説明

電気機器

【課題】光式スイッチを用いた場合でも外部光の影響を確実に除去し、信頼性を向上させることが可能な電気機器を提供する。
【解決手段】装置ユニット10を筐体に挿抜するためのレバー14と、パルス状の発光信号を発光する発光部12と、発光部からの発光信号を受光する受光部13とを具備し、レバー14はクローズ状態で発光部と受光部との間を遮光し、オープン状態で発光部と受光部との間から退避する光遮断部15を有する。そして、発光部12からの発光信号と受光部13の受光信号とを比較し、受光信号が受光信号と同一の信号である時にレバー14がオープンされたと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等の電気機器、特に、筐体等に挿抜する構造の電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来例の機械式スイッチを用いて装置の挿抜を検出する構造を示す。図中50は情報処理装置等の装置ユニットである。装置ユニット50の隅部にはレバー52が固定されている。レバー52を図面右方向に引き出すことにより装置ユニット50を筐体から取り出し、レバー52を図面左方向に押し込むことで装置ユニット50を筐体に挿入する構造である。
【0003】
また、図5に示すように装置ユニット50が筐体に挿入された状態では、レバー52の先端部が機械式スイッチ51を押しているため、機械式スイッチ51はオン状態となる。一方、レバー52を図面右方向に引き出して装置ユニット50を筐体から取り出すと、機械式スイッチ51はレバー52の先端部により押されないため、機械式スイッチ51はオフ状態となる。このように機械式スイッチのオン/オフの開閉信号53により装置ユニット50の挿抜が分かる。
【0004】
また、特開平07−135395号公報に記載されているように、機械式スイッチではなく、光式スイッチを用いて装置ユニットの装置フレームからの移動を検出するものがある(特許文献1)。特許文献1のものは、ラッチレバーアームがラッチ位置にある場合には、ラッチリブにより光放出器と光検出器の間が遮られ、光検出器は光放出器からの光を検出しない。一方、ラッチレバーアームを操作して装置ユニットを装置フレームから移動させる場合には、ラッチレバーアームのラッチリブが光放出器と光検出器の間から外れ、光検出器は光放出器からの光を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−135395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5の機械式スイッチを使用する場合には、レバー52で直接機械式スイッチ51を押す構造であるため、スイッチの構造を小さくすると部品自体が小さくなるため、スイッチのストローク長が短くなり、構造的に十分なストローク長を確保することが難しく、誤ってオープンとなりやすい。
【0007】
また、特許文献1に記載の光式スイッチを用いた場合には、室内の光や太陽光等の外部光の影響を受ける可能性があるため、レバーのオープン/クローズを誤検出する恐れがある。即ち、光式スイッチを用いた場合には、スイッチ自体が装置ユニットの表面に近くにあることや、レバーを通過させるための空間が必要となるため、完全に外部の光を遮断することは難しい。そのため、外部から強力な光を受けた場合には、誤ってレバーがオープンと反応してしまう場合があった。
【0008】
本発明の目的は、光式スイッチを用いた場合でも外部光の影響を確実に除去し、信頼性を向上させることが可能な電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、装置ユニットを筐体に挿抜するためのレバーと、光信号を発光する発光部と、前記発光部からの光信号を受光する受光部とを有し、前記レバーは、当該レバーがクローズの状態では前記発光部と受光部との間を遮光し、前記レバーがオープンの状態では前記発光部と受光部との間から退避する光遮断部を有しており、前記発光部が発光した発光信号と前記受光部で受光した光信号とを比較し、その比較結果に基づいて前記レバーのオープン/クローズを判定する制御部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、装置ユニットを筐体に挿抜するためのレバーと、パルス状の発光信号を発光する発光部と、前記発光部からの発光信号を受光する受光部とを有し、前記レバーは、当該レバーがクローズの状態では前記発光部と受光部との間を遮光し、前記レバーがオープンの状態では前記発光部と受光部との間から退避する光遮断部を有しており、前記発光部が発光した発光信号と前記受光部で受光した受光信号との比較結果に基づいて前記レバーのオープン/クローズを判定する制御部を有し、前記制御部は、前記受光信号が前記発光信号と同一の場合に前記レバーがオープンされたと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発光部の光をパルス化し、受光部で検出した受光信号と発光信号を比較することにより、外部光等の影響を除去でき、誤ってレバーのオープン検出をすることがなくなり、信頼性を向上できる。また、光式スイッチはレバーのストローク長の調整が容易なため、構造上、装置の小型化を比較的簡単に実現できる。更に、スイッチとレバーが接触しない非接触式のレバーであるため、部品の破損等の危険性も減らすことができ、より信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電気機器の一実施形態を示す概念図である。
【図2】本発明に係る制御部と発光部及び受光部間の信号或いは制御部から出力する信号を示す図である。
【図3】図2の各部の信号を示す図である。
【図4】本発明のレバーのオープン/クローズを判定する方法を説明するフローチャートである。
【図5】従来例の機械式スイッチを用いて装置の挿抜を検出する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
まず、本発明をなすに至った背景を説明する。機械式スイッチの構造では部品自体が小さいため構造的に非常にシビアな設計をしなければならない。そのため、本願発明者は設計値として十分にマージンがあるものを設計する過程で光デバイスを使用したスイッチ構造を使用することを検討していた。
【0015】
この検討の過程で、光の誤検出に対する問題が発生し、誤検出を防止するために光のパルス化を行い、パルスの一致を確認することによりレバーがオープンされたと検出する方式を発明するに至った。その際、誤ってレバーがオープンされた状態となってしまうと、例えば、装置の仕様上、電源遮断となるため、本発明を情報処理装置に適用した場合にはコンピュータの運用上問題となる。そこで、光式スイッチを用いた場合でも、誤検出のない、より信頼性の高い光スイッチを用いた情報処理装置等の電気機器を発明するに至ったのである。
【0016】
図1は本発明に係る電気機器の一実施形態を示す概念図である。本実施形態では電気機器として情報処理装置を例に挙げて説明する。図中10は情報処理装置等の装置ユニットである。装置ユニット10は図示しない筐体に挿抜可能な構造となっており、装置ユニット10の筐体に対する挿抜を発光部12と受光部13を用いた光スイッチで検出する。
【0017】
レバー14は装置ユニット10を筐体から挿抜するために設けられ、装置ユニット10の隅部に固定されている。レバー14を図面右方向に引き出すことにより装置ユニット10を筐体から取り出し、レバー14を図面左方向に押し込むことで装置ユニット10を筐体に挿入する構造である。レバー14の中途には発光部12と受光部13との間を遮光する光遮断部15が設けられている。
【0018】
レバー14が図1に示す位置(レバークローズ状態)、即ち、装置ユニット10が筐体に装着され、レバー14の光遮光部15が発光l部12と受光部13との間に位置している場合には、発光部12からの光信号は光遮断部15で遮光されるため、受光部13は発光部12からの光信号を受光しない。また、レバー14を図面右方向に引き出すと(レバーオープン)、光遮断部15は発光部12からの光信号を遮光しないため、受光部13は発光部12からの光信号を受光する。
【0019】
受光部13からの受光信号は制御部11に送られ、詳しく後述するように制御部11は発光部12からの発光信号と受光部13の受光信号を比較し、その比較結果に基づいてレバー14のクローズ/オープンを判定し、レバー開閉信号を出力する。本実施形態では、制御部11のレバー開閉信号によりレバーオープンと判定された場合には装置ユニット10の電源をオフし、レバークローズと判定された場合には装置ユニット10の電源をオンする制御を行う。
【0020】
発光部12としては、例えば、発光ダイオード等の光を発光する素子であれば何を用いても構わない。また、受光部13としては、例えば、フォトセンサ等の光を検出する素子であれば何を用いても構わない。赤外線を用いても良い。
【0021】
図2は本発明に係る光スイッチ回路を示す。図中12は光を発光する発光部、13は発光部12からの発光信号を受光する受光部である。制御部11は発光部12を制御すると共に、後述するように発光部12の発光信号と受光部13の受光信号に基づいてレバー14のクローズ/オープンを判定する。また、図3は図2の各部の信号波形を示す。制御部11は発光部12に対して発光制御信号17を送信する。この制御信号(駆動信号)17は発光部12をパルス発光させるものであり、発光部12は発光制御信号17に応じてパルス発光する。
【0022】
この発光信号18は図3(a)に示すように一定周期のパルス信号である。図3の例では、発光信号18はオン時間とオフ時間がそれぞれ一定のパルス信号である。受光部13は発光部12からの発光信号18を受光し、図3(c)に示すような受光信号19を制御部11に出力する。なお、図3は各部の信号を概念的に示すものである。そのため、図3(a)の発光信号18に対して図3(c)の受光信号19は遅れて示しているが、実際には図3のように遅れることはない。
【0023】
制御部11は、詳しく後述するように自身が送出したパルス(発光信号18)と受け取ったパルス(受光信号19)とを比較し、受け取った受光信号が発光信号と同一の信号の場合には、レバー14がオープンされたものと判断する。また、受光部13でパルス信号を受信できなくなった場合には、レバー14がクローズされたものと判断する。更に、受光部13が同一の信号ではない信号を受信した場合には外部から不正な信号を検出したものとし、レバー14のオープンと判定しない。
【0024】
図3(d)は制御部11からのレバー14のオープン/クローズを示すレバー開閉信号である。制御部11におけるレバー14のオープン/クローズの判定方法については詳しく後述する。
【0025】
図3(b)はレバー14のオープンとクローズを示す。レバー14がクローズの場合には、発光部12からの発光信号18がレバー14の光遮蔽部15で遮蔽されるため、図3(c)に示すように受光部13は発光信号を受光しない。また、レバー14がオープンされると、レバー14の光遮蔽部15が発光部12と受光部13との間から退避するため、図3(c)に示すように発光部12からの発光信号18が受光部13で受光され、制御部11に送られる。
【0026】
図4は制御部11のレバー14のオープン/クローズの判定方法を説明するフローチャートである。制御部11は受光部13にて検出された信号を0/1の電気信号に変換した状態で入力する。また、制御部11の制御により発光部12からパルス状の発光信号が照射されており、制御部11は受光部13からの受光信号が出力されるかを監視している(S101)。
【0027】
レバー14がクローズ状態からオープンされると、受光部13は発光部12からの発光信号18を受光するようになり、受光信号を制御部11に送信する。制御部11は自身で送出した発光部12からの発光信号18と受光部13で受光した受光信号18とを比較し、パルスチェックを行う(S102)。
【0028】
パルスチェックとしては、受光部13の受光信号19が制御部11自身が発生させた発光部12の発光信号18とが同一の信号であるかを判定する。例えば、発光信号18と受光信号19の周期を計測し、受光部13にて受光した受光信号19が発光信号の周期と一致するかどうかの判定を行う。受光信号19の周期が発光信号18の周期と一致した場合には、受光信号が発光信号と同一の信号と判定する。
【0029】
また、発光信号18の発光時間(オン時間)と受光信号19の発光時間(オン時間)を計測し、受光信号19のオン時間が発光信号18のオン時間と同一かどうかを判定しても良い。
【0030】
一方、受光部13からの信号を受け取っても、発光状態の信号(発光信号18)を送出していない場合には、外部光のノイズを受け取ったものと判断し、レバー14がオープンされたとは判定しない。
【0031】
次に、制御部11はS102のパルスチェックで同一の信号と判定すると、パルス信号の一致のチェックを複数回連続して行う(S103)。即ち、受光信号19が発光信号18と一致するかの判定を複数回連続して行う。予め規定された規定回数連続し一致した時点でレバー14がオープンしたと判定する(S104)。図3の例では、図3(d)に示すように3回連続してパルス信号が一致した時点でレバー14がオープンしたと判定している。パルスチェックの回数はこの限りではない。
【0032】
なお、1回のパルスチェックでレバー14のオープンを判定しても良いが、規定回数連続して一致した時にレバー14がオープンしたと判定することが外部光等の影響をより確実に除去できるため望ましい。
【0033】
制御部11は、S104でレバー14がオープンしたと判定すると、図3(d)に示すようなレバー14がオープンしたことを示すレバー開閉信号20を装置ユニット10内の図示しない制御回路に通知する。この制御回路は上述のように装置ユニット10の電源をオフする制御を行う。また、レバー14がクローズと判定した場合には装置ユニット10の電源をオンする制御を行う。
【0034】
一方、制御回路11は規定回数以上一致を検出しない場合には(S105)、誤検出もしくはレバー14が完全にオープンしていないものと判断し、最初のレバークローズの状態に戻る。また、複数回一致してレバー14がオープンした状態から再びパルスを受け取らなくなった場合には、レバー14がクローズしたものと判断し、レバー14がクローズしたことを示すレバー開閉信号を出力する。
【0035】
以上のように本実施形態では、発光部の光をパルス化し、受光部で検出した受光信号と発光信号を比較し、その比較結果に基づいてレバー14のオープン/クローズを判定する。特に、発光信号と受光信号とが複数回連続して一致した時にレバーオープンと判定することにより、外部光等の影響を除去でき、誤ってレバーのオープン検出をすることがなくなり、信頼性を向上できる。
【0036】
また、光式スイッチはレバーのストローク長の調整が容易なため、構造上、装置の小型化を比較的簡単に実現できる。更に、スイッチとレバーが接触しない非接触式のレバーであるため、部品の破損等の危険性も減らすことができ、より信頼性を向上させることが可能となる。
【0037】
なお、以上の実施形態では、情報処理装置を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限ることなく、ネットワーク機器等の装置ユニットを筐体等に挿抜する全ての電気機器に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、筐体から挿抜する構造の装置ユニットにおいて、装置ユニットの挿抜を検出する手段として利用できる。装置ユニットとしては、例えば、情報処理装置等が挙げられる。この検出手段の検出結果に基づき、例えば、装置電源の遮断等の各種制御を行うことができる。また、本発明は、情報処理装置以外にも、例えば、ネットワーク機器等の装置ユニットを筐体から挿抜する構造の電気機器に使用できる。
【符号の説明】
【0039】
10 装置ユニット
11 制御部
12 発光部
13 受光部
14 レバー
15 光遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ユニットを筐体に挿抜するためのレバーと、光信号を発光する発光部と、前記発光部からの光信号を受光する受光部とを有し、
前記レバーは、当該レバーがクローズの状態では前記発光部と受光部との間を遮光し、前記レバーがオープンの状態では前記発光部と受光部との間から退避する光遮断部を有しており、
前記発光部が発光した発光信号と前記受光部で受光した光信号とを比較し、その比較結果に基づいて前記レバーのオープン/クローズを判定する制御部を有することを特徴とする電気機器。
【請求項2】
装置ユニットを筐体に挿抜するためのレバーと、パルス状の発光信号を発光する発光部と、前記発光部からの発光信号を受光する受光部とを有し、
前記レバーは、当該レバーがクローズの状態では前記発光部と受光部との間を遮光し、前記レバーがオープンの状態では前記発光部と受光部との間から退避する光遮断部を有しており、
前記発光部が発光した発光信号と前記受光部で受光した受光信号との比較結果に基づいて前記レバーのオープン/クローズを判定する制御部を有し、前記制御部は、前記受光信号が前記発光信号と同一の場合に前記レバーがオープンされたと判定することを特徴とする電気機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記受光信号が前記発光信号と同一の周期の信号、又は同一の発光時間の信号であるかを判定し、同一の周期の信号又は同一の発光時間の信号である場合に、前記レバーがオープンされたと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記受光信号が前記発光信号と同一の周期の信号又は同一の発光時間の信号であるかの判定を複数回連続して行い、規定回数連続して同一の周期の信号又は同一の発光時間の信号である場合に、前記レバーがオープンされたと判定することを特徴とする請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記制御部による前記レバーのオープン/クローズの判定結果に基づいて前記装置ユニットの電源のオン/オフを制御する手段を有し、前記レバーがオープンされたと判定した場合には、前記装置ユニットの電源をオフし、前記レバーがクローズされたと判定した場合には、前記電源をオンすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記電気機器は、情報処理装置或いはネットワーク機器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−160734(P2010−160734A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3496(P2009−3496)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】