説明

電気機器

【課題】キースキャン検出回路の作動によるノイズの影響を受けることなく標準電波を受信することができる電気機器を提供する。
【解決手段】装置本体の時刻を設定する計時回路9と、計時回路9の計時結果に基づき受信時刻が到来したときに時刻情報を保有する標準電波を受信する標準電波受信回路10と、前記受信時刻の到来と同時に、スイッチの操作有無を検出するキースキャン回路14を少なくとも含む前記装置内部の作動回路の作動を停止させるとともに、前記標準電波の受信後に前記作動回路の作動開始させる制御回路7とを備え、前記標準電波に基づいて前記装置本体の時刻を計時回路9が修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、時刻情報としてのタイムコード信号を有する標準電波を受信して自動的に時刻を修正する電波時計を内蔵する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、時刻情報としてのタイムコード信号を有する標準電波を受信して自動的に時刻を修正する電波時計を内蔵する電気機器がある。このような電気機器として、例えば、装置本体の時刻を表示部に表示するとともに、タイムカードが挿入されるとこのタイムカードにその時刻を記録するタイムレコーダにおいて、タイムカードに正確な時刻を表示させるために電波時計を内蔵したものが考えられている。この電波時計を内蔵したタイムレコーダは、一日のうち決められた受信時刻に標準電波を受信して、この標準電波から得た時刻等のデータに基づいて装置本体の時刻を正確な時刻に修正し、この時刻を表示部に表示するとともにタイムカードが挿入されたときはその時刻をタイムカードに記録するようになっている。
【特許文献1】特開2001−61860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タイムレコーダは表示部への表示やタイムカードへの印字に大きな電力を必要とするため、例えばAC100V電源が用いられる。しかしながら、標準電波は微弱であるため、この電源に起因するノイズによって標準電波の受信に支障をきたす場合がある。また、キースキャンや表示制御等のタイムレコーダ内部における様々な作動回路の作動によってノイズが発生し、このノイズが標準電波の受信に影響を及ぼす場合もある。
【0004】
このように、電波時計を内蔵したタイムレコーダは標準電波の受信の際にノイズの影響を受けると正確な時刻等のデータを得ることができず、装置本体の時刻を正しく修正することができないという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、キースキャン検出回路の作動によるノイズの影響を受けることなく標準電波を受信することができる電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、装置本体の時刻を設定する計時手段と、前記計時手段の計時結果に基づき受信時刻が到来したときに時刻情報を保有する標準電波を受信する標準電波受信手段と、前記受信時刻の到来と同時に、スイッチの操作有無を検出するキースキャン検出回路を少なくとも含む前記装置内部の作動回路の作動を停止させるとともに、前記標準電波の受信後に前記作動回路の作動開始させる制御手段と、前記標準電波に基づいて前記装置本体の時刻を修正する修正手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、キースキャン検出回路の作動によるノイズの影響を受けることなく標準電波を受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に係わる電気機器であるタイムレコーダの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
[実施例1]
図1は本実施例に係るタイムレコーダの外観図を示している。符号1はタイムレコーダのレコーダ本体、2はレコーダ本体1の上部に形成されたカード挿入口、3はレコーダ本体1の上部に設けられた蛍光表示管やLCD等の表示部、5は標準電波を受けるアンテナ、6はタイムカードである。
【0010】
レコーダ本体1の内部には、図2に示すように、制御回路7が設けられ、この制御回路7は中央演算処理装置8と、以下この中央演算処理装置8にそれぞれ接続された計時回路9と、標準電波受信回路10と、表示回路12と、印字回路13と、キースキャン回路14と、記憶装置15とを備えている。
【0011】
計時回路9はタイムレコーダの時刻として現在時刻を設定し、標準電波受信回路10はアンテナ5に接続され標準電波を受信する。また、表示回路12は表示部3に接続されパルス信号である表示制御信号を出力して表示制御を行い、印字回路13は印字ヘッド21に接続され印字制御を行う。キースキャン回路14はタイムカード6の挿入に連動する「出勤」「退勤」等の複数のスイッチ22に接続されいずれのスイッチがオンされたかの検出を行う。すなわち、図3に示すように、キースキャン回路14からパルス信号(波形A)であるキースキャン信号が一定の周期で出力され、このキースキャン信号がスイッチ22を経由してキースキャン回路14に戻るようになっているが、このとき入力されたキースキャン信号に同期したパルスが現れるか(波形B)現れないか(波形C)によっていずれのスイッチがオンされたかを検出することができる。
【0012】
記憶装置15はROMやRAM等より構成され、ROMは中央演算処理装置8の制御プログラム等を格納し、また、RAMはプログラムの実行に必要な一時データ格納領域を提供する。
【0013】
制御回路7は電源回路18を介して交流電源としてのAC100V電源17と接続され、電源回路18とAC100V電源17との間には電源スイッチ16が設けられている。この電源スイッチ16にはリレーが用いられ、中央演算処理装置8によって制御されるようになっている。
【0014】
さらに、中央演算処理装置8及び標準電波受信回路10は1次電池又は2次電池の内部電源としてのバッテリー20と接続され、電源供給が行われるようになっている。
【0015】
つぎに、このように構成された本実施例に係るタイムレコーダの動作について説明する。
【0016】
まず、図4に示すように、中央演算処理装置8はタイムレコーダ内の現在時刻のデータを取得し(S0)、この現在時刻と標準電波の受信時刻として予めインプットされた任意の設定時刻とを対比させて、現在時刻が受信時刻であるか否かを判断し(S1)、受信時刻でないと判断した場合はループしてステップS1を繰り返す。一方、受信時刻であると判断した場合は電源スイッチ16をオフにする(S2)。すなわち、電源スイッチ16であるリレーのコイルに通電し常閉接点を開かせることによって、電源回路18とAC100V電源17との間を遮断する。また、電源スイッチ16がオフ状態である間の中央演算処理装置8及び標準電波受信回路10の駆動についてはバッテリー20からの電源供給によって行われる。
【0017】
ステップS2で電源スイッチ16をオフにした中央演算処理装置8はステップS3に移行し、標準電波受信回路10に標準電波の受信命令を行う(S3)。この命令を受けて標準電波受信回路10は標準電波の受信を行う。すなわち、標準電波受信回路10はアンテナ5から標準電波を受け、この信号を増幅した後、40kHz近辺の周波数を抽出する。次いで、抽出された信号を検波し、波形整形してタイムコード信号を得る。このようにして得られたタイムコード信号は中央演算処理装置8に送られ(S4)、タイムコード信号を受信した中央演算処理装置8は電源スイッチ16をオンにして電源を供給するとともに(S5)、タイムコード信号を時刻等のデータに変換する(S6)。
【0018】
中央演算処理装置8はステップS6において変換した時刻等のデータを計時回路9に送信し(S7)、計時回路9は受信した時刻等のデータに基づいてタイムレコーダ内の現在時刻を修正する。この現在時刻が表示部3に表示されるとともに、タイムカード6が挿入された場合はその時刻がタイムカード6に記録される。
【0019】
本実施の形態1に係るタイムレコーダでは、標準電波を受信する前に電源スイッチ16をオフにして電源回路18とAC100V電源17との間を遮断するので、標準電波の受信の際にAC100V電源17から発生するノイズの影響を受けることがない。また、キースキャン回路14や表示回路12等のタイムレコーダ内部の回路に電源供給が行われず作動が停止するので、これらの回路の作動によるノイズの発生も防止することができる。このように、タイムレコーダはAC100V電源17やレコーダ本体1の内部の回路によるノイズの影響を受けずに標準電波を受信することができるので、正確な時刻等のデータを得ることができ、タイムレコーダ内の現在時刻を正しく修正することができる。これによって、正確な時刻を表示部3に表示するとともにタイムカード6が挿入されたときはその時刻をタイムカード6に記録するようになっている。
[実施例2]
本実施の形態に係るタイムレコーダは、図5に示すように、前記実施例1におけるキースキャン回路14、表示回路12等を不要とし、中央演算処理装置8が直接タイムカード6の挿入に連動するスイッチ22、表示部3等に接続してキースキャン、表示制御等を行う。このような構成において、中央演算処理装置8がキースキャン信号及び表示制御信号の出力を停止することによってノイズの発生を防止するものである。
【0020】
つぎに、このように構成された本実施例に係るタイムレコーダの動作について説明する。
【0021】
まず、図6に示すように、中央演算処理装置8はタイムレコーダ内の現在時刻のデータを取得し(S10)、この現在時刻と標準電波の受信時刻として予めインプットされた任意の設定時刻とを対比させて、現在時刻が受信時刻であるか否かを判断し(S11)、受信時刻でないと判断した場合はループしてステップS11を繰り返す。一方、受信時刻であると判断した場合はキースキャン及び表示制御を停止する(S12)。すなわち、中央演算処理装置8からのキースキャン信号の出力の停止によりタイムカード6の挿入に連動する複数のスイッチ22のいずれがオンされたかの検出が停止され、したがってタイムカード6の挿入に関係する信号が検出されなくなり、キースキャンが停止されることとなる。また、表示制御信号の出力の停止により時刻等が表示部3に表示されなくなる。
【0022】
ステップS12でキースキャン及び表示制御を停止した中央演算処理装置8はステップS13に移行し、標準電波受信回路10に標準電波の受信命令を行う(S13)。この命令を受けて標準電波受信回路10は標準電波の受信を行ってタイムコード信号を得る。このタイムコード信号は中央演算処理装置8に送られ(S14)、タイムコード信号を受信した中央演算処理装置8はキースキャン及び表示制御を開始するとともに(S15)、タイムコード信号を時刻等のデータに変換する(S16)。
【0023】
中央演算処理装置8はステップS16において変換した時刻等のデータを計時回路9に送信し(S17)、計時回路9は受信した時刻等のデータに基づいてタイムレコーダ内の現在時刻を修正する。この現在時刻が表示部3に表示されるとともに、タイムカード6が挿入された場合はその時刻がタイムカード6に記録される。
【0024】
本実施例2に係るタイムレコーダでは、標準電波を受信する前にキースキャン及び表示制御を停止するので、標準電波の受信の際にキースキャンや表示制御のタイムレコーダ内部の作動によるノイズの発生を防止することができる。したがって、タイムレコーダはタイムレコーダ内部の作動によるノイズの影響を受けずに標準電波を受信することができるので、正確な時刻等のデータを得ることができ、タイムレコーダ内の現在時刻を正しく修正することができる。
【0025】
なお、本発明は上述した実施例に限られるものではなく、例えば実施例2では中央演算処理装置8が信号の出力を停止することによってタイムレコーダ内部の作動を停止することとしたが、作動ごとに回路を設けて中央演算処理装置がこれらの各回路を制御することによって作動を停止することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1のタイムレコーダを示す外観図である。
【図2】実施の形態1のタイムレコーダ本体の内部構造を示すブロック図である。
【図3】タイムレコーダ内部のキースキャン信号波形を示す図である。
【図4】実施の形態1のタイムレコーダ内部の中央演算処理装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2のタイムレコーダ本体の内部構造を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2のタイムレコーダ内部の中央演算処理装置の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
8 中央演算処理装置(制御手段)
9 計時回路(計時手段、修正手段)
10 標準電波受信回路(標準電波受信手段)
14 キースキャン回路
17 AC100V電源(交流電源)
20 バッテリー(内部電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の時刻を設定する計時手段と、前記計時手段の計時結果に基づき受信時刻が到来したときに時刻情報を保有する標準電波を受信する標準電波受信手段と、前記受信時刻の到来と同時に、スイッチの操作有無を検出するキースキャン検出回路を少なくとも含む前記装置内部の作動回路の作動を停止させるとともに、前記標準電波の受信後に前記作動回路の作動開始させる制御手段と、前記標準電波に基づいて前記装置本体の時刻を修正する修正手段と、を備えたことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記装置本体は、タイムレコーダであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−71880(P2007−71880A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283401(P2006−283401)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【分割の表示】特願2002−27165(P2002−27165)の分割
【原出願日】平成14年2月4日(2002.2.4)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】