説明

電気泳動型移動性有機着色剤を含むカプセル化分散液

本発明は電極と、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子、非極性液体、および分散剤を含有するセルとを含む電気泳動ディスプレイにおいて、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子が本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集体であり、且つ、分散剤がポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンおよびコポリマーからなる群から選択され、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化塩酸プロカインとの反応生成物ではない、前記ディスプレイに関する。一般に、全量の顔料、およびセル内に存在する全カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の主な部分、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは95〜100%が凝集体中に含まれ、本質的に、凝集体から物理的に区別される顔料はなく、且つ、凝集体から物理的に区別されるカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はわずかな部分のみである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気泳動ディスプレイは、例えば液晶ディスプレイの代替として重要さを増しつつある。しかしながら、完全に満足なフルカラーシステムはまだ利用可能ではない。従って、この有望な技術を改善することが望まれている。
【0002】
JP−A−2003/330179号は、例えばグラフト重合によって随意にポリマー、チタネートまたはシランで表面処理された有機顔料を含む、電気泳動に適した感光性記録材料について開示している。
【0003】
JP−A−2004/117934号は、様々な粒径分布を有し、顔料の1つが0.04〜0.3μmの範囲である顔料の混合物の使用を教示している。それらの混合物は、電気絶縁溶媒中で使用される帯電可能な粒子内に組み込まれる。1つの例においては、二酸化チタンをIsopar(登録商標) L(C10〜C12−イソアルカン[STN登録番号65072−03−9]の混合物)、およびBontron(登録商標) P−51 (トリエチル−ベンジル−アンモニウム 4−ヒドロキシ−ナフチル−1−スルホネート[STN登録番号100783−78−6])と共に粉砕し、正に帯電した粒子を生成する。
【0004】
同様の観念がUS−A−2004/0218252号内に開示されている(そこで使用されている専門用語は通常の意味の"粉砕"および"粒子"とは合致しない)。例えば、平均一次粒径10〜50nmの顔料を、平均一次粒径100〜700nmの他の顔料と組み合わせる。しかしながら、それらの顔料が包埋されているポリマー顆粒は1〜3μmの非常に大きいサイズを有し、それは精密に制御するのが難しい。
【0005】
WO2004/067593号は、電気泳動粒子上に吸収された分散剤の脱離がディスプレイ品質の問題となり、それが反応性の界面活性剤のグラフト重合によって両親媒性の残基を電気泳動粒子(前記は有機顔料を含有し得る)表面上に固定することで解決されることを開示している。反応性の界面活性剤の例は、CH2=CH−(CH29−OSO3Na、および
CH2=C(CH3)−COO−CH2CH2−N+(CH32−(CH211CH3・Br-
である。
【0006】
WO2004/068234号は、ハロゲン化ポリマーシェルを含む非水性電気泳動カプセルを開示している。好ましくは非イオン性且つポリフッ素化染料、並びに有機顔料(どちらもそのままか、あるいはカプセル化されている)を含む、多くの可能な成分が開示されている。しかしながら、着色剤は液相中で使用され、且つ、一次着色剤粒子に対して色の対比を有していなければならない。スルホネートまたはスルフェートを表面処理として使用することについての言及も示唆もない。
【0007】
WO02/35502号は、改質された約0.05μm〜約100μmの範囲の粒径の少なくとも二色の粒子を含有するジリコン(gyricon)ディスプレイを開示し、そこでは球または素成分と、囲んでいる材料との相互作用が最小化され、懸濁液の補助を必要としない。唯一の詳細な実施態様において、該粒子はポリマーで被覆されている。しかしながら、ジリコンディスプレイは電界の制御に対して望ましくない遅い応答を有する。なぜなら、比較的質量の大きい二色の粒子が回転しなければならず、且つ比較的低い比表面積はさらに、比較的低い電荷/質量比をもたらすからである。
【0008】
WO2006/038731号は、0.001〜0.1μmのサイズの顔料を含む光硬化性顔料分散液から製造される、液晶ディスプレイ用の従来の高コントラストのカラーフィルターを開示している。
【0009】
WO2007/048721号は、有機発色基とケイ素−アルキル基とを取り付ける官能化無機粒子、および電気泳動ディスプレイ中でのそれらの使用を開示している。
【0010】
PCT/EP2007/056387号は、EPC第54条(3)およびPCT規則64.3による特許出願であり、それは顔料とアニオン顔料誘導体とを含むカプセル化電気泳動分散液に関する。カチオン性のカーボンブラック(C.I. Pigment Black 7)が実施例24に開示されている。
【0011】
従って、先行技術の電気泳動ディスプレイの色および/または電気泳動特性を、他の技術と充分に競り合うために、まだ改善する必要がある。さらには、ポリマー顆粒中に包埋された一次顔料粒子の粒径分布の正確な制御は困難であり、且つ分散性および凝集の問題によって影響され、電気泳動特性が充分なままでなければならないというさらなる問題を有する。高い彩度、高い色強度、および強化された光安定性を有するマルチカラー電気泳動ディスプレイが特に望ましいが、それはまだ利用可能ではない。
【0012】
新しい観念のものが今、開発されており、それは単位質量あたり正確な電荷並びに正確な寸法を有する電気泳動型高移動性顔料を提供する。この方法は驚くべきことに、炭素原子を含む顔料、例えばカーボンブラックおよび特に芳香族または複素環式芳香族基を含む合成色素有機顔料を用いて改善した結果を提供する。
【0013】
従って、本発明は電極と、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子、非極性液体、および分散剤を含有するセルとを含む電気泳動ディスプレイにおいて、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子が本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集体であり、且つ、分散剤がポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンおよびコポリマーからなる群から選択され、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化(diazotated)塩酸プロカインとの反応生成物ではない前記ディスプレイに関する。
【0014】
好ましくは、上にカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体がある顔料のコアは、有機顔料のコアに基づき、カーボンブラックには基づいていない。
【0015】
一般に、前記のセルは1、2、3、4または5種のモノクローム粒子を含むが、しかし全種のモノクローム粒子が本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集体である必要はない。それに対して、異なる種類のイオン性のモノクローム粒子は異なる極性の顔料誘導体を含むことができる。異なる種類のモノクローム粒子は好ましくは異なる色を有している。
【0016】
本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集体であるモノクローム粒子は、顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の凝集に影響しない限り、さらなる成分、例えば不純物または添加物を含んでもよい。
【0017】
分散剤がコポリマーである場合、それは任意の公知のポリマー構造、例えばブロック、グラジエント、グラフトおよび/またはランダムコポリマーを有することができる。好ましくはブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであり、最も好ましくはブロックコポリマーであり、特にWO2006/074969号に開示されるエステル交換反応によって得られるブロックコポリマーである。好ましくは、前記の分散剤はポリアクリレート、またはアクリレート、エステルおよびウレタン成分からなる群から選択される少なくとも2つの成分から構成されるコポリマーであり、最も好ましくは少なくとも1つのアクリレートである。
【0018】
適切には、前記の分散剤は極性並びに無極性または低極性成分を含む。好ましくは、前記の極性成分は、窒素原子を含む成分および芳香環を含む成分からなる群から選択され、且つ、無極性または低極性成分は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエステルおよびビニルエステルからなる群から選択され、前記のエステル基は1〜24個の炭素原子、および随意に1〜12個の酸素および/またはケイ素原子、アリルおよびビニルC1〜C24−アルキルエーテル、スチレン、C1〜C24−アルキル置換スチレン、C4〜C12−ラクトンおよびヒドロキシC2〜C24−酸を含む。
【0019】
窒素原子または芳香環を含む、適した成分の例は、特に1級、2級および3級モノアミン、オリゴアミン、またはポリアミン、1級および2級アミド、飽和、不飽和および芳香族N−複素環式化合物、およびフェニルおよびナフチル基、例えばアミノ官能性(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、2−、3−または4−ビニルピリジン、4−ジメチルアミノスチレン、N−ビニルイミダゾールまたはそれらと有機または無機酸との塩; N−ビニル−2−ピロリドン; ベンジル(メタ)アクリレート; ジメチルアクリルアミド; 2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチルメタクリレート; アミンまたは芳香族化合物とグリシジルメタクリレートとの付加物; ポリエチレンイミン; ポリアリルアミン; ポリビニルアミン; N−ジメチルアミノエタノール; N−ジエチルアミノエタノール; エチレンジアミン; 3−N−ジメチルアミノプロピルアミン; ジエチレントリアミン; トリエチレンテトラミン; テトラエチレンペンタミン; 3−アミノプロピル−イミダゾール、およびN−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンである。
【0020】
上記のリストから明らかなように、窒素原子または芳香環を含む成分は随意にさらなる官能価、例えば追加的な窒素および/または酸素原子を含んでよい。特に好ましい極性成分はポリエチレンイミン、N−ジエチルアミノエタノール、3−アミノプロピルイミダゾール、および置換または非置換のビニルピリジンである。窒素原子を含む成分と、窒素原子が欠損している成分との組み合わせ、例えばスチレンとの組み合わせで使用して、コポリマーの極性が構成するブロックをもたらすこともまた適している。
【0021】
適した(メタ)アクリレート(即ち、アクリレートまたはメタクリレート)の例は、例えばC1〜C24−飽和、またはC3〜C24−不飽和、直鎖、または分岐鎖、脂肪族または不飽和アルコールの(メタ)アクリレート; C7〜C24−アルキルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、およびフェネチル(メタ)アクリレート; 1つまたはそれより多くのエーテル結合を含有するアルコールの(メタ)アクリレート、例えば2−フェノキシエタノールまたはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物、例えばブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチルトリグリコール、または分子量300〜3000のメトキシ−またはエトキシポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート; 随意に1つまたはそれより多くのエーテル結合を含有するポリオールの(メタ)アクリレート、例えばグリコール、例えば2−ヒドロキシエタノールまたは2−ヒドロキシプロパノールの(メタ)アクリレート、またはオリゴシランアルコール、例えば分子量300〜5000のOH末端官能価ポリジメチルシリコーンの(メタ)アクリレートである。
【0022】
好ましい(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレート、および少なくとも部分的に分岐した長鎖脂肪族C10〜C18−アルコールの(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを含有する混合物から、特にブチルアクリレートと少なくとも部分的に分岐したC10〜C15−アルコールとを含有する混合物から得られる。最も好ましい(メタ)アクリレートは、制御されたフリーラジカル重合によって、特にWO2006/074969号内に開示される通りに得られるものである。
【0023】
適したC1〜C24−アルキル置換スチレン、C4〜C12−ラクトンおよびヒドロキシC2〜C24−酸の例は、それぞれ、ビニルトルエンまたはtert−ブチルスチレン、ε−カプロラクトン、またはδ−バレロラクトン、および12−ヒドロキシステアリン酸、好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0024】
無極性または低極性成分、例えばアルキル、アルコキシまたはアルキルエステル基は、非極性液体への親和性を提供する。窒素原子または芳香環、例えばアミノ基、N−複素環式基またはフェニル環を含む極性成分は、顔料への親和性を提供する。
【0025】
前記の分散剤は好ましくは少数のイオン性基を有し、従って分散剤のイオン性基の総数はカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体のイオン性基の総数以下である。カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体のイオン性基と分散剤のイオン性基との比は、好ましくは少なくとも1:1、特に少なくとも5:1である。最も好ましくは、分散剤は非イオン性である。
【0026】
前記の分散剤は好ましくは、本質的にポリ(アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル)からなる鎖、および窒素原子を含む成分で構成される鎖を含むブロックコポリマーである。より好ましくは、本質的に、前記の分散剤は本質的にポリ(アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル)からなる鎖、窒素原子を含む成分で構成される鎖、および2つの末端基からなる直鎖のブロックコポリマーである。窒素原子を含む成分で構成される鎖は、好ましくはポリエチレンイミンおよび/またはポリ(ビニルピリジン)、最も好ましくはポリビニルピリジンである。前記の分散剤は好ましくは、約2000〜20000、好ましくは3000〜10000の数平均分子量Mnを有し、20〜150,好ましくは40〜120個のエステル基をポリ(アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル)中に有し、且つ、5〜40、好ましくは10〜20個の芳香族基をポリエチレンイミンおよび/またはポリ(ビニルピリジン)中に有する。
【0027】
適した分散剤の例は、EP0876413号、EP1071681号、WO00/40630号、EP1275689号、WO03/046029号またはWO2006/074969号内に開示され、特にDisperbyk(登録商標) 2000、Disperbyk(登録商標) 2001、EFKA(登録商標) 4300、EFKA(登録商標) 4340、Solsperse(登録商標) 17000、Solsperse(登録商標) 18000およびNoveon(商標)であり、それらは非極性液体としてのテトラクロロエチレンとの組み合わせにおいて特に興味深い。WO2006/074969による分散剤は、電子ペーパーに特に関連する特別な溶剤、例えば脂肪族炭化水素、シリコーン流体、Isopar(商標) G、Isopar(商標) M、およびHalocarbon(商標)0.8との組み合わせにおいても特に好ましい。なぜなら、それらの溶解性と適合性を容易に調節できるからである。
【0028】
前記の顔料は無機または好ましくは有機、例えばカーボンブラック、または1−アミノアントラキノン、アンタントロン、アントラピリミジン、アゾ、アゾメチン、キナクリドン、キナクリドンキノン、キノフタロン、ジオキサジン、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、チオインジゴ、またはオキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン(oxobenzofuranyliden−dihydroindolone)系列の顔料であってよいか、あるいはそれらを含み、金属錯体またはレーキの形態で適用可能であり、特に不飽和または部分的にハロゲン化されたオキソ−またはチオ−置換フタロシアニン、例えば銅、亜鉛、またはニッケルフタロシアニン、1,4−ジケト−3,6−ジアリール−ピロロ[3,4−C]ピロール、ジオキサジン、イソインドリノン、インダントロン、ペリレン、およびキナクリドンである。例えば、アゾ顔料は、例えばカップリング、縮合、またはレーキ形成によって得られる、任意の公知の部分集合からのモノアゾ顔料またはジスアゾ顔料であってよい。
【0029】
特に有用なのは、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、34、42、53、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、119、120、123、128、129、139、147、150、151、154、164、168、173、174、175、180、181、184、185、188、191、191 :1、191:2、193、194および199; ピグメントオレンジ 5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73および81; ピグメントレッド 2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270および272; ピグメントブラウン 23、24、25、33、41、42、43および44; ピグメントバイオレット 19、23、29、31、37および42; ピグメントブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64および66; ピグメントグリーン 7、17、36、37および50; ピグメントブラック 7、20、21、31および32; バットレッド 74を含む色素指数内に記載される顔料; 3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンおよびWO00/24736号の実施例12bによる化合物;およびそれらの混合物および固溶体である。
【0030】
前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体は一般に、上記の有機顔料の1つの誘導体、好ましくはアンモニウムまたはホスホニウム、最も好ましくはアンモニウムの誘導体である。それらの基は、連結基、例えばフェニレン、ナフチレン、アルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルキニル、カルボニル、カーボネート、エステル、アミド、エーテル、またはチオ基、または約10以下のかかる基の鎖を介するか、あるいはそれらを発色基の芳香族基に直接結合させるかのいずれかで取り付けられる。好ましくは、アンモニウムまたはホスホニウムを、共役していないか、あるいは部分的にしか共役していない連結基を介して顔料に結合させる。前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体は選択的に、プロトン化された形態の顔料、またはカチオンの形態のトリフェニルメタン着色剤であってもよい。適切には、カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の量は、顔料に対してプロトン化された酸の形態での換算で、0.1〜15質量%、好ましくは1〜12質量%、最も好ましくは5〜10質量%である。1つより多い種類のモノクローム粒子がある場合、好ましくは全種のモノクローム粒子に対してこれが当てはまる。
【0031】
前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体は一般に、カルボキシレート、フェノレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、アンチモネート、ボレート、ハロゲナイド、ハロゲネートまたは水酸化物塩、好ましくはカルボン酸塩として存在し、ここで、前記のカルボキシレート、フェノレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、アンチモネート、ボレート、ハロゲナイド、ハロゲネートまたは水酸化物イオンは電界または極性液体媒体中でそれらの対イオンから適切に解離する。好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは80〜100%のカルボキシレート、フェノレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、アンチモネート、ボレート、ハロゲナイド、ハロゲネートまたは水酸化物イオンが電界または極性液体媒体中でそれらの対イオンから解離する。それより少ない解離は、ディスプレイ効率の低下をもたらす。
【0032】
前記のカルボキシレート、フェノレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、アンチモネート、ボレート、ハロゲナイド、ハロゲネートまたは水酸化物の対イオンは、随意にC1〜C24−アルキル、C3〜C24−シクロアルキル、C2〜C24−アルケニル、またはC3〜C24−シクロアルケニル基を含み、および/またはそれは例えばハロゲン(特にF)によって置換されていてもよい。前記の対イオンは好ましくは、少なくとも1つのC8〜C24−アルキル基、より好ましくは少なくとも1つのC12〜C24−アルキル基を含む。特に適した対イオンの例は、ラウレート、パルミテート、オレエート、ステアレート、ドデシルスルフェート、ドデシルスルホネート、ジヘキシルホスフェート、ジシクロヘキシルホスフェート、ドデシルホスフェート、ペンタフルオロドデシルホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、ドデシルホスホネート、ジフルオロジヘキシルオキシボレート、トリフルオロドデシルボレート、テトラフルオロボレート、テトラヘキシルオキシボレート、フッ化物、塩化物、過塩素酸塩、臭化物、ヨウ化物または過ヨウ素酸塩である。
【0033】
アンモニウムまたはホスホニウムカチオンは例えば、化学式:
【化1】

[式中、
1は、直接結合しているか、あるいは顔料の基に連結しており、前記の連結は1つの原子、または1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、−CH2−、−C2〜C6−アルキレン−、−C3〜C6−シクロアルキレン−、−C(=O)−、ーN(C1〜C4−アルキル)−、−NH−、−S−、−O−、および−CH=CH−、またはそれらの2〜5つの鎖からなる群から選択される原子群で構成され、且つ
2は、H、C1〜C24−アルキル、C2〜C24−アルケニル、またはC3〜C24−シクロアルケニルであり、
3およびR4は、互いに独立してH、C1〜C12−アルキル、C3〜C12−シクロアルキル、C3〜C12−シクロアルケニル、C6〜C12−アリール、C7〜C12−アラルキル、または[C2〜C4−アルキレン−O]n5であり、前記R5は、HまたはC1〜C12−アルキルであり、且つ、前記nは1〜12の数である]
である。
【0034】
好ましくは、R1、R2、R3、およびR4は互いに独立してH、特にR1、R2、R3、およびR4は全てHである。より好ましくは、
1は、直接結合しているか、あるいはC1〜C4−アルキレン、O−C1〜C4−アルキレン、C(=O)−C1〜C4−アルキレン、CONH−C1〜C4−アルキレン、またはCOOC1〜C4−アルキレンに結合しているフェニレンであり、
2は、C1〜C20−アルキルであり、
3は、C1〜C4−アルキル、フェニル、ベンジル、または[C2〜C4−アルキレン−O]nHであり、且つ、
4は、C1〜C4−アルキル、フェニル、ベンジル、または[C2〜C4−アルキレン−O]nHである。前記の選択物をそれぞれ個々に、あるいは互いに任意に組み合わせて適用する。
【0035】
1〜C24−アルキルまたはC3〜C24−シクロアルキルは、直鎖または分岐鎖、あるいは単環式または多環式であってよい。例えばアルキルはメチル、直鎖のC2〜C4−アルキル、または好ましくは分岐鎖のC3〜C24−アルキルである。従って、C1〜C24−アルキルは例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロプピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシルまたはテトラコシルである。C3〜C24−シクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ツジル(thujyl)、ボルニル、1−アダマンチル、2−アダマンチルまたはステロイドラジカルである。
【0036】
2〜C24−アルケニルまたはC3〜C24−シクロアルケニルは、C2〜C20−アルキルまたはC3〜C24−シクロアルキルであり、前記は一価不飽和または多価不飽和であり、ここで2つまたはそれより多くの二重結合は孤立しているか、あるいは共役であってよく、例えばビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−シクロブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン(norbornen)−1−イル、2,5−ノルボルナジエン(norbornadien)−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル、またはヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、ヘキサジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、オクタデカジエニルまたはエイコサジエニルの様々な異性体である。
【0037】
アルキレンおよびシクロアルキレンは、脂肪族または脂環式のジラジカルであり、ここで2つの遊離基は同一の炭素原子上、または任意の2つの異なる炭素原子上であってよく、好ましくは同一の炭素原子上であるか、あるいは2つの末端の炭素原子上であり、例えば−C(CH32−、または−(CH23−(それぞれ2,2−プロピレンおよび1,3−プロピレン)である。
【0038】
7〜C12−アラルキルは例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、またはω−フェニル−ヘキシルである。
【0039】
6〜C12−アリールは、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、または2−フルオレニルである。
【0040】
一般に、全量の顔料、およびセル内部に存在する全カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の主な部分、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは95〜100%は凝集体中に含まれ、本質的に、凝集体から物理的に区別される顔料はなく、且つ、凝集体から物理的に区別されるカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はわずかな部分のみである。遊離した顔料はヘイズをもたらし、より多い量の遊離したカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体は乱流の出現およびディスプレイの不安定性をもたらす。
【0041】
凝集体を調製する適切な方法は、顔料とカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体とを、不活性な極性液体中で、例えば湿式ミルまたは高速混合によって、−20〜200℃、好ましくは−20〜200℃、もっとも好ましくは0〜50℃の温度で共に分散させ、そして極性液体から凝集物を単離することである。適切な極性液体は誘電率ε10〜100、好ましくは30〜80を(25℃で)有している。最も適しているのは、親水性の極性液体であり、例えば水、モノアルコール、またはポリアルコール、ケトン、アミド、スルホキシドおよびスルホンであり、好ましくは水である。
【0042】
25℃で、セル内の非極性液体は、適切には誘電率ε0〜20、好ましくは0〜5、好ましくは0〜3.2、導電率κ0〜0.1S・m-1、好ましくは0〜10-2S・m-1、特に10-16〜10-8S・m-1、および透明度90〜100%、好ましくは95〜100%(1cm厚の石英セルにおいて、400〜700nmの範囲の1つの波長で測定)を有する。同一の導電率範囲がセルの全含有物(分散液)についても成立する。非極性液体は特に、双極子モーメントμ 0〜10-18esu、好ましくは0〜3・10-19esuもまた有する。
【0043】
非極性液体の例は、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、またはアルキルベンゼン; 脂肪族炭化水素、例えばペンテン、ヘキサン、オクタン、デカンまたはドデカン; 脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン; ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、または1,2−ジクロロエタン; シリコーン; 鉱油、例えばシリコーンオイルまたはフルオロカーボンオイル; 植物油、例えばオリーブオイル、および長鎖脂肪酸エステルを含む。これらの非極性液体を単独または混合物として使用できる。市販の混合物の例は、Isopar(商標) G、Isopar(商標) MおよびHalocarbon(商標) 0.8である。
【0044】
本発明によれば、液体の分散媒は官能化した粒子を0.01〜25質量%、特に0.1〜10質量%の量で含んでよい。
【0045】
当該のモノクローム粒子は、特に、1つまたは2つのタイプの、適宜、好ましくは異なる対比色の電気泳動型移動性粒子を含む任意のタイプの電気泳動ディスプレイ("電子ペーパー")の製造に有用である。当該のモノクローム粒子の電気泳動移動度と分散安定性は驚異的に高い。
【0046】
該モノクローム粒子は一般に、非極性液体中で分散剤の補助によって分散される。該モノクローム粒子は透明あるいは不透明、および黒、白、または好ましくは有色、例えば赤、青、緑、黄色、マゼンタまたはシアンであってよい。当該のセルは2つまたはそれより多くの種類のモノクローム粒子を含んでもよい。前記粒子は同一あるいは異なった色であってよく、例えば2つまたはより多くの種類の各個は、黒、白、赤、青、緑、黄色、マゼンタ、またはシアン、あるいは黒または白を伴う赤、青、緑、黄色、マゼンタ、またはシアンのモノクローム粒子であってよい。しかしながら、各粒子は適切には均質に着色されている。即ち、見る方向とは無関係に同一の色を示す。
【0047】
同様に、電気泳動ディスプレイは同一または異なる組成のセルを含んでよく、例えば1〜8つのタイプのセルがそれぞれ単独の黒、白、赤、青、緑、黄色、マゼンタまたはシアンの色のモノクローム粒子を含むか、あるいは1〜6つのタイプのセルがそれぞれ黒または白のモノクローム粒子、並びに赤、青、緑、黄色、マゼンタ、またはシアンの色のモノクローム粒子を含む。好ましくは、前記の電気泳動ディスプレイは、全て同一の組成のセル、または黒、白、赤、青、緑、黄色、マゼンタまたはシアンの1〜6色のセル、特に、例えば赤、青、緑、および随意に黒または白、あるいは黄色、マゼンタおよびシアンの3色または4色のセルを含む。電気泳動ディスプレイが種々の色のモノクローム粒子を含む場合、一般に1色のモノクローム粒子のみ、またはC.I.E.1976 L*C*h色空間による120゜以下の種々の色相角の色のモノクローム粒子が、当該の構造を有するために適している一方、他の色のモノクローム粒子、特に黒または白のモノクローム粒子は逆極性を有さなければならない。
【0048】
黒いアニオン粒子を、例えばカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)と、ジアゾ化スルファニル酸、またはさらに酸性基を含む他のアミノ置換C6〜C14−アリール化合物と反応させることによって得ることができる。それらの基をアゾ基を介して取り付けるか、あるいは好ましくは、カップリング反応の間、それらを脱ジアゾ化(dediazonate)させ、カーボンブラックまたは他の黒色基への直接の結合をもたらす。選択的に、有機の黒色顔料の誘導体を使用でき、例えばペリレンのスルホネートである。対イオンは好ましくは4級アンモニウムカチオンであり、例えばPCT/EP2007/056387 (8ページ/4行目〜9ページ/5行目)内に開示されるものである。アニオン粒子として使用するためのC.I.ピグメントブラック7は、好ましくは粒径30nm〜1μm、特に好ましくは40nm〜0.4μm、最も好ましくは50nm〜0.2μmを有している。それぞれの光学濃度に依存して、黒色のアニオン粒子および着色されたカチオン粒子を好ましくは質量比1:20〜20:1、特に好ましくは1:10〜10:1、最も好ましくは1:5〜5:1で使用する。
【0049】
前記のセルを公知の方法と同様に製造できる。好ましくは、外皮、非極性液体、分散剤、および前記の非極性液体中に分散された少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子を含むセルの製造方法であって、少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子は本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集物であり、且つ、前記の分散剤はポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、およびコポリマーからなる群から選択され、以下の工程
(1) 少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子を非極性液体中に分散させて懸濁液を形成する工程、
(2) 前記の懸濁液を、前記の非極性液体と不混和性の第二の液体中に分散させて液滴を形成する工程、および
(3) 1つまたはそれより多くの前駆体を好ましくは第二の液体中に溶解または分散させて、コアセルベーション、乳化重合および/または乳化重縮合によって、液滴の周囲に外皮を生成する工程
を含む方法である。コアセルベーションは当該技術分野においてよく知られており、且つ、例えばUS−5432445号、US−5460817号、US2005/0156340号およびUS2006/0007528号内に記載されている。その場重合法は、例えばWO01/54809号およびWO05/105291号内に開示されている。コアセルベーション、またはポリマー層を形成するのに適した前駆体、およびポリマー層を形成する方法も、当該技術分野においてはよく知られている。第二の液体は、好ましくは水性である。
【0050】
フルカラーの透過型ディスプレイ(減法、バックライトまたはより好ましくは白色反射板を有する)は好ましくはそれぞれ最上層内に配置される黄色、マゼンタ、およびシアンの色を含む。他方、フルカラー反射型ディスプレイ(加法)は、好ましくは並んで配置される赤、青、および緑の色を含む。
【0051】
前記のセルは適切には多数の粒子を含有し、それらの数は特定の実施態様に依存する。それぞれの実施態様を仕切りで構成されるセル、またはカプセルで構成されるセルを用いて実現できる。唯一の違いは、仕切りは電気泳動ディスプレイ上に直接形成される一方、カプセルは別途製造され、その後電気泳動ディスプレイ上に塗布されることである。それぞれのセルにおいて、当該のモノクローム粒子を単独、互いに組み合わせて、または任意の他の電気泳動型移動性粒子と組み合わせて、好ましくはアニオンの黒色または白色粒子と組み合わせて、特にPCT/EP2007/056387号内に開示される通りに使用できる。2つの主な実施態様があるが、当然、本発明をさらに異なる方法で実施することもできる。
【0052】
第一の実施態様において、当該のモノクローム粒子は透明であり、質量平均粒径10〜100nm、好ましくは20〜80nm、最も好ましくは30〜60nmを有する。1セルあたりの粒子数は一般に、102〜1015、好ましくは104〜1012個である。この場合、1つの電極をセル(画素)に対向して、あるいは隣に配置する一方、他の電極をディスプレイ表面に並行に配置し、両者は断面(cut view)において電気泳動ディスプレイに対して垂直である。かかる構成は、例えばUS−A−2004/0218252号の図5Bに示されている。前記の非極性液体は、好ましくは本質的に無色であり、透明度90〜100%、好ましくは95〜100%(1cm厚の石英セルにおいて、400〜700nmの全範囲で測定)を有する。この実施態様を、上記の白色反射板の反射型ディスプレイとして、あるいはバックライトを有する透過型ディスプレイとして使用できる。
【0053】
画素に対向して、または画素の隣に配置された電極に負電位を印加すると、当該のモノクローム粒子は画素の横に移動し、そしてほぼ全部の、一般には白色光が画素を透過する。画素に対向して、あるいは画素の隣に配置された電極に正電位を印加した場合、アノードに切り替わり、当該のモノクローム粒子は他方の負に帯電された電極に移動し、そしてほとんどの画素の表面を覆う。従って可視光のスペクトルの一部がモノクローム粒子によって吸収され、そしてほぼ補色のみが画素を透過する。
【0054】
第二の実施態様において、当該のモノクローム粒子は不透明であり、質量平均粒径100〜500nm、好ましくは200〜400nmを有している。1セルあたりの粒子数は一般に、102〜108、好ましくは103〜106個である。この場合、両方の電極を画素の逆側上でディスプレイ表面に対して並行に、断面において電気泳動ディスプレイ表面に対して垂直に配置する。かかる構成は、例えばJP−A−2003/330179号(カプセル)の図面8、またはWO2004/067593号(仕切り)の図8に示されている。黒、白、またはC.I.E.1976 L*C*h色空間による120゜より高い種々の色相角を有する色の他のモノクローム粒子もまた存在する。非極性液体は有色または無色のどちらでもよいが、好ましくは本質的に無色であり、透明度90〜100%、好ましくは95〜100%(1cm厚の石英セルにおいて、400〜700nmの全範囲で測定)を有する。かかる追加的なモノクローム粒子が存在しない場合は、逆に非極性液体は好ましくは有色であり、透明度0〜20%、好ましくは0〜10%(1cm厚の石英セルにおいて、400〜700nmの範囲の1つの波長で測定)を有する。
【0055】
画素の最上部に配置された電極に負電位を印加した場合、当該のモノクローム粒子は画素の最上部に移動し、そして有色光が画素によって反射される。画素の最上部に配置された電極に正電位を印加した場合、当該のモノクローム粒子は下に移動する。従って、どの光も画素の最上部に移動してくる種々の極性の種々に着色された粒子によって、あるいは媒体中に懸濁されている低移動性の反射粒子、例えば白色または黒色粒子によって反射されるか、あるいは当該のモノクローム粒子によって反射された光が非極性液体の色によって吸収され、色の変化がもたらされる。例えば、橙−赤のモノクローム粒子および青−緑の非極性液体は、明るい橙−赤から暗い茶色への魅力的な切り替えをもたらす。青−緑の非極性液体を低移動性の反射型緑色粒子で置き換えると、電気泳動ディスプレイを赤から緑に切り替えることが可能である。
【0056】
低移動性の粒子は例えば、従来から知られているもの、あるいは単にイオン化しにくい粒子、並びに分散された顔料であってよい。しかしながら、当該の粒子の電荷は、有利には正確に制御される。凝集物中のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の量を減少させることによって低移動性の粒子を得ることも可能である。種々の移動度の当該の粒子の組み合わせは、従って、例えば赤、赤色ジケトピロロピロール顔料を含む不透明なモノクローム粒子、および比較的多い量のジケトピロロピロール誘導体、および緑、緑色フタロシアニン顔料を含む不透明なモノクローム粒子、および比較的少ない量のフタロシアニン誘導体であってよい。電極間へ電圧を印加すると、赤色粒子はより早く移動し、そして緑色粒子より先にターゲット電極に達する。
【0057】
当該のモノクローム粒子を、所望であればポリマー中に埋包してもよい。そのために適した方法は例えば本質的に公知の方法を使用して、容易に解離する対になるアニオンからカチオンを電気化学的に分離し、その後、カチオン顔料粒子上のポリマーの薄い保護絶縁層をラジカル的に重合することである。所望のカルボキシレート、フェノレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、アンチモネート、ボレート、ハロゲナイド、ハロゲネートまたは水酸化物アニオンを、それらのアルカリまたはアンモニウム塩の形態で好ましくは最後に添加した後、電界を解除する。
【0058】
仕切りまたはカプセルの製造は当該技術分野でよく知られている。前記のカプセルを、固体粒子の堆積に関する技術分野でよく知られた方法によって、基材上に均質な層として、あるいはパターン通りに配置できる。前記方法は例えば、色校正におけるトナー用に使用される方法、例えばDE3540796号およびEP0051830号内に記載されるChromalin(商標)法である。所望であれば、多重の着色層のために、前記の方法を繰り返す。前記の電極もまた、よく知られた従来の方法によって必要に応じて製造される。選択的に、カプセルを例えば基板上に積層してもよい。
【0059】
言うまでもなく、フレキシブル基板が使用される場合、当該の電気泳動ディスプレイは散乱型または透過型のいずれであってもよく、硬い、またはフレキシブルのいずれであってもよい。
【0060】
以下の実施例によって本発明を説明するが、それに限定するわけではない("%"は特段示されない限り質量によるものである)。これらの実施例を実施するために、小さな透過性の顔料粒子を含む水性のプレスケーキを使用することが最も適切であり、前記は当該技術分野で本質的によく知られた多くの技術、例えばジケトピロロピロールの直接合成(EP−B−0640603号)、湿式粉砕(EP−B−1358275号、またはWO2007/045312号)、または混練(WO01/04215)の場合などによって得られる。これらの例は単に例示的なものであり、且つ、他の類の顔料を適用してもよい。
【0061】
実施例1: C.I.ピグメントレッド264の43.8%の水性プレスケーキ45.6gを水200ml中で分散させる。別途、塩酸プロカイン5.5gを水15gとHCl 7mlとに溶かした溶液を、4MのNaNO2水溶液5.5mlを用いて、0〜4℃で処理する。ジアゾニウム塩をゆっくりと顔料の懸濁液に添加する。0〜4℃で15分間の攪拌の後、該懸濁液を1時間、23℃で攪拌し、その後、50℃に加熱し、そしてさらに1時間攪拌する。形成された塩を過剰なステアリン酸を用いて中和する。その後、該懸濁液を濾過し、水で洗浄し、そして前記の生成物を80℃/103Paで乾燥させる。
【0062】
実施例2: 実施例1の通りに処理するが、C.I.ピグメントレッド264のプレスケーキの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3のプレスケーキを使用する点が異なる。
【0063】
実施例3: 実施例1の通りに処理するが、C.I.ピグメントレッド264のプレスケーキの代わりにC.I.ピグメントブルー15:1のプレスケーキを使用する点が異なる。
【0064】
実施例4: C.I.ピグメントレッド122の31.5%の水性プレスケーキ63gを水180ml中で分散させる。別途、塩酸プロカイン5.5gを水15gとHCl7mlとに溶かした溶液を、4MのNaNO2水溶液5.5mlを用いて、0〜4℃で処理する。ジアゾニウム塩を顔料の懸濁液に添加する。60℃で1時間の攪拌後、形成された塩を過剰なステアリン酸を用いて中和する。その後、該懸濁液を濾過し、水で洗浄し、そして前記の生成物を80℃/103Paで乾燥させる。
【0065】
実施例5: 実施例4の通りに処理するが、C.I.ピグメントレッド122のプレスケーキの代わりにC.I.ピグメントイエロー128のプレスケーキを使用する点が異なる。
【0066】
実施例6: 微粉化されたオキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン(WO00/24736号の実施例12Bによる)10gを、水100ml中で18時間分散させる。水2.9g中のスルファニル酸0.7gと、35%塩酸1.38gとを別々に4MのNaNO2水溶液1.08mlで、4℃で処理する。ジアゾニウム塩を顔料の懸濁液に添加し、攪拌して4℃から23℃にし、その後、1時間にわたって50℃に加熱する。その後、0.4gのARQUAD(登録商標) MCB−50(Akzo−Nobel)を添加する。30分間さらに攪拌した後、該懸濁液を濾過し、水で洗浄し、そしてその生成物を80℃/103Paで乾燥させる。
【0067】
実施例8: 4−ベンジルオキシフタロジニトリル100gと、ウレア52gと、無水塩化銅(II)14.4gと、モリブデン酸アンモニウム2gとを、1lのガラス製反応器内でニトロベンゼン350mlと混合する。その反応混合物を、徐々に80℃から140℃へと約3〜4時間で加熱し、その後、160℃へとさらなる時間加熱する。合計6時間の後、前記の反応混合物を50℃に冷却し、その後、1000mlのメタノールを添加し、そしてその反応混合物を1/2時間、力強く攪拌して、その後、濾過する。前記の通りに得られた緑色の固体のテトラヒドロキシフタロシアニンを、その後、メタノール200mlで洗浄した後、水1lで洗浄して、全ての水溶性の不純物を除去し、そして最後にアセトン500mlで洗浄して全ての着色した不純物を除去する。この濾過ケーキ200g(乾燥した固体の内容物に基づく)を、水200ml中で分散させる。別途、塩酸プロカイン5.5gを水15g中に溶かした溶液と、37%のHCl水溶液7mlとを、4MのNaNO2水溶液5.5mlを用いて、0〜4℃で処理する。前記の通りに形成されたジアゾニウム塩を、テトラヒドロキシフタロシアニン懸濁液にゆっくりと添加する。0〜4℃での攪拌の後、該懸濁液を23℃で1時間攪拌し、その後、50℃へとさらなる時間加熱する。その後、塩を過剰なステアリン酸を用いて中和する。23℃への冷却後、該懸濁液を濾過し、そしてその残留物を水で洗浄し、そして80℃/103Paで乾燥させる。
【0068】
実施例9a: 攪拌機、冷却器、温度計、およびモノマー供給ラインを備えた5リットルのガラス製反応器内で、n−ブチルアクリレート1304gと、化学式
【化2】

の重合調節剤72gとを混合し、そしてN2/真空サイクルによって完全に脱気する。該混合物を115℃に1時間以内で加熱し、その後、さらに1時間、同じ温度で保持する。次の3.5時間以内に、n−ブチルアクリレート2800gを連続して反応器に供給する一方、温度を128℃に上げ、その温度で前記の混合物をさらに6時間保持する。透明で粘性のポリマー2011gを、減圧下で未反応のモノマーをストリッピングで除去することによって単離する。GPC分析:Mn=8800g/mol、PD=1.20。1H−NMRによれば、重合度は76である。
【0069】
実施例9b: 実施例9aと同じ反応器内で、実施例9による生成物のポリ(n−BA)2000gと、4−ビニルピリジン505gとを混合し、N2/真空サイクルによって脱気し、そして125℃で5時間重合する。透明な橙のポリマー2224gを、減圧下で残留モノマーを留去することによって単離する。高粘度なので、該ジブロックコポリマーを希釈してプロピレングリコール−モノメチルエーテル−アセテート(MPA)1483gを用いてさらに処理する。GPC分析:Mn=8834g/mol、PD=1.27。1H−NMRによれば、4−ビニルピリジンの重合度は14である。
【0070】
実施例9c: 実施例9bによるジブロックコポリマーのMPA溶液83.3gと、分岐鎖イソ−C12〜C15−アルコール混合物(Neodol(登録商標)25E、Shell)55.3gとを、磁気攪拌棒および蒸留塔を装備した250mlのフラスコ内に充填する。混合物を125℃に加熱した後、MPAを減圧下で蒸留し、その後、イソプロパノール中で75質量%のビス−アセチルアセトナト−チタン−ビス−イソプロピレートからなる触媒溶液0.28gを添加する。減圧下でn−ブタノールをゆっくりと留去し、そして温度を145℃に上げることによって、エステル交換反応を開始させる。それぞれ0.28gずつの2つの追加部分の触媒溶液をその後、第一の部分を1時間後に、そして第二の部分を2時間後に添加する。4時間の全反応時間後、さらなるn−ブタノールの形成が観察されなくなったら、エステル交換反応を停止させる。液体のブロックコポリマー78gが得られる。GPCによる分析(Mn=12465、PDI=1.33)、並びに1H−NMRは分岐鎖イソ−C12〜C15−アルコールのほぼ定量的な変換を示し、n−ブチルエステルとイソ−C12〜C15−エステルとピリジン基との比は16:60:14を有する。
【0071】
この液体のブロックコポリマー分散剤を、WO2006/074969号によって得られる同様のものか、あるいはEFKAから市販の同様のもので置き換えてもよい。
【0072】
実施例10〜22は、分散された電気泳動型の赤色、青色、緑色、および黒色顔料粒子を含有する油相の製造を説明する。
【0073】
実施例10: 実施例1による赤色の帯電粒子0.23gをテトラクロロエチレン(Riedel de Haeen、d=1.622g/cm3)10ml中に、EFKA(登録商標)4300(分散剤、EFKA additives)0.048gの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間半、25℃で超音波によって分散させることによって、赤色の電気泳動分散液を調製する。分散された帯電粒子の直径を、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定する。表面を改質された、分散された帯電顔料粒子のゼータ電位(ζ)をMalvern Zetasizer Nanoseriesを用いて測定し、そして電気泳動移動度μをスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここで前記μは移動度であり、η=0.844cPは溶媒の粘度であり、且つ、ε=2.6は誘電率である)から算出する。
【0074】
実施例11: 実施例1による赤色の帯電粒子0.15gをIsopar(登録商標)G(Exxon Mobil、d=0.748g/cm3)10ml中に、実施例9cによる液体ブロックコポリマー0.0449gの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間半、25℃で超音波によって分散させることによって、赤色の電気泳動分散液を調製する。分散された帯電粒子の直径を、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定する。表面を改質された、分散された帯電顔料粒子のゼータ電位(ζ)をMalvern Zetasizer Nanoseriesを用いて測定し、そして電気泳動移動度μをスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここで前記μは移動度であり、η=1.46cPは溶媒の粘度であり、且つ、ε=2.0は誘電率である)から算出する。
【0075】
実施例12: 実施例2による青色の帯電粒子0.2gをテトラクロロエチレン(Riedel de Haeen、d=1.622g/cm3)10ml中に、EFKA(登録商標)4300(分散剤、EFKA additives)0.045gの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間、25℃で超音波によって分散させることによって、青色の電気泳動分散液を調製する。分散された帯電粒子の直径を、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定する。表面を改質された、分散された帯電顔料粒子のゼータ電位(ζ)をMalvern Zetasizer Nanoseriesを用いて測定し、そして電気泳動移動度μをスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここで前記μは移動度であり、η=1.844cPは溶媒の粘度であり、且つ、ε=2.6は誘電率である)から算出する。
【0076】
実施例13: 実施例3による青色の帯電粒子0.145gをIsopar(登録商標)G(Exxon Mobil、d=0.748g/cm3)10ml中に入れ、実施例9cによる液体ブロックコポリマー0.05gの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間半、25℃で超音波によって分散させることによって、青色の電気泳動分散液を調製する。分散された帯電粒子の直径を、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定する。表面を改質された、分散された帯電顔料粒子のゼータ電位(ζ)をMalvern Zetasizer Nanoseriesを用いて測定し、そして電気泳動移動度μをスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここで前記μは移動度であり、η=1.46cPは溶媒の粘度であり、且つ、ε=2.0は誘電率である)から算出する。
【0077】
実施例14: 実施例8による緑色の帯電粒子0.15gをIsopar(登録商標)G(Exxon Mobil、d=0.748g/cm3)10ml中に、実施例9cによる液体ブロックコポリマー0.040gの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間(1h min)、25℃で超音波によって分散させることによって、緑色の電気泳動分散液を調製する。分散された帯電粒子の直径を、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定する。表面を改質された、分散された帯電顔料粒子のゼータ電位(ζ)をMalvern Zetasizer Nanoseriesを用いて測定し、そして電気泳動移動度μをスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここで前記μは移動度であり、η=1.46cPは溶媒の粘度であり、且つ、ε=2.0は誘電率である)から算出する。
【0078】
実施例15: 実施例6による黒色の帯電粒子1mgをテトラクロロエチレン(Riedel de Haeen、d=1.622g/cm3)10ml中に、EFKA(登録商標)4300(分散剤、EFKA additives)50mgの存在下で、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間、25℃で超音波によって分散させることによって、黒色の電気泳動分散液を調製する。
【0079】
実施例16: 実施例10による赤色の電気泳動分散液55mlと、実施例15による黒色の電気泳動分散液55mlとを、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間、25℃で超音波によって分散させることによって、混合する。
【0080】
実施例17: 実施例12による青色の電気泳動分散液55mlと、実施例15による黒色の電気泳動分散液55mlとを、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間、25℃で超音波によって分散させることによって、混合する。
【0081】
実施例18: 実施例14による緑色の電気泳動分散液55mlと、実施例15による黒色の電気泳動分散液55mlとを、Bandelin(登録商標) Sonorex(登録商標) Super RH 102 H(商標)超音波発生装置内で1時間、25℃で超音波によって分散させることによって、混合する。
【0082】
実施例19: エチレン−マレイン酸無水物コポリマー(Zeeland Chemicals)の10%水溶液70gと、70%のメラミンホルムアルデヒド樹脂(Beetle Resin PT336、BIP Ltd)37.5gと、脱イオン水279gとを混合することによって水相を調製する。この水性混合物を、水酸化ナトリウム水溶液の添加によってpH4.0に調整する。得られる水相をその後、タービン羽根攪拌機を装備し、且つ恒温水浴に浸された1リットルの反応用フラスコに移す。攪拌機の速度を1000r.p.mに上げ、その後、実施例16による油相175gを前記の水相に添加して、光学顕微鏡によって約30μmであると見積もられる平均粒径を有する油滴を有する水中油型エマルションを形成する。次に、攪拌速度を450r.p.mに下げ、そして反応用フラスコの内容物をゆっくりと40℃に温めてメラミンホルムアルデヒド樹脂を重縮合反応させて、マイクロカプセルのシェルを形成する。カプセル化された混合物の温度を40℃でさらに2時間保持し、その後、60℃に上げてマイクロカプセルのシェル形成を完成させる。水中のマイクロカプセル懸濁液をその後、23℃に冷却して、そして混合物のpHを水酸化ナトリウム水溶液を用いて8.0に調整する。次に、水中のマイクロカプセル懸濁液を濾過し、そして水で洗浄して残留している不純物を除去する。湿ったマイクロカプセルケーキは、メラミンホルムアルデヒドのシェルと、顔料粒子の油分散液を含有する内部のコアとを有する60%の固体のマイクロカプセルを含有する。前記のカプセルを30℃で乾燥させる。
【0083】
実施例20: 実施例19の通りに処理するが、実施例16による油相を実施例17による油相で置き換える点が異なる。
【0084】
実施例21: 実施例19の通りに処理するが、実施例16による油相を実施例18による油相で置き換える点が異なる。
【0085】
実施例22: 2,6−ジメチル−4−(2’ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジメチルエステル(DHPM)と、2,6−ジメチル−4−(2’ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチルエステル(DHPE)との混合物をメチルエチルケトン(MEK)中に溶かした5%溶液を、基板上に1000r.p.m、30秒でスピンオンする。この基板を、UV露光機(Karl Suess MA6)を用いて、マスクを介して1mW/cm2で20秒間露光する。その後、実施例19の赤色/黒色カプセルを、綿球を用いた浸漬によって基板上に堆積させる。振動機(Vortex Genie2’’)上でガラス製プレートを置くことによってカプセルの過剰分を除去する。この後、基板を気体の(gazeous)HClを用いて処理して、露光領域のねばつきを阻止する。この工程を、実施例20および21の青色/黒色および緑色/黒色のカプセルを用いて2回繰り返す。最後に、前記の基板を約50秒間均一に露光し、そしてスピンコーター上で1000r.p.m.で30秒間、MEK中のポリメチルメタクリレートの20%溶液で被覆し、そしてホットプレート上で2〜5分間、100℃で乾燥させる。
【0086】
実施例23: 微粉化されたオキソベンゾフラニリデン−ジヒドロキシインドロン(dihydroxindolone)(WO00/24736号の実施例12Bによって調製)10gを、水100ml中で終夜分散させる。別途、塩酸プロカイン0.7gを水2.9g中に溶かした溶液と、35%塩酸1.4gとを4MのNaNO2水溶液1.08mlで、4℃で処理する。前記の通りに形成されたジアゾニウム塩を顔料の懸濁液に添加し、攪拌して4℃から23℃にし、その後、1時間にわたって50℃に加熱する。その後、前記の塩を過剰なステアリン酸を用いて中和する。23℃への冷却後、該懸濁液を濾過し、そしてその残留物を水で洗浄し、そして80℃/103Paで乾燥させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子、非極性液体、および分散剤を含有するセルとを含む電気泳動ディスプレイにおいて、少なくとも一種のイオン性のモノクローム粒子が本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集体であり、且つ、分散剤がポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンおよびコポリマーからなる群から選択され、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化塩酸プロカインとの反応生成物ではない前記ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、全量の顔料、およびセル内部に存在する全カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の主な部分、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは95〜100%が凝集体中に含まれ、本質的に、凝集体から物理的に区別される顔料はなく、且つ、凝集体から物理的に区別されるカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はわずかな部分のみである前記ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子が対イオンとしてカルボキシレートを有する前記ディスプレイ。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれか一項に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、分散剤が、好ましくは窒素原子を含む成分および芳香環を含む成分からなる群から選択される極性、無極性または低極性成分を含み、且つ、前記の無極性または低極性成分が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエステルおよびビニルエステルからなる群から選択され、前記のエステル基は1〜24個の炭素原子、および随意に1〜12個の酸素および/またはケイ素原子、アリルおよびビニルC1〜C24−アルキルエーテル、スチレン、C1〜C24−アルキル置換スチレン、C4〜C12−ラクトンおよびヒドロキシC2〜C24−酸を含む前記ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか一項に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、分散剤がイオン性基を有し、且つ、分散剤のイオン性基の総数がカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体のイオン性基の総数以下であり、且つ、カチオン顔料またはカチオン顔料誘導体のイオン性基と分散剤のイオン性基との比は、好ましくは少なくとも1:1、特に少なくとも5:1である前記ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか一項に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、セル内のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の量は、顔料に対してプロトン化された酸の形態での換算で、0.1〜15質量%、好ましくは1〜12質量%、最も好ましくは5〜10質量%である前記ディスプレイ。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれか一項に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、非極性液体は、誘電率ε0〜20、好ましくは0〜5、好ましくは0〜3.2、導電率κ0〜0.1S・m-1、好ましくは0〜10-2S・m-1、特に10-16〜10-8S・m-1、および透明度90〜100%、好ましくは95〜100%(1cm厚の石英セルにおいて、400〜700nmの範囲の1つの波長で測定)を有する前記ディスプレイ。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか一項に記載の電気泳動ディスプレイにおいて、少なくとも2種のモノクローム粒子があり、少なくとも1種のモノクローム粒子が本質的にアニオン性の黒色または白色粒子からなる前記ディスプレイ。
【請求項9】
炭素含有顔料とカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体とからなる凝集物の製造方法であって、前記の顔料とカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体とを不活性な極性液体中で、例えば湿式粉砕または高速混合によって、−20〜200℃、好ましくは−20℃〜200℃、最も好ましくは0〜50℃の温度で共に分散させ、そして前記の極性液体から凝集物を単離することを含む方法において、前記の極性液体は誘電率ε10〜100、好ましくは30〜80(25℃にて)を有し、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化塩酸プロカインとの反応生成物ではない前記方法。
【請求項10】
本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集物であって、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化塩酸プロカインとの反応生成物ではないモノクローム粒子を、電気泳動ディスプレイの製造に用いる使用。
【請求項11】
請求項10に記載の使用において、モノクローム粒子中のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体の量が、顔料に対してプロトン化された酸の形態での換算で、0.1〜15質量%、好ましくは1〜12質量%、最も好ましくは5〜10質量%である前記使用。
【請求項12】
外皮、非極性液体、分散剤、および前記の非極性液体中に分散された少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子を含むセルの製造方法において、少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子が本質的に炭素含有顔料およびカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体からなる凝集物であり、且つ、前記の分散剤がポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、およびコポリマーからなる群から選択され、以下の工程
(1) 少なくとも1種のイオン性のモノクローム粒子を非極性液体中に分散させて懸濁液を形成する工程、
(2) 前記の懸濁液を、前記の非極性液体と不混和性の第二の液体中に分散させて液滴を形成する工程、および
(3) 1つまたはそれより多くの前駆体を好ましくは第二の液体中に溶解または分散させて、コアセルベーション、乳化重合および/または乳化重縮合によって、液滴の周囲に外皮を生成する工程
を含み、但し、前記のカチオン顔料またはカチオン顔料誘導体はカーボンブラックとジアゾ化塩酸プロカインとの反応生成物ではない前記方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、少なくとも2種のモノクローム粒子があり、少なくとも1種のモノクローム粒子が本質的にアニオン性の黒色または白色粒子からなる前記方法。

【公表番号】特表2010−538332(P2010−538332A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523482(P2010−523482)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061266
【国際公開番号】WO2009/030628
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】