説明

電気泳動方法、電気泳動媒体及び被覆材

【課題】
電気泳動方法において広範囲な試料の吸着を抑制する。
【解決手段】
泳動媒体を充填した分離用流路に電圧を印加して試料を電気泳動させつつ分離を行なう電気泳動方法において、泳動媒体に添加剤としてデンプン誘導体を含む。デンプン誘導体は4級アンモニウムで修飾されたものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、μTAS(Micro Total Analysis Systems)分野においてよく使用されるマイクロチップ電気泳動やキャピラリー電気泳動などの電気泳動方法と、それに用いられる電気泳動媒体、さらにμTASで用いられるチップやDNA/プロテインチップで試料吸着を抑制するために表面コーティング材として使用される被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
μTASは、ガラスやプラスチック等の部材上に微小な流路を形成して、その微小な空間を利用して各種の分析や検査を行なう研究であり、近年盛んに行なわれており、高速分析、省試料、省溶媒、小型化、オンサイト分析といった特長を生かして将来新市場を形成するものとして期待されている。
【0003】
プラスチック製のマイクロチップを用いたマイクロチップ電気泳動では、試料の吸着が起こり易いため、ピークのテーリングが起こることがある。その結果、ガラスや石英で作製したマイクロチップと比較して分離が低下することがある(非特許文献1参照。)。プラスチック製のマイクロチップで吸着を防ぐ方法として、表面を化学修飾やコーティングすることによってプラスチック表面の物性を変化させることが試みられている(非特許文献2−5参照。)。その中でも添加剤やコーティング剤を用いて、プラスチック表面の物性を変化させる方法は、簡便なため汎用されており、今までにキャピラリー電気泳動で用いられている低分子のミセル化合物(SDS(sodium dodecyl sulfate),CTAB(cethyltrimethylammoniumbromide))や直鎖状高分子(メチルセルロース、ヒドロキルセルロース、ポリビニルアルコール等)が、吸着を抑制するのに適していると報告されている。
【非特許文献1】Lacher,N.A., de Rooij,N.F., Verpoorte,E., Lunte,S.M., J. Chromatogr. A, 2003, 1004, 225−235.
【非特許文献2】Slentz,B.E., Penner,N.A., Lugowska,E., Regnier,F., Electrophoresis, 2001, 22, 3736-3743.
【非特許文献3】Hu,S., Ren,X., Bachman,M., Sims,C.E., Li,G.P., Allbritton N., Anal. Chem. 2002, 74, 4117−4123
【非特許文献4】Barker,S.L.R., Tarlov,M.J., Ganavan,H., Hickman,J.J., Locascio,L.E., Anal. Chem. 2000, 72, 4899−4903
【非特許文献5】Barker,S.L.R, Ross,D., Tarlov,M.J., Gaitan,M., Locascio,L.E., Anal.Chem. 2000, 72, 5925−5929
【非特許文献6】Rodriguez,I., Li,S.F.Y., Anal. Chim. Acta 383 (1999) 1-26
【非特許文献7】Righetti,P.G., Gelfi,C., Verzola,B., Castelletti,L., Electrophoresis 22 (2001) 603-611
【非特許文献8】Wang,S.-C., Perso,C.E., Morris,M.D., Anal. Chem. 72 (2000) 1704-1706
【非特許文献9】Liu,Y, Fanguy,J.C., Bledsoe, J.M., Henry, C.S., Anal. Chem. 72 (2000) 5939-5944
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまで報告されている添加剤では十分に吸着を抑制できず、良好な分離が得られないことがあるため、より優れた添加剤の開発が望まれていた。また、添加剤の中には溶解性が悪かったり泡が発生し易かったりするという問題のあるものもあった。特にSDSやメチルセルロースは一部の試料のみに有効であるため、より広範囲に適用できる添加剤が求められている。
さらに、μTASの分野では微小な空間を利用するため、扱う試料の体積に対して容器や流路に接触する表面積が大きくなる。このため、μTASデバイスを用いて生体成分の分析や検査を行なう場合は、容器や流路内面への試料の吸着による損失が大きな問題となっていた。
【0005】
本発明の第1の目的は、電気泳動方法において広範囲な試料に対して吸着を抑制することである。
本発明の第2の目的は、電気泳動方法において広範囲な試料の吸着を抑制することのできる電気泳動媒体を提供することである。
本発明の第3の目的は、電気泳動方法において広範囲な試料の吸着を抑制することのできる被覆材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、デンプン誘導体に注目しその機能を評価した結果、これまで添加剤として利用されていたメチルセルロースより優れた吸着抑制能を示すものがあったり、適用範囲の広いものがあったりすることを見出した。本発明はこの知見を基になされたものである。
【0007】
すなわち、本発明は泳動媒体を充填した分離用流路に電圧を印加して試料を電気泳動させつつ分離を行なう電気泳動方法において、泳動媒体に添加剤としてデンプン誘導体を含ませるか、分離用流路の内壁面を、デンプン誘導体を含む被覆材で被覆するか、又はその両方を適用するものである。
【0008】
本発明はまた、電気泳動方法で用いられる電気泳動媒体自体も対象としており、その電気泳動媒体は添加剤としてデンプン誘導体を含んだものである。
本発明はさらに、試料の分離に用いられる流路の内壁面を被覆する被覆材も対象としており、その被覆材はデンプン誘導体を含んだものである。
【0009】
本発明で使用するデンプン誘導体は、デンプンを構成するD−グルコースの2,3又は6位の水素が種々の官能基で置換されたものである。そのような官能基としては、4級アンモニウム基、3級アミン基、ヒドロキシプロピル基、アセチル基、カルボキシメチル基、リン酸基、オクテニルコハク酸基などを挙げることができる。
【0010】
これらの置換基をデンプンに導入することにより、未加工デンプンに見られる老化(糊化した糊がゲル化したり白濁したりして安定性や流動性が低下するなどの現象)を改善し、糊液の安定性を高めることができる。例えば、4級アンモニウム基を導入し更にヒドロキシプロピル化することによって、より安定性を高めることができる。
【0011】
糊液の安定性及び流動性を高めるために、酸化剤(次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素など)で酸化することができる。この酸化により、デンプンの水酸基をアルデヒド基やカルボキシル基に酸化するとともに、分子鎖が切断(α−1,4結合、α−1,6結合の切断)されるため、糊液粘度が低粘度化される。
デンプンの流動性を高める低分子化は、酸化だけでなく、酸で分子鎖を加水分解する方法、加熱分解する方法、又は酵素処理分解する方法も採用することができる。
【0012】
本発明のデンプン誘導体としては、4級アンモニウム基又は3級アミン基でカチオン化し、ヒドロキシプロピル化で糊液安定性を向上し、糊液の流動性を高めるために酸化したものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では泳動媒体に添加剤としてデンプン誘導体を含んでいるか、又はさらに分離用流路の内壁面がデンプン誘導体を含む被覆材で被覆されるので、従来の添加剤を用いた場合より鋭いピーク形状が得られたり、従来では分離困難であった化合物が分離できたり、分離時間の短縮が可能になる等の効果を達成することができる。
【0014】
デンプン誘導体は、植物由来であるため生体物質との親和性が優れており、刺激を与えない自然な状態での生体物質の解析が可能になる。
デンプン誘導体は溶解性が優れているため、幅広い濃度範囲で使用することができる。
また、紫外及び可視光吸収もメチルセルロースと比較すると弱く、幅広い試料の分析に利用できる。
【0015】
デンプン誘導体のうち、特に4級アンモニウム基で修飾したデンプン誘導体を用いた場合は、アミノ酸の蛍光誘導体をより良好に泳動させることができ、メチルセルロースを添加したときと比較して理論段数で約1.5倍の改善が見られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施例での電気泳動分離では、ポリメチルメタクリレート製の電気泳動チップを備えたチップ電気泳動装置を用いた。その電気泳動チップの概略を図1に示す。その電気泳動チップ2は分離用流路4と、それに交差するように配置された試料導入用流路6をチップ基板中に備え、分離用流路4の一端には緩衝液溜め8、他端には緩衝液廃液溜め10が形成され、試料導入用流路6の一端には試料溜め12、他端には試料廃液溜め14が形成されたものである。流路4,6は幅が100μm、深さが30μmであり、分離用流路4の長さは約40mmである。
【0017】
試料導入は試料廃液溜め14に300Vを印加し、緩衝液溜め8、緩衝液廃液溜め10及び試料溜め12を0Vとして60秒間行なった。その後、印加電圧を切り換えて、試料溜め12、緩衝液廃液溜め10、試料廃液溜め14及び緩衝液溜め8にそれぞれ130V,750V,130V及び0Vを印加して分離用流路4での電気泳動分離を行なった。
【0018】
試料は蛍光ラベル化剤で標識しておく。電気泳動分離の検出は、分離用流路4の緩衝液廃液溜め10近くの所定の位置16に励起光を照射し、試料を標識している蛍光ラベル化剤から発生する蛍光を検出することにより行なった。
【0019】
(実施例1)
アミノ酸の分離を行なった。
まず、比較のために、吸着抑制能を有する添加剤を添加しないで、泳動媒体として5mMのリン酸緩衝液(pH2.5)を用い、試料としてNBD−Asp(蛍光ラベル化剤NBD−F(4-Fluoro-7-nitrobenzofurazan)で標識したAsp(アスパラギン酸))を分析した。その結果は、図6に示されるように、ピークが非対称となり、この条件ではアミノ酸の分離分析はできない。
これは試料のアミノ酸が流路内面に吸着するためであり、その対策として従来は泳動媒体に吸着抑制能を有する添加剤としてメチルセルロースを添加している。
【0020】
本発明では、吸着抑制能を有する添加剤として、従来のメチルセルロースに替えてデンプン誘導体を添加する。この実施例では、水浴で加熱した5mMのリン酸緩衝液(pH2.5,pH7.0)に所定の濃度になるようにデンプン誘導体を溶解した溶液を泳動媒体として用いた。
【0021】
デンプン誘導体は図2に示されるものであり、図2の上段に示されるデンプンの構造式中のRをその下段に示される10種類の官能基で置換したものである。
Starch(1)は3級アミン化(N%:0.34%)と共に酸化(oxidized)したデンプンであり、8%粘度が880mPa・sのものである。
Starch(2)は3級アミン化(N%:0.45%)と共にヒドロキシプロピル化(置換度:0.05)し、さらに酸化したデンプンであり、8%粘度が10mPa・sのものである。
Starch(3)は4級アンモニウム化(N%:0.19%)したデンプンであり、8%粘度が15000mPa・sのものである。
【0022】
Starch(4)は4級アンモニウム化(N%:0.64%)と共にヒドロキシプロピル化(置換度:0.16)し、さらに酸化したデンプンであり、10%粘度が59mPa・sのものである。
Starch(5)はヒドロキシプロピル化(置換度:0.11)したデンプンであり、5%粘度が860mPa・sのものである。
Starch(6)はアセチル化(置換度:0.03)したデンプンであり、5%粘度が2300mPa・sのものである。
【0023】
Starch(7)はアセチル化(置換度:0.08)し、さらに酸化したデンプンであり、10%粘度が8mPa・sのものである。
Starch(8)はカルボキシメチル化(置換度:0.38)したデンプンであり、5%粘度が20000mPa・sのものである。
Starch(9)はリン酸架橋化(P%:0.2%)したデンプンであり、8.7%粘度が110000mPa・sのものである。
Starch(10)はリン酸化(P%:2.7%)し、さらに熱分解したデンプンであり、20%粘度が20mPa・sのものである。
【0024】
蛍光標識された試料を調製するために、AspとGlu(グルタミン酸)をそれぞれホウ酸緩衝液(pH8.5)に溶解し、アセトニトリルに溶解したNBD−Fを加え、60℃で5分間反応をさせてそれぞれNBD−AspとNBD−Gluとした。その後、泳動媒体で希釈したものを試料として電気泳動チップの試料溜めに注入した。試料導入と電気泳動分離は上に示した電圧印加の条件で行なった。
【0025】
図3に、デンプン誘導体を添加した泳動媒体のpHが2.5の場合の電気泳動の結果を示す。a)〜e)の各泳動波形は3つのピークに分離されており、最初に現われているピークは標識化アミノ酸から外れた蛍光体NBD−OHであり、その後に続く2つのピークはNBD−AspとNBD−Gluである。
【0026】
a),b)及びc)は本発明の実施例に該当し、starch(1),starch(2),starch(3)はそれぞれ図2の表中に示したデンプン誘導体を表わし、それぞれのデンプン誘導体の上に%で示されている数値は泳動媒体中でのデンプン誘導体の濃度である。
【0027】
d),e)は比較のために従来から使用されているメチルセルロース(MC)を添加剤として0.5%添加した場合の測定結果であり、「MC」の後の括弧内の数値はメチルセルロースの粘度を表わしている。
【0028】
図3の結果から、実施例により泳動媒体にデンプン誘導体を添加した場合は、100秒以内にNBD−AspとNBD−Gluのピークが検出位置を通過しており、従来用いられているメチルセルロースを添加剤として用いた場合よりも短時間で分離を完了できることを示している。
【0029】
デンプン誘導体を添加剤とした場合のピークの形状はメチルセルロースを添加剤とした場合のピーク形状と同様に対称な形状をしており、アミノ酸の分離分析が可能であることを示している。
【0030】
図4は、デンプン誘導体を添加した泳動媒体のリン酸緩衝液のpHが7.0の場合の電気泳動の結果である。この場合は、添加剤としてデンプン誘導体を添加した場合と従来のようにメチルセルロースを添加した場合とで違いはなく、ほぼ同等の分離が達成されることを示している。
【0031】
デンプン誘導体を添加した泳動媒体を用いてアミノ酸を分離分析した場合のアミノ酸の溶出時間と理論段数について、図2の表中に示したデンプン誘導体とメチルセルロースをそれぞれ添加剤として使用した場合を比較して表1と表2に示す。理論段数は種々の方法で計算することができるが、ここではピークの半値幅により計算した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
表1より、酸性条件下では、デンプン誘導体は、メチルセルロースと比較して、NBD−AspやNBD−Gluを短時間で良好に分離検出できた。また表2の中性条件下でも、デンプン誘導体は、メチルセルロースと類似の分離効率を示した。
またデンプン誘導体は、メチルセルロースと比較して溶解性に優れ、広い濃度範囲での適用が可能であった。
【0035】
starch(7)〜starch(10)のうち、分離性能のみを比較するとメチルセルロースより劣るものもあるが、それらのデンプン誘導体もアミノ酸などの分離は可能であるうえ、デンプン誘導体一般の性質としてメチルセルロースよりも溶解性に優れるため、適用範囲が広いという利点を備えている。そのため、starch(7)〜starch(10)のようなデンプン誘導体も本発明の範囲内のものである。
【0036】
(実施例2)
ペプチドの分離を行なった。
ペプチド試料は流路内壁に対してアミノ酸よりも吸着しやすい。
そこで、分子量の異なる2種類のペプチドを用意し、実施例1のアミノ酸と同様に、蛍光ラベル化剤NBD−Fで標識したペプチド試料を調製した。
【0037】
水浴で加熱した10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に3%の濃度になるようにデンプン誘導体を溶解した溶液を泳動媒体として用いた。デンプン誘導体として、4級アンモニウムで修飾されたデンプン誘導体である図2の表中のstarch(3)を用いた。
【0038】
その結果を図5に示す。泳動波形は3つのピークに分離されており、最初に現われているピークは標識化ペプチドから外れた蛍光体NBD−OHであり、その後に続く2つのピークが標識化ペプチドである。なお、NBD−OHピークの前の小さいピークはNBD−Aspであると考えられる。
図5の結果から、本発明の添加剤を添加した泳動媒体を使用すると、ペプチド試料の分離分析も可能であることがわかる。
【0039】
キャピラリー電気泳動で用いられる添加剤の多くは、コーティング剤として有効な化合物が多い(非特許文献6,7参照。)。そしてマイクロチップ電気泳動においても、添加剤として汎用されているCTABが、コーティング剤としても有効であることが示されている(非特許文献8参照。)。現時点でCTAB以外に、poly(allylamine hydrochloride), poly(styrene sulfonate)(非特許文献4参照。)や、polybrene, dextran sulfate(非特許文献9参照。)等の高分子化合物が、コーティング剤として報告されていることから、デンプン誘導体もコーティング剤として有効である。
【0040】
実施例では、電気泳動用の流路が形成されるチップの材質としてポリメチルメタクリレートを使用した。アミノ酸やペプチドなどの生体試料はガラスよりも樹脂の方がより吸着しやすいので、本発明の効果がより顕著になるが、本発明はそのような樹脂製の電気泳動部材に限定されるものではない、石英ガラスなどのガラス製の電気泳動チップに本発明を適用すれば吸着をより抑制してさらに良好な電気泳動分離を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明はマイクロチップ電気泳動やキャピラリー電気泳動などの電気泳動方法によりアミノ酸やペプチドなどの生体試料を分離し分析するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例で使用したチップ電気泳動装置の電気泳動チップを示す概略平面図である。
【図2】実施例で使用したデンプン誘導体を示す化学構造式である。
【図3】デンプン誘導体及び報告されている添加剤(メチルセルロース)を添加したときの酸性泳動媒体でのアミノ酸の溶出挙動を示す波形図である。
【図4】デンプン誘導体および報告されている添加剤(メチルセルロース)を添加したときの中性泳動媒体でのアミノ酸の溶出挙動を示す図である。
【図5】蛍光誘導体化したペプチドの溶出挙動を示す波形図である。
【図6】吸着を抑制する添加剤を含まない泳動媒体で蛍光誘導体化したアミノ酸を分析したときのピーク形状を示す波形図である。
【符号の説明】
【0043】
2 電気泳動チップ
4 分離用流路
6 試料導入用流路
8 緩衝液溜め
10 緩衝液廃液溜め
12 試料溜め
14 試料廃液溜め
16 蛍光検出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泳動媒体を充填した分離用流路に電圧を印加して試料を電気泳動させつつ分離を行なう電気泳動方法において、泳動媒体に添加剤としてデンプン誘導体を含むことを特徴とする電気泳動方法。
【請求項2】
分離用流路の内壁面を、デンプン誘導体を含む被覆材で被覆する請求項1に記載の電気泳動方法。
【請求項3】
泳動媒体を充填した分離用流路に電圧を印加して試料を電気泳動させつつ分離を行なう電気泳動方法において、分離用流路の内壁面を、デンプン誘導体を含む被覆材で被覆することを特徴とする電気泳動方法。
【請求項4】
前記デンプン誘導体はデンプン中の水素が4級アンモニウム基、3級アミン基、ヒドロキシプロピル基、アセチル基、カルボキシメチル基、リン酸基及びオクテニルコハク酸基からなる群から選ばれた少なくとも1種類の置換基で置換されたもの、又はこれらの置換基の導入に加えて低分子化処理したものである請求項1から3のいずれかに記載の電気泳動方法。
【請求項5】
前記デンプン誘導体は4級アンモニウム基又は3級アミン基によりカチオン化したものである請求項4に記載の電気泳動方法。
【請求項6】
前記デンプン誘導体はさらにヒドロキシプロピル化したものである請求項5に記載の電気泳動方法。
【請求項7】
添加剤としてデンプン誘導体を含むことを特徴とする電気泳動媒体。
【請求項8】
前記デンプン誘導体はデンプン中の水素が4級アンモニウム基、3級アミン基、ヒドロキシプロピル基、アセチル基、カルボキシメチル基、リン酸基及びオクテニルコハク酸基からなる群から選ばれた少なくとも1種類の置換基で置換されたもの、又はこれらの置換基の導入に加えて低分子化処理したものである請求項7に記載の電気泳動媒体。
【請求項9】
前記デンプン誘導体は4級アンモニウム基又は3級アミン基によりカチオン化したものである請求項8に記載の電気泳動媒体。
【請求項10】
前記デンプン誘導体はさらにヒドロキシプロピル化したものである請求項9に記載の電気泳動媒体。
【請求項11】
試料の分離に用いられる流路の内壁面を被覆する被覆材であって、デンプン誘導体を含むことを特徴とする被覆材。
【請求項12】
前記デンプン誘導体はデンプン中の水素が4級アンモニウム基、3級アミン基、ヒドロキシプロピル基、アセチル基、カルボキシメチル基、リン酸基及びオクテニルコハク酸基からなる群から選ばれた少なくとも1種類の置換基で置換されたもの、又はこれらの置換基の導入に加えて低分子化処理したものである請求項11に記載の被覆材。
【請求項13】
前記デンプン誘導体は4級アンモニウム基又は3級アミン基によりカチオン化したものである請求項12に記載の被覆材。
【請求項14】
前記デンプン誘導体はさらにヒドロキシプロピル化したものである請求項13に記載の被覆材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−71433(P2006−71433A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254827(P2004−254827)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月5日 日本薬学会第124年会組織委員会発行の「日本薬学会第124年会要旨集」に発表
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(000227272)日澱化學株式会社 (23)