説明

電気機械式マッサージ装置及び装着可能なマッサージ機器

本発明は、マッサージ装置1に関する。マッサージ装置1は、第1の支持体32、第2の支持体30及び変形可能な接続部36を有する。第1の支持体32は、マッサージ面34を持つ。第2の支持体30は、電気コイル8を収容するための凸部31を持つ。マッサージ装置1の使用の間、電気コイル8は電流を伝導する。第1の支持体32は、永久磁石14、24若しくは1つ以上の電気コイル、磁気伝導体又はこれらの組み合わせを有する、電磁系15を備えられる。第1の支持体32は、変形可能な接続部36により第2の支持体30に接続される。電磁気相互作用の結果、矢印56により示される力が凸部31に及ぼされる。第1の支持体32は、第2の支持体30に対して変位させられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電磁系を有する第1の支持体と、前記電磁系との電磁気的な協働のための少なくとも1つの電気コイルを有する第2の支持体と、を有する電気機械式マッサージ装置であって、前記支持体の一方はマッサージ面を備え、前記電気コイルの通電の間、前記マッサージ面を備えた前記支持体は、他方の支持体に対して移動可能である電気機械式マッサージ装置に関する。
【0002】
本発明はまた、該電気機械式メッセージ装置を有する装着可能なマッサージ機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電気機械式マッサージ装置は、欧州特許出願公開EP0513508A2から知られている。該欧州特許出願は、環状コイルと、身体の一部、とりわけ指と共に、当該一部の治療のために、該コイルへと配置され得る別個の永久磁石と、を備えたマッサージ装置を開示している。該磁石は、軸方向の磁石軸を持つ。治療の間、指は、電流源によりコイルにおいて生成された交番する又は振動する磁場中に存在し、該磁石は軸方向に移動する。他の代替の磁石は、転がり運動を提供するため、2つの軸方向磁石軸を持つ。更に他の磁石は、交番する傾き運動を生成するため、直径方向磁石軸を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マッサージの間身体の一部がコイル内にある必要があるという理由のため、前記コイルは、マッサージを体験する人物の身体の一部を収容するために十分に大きなものであるべきである。マッサージされるべき身体の一部の大きさに応じて、マッサージ装置及びとりわけ該マッサージ装置のコイルの大きさは大きい。
【0005】
本発明の目的は、コンパクトな電気機械式マッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本目的は、前記第2の支持体に前記第1の支持体を接続するための変形可能な接続部を有し、前記第1の支持体と前記第2の支持体とは前記マッサージ面に略平行な方向に相互に変位可能であることによって達成される。
【0007】
第1の支持体及び第2の支持体は、変形可能な接続部によって接続される。第1の支持体と第2の支持体との間で、該変形可能な接続部を介して、力が伝達され得る。斯かる力は、第1の支持体中の電磁系(例えば永久磁石若しくはコイル又は磁気伝導体)と、第2の支持体中の電気コイル(例えば軟鉄体又は芯の回りに巻き付けられていても良い絶縁された線)との間の、電磁気相互作用に起因する。該力は、永久磁石を有する第1の支持体の周囲及び外部において前記コイルを有する第2の支持体を持つという制約なしに伝達される。該力は、マッサージ面に略平行な方向における、第2の支持体に対する第1の支持体の変位を引き起こす。該変位は、他方の支持体における永久磁石の周囲において、一方の支持体にコイルを配置するという制約なく、実現され得る。この理由のため、コンパクトな電気機械式メッセージ装置が得られる。
【0008】
上述した制約を持たないことの更なる利点は、マッサージ装置の重量が低減され、該マッサージ装置が装着可能なものとなる点である。
【0009】
本発明の更に他の利点は、マッサージ装置の使用の間、自然なマッサージ体験が実現される点である。自然な人手によるマッサージは、一定の圧力と組み合わせられた、手の回転運動を含み得る。マッサージ面に略平行な方向において第1の支持体と第2の支持体との相互の変位を提供することにより、この回転運動が実現される。該装置は装着可能なマッサージ装置において適用されても良く、この用途においては、該電気機械式マッサージ装置は、マッサージを体験する身体の一部に対する一定の圧力を伴って利用されても良い。斯くして、効果的且つ満足感のあるマッサージが得られる。
【0010】
本発明による装置の有利な一実施例は、前記少なくとも1つの電磁系は永久磁石を持ち、少なくとも1つの電磁駆動ユニットが備えられ、前記駆動ユニットは電気コイルと前記少なくとも1つの電磁系の前記永久磁石とを含み、それにより、前記駆動ユニットの前記電気コイルの通電の間、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との相互の変位を引き起こし、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との前記相互の変位は、前記マッサージ面に略平行な方向における前記第1の支持体と前記第2の支持体との相互の変位に寄与することにおいて定義される。
【0011】
永久磁石により確立される磁場は、電気コイルと相互作用する。この理由のため、一方で電気コイルと他方で永久磁石との間の力の伝達が、非常に効果的なものとなり得る。電気コイル及び永久磁石を有する駆動ユニットの大きさは、該駆動ユニットにおける力の伝達の有効性のため、小さいままとされることができる。
【0012】
本発明による装置の有利な一実施例は、少なくとも1つの電磁駆動ユニットが備えられ、前記駆動ユニットは電気コイルと2つの永久磁石とを含み、前記駆動ユニットの前記永久磁石は、前記駆動ユニットの電気コイルの別個の部分を通る磁場を確立し、それにより、前記駆動ユニットの前記電気コイルの通電の間、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との相互の変位を引き起こし、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との前記相互の変位は、前記マッサージ面に略平行な方向における前記第1の支持体と前記第2の支持体との相互の変位に寄与することにおいて定義される。
【0013】
一方で永久磁石と他方で電磁石との間の力の伝達は、該電磁石の別個の部分を通る2つの磁場を確立することにより、最適化される。電磁石毎に2つの永久磁石は、3つ又は更なる永久磁石よりも、空間を浪費しない。電磁石の別個の部分を通る確立された磁場は、一方で永久磁石と他方で電磁石との間の電気機械的な力の効率的な生成を可能とする。電気コイルのコイル軸に平行な永久磁石の磁化の方向を確立することは、一方で永久磁石と他方で電気コイルとの間の電気機械的な力の効率的な生成に、更に寄与する。
【0014】
本発明による装置の有利な一実施例は、1つ以上の電磁駆動ユニットを持ち、前記第1の支持体は前記駆動ユニットに一体化された永久磁石のパターンを備え、前記第2の支持体は前記駆動ユニットに一体化された電気コイルの構成を備え、前記電気コイルの構成は前記永久磁石のパターンとの電磁気的な協働のために備えられることにおいて定義される。
【0015】
永久磁石のパターン及び対応する電磁石の構成は、第1の支持体と第2の支持体との間の力の、広いマッサージ面に亘る分散を可能とし、一方で、第1の支持体と第2の支持体との間の距離を、該マッサージ面の大きさに対して小さいまま保つ。第1の支持体と第2の支持体との間の力は垂直方向に生成され、該方向はマッサージ面に対して略平行な方向である。これら力は垂直方向に生成可能であるため、これら力及びその結果の第1の支持体と第2の支持体との間の変位の調節によって、マッサージ動作の多くの選択肢が実現可能である。第1の支持体と第2の支持体との間の変位は、駆動ユニットの大きさに対応する大きさを持つ。望ましい該変位の特徴的な大きさに対応する駆動ユニットの大きさを選択することにより、本発明による電気機械式マッサージ装置のマッサージ動作を制御するための制御ユニットの設計が容易化される。
【0016】
本発明による有利な一実施例においては、前記駆動ユニットは、前記電気コイルの構成の電気コイルと磁気伝導体とを有する電磁石により含まれる。
【0017】
永久磁石と電気コイルとの間の相互作用は、前記磁気伝導体の存在により増幅され得る。このことは、駆動ユニットのコンパクトさ及び本発明による電気機械式マッサージ装置のコンパクトさに寄与する。
【0018】
本発明による装置の有利な一実施例は、永久磁石が交番する磁極のシーケンスに配置されることにおいて定義される。
【0019】
永久磁石は広く利用可能であり、製造が比較的容易なものであり得る。永久磁石を交番する磁極のシーケンスに配置することは、駆動ユニットのコンパクトさ及び本発明による電気機械式マッサージ装置のコンパクトさに、更に寄与する。適切な永久磁石のための物質は、例えばネオジウム鉄ボロン(NdFeB)、サマリウムコバルト(SmCo)、セラミック及びアルニコである。NdFeB磁石は、第1の支持体と第2の支持体との間の非常に効果的な力の伝達を得るために有利な特性を呈する。セラミック磁石は、フェライト磁石(一般的な組成はBaFe又はSrFe)としても知られる。これら磁石は1950年代から市場に出されており、低いコストのために有利に利用され得る。セラミック磁石の特殊な形態は、可撓性結合剤にセラミック粉末を結合することにより作成される。可撓性磁気物質は、マッサージ装置に可撓性を提供するために有利である。斯かる永久磁石の磁気軸又は厚さに沿った大きさは小さいままとされることができ、マッサージ装置のコンパクトさのために有益である。交番する磁極は、磁石とコイルとの間の力の移行を更に最適化する。最適化された力の移行の理由のため、駆動ユニットの大きさは更に低減され得る。
【0020】
本発明による装置の有利な一実施例は、前記永久磁石を交番する磁極のチェッカー盤状パターンに配置することにより、前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略平行な2つの方向に相互に変位可能であることにおいて定義される。
【0021】
永久磁石の配置における繰り返しは、製造の容易さに有益である。更に、チェッカー盤状パターンは、交番する磁極の永久磁石の2種類のトラック、即ち第1の種類のトラックと第2の種類のトラックとを提供する。第1の種類は、第1の支持体の、第1の方向における、第2の支持体に対する第1の変位を可能とし、一方で第2の種類は、第1の支持体の、第2の方向における、第2の支持体に対する第2の変位を可能とし、ここで第2の方向は第1の方向に対して垂直である。幾つかの用途において、第1の支持体と第2の支持体との相互の変位は、制御ユニットにより制御可能であるか又は調節ユニットにより調節可能であっても良い。相互の変位を制御又は調節することの容易さは、第1の方向及び第2の方向の存在によりもたらされ、これら方向は直交するものであり、斯かる制御ユニット又は調節ユニットにより独立して指定可能である。制御ユニットによって駆動ユニットを適切に駆動することにより、マッサージ面に垂直な軸のまわりの、第2の支持体に対する第1の支持体の回転もが可能となる。
【0022】
本発明による装置の有利な一実施例は、前記永久磁石を交番する磁極の環状パターンに配置することにより、前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略平行な2つの方向に相互に変位可能であり、且つ前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略垂直な回転の軸のまわりに相互に回転可能であることにおいて定義される。環状パターンは、交番する磁極の磁石の少なくとも1つの環を有する。
【0023】
チェッカー盤状パターンの利点に加えて、環状パターンは拡張された制御の容易さを持つ。なぜなら、回転の軸のまわりの回転は、第1の支持体と第2の支持体との相互の変位における自由度であり、該自由度は環状パターン中に暗黙的に存在するからである。
【0024】
本発明による装置の有利な一実施例は、前記永久磁石が、前記環状パターンの同心円状の環に配置されることにおいて定義される。
【0025】
同心円状の環に永久磁石を配置することにより、第2の支持体に対して第1の支持体を回転させる際の制御ユニットの複雑さが更に回避される。なぜなら、電気コイルの各環と永久磁石の対応する各環との間の回転角が、全ての同心円状の環について同一であるからである。
【0026】
本発明による装着可能なマッサージ機器は、本発明による電気機械式マッサージ装置を有することを特徴とする。
【0027】
本発明による器具のこれらの及びその他の態様は、図面を参照しながら、例示的に記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の断面図である。
【図2】図1の実施例の詳細を示す斜視図である。
【図3】本発明による実施例の一部の断面図である。
【図4(a)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図4(b)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図5(a)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図5(b)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図5(c)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図6(a)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図6(b)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【図6(c)】本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
開示される実施例は全て模式的に示されたものであることに留意されたい。
【0030】
図1において、本発明によるマッサージ装置の実施例の一部の断面図が示されている。図1による実施例は、電気機械式マッサージ装置1の一部を有する。マッサージ装置1は、第1の支持体32、第2の支持体30及び変形可能な接続部36を有する。第1の支持体32は、マッサージ面34を持つ。電気機械式マッサージ装置1の機能を制限することなく、マッサージ面34は第2の支持体30に備えられたものであっても良い。
【0031】
第2の支持体30は、電気コイル8及び電磁石9を収容するための凸部31を持つ。凸部31は、磁気伝導体5(点線により示される)を有する。電磁石9の伝導体5は、例えば軟鉄、コバルト、ニッケル及びこれら金属の特定の合金のような、良く知られた磁気伝導性の物質を有しても良い。電気コイル8は、コイル軸4を持つ。該マッサージ装置の使用の間、電気コイル8は電流を伝導する。電気コイル8の部分60及び62における電流の方向はそれぞれ、矢の尾部64及び矢の頭部66により示される方向による。
【0032】
第1の支持体32は、永久磁石14及び24を有する電磁系15を備える。電磁系15は、1つ以上の電気コイル、磁気伝導体及びこれらの組み合わせをも有しても良い。第1の支持体32は、変形可能な接続部36により第2の支持体30に接続される。永久磁石14及び24は二極の永久磁石であり、凸部31の電気コイル8及び磁気伝導体5を有する電磁石9を通る磁場を確立する。永久磁石14は、電磁石9の部分62及び磁気伝導体5の第1の部分5aを通る、矢印52により示される第1の磁場を確立し、永久磁石24は、電磁石9の部分60及び磁気伝導体5の第2の部分5bを通る、矢印54により示される第2の磁場を確立する。磁石14の磁場と磁石24の磁場とは、矢印52及び54により示されるように、反対の方向のものである。
【0033】
矢印52により示される、部分62を通る第1の磁場、及び部分62を通る電流は、磁石14と電気コイル8及び伝導体5の部分62との間の、即ち磁石14と電磁石9との間の、第1の電気機械的相互作用を引き起こす。該第1の相互作用の結果、矢印56により示されるように、第1の電気機械的な力が凸部31に及ぼされる。矢印54により示される、部分60を通る第2の磁場、及び部分60を通る電流は、磁石24と電気コイル8及び伝導体5の部分60との間の、即ち磁石24と電磁石9との間の、第2の電気機械的相互作用を引き起こす。該第2の相互作用の結果、矢印58により示されるように、第2の電気機械的な力が凸部31に及ぼされる。第1の電気機械的な力と第2の電気機械的な力とは、同一の方向を持つ。このことは、同一の方向を指している矢印56と58とにより示される。第1の電気機械的な力は、永久磁石14に対する第1の反作用力(図1には示されていない)を引き起こし、第2の電気機械的な力は、磁石24に対する第2の反作用力(図1には示されていない)を引き起こすこととなる。これら反作用力の結果、第1の支持体32は、第2の支持体30に対して変位させられ得る。なぜなら、第1の支持体32と第2の支持体30との間の接続部36(相互接続部36とも呼ばれる)が変形可能であるからである。接続部36は、例えば第1の支持体32と第2の支持体30との間の接続体であって、マッサージ面34に垂直な方向に延ばされ、第1の支持体32と第2の支持体30との間の変位を可能とするため弾力性である物質からできたものであっても良い接続体(例えばポリマー又はばね物質からできた板ばね)の形態を有しても良い。接続部36の有利な実施例は、図3に示される。相互接続部36がコイル軸4に垂直な方向に変形可能である場合には、第1の支持体と第2の支持体との間の相互の変位は、マッサージ面34に対して平行又は概ね平行となる。以上に説明されたような電気機械的な力の生成は、コイルの別個の部分を通る反対方向の磁場に限定されるものではない。斯かる力は、例えばコイルの部分60及び62を通る同じ方向を持つ別の磁場を提供することによって、又は例えば磁場により含まれるコイルの部分に非対称性を備えることによっても、生成され得る。また、電気コイルの一部を含む1つのみの磁場を持つことも可能である。例えば、凸部31を通る永久磁石24の十分な磁束を確実にするため、永久磁石14が1つの磁気伝導物質により置き換えられても良い。本発明による基本的且つ単純な実施例においては、永久磁石に対向する電気コイルを巻き付けられた磁気伝導体を持つことで十分となり得る。この理由のため、図1に与えられた本発明の実施例の模式的な図は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
電気コイル8を通る電流を反転させることにより、電磁力及び第1の支持体32と第2の支持体30との間の相互変位が反転される。電気コイル8を通る交番する電流の印加は、第2の支持体30に対する第1の支持体32の往復運動をもたらす。
【0035】
マッサージを体験する身体の一部に対して一定のマッサージ力を与えるため、コイル8を通る電流を一定に保つことも可能である。斯かる一定の力を与える状況においては、第1の支持体と第2の支持体との間の変位は一定のまま留まり、例えば本発明による電気機械式マッサージ装置により作動させられる、身体の一部に対する一定の支持又は補正を提供する。
【0036】
図1は、第1の支持体32における電磁系15のとり得る構成を示す。該電磁系15は、電気コイル、磁気伝導体及び永久磁石を有する群から選択された要素のいずれかのセットを有しても良い。斯くして、永久磁石14及び24は、磁気伝導体として軟鉄体の周りに巻き付けられた2つの電気コイルにより、又は磁気伝導体、電気コイル及び永久磁石により置き換えられることが可能である。マッサージ装置1の通電を可能とするため、第2の支持体30中に少なくとも1つの電気コイルが存在する。
【0037】
電気コイル8及び磁気伝導体5を有する電磁石9と永久磁石14及び24とは、図2において斜視図で模式的に示されるように、電磁駆動ユニット200に備えられても良い。第1の支持体、第2の支持体及び磁気伝導体5は、図2においては見えていない。永久磁石14は、使用の間、電磁石9の部分62(図示されていない)及びそのコイル8内の磁気伝導物質物質(点線の面により示される)と相互作用し、それにより矢印56により示される力が生成される。永久磁石14と電気コイル8との組み合わせは第1の駆動ユニット201とみなすことができ、第1の駆動ユニットが第1の支持体と第2の支持体との間の相互の変位を引き起こし、電気コイル8に対するマッサージ面34の運動に帰着する。永久磁石24は、コイル8の部分60と相互作用する。矢印58により示される力が生成される。永久磁石14と電気コイル8との組み合わせは第2の駆動ユニット201とみなすことができ、該第1の駆動ユニットが第1の支持体と第2の支持体との間の相互の変位を引き起こし、電気コイル8に対するマッサージ面34の運動又は変位に寄与する。基本的な構成においては、駆動ユニットは、磁気伝導物質の周りの電気コイルの部分と永久磁石との組み合わせを有する。より高度な構成においては、斯かる駆動ユニットは、図2に示されるように、電気コイルと2つの永久磁石との組み合わせを有しても良い。しかしながら、駆動ユニットが1つの永久磁石と2つの電気コイルとを有し、磁石の磁場が2つの電気コイルの部分を含むことも可能であり得る。第1の支持体と第2の支持体との間の相互作用を最適化するため、永久磁石による第1の支持体の領域の十分な被覆を持つことが有利である。
【0038】
図3において、第1の支持体32と第2の支持体30との間の相互接続部36が模式的に示される。電磁駆動ユニット(図示されていない)は、第2の支持体に対する、第1の支持体の第1の往復運動を引き起こす。該第1の往復運動は矢印68により示され、マッサージ面34に平行である。変形可能な接続部36は、ボウル又はボウル状体72及びボールベアリング74を有する。往復運動の間、該ボールベアリングは、マッサージ面34に垂直な方向に、第2の支持体に対する第1の支持体の往復運動を引き起こす。ボウル72の曲率が、第1の支持体32と第2の支持体30との間の距離を、マッサージ面34に平行なこれら支持体間の相互の変位の関数として決定する。ボウル72の曲率及びボールベアリング74のサイズを調整することにより、第2の支持体30に対するマッサージ面のマッサージ運動が、マッサージ面34に垂直な方向において調整可能である。その結果の第2の支持体30に対するマッサージ34の運動は、マッサージが、マッサージ面34に平行な成分と、該マッサージ面に垂直な成分とを持つことを可能とする。垂直成分の振幅は、矢印76により示される。図3に模式的に示されたような可撓性の接続部の実施例の利点は、該接続部の変形が、ボウル72に対するボールベアリング74の変位により実現される点である。この理由のため、物質の変形が必要とされず、装置の寿命に対して有益である。
【0039】
図4aは、永久磁石301乃至309のパターン300を模式的に示す。これら磁石は、二極の永久磁石であっても良い。永久磁石301乃至309は、電気コイル401乃至414との電磁気的協働のため第1の支持体に備えられる。電気コイル401乃至414は、第1の支持体には備えられず、破線により示される。以上に示したように、永久磁石のパターン300と電気コイルの構成との間の相互作用を得るため、電磁石の電気コイルは、磁気伝導体に巻き付けられる。円形の電気コイル407を持つ永久磁石305と306との組み合わせのような、種々の駆動ユニットが認識され得る。他の駆動ユニットは、三角形の電気コイル409と永久磁石305及び308とにより確立される。長方形のコイル411は、磁石307及び308と組み合わせて駆動ユニットを提供する。当該磁石307及び308は、長方形のコイル413と組み合わせて更に他の駆動ユニットを提供する。図4bにおいて、図4aの永久磁石のパターンに対応する、電気コイルの構成400が示される。図4a及び4bにおいて、磁石のパターン300及び対応する電気コイルの構成は無数の様相を持ち得、全てが本発明の範囲内であることが、ここで強調される。
【0040】
図5aは、二極の永久磁石310乃至325を、交番する磁極のチェッカー盤状パターンに配置することによる、更に他の実施例を示す。永久磁石310、312、315、317、318、320、323及び325は、電気コイル415乃至438との電磁相互作用のための磁場をもたらす。これら磁場の方向は、図5b及び5cにおいて矢印の頭部(例えば矢印の頭部450及び456)により示される。永久磁石311、313、314、316、319、321、322及び324もまた、電気コイル415乃至438との電磁相互作用のための磁場をもたらすが、図5bにおける矢印の尾部451及び図5cにおける460により示されるように、逆の方向のものである。明確さの理由から、全ての矢印の頭部及び矢印の尾部が参照記号を持っているわけではない。
【0041】
永久磁石のパターンに対応するコイル415乃至438(図5a)の構成は、第1の支持部(図示されていない)に含まれる永久磁石のパターンと第2の支持部(図示されていない)に含まれるコイルの構成との間の往復運動であって、両方向の矢印439により示される方向による往復運動を生成するように、図5bに示されるように制御されても良い。コイル415乃至438中の電流を制御する本例においては、コイル415乃至426のみが電流を搬送する。図5bに示されたような例においては、電気コイル427乃至438は動作していない。コイル415乃至426中の電流の方向は三角形(例えば三角形449及び455)により示される。
【0042】
永久磁石310及び311と電気コイル415とは、駆動ユニットを確立する。三角形449により示された方向のコイル415中の電流は、永久磁石310及び311のそれぞれ矢印の頭部450及び矢印の尾部451により示された磁場と相互作用する。その結果、矢印452及び453により示されるような力がコイル415に及ぼされる。対応する力を生成する同様の駆動ユニットが、コイル417と磁石312及び313と、コイル419と磁石315及び316と、コイル421と磁石318及び319と、等により形成される。
【0043】
永久磁石311及び312と電気コイル416ともまた、駆動ユニットを確立する。三角形455により示された方向のコイル416中の電流は、永久磁石311及び312のそれぞれ矢印の尾部451及び矢印の頭部456により示された磁場と相互作用する。その結果、矢印454及び457により示されるような力がコイル416に及ぼされる。対応する力を生成する同様の駆動ユニットが、コイル418と磁石314及び315と、コイル420と磁石316及び317と、コイル422と磁石319及び320と、等により形成される。図5bから分かるように、電気コイル415、417、419、421、423及び425中の電流の方向は時計回り方向であり、コイル416、418、420、422、424及び426中の電流の方向は反時計回り方向である。この知識は、これに従ってコイルを巻き、電流をこれらコイルに供給する電気制御ユニット(図示されていない)を単純化するために、便利に利用され得る。
【0044】
永久磁石のパターンに対応するコイル415乃至438の構成は、第1の支持部(図示されていない)に含まれる永久磁石のパターンと第2の支持部(図示されていない)に含まれるコイルの構成との間の往復運動であって、両方向の矢印440により示される方向による往復運動を生成するように、図5cに示されるように制御されても良い。その結果の図5cの運動は、図5bの運動に垂直である。コイル415乃至438中の電流を制御する本例においては、コイル427乃至438のみが電流を搬送する。図5cに示されたような例においては、電気コイル415乃至426は動作していない。コイル427乃至438中の電流の方向は三角形(例えば三角形458及び459)により示される。
【0045】
永久磁石310及び314と電気コイル427とは、駆動ユニットを確立する。三角形458により示された方向のコイル427中の電流は、永久磁石310及び314のそれぞれ矢印の頭部450及び矢印の尾部460により示された磁場と相互作用する。その結果、矢印462及び463により示されるような力がコイル427に及ぼされる。対応する力を生成する同様の駆動ユニットが、コイル429と磁石312及び316と、コイル432と磁石315及び319と、コイル434と磁石317及び321と、等により形成される。
【0046】
永久磁石314及び318と電気コイル431ともまた、駆動ユニットを確立する。三角形459により示された方向のコイル431中の電流は、永久磁石314及び318のそれぞれ矢印の尾部460及び矢印の頭部461により示された磁場と相互作用する。その結果、矢印464及び465により示されるような力がコイル431に及ぼされる。対応する力を生成する同様の駆動ユニットが、コイル428と磁石311及び315と、コイル433と磁石316及び320と、コイル430と磁石313及び317と、等により形成される。図5cから分かるように、電気コイル427、429、431、433、435及び437中の電流の方向は反時計回り方向であり、コイル428、430、432、434、436及び438中の電流の方向は時計回り方向である。この知識は、これに従ってコイルを巻き、電気制御ユニット(図示されていない)を単純化するために、便利に利用され得る。
【0047】
図5a、5b及び5cのチェッカー盤状パターンにおいては、両方向の矢印439及び440により示される垂直方向における運動のいずれかの組み合わせを生成するため、全てのコイルが同時に動作させられても良い。
【0048】
図6a、6b及び6cは、交番する磁極の環状パターンに二極の永久磁石を配置することによる他の実施例を示す。永久磁石310、315、316及び313は、電気コイル441乃至444のレベルにおいて磁場を供給する。これら磁場の方向は、矢印の頭部466乃至469により図6a、6b及び6cにおいて示されている。永久磁石311、314、317及び312もまた電気コイル441乃至444のレベルにおいて磁場を供給するが、矢印の尾部478乃至481により示されるように、反対の方向のものである。
【0049】
コイル441乃至444の構成は、三角形470乃至473(図6a)により示されるように電流を伝導するように動作させられても良い。交流電流がコイル441乃至444に供給される場合には、以上に説明された電磁相互作用により、第1の支持部(図示されていない)に含まれる永久磁石のパターンと第2の支持部(図示されていない)に含まれるコイルの構成との間の往復運動に帰着する。該往復運動は、両方向の矢印439により示されるように、X方向におけるものとなる。
【0050】
コイル445乃至448の構成は、コイル445乃至448における三角形(図6a)により示される電流を伝導するように動作させられても良い。ここでもまた、交流電流がコイル445乃至448に供給される場合には、以上に説明された電磁相互作用により、第1の支持部(図示されていない)に含まれる永久磁石のパターンと第2の支持部(図示されていない)に含まれるコイルの構成との間の往復運動に帰着する。該往復運動は、両方向の矢印440により示されるように、Y方向におけるものとなる。
【0051】
図6cにおいて、全てのコイルが動作させられている状況が示される。コイルの構成における電流の方向は、回転の中心360のまわりの回転動作を伴う力を生成するように指定される。図6cに示された構成により、回転の自由度が、曲線の矢印488に示されるように提供される。
【0052】
本発明は、図面及び以上の記述において詳細に説明及び記載されたが、斯かる説明及び記載は説明的又は例示的なものであって限定するものではないとみなされるべきであり、本発明は開示される実施例に限定されるものではない。
【0053】
開示された実施例に対する他の変形が、図面、明細書及び添付される請求項の精査から、請求される本発明を実施しようとする当業者によって理解され実行され得る。それ自体が知られた装置、要素及びコンポーネントは、当業者はこれら事項に通じているため、詳細には説明されていない。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。単一の機構又はその他のユニットが、請求項に列挙された幾つかのアイテムの機能を実行しても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電磁系を有する第1の支持体と、
前記電磁系との電磁気的な協働のための少なくとも1つの電気コイルを有する第2の支持体と、
を有する電気機械式マッサージ装置であって、前記支持体の一方はマッサージ面を備え、前記電気コイルの通電の間、前記マッサージ面を備えた前記支持体は、他方の支持体に対して移動可能である電気機械式マッサージ装置において、
前記第2の支持体に前記第1の支持体を接続するための変形可能な接続部を有し、前記第1の支持体と前記第2の支持体とは前記マッサージ面に略平行な方向に相互に変位可能であることを特徴とする、電気機械式マッサージ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電磁系は永久磁石を持ち、少なくとも1つの電磁駆動ユニットが備えられ、前記駆動ユニットは電気コイルと前記少なくとも1つの電磁系の前記永久磁石とを含み、それにより、前記駆動ユニットの前記電気コイルの通電の間、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との相互の変位を引き起こし、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との前記相互の変位は、前記マッサージ面に略平行な方向における前記第1の支持体と前記第2の支持体との相互の変位に寄与する、請求項1に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項3】
少なくとも1つの電磁駆動ユニットが備えられ、前記駆動ユニットは電気コイルと2つの永久磁石とを含み、前記駆動ユニットの前記永久磁石は、前記駆動ユニットの電気コイルの別個の部分を通る磁場を確立し、それにより、前記駆動ユニットの前記電気コイルの通電の間、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との相互の変位を引き起こし、前記駆動ユニットの前記電気コイルと前記駆動ユニットの前記永久磁石との前記相互の変位は、前記マッサージ面に略平行な方向における前記第1の支持体と前記第2の支持体との相互の変位に寄与する、請求項1に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項4】
1つ以上の電磁駆動ユニットを持ち、前記第1の支持体は前記駆動ユニットに一体化された永久磁石のパターンを備え、前記第2の支持体は前記駆動ユニットに一体化された電気コイルの構成を備え、前記電気コイルの構成は前記永久磁石のパターンとの電磁気的な協働のために備えられる、請求項2又は3に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットは、前記電気コイルの構成の電気コイルと磁気伝導体とを有する電磁石により含まれる、請求項4に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項6】
前記永久磁石のパターンの永久磁石は、交番する磁極のシーケンスに配置される、請求項4に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項7】
前記永久磁石を交番する磁極のチェッカー盤状パターンに配置することにより、前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略平行な2つの方向に相互に変位可能である、請求項6に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項8】
前記永久磁石を交番する磁極の環状パターンに配置することにより、前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略平行な2つの方向に相互に変位可能であり、且つ前記第1の支持体と前記第2の支持体とが、前記マッサージ面に略垂直な回転の軸のまわりに相互に回転可能である、請求項6に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項9】
前記永久磁石は、前記環状パターンの同心円状の環に配置される、請求項8に記載の電気機械式マッサージ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気機械式マッサージ装置を有する装着可能なマッサージ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公表番号】特表2010−524552(P2010−524552A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503640(P2010−503640)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051407
【国際公開番号】WO2008/129444
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】