説明

電気機械式位置決め装置と方法

【課題】小さく良好に操作でき、その上、選択された駆動手段と無関係に管状圧電素子の内部でロータの正確な案内を可能とするロータの電気機械式位置決め装置を準備すること【解決手段】この発明は圧電素子の内部にロータを電気機械式位置決めする少なくとも一つの管状圧電素子を備える装置に関する。これは、ロータに垂直力を及ぼすために圧電素子と接続された少なくとも一つの弾性摩擦手段を備えることを特徴とする。装置を制御する方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機械式に位置決めする装置と方法に関する。
【0002】
この種の装置はナノメートル領域、例えば走査ゾンデ顕微鏡においてゾンデを位置決めするために、使用される。この装置は電気入力値(電圧)を機械出力値(位置)に変換する。この場合には、例えば管状圧電素子が始動されて、圧電要素の内部で移動できるロータを、ゾンデとして機能を果たすワイヤを慣性駆動体によって管状摩擦表面に対して移動させる。この運動を奏するために、管状圧電素子が鋸歯状電圧経過を作用される。電圧が圧電素子の内外電極の間に設置されて、圧電経過が圧電素子内のロータの交流半部とすべりを生じる。ロータが鋸歯パルスの平らな側面中に圧電素素の内部の摩擦表面に付着し、その急な傾斜側面中にすべる。
【0003】
欠点として、迅速な運転が圧電素子における鋸歯パルス中に圧電素子或いは可動された物体自体の下敷きの望まれなかった揺動を生じる。
【0004】
圧電素子を含める前記駆動体が例えば国際公開第94/06160号明細書(特許文献1)に採用すべきである。ロータが正確さをもって下までナノメートル領域に移動され得る。上記ロータが一つのワイヤから成る。ロータが摩擦表面に押圧される力は、慣性駆動体の機能のために重大である。ワイヤ或いはロータの際に、この力はワイヤ自体の曲げによって奏される。正確な力は経験的にワイヤの種々の曲げによって適合されなければならない。これは、欠点として、時間のかかる難しい方法工程である。ワイヤの端部が走査トンネル式顕微鏡中に走査先端、即ちゾンデを形成する。先端の各交換の際には、欠点として、全ロータが交換されなければならなく、交換されたロータ用の力が新たに適合される。真空中では、ロータの交換がほとんど不可能である、というのは、針状ロータが管状摩擦表面から離れる装置を有しないからである。
【0005】
ドイツ特許出願公開第4440758号明細書(特許文献2)から、曲げ要素を含める質量ユニットから成るロータが知られているので、摩擦力の強度は曲げ要素の曲げにわたり調整され得る。それによってより重い物体も位置決めされ得る。
【0006】
この位置決め装置では、装置を操作できる非常に僅かな場所しか存在しないことが欠点である。僅かな場所しか存在しないから、位置決めユニットが出来るだけ小さく製造されるべきであるので、装置の出来るだけ大きい安定性と高い固有周波数を達成できる。結局、位置決めを行う質量ユニットが欠点として、管状摩擦表面に対して斜めであって、管状圧電素子が傾斜する。これは、欠点として、質量ユニットが摩擦表面と管圧電素子と軸方向に整合されていない結果を生じる。外に、質量ユニットの傾斜された配列が不正確な案内と摩擦特性の思いかけない変動とを生じる。この摩擦特性の思いかけない変動は慣性駆動体の機能を制限し、ロータが引っ掛かるので、位置決めユニットの故障を生じる。
【0007】
慣性駆動体自体も欠点である。慣性駆動体では、圧電素子の質量とロータの質量が高い加速によって移動する。これは、欠点として、加速が揺動と振動の形態でロータに固定された物体に伝達するという結果を生じる。さらに、圧電素子におけるこの力は、第三ニュートン公理に基づいて土台に伝達される。それで、揺動運動も、ナノ位置決め器が固定されているベースプレートに伝達できる。
【0008】
それ故に、他の駆動方法を備える他の位置決め装置は米国特許第4874979号明細書(特許文献3)に採用すべきである。この場合には、ロータとしての内側シリンダが交互に三つの圧電的に駆動されたクランプにより保持される。クランプの間隔は圧電素子の伸張或いは収縮によって調整されて、内部シリンダの公正な運動を生じる。好ましくは、このナノマニピュレーターが慣性駆動体の速い加速を回避する。しかし、クランプの少なくとも一つが常に高電圧下にあるので、内部シリンダが固定保持されることが欠点である。クランプによるシリンダの固定保持はこの「インチ虫」と呼ばれる位置決めユニットの駆動用の必要な条件である。「インチ虫」の場合には、常にある電圧が圧電電気クランプに印加されて、ロータを固定保持する。走査トンネル式顕微鏡に位置決めユニットの使用の際に、この電圧がロータをクランプするように、しかし、欠点として、電気的障害を測定されたトンネル電流に伝達できる。この障害を回避するために、この高電圧は非常に僅かなノイズのみ、例えば1mV未満である。これは、追加的費用と価格となり、安定な電圧供給を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第94/06160号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第4440758号明細書
【特許文献3】米国特許第4874979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の課題は、小さく良好に操作でき、その上、選択された駆動手段と無関係に管状圧電素子の内部でロータの正確な案内を可能とするロータの電気機械式位置決め装置を準備することである。さらに、この発明の課題は、公知の慣性駆動体とは違って、揺動なしに作動するこの種の装置を制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1と7に基づく装置によって並びに従属請求項に基づく方法によって解決される。
【0012】
この装置は、圧電素子の内部のロータを電気機械式に位置決めする少なくとも一つの管状圧電要素を有する。この圧電素子が始動する電極と接続部を有する。
【0013】
この装置は、圧電素子の内部のロータへの垂直力を及ぼす圧電素子と接続した少なくとも一つの電気手段を有する。この摩擦表面が弾性手段とロータの間の接触表面である。
【0014】
弾性手段はこの発明の構成で伝導性材料、例えば銅ベリリウムから成る。伝導性によって走査先端によって導き出たトンネル電流が直接に手段を介して導き出されて評価され得る。
【0015】
弾性手段は垂直力を及ぼすように、湾曲され得る。この発明による手段は、湾曲された内部部材によってばね力をロータへの垂直力を及ぼし得るケーブル接続部である。弾性手段は板ばねである。各弾性手段は好ましくは一定の永久的垂直力をロータ上へ及ぼす。
【0016】
弾性手段用の材料としての銅ベリリウムは好ましい高い弾性を有する。それは比較的に硬質で良好に加工でき、それを湾曲された弾性手段を構成させる。これは例えば管状手段の刻み目と見做される。その上、それは電気伝導である。比較可能な特性を備える他の材料が使用できる。
【0017】
弾性手段の傍に、直接或いは間接に圧電要素と接続されている静止摩擦手段もロータを案内し、垂直力を受けるように使用され得る。静止手段は一つの摩擦面を有する。摩擦面は静止手段とロータの間の接触面である。静止摩擦手段の可能な構成がサファイア半球である。静止摩擦手段と弾性摩擦手段は次に摩擦手段と呼ばれている。
【0018】
圧電素子の軸方向位置に固定されている摩擦手段は一つのグループの摩擦手段を形成する。それ故に、一つのグループは少なくとも唯一の摩擦手段を包含する。圧電素子の軸方向伸張或いは収縮の際には、一つのグループの摩擦手段が同期的に移動される。
【0019】
摩擦手段は直接に圧電素子と接続できる。それは特に間接に接続要素を介して圧電素子と接続できる。
【0020】
接続要素として例えば多少とも短い管と円板が可能であり、圧電素子の一端と接続されている。さらに、短い接続要素が末端の円板と呼ばれる。円板は一つの開口を有する。円板は特にセラミックから成る。末端円板、或いはその開口には、ロータが案内されるか、或いは位置決めされる。さらに、長い管状接続要素が共軸方向保持体と呼ばれて、複数の摩擦手段の同期運動を奏する。そのような長い管状接続要素がロータの案内中にこの摩擦手段ではなく、むしろ、接続要素に配置された摩擦手段のみに基因する。
【0021】
接続要素の内面には、摩擦手段が配置されている。接続要素は管と円板としてロータが軸方向に案内される一つの開口を有する。摩擦手段はその及ぼす力に関して圧電素子の内部に向けられるので、接続要素の開口を通るロータの軸方向位置決めが行われる。摩擦手段は例えば付着接着剤を介して接続要素と接続され、この接続要素を介して圧電素子の内面と接続されている。
【0022】
摩擦手段は末端円板と共軸方向保持体には接続要素として固定されて、この保持体を介して圧電素子と接続できる。共軸方向保持体は共軸方向に圧電素子のほぼ全長にわたりこの圧電素子に配置されている。共軸方向保持体には、ロータが特に好ましくは非常に安定に案内されている。共軸方向保持体が一部材で形成され得る。この保持体が一端のみで圧電素子と接続され得る。共軸方向保持体は末端円板によって接続要素として一端で圧電素子と接続され得る。共軸方向保持体の他端が圧電素子の内部で自由に、即ち固定されずに存在する。共軸方向保持体の縦方向にわたり、他の摩擦手段が配置され得る。
【0023】
この発明の構成では、ロータは共軸方向保持体に存在する摩擦手段により案内される。それ故に、ベースプレート上で一端に固定されている圧電素子の偏向の際に、すべての摩擦手段が同期的に移動される。ロータを位置決めするために、圧電素子が公知の形式で慣性駆動体によって鋸歯状電圧により偏向される。鋸歯信号の平らな側面中ですべての摩擦面が付着摩擦にあり、ロータが圧電運動により運ばれる。鋸歯信号の急な傾斜側面中で摩擦面がすべり駆動に変わった。ロータがその慣性に基づいて摩擦手段、共軸方向保持体と圧電素子の運動により運行されない。
【0024】
圧電素子における共軸方向保持体の末端固定は、共軸方向保持体に案内されたロータへの圧電素子の完全伝達を奏する。
【0025】
接続要素としての末端円板は、特に好ましく、出来るだけ標準部材として仕上げられた圧電素子とこれと平行に配置された管状共軸方向保持体とを内径或いは外径に関して互いに適合させるように用いられる。ロータ上に垂直力を及ぼす弾性手段は特に付着接着剤を介して接続要素、円板と共軸方向保持体において圧電素子と接続されている。
【0026】
摩擦手段が一つ、二つ或いはそれ以上の軸方向に異なる位置において共軸方向保持体の長さにわたりこの保持体と接続され得る。特に、摩擦要素が均一に共軸方向保持体の全長にわたり分割される。
【0027】
好ましくは五つ或いはそれ以上の摩擦手段が共軸方向保持体の少なくとも二つの軸方向位置に配置されている。それによってロータが特に安定に保持案内される。少なくとも五つの摩擦手段から、少なくとも一つの弾性手段が特に共軸方向保持体の中心になければならない。それは、例えば末端円板の近くに且つ対向位置する側で共軸方向保持体の末端に配置された摩擦手段が静止摩擦手段である。共軸方向保持体の中心には唯一の弾性手段が垂直力を及ぼすように配置され得る。無論、二つの末端静止摩擦手段が弾性摩擦手段によって替えられ得る。
【0028】
軸方向位置に配置された摩擦手段が互いに特に方位角に均一に分配されている。異なる軸方向位置に配置された摩擦手段が互いに同様に方位角に均一に分配されている。それによって好ましくはロータの軸方向案内が圧電素子内で且つ接続要素の開口を通して保証される。
【0029】
非常に好ましくはワイヤ用の差込み接続はロータを案内して軸方向位置決めするように使用される。この差込み接続はこの発明の好ましい構成には例えば一つ又は複数の刻み目によって摩擦面を備える弾性ばね要素を有する。同時に、差込み接続は静止或いは更なる弾性的に特に湾曲された摩擦面を有し、それらの摩擦面内でロータが案内され得る。内方に湾曲された刻み目は弾性ばねとしてロータを接続のこの案内面に対して押圧される。
【0030】
摩擦手段は、動かなくなるか、或いはすべりずれることなしに、ロータが正確に案内されるように、共軸方向保持体と円板とに互いに配置されていることが重要である。これは、摩擦手段の方位角配列を保証する。
【0031】
装置は好ましくは円筒状でないロータを位置決めするために適している。使用されたロータが円状横断面と異なる横断面を有する。円筒状でないロータが例えばじく縦整合に沿って刻み目を付けられて、軸方向並進運動中にロータの方位角回転を阻止させる。ロータの横断面が軸方向に変更できるので、例えば円状ロータが位置決めされる。これは、例えば、速度を両軸方向に前後に種々に構成するために利用され得る。
【0032】
この発明の特に好ましい構成では、装置は少なくとも二つの電気的に絶縁された互いに接続された圧電素子を有する。両圧電素子が互いの中へ或いは前後に並んで配置されていて、共通の少なくとも三つのグループの摩擦手段を有し、これら摩擦手段が種々の軸方向位置で圧電素子に固定されている。これから、少なくとも一つのグループが少なくとも一つの弾性摩擦手段を包含する。これは、ロータ上に垂直力を及ぼす。
【0033】
圧電素子が互いに接続されている、例えば絶縁する接着剤によって或いは絶縁する接続要素、例えばセラミックから成る例えば開口を備える末端円板によって接続されている。ロータ上に及ぼされる垂直力を受ける静止、非弾性摩擦手段が、同様に、設けられている。さらに、圧電素子の軸方向位置に固定されている摩擦手段が一つのグループの摩擦手段を形成する。これは、互いに且つ他のグループの摩擦手段まで特に方位角に配置されている。ロータを位置決めする方法にとって、一方では、次に記載されるように、管状圧電素子が使用され、他方では、この方法にとって、他の種類の圧電素子が使用される。
【0034】
両圧電素子は、好ましい末端に開口を備える接続要素を有する。好ましくは、この接続要素には、ロータを案内する少なくとも一つの摩擦手段が取付けられる。この装置は圧電素子の長さにわたり三つの軸方向に配置されたグループの摩擦手段を包含する。一つのグループにより一つの或いは複数の摩擦手段が示され、一定軸方向位置で圧電素子に直接或いは間接に固定されている。一つのグループのすべての摩擦手段が同期的に移動させる。この発明の構成では、二つのグループの摩擦手段がそれぞれに末端に圧電素子に配置されて、且つ第三のグループが接続部の領域に配置されている。
【0035】
両圧電素子は特に開口を備える円板によって互いに接続され、この円板に固定されて内方を突き出す少なくとも一つの摩擦手段に配置されているか、或いは固定されている。この円板の開口は、軸方向に一列に両他の対向位置する末端円板に配置されている。それによってロータの軸方向ガイドが接続要素のすべての三つの開口において保証されている。この形式では、二つの相前後に配置された圧電素子は接続要素によって互いに接続される。二つの互いの中へ配置された圧電素子はそれぞれに異なる外径と異なる長さを備えて、接続要素によって接続される。
【0036】
互いに接続された圧電素子の一端が基板(ベースプレート)上に固定されている。それによりこの端に固定されたグループがいつも静止したままである。
【0037】
二つのこの種の圧電素子を包含する発明による装置は、好ましくは、駆動の選択の際に、複数の自由度を保証する。電圧が両圧電素子の電極にかけられ、その圧電素子がロータの運動を突然の運動なしに鋸歯状電圧と慣性駆動体におけるように、保証される。これは、特に好ましくは、慣性駆動体を備えて、ロータの明確に障害のない位置決めを奏する。
【0038】
二つの相前後に或いは互いの中へ配置された圧電素子を備えるこの種の装置においてロータを位置決めする方法は、電圧経過が両圧電素子の電極に印加され、圧電素子の収縮或いは膨張がロータの軸方向位置決めを導く。方法の一工程では、両移動可能なグループの一方の摩擦手段が軸方向に移動され、この運動中にロータが両他方グループによって保持される。第二工程では、両グループの他方が個別に移動される。電圧経過の他の工程では、両移動可能なグループが同時に移動され、ロータを案内する。三つのグループの二つの同時同期作用によってロータが移動される、というのは、この両グループの垂直力の総和が個々のグループの垂直力より大きいからである。方法は、先行技術に比べて好ましい、というのは、電気的電圧が加えられる必要なしに、三つのグループの摩擦手段がロータを永久的に固定するからである。特に二つの互いの中へ或いは相前後に接続された圧電素子を備える装置は少なくとも5摩擦手段を包含する。ロータを位置決めするこの方法はロータと三つのグループの摩擦手段の間の摩擦面における付着摩擦と滑り摩擦の交互遊びに基づいている。二つのグループの同時運動の際には、摩擦手段がロータに対する付着摩擦を残している。一つのグループのみの運行の際には、このグループが滑り摩擦で進行する。
【0039】
この方法により制御される位置決め装置は僅かに費用がかかり、「インチ虫」より小さい。この発明の位置決め装置は3ミリメータの外径を備える管状圧電素子中を通過し、その間に「インチ虫」が典型的に10mmの直径を有する。この発明の位置決め装置は僅かで簡単に構成された圧電素子、即ち「インチ虫」の際の三つに代わり二つのみを有し、それ故に、より簡単な始動を有する。追加的に、この発明の装置とこの発明の方法によって慣性駆動体に対する新たな位置決め装置の大きな利点が生じる。それで、この発明の駆動体がロータの質量と無関係である。慣性駆動体では、ロータの慣性が付着摩擦から滑り摩擦までの移行の際に、ロータの質量と重要なパラメータによって与えられる。ロータの質量用の狭い領域にのみ、スリップ・ステック慣性駆動体が費用のかからなく機能する。好ましくは、この発明の方法中の運動が任意の遅い速度により機能原理を考慮することなしに行われる。好ましくは、ここに記載されたモードの外に、ナノ位置決め機が改造なしに、このモードが望まれている場合には、慣性並進のモードでも駆動される。
【0040】
並進工程の正確な間隔は、慣性並進の原理に基づいて作動されるナノ位置決め機では、しばしば生産性が悪く、大きな拡散を有する。この発明のナノ位置決め機では、運動の期間の工程幅がいつも同じ大きさであり、圧電素子の行程に一致する。ロータが保持される締め付け力は、慣性並進により作動するナノ位置決め機では、比較的小さい。慣性力はロータの質量によって決定される。これは、望まれた小さい構造大きさでは同様に小さい。それ故に、慣性駆動体では僅かな締め付け力しか使用され得ない。大きい締め付け力の場合には、ロータが滑らない。この発明のナノ位置決め機では、より大きな締め付け力が使用され得て、これは、好ましくは振動に対するナノ位置決め機のより高い安定性を導く。さらに、この措置はナノ位置決め機には大きな力を及ぼすことを可能とする。
【0041】
好ましくは、全てのこの発明の装置では、ロータが硬直なユニットとして全く正確に軸方向に支承されることを保証されている。ロータと摩擦手段の間の接触面が非常に均等であり、特におよそ方位角ごとのグループを定義し、場合によっては、上下に形成される。それ故に、いつも均等な定義された力が弾性手段からロータへ及ぼされる。ロータは好ましくは、特に容易に交換され得る。
【0042】
圧電素子において弾性手段を備えるこの発明の位置決め機は走査ゾンデ顕微鏡の心臓部材として使用される。この発明の位置決め機は、非常に小さい工程において位置決めするために、こちらの下までナノメータ領域に利用される。xy方向における連続的運動(〜1μm )は圧電素子の四倍区分によって長手軸線に沿って可能である。
【0043】
さらに、この発明は若干の実施例と図面に基づいて説明される。
【0044】
二つの圧電素子を備えるこの装置は、好ましくは他の大きな圧電素子内、或いは上に配置され得るか、或いはこれと接続され得る。大きな圧電素子は圧電素子における連続的電圧によってxyz方向における連続的運動を奏し、それに反して二つの互いの中に或いは上下に配置された圧電素子が徐々にz方向における粗駆動を果す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一つの湾曲された弾性手段15aと四つの静止摩擦手段15を備える装置P1の第一実施例を示す。
【図2】湾曲された弾性手段25a,25bと半円状弾性案内面25a’,25b’を備える二つの差し込み接続部をもつ装置P2の第二実施例を示す。
【図3】図2のように、確かにプラス質量ユニット37を備える装置P3の第三実施例を示す。
【図4】走査ゾンデ顕微鏡における図2に基づく装置P2の使用を示す。
【図5】装置P3を形成する二つの上下に配置されて、電気的に互いに絶縁された管状圧電素子(上)並びに揺動なしにロータを特に同じ形状に位置決めする電圧経過(下)を示す。
【図6】装置P4を形成する二つの上下に配置されて、電気的に互いに絶縁された管状圧電素子(上)並びに揺動なしにロータを特に同じ形状に位置決めする電圧経過(下)を示す。
【図7】管状圧電素子78内部に走査するように配置されている図5に示されたような二つの上下に配置された管状圧電素子を備える装置P3を示す。
【図8】同じ外径を備える管状圧電素子88上で走査するように配置されている図6に示されたような二つの互いの中に配置された管状圧電素子を備える装置P4を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1、2、5と6はこの発明の装置P1とP2並びにP3とP4に関する粗概略的に四つの実施例を縦断面で示す。他の図3、4、7と8は使用態様である。
【0047】
図1乃至4には、鋸歯パルスによってそれぞれの管状圧電素子における電極を制御する配列は図示されていない。圧電素子の遅い収縮と拡張の際には、ロータが一緒に案内され、速い収縮と拡張の際には、ロータが慣性によってその箇所に(滑り摩擦)留まる。
【0048】
管状圧電素子11,21,31,41,51aと51b,61aと61bは図1乃至6においてドイツ国のレーダーホースのPIセラミック有限会社の全長12ミリメータを備える圧電素子が使用される。図1乃至4のロータの電気機械式位置決め装置では、慣性運動用の駆動がそれぞれに正確な一つの管状圧電素子11,21,31,41によって与えられる。図5と6には、他の駆動が紹介される。
【0049】
ロータ14,24,34,44,54,64,74と84は円筒状であり、およそ0.5ミリメータ直径を備えるタングステンワイヤから成る。ロータがトンネル電流をそらすように使用され、二重矢印に沿って移動される。
【0050】
図1乃至6の装置P1,P2,P3とP4は圧電素子における末端に接続要素としての開口を備える局部的に一つのセラミック円板13,23,33,43,53aと53c並びに63aと63cを有する。円板は圧電素子の端部に付着されている。円板として酸化アルミニュムセラミックが使用される。末端円板の開口の内径が1.2ミリメータであり、厚さが1ミリメータであり、直径が3ミリメータである。
【0051】
円板の装置P1,P2の内部に突き出す部分の下部分には、圧電素子の内部とロータと平行に一つの管状共軸方向保持体12,22,32,42が付着されている。この保持体はアルミニュム或いはセラミックから成る。軸方向保持体12,22,32,42が10mmの全長を有する。内径が同様に、1.2ミリメータである。保持体12,22,32,42はそれぞれにケース13,23,33,43内に保持接着材によってアクリレートベースに付着されている。
[第一実施例(図1)]
【0052】
図1の断面は、両静止摩擦手段15の一方のみの上下軸方向位置において示す。実際に、両軸方向位置において二個づつの静止摩擦手段が配置されている。一つの軸方向位置の両摩擦手段がさらに、それぞれに方位角に均一に中間軸方向位置の弾性摩擦手段15aに対して配置されていて、ロータの正確な軸方向案内をもたらす。すべての5個の摩擦手段は軸方向位置において接続要素13を介して圧電素子に固定されていて、それにより若干の摩擦手段を形成する。
【0053】
弾性摩擦手段15aは図1において軸方向に共軸方向保持体12の中心に固定付着されている。追加的不動性静止摩擦手段は直接に共軸方向保持体12と円板13とを介して管状圧電素子と接続されている。摩擦手段は付着されたサファイア半球から成る。
【0054】
それ故に、ロータ14を安定に軸方向に案内するために、全体5個の摩擦手段が使用されて、これら摩擦手段から4個の静止摩擦手段が共軸方向保持体12の二つの異なる軸方向位置に配置されている。主として両摩擦手段が図の左に参照符号15を備えている。しかし、上下サファイア半球15の平面における選択された断面に基づいて、1個づつの他のサファイア半球が配置されていて、一緒にそれぞれに方位角に均一に弾性摩擦手段15aに対して配置されている。
【0055】
装置P1はロータ14に圧電素子の完全偏向の伝達を保証する。
[第二実施例(図2)]
【0056】
実施例2では、二つの弾性手段25aと25a’が上軸方向位置にあり、二つの他の弾性手段25bと25b’が下軸方向位置で垂直力をロータ14に及ぼすように存在する。これら弾性手段25aと25a’はワイヤの差し込み接続によって形成される。この差し込み接続器は一つの弾性ばね25a、25bと弾性半円状摩擦面25a’、25b’を有し、それに対してロータが稼働中にばね力によって押圧される。
【0057】
差し込み接続器25aと25a’は末端で円板23に、これを介して圧電素子21と接続されている。接続器25bと25b’は管状共軸方向保持体22の自由端部に固定されて、これを介して圧電素子21と接続されている。すべての4個の摩擦手段は軸方向位置で接続要素23を介して圧電素子に固定されて、それにより唯一の摩擦手段を形成する。
【0058】
装置P2はロータ24に圧電素子の完全偏向の伝達とロータの非常に良好な軸方向案内とを保証する。
【0059】
この実施例では、ロータが軸方向運動方向から偏向に対する特に良好に安定化され得る。
[装置P2の使用1(図3)]
【0060】
図3には、軸方向に異なる横断面を有するロータ34における図2からの装置P2の使用の場合が示されている。ここで、より大きい横断面37がロータの中心においてストッパとして作用し、ロータの運動を軸方向に制限させる。手段35aと35bのカバー点間のこの追加的質量37と、それと接続されたより大きい慣性力とにより、位置決めにおいて大きな力が伝達され、例えばより大きい質量が位置決めされる。この種のロータの箇所には、円筒状でないロータも使用され、軸方向に沿って刻み目が入れられいて、軸方向並進運動中にロータの方位角回転を阻止する。
【0061】
その代わりに、球状ロータが移動され得る。これは、例えば、速度を両軸方向において前後に異なって構成させるように、利用され得る。
[装置P2の使用2(図4)]
【0062】
上に描かれた図2による位置決めユニットP2は、図4に記載されるように、走査ゾンデ顕微鏡の心臓部材として利用され得る。
【0063】
目的物Oがロータ44の先端Sの上部に配置されている。そのために、目的物Oを備える目的物保持体Hがシリンダに螺子止めされている。シリンダZが管状圧電アクチュエータ41を備える装置P2を包含する。シリンダZ並びに装置P2がベースプレート45に付着されている。プローブOへの走査ゾンデSの接近は鋸歯電圧と管状圧電素子41の収縮並びに膨張によって行われる。プローブ上のゾンデSのxy運動は公知の形式で四つのセグメントに区分した一つの外部電極を備える管状圧電素子41によって行われる。この配列により一つの非常に小さく安定な走査ゾンデ顕微鏡が記載されている。好ましくは、走査ゾンデSとロータ44が二つの独立した部材である。走査ゾンデSは、ロータ44を交換させることなしに、特に容易に交換され得る。
【0064】
記載された電気機械式位置決めユニットP2は、次のように逆形式で稼働され得る。ロータ44が少なくとも一端においてベースプレートの大きな質量と接続されている。このとき、圧電素子がベースプレートと接続されていなく、不動ロータに対して移動される。
【0065】
選択的に、二つの別の実施態様では、装置P2の代わりに、それぞれに図1による装置P1が使用され得る。
【0066】
図5と図6に示された二つの装置P3とP4は、今まで示された慣性駆動体と違った方法を記載する。図5には、二つの圧電素子51aと51bが相前後して接続要素としての開口を備える末端円板53bによって互いに接続されていた。それに対して、図6には、異なる直径と長さを備える二つの圧電素子は接続要素としての末端円板63bを介して互いに接続されていた。図7と8は走査型ゾンデ顕微鏡の図5と6に基づく装置の使用を示す。
【0067】
別のものが記載されていない限り、図2の装置P2に対する個別部材の使用された寸法と材料が図5と6の装置P3とP4の使用された寸法と材料と同じである。
[第三実施例(図5)]
【0068】
図5は、上部分には、装置P3を示し、その下にこの装置を稼働するこの発明の方法を示す。
【0069】
P3は、接続要素53bによって軸方向に相前後して接続された二つの圧電素子51aと51bを包含する。
【0070】
装置の両圧電素子51aと51bはその対向位置する外端にはそれぞれに接続要素53aと53bとしての一つの末端円板を備えている。さらに、管状圧電素子が他の円板53bを介して軸方向に互いに接続されている。一方の管状圧電素子51aが自由端部に土台56上に固定されて、第二圧電素子の対向位置する端部が固定されていない。
【0071】
ロータ54が軸方向に二重矢印に沿って位置決めされる。ロータが三グループの摩擦手段を55a,a’,55b,b’と55c,c’によって保持され、案内され、移動される。グループ55aと55a’は差し込み接続部から形成され、接続要素53aに対向位置する二つのばね要素を包含する。
【0072】
グループ55b,b’は接続要素53bに対向位置する二つのばね要素を包含する。グループ55c,c’は接続要素53cに対向位置する二つのばね要素を包含する。
【0073】
二つのグループ55a,a’並びに55c,c’は両接続された管圧電素子51aと51bの両外端に固定されている。グループばね要素55aと55a’は交互に直接にベースプレート56に固定され得る。
【0074】
ベースプレート56に対して円筒状ロータ54を移動させるために、一つのグループ55b,b’或いは55c,c’が圧電素子51aと51bによって更に互いに対して静止している他の両グループに対して移動される。この場合には、相対的に互いに移動しない両他のグループはシリンダを付着摩擦力によって固定される。相対的に他の両グループに対して移動される第三グループの付着摩擦が他の両グループの付着摩擦力の総和より弱い。それ故に、このグループのロータに対する接触が滑りに移行する。
【0075】
二つのクランプが作用的に圧電駆動体によりクランプされてロックされる米国特許第4874979号明細書(特許文献3)に基づく先行技術とは違って、この発明によると受動的クランプが扱われている。第三グループに対する二つのグループの同期運動の際に、ロータが連行されるので、一緒に移動されたグループの付着摩擦力の総和は個々のグループの付着摩擦力よりいつも大きいにちがいない。ロータ54に対する接触が個々のグループには滑り摩擦に移行し、個々のグループの力が両他の一緒に移動されたグループの限界付着摩擦力を伝達するために十分ではない。
【0076】
グループiを滑すために、伝達されなければならない最小力がFiであるならば、三つのグループ55a,a’並びに55b,b’と55c,c’に適用されるにちがいない:F_i+F_j>F_k,i,j,k=55a,a’,55b,b’,55c,c’とi≠j≠kを備える。
【0077】
次に、電圧経過の期間がロータの移動に対して画像面で右へ案内する(図5を参照)圧電素子51aと51bにおいて記載されている。この場合には、それぞれの圧電素子における正電圧がシリンダ軸線に沿う膨張を導き、負電圧が収縮を導く。
【0078】
運動の期間は、両圧電素子51aと51bが電圧なしに静止状態である状態で開始する。
【0079】
電圧経過の部分断面(a)(図5の下画像図を参照)では、第一圧電素子51aが収縮し(負電圧)、第二圧電素子51bが拡張する(正電圧)。これは、左への中間グループ55b,b’の滑り摩擦を導く。右グループ55c,c’がその位置を変更しなく、圧電素子51aが短縮し、その間に圧電素子51bが延長されるので、右グループ55c,c’のベースプレートに対する位置の変更が実質的に行われなく、左グループ55a,a’がベースプレート56に対して決して移動されないのと同様に、僅かである。
【0080】
図5の電圧経過の部分断面(b)では、左圧電素子51aの膨張が変更されないままであり、即ち収縮する。それにより、左グループ55a,a’と中間グループ55b,b’がナノマニュピュレータ(ナノ操作器)に対して移動されなく、それで、ロータ54がおよそ二重付着摩擦力に基づいて固定される。右圧電素子51bが最大に膨張することから、最大に収縮することまでの間に、右グループ55c,c’が左グループ55a,a’と右グループ55c,c’の両方によって固持されるロータ54に対して左へ滑る。
【0081】
部分断面(c)では、左圧電素子51aが膨張される。それにより、中間グループ55b,b’と右グループ55c,c’の両方が一緒に右へ移動し、一緒にロータ54を案内する。左グループ55a,a’には、ロータ54に対する接触が滑り摩擦に移行する。この部分工程では、ロータ54が右へ移動する。
【0082】
第四部分断面(d)は第一部分断面(a)と同様である。第一圧電素子51aが収縮し、第二圧電素子51bが膨張する。これは、両圧電素子が再び電圧なしの出発状態に戻るまで、中間グループ55b,b’の左への滑り摩擦を導く。
【0083】
運動マスターが次のように要約される:まず最初に中間グループ55b,b’と右グループ55c,c’が個々に左へ移動される。この場合には、ロータ54が移動しない。ロータがいつも他の両グループにより保持される。それで、中間グループ55b,b’と右グループ55c,c’の両方が一緒に右へ移動され、ロータ54と一緒に右へ案内する。運動の期間内では、ナノ位置決め機のロータがこの区間だけ右へ移動され、この区間が圧電素子の行程を最高電圧から最低電圧までに一致させる。
【0084】
左への運動は逆になった電圧経過によって行われる。
異なった電圧長さは、摩擦手段55b,b’の行程が摩擦手段55c,c’と同じであるように、適切に適合された電圧振幅によって補償され得る。
[第四実施例(図6)]
【0085】
図6は上部分に装置P4を示し、その下にこの装置を稼働するこの発明による方法の電圧経過を示す。
【0086】
P4は接続要素63bによって二つの軸方向に互いの中へ配置された圧電素子61a,61bを包含する。圧電素子61aが6mmの大きな外径と13ミリメータの長さとを有するので、これは、圧電素子61b自体を収容できる。
【0087】
装置P4の両圧電素子61aと61bは等しく整合された外端にはそれぞれに一つの接続要素63aと63cを備えていて、円板の開口が軸方向に上下に配置されているので、ロータ54が軸方向にその中に移動され得る。
【0088】
管状圧電素子61aと61bが接触要素、例えば接触要素としての円板63bを介してナノ位置決め機のベースプレートに対する端部に互いに接続されている。両管状圧電素子61aと61bはこれら端部に位置決め機のベースプレート66上に固定され、その間に圧電素子のそれぞれに対向位置する端部が固定されずに且つ目的物(図示されていない)に向けられている。
【0089】
ロータ54が軸方向に二重矢印に沿って位置決めされる。ロータが三グループのばね要素65a,a’、65b,b’並びに65c,c’によって保持され、案内され、移動される。
【0090】
三つの円板63a,63bと63cの開口が軸方向に上下に配置されているので、ロータがこの開口に軸方向に位置決めされ得る。
【0091】
これらグループ65a,a’並びに65c,c’の二つのグループが組合せた圧電素子61aと61bの外端に配置されていて、その間に第三グループ65b,b’が更に遠く離れて両他のグループから接続要素63bに取付けられ、この接続要素が両圧電素子を互いに接続されている。
【0092】
土台66に対する円筒状ロータ64を移動させるために、一つのグループ65a,a’或いは65c,c’が圧電素子61aと61bによって更に互いに対して静止している他の両グループに対して移動される。この場合には、互いに対して移動されない両他のグループがシリンダを付着摩擦力によって保持する。他の両グループに対して移動される第三グループの付着摩擦がより弱い。それ故に、このグループのロータに対する接触が滑りに移行する。
【0093】
さらに、受動的締め付けが扱われている。二つのグループから第三グループに対する同期運動の際に、ロータが連行されるので、一緒に移動されたグループの付着摩擦力の総和が個々のグループの付着摩擦力よりいつも大きいにちがいない。ロータ64に対する接触が個々のグループにおいて滑り摩擦に移行し、その間に個々のグループの力が両他の一緒に移動されたグループの付着摩擦力を伝達するのに十分ではない。
【0094】
一つのグループiを滑りさせるために、伝達されなければならない最小力がF_iであるので、これら三つのグループ65a,a’、65b,b’と65c,c’に適用されるにちがいない:F_i+F_j>F_k、i,j,k=65a,a’、65b,b’、65c,c’とi≠j≠kを備える。
【0095】
次に、電圧経過の期間は、ロータの移動のために画像面で上へ案内する(図6参照)それぞれの圧電素子61aと61bにおいて描かれている。この場合には、それぞれの圧電素子61aと61bにおける正電圧がシリンダ軸線に沿う膨張を導き、負電圧経過が収縮を導くことが仮定される。
【0096】
運動の一つの期間は、両圧電素子61aと61bが電圧なしで静止状態である状態で開始する。
【0097】
電圧経過の部分断面(a)では、外部圧電素子61aと内部圧電素子61bが拡張する(それぞれ正電圧)。これは、中間グループ65c,c’と上グループ65a,a’の付着摩擦を導き、その間に両圧電素子61aと61bが上へ拡張する。下グループ65b,b’がベースプレート66の位置に基づいてその位置を変更しない。ばね要素65bと65b’とロータの間の摩擦面には、ロータが滑り摩擦で移行し、ベースプレート66に対して上へ移動する。両移動されたグループがロータを保持し、その間にロータが滑り摩擦で第三下グループ65b,b’に移行する。
【0098】
図6の電圧経過の第二部分断面(b)では、外部圧電素子61aの膨張が変更されないままである。内部圧電素子61bが負電圧経過に基づいて収縮する。それによりグループ65c,c’が滑り摩擦で移行し、下へ移動し、それに対して、上グループ65a,a’と下グループ65b,b’がベースプレート66に対して移動しなく、それによりロータ64をおよそ二重付着摩擦力に基づいて保持する。内部圧電素子61bが最高膨張から最高収縮までの間に、グループ65c,c’が両グループ65a,a’と65b,b’によって保持されるロータ64に対して下へ滑動する。
【0099】
第三部分断面(c)では外部圧電素子61aが収縮される。それによりグループ65a,a’が単独に滑り摩擦で移送されてロータに対して下へ移動される。ロータが両他のグループ65b,b’と65c,c’における高い力に基づいてz座標に絶対に残留する。上グループ65a,a’には、ロータ64に対する接触が滑り摩擦で移行する。この部分断面では、ロータが移動しない。
【0100】
第四部分断面(d)は第一部分断面と同様である。両圧電素子61aと61bが正電圧経過のために膨張する。これは、ロータ64を上へ連行する。下グループ65b,b’がベースプレート66の位置に基づいてその位置を変更しない。ばね要素65bと65b’とロータの間の摩擦面には、ロータが滑り摩擦で移行し、ベースプレート66に対して上に移動する。運動マスターが次のように要約される:まず最初に上グループ65a,a’と65c,c’の両方が二つづつの弾性曲げ要素から一緒に上へ移動する。この場合には、ロータ64が連行される。相前後にこの両グループが個々に下へ移動し、ロータ64が変更されずに動かない。運動の期間内では、ナノ位置決め機のロータは、圧電素子の行程を最高電圧から最小電圧までに一致させる区分だけ上へ移動される。
【0101】
異なった圧電長さは、摩擦手段65a,a’の行程が摩擦手段65c,c’の行程と同じであるように、適切に適合された電圧振幅によって補償され得る。
[図5による装置P3の使用1(図7)]
【0102】
図5による上記位置決めユニットP3は走査トンネル式顕微鏡の心臓部材として利用され得る。この場合には、図5による装置P3がベースプレート66上に組立てられている大きな直径を備える一つの管状圧電素子78の内部に保持される。この場合に、装置P3が保持体73dを介して外部圧電素子78の端部に固定される。ロータ74の上端には、走査ゾンデが取付けられ、プローブが走査ゾンデの上部に係止される。
【0103】
xy方向における連続的運動が圧電素子78の一つの四重セグメント区分によって長手軸線に沿って可能である。
【0104】
圧電素子78がz方向における精密運動のために圧電素子78における連続的電圧変更によって利用され得る。
[図6による装置P4の使用1(図8)]
【0105】
図6による上記装置P4は走査型ゾンデ顕微鏡の心臓部材として利用され得る。この場合には、装置P4とP6はベースプレート86上に組立てられる等しい直径を備える管状圧電素子88に保持される。この場合に、保持体83を介して圧電素子88の端部に固定されている。ロータ84の上端には走査ゾンデが取付けられて、ゾンデが走査ゾンデの上部に係止される。
【0106】
xy方向における連続的運動が圧電素子88の一つの四重セグメント区分によって長手軸線に沿って可能である。
【0107】
圧電素子88はz方向における精密運動のために圧電素子88における連続的電圧変更によって利用され得る。
【0108】
各装置P1乃至P4は同様に、専ら走査型ゾンデ顕微鏡の心臓部材として表示できる。この場合には、xy方向とz方向における精密運動は圧電素子に連続的電圧をかけることによって達成され得る。
【符号の説明】
【0109】
11,21,31,41,51a,51b,61a,61b....管状圧電素子
12,22,32,42....保持体
13,23,33,43,53a,53c,63a,63c....セラミック円板
13,23,33,43....ケース
14,24,34,44,54,64,74,84....ロータ
15,15a....摩擦手段
16,26,36,46,56,66,76,86....ベースプレート(土台)
78,88....圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子の内部にロータを電気機械式位置決めする少なくとも一つの管状圧電素子を備える装置において、ロータに垂直力を及ぼすために圧電素子と接続された少なくとも一つの弾性摩擦手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
ロータに及ぼされる垂直力を受けるために圧電素子と接続された少なくとも一つの非弾性摩擦手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
圧電素子の軸方向位置に固定されている摩擦手段が一つのグループの摩擦手段を形成することを特徴とする請求項1或いは2に記載の装置。
【請求項4】
弾性或いは静止摩擦手段を圧電素子と接続する少なくとも一つの接続要素を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
末端で圧電素子と接続されていて、少なくとも一つの摩擦手段に固定されている接続要素としての一つの開口を備える円板を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
末端で圧電素子と接続されていて、少なくとも一つの摩擦手段に固定されている接続要素としての少なくとも一つの共軸方向管状保持体を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
圧電素子の内部にロータを電気機械式位置決めする少なくとも一つの管状圧電素子を備える装置において、相前後に或いは互いの中に電気的に絶縁されて互いに配置された二つの圧電素子と、圧電素子の一つの軸方向異なった位置に固定されて、圧電素子の一つの軸方向位置に固定されている摩擦手段が一つのグループの摩擦手段を形成する少なくとも三グループの摩擦手段とを備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
少なくとも一つのグループ、特に軸方向中間グループが弾性摩擦手段を包含することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
請求項7或いは8に記載の装置によりロータを位置決めする方法において、電圧経過が両圧電素子の電極に加えられて、圧電素子の収縮或いは膨張がロータの軸方向位置決めを導き、電圧経過の一つの部分では、それぞれに一つの摩擦手段が軸方向位置に移動され、ロータのこの運動中に二つの他のグループの摩擦手段により保持され、電圧経過の一つの他の工程では、この二つのグループの摩擦手段が同時に移動され、ロータ自体を案内することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−520989(P2012−520989A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500064(P2012−500064)
【出願日】平成22年3月6日(2010.3.6)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000246
【国際公開番号】WO2010/105592
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)