説明

電気泳動表示装置及び電子機器

【課題】信頼性の高い電気泳動表示装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】断面視において封止材が少なくとも第2基板の外側面に対して凹形状として形成されていることとしたので、少なくとも第2基板の外側面と封止材との間に空間が形成されることになる。この空間によって、急激な温度変化が生じた場合において、封止材が膨張するときのためのマージンが確保されることとなる。当該マージンを確保することにより、封止材が膨張した場合であっても、少なくとも第2基板が破損したり封止材が少なくとも第2基板から剥離したりするのを回避することができる。これにより、温度変化の激しい環境下においても破損する虞が少なく、信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、時計の文字盤などの表示部として、電気泳動表示装置が用いられるようになった。電気泳動表示装置の構成として、素子が形成された素子基板の表示領域に電気泳動シートが貼り付けられ、当該電気泳動シート上に保護基板が貼り合わされた構成が知られている。電気泳動シートは対向基板に電気泳動層及び接着層を積層した構成となっており、当該接着層を介して素子基板に貼り付けられている。上記構成の場合、素子基板や保護基板として無機ガラス基板を用いるのが一般的である。
【0003】
電気泳動表示装置をアナログ時計の文字盤として用いる場合、時計の指針の軸を貫通させる必要性があるため、表示領域内に貫通孔が設けられている。表示領域内に貫通孔を設ける場合、貫通孔を介して水分などが電気泳動層に浸入しないように貫通孔の内面に封止材が設けられている。従来の構成では、樹脂などからなる有機材料の封止材が貫通孔の内面全体を覆うように当該貫通孔の形成方向において素子基板の表面から保護基板の表面に至るまで形成されていた。
【特許文献1】特開2001−75112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有機材料からなる封止材の熱膨張率は、無機材料からなる素子基板及び保護基板の熱膨張率に比べて大きいため、上記のように封止材を貫通孔の内面全体に設ける構成であると、電気泳動表示装置に急激な温度変化が生じた場合、封止材の膨張によって素子基板又は保護基板が開口部において破損したり、封止材が開口部近傍で剥離したりしてしまうといった問題があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、信頼性に優れた電気泳動表示装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電気泳動表示装置は、第1基板と、第2基板との間に電気泳動シートを挟持し、前記電気泳動シートの表示領域において前記第1基板から第2基板までを貫通する貫通孔を備えた電気泳動表示装置であって、前記貫通孔の内部には、少なくとも前記貫通孔に露出した前記電気泳動シートの端部を封止するための封止材が設けられ、断面視において前記封止材は、少なくとも前記第2基板の外側面に対して凹形状として形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、電気泳動シートの表示領域において第1基板から第2基板までを貫通する貫通孔の内部には、少なくとも貫通孔に露出した電気泳動シートの端部を封止するための封止材が設けられ、断面視においてこの封止材が少なくとも第2基板の外側面に対して凹形状として形成されていることとしたので、少なくとも第2基板の外側面と封止材との間に空間が形成されることになる。この空間によって、急激な温度変化が生じた場合において、封止材が膨張するときのためのマージンが確保されることとなる。当該マージンを確保することにより、封止材が膨張した場合であっても、少なくとも第2基板が破損したり封止材が少なくとも第2基板から剥離したりするのを回避することができる。これにより、温度変化の激しい環境下においても破損する虞が少なく、信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。
【0008】
上記の電気泳動表示装置は、前記封止材は前記電気泳動シート及び前記第2基板に接しており、前記封止材のうち前記第2基板に接する部分の前記貫通孔の径は、前記封止材のうち前記電気泳動シートに接する部分の前記貫通孔の径よりも大きくなっていることを特徴とする。
本発明によれば、封止材が電気泳動シート及び第2基板に接しており、封止材のうち第2基板に接する部分の貫通孔の径が封止材のうち電気泳動シートに接する部分の貫通孔の径よりも大きくなっていることとしたので、当該封止材のうち第2基板に接する部分において封止材の膨張マージンをより大きく確保することができる。これにより、温度変化による破損を一層確実に回避することができ、より信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。
【0009】
上記の電気泳動表示装置は、断面視において前記封止材は、前記第1基板の外側面及び前記第2基板の外側面の両方に対して凹形状として形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、断面視において封止材は、第1基板の外側面及び第2基板の外側面の両方に対して凹形状として形成されていることとしたので、第1基板及び第2基板の両側にマージンを確保することができる。これにより、より破損の虞が少なく、より信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。
【0010】
上記の電気泳動表示装置は、前記封止材は前記電気泳動シート及び前記第1基板に接しており、前記封止材のうち前記第1基板に接する部分の前記貫通孔の径は、前記封止材のうち前記電気泳動シートに接する部分の前記貫通孔の径よりも大きくなっていることを特徴とする。
本発明によれば、封止材が電気泳動シート及び第1基板に接しており、封止材のうち第1基板に接する部分の貫通孔の径が封止材のうち電気泳動シートに接する部分の貫通孔の径よりも大きくなっていることとしたので、当該封止材のうち第1基板に接する部分において封止材の膨張マージンをより大きく確保することができる。これにより、温度変化による破損を一層確実に回避することができ、より信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。
【0011】
上記の電気泳動表示装置は、断面視において前記封止材は、少なくとも前記第2基板の外側面に対して前記電気泳動シート側に湾曲していることを特徴とする。
本発明によれば、断面視において封止材が少なくとも第2基板の外側面に対して電気泳動シート側に湾曲していることとしたので、封止材のうち湾曲した部分においては湾曲面に沿って均一に膨張することになる。このため、当該封止材の湾曲部側の基板の一部に極端な圧力が加わるのを回避することができる。これにより、当該基板の破損を一層確実に防ぐことができ、より信頼性に優れた電気泳動表示装置を得ることができる。
【0012】
本発明に係る電子機器は、上記の電気泳動表示装置を搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、温度変化の激しい環境下においても破損する虞が少なく、信頼性に優れた電気泳動表示装置が搭載されているので、動作信頼性の高い電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、図面に基づき、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を備えた腕時計(電子機器)1の正面図である。
同図に示すように、腕時計1は、時計ケース2と、当該時計ケース2に連結された一対のバンド3とを主体として構成されている。
【0014】
時計ケース2は、ステンレス等の金属又はプラスチック樹脂等の樹脂からなる。時計ケース2の正面には、表示部50と、秒針21と、分針22と、時針23とが設けられている。時計ケース2の側面には、操作子としての竜頭10と操作ボタン11とが設けられている。竜頭10は、ケース内部に設けられる巻真(図示せず)に連結されており、当該巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。
【0015】
図2は、腕時計1の側断面図である。
同図に示すように、時計ケース2の内部には収容部2Aが設けられている。収容部2Aには、ムーブメント4と表示部50とが収容されている。
【0016】
ムーブメント4は、秒針21、分針22及び時針23からなるアナログ指針が連結された運針機構(図示せず)を有している。この運針機構が前記アナログ指針21〜23を回転駆動することにより、設定された時刻を表示する時刻表示部として機能するようになっている。
【0017】
表示部50は、例えばアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置5によって構成されており、ムーブメント4の時計正面側に配置されている。表示部50の表示面は、ここでは円形状になっている。表示面の形状については、円形状のほか、例えば四角形、正八角形状、十六角形状など、他の形状になっていても構わない。
【0018】
電気泳動表示装置5の中央部には、表裏を貫通する貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aには、前記ムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されている。各軸の先端には、上述した秒針21、分針22及び時針23がそれぞれ取り付けられている。また、電気泳動表示装置5は、図中破線で示した表示領域5bにおいて表示を行うようになっている。したがって、貫通孔5aは平面視で表示領域5b内に設けられていることになる。
【0019】
収容部2Aの一端側(時計正面側)には、ガラス製又は樹脂製の透明カバー7が設けられている。この透明カバー7は、樹脂製又は金属製の圧入リング6を介して収容部2Aに圧入固定されている。収容部2Aの他端側(時計裏側)には、パッキン8を介して裏蓋9が螺合されている。裏蓋9及び透明カバー7によって時計ケース2の内部の密封性が確保されている。
【0020】
図3は電気泳動表示装置5のうち表示領域5bの構成を概略的に示す断面図である。
同図に示すように、電気泳動表示装置5は、第1基板としての素子基板30、電気泳動シート32、及び第2基板としてのカバーガラス31を備えており、素子基板30の表面に電気泳動シート32が貼り付けられ、当該電気泳動シート32の表面にカバーガラス31を配置した構成になっている。
【0021】
素子基板30は、例えばガラス基板、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板などの無機基板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)などを用いた基板上に不図示の駆動層が形成された構成になっている。駆動層には各画素に設けられる画素電極やスイッチング素子、当該スイッチング素子に接続されるデータ線及び走査線などが形成されている。平面的な駆動層の形成領域は、表示領域5bと略一致している。素子基板30の厚さは0.5mm程度になっている。なお、本実施形態においては、好適な事例として無機基板を用いることとして説明する。
【0022】
電気泳動シート32は透明基板(第2基板)33、電気泳動層34及び接着層35を有している。
透明基板33は電気泳動層34を保持する基板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)など光透過性の高い材料からなる基板である。透明基板33の表面33a側は電気泳動表示装置5の表示面になっている。透明基板33の内面33bにはほぼ全面に不図示の共通電極が形成されている。共通電極は例えばITOなどの光透過性の高い導電材料で構成されており、不図示の上下導通材によって素子基板30に接続されている。
【0023】
電気泳動層34は複数のマイクロカプセル(電気泳動物質層)を有している。なお、マイクロカプセルの図示は省略している。
マイクロカプセルは電気泳動分散液が封入された略球状のカプセルであり、各カプセルの直径はほぼ同一(50μm〜100μm)になっている。マイクロカプセルのカプセル壁膜を形成する材料としては、アラビアガム・ゼラチンの複合膜、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、尿素樹脂などの化合物が挙げられる。マイクロカプセルに封入された電気泳動分散液は、複数の電気泳動粒子と、当該電気泳動粒子を分散させるための液層分散媒とからなる。
【0024】
液層分散媒としては、水やアルコール系溶媒、各種エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独、またはこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0025】
電気泳動粒子としては、液相分散媒中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子(高分子あるいはコロイド)を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン等の白色顔料、モノアゾのアゾ系顔料、イソインドリノン等の黄色顔料、モノアゾのアゾ系顔料、キナクリドンレッド等の赤色顔料、フタロシアニンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0026】
マイクロカプセルには、例えば白色顔料である二酸化チタンと黒色顔料であるカーボンブラックとの二種類の電気泳動粒子が封入されており、一方が負に、他方が正に帯電されている。勿論他の電気泳動粒子を用いても構わないし、電気泳動粒子を一種類のみ用い、これを共通電極側、あるいは画素電極側に泳動させることで表示可能となるように構成しても構わない。
【0027】
接着層35は、バインダを兼ねた熱硬化タイプの接着剤である。接着層35としては、マイクロカプセルのカプセル壁膜に対する親和性が良好で、共通電極および画素電極に対する接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。また、熱硬化タイプではあるが、硬化後も弾性がある接着剤が好ましい。
【0028】
カバーガラス31は光透過性が高く、平坦度が優れ、キズつきにくいガラスなどが適している。具体的には、無機ガラスや、クリスタルガラスを用いることができる。また、サファイヤガラスや、アクリルガラスであっても良い。カバーガラス31の厚さは0.3mm程度になっている。なお、本実施形態においては、好適な事例として無機ガラスを用いることとして説明する。
【0029】
このカバーガラス31と電気泳動シート32との間は、透明な接着剤(不図示)により固定されている。電気泳動表示装置5の周縁部においては、カバーガラス31と素子基板30との間に不図示のシール材が設けられている。当該シール材を構成する材料としては、例えばエポキシ系、アクリル系、シリコン系の樹脂などが挙げられる。
【0030】
また、電気泳動表示装置5には、平面視で表示領域5bのほぼ中央部に上記の素子基板30、電気泳動シート32及びカバーガラス31を貫通するように貫通孔5aが設けられている。貫通孔5aは素子基板30、電気泳動シート32及びカバーガラス31の面方向(図中左右方向)に対して垂直となるように形成されている。
【0031】
貫通孔5a内には封止材36が設けられている。この封止材36は電気泳動シート32のうち貫通孔5aに露出する部分を封止する。封止材36を構成する材料としては、上記のシール材と同様に例えばエポキシ系、アクリル系、シリコン系の樹脂などが挙げられる。なお、本実施形態においては、好適な事例として熱硬化型のエポキシ樹脂(接着剤)を用いることとして説明する。
【0032】
封止材36は、素子基板30の基板面30b側とカバーガラス31の基板面31a側とを連通する連通孔36aを有している。この連通孔36aには上記のムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されるようになっている。連通孔36aが設けられた状態での封止材36の厚さ、すなわち、封止部分の厚さは、0.7mm〜0.8mm程度になっている。
【0033】
貫通孔5aの形成方向(図中上下方向)における封止材36の両端部、すなわち端部36b及び端部36cのうち例えば端部36bは、断面視で基板面31aと電気泳動層34の上面34aとの間に位置する領域に設けられている。封止材36の端部36bと基板面31aとの間は空間37となっている。換言すると、封止材36は、カバーガラス31の外側面である基板面31aに対して、その端部36bが凹形状となるように形成されている。
【0034】
ちなみに、前述した従来の構成では、封止材36の端部36bがカバーガラス31基板面31a面と同一面になるように形成されていた。つまり、本実施形態の構成によれば、従来の構成に比べて、凹形状の分だけ、封止材36とカバーガラス31とが密着する面積が少なくなるため、有機材料と無機材料との熱膨張係数の差による、歪の発生を抑制することができる。
【0035】
この空間(凹形状)37は、電気泳動表示装置5に急激な温度変化が生じた場合において、封止材36が膨張する時のためのマージンとなる。封止材36の端部36bの位置としては、電気泳動シート32の防湿性能を確保することが可能な範囲で設定することができる。具体的には、端部36bの位置が、透明基板33の表面33aから0.1mm以上高く、基板面31aから0.05mm以上低いことが好ましい。
【0036】
なお、封止材36を充填する際に、有機材料と無機材料との接着性を向上させるために、あらかじめ貫通孔5a内にシランカップリング剤を塗布することが好ましい。この場合、無機材料であるカバーガラス31と素子基板30とに重点的に塗布すると良い。
【0037】
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置1の動作を簡単に説明する。
画素電極と共通電極との間に共通電極の電圧が相対的に高くなるように電圧を印加すると、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内のうち画素電極側に引き寄せられる。一方、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内の共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の透明基板30側には白色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bにはこの白色の電気泳動粒子の色(白色)が表示されることとなる。
【0038】
逆に、画素電極と共通電極との間に画素電極の電位が相対的に高くなるように電圧を印加すると、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によって画素電極側に引き寄せられる。一方、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によって共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の透明基板側には黒色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bには黒色の電気泳動粒子の色(黒色)が表示されることとなる。
【0039】
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置5の製造方法を説明する。
まず、図4に示すように、素子や配線等を形成した素子基板30の表示領域5bに電気泳動シート32を貼り付け、当該電気泳動シート32の透明基板33上に不図示のカバーガラス31を配置する。
【0040】
次に、図5に示すように、表示領域5bのほぼ中央部に、素子基板30、電気泳動シート32及びカバーガラス31を貫通するように貫通孔5aを形成する。
【0041】
次に、図6に示すように、貫通孔5aのうち素子基板30側を平坦な板状部材60によって塞いだ状態で、貫通孔5a内に封止材36を形成する。端部36bがカバーガラス31の基板面31aと電気泳動層34の上面34aとの間の領域に位置するように封止材36を形成する。電気泳動層34のうち貫通孔5aに露出した部分が封止材36によって封止されると共に、封止材36の端部36bと基板面31aとの間に空間37が形成される。
【0042】
次に、図7に示すように、封止材36の平面視中央部にカバーガラス31側の空間と素子基板30側の空間とを連通する連通孔36aを形成する。
このようにして、電気泳動表示装置5を製造する。
【0043】
本実施形態によれば、素子基板30、電気泳動シート32及びカバーガラス31を貫通する貫通孔5aが設けられており、当該貫通孔5aには、電気泳動シート32のうち貫通孔5aに露出する部分を封止すると共に、素子基板30のうち電気泳動シート32とは反対の基板面31a側と素子基板30のうち電気泳動シート32とは反対の基板面30b側とを連通する連通孔36aを有する封止材36が設けられており、貫通孔5aの形成方向における封止材36の端部36bが断面視で基板面31aと電気泳動層34との間に位置する領域に設けられていることとしたので、基板面31aと封止材36の端部36bとの間に空間37が形成されることになる。
【0044】
電気泳動シート32は水分を嫌うため、貫通孔5aに露出した電気泳動シート32の端部を封止材36によって覆うことによって、電気泳動シート32への水分の浸入を防止することができる。
【0045】
さらに、この空間37によって、急激な温度変化が生じた場合において封止材36が膨張する時のためのマージンが確保されることとなる。封止材36のマージンを確保することにより、封止材36が膨張した場合であっても、カバーガラス31が破損したり封止材36が剥離したりするのを回避することができる。これにより、温度変化の激しい環境下に置いても破損する虞の少ない電気泳動表示装置5を得ることができる。従って、信頼性に優れた電気泳動表示装置5を提供することができる。
【0046】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態においては、封止材36の端部36b及び端部36cのうち端部36bのみについて断面視で基板面31aと電気泳動層34の上面34aとの間に位置する領域に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば図8に示すように、端部36cについても断面視で基板面30bと電気泳動層34の下面34bとの間に位置する領域に設けられた構成としても構わない。
【0047】
また、図9に示すように、封止材36の端部36cの一部のみが断面視で基板面30bと電気泳動層34の下面34bとの間に位置する領域に設けられていると共に、端部36bの一部のみが断面視で基板面31aと電気泳動層34の上面34aとの間に位置する領域に設けられている構成としても構わない。この構成では、基板面31aと端部36bとの間に空間37aが形成されると共に、基板面30bと端部36cとの間にも空間37bが形成されることになる。端部36b及び端部36cの一方のみが当該構成であっても構わない。
【0048】
また、図10に示すように、封止材36の端部36bが断面視で基板面31aに対して電気泳動シート32側に湾曲している構成であっても構わない。この構成では、基板面31aと端部36bとの間に空間37cが形成されることになる。この場合、湾曲部分が基板面31aと電気泳動層34の上面34aとの間に位置する領域に設けられるように形成する。湾曲部分が端部36c側に形成されている構成であっても構わない。
【0049】
また、図11に示すように、端部36bが断面視で基板面31aに対して湾曲している構成であり、端部36cの一部が断面視で基板面30bと電気泳動層34の下面34bとの間に位置する領域に設けられた構成としても構わない。この場合、基板面31aと端部36bとの間に空間37cが形成されると共に、基板面30bと端部36cとの間に空間37bが形成されることになる。この構成は、上記変形例の構成を組み合わせたものである。図11の組み合わせの他、端部36b及び端部36cとして他の構成を組み合わせたものであっても勿論構わない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の表示装置に係る腕時計の正面図。
【図2】腕時計の側断面図。
【図3】電気泳動表示装置の側断面図。
【図4】電気泳動表示装置の製造過程を示す工程図。
【図5】同、工程図。
【図6】同、工程図。
【図7】同、工程図。
【図8】電気泳動表示装置の他の構成を示す側断面図。
【図9】電気泳動表示装置の他の構成を示す側断面図。
【図10】電気泳動表示装置の他の構成を示す側断面図。
【図11】電気泳動表示装置の他の構成を示す側断面図。
【符号の説明】
【0051】
1…腕時計(電子機器) 5…電気泳動表示装置 5a…貫通孔 30…素子基板(第1基板) 31…カバーガラス(第3基板) 32…電気泳動層 33…透明基板(第2基板) 34…電気泳動層 35…接着層 36…封止材 36a…連通孔 36b、36c…端部 37、37a〜37c…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板との間に電気泳動シートを挟持し、前記電気泳動シートの表示領域において前記第1基板から第2基板までを貫通する貫通孔を備えた電気泳動表示装置であって、
前記貫通孔の内部には、少なくとも前記貫通孔に露出した前記電気泳動シートの端部を封止するための封止材が設けられ、
断面視において前記封止材は、少なくとも前記第2基板の外側面に対して凹形状として形成されていることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記封止材は前記電気泳動シート及び前記第2基板に接しており、
前記封止材のうち前記第2基板に接する部分の前記貫通孔の径は、前記封止材のうち前記電気泳動シートに接する部分の前記貫通孔の径よりも大きくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
断面視において前記封止材は、前記第1基板の外側面及び前記第2基板の外側面の両方に対して凹形状として形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記封止材は前記電気泳動シート及び前記第1基板に接しており、
前記封止材のうち前記第1基板に接する部分の前記貫通孔の径は、前記封止材のうち前記電気泳動シートに接する部分の前記貫通孔の径よりも大きくなっている
ことを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
断面視において前記封止材は、少なくとも前記第2基板の外側面に対して前記電気泳動シート側に湾曲している
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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