説明

電気機器

【課題】照度を検出する光検出センサの断線状況を、コストアップを招来することなく、的確に検出する。
【解決手段】照度を検出し、照度の違いに応じた検出値を出力する照度検出手段14と、照度検出手段14から出力される検出値が属する複数のモード選択領域、各モード選択領域に関連付けた運転モードからなるデータを記憶すると共に、照度検出手段14が断線した際の検出値が属する断線領域を、その旨を報知する異常モードに関連付けて記憶する記憶手段17と、照度検出手段14から入力される検出値に基づいて、記憶手段17に記憶したデータを参照し、属するモード選択領域を特定し、特定したモード選択領域から決定される運転モードに切り替え、照度検出手段14から入力される検出値に基づいて、記憶手段17に記憶したデータテーブルを参照し、断線領域に属すると判断することにより、異常モードを実行させる制御手段18とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出センサを備えた電気機器、特に、光検出センサの断線を検出可能な機能を備えた電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光検出センサを備えた電気機器として、電気湯沸かし器、炊飯器等があり、光検出センサで検出される照度に基づいて、就寝時に、表示手段(例えば、液晶パネルやLED)の輝度を抑え、無駄な電力消費を抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−284508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電気機器では、光検出センサが断線により故障しても、そのことを検出する手段を持たないため、照度の違いに拘わらず、通常通りに表示手段で表示されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、照度を検出する光検出センサの断線状況を、コストアップを招来することなく、的確に検出することのできる機能を備えた電気機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、電気機器を、照度を検出し、照度の違いに応じた検出値を出力する照度検出手段と、前記照度検出手段から出力される検出値が属する複数のモード選択領域と、各モード選択領域に関連付けた運転モードとからなるデータを記憶する記憶手段と、前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて、前記記憶手段に記憶したデータを参照し、属するモード選択領域を特定し、特定したモード選択領域から決定される運転モードに切り替える制御手段とを備え、前記記憶手段は、さらに、前記照度検出手段が断線した際の検出値が属する断線領域を、その旨を報知する異常モードに関連付けて記憶し、前記制御手段は、前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて、前記記憶手段に記憶したデータテーブルを参照し、断線領域に属すると判断することにより、異常モードを実行させるように構成したものである。
【0007】
この構成により、照度検出手段で検出される照度に応じた検出値が入力されるので、属するモード選択領域を特定し、該当する運転モードを実行することができる。そして、照度検出手段から入力される検出値が断線領域に属すると判断すれば、異常モードを実行することにより照度検出手段の故障を検出することが可能である。
【0008】
前記照度検出手段に照射可能な照射手段をさらに備え、前記制御手段は、前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて断線領域に属すると判断する場合、前記照射手段により照度検出手段を照射させるようにするのが好ましい。
【0009】
この構成により、照度が低下しているとしても、照射手段によって照度検出手段に照射するので、断線していれば検出値に変化が見られない。これにより、照度検出手段によって検出されて制御手段に入力される検出値が照度検出手段の断線によるものであるのか、あるいは、照度の低下によるものであるのかを的確に判別することが可能となる。
【0010】
前記照射手段に、表示部を構成するLEDを使用すると、既存の構成に新たな構成を付加することなく安価に形成することが可能となる点で好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予めモード選択領域と運転モードとを関連付けて記憶させておくだけでなく、照度検出手段が断線した際の検出値が属する断線領域を異常モードと関連付けて記憶させているので、たとえ照度検出手段が断線したとしても的確に検出して誤動作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電気機器の一例である空気清浄機を示す。この空気清浄機は、大略、ベース1に、ファン2、モータ3及びフィルタホルダ4を取り付け、フロントパネル5、リアパネル6、サイドパネル7、及び、トップパネル8で覆った略立方体形状の構成である。
【0014】
トップパネル8の前方側には表示部9が設けられている。表示部9には、複数の貫通孔が形成され、表面は透光性を有する保護カバー10で覆われている。トップパネル8の下面には略矩形状に仕切る仕切壁が形成され、そこにはプリント基板11が配設されている。プリント基板11にはマイコン12のほか、各種電子部品が実装され、図2に示すように、表示部9に形成した貫通孔に、表示部9であるLED13、照度検出手段である光検出センサ14、スイッチ15が位置決めされる。
【0015】
LED13は自動運転用及び手動運転用にそれぞれ用意された3つの運転モードに対応して設けられるほか、光検出センサ14の動作状況、タイマー、光検出センサ14による検出結果をそれぞれ示すためにそれぞれ設けられている。また、図示しない粒子センサによって空気がきれいであり、空気清浄する必要がないと判断した場合に「緑」が点灯されるきれいモニター用のLED13aも設けられている。LED13aは、マイコン12の出力ポート1から抵抗R1を介して、あるいは、出力ポート2から抵抗R2を介して電力が供給されることにより発光する(抵抗値の違いにより輝度が相違する。)。
【0016】
光検出センサ14は、照射される光を電気信号に変換してマイコン12へと出力するもので、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ等の受光素子のみで構成されている(図2ではフォトダイオードが使用されている。)。光検出センサ14は、きれいモニター用のLED13から発光される光を直接受光可能に配置されている。そして、光検出センサ14からの出力信号は、抵抗R3によって分圧され、抵抗R4及びコンデンサCからなるノイズフィルタ16を介してマイコン12の入力ポートに入力される。
【0017】
スイッチ15には、「切/入選択」スイッチ15、「切タイマー」スイッチ15が設けられ、マイコン12のAD入力ポートに接続されている。マイコン12は、「切/入選択」スイッチ15の操作により、「切」から「入」とし、空調制御を開始し、さらに操作回数に応じて運転モードを選択する。また、「切タイマー」スイッチ15の操作により、自動的に停止するように設定する。さらに、連続して所定時間(ここでは3秒)押し続けることにより、「光検出センサ運転」モードに切り替える。「光検出センサ運転」モードでは、光検出センサ14での検出信号に基づいてLED13の輝度を調整する。
【0018】
マイコン12は、記憶部17及び制御部18を備える。記憶部17には、00〜FFの合計256段階の照度を判別するためのデータが記憶されている。ここでは、00〜01を、光検出センサ14での断線であると判断する断線領域とし、断線異常モードと関連付けて記憶している。また、FC〜FFを、光検出センサ14での短絡であると判断する短絡領域とし、短絡異常モードと関連付けて記憶している。制御部18は、光検出センサ14、スイッチ15等の入力信号に基づいて、前記記憶部17に記憶したデータを参照することにより、モータ3の駆動、LED13の点灯・消灯等を制御する。
【0019】
【表1】

【0020】
次に、前記構成からなる空気清浄機の制御、特に、光検出センサ14が断線により故障した場合の制御について説明する。
【0021】
光検出センサ14での検出値(A/D値)を読み込み(ステップS1)、この検出値が第1設定値(FCh)よりも大きいか否かを判断する(ステップS2)。第1設定値には、太陽からの自然光が照射された場合の検出値(E1)よりも十分に大きな値を使用している。
【0022】
検出値が第1設定値よりも大きい場合、光検出センサ14で短絡していると判断し、ブザーを鳴らしたり、LED13を点灯させたりすることによりユーザに報知する(ステップS9)。
【0023】
検出値が第1設定値以下である場合、さらに第2設定値以下であるか否かを判断する(ステップS3)。第2設定値には、光検出センサ14が断線していると判断可能な値(01h)を使用している。検出値が第2設定値以下である場合、光検出センサ14で断線していると判断する前に、きれいモニター用のLED13を点灯する(ステップS4)。LED13から照射された光は光検出センサ14で受光されるので、ここで光検出センサ14での検出値を読み込む(ステップS5)。そして、再度、光検出センサ14での検出値が第2設定値以下であるか否かを判断する(ステップS6)。このように、一旦、光検出センサ14での検出値が第2設定値以下であるか否かを判断した後、モニター用のLED13を点灯し、再度同様な判断を行うようにしているので、就寝時等、照度の低い状態での光検出センサ14の検出信号を、光検出センサ14が断線していると誤って判断することを防止することができる。
【0024】
そして、前記ステップS6で、検出値が第2設定値以下であると判断された場合(ステップS6:YES)、光検出センサ14が断線により故障していると判断し、前記ステップS9と同様にして、その旨をユーザに報知する(ステップS8)。
【0025】
また、前記ステップS6で、検出値が第2設定値よりも大きく、光検出センサ14が正常に機能していると判断した場合(ステップS6:NO)、通常運転を実施する(ステップS7)。すなわち、ノイズフィルタ16を介してマイコン12のAD入力ポートへと入力される照度に応じた電圧値に基づいて、モータ3に印加する電圧値を変更し、ファン2による送風量を調整する。例えば、照度が低くなれば、就寝時であると判断し、ファン2による送風量を自動的に少なくする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る空気清浄機を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す表示部の正面図である。
【図3】図1に示す光検出センサの周辺回路図である。
【図4】本実施形態に係る空気清浄機に於ける光検出センサの故障検出のための制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1…ベース
2…ファン
3…モータ
4…フィルタホルダ
5…フロントパネル
6…リアパネル
7…サイドパネル
8…トップパネル
9…表示部
10…保護カバー
11…プリント基板
12…マイコン
13…LED
14…光検出センサ(照度検出手段)
15…スイッチ
16…ノイズフィルタ
17…記憶部
18…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度を検出し、照度の違いに応じた検出値を出力する照度検出手段と、
前記照度検出手段から出力される検出値が属する複数のモード選択領域と、各モード選択領域に関連付けた運転モードとからなるデータを記憶する記憶手段と、
前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて、前記記憶手段に記憶したデータを参照し、属するモード選択領域を特定し、特定したモード選択領域から決定される運転モードに切り替える制御手段と、
を備え、
前記記憶手段は、さらに、前記照度検出手段が断線した際の検出値が属する断線領域を、その旨を報知する異常モードに関連付けて記憶し、
前記制御手段は、前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて、前記記憶手段に記憶したデータテーブルを参照し、断線領域に属すると判断することにより、異常モードを実行させることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記照度検出手段に照射可能な照射手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記照度検出手段から入力される検出値に基づいて断線領域に属すると判断する場合、前記照射手段により照度検出手段を照射させることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記照射手段は、表示部を構成するLEDからなることを特徴とする請求項2に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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