2の供給電力のコストを算出し、その総和を算出することにより求めることができる。電力コスト取得部33は、取得した電力コスト合計値を駆動判断部35に送出する。
【0047】
なお、電力コスト取得部33が上記電力コスト合計値を算出して取得してもよい。洗濯機4aの記憶部11に各電源2の電力単価を予め記憶しておき、電力コスト取得部33が、電力情報収集装置5から通信部13を介して、各電源2からの供給電力値を取得すれば、上記電力コスト合計値を算出することができる。
【0048】
重量取得部34は、重量センサ16から、洗濯槽の収容物の重量の計測値を取得するものである。上記自動開始モードの場合、重量取得部34は、取得した重量の計測値を駆動判断部35に送出する。
【0049】
駆動判断部35は、上記自動開始モードの場合に、需給比較部32からの比較結果と、電力コスト取得部33から電力コスト合計値と、重量取得部34からの重量の計測値と、洗濯履歴記憶部40からの洗濯履歴情報とに基づいて、駆動部14を駆動するか否かを判断するものである。駆動判断部35は、判断結果を駆動制御部36に通知する。なお、駆動判断部35が実行する判断処理の詳細については後述する。
【0050】
駆動制御部36は、駆動部14を制御するものである。具体的には、上記手動開始モードの場合、駆動制御部36は、ユーザから操作部12を介しての指示に基づき、直ちに或いはユーザの所望する時刻に駆動部14が駆動を開始するように制御する。一方、上記自動開始モードの場合、駆動制御部36は、駆動判断部35からの判断結果に従って、駆動部14が駆動を開始したり一時停止したりするように制御する。
【0051】
また、駆動制御部36は、洗濯が完了すると、駆動部14の駆動を終了させる。そして、駆動制御部36は、駆動部14の駆動開始および駆動終了の日時を、洗濯の開始日時および終了日時として、洗濯履歴記憶部40の洗濯履歴情報に追加する。なお、図示していないが、駆動制御部36は、公知の洗濯機と同様に、重量取得部34が取得した洗濯槽の収容物の重量に基づいて、駆動部14を制御することは言うまでもない。
【0052】
次に、上記構成の洗濯機4aにおける処理動作を、図4〜図6を参照して説明する。図4〜図6は、自動開始モードが選択された場合の制御部10における処理の流れを示している。
【0053】
ユーザから操作部12を介しての指示により、モード選択部31が手動開始モードを選択すると、駆動制御部36は、ユーザから操作部12を介しての指示に基づく時刻に駆動部14の駆動を開始させる。これにより洗濯が開始される。そして、洗濯が完了すると、駆動制御部36は、駆動部14の駆動を終了して、洗濯履歴記憶部40の洗濯履歴情報を更新する。その後、処理を終了する。
【0054】
一方、ユーザから操作部12を介しての指示により、モード選択部31が自動開始モードを選択すると、図4〜図6に示す処理が行われる。自動開始モードは、図4に示す開始モード、図5に示す駆動モード、および図6に示す一時停止モードからなる。自動開始モードでは、まず、開始モードが実行される。
【0055】
開始モードでは、図4に示すように、駆動判断部35は、洗濯履歴記憶部40の洗濯履歴情報を参照して、現在時刻が洗濯可能な時刻であるか否かを判断する(S10)。例えば、現在時刻が過去に洗濯を実行した時間帯に含まれる場合には、現在時刻が洗濯可能な時刻であると判断する。洗濯可能な時刻である場合、ステップS11に進む一方、洗濯可能な時刻ではない場合、ステップS15に進む。
【0056】
ステップS11にて、駆動判断部35は、重量取得部34が取得した洗濯前における洗濯槽の収容物の重量、すなわち洗濯物の重量が設定値(例えば1kg)以上であるか否かを判断する。上記設定値以上である場合、洗濯可能な重量である(稼働の条件を満たしている)として、ステップS12に進む。一方、上記設定値未満である場合、洗濯可能な重量ではない(稼働の条件を満たしていない)として、ステップS15に進む。
【0057】
ステップS12にて、需給比較部32からの比較結果により、太陽光発電装置2bの供給電力値が、消費電力値合計値よりも多い場合、或いは、ステップS13にて、電力コスト取得部33が取得した電力コスト合計値が設定値以下である場合、駆動判断部35は、駆動部14の駆動を開始すると判断して、駆動制御部36が、駆動部14の駆動を開始させ(S14)、駆動モードに進む。一方、それ以外の場合には、駆動判断部35は、駆動部14の駆動を開始しないと判断して、ステップS15に進む。
【0058】
ステップS15にて、所定期間が経過するまで待機し、その後にステップS10に戻って上記処理動作を繰り返す。
【0059】
駆動モードでは、図5に示すように、需給比較部32からの比較結果により、太陽光発電装置2bの供給電力値が、消費電力値合計値よりも少なく(S20)、電力コスト取得部33が取得した電力コスト合計値が設定値より多く(S21)、かつ、現時点で駆動を一時停止可能である場合(S22)、駆動判断部35は、駆動部14の駆動を一時停止すると判断して、駆動制御部36が、駆動部14の駆動を一時停止させ(S23)、一時停止モードに進む。一方、それ以外の場合には、駆動判断部35は、駆動部14の駆動を続行すると判断して、ステップS24に進む。なお、図6に示す一時停止モードは、図4に示す開始モードに比べて、ステップS10・S11が省略されたものであるので、その説明は省略する。
【0060】
ステップS24にて、駆動判断部35は、洗濯が完了したか否かを判断する。完了していない場合、所定期間が経過するまで待機し(S25)、その後にステップS20に戻って上記処理動作を繰り返す。
【0061】
一方、完了した場合、駆動部14の駆動を終了すると判断して、駆動制御部36が、駆動部14の駆動を終了させる(S26)。このとき、駆動制御部36は、洗濯履歴記憶部40の洗濯履歴情報に、今回の洗濯の開始日時および終了日時を追加する。その後、処理動作を終了する。
【0062】
従って、本実施形態の洗濯機4aは、太陽光発電装置2bの供給電力値が上記消費電力合計値よりも大きい場合、駆動部14の駆動を開始させる。これにより、太陽光発電装置2bからの供給電力に余剰が発生すると、洗濯機4aが稼働し、その分、消費電力が増加するので、上記余剰を低減することができる。さらに、太陽光発電装置2bの供給電力値が上記消費電力合計値よりも小さい場合、駆動部14の駆動を一時停止させる。これにより、太陽光発電装置2bからの供給電力に不足が発生すると、洗濯機4aが一時停止し、その分、消費電力が減少するので、上記不足を低減することができる。
【0063】
従って、本実施形態の洗濯機4aは、太陽光発電装置2bの供給電力の余剰または不足に応じて、駆動部14の駆動を開始したり一時停止したりできるので、不安定な供給電力に対応可能である。その結果、自然エネルギーを利用した再生可能電源が、供給可能な最大の電力を出力することができ、電力コストを削減することができる。
【0064】
さらに、太陽光発電装置2bからの供給電力の余剰が無くても、各種電源2からの供給電力のコストが低い場合、駆動部14の駆動を開始させている。また、太陽光発電装置2bからの供給電力の不足が発生しても、各種電源2からの供給電力のコストが低い場合、駆動部14の駆動を一時停止せずに続行させている。その結果、洗濯機4aは、供給電力のコストが低い時に稼働させることができるので、各種電源2から供給された電力量に対するコストを低減することができる。
【0065】
また、ユーザが手動開始モードを選択した場合、ユーザからの指示に基づく時刻に、駆動部14の稼働を開始できるので、ユーザの所望するタイミングで洗濯機4aを稼働させることができ、ユーザの利便性が向上する。また、重量センサ16が計測した洗濯物の重量が少ない場合に、駆動部14を駆動しないので、洗濯機4aの稼働効率の悪化を防止することができる。また、洗濯履歴記憶部40の洗濯履歴情報に基づいて、洗濯機4aの稼働が不要または望ましくない場合に、駆動部14を駆動しないので、ユーザの利便性が向上する。
【0066】
なお、太陽光発電装置2bなど、自然エネルギーを利用した再生可能電源のみを利用する場合、電力コスト合計値は考慮する必要がない。従って、電力コストに関する構成および処理を省略することができる。また、上述の設定値はユーザが設定可能である。
【0067】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
例えば、上記実施形態では、洗濯機4aを利用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、携帯機器、自動掃除機など、内蔵の二次電池によって動作する電気機器用の充電器、電気ポット、炊飯器、外灯など、設定された期間内で動作が完了すればよい任意の電気機器を利用することができる。また、モータなどの駆動部を有していなくても、電力を消費する稼働部を有する電気機器を利用することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、太陽光発電装置2bを利用しているが、風力発電装置、地熱発電装置など、自然エネルギーを利用した任意の再生可能電源を利用することができる。
【0070】
最後に、洗濯機4aの各ブロック、特に制御部10は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0071】
すなわち、洗濯機4aは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである洗濯機4aの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記洗濯機4aに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0072】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0073】
また、洗濯機4aを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る電気機器は、自然エネルギーを利用した再生可能電源からの供給電力値と、負荷による消費電力値との比較結果に基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断し、該判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させることにより、上記供給電力の余剰または不足に応じて、稼働部の稼働を開始したり停止したりできるので、不安定な供給電力に対応可能であるので、自然エネルギーを利用した任意の再生可能電源を利用する電力システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 電力システム
2 電源
2a 商用電源
2b 太陽光発電装置
2c 燃料電池装置
3 配電盤
4 負荷装置(電気機器)
4a 洗濯機
5 電力情報収集装置
10 制御部
11 記憶部
12 操作部
13 通信部
14 駆動部(稼働部)
15 電力センサ
16 重量センサ
30 消費電力取得部
31 モード選択部
32 需給比較部(需給比較取得手段)
33 電力コスト取得部(電力コスト取得手段)
34 重量取得部
35 駆動判断部(稼働判断手段)
36 駆動制御部(稼働制御手段)
40 洗濯履歴記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器であって、
上記供給された電力により稼働する稼働部と、
上記電源のうち、自然エネルギーを利用した再生可能電源が供給している供給電力値と、当該電気機器を含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較取得手段と、
該需給比較取得手段が取得した比較結果に基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断する稼働判断手段と、
該稼働判断手段の判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させるように制御する稼働制御手段とを備えることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
上記電源から供給される電力のコストを取得する電力コスト取得手段をさらに備えており、
上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記電力コスト取得手段が取得した電力のコストとに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
ユーザが操作する操作部をさらに備えており、
上記稼働制御手段は、上記ユーザから上記操作部を介して開始指示を受け取ると、上記稼働判断手段の判断結果に関係なく、上記ユーザから上記操作部を介しての指示に基づく時刻に、上記稼働部の稼働を開始させるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
上記稼働部の状態を検知するセンサをさらに備えており、
上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記センサが検知した上記稼働部の状態が稼働の条件を満たした状態になっているかとに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断することを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
上記稼働部の稼働履歴の情報を記憶する記憶部をさらに備えており、
上記稼働判断手段は、上記需給比較取得手段が取得した比較結果と、上記記憶部に記憶された稼働履歴の情報とに基づき、上記稼働部を稼働させるかを判断することを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
上記電気機器は、設定された期間内で動作が完了すればよいものであることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムであって、
上記電源は、自然エネルギーを利用した再生可能電源を備えており、
上記負荷は、請求項1から6までの何れか1項に記載の電気機器を備えることを特徴とする電力システム。
【請求項8】
電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器の制御方法であって、
上記電源のうち、自然エネルギーを利用した再生可能電源が供給している供給電力値と、当該電気機器を含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較取得ステップと、
該需給比較ステップにて取得された比較結果に基づき、上記電力により稼働する稼働部を稼働させるかを判断する稼働判断ステップと、
該稼働判断ステップの判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させるように制御する稼働制御ステップとを含むことを特徴とする電気機器の制御方法。
【請求項9】
電源から供給された電力が負荷にて消費される電力システムにて利用される電気機器を動作させるための制御プログラムにおいて、
上記電源のうち、自然エネルギーを利用した再生可能電源が供給している供給電力値と、当該電気機器を含む負荷が消費している消費電力値との比較結果を取得する需給比較取得ステップと、
該需給比較ステップにて取得された比較結果に基づき、上記電力により稼働する稼働部を稼働させるかを判断する稼働判断ステップと、
該稼働判断ステップの判断結果に基づき、上記稼働部を稼働させるように制御する稼働制御ステップとをコンピュータに実行させるための制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−195991(P2012−195991A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55976(P2011−55976)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】