説明

電気機器のエネルギー管理装置及び電気機器のエネルギー管理方法

【課題】使用者が電気エネルギーの使用状況をより正確に確認して、電気機器を適切に制御できるようにする、電気機器のエネルギー管理装置及びエネルギー管理方法を提供する。
【解決手段】スマートグリッド及びスマートメーター技術が開発され、エネルギー価格の変動料金制が実施される等、限られたエネルギー資源を効率的に利用しようとする趨勢に応じて、使用時間、消費電力量、現在電気料金、将来の電気料金などの各種エネルギー関連情報を、各電気機器ごとに備えられる装置に個別に表示し、個別電気機器を動作するか否か判断可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器のエネルギー管理装置、エネルギー管理方法に係り、特に、エネルギー使用先において電気エネルギーを用いて動作する各電気機器のエネルギー関連情報を、個別の電気機器に対応してそれぞれ表示することによって、使用者が経済的に電気エネルギーを利用できるようにする。
【背景技術】
【0002】
今まで、電気、ガス、水道などの各種エネルギーは最大の需要を基準に供給されてきたし、エネルギー価格も固定的に維持されてきた。
然るに、最近では、限られたエネルギー資源をより効率的に利用し、エネルギー消費を低減する方案として、エネルギー価格を時間帯や季節別に差別化する方案が工夫されている。
【0003】
なお、エネルギーの効率的な利用を図る技術としてスマートグリッド(Smart Grid)やスマートメーター(Smart Meter)が注目されている。
スマートグリッドは、電力網に情報技術(IT)を組み合わせて、電力供給者と消費者とが双方向に実時間情報を交換できるようにすることによって、エネルギー効率を最適化し、新しい付加価値を創出できる次世代電力網である。
スマートメーター(Smart Meter)は、通信機能を追加したデジタル電力量計のことをいうもので、電力使用量の実時間調査や電力供給者と消費者との双方向通信を可能にする。
したがって、検針員が家庭を直接訪問する必要なく遠隔で検針することができ、実時間検針が可能なため、エネルギー使用量を精密測定でき、検針費用の低減及びエネルギー節約などの効果を奏することができる。
【0004】
スマートグリッド社会では、スマートメーター及びIHD(In Home Display)等の使用によって、個別電気機器の電力を制御可能な環境へと変化し、電気の価格も時間によって変わる。そこで、使用者は、自身に最も合理的な方法で電気エネルギーの使用を節約するように工夫することができる。
使用者が能動的に電気エネルギー消費を調節できるようにするためには、エネルギー使用量や電気料金のようなエネルギー関連情報を、便利且つ容易に確認可能にすることが必要である。
また、エネルギー関連情報を統合的に伝達するだけでは、エネルギー消費状況が実感し難いから、個別電気機器にそれぞれ対応してエネルギー関連情報を提供することを考慮しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、エネルギー使用先の電気機器に対するエネルギー関連情報を、個別電気機器にそれぞれ対応して表示することによって、使用者が電気エネルギーの使用状況をより事実的に確認して、電気機器を適切に制御できるようにする、電気機器のエネルギー管理装置及びエネルギー管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電気機器のエネルギー管理装置は、個別電気機器の外側または周辺に取り付けられたエネルギー関連情報表示手段、メーターで時間によるエネルギー変動量に基づいて前記個別電気機器の個別エネルギーを推定する推定手段、前記個別電気機器の使用時間分析に基づいて前記個別電気機器の消耗電力量を分析する分析手段、前記個別電気機器の外側または周辺に取り付けられたエネルギー関連情報表示手段が、前記推定手段及び分析手段から前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を受信する第1受信手段、及び前記エネルギー関連情報表示手段の周辺において電気機器を動作するか否かを決定するスイッチ手段を含んで構成される。
【0007】
本発明に係る電気機器のエネルギー管理装置は、中央サーバーから時間による電気の価格情報を受信する第2受信手段をさらに含んでなることができる。
【0008】
前記メーターは、スマートメーターであれば良く、前記スマートメーターは、メモリーに前記個別電気機器のエネルギー使用量情報を保存して維持することができる。
前記推定手段及び分析手段の役割を、スマートメーターまたは中央サーバーで行うように構成することができる。
前記分析手段は、前記個別電気機器の現在エネルギー使用料金及び将来のエネルギー使用料金のうち一つ以上を予測することができる。
前記分析手段は、前記個別電気機器の寿命を予測することができる。
前記エネルギー関連情報表示手段は、前記個別電気機器のオン/オフスイッチのそばに配置されることができる。
【0009】
本発明に係る電気機器のエネルギー管理方法は、個別電気機器の外側または周辺においてエネルギー関連情報を表示する表示段階、メーターで時間によるエネルギー変動量に基づいて前記個別電気機器の個別エネルギーを推定する推定段階、前記個別電気機器の使用時間分析に基づいて前記個別電気機器の消耗電力量を分析する分析段階、前記個別電気機器の外側または周辺でエネルギー関連情報を表示する表示段階が、前記推定段階及び分析段階から前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を受信する受信段階、及び前記個別電気機器を動作するか否かを決定する電気機器制御段階と、を含んで構成される。
【0010】
本発明に係る電気機器のエネルギー管理方法は、中央サーバーから時間による電気の価格情報を受信する段階をさらに含んでなることができる。
前記推定段階及び分析段階は、スマートメーターまたは中央サーバーで行うように構成されることができる。
前記分析段階は、前記個別電気機器の現在エネルギー使用料金及び将来のエネルギー使用料金のうち一つ以上を予測するように構成されることができる。
前記分析段階は、前記個別電気機器の寿命を予測するように構成されることができる。
前記個別エネルギー関連情報は、RF通信、ジグビー(Zigbee)通信、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)通信などの無線通信方式によってやり取りしたり、一般電線、電力線、LANケーブル、電話線などを使って有線通信方式でやり取りすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メーターで検出される単位時間当たりのエネルギー使用量を、あらかじめ入力されている電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量と比較することで、各電気機器の動作状態を把握することができる。
各電気機器の動作状態が把握されると、各電気機器の使用時間及び電気消耗量などの情報がわかり、時間による電気の価格情報を用いて現在または将来のエネルギー使用料金を合理的な範囲内で予測することができる。
【0012】
電気消耗量、現在のエネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などのエネルギー関連情報は、各電気機器ごとに一対一に対応して表示されるから、使用者は、個別電気機器のエネルギー消費状態を容易に確認することができる。
エネルギー関連情報が個別電気機器ごとに表示されると、使用者が各電気機器のエネルギー消費状況を実感でき、動作させる電気機器と動作を中止させる電気機器を選択する意思決定に役立つことができる。
また、現在または将来のエネルギー使用料金が予測されると、その結果に基づいて電気機器をオン/オフ(ON/OFF)させることによって、エネルギー使用が、制限された範囲内でなされるように制御し、エネルギーをより効率的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るエネルギー管理システムの実施例を示す図である。
【図2】本発明に係るエネルギー管理システムの実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図4】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図5】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図6】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図7】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図8】本発明に係る、各電気機器の動作状態を把握する方法を説明するための図である。
【図9】エネルギー価格構造の例を示す図である。
【図10】将来のエネルギー使用料金を予測する様々な方法を示す図である。
【図11】将来のエネルギー使用料金を予測する様々な方法を示す図である。
【図12】将来のエネルギー使用料金を予測する様々な方法を示す図である。
【図13】将来のエネルギー使用料金を予測する様々な方法を示す図である。
【図14】スイッチ手段の一実施例である。
【図15】スイッチ手段を制御する経路の様々な例を示す図である。
【図16】本発明に係るエネルギー管理装置の実施例を示す図である。
【図17】本発明に係るエネルギー管理装置の実施例を示す図である。
【図18】メーターの構成に関する一実施例を示す図である。
【図19】メーターに設定すべき情報を示す図である。
【図20】第1受信手段及び表示手段を構成する一実施例を示す図である。
【図21】エネルギー関連情報を表示する装置の使用状態を示す図である。
【図22】本発明に係るエネルギー管理方法の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
本発明でいうエネルギーは電気エネルギーを指す。
【0015】
図1を参照すると、電力会社11が供給する電気エネルギーは、電気線路11−1に沿ってエネルギー使用先に引き込まれ、各種電気機器16−1〜16−kで使用される。
電気機器とは、冷蔵庫、テレビジョン(TV)セット、暖房機器、冷房機器、照明機器など、電気エネルギーを用いて動作する機器のことをいう。
エネルギー使用先にはメーター(Meter)13が設置される。メーター13とは、エネルギー使用量のような電気エネルギー使用情報を検出する電子式計器のことをいう。メーター13はスマートメーターであれば良い。
【0016】
本発明に係るエネルギー管理システムは、少なくとも、推定手段21、分析手段22、第1受信手段25−1〜25−k、表示手段26−1〜26−k、及びスイッチ手段205−1〜205−kを含んでなる。
【0017】
推定手段21及び分析手段22の役割を、メーター13で果たしたり、図2に示すように、中央サーバー15で果たしたりするように構成することもできる。
中央サーバー15は、電力会社11がエネルギー関連サービスを提供するサーバーで、無線メッシュ(Mesh)、電力線通信網、インターネット網などの様々な通信網を介して電気の価格情報を伝送することができる。
【0018】
表示手段26−1〜26−kは、各電気機器16−1〜16−kの外側または周辺に取り付けられて、エネルギー関連情報を視覚的に表示する役割を果たし、エネルギー関連情報は、第1受信手段25−1〜25−kが推定手段21及び分析手段22から受信する。
推定手段21及び分析手段22と第1受信手段25−1〜25−kとは、様々な無線通信方式または有線通信方式を用いて、個別電気機器のエネルギー関連情報をやり取りすることができる。
無線通信方式の例には、RF通信方式、ジグビー(Zigbee)通信方式、ブルートゥース(Bluetooth)通信方式などがある。有線通信方式を利用する場合には、一般電線、電力線、LAN(Local Area Network)ケーブル、電話線などを使って通信すれば良い。
【0019】
エネルギー管理システムは、中央サーバー15から時間による電気の価格情報を受信する第2受信手段23をさらに含むことができる。
【0020】
次に、エネルギー管理システムにおける、推定手段21、分析手段22、第1受信手段25−1〜25−k、表示手段26−1〜26−k、スイッチ手段205−1〜205−kについて詳細に説明する。
【0021】
推定手段21は、メーター13で検出する時間によるエネルギー変動量に基づいて、各電気機器の動作状態、例えば、いかなる電気機器が動作中であるかを推定する役割を果たす。
このために、推定手段21は、各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報を維持する。各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報は、製造に当たってあらかじめ入力しておくこともでき、使用者が入力しておくこともできる。
後者の場合、推定手段21は、使用者が各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報を入力しておくことができるようにユーザインターフェース(UI:User Interface)を提供したり、使用者が入力した各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報を、別の装置から受信したりすることができる。
推定手段21の役割をメーター13で果たす実施例では、メーター13は、上記のユーザインターフェースを提供するために、ディスプレイ画面とキーボタンなどを備えることができる。
推定手段21の役割を中央サーバー15で果たす実施例では、中央サーバー15は、インターネットウェブサイトやコールセンターなどの様々な方法で使用者とインターフェースして、使用者が、自身が使用する各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報を入力しておくことができるようにする。
【0022】
図3乃至図6を参照して、推定手段21が、メーター13で検出するエネルギー使用量(具体的には、単位時間当たりの全体エネルギー使用量)に基づいて各電気機器の動作状態を推定する方法を説明する。
【0023】
図3を参照すると、メーター13が一時点taで検出した全体エネルギー使用量がQaで、他の時点tbで検出した全体エネルギー使用量がQbで、‘tb−ta’が単位時間であるとすれば、単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量は、‘Qb−Qa’である。ここで、Qb>Qaである。
単位時間当たりの全体エネルギー使用量が変動したということは、動作中の電気機器が変わったという意味である。
推定手段21は、図4に示すように、‘Qb−Qa’を、あらかじめ入力されている各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量情報と比較して(S311)、‘Qb−Qa’と誤差範囲内で一致する単位時間当たりのエネルギー使用量を持つ電気機器を探し、当該電気機器が、時点taで、オフ(OFF)状態からオン(ON)状態に変わったと推定する(S312)。
【0024】
図5を参照すると、一時点taで検出した全体エネルギー使用量がQaで、他の時点tbで検出した全体エネルギー使用量がQbで、‘tb−ta’が単位時間であるとすれば、単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量は‘Qb−Qa’となる。ここで、Qa>Qbであり、正(+)の値に換算すると、‘Qa−Qb'となる。
推定手段21は、図6に示すように、‘Qa−Qb’を、使用者が入力した各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量情報と比較して(S321)、‘Qa−Qb’と誤差範囲内で一致する単位時間当たりのエネルギー使用量を持つ電気機器を探し、当該電気機器が、時点taで、オン(ON)状態からオフ(OFF)状態に変わったと推定する(S322)。
推定手段21は、各電気機器の動作状態から把握可能な情報、例えば、動作中であるか否か、動作時間などの情報を、各電気機器16−1〜16−kに対応する第1受信手段25−1〜25−kに伝送することができる。
【0025】
図7及び図8を参照して、推定手段21が各電気機器16−1〜16−kの動作状態を推定する具体的な例を説明する。
図7は、電気機器L1乃至L5に対する単位時間当たりのエネルギー使用量を示す図で、電気機器L1乃至L5はそれぞれ、単位時間当りQ1乃至Q5のエネルギーを使用する機器である。
上述したように、電気機器L1乃至L5がそれぞれ、単位時間当りQ1乃至Q5の電気エネルギーを使用する機器であるという情報は、製造に当たってあらかじめ入力しておくこともでき、使用者により入力しておくこともできる。
【0026】
図8の(8a)は、各時間区間において、メーター13が検出する全体エネルギー使用量の変動状態を示す図である。ここで、各区間は、単位時間区間である。
区間1における単位時間当たりの全体エネルギー使用量はQ2であり、区間2における単位時間当たりの全体エネルギー使用量は‘Q2+Q4’である。
すなわち、図8の(8a)で、区間1及び区間2に対する単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量がQ4であるから、推定手段21が、Q4を、あらかじめ入力されている各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量と比較すると、区間2の始点に、電気機器L4の動作状態がオフ(OFF)からオン(ON)に変わったと推定することができる。
【0027】
区間3における、単位時間当たりの全体エネルギー使用量は、‘Q2+Q4+Q1’である。
すなわち、図8の(8a)において、区間2及び区間3に対する単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量がQ1であるから、推定手段21が、Q1を、あらかじめ入力されている各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量と比較すると、区間3の始点に、電気機器L1の動作状態がオフ(OFF)からオン(ON)に変わったと推定できる。
同様に、図8の(8a)で、区間5において単位時間当たりの全体エネルギー使用量がQ2だけ減少したとすれば、推定手段21は、区間5の始点に、電気機器L2の動作状態がオン(ON)からオフ(OFF)に変わったと推定できる。
このように、推定手段21は、全体エネルギー使用量の単位時間当たりの変動量を、あらかじめ入力されている各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量と比較することによって、各電気機器の動作状態を推定することができる。
【0028】
図8の(8b)は、上記のような方法によって推定手段21が電気機器L1乃至L5の動作状態を推定した結果を示す図である。
【0029】
分析手段22は、各電気機器の使用時間に基づいて個別電気機器の消耗電力量を分析する。
上述したように、推定手段21で各電気機器の動作状態に関する情報が推定されるので、この情報を用いて各電気機器の使用時間が把握でき、各電気機器の使用時間、及び単位時間当たりのエネルギー使用量を用いて、消耗電力量を分析することができる。
消耗電力量とは、各電気機器が使用した総消耗電力量のことをいい、消耗電力量は、電気料金が算定される基準期間に対するものであれば良い。例えば、電気料金が1ケ月単位に請求されるとすれば、電気料金が再び計算されてから現在までに該当の電気機器が使用した電力量であれば良い。
【0030】
分析手段22は、分析された各電気機器16−1〜16−kの消耗電力量情報及び電気の価格情報に基づき、各電気機器16−1〜16−kに対する現在または将来のエネルギー使用料金を予測することができる。
分析手段22は、基本的に個別電気機器のエネルギー使用料金を予測するが、必要によっては個別電気機器のエネルギー使用料金を合算することで、全体エネルギー使用料金を予測することもできる。
電気の価格情報は、第2受信手段23が中央サーバー15から受信し、図2に示すように、分析手段22の役割を中央サーバー15が果たす実施例では、中央サーバー15が電気の価格情報を有している。
【0031】
電気の価格構造には様々なものがあり、例えば、電気の価格が固定している構造では、電気の価格情報は、ウォン/KWh、ウォン/KVarh、ウォン/KVAhなどの単純な構造を有する。
しかし、エネルギー価格は、累進制、時間帯別料金制(Time of Use Pricing:TOU)、緊急ピーク時間帯料金制(Critical Peak Pricing:CPP)、リアルタイム料金制(Real−Time Pricing:RTP)等、エネルギー使用量や時間によって変動する構造を有することもできる。
下記の表1は、エネルギー使用量が増加するほど単位価格が高くなる累進制の例を示すものである。
【0032】
【表1】

【0033】
図9の(9a)は、商店街、工場、大型建物などで主に使用する時間帯別料金制(TOU)を示す図で、時間帯別に電気の価格が異なる。図9の(9b)は、緊急ピーク時間帯料金制(CPP)を示す図で、時間帯別に電気の価格が異なり、特に、ピーク区間における電気の価格が非常に高い。図9の(9c)は、リアルタイム料金制(RTP)を示す図で、電気の価格が実時間で変動する。
【0034】
分析手段22は、下記の数学式1を用いて個別電気機器の現在エネルギー使用料金を予測することができる。
【0035】
【数1】

【0036】
ここで、kは、電気機器を区別する変数、iは、電気機器#kが動作中だった各単位時間を区別する変数、M(k)は、電気機器#kに対するエネルギー使用料金、Q(k,i)は、電気機器#kの時間区間iにおけるエネルギー使用量、P(i)は、時間区間iにおけるエネルギー価格を表す。
【0037】
各電気機器全部を考慮した全体エネルギー使用料金MTは、下記の数学式2のように予測することができる。
【0038】
【数2】

【0039】
ここで、nは、電気機器の個数、kは、電気機器を区別する変数、M(k)は、電気機器#kに対するエネルギー使用料金を表す。
【0040】
また、分析手段22は、個別電気機器のエネルギー使用料金や全体エネルギー使用料金を、上記の数学式1及び数学式2を用いて、少なくとも2つの時点で演算し、その変動率に基づいて将来のエネルギー使用料金を予測することができる。
ここで、エネルギー使用料金を予測しようとする将来の時点は、日、週、月、年などの単位に設定したり、将来の特定時点に設定したりすることができる。後者において、特定時点は、使用者がエネルギー使用料金を決済するように規定されている時点、例えば、毎月の末日にすることができる。
【0041】
分析手段22が将来のエネルギー使用料金を予測する方法には様々なものがあり、特に、線形の1次関数を用いて予測したり、2次以上の非線形関数を用いて予測することができる。
【0042】
図10乃至図13を参照して、分析手段22が将来のエネルギー使用料金を予測する様々な方法を説明する。
過去時点t1におけるエネルギー使用料金(個別電気機器のエネルギー使用料金または全体エネルギー使用料金)がM1であり、t1から一定時間が経過した現在時点t2におけるエネルギー使用料金がM2であり、予測しようとする将来の一時点t3におけるエネルギー使用料金がM3であるとする。
この場合、エネルギー使用料金の変動量はdMであり、エネルギー使用料金の変動率は‘dM÷dt’と計算できる。
ここで、dMは‘M2−M1’で、dtは‘t2−t1’である。
【0043】
図10は、将来のエネルギー使用料金を予測するために線形的な方法を利用する例であり、将来の一時点t3におけるエネルギー使用料金M3は、下記の数学式3のように予測することができる。
【0044】
【数3】

【0045】
図11は、将来のエネルギー使用料金を予測するために重み(weight)を利用する例であり、重みを利用する方法には様々なものがある。
その一例に、エネルギー使用料金の変動率に基づき、重み‘C’を1よりも大きい値、1、または1よりも小さい値として適用する方法を挙げることができる。この場合、将来の一時点t3におけるエネルギー使用料金M3は、下記の数学式4のように予測することができる。
【0046】
【数4】

【0047】
図12は、将来のエネルギー使用料金を予測するために指数曲線を利用する例であり、将来の一時点t3におけるエネルギー使用料金M3は、下記の数学式5のように予測することができる。
【0048】
【数5】

ここで、a値は、電気価格の累進制またはエネルギー使用料金の変動率に基づいて決定されることができる。
【0049】
図13は、将来のエネルギー使用料金を予測するためにログ曲線を利用する例であり、将来の一時点t3におけるエネルギー使用料金M3は、下記の数学式6のように予測することができる。
【0050】
【数6】

ここで、a値は、電気価格の累進制またはエネルギー使用料金の変動率に基づいて決定されることができる。
【0051】
なお、分析手段22は、電力会社11の課金政策に関する情報を用いて、使用者に実際に請求される料金を、現在または将来のエネルギー使用料金から予測することができる。
電力会社11の課金政策に関する情報は、基本的に課される基本料金、税金、力率料金、料金特典などの情報を含むことができる。
税金は、付加価値税や各種基金などを含むことができ、料金特典の例としては、特定産業、例えば、知識サービス産業に対しては他の産業に比べて電気料金を安価に策定する場合などを挙げることができる。その具体例として、使用者に実際に請求される料金を、‘電気料金+付加料金’と策定することができる。
この場合、電気料金は‘電力使用量×単位価格+基本料金’、付加料金は‘電力産業基盤基金+付加価値税’、電力産業基盤基金は電気料金の3.7%、付加価値税は電気料金の10%などに決定することができる。
ここで、電気料金を構成する‘電力使用量×単位価格’の部分が、上記の数学式1乃至数学式6によって予測される値である。
【0052】
また、分析手段22は、個別電気機器の使用時間や効率分析などを通じて個別電気機器の寿命を予測することもできる。
例えば、あらかじめ入力されたり、使用者が入力しておく各電気機器の寿命と、推定手段21で把握される個別電気機器の使用時間とを比較することで、残余寿命を予測することができる。
分析手段22は、分析された各種エネルギー関連情報、例えば、個別電気機器の消耗電力量、残余寿命、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などを、個別電気機器16−1〜16−kに対応して備えられている第1受信手段25−1〜25−kに伝送する。
また、分析手段22を、予測された個別エネルギー使用料金や全体エネルギー使用料金が、使用者の設定しておいた上限値を超えるか否かを監視するように構成することもできる。
このような実施例において、分析手段22は、使用者が上限値情報を設定できるようなユーザインターフェース(UI:User Interface)を提供したり、使用者が設定した上限値情報を、別の装置から受信したりすることができる。
そして、分析手段22は、予測された個別エネルギー使用料金や全体エネルギー使用料金が上限値を超えると、使用者の携帯端末やIHD(In Home Display)などに警告メッセージを伝送することができる。
この時、近距離無線通信ネットワークやインターネット網などの様々な通信インターフェースを介して警告メッセージを伝送でき、特に、移動通信網を介して使用者の携帯電話に伝送することもできる。
【0053】
第1受信手段25−1〜25−k、表示手段26−1〜26−k、及びスイッチ手段205−1〜205−kは、各電気機器16−1〜16−kに一対一に対応して設けられる。
推定手段21及び分析手段22により把握される各種エネルギー関連情報、例えば、個別電気機器の使用時間、消耗電力量、残余寿命、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などが、有線または無線の様々な通信方式によって伝送されると、個別電気機器16−1〜16−kに対応して設けられている第1受信手段25−1〜25−kに受信される。
第1受信手段25−1〜25−kは、推定手段21及び分析手段22から受信されるエネルギー関連情報を、表示手段26−1〜26−kに伝達し、表示手段26−1〜26−kは、エネルギー関連情報をディスプレイ画面を介して視覚的に出力し、使用者が個別電気機器のエネルギー関連情報を確認できるようにする。
【0054】
図14は、電気機器16−1の電源プラグ18−9が連結されるスイッチ手段205−1の一実施例を示す図で、電気機器16−1の電源プラグ18−9は、スイッチ手段205−1を介してコンセント18−1に連結される。
スイッチ手段205−1は、壁コンセントや壁コンセントに連結されたマルチコンセント18−1の締結口18−2,18−3に挿脱可能な締結ピン18−4,18−5を有し、また、電気機器の電源プラグ18−9が連結される締結口18−7,18−8を有する構成にすれば良い。
スイッチ手段205−1における通信モジュール18−11は、機器制御信号を受信して接点駆動部18−12に伝達し、接点駆動部18−12は、該当の電気機器の電源に関する接点18−13を連結させたり開放させたりする。
このようなスイッチ手段205−1は、電気機器の内部に設けられても良い。
【0055】
図15は、スイッチ手段205−1に機器制御信号を伝達する様々な経路の例を示す図である。
【0056】
図15の(15a)は、表示手段26−1がスイッチ手段205−1を直接制御する例を示す図で、表示手段26−1は、推定手段21及び分析手段22から受信するエネルギー関連情報を、ディスプレイ画面に表示する。
また、表示手段26−1は、エネルギー関連情報を用いてスイッチ手段205−1を制御するか否か決定し、当該決定にしたがって、スイッチ手段205−1に機器制御信号を伝達し、該当の電気機器のオン/オフ状態を制御する。
【0057】
図15の(15b)は、分析手段22がスイッチ手段205−1を間接的に制御する例を示す図で、分析手段22は、分析されたエネルギー関連情報を用いてスイッチ手段205−1を制御するか否かを決定し、当該決定にしたがって、機器制御信号を電気機器側に伝送する。
すると、該当の電気機器における第1受信手段25−1が、機器制御信号を受信して表示手段26−1に伝達し、表示手段26−1が機器制御信号をスイッチ手段205−1に伝達する。すなわち、表示手段26−1は、スイッチ手段205−1の制御と関連して機器制御信号を伝達する役割のみを果たす。
図15の(15b)の例では、第1受信手段25−1が表示手段26−1を介さずに直接スイッチ手段205−1に機器制御信号を伝達する構成にしても良い。
【0058】
図15の(15c)は、分析手段22がスイッチ手段205−1を直接制御する例を示すもので、分析手段22は、分析されたエネルギー関連情報を用いてスイッチ手段205−1を制御するか否か決定し、当該決定にしたがって、機器制御信号をスイッチ手段205−1に直接伝送する。
【0059】
一方、分析手段22や表示手段26−1などが、どのような場合に各電気機器のスイッチ手段205−1〜205−kを制御するかは、必要に応じて様々に定めれば良い。具体例を挙げると、特定エネルギー関連情報が、既に設定された上限値を超えると、該当のスイッチ手段をオフ状態に制御することができる。
すなわち、使用者が各電気機器に対して電気の価格、消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などに関する上限値を設定しておくようにし、電気の価格、消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などが、設定された上限値を超えると、該当の電気機器の電源を遮断することができる。
【0060】
また、現在エネルギー使用料金や将来のエネルギー使用料金などは、各電気機器全体に対する値にすることもでき、この全体値が上限値を超えると、複数の電気機器のうち、どの電気機器をオフにするかを選択しなければならない。
この場合、制御対象とする電気機器を選択する方法は、必要に応じて様々な方法にすればいい。例えば、循環制御方式や優先順位制御方式を用いることができる。
【0061】
循環制御方式は、各電気機器を順次に制御する方法で、エネルギー供給を遮断した電気機器の順番でエネルギー供給を再開する。
【0062】
優先順位制御方式は、各電気機器の重要度にしたがって優先順位を付け、優先順位の低い電気機器からまずエネルギー供給を遮断し、優先順位の高い電気機器からまずエネルギー供給を再開する。すなわち、エネルギーの供給が遮断された逆順に電気機器のエネルギー供給を再開する。
ここで、各電気機器の優先順位は、使用者が機器制御スケジュールとして直接指定する方法、エネルギー効率が悪いほど優先順位を低く設定する方法、エネルギー使用料金が多いほど優先順位を低く設定する方法など、様々な方法で設定することができる。
分析手段22や表示手段26−1は、電気機器への制御を実行すると、その結果を、使用者の携帯端末やIHDなどに伝送して使用者に知らせるように構成することができる。
この場合、有線/無線の様々な通信インターフェースを介して該当の情報を送信でき、移動通信網を介して使用者の携帯電話にメッセージを伝送することもできる。
【0063】
図16は、本発明に係るエネルギー管理装置30の一実施例を示す図で、エネルギー管理装置30は、少なくとも、推定手段21、分析手段22、第1受信手段25−1、表示手段26−1、スイッチ手段205−1を含んでなる。
説明の便宜のために、一つの第1受信手段25−1、表示手段26−1、スイッチ手段205−1のみを示すが、第1受信手段25−1、表示手段26−1、スイッチ手段205−1は、各電気機器16−1〜16−kに一対一に対応して設けられる。
第1受信手段25−1及び表示手段26−1は、電気機器16−1の外側または周辺に取り付けられた単一装置にすることができ、この装置は着脱可能に構成することもできる。スイッチ手段205−1は、該当の装置と一体にしても良く、別体の装置にしても良い。
【0064】
エネルギー管理装置30は、図17に示すように、中央サーバー15から時間による電気の価格情報を受信する第2受信手段23をさらに含むことができる。
エネルギー管理装置30を構成する推定手段21及び分析手段22の役割を、メーター13で果たすように構成することができる。
エネルギー管理装置30を構成する推定手段21、分析手段22、第2受信手段23、第1受信手段25−1、表示手段26−1、スイッチ手段205−1は、上述したエネルギー管理システムにおけるそれと同一の役割を果たすので、重複説明は省略する。
【0065】
図18を参照して、エネルギー管理装置の推定手段21及び分析手段22の役割を果たすメーター13の具体的な実施例を説明する。
第1通信モジュール13−1は、中央サーバーと通信し、第2通信モジュール13−2は、各電気機器16−1〜16−k側にエネルギー関連情報を伝送する。
計量部13−4は、電気線路11−1に流れる電気エネルギーの使用情報、例えば、全体エネルギー使用量などを検出する。
表示部13−5は、メーターの動作に関する各種情報を視覚的に表示する。
入力部13−7は、キーボタンやタッチスクリーンなどの様々な入力装置を介して、使用者がメーターの動作に関する命令や情報を入力できるようにする。
【0066】
メモリー13−6は、メーターの動作に必要な駆動プログラム及びデータを格納して保持する。駆動プログラムには、メーターが推定手段21、分析手段22、第2受信手段23などの役割を果たすようにするプログラムが含まれる。
メモリー13−6には、各電気機器別単位時間当たりのエネルギー使用量情報、各電気機器に対応する第1受信手段25−1〜25−kと通信するための情報などが保存される。
【0067】
図19には、メモリー13−6に保存される情報の例として、各電気機器の種類による、該当の電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報、各電気機器にエネルギー関連情報を伝送するための通信情報が示されている。通信情報は、各電気機器に対する固有のIDを含むことができる。
このような情報は、製造に当たってメモリー13−6にあらかじめ保存しておいたり、使用者12が入力部13−7を介して入力しておくことができる。
【0068】
プロセッサ13−3は、メーター13の動作を総括的に制御するもので、マイクロプロセッサまたは中央処理処置(CPU:Central Processing Unit)であれば良い。
プロセッサ13−3は、メーター13が駆動を始めると、メモリー13−6の駆動プログラムに従ってメーター13を制御して、本発明に係るエネルギー管理装置30の各実施例によって動作するようにする。
すなわち、プロセッサ13−3は、計量部13−4で検出する全体エネルギー使用量情報を用いて個別電気機器の動作状態を推定し、推定された情報、及び第1通信モジュール13−1を介して中央サーバー15から受信した電気の価格情報を用いて、個別電気機器の使用時間、消耗電力量、残余寿命、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などの各種エネルギー関連情報を分析し、分析されたエネルギー関連情報を、第2通信モジュール13−2を介して各電気機器側に伝送する。
もし、図15bまたは図15cを参照して説明したように、分析手段22がスイッチ手段205−1を制御するとすれば、メモリー13−6には、電気の価格、消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などに関する上限値、制御方法(例えば、循環制御、優先順位制御など)、各電気機器の効率情報、機器制御スケジュールなど、電気機器の制御のために必要な情報が保存される。このような情報は、入力部13−7を介して使用者12が設定することができる。
【0069】
図20は、第1受信手段25−1及び表示手段26−1の役割を果たす装置400の具体例を示す図で、この装置400は、第1通信モジュール411、プロセッサ412、メモリー413、入力部414、ディスプレイモジュール415、第2通信モジュール416などを含んでなることができる。
プロセッサ412は、メモリー413に格納されている駆動プログラムに従って動作して、装置400を総括的に制御する。
すなわち、プロセッサ412は、メーター13が伝送するエネルギー関連情報を、第1通信モジュール411を介して受信して処理し、ディスプレイモジュール415に伝達することによって、ディスプレイモジュール415がエネルギー関連情報を視覚的に表示するようにする。
【0070】
図15aを参照して説明した例のように、表示手段26−1がスイッチ手段205−1を直接制御する実施例において、装置400は、第1通信モジュール411を介して受信するエネルギー関連情報に基づいてスイッチ手段205−1を制御するか否かを決定し、第2通信モジュール416を介して機器制御信号を伝達する。
この時、電気の価格、消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などの上限値など、個別電気機器の制御のために必要な情報は、使用者から入力部414を介して受信してメモリー413に保存しておくことができる。
例えば、使用者が入力部414を介して該当の電気機器のエネルギー使用料金に関する上限値を5000ウォンに設定しておいたとすれば、プロセッサ412は、第1通信モジュール411を介して受信されるエネルギー関連情報のうちの現在エネルギー使用料金が5000ウォンを超過する場合、第2通信モジュール416を介して、電源を遮断させる機器制御信号をスイッチ手段205−1に伝達する。
【0071】
図21は、説明の理解を助けるために、図20の装置400を冷蔵庫10−1の外側または周辺に取り付けた状態を示す図である。
この装置400の画面には、自身と対応する電気機器である冷蔵庫10−1の使用時間、残余寿命、現在エネルギー使用料金、予想された将来のエネルギー使用料金などの様々なエネルギー関連情報が出力される。
装置400は、各電気機器の外側または周辺に固着されても良く、着脱自在に取り付けられても良い。
例えば、装置400は、冷蔵庫10−1のような電気機器の外ケース(A)に取り付けられも良く、電気機器の周辺に配置されているテーブル10−2の上面(B)や電気機器周辺の壁面(C)など、該当の電気機器の周辺に取り付けられても良い。なお、装置400は、着脱自在に構成することもできる。
【0072】
また、装置400は、推定手段21から伝送されうる、該当の電気機器の動作しているか否かに関する情報や動作時間情報、分析手段22から伝送されうる、該当の電気機器の単位時間区間における電気使用量、該当の電気機器の累積された電力消耗量、上限値超過状態、時間による電気の価格情報など、様々なエネルギー関連情報を表示することができる。
かかる情報は、単純な文字を含め、イメージ、グラフィック、グラフ、動映像などの様々な手法で表示することができ、さらに、使用者の合理的なエネルギー使用に役立つようなその他付加情報も一緒に表示することができる。
【0073】
図22を参照して、本発明に係るエネルギー管理方法の実施例を具体的に説明する。
まず、メーターが単位時間当たりの全体エネルギー使用量を測定する(S351)。
メーターはスマートメーターであれば良い。
段階S351での測定結果、全体エネルギー使用量が変動すると、該変動量を、あらかじめ入力されている各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量と比較して、個別電気機器の動作状態を推定する(S352)。
すなわち、段階S352では、図3乃至図8を参照して説明したように、メーターで測定する単位時間当たりの全体エネルギー使用量が変動すると、当該変動量を、あらかじめ入力されている各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報と比較して、その値が誤差範囲内で一致する電気機器を探す。
そして、単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量が正(+)あれば、該当の電気機器がオフ状態からオン状態に変わったと推定し、単位時間当たりの全体エネルギー使用量の変動量が負(−)であれば、該当の電気機器がオン状態からオフ状態に変わったと推定する。
この時、各電気機器の単位時間当たりのエネルギー使用量情報は、メーターの製造に当たってあらかじめ入力しておくこともでき、使用者が入力しておくようにすることもできる。
【0074】
段階S352で各電気機器の動作状態が推定されると、各電気機器の使用時間が把握でき、これを用いて各電気機器の消耗電力量、現在電気料金、将来の電気料金、残余寿命などの、各種エネルギー関連情報を分析する(S353)。
【0075】
段階S353でエネルギー関連情報が分析されると、エネルギー関連情報を各電気機器側に伝送して、個別電気機器の外側または周辺において視覚的に表示されるようにし、また、分析された結果に基づき、各電気機器側に備えられている電源スイッチを制御する(S354)。
エネルギー関連情報は、RF通信、ジグビー(Zigbee)通信、ブルートゥース(Bluetooth)通信などの様々な無線通信方式を用いて伝送したり、一般電線、電力線、LANケーブル、電話線などを用いる有線通信方式によって伝送したりすることができる。
【0076】
次に、段階S353で分析する各種エネルギー関連情報について説明する。
まず、段階S353では、各電気機器の使用時間に基づいて個別電気機器の消耗電力量を分析することができる。
すなわち、段階S352で各電気機器の動作状態が推定されるから、この情報を用いて各電気機器の使用時間が把握でき、各電気機器の使用時間及び単位時間当たりのエネルギー使用量を用いて消耗電力量を分析することができる。
したがって、消耗電力量及び電気の価格情報に基づいて個別電気機器に対する現在エネルギー使用料金を予測できる。
そのために、段階S353は、中央サーバーから時間による電気の価格情報を受信する段階をさらに含むことができる。
段階S353では、基本的に、上記の数学式1を用いて説明した例のように、個別電気機器の現在エネルギー使用料金を予測できるが、必要によっては、上記の数学式2を用いて説明した例のように、個別電気機器のエネルギー使用料金を合算して全体エネルギー使用料金を予測することもできる。
また、段階S353では、消耗電力量情報及び電気の価格情報に基づき、上記の数学式3乃至数学式6を用いて説明したように、線形的な方法または2次以上の非線形的な方法を用いて各電気機器に対する将来のエネルギー使用料金を予測することができる。
この時、電力会社の課金政策に関する情報を用いて、使用者に実際に請求される料金を、現在または将来のエネルギー使用料金から予測することができる。
【0077】
段階S353では、個別電気機器の使用時間や効率分析などを用いて個別電気機器の寿命を予測することもできる。
【0078】
また、段階S353では、予測された個別エネルギー使用料金や全体エネルギー使用料金が、使用者が設定しておいた上限値を超えるか否かを監視することもできる。
この場合、予測された個別エネルギー使用料金や全体エネルギー使用料金が上限値を超えると、使用者の携帯端末やIHDなどに警告メッセージを伝送することができる。
【0079】
一方、段階S354において、個別電気機器の外側または周辺に取り付けられた装置、例えば、図20を参照して説明した例のような装置は、エネルギー関連情報を受信してディスプレイ画面に視覚的に表示し、電気機器を制御する必要があるか否か判断して、電気機器の電源スイッチを制御する。
エネルギー関連情報を受信して視覚的に出力する装置は、各電気機器に一対一に対応して備えられるもので、各電気機器に固着しても良く、着脱自在にしても良い。
段階S354において、どんな場合に電気機器の電源スイッチを制御するかは、必要に応じて様々に判断すれば良い。
具体例として、各種エネルギー関連情報が、既に設定された上限値を超えると、電源スイッチをオフ状態に制御することができる。
すなわち、使用者が、各電気機器に対して消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などに関連した上限値を設定しておくようにし、消耗電力量、現在エネルギー使用料金、将来のエネルギー使用料金などが、設定された上限値を超えると、該当の電気機器の電源スイッチをオフにすることができる。
段階S354は、電気機器に対する制御を実行した場合、その結果を使用者の携帯端末やIHDなどに伝送して使用者に知らせることもできる。
【0080】
以上の実施例は、本発明の理解を助けるためのもので、本発明は、以上の実施例に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々に変形して実施できるということが、当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0081】
11 電力会社
11−1 電気線路
13 メーター
13−1 第1通信モジュール
13−2 第2通信モジュール
13−3 プロセッサ
13−4 計量部
13−5 表示部
13−6 メモリー
13−7 入力部
15 中央サーバー
16−1〜16−k 電気機器
21 推定手段
22 分析手段
23 第2受信手段
25−1〜25−k 第1受信手段
26−1〜26−k 表示手段
30 エネルギー表示装置
205−1〜205−k スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別電気機器の外側または周辺に取り付けられたエネルギー関連情報表示手段と、
メーターで時間によるエネルギー変動量に基づき、前記個別電気機器の個別エネルギーを推定する推定手段と、
前記個別電気機器の使用時間分析に基づいて前記個別電気機器の消耗電力量を分析する分析手段と、
前記個別電気機器の外側または周辺に取り付けられたエネルギー関連情報表示手段が、前記推定手段及び分析手段から前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を受信する第1受信手段と、
前記エネルギー関連情報表示手段の周辺において電気機器を動作するか否かを決定するスイッチ手段と、
を含む、電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項2】
中央サーバーから時間による電気の価格情報を受信する第2受信手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項3】
前記メーターは、スマートメーターを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項4】
前記スマートメーターは、メモリーに前記個別電気機器のエネルギー使用量情報を保存していることを特徴とする、請求項3に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項5】
前記推定手段及び分析手段の役割を、スマートメーターまたは中央サーバーで果たすことを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項6】
前記分析手段は、前記個別電気機器の現在エネルギー使用料金及び将来のエネルギー使用料金のうち一つ以上を予測することを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項7】
前記分析手段は、前記個別電気機器の寿命を予測することを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項8】
前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を、無線通信方式によってやり取りすることを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項9】
前記無線通信方式は、RF通信方式、ジグビー(Zigbee)通信方式、ブルートゥース(Bluetooth)通信方式のうち一つ以上を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項10】
前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を、有線通信方式によってやり取りすることを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項11】
前記有線通信は、一般電線、電力線、LANケーブル、電話線のうち一つ以上を使って行うことを特徴とする、請求項10に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項12】
前記エネルギー関連情報表示手段は、前記個別電気機器のオン/オフスイッチのそばに配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電気機器のエネルギー管理装置。
【請求項13】
個別電気機器の外側または周辺でエネルギー関連情報を表示する表示段階と、
メーターで時間によるエネルギー変動量に基づいて前記個別電気機器の個別エネルギーを推定する推定段階と、
前記個別電気機器の使用時間分析に基づいて前記個別電気機器の消耗電力量を分析する分析段階と、
前記個別電気機器の外側または周辺でエネルギー関連情報を表示する表示段階が、前記推定段階及び分析段階から、前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を受信する受信段階と、
前記個別電気機器を動作するか否かを決定する電気機器制御段階と、
を含む、電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項14】
中央サーバーから時間による電気の価格情報を受信する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項15】
前記推定段階及び分析段階は、スマートメーターまたは中央サーバーで行うことを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項16】
前記分析段階は、前記個別電気機器の現在エネルギー使用料金及び将来のエネルギー使用料金のうち一つ以上を予測することを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項17】
前記分析段階は、前記個別電気機器の寿命を予測することを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項18】
前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を、無線通信方式によってやり取りすることを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項19】
前記無線通信方式は、RF通信方式、ジグビー(Zigbee)通信方式、ブルートゥース(Bluetooth)通信方式のうち一つ以上を含むことを特徴とする、請求項18に記載の電気機器のエネルギー管理方法。
【請求項20】
前記個別電気機器の個別エネルギー関連情報を、有線通信方式によってやり取りすることを特徴とする、請求項13に記載の電気機器のエネルギー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−16272(P2012−16272A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147478(P2011−147478)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】