説明

電気歯ブラシ、及び電気歯ブラシ用ブラシヘッド

本発明は、概して、電気歯ブラシ及び特にそのような電気歯ブラシ用ブラシヘッドを目的としており、このブラシヘッドは、毛支持体の可動式装着のための装着手段を含む好ましくは実質的に皿形状の毛支持体を有し、前記毛支持体はいくつかの外側毛房及びいくつかの内側毛房を担持しており、前記外側毛房は前記内側毛房を上回る高さを有することにより、房の自由端によって画定される作業面では、一方向に湾曲して、それに対して垂直の方向にほぼ真っ直ぐに伸張する、溝形状の凹面の底を有する中央のくぼみが形成される。本発明によると、外側毛房の少なくとも1つは、毛支持体の周辺側に近いその自由端の外側における縁上に面取り部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気歯ブラシ、及び特にそのような電気歯ブラシ用ブラシヘッドに関し、このブラシヘッドは、毛支持体の可動式装着のための装着手段を含む毛支持体を有し、前記毛支持体はいくつかの外側毛房及びいくつかの内側毛房を担持しており、外側毛房は内側毛房を上回る高さを有することにより、そこにある毛房の自由端によって画定される作業面には溝形状の底を有する中央のくぼみが形成される。
【背景技術】
【0002】
電気歯ブラシにおいて、ほぼ円形の皿形状の毛支持体に固着される複数の毛房を備える回転駆動式毛セクションを使用することは知られており、毛支持体の回転軸は毛セクションに対して通常は中央に延びる。毛セクションは通常、振動往復運動によって回転され、適宜、その運動に振動打突運動が重ねられる場合がある。
【0003】
共通平面に毛房の自由端が置かれるほぼ平面の毛セクションが当初は使用されていたが、隣接歯間の洗浄の向上を図る観点から、毛房の突出によって隣接歯間区域によりよく貫通するよう意図されたより長くより突出している毛房を縁部に有する毛セクションを使用することが提案された。例えば、EP 0835081 B1号に開示されている房は、長手方向軸の領域において円形の回転運動可能な毛セクションの周囲に配置されており、それらよりも内側に配置された房を超えて突出している。
【0004】
毛セクションの外側周辺上のそのような伸長毛房は良好な自立効果(self-centering effect)を有し、毛セクションの回転駆動中に、それぞれ対応する歯の中央にブラシを位置づけ、隣接歯間の洗浄を実に向上することができるが、隣接歯間に隣接する歯側面部分の洗浄は、まだ最適ではない。更に、毛セクションのそのような構成は、1つの歯から別の歯へと実にやさしく動かすことがもはやできず、結果的に、ブラシヘッドは、歯ブラシの長手方向での洗浄運動中に突き刺すような感覚をもたらす。
【0005】
回転運動可能な同様の構成の、毛セクションの作業面に中央凹部又はくぼみを含むブラシヘッドは、US−D 478,214号、US−D 517,325号、又はUS−D 455,556号により既知である。
【0006】
また、当該技術では、湾曲した溝をくぼみとして有する回転駆動可能な歯ブラシが提案され、この溝は、毛セクションの作業面を形成しており、毛房を貫通して削って構成されたように毛セクションにわたって横方向に延在する。毛セクション又はその作業面のそのようなほぼ一軸のくぼみによって、歯磨剤又は同様のゲル状の歯洗浄剤をよりよく保持することが可能なだけでなく、より快適でやさしい洗浄感覚を伴うよりよい洗浄効果を歯にもたらすこともまた可能である。対向する周辺側に向かって隆起する作業面の輪郭は、横方向の歯側面により深く入り込み、いわばそれらの歯側面にぴったり沿って包囲するので、特に隣接歯間と隣接する歯側面の部分がよりよく洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0835081 B1号
【特許文献2】US−D 478,214号
【特許文献3】US−D 517,325号
【特許文献4】US−D 455,556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、毛セクション全体に横方向に渡って延在する溝形状のくぼみを伴うそのような既知の毛セクションの構成では、隣接歯間における洗浄性能が犠牲になるか、又は中央毛房を十分に逸れ曲がらせるために過度の、望ましくない接触圧が要求されることになる。
【0009】
この現実を鑑みて、本発明は、改善された電気歯ブラシ及び改善されたブラシヘッドを提供することにより、先行技術の不利な点を抑える一方で、当該技術を有利なやり方で開発することを目的とする。具体的には、運転中にやさしい快適な洗浄感覚を与え、十分な自立効果によって取り扱いのし易さをもたらすことが期待されるブラシによって、歯側面の洗浄効果を犠牲にせずに隣接歯間の効率的かつ最も完全な洗浄を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明にしたがって、請求項1によるブラシヘッドと、請求項18による電気歯ブラシとによって達成される。本発明の好ましい実施形態については、従属クレームに記述する。
【0011】
したがって、少なくとも2つの外側毛房及びいくつかの内側毛房を担持する毛支持体を有する電気歯ブラシ用の(取り外し可能に装着可能な)ブラシヘッドを提供することが提案される。外側毛房及び内側毛房の毛の自由端は、ブラシヘッドの作業面、すなわち歯を洗浄するための接触面である作業面を画定する。内側毛房は、内側毛房の毛の自由端が作業面に中央のくぼみを形成するように配置され、この中央のくぼみは、一方向への湾曲部を有する凹面の溝として実現され、この湾曲は、一実施形態において連続した湾曲である(すなわち、内側毛房及び外側毛房は、連続した湾曲を追従するようにトリムされており、したがって、階段状に置かれた平坦な末端によって、連続した湾曲を近似しているのではない)。連続した湾曲とは、内側毛房のそれぞれの毛のトリムが、凹面の溝の湾曲を追従することを意味し、したがって、内側毛房のそれぞれは、中央のくぼみの作業面の一部を形成する対応する内側毛房の毛の自由端によって画定される湾曲した上面を有する。外側毛房は、内側のくぼみを完結する(conclude)につれ、内側毛房を上回る高さを有する。本発明によると、外側毛房の少なくとも1つは、毛支持体の周辺側に近いその自由端の外側おける縁上に面取り部を有する。一方向の湾曲を有する中央のくぼみは、歯群の前面及び側面を最適に包むように適応することができ(より激しい湾曲の臼歯及びより湾曲の少ない前歯の両方に対応することを可能にするために湾曲の妥協を見出すことができる)、その一方で、面取り部によって画定される作業面は、側面及び/又は隣の歯の前面を(部分的に)すでに洗浄している。したがって、中央のくぼみを形成する毛を介して毛支持体の好ましくは回転振動動作によって特定の歯が洗浄される一方で、面取りを形成している毛は、隣の歯の一部を既に洗浄する。面取り部及び中央のくぼみはピーク状の毛構造において出会うことができるので、このピーク状の毛構造は対応する洗浄作用のために隣接歯間区域に入り込むことができる。別の実施形態では、面取り部と中央のくぼみとの間の作業面に平坦部が形成される。毛支持体は、ブラシヘッドへの毛支持体の可動式装着のための装着手段を有しており、そのため、電気歯ブラシのハンドルセクションの駆動構成によって、毛支持体の駆動運動、具体的には回転振動動作が可能になる。総じて、提案されているブラシヘッドは、歯群の全面及び側面並びに歯の間の隣接歯間区域の非常に良好な洗浄能力を提供する。更に、その特定の設計により、動作中に歯肉にやさしく、自立性があり、滑らかな口当たりのブラシヘッドを提供することができる。毛支持体は、好ましくはほぼ皿形状である。
【0012】
一実施形態では、中央のくぼみが有する、くぼみの中央からくぼみの縁にかけての高さの差は、約0.4mm〜約1.0mm、特定すると約0.6mm〜0.8mmである。これは、臼歯及び前歯の良好な洗浄特性の妥協をもたらす。
【0013】
一実施形態では、ブラシヘッドを貫通する断面において溝形状の凹面くぼみの縁における接線と、毛を担持する毛支持体の表面に平行における平面との間の角度は、最大約10度〜約25度であり、特定すると、最大約15度〜約20度である。そのような約25度未満の角度、特定すると約20度未満の角度でトリムされた毛は、当該技術分野で既知の、毛を丸くするための従来の手順で十分に丸くすることができる。内側毛房の丸くされた毛は、したがって、歯肉にやさしく、歯肉の外傷は避けられる。
【0014】
したがって、上述のように、改善された隣接歯間の洗浄効果は、外側毛房の面取り部を介して達成される。具体的には、末端表面の外側の縁を面取りすることができる。第一に、前記外側毛房は面取り部のおかげで隣接歯間をよりよく貫通することができる。その一方で、周方向に外側における房の面取り部は、毛セクションをいわばくさび形の傾斜した表面として隣の歯側面上に隆起するので、そのブラシヘッドをより容易に、かつよりやさしく、1つの歯から隣の歯へ移動することができる。結果的に、1つの歯から隣の歯へブラシヘッドを特にやさしく押すことができる。
【0015】
一実施形態では、外側毛房は、概して内側と外側の両方に向かって面取りされ、特に内側面取り部が中央のくぼみを完結する。結果的に、毛セクションの作業面を、丸い体の歯側面に対して特にぴったりと適応して置くことができる。内側面取り部は、毛セクションの作業面の中央の溝形状の湾曲したくぼみのいわば連続部分である。これはまた、歯肉の上、すなわち硬い歯質と歯肉との間の境界区域の洗浄効果も強める。
【0016】
房の適用及び構成に依存して、面取り部を様々に画定することができる。前記房の面取りされていない末端表面に対して周辺の房の前記面取り部が約20度〜60度、好ましくは25度〜40度で傾斜されているとき、歯と歯の間及び歯の表面の両方で良好な洗浄効果が達成される。前記面取り部が毛房の末端で毛房の幅の約25%〜75%にかけて延在する場合は、概して、様々な面取り部の深さを選択して、隣接歯間に容易に入り込むことと残りの歯側面への洗浄能力との間の有利な妥協を実現することができる。この文脈において、「幅」は、房の長手方向軸に対して垂直で、面取り部の長手方向を横切る、房の寸法を意味すると理解される。
【0017】
特に効果的なのは、外側毛房、特に面取り部と組み合わされた外側毛房であり、前記房の少なくとも外側が、毛支持体に対して縦の鋭角で外側周辺側に向かって傾斜されるときであり、これは、好ましくは1.5度〜30度、特定すると約1.5度〜15度、好ましくは約3度〜5度の範囲の角度である。結果的に、外側毛房は、ブラシヘッドの往復動の間に一方向に座屈することへの抵抗が低下し、したがって、隣接歯間へのよりよい挿入をもたらす。
【0018】
本発明の更なる態様において、前記外側の毛房は、それらの自由端に向かって増大する断面積及び/又は毛支持体からそれらが進むにつれて広がる外側面を有する。具体的には、前記外側の毛房は、長手方向の断面図に見られるように台形に形作ることができ、したがって、房の自由端は毛支持体上のその基底より広い。第一に、そのような台形の構成は、より大きい作業面を房の自由端上にもたらす。これはまた、歯磨剤を毛の末端上によりよく保持することを可能にする。一方、扇形に広がっていることにより、房内の毛が互いに対してより容易に動くことが可能になり、結果的に、全体として歯の輪郭によりよく適合し、洗浄性能を向上する。具体的には、外側毛房の自由端の外側面取り部によって、前記房は、歯群の境界の輪郭によりよく入り込む、より触知可能な縁を有する好ましい幾何学的比率を得る。
【0019】
外側毛房の台形の構成は、毛支持体に対して垂直の関係において非対称であることができる。具体的には、前記房の、内側毛房に面する内側の側面は、毛支持体の表面に対してほぼ垂直に延在することができ、一方、それぞれの房の、内側毛房に背を向けている外側は、毛支持体の垂直線に対して鋭角に、外側に向かって傾斜する。したがって、外側の側面は、ある角度で外向きに立ち、一方、内側の側面は真っ直ぐに立つ、すなわち毛支持体の表面に対してほぼ垂直に整列する。
【0020】
本発明の更なる態様では、いくつかの外側毛房は、それらの自由端に、接合された連続面を形成することができ、平面図で見ると、この面は細長い形を有することができる。第一に、これは大きい区域を覆う洗浄効果を確保する。その一方で、歯磨剤又は歯洗浄剤は、作業面の内側のくぼみによりよく保持される。
【0021】
そのような細長い毛セクション上では、毛セクションの自由端上の前述の面取り部は、その細長い末端表面の長手方向軸に対して平行に及び/又は正接に延在することができる。
【0022】
本発明の更なる態様では、外側毛房は、対向する周辺側の対向する周辺セクターの外側周辺上に提供され、したがって、毛セクションの作業面の中央のくぼみは、対向するより長い周辺の房の間に延在する。この配置では、外側毛房は、毛セクションの全周辺に沿ってではなく、好ましくは60度/セクターの角度未満の限られた角度のセクターにのみ提供されるが、より長い、高い外側毛房のいずれも、中央領域の溝形状の湾曲したくぼみが最も深い中間セクターの周辺に位置づけられない。溝形状の中央のくぼみは、毛セクションのいわば全体にわたって横方向に延在する。溝形状の中央のくぼみがその最も深いところにある前記セクターにおいて、外側の周辺の房は、溝形状の中央のくぼみの構成に適合されるか、その一部を形成する。
【0023】
ブラシヘッドは、概して様々な方法で駆動され得る。歯ブラシ及びその駆動の構成に依存して、異なる駆動運動学を実施することができる。本発明の更なる態様では、駆動運動は、毛支持体を通って延在する回転軸の周囲の振動回転運動を含む。本発明の一実施形態では、前記回転軸は、その中心点又は重心を通って毛支持体の平面に対して垂直に延在することができる。所望により、回転軸に沿って追加的な脈動運動をもたらすことができる。
【0024】
しかし、本発明の代替実施形態によると、回転軸が偏心に位置づけられることもまた可能であり、したがって、毛セクションの異なる周辺側において異なる強度の運動構成要素が生成される。本発明の更なる態様では、この偏心は、外側のより長い毛房に適用され、すなわち、回転軸は、対向する外側のより長い房を通る接続線に対して平行に変位される。毛セクションの構成に依存して、偏心は、異なる周辺側の所望の異なるサイズの洗浄動作と、回転軸が毛支持体の直径線を55%〜45%から最高70%〜30%の長さ比率で分割するときに達成されるなお許容される振動とを上手く妥協することによって様々に画定することができる。
【0025】
あるいは、又は加えて、毛支持体の回転軸を、前記支持体が画定する平面に対して鋭角に傾斜することが可能であり、傾斜角は、毛支持体の平面に対して好ましくは89度〜65度、特定すると88度〜82度の範囲内である。結果的に、毛セクションの溝形状の湾曲面の形状とともに、回転運動に打突運動を付加することが可能である。好ましくは、回転軸は、毛セクションが歯ブラシのハンドルセクションから傾いて離れるように傾斜している。
【0026】
本発明の更なる態様では、毛セクションの回転振動が与えられると、平面図で細長く見える、周方向に外側のより長い房の末端表面は、回転軸の周りでほぼ弧状に、具体的には回転軸の周りで円弧状に延びる。
【0027】
本発明の更なる態様では、それでも尚、外側毛房の外側端の前述の面取り部は、真っ直ぐに、房の弧状に湾曲した細長い末端表面に対して、好ましくはほぼ接線方向に延びることができる。第一に、これは房の生産を簡易にする。一方で、これは、面取り部及びそれと付随して面取りされていない末端表面に、周方向に変化する幅をもたらし、くさび形表面のやり方においてこれは、隣接歯間への、対応する房の連続的な挿入と退出を引き起こすことができる。
【0028】
しかし、本発明の別の実施形態によると、特に房の面取り部及び/又は残りの非面取り部の末端表面が周方向に一定の輪郭及び幅を有するようにするために、面取り部が回転軸の周囲で同等に弧状湾曲に延在することもまた可能である。結果的に、歯側面に対する房の非常にやさしい接触及び隣接歯間への適した又は均質な貫通が可能となる。
【0029】
本発明の更なる態様では、毛支持体は正確な円形構成ではなく、わずかに卵形及び/又は楕円形である。あるいは、又は加えて、少なくとも外側の列の房を円にではなく、1つの側又は複数の側が平坦化された輪の上に、特定すると卵形及び/又は楕円形の形状に、配置することが可能である。第一に、そのような卵形又は楕円形の輪郭を有する毛セクションでは、高い毛密度が達成可能である。その一方で、そのような形状は個々の房の動きに有益な効果を有する。具体的には、楕円の短軸又は卵形の横方向の軸が中央のくぼみの溝形状の輪郭の長手方向軸(これは、毛支持体の中立位では、歯ブラシの長手方向に対して横方向に延びることができる)に対して平行に延びるとき、直径線に対して垂直に配置された直径線上に位置づけられた外側のより長い房は、溝形状のくぼみの深い領域に位置づけられた房に対して付加的な運動構成要素を得るので、特に効率的な隣接歯間の洗浄作用が達成される。この楕円又は卵形は、幾何学的理想からやや非対称に歪められていてもよい。
【0030】
外側毛房は、毛セクション又は毛支持体の周辺の約25%〜75%を覆う距離に沿って内側毛房を囲むことができる。
【0031】
それらの自由端によって作業面における前記中央のくぼみを画定する内側毛房は、それらの自由端によってほぼ連続面を形成することができるので、連続した凹面の溝形状のくぼみが結果的にもたらされ(ここでは、個々の毛房をもはや区別することができないほど密に合わさった毛の自由端によって形成される連続面と、中央のくぼみの連続した湾曲とを差別化しなくてはならず、後者は、連続面によって、又は毛房間の隙間が存在する面によって、達成することが可能である)。したがって、それは第一に、歯側面全面の包囲を達成することが可能であり、したがって、大きい区域にかけての洗浄効果が可能である。その一方で、それは歯磨剤又は歯洗浄剤の配置に有益な影響を有し、歯磨剤又は歯洗浄剤は、毛セクションの作業面に保持され、房間から毛支持体に流れ落ちにくくなる。
【0032】
毛の自由端によって形成される凹面の溝形状の底は、円筒形の部分として構成され得る。この配置において、溝形状の底又は円筒形を通るセクションの半径は、約9mm〜約15mm、具体的には約10mm〜約13mm、特定すると約12mmである。
【0033】
本発明の代替的な更なる態様では、前記内側毛房は分離した末端表面をそれらの自由端によって形成することができ、その結果、緩んだ破片のよりよい排出が達成可能である(毛房の個々の自由端表面間に隙間が存在するため)。
【0034】
上述のように、本発明の一態様により、個々の房の大きな変形がなくとも房の作業面が歯側面の輪郭にぴったり沿うように歯側面の湾曲した側部輪郭に向かってその表面が形成されるように中央のくぼみを適応すること、及び隣接歯間の洗浄のために、長さ又は高さにおいてくぼみから突出する外側における房で中央のくぼみを囲むことが提案される。周辺縁で高くされた階段状に突出した房と、その一方で、歯の側面の輪郭にぴったり沿うような形状に湾曲された毛セクション又は作業面の湾曲した溝形状の凹凸がある中間部分とによって、隣接歯間を十分に深く貫通しながらも、横方向の歯側面をそれらの全面にかけて、隣接歯間と隣接する部分も含めて、中間毛房の過度の逸れ曲がりを伴わずに、処理及び洗浄することが可能である。本発明の一態様によると、階段形状の高さ上昇部の高さは、中央のくぼみと、それを上回る高さの前記外側毛房との間に提供される。毛は、毛房以外の集合によって提供されてもよいことに注意されたい。したがって、房の参照は全て、上記の説明及び下記請求項に述べるような本発明による毛の多数の参照としても代替的にみなされ得る。更に、毛の代わりに他のタイプの歯洗浄要素を代替的に使用してもよい。
【0035】
中間に平面のへこみを有する毛セクションと異なり、中央領域、及びより長い外側の毛房に向かって配向された毛セクションの区域の房は、逸れ曲がらなくとも歯の横方向の側面にぴったりと置かれる。加えて、房の高さの変化によって、特にブラシヘッドを1つの歯から次の歯に動かすときに、よりやさしい洗浄感覚がもたらされ、また、中央領域では、ブラシが歯側面をわたって掃くときに個々の房は連続的に押しやられ、ブラシヘッドは次の歯の歯側面の周囲のくぼみの湾曲した表面に沿っていわば押され、ブラシヘッドがいわばくぼみに落ちることはない。具体的には、毛セクションの回転駆動によって、回転軸からの距離が増すにつれて歯側面に沿って進んでいる毛房がより激しく曲がるので、やさしく拭う運動が追加的にもたらされる。階段状に突出した外側毛房は、取り扱いを促進する自立効果を高めることに加えて、隆起を与える。
【0036】
毛セクションの表面のへこんだ中央部分の溝形状の湾曲は、概して様々な方法で達成することができる。例えば、対応する湾曲した毛支持体を提供し、一方、房を均一の長さにすることができる。しかし、本発明の更なる態様では、房及び特に内側における房の長さを変えることにより、それらの自由端によって前記溝形状の湾曲を画定する。具体的には、内側における房の長さは、自由端によって画定される作業面の湾曲の方向に、毛支持体の中心点からの距離の増加とともに増すことによって、中央のくぼみの前記溝形状の湾曲を画定することができる。より突出している毛はそれらの長さがより長いおかげでより容易に逸れ曲がることができるので、そのような変化を持たせた房の長さによって、歯群をわたる毛セクションのやさしい洗浄感覚及びやさしい動きを達成することが可能である。
【0037】
更なる態様では、ブラシヘッドは、湾曲の方向に対して垂直の方向においてほぼ一直線の、又は波状の、溝形状の底を有する。したがって、横方向の歯の伸長において毛の末端のトポグラフィのよりよい適応がもたらされる。
【0038】
中央のくぼみの連続した湾曲面を得るために、くぼみの領域において前記作業面を画定する内側の毛房の自由端は毛支持体に平行に延びる末端表面は有さず、毛支持体の表面に対して鋭角に傾斜した末端表面を有し、異なる内側毛房は異なる傾斜の末端表面を有し、したがって、それらの異なる傾斜の末端表面が互いに補完し合って、中央のくぼみの前記溝形状の輪郭のパスを画定する。具体的には、房の自由端の末端表面の傾斜は、毛支持体の中央からの房の距離が増すにつれてより顕著にすることができ、したがって、前記溝形状の底の壁は毛セクションの周辺縁の方向に徐々に急な傾斜になる。別の実施形態では、内側毛房の自由端は、意図される中央のくぼみの連続した湾曲に最適に適合するように、弧状の末端表面を有する。
【0039】
概して、房は、それらの自由端に平面を形成することができる。この場合、内側毛房は前記溝形状の湾曲を房から房へ階段状に斜めに増す、いわば畝(chine)型の構造物の形状に画定する。
【0040】
しかし、本発明の更なる態様では、内側毛房の自由端は、前述の溝形状のくぼみを形成する連続に湾曲した包囲する表面を近隣の房の互いに補完し合う自由端が画定するように、平面でなく弧状の末端表面をそれらの自由端に有することができる。個々の房の湾曲した末端表面は、有利にも一軸湾曲されており、すなわちそれら自体が既に溝形状に湾曲されており、したがって、一方向に一直線に走る一方で、それに対し垂直の方向への湾曲部を有する。
【0041】
毛セクションの作業面の中央領域の溝形状の湾曲した底は、概して対称の構成、すなわちほぼ放物線状に延在することができる。この場合、内側毛房は、毛セクションの対向する周辺側までほぼ同等のレートでそれらの自由端とともに隆起する。
【0042】
本発明の更なる態様において、毛セクションの作業表面の中央のくぼみの湾曲の非対称のパスもまた提供され得、この場合、具体的にはバナナ形の溝湾曲が提供され得る。この配置では、毛セクションの作業面の中央のくぼみを画定する房は、対向する周辺側に向かって不均等に隆起し、したがって、溝形状のくぼみの1つの上位の縁は、それに対向する縁より高い。そのほか、これを使用して、例えば、使用者が歯側面に対して正確な接線でなくわずかにV形の配向にブラシヘッドを位置づける傾向を補正することができる。
【0043】
前記溝形状のへこみの非対称は、概して様々に形作られてよい。本発明の好ましい更なる態様では、非対称の湾曲は、くぼみの最高点に置かれる及び/又は前記溝形状の湾曲の概算上の平均勾配を反映する仮想上の斜面(imaginary inclined plane)が、毛支持体に対して好ましくは垂直の毛セクションの主軸に対して2度〜10度、好ましくは3.5度±1度の角度で傾斜されるように形作られることができる。
【0044】
この配置では、中央のくぼみの対向する側部の両方に配置される、隣接するくぼみのセクションのレベルより高く突出する房は、同等でない高さであってよく、その高さの差は、その長い方の房の高さの5%〜20%、好ましくは10%±5%であり、具体的には0.3〜2mm、好ましくは約0.5〜1.0mmの範囲である。
【0045】
毛セクションの傾斜した作業面を有する非対称の高さのプロファイルは有利である場合があり、特に、毛支持体に対して垂直に延びる及び/又は房の統計上の主方向に平行に延びる毛セクションの主軸、及び/又は毛支持体が、歯ブラシの軸に対して傾斜している構成にあり、そのため、毛セクションの主軸が歯ブラシの長手方向軸の垂直線に対して鋭角に傾斜されているときに有利であり、その構成では、5度〜15度、好ましくは5度〜10度の傾斜角が有利にも提供され得る。毛セクションの高さプロファイルの傾斜は毛支持体の傾きと反対の方向に配向されることができるので、毛セクションの傾きは少なくとも部分的に補正される。したがって、毛セクションの3次元駆動、すなわち回転軸の周りの回転運動、及び回転軸及び/又は毛セクションの主軸に対してほぼ平行であり得る打突軸に沿った打突運動が与えられることによって、歯肉に対する打突運動の強度又はその反応力を低減する一方で自立効果の保持を伴う効率的な洗浄性能をなお達成することが可能である。
【0046】
隣接歯間への十分に深い貫通を伴う良好な隣接歯間の洗浄と、隣接する歯側面区域の、障害なしの洗浄及びやさしい洗浄感覚という両方の間の正当な妥協は、本発明の更なる態様において、外側のより長い房と中央のくぼみの隣接する区域との間の高さ上昇部の高さを0.5mm〜3mm、好ましくは約0.5mm〜約3mm、好ましくは約1.5mm±0.5mmの範囲の規模にすることによって実現される。
【0047】
別の実施形態では、上記特徴によるブラシヘッドは、請求項18及び19の特徴による電気歯ブラシにおいて提供される。したがって、毛の末端のトポグラフィは、旋回軸の角度にかけてブラシヘッドが往復振動する、回転振動されるブラシヘッドと併用すると、特に有利であることがわかる。したがって、毛支持体の装着手段は、電気歯ブラシのハンドルセクションに存在する駆動構成を介して回転振動するやり方で毛支持体を駆動することを可能にする。
【0048】
一実施形態では、毛支持体が偏向されていない中立位にあるとき、中央のくぼみの凹面の溝形状の底は、歯ブラシの長手方向軸に対して横方向に延在する。したがって、水平位置での動作中に使用者が歯ブラシを手に保持したとき、凹面の溝形状のくぼみは、この中立位において縦に延在する。すると、この保持位置で、外側毛房は、縦に延在する溝の両側に配置される(するとすなわち、外側毛房は、歯ブラシの長手方向軸に沿って互いに対向して配置される)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明のこれら及び更なる特徴は、請求項の要約とは無関係に、単独で又は任意の二次的な組み合わせにおいて使用されたときに本発明の課題を形成することが可能であり、請求項からによってのみでなく、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する後続の説明及び添付の図からもまた明確になるであろう。これらの図面では、
【図1】本発明の好ましい実施形態による回転駆動可能なブラシヘッドを有する電気歯ブラシの概略的側面図。
【図2】図1の歯ブラシのブラシヘッドの上面図。
【図3】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な、図2の線B−Bに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図4】図2の線A−Aに沿って取られた図2のブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図5】房の面取り部の角度を示す拡大概略図において示された図3の外側のより長い毛房の1つの拡大側面図。
【図6】本発明の有利な実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図7】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図6の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図8】図6の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図9】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図10】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な、図9の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図11】図9の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図12】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図13】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図12の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図14】図12の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図15】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図16】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図15の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図17】図15の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図18】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図19】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図18の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図20】図18の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図21】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図22】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図21の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図23】図21の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図24】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的上面図。
【図25】歯ブラシの長手方向軸に対して平行な図24の線B−Bに沿って取られた歯ブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図26】図24の線A−Aに沿って取られたブラシヘッドの長手方向の断面図。
【図27】本発明の別の実施形態による、図1の歯ブラシのブラシヘッドの概略的な長手方向の断面図であり、図で、周方向に外側のより長い毛房は、それらの外側端上に内側面取り部を有する。
【図28】図27のブラシヘッドの概略的機能図であり、毛セクションの湾曲した作業面がいかにして歯側面に沿って進むかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
提案されるブラシヘッドの、示されている代表的な実施形態は、中央のくぼみを形成する内側毛房と面取りされた外側毛房との間に常に階段状の高さ上昇部の高さを含むが、これは、本発明の制限として解釈されるべきではない。階段状の高さ上昇部の高さは、任意の特徴とみなされる。
【0051】
図1に示す代表的な電気歯ブラシ1は、ハンドルセクション2と、それに取り外し式に連結されるように適応されるブラシヘッド4とを備える。ブラシヘッド4は、ハンドルセクション2に接続された歯ブラシ1の首セクション3を備えており、前記首セクション3は部分的に中空の管の形状に構成されている。
【0052】
ハンドルセクション2は、その内部に、好ましくは充電式電池の形態であるエネルギー源20と、好ましくは電気モーターの形態であるモーター5と、制御装置21とを収容する。
【0053】
図の実施形態では、モーター5の回転運動は、伝動装置22によって、首セクション3を通ってブラシヘッド4の遠位端まで延在するドライブシャフト23の振動回転運動に転換される。歯ブラシ1は、ハンドルセクション2上に装着されたスイッチ24によって起動及び停止することができる。
【0054】
適した伝動装置(例えば、図の実施形態に示されているのと異なるベベルギヤ25)を使用する既知のやり方で、ドライブシャフト23の末端にある毛支持材7を、歯ブラシの長手方向軸26に対してほぼ横方向に延びる回転軸9の周りで振動回転運動を駆動可能である。これが生じるにつれて、ブラシヘッド4の毛支持体7によって掃かれる角度範囲は、約±35度±5度の範囲の値を有し、また、±10度〜±100度の範囲の振動が可能である。振動周波数は、例えば10Hz〜100Hzの間で変動すること及びその間にあることができる。図1に示す実施形態では、回転軸9は歯ブラシの長手方向軸26と直角を成す。加えて、ブラシヘッド4の駆動は、回転又は振動の軸の方向への脈動のために、第3の次元に提供される。
【0055】
図2〜5は、歯ブラシ1のブラシヘッド4に使用するブラシ部の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、毛支持体7は丸いが円形ではなく(ただし円形を除外しない)、わずかに卵形及び/又は楕円形であり、中立位の毛支持体7において卵形又は楕円形の長軸は歯ブラシの長手方向軸26と平行に延び、卵形又は楕円形の短軸はそれに対して横方向に延びる。図2において、卵形又は楕円形の長軸は線B−Bと平行である。
【0056】
毛支持体7上には複数の毛房があり、これらの毛房はいくつかのほぼ円形又は非円形の輪12、14及び15に配置され、毛セクション10の上に並べられる。図2の実施形態では、外側の輪12上には8つの房が配置されており、それらのうち4つは細長い輪郭を有するが、他の4つは概して丸い若しくは等辺の断面輪郭を有する。前記外側の輪12上の房の長さには変化があり、これについてはより詳細に説明するが、概して、より長い房は、セクター29及び30でなく、対向するセクター27及び28に概して提供され、これらは毛支持体7の初期位置では歯ブラシの長手方向軸26を包含し、セクター29及び30はその横方向に配向される、すなわちそれらの間に置かれる。(図2を参照)
図2に示すように、房11及び31は外側の輪12上にそれぞれ主軸B−B及びA−A上にあり、上面図で細長く示されており、一方、それらの間にある房32はほぼ等辺の輪郭を有する、又はほぼ立方体(cubic)若しくは丸い断面を有する。前記細長い房11及び31は、回転軸9の周りに弧状に湾曲して延在する(図2を参照)。
【0057】
この配置では、より長い主軸B−B上に置かれた外側毛房11は、周辺セクションの約50度〜90度にかけて、好ましくは約70度にかけて延在し、一方、より短い主軸A−Aに置かれた外側毛房31は、約20度〜45度にかけて、好ましくは約30度にかけて延在する。
【0058】
外側から見て第2の房の輪15上には、合計10の房13a及び13bが配置されており、そのいくつかは円形断面を有し、残りは角形の断面を有する。具体的には、円形断面を有する房13aは、図2に示されるように、外側の輪12のより長い外側毛房11が置かれているセクター27及び28に配置され、一方、角形の房は第2の輪14上に、毛支持体7の中間セクター29及び30に提供される。また、第2の輪14上のこれらの房13a及び13bの長さは、短い主軸におけるセクター29及び30でなく前記セクター27及び28により長い房が提供されるようなやり方で、輪14の周辺に沿って房から房へと周期的に変化する。
【0059】
最後に、最も内側の区域、すなわち外側から見て第3の房の輪には、2つの細長い房13cが提供され、これらは、より長い主軸B−Bに平行な長手方向の寸法とともに延在する。
【0060】
図3に示すように、毛セクション10の房は、それらの長さ及び/又は高さが互いに凹凸がある又は互いに協調した自由端を有しており、したがって、それらの房の自由端によって画定される毛セクション10の作業面34は溝形状の底17を有する中央のくぼみ16を有し、このくぼみは一方向において湾曲しており、それに対して垂直の方向においては真っ直ぐである。この湾曲は、有利にも、毛支持体7がその偏向されていない中立位にあるとき、より長い主軸B−Bの方向に、すなわち歯ブラシの長手方向軸26の方向に延在する。それに対して垂直の方向で、毛支持体7の短い方の主軸A−Aに平行及び/又は歯ブラシの長手方向軸26に対して横に延びる方向においては、すなわち毛支持体7がその偏向されていない中立位にある場合、くぼみ16は図3に示すように真っ直ぐな輪郭を有する。
【0061】
中央のくぼみ16は様々な深さに作ることができる。本発明の有利な更なる態様において、くぼみ16の最も深い点は毛セクション10の最も高い点より約1mm〜3mm、好ましくは約2mm深いところに設定される。くぼみ16の底17の溝形状の輪郭は、概して異なる曲率を有することができる。図3〜5に示した実施形態では、8mm〜17mmの範囲、好ましくは約10mm〜14mmの範囲、特定すると12mmの曲率半径を有する円弧形の輪郭が提供されるが、これは、毛セクションの寸法及び構成に依存して変化し得る。
【0062】
図3に示すように、同じように組み合わせて溝形状の底17を画定する内側毛房13a、13b、13cの末端表面、及びより短い外側毛房31の末端表面は、平面としてでなく、それら自体が同じように溝形に湾曲されたものとして、構成される。溝形状の湾曲した末端表面35は互いを補完するように組み合わされて、中央のくぼみ16の底17の前記溝形状の輪郭を形成する。具体的に述べると、回転軸9から主軸B−Bに平行な方向への距離が増すにつれて、内側毛房13の末端表面の傾斜は増す。(図3を参照)言い換えれば、横方向に延びる主軸A−A上に配置される毛房はそれらの自由端においてわずかに湾曲されるものの、毛支持体の表面に対して実質的に平行に整列し、一方、それらの自由端の傾斜は、前記主軸A−Aからの距離が増すにつれて増す。
【0063】
同じく図3に示すように、セクター27及び28において外側の輪12に配置される外側毛房11は、他の房に対して延びており、すなわちそれらより長く、そのため他の房を超えて突き出ている。結果的に、中央のくぼみ16より高さは一段の高さ上昇部の高さ(図3を参照)、すなわち、図3に示す実施形態では中央のくぼみ16は前記外側毛房11の末端表面と滑らかに合流しない。この段は約0.5mm〜2mm、具体的には0.5mm〜1.0mm、特定すると0.7mm〜0.9mmであってよい。
【0064】
毛支持体の中立位において歯ブラシの長手方向軸26を含む、対向するセクター27及び28における前記外側毛房11は、有利にも、房11の長手方向軸に対してほぼ垂直な平坦なセクション19と、外側に向かう末端表面36に面取りされた面取り部18とを含む末端表面36を有する。
【0065】
図5に示すように、前記面取り部18は、約20度〜60度、好ましくは約30度〜40度の範囲の角度γで延在する。面取り部18は有利にも、その対応する房11の幅Wの約25%〜75%を覆うのに十分な深さ及び幅である。この場合、幅Wは、房の自由端の領域における、その長手方向軸に垂直かつその面取り部18の長手方向に垂直の房の寸法であると理解される。(図5を参照)図5に示す実施形態では、面取り部は幅Wの約4分の1から4分の3(長手方向軸B−Bに沿って測定)にかけて延在する。
【0066】
より長い外側毛房11は、長手方向のセクションとして見たとき全体として台形構成である。房11の内側における側面は毛支持体7によって画定される平面に対してほぼ垂直に延在するが、外側における側面は毛支持体7上の垂直線に向かって約1.5度〜10度、好ましくは約3度〜5度の角度αで傾斜し、そのため、房11の断面はその自由端に向かって増す、すなわち、この房はその自由端に向かって広がる。結果的に、毛支持体7のサイズを制限しつつ、大きい作業面を得ることができる。加えて、房11の自由端において、房11の面取り部18に関して好ましい幾何学的比率がもたらされる。
【0067】
歯側面をできるだけ完全に抱くために、及び広い区域にかけてブラシの圧力を分布するために、及び歯磨剤又は同様のものを作業面34に保持するために、房群の自由端は、有利にも、毛支持体7によって画定される区域の少なくとも35%〜55%、好ましくは50%以上を占有する。図2に示すように、全ての房の伸張をともに合計すると、外側の輪12上の房は周辺セクションの約200度〜300度にかけて延在することができる。外側から見て2番目の輪14は、同様に、全ての房をともに合計すると、全体で周辺のほぼ200度〜300度に沿った部分にかけて延在することができる。最も内側の房は、その全表面にかけて実質的に閉じられた区域を、有利にもそれらの自由端で覆うことができる。
【0068】
図6〜8に示すブラシヘッド4の実施形態は、図2〜5の実施形態と実質的に対応するので、説明の重複を避けるために、対応する前述の説明を参照する。図6から8の実施形態が図2〜5の実施形態と実質的に異なる唯一の点は、中央の溝形状のくぼみ16の輪郭がやや深いことであり、このくぼみは、より小さい曲率半径で、かつ、房の外側の輪12上の細長くない房32の丸い輪郭全体の中及び上において、湾曲している。
【0069】
図9〜11に示すブラシヘッド4の他の実施形態は、図6〜8の実施形態と実質的に対応するので、説明の重複を避けるために、その前述の説明を参照する。先に述べた実施形態と異なり、偏向されていない中立位において歯ブラシの長手方向軸25を含む、毛支持体7のセクター27及び28におけるより長い外側毛房11は、より顕著な面取り部18を有し、それらは、隣接歯間へのこれらの房11のよりよい貫通を可能にするために、末端表面36の平坦なセクション19に対して55度の角度γで面取りされる。
【0070】
一方、内側毛房13のいくつか及び/又は全て、具体的には、自由端が中央のくぼみ16の溝形状の底を画定する内側毛房13b及び13cは、特別に構成された自由端を有する。前記房13b及び13cは、末端が広げられた長繊維を少なくとも部分的に含み、そのおかげで、それらの自由端において、いわば柔らかいパイル及び/フリースが生成され、その結果、歯磨剤は特にこの領域によく保持され、それらの房は歯群の表面のほぼ全面の周囲にぴったり沿う。この広がりの量は、約1.0mm〜2.5mmである。
【0071】
図12〜14に示す実施形態は、図9〜11の実施形態と実質的に対応するので、その前述の説明を参照する。前述の実施形態と異なり、くぼみ16の底17の同じ曲率に対して、くぼみ16の最も深い点と毛セクションの最も高い点との間の高さの最大差はより大きく、約2mmであり、セクター27及び28の領域の毛の長さは異なる。加えて、2つの側の間に適応される傾斜は、好ましくはわずかに(3度〜5度の範囲で)異なる。したがって、より長い外側毛を有するセクター27及び28は、互いに類似かつ対称であるか、あるいは互いに異なりかつ非対称であるかのいずれかであることができる。
【0072】
図15〜17のブラシヘッド4の他の実施形態は、図12〜14の前述の実施形態と実質的に対応するので、その前述の説明を参照する。前述の実施形態と異なり、毛支持体7の最も内側の輪15は、わずかに楕円の断面を実質的に有する、長手方向軸が主軸B−Bに対して平行に配向されている2つの、細長さの度合いが少ない房13cを含む。しかし、図17に示すように、前記最も内側の房13cは、より顕著なテーパーで広げられているので、それらの断面は自由端に向かって増す。図17に示すように、最も内側の毛房13は0度〜10度、好ましくは約1.5度〜5度の開始角度で広がって、それらの自由端の領域で2つの房13cがいわば合致して接合表面を形成する一方で、毛支持体7上のそれらの足元の末端では、それらの房は互いに間隔を空けて配置される。
【0073】
図18〜20に示す実施形態は、前述の図15〜17の実施形態と実質的に対応するので、その前述の説明を参照する。しかし、前述の実施形態と異なり、セクター27及び28の、より高い外側毛房11の面取り部18は異なる構成である。前述の実施形態の面取り部18は真っ直ぐに延在し、すなわち、上面図で見られるように房11の弧状の形にも関わらず平面を画定するが、図18〜20の実施形態の面取り部18は弧状に湾曲しており、それらの面取り部18は房11の湾曲形に従って回転軸9の周りで同じように湾曲され、結果的に、房11の実質的に均一の面取りがもたらされる。より正確に述べると、面取り部18は房11の形を追従するので、房11は、それらのほぼ全長すなわちそれらの周方向の次元に沿って同量の面取りをされる。この構成はまた、記述した他の全ての実施形態にも適用され得る。
【0074】
図21〜23に示す実施形態は、図12〜14の実施形態と実質的に対応するので、その前述の説明を参照する。図21〜23の実施形態では、より長い外側毛房11に対するくぼみ16は、図15〜17と比較してより深く作られ、したがって、くぼみ16の最も深い点と房11の最も高い点との間に約2mmの高さの差が生じる。
【0075】
図24〜26に示す実施形態は、前述の図18〜20の実施形態と実質的に対応するので、その前述の説明を参照する。前述の実施形態と比べて、くぼみ16はより長い外側毛房11に対してより深く作られ、したがって、高さにして約2mmの最大差が生じる。
【0076】
図27に示すように、セクター27及び28に配置される、より長い外側毛房11は(この場合、歯ブラシの長手方向軸26は、好ましくは、毛支持体7の偏向されていない中立位に置かれる)、その内側の側部すなわち回転軸に近い側にも面取り部18を有することができ、面取り部18の幅及び角度は前述の幾何学的比率にほぼ相当することができる。これは、好ましくは、セクター29及び30の、より短い外側の毛31にも適用する。図27に示すように、前記房11及び31は、同じように台形であるが、内側に面取りが提供され、すなわち、房11の内側面は支持体7上の垂直線に向かって1.5度〜10度の範囲に鋭角に傾斜され、一方、外側面は毛支持体7に対してほぼ垂直に立っている。
【0077】
図28に示すように、より長い外側毛房11又はより短い外側毛房31の内側の前記面取り18の結果として、それらの毛の自由端は歯側面の上反りの輪郭に特にぴったり沿って置かれる。
【0078】
内側面取り部を含む変異型は、歯肉上の歯の区域に対する洗浄作用を高めるその能力のために、好ましくは、より短い外側毛房31と併用される。
【0079】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0080】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0081】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の書類名特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気歯ブラシ(1)用のブラシヘッドであって、
毛支持体(7)の可動式装着のための装着手段を含む毛支持体(7)であって、前記毛支持体(7)は少なくとも2つの外側毛房(11)といくつかの内側毛房(13a、13b、13c)とを担持し、前記外側毛房(11)は前記内側毛房(13a、13b、13c)を上回る高さを有する、毛支持体(7)と、
前記外側毛房(11)及び内側毛房(13a、13b、13c)の自由端によって画定され、一方向に湾曲した溝形状の凹面の底(17)を有する中央のくぼみ(16)を有する、作業面(34)と、を備え、
前記外側毛房(11)の少なくとも1つは、前記毛支持体(7)の周辺側に近いその自由端の外側における縁上に面取り部(18)を有する、ブラシヘッド。
【請求項2】
前記中央のくぼみ(16)の湾曲が連続している、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記装着手段は、前記毛支持体(7)の回転振動運動を可能にするのに適する、請求項1又は2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記面取り部(18)は、前記外側毛房(11)の自由端の平坦なセクション(19)に対して、20度〜60度の範囲の角度(γ)で傾斜され、及び/又は、それぞれの房(11)の幅(W)の25%〜75%にかけて延在しており、前記幅(W)は、房(11)の長手方向軸に対して垂直で、それぞれの面取り部(18)の長手方向を横切る、房(11)の寸法を意味すると理解される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
前記面取り部(18)は平面を画定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
前記面取り部(18)は湾曲部を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記外側毛房(11)は、前記毛支持体(7)の周辺側に向けて、1.5度〜15度、好ましくは3度〜5度の範囲の鋭角(α)に傾斜している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記外側毛房(11)は、前記毛房(11)の長手方向の断面図に見られるように、それぞれの外側毛房(11)の自由端がその内側端より広い台形に形作られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項9】
前記内側毛房(13)に面する前記外側毛房(11)の内側面は、前記毛支持体(7)の表面に対してほぼ垂直に延在し、前記外側毛房(11)の外側面は、前記毛支持体(7)の周辺側に向かって、前記毛支持体(7)の垂直線に対して鋭角に傾けられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項10】
前記毛支持体(7)の第1の周辺側の前記外側毛房(11)は、前記毛支持体(7)の第2の周辺側の外側毛房を上回る高さである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項11】
前記毛支持体(7)の前記装着手段(8)は、前記毛支持体の振動回転運動を生成するのに適する前記毛支持体(7)の回転軸(9)を画定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項12】
前記外側毛房(11)は、前記中央のくぼみ(16)の溝形状の凹面の底(17)がその湾曲を有する方向において、前記中央のくぼみ(16)の対向する側に配置される、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項13】
前記毛の自由端によって形成される前記溝形状の底は、円筒形の部分として構成される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項14】
前記溝形状の底又は前記円筒形を通るセクションの半径は、約9mm〜約15mm、詳細には、約10mm〜約13mmである、請求項13に記載のブラシヘッド。
【請求項15】
前記内側毛房(13a、13b、13c)の自由端は、傾斜した末端表面を有し、異なる内側毛房(13a、13b、13c)は異なる傾斜を有する末端表面を有することにより、前記溝形状の凹面の底(17)を形成する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項16】
前記中央のくぼみ(16)の前記溝形状の底(17)は、前記毛支持体(7)の1つの周辺側に向けて、それと対向する周辺側に向かうよりも大きく隆起し、具体的にはほぼバナナ形の非対称の湾曲を呈するように形作られる、請求項1〜15のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項17】
前記外側毛房(11)と、前記中央のくぼみ(16)に隣接する区域との間の階段状の高さ上昇部の高さが約0.5mm〜2mmである、請求項1〜16のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のブラシヘッドを有する電気歯ブラシ。
【請求項19】
前記中央のくぼみ(16)の前記溝形状の凹面の底(17)は、偏向されていない中立位にある場合、前記歯ブラシの長手方向軸に対して横方向に延在する、請求項18に記載の電気歯ブラシ。
【請求項20】
電気歯ブラシ(1)用のブラシヘッドであって、毛支持体(7)の可動式装着のための装着手段を含む、好ましくはほぼ皿形状の毛支持体を有し、前記毛支持体(7)は、いくつかの外側毛(11)、特に毛房と、いくつかの内側毛(13)、特に毛房とを担持し、前記外側毛(11)は前記内側毛(13)を上回る高さを有することにより、前記毛の自由端によって画定される前記作業面(34)において中央のくぼみ(16)が形成され、このくぼみは一方向に湾曲した溝形状の底を有し、前記外側毛房(11)はそれらの自由端に面取り部(18)を含むことを特徴とする、ブラシヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公表番号】特表2012−506753(P2012−506753A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533925(P2011−533925)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054901
【国際公開番号】WO2010/052655
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(596181730)ブラウン ゲーエムベーハー (75)
【Fターム(参考)】