説明

電気測定器用プローブ装置および電気測定器

【課題】プローブピン照明用の発光ダイオードや測定制御用の操作スイッチを有するプローブ装置において、測定器本体に接続するコネクタを小型かつ簡素化する。
【解決手段】測定器本体20に接続されるコネクタ10Bと、プローブピン11と、プローブピン11のピン先に向けて光を照射する照明用発光ダイオード14aと、照明用発光ダイオード14aの駆動を制御するとともに、測定器本体20に所定の指示信号を与える操作スイッチ13aとを備えている電気測定器用プローブ装置において、内蔵電池12を備えているとともに、コネクタ10Bは、プローブピン11にて検出された電気信号を測定器本体20に与える第1接続手段11aと、操作スイッチ13aによる指示信号を測定器本体20に伝達する第2接続手段とを有し、第2接続手段に指示信号を光信号として測定器本体20に送信する送信用発光ダイオード17aを用い、照明用発光ダイオード14aおよび送信用発光ダイオード17aの駆動電源を内蔵電池12より得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルマルチメータ等で使用される電気測定器用プローブ装置および電気測定器に関し、さらに詳しく言えば、接続機器としてのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルマルチメータ等に用いられるプローブ装置には、操作性を考慮して、プローブピンのピン先に光を照射するライトや、測定器本体(DMM)に指示信号を与える操作スイッチを有するものがある。その従来装置の一例の外観を図3に示し、図4に回路構成図を示し、これについて説明する。
【0003】
これによると、このプローブ装置1は、測定作業者によって把持される細長い筒状のグリップ2を備え、その後端には電気ケーブル4を介してコネクタ3が連結されている。コネクタ3は、図示しない測定器本体に着脱可能に接続される。
【0004】
グリップ2の先端側には、図示しない被測定体から電気信号を検出するプローブピン5と、プローブピン5のピン先に向けて光を照射するライトとしての照明用発光ダイオード6とが設けられている。また、グリップ2の例えば上面側には、操作スイッチ7が設けられている。
【0005】
図4に示すように、コネクタ3内には、プローブピン5の出力端子5a、照明用発光ダイオード6に対する給電端子6a,6b、操作スイッチ7による指示信号を測定器本体の制御部に与える制御信号出力端子7a,7bとが設けられている。
【0006】
操作スイッチ7は、オンオフスイッチで、この例において、照明用発光ダイオード6の点灯,消灯スイッチを兼ねる連動スイッチとして構成されている。
【0007】
図示されていないが、このプローブ装置1は、プローブピン5と対として用いられるコモン側のプローブピンを有し、コモン側のプローブピンは、コネクタ3とは別に測定器本体のコモン端子に接続される。
【0008】
コネクタ3を測定器本体に接続することにより、測定器本体側から給電端子6a,6bを介して照明用発光ダイオード6に電源が供給されるともに、プローブピン5が出力端子5aを介して測定器本体内の計測部に接続され、制御信号出力端子7a,7bが測定器本体内の制御部に接続される。
【0009】
動作の一例として、操作スイッチ7をオンにすることにより、測定器本体内の制御部に測定開始信号が与えられるとともに、照明用発光ダイオード6が点灯する。また、プローブピン5にて検出された被測定体の電気信号(測定信号)がA/D変換器を介して測定器本体内の計測部に取り込まれる。
【0010】
測定終了時に、操作スイッチ7をオフにすると、照明用発光ダイオード6が消灯するとともに、制御部から計測部にホールド信号が出され、計測部に取り込まれた測定データがホールドされ、制御部にて所定の測定演算処理が行われる。このようなプローブ装置の類例として特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−121877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来例のように、照明用発光ダイオード6や操作スイッチ7を備える場合、コネクタ3には、プローブピン5用の出力端子5aのほかに、照明用発光ダイオード6用の給電端子6a,6bおよび操作スイッチ7用の制御信号出力端子7a,7bが設けられることから、コネクタ3の構造が複雑になる。
【0013】
そればかりでなく、特に給電端子6a,6bが存在するため、各端子間に安全性を見込んで所定の沿面離間距離が必要となり、これがコネクタ3を大型にしている。また、端子数が多くなることにより、接触不良のリスクが高まる、という問題がある。
【0014】
したがって、本発明の第1の課題は、プローブピン照明用の発光ダイオードや測定制御用の操作スイッチを有するプローブ装置において、測定器本体に接続するコネクタを小型かつ簡素化するとともに、接続の信頼性を高めることにある。また、本発明の第2の課題は、測定器本体と、コネクタを介して測定器本体に接続されるプローブ装置とを有する電気測定装置において、コネクタ部分から入り込む外乱光による誤動作を確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した第1の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、制御部および計測部を含む測定器本体に着脱可能に接続されるコネクタと、被測定体から電気信号を検出するプローブピンと、上記プローブピンのピン先に向けて光を照射する照明用発光ダイオードと、上記照明用発光ダイオードの駆動を制御するとともに、上記制御部に所定の指示信号を与える操作スイッチとを備えている電気測定器用プローブ装置において、電源としての内蔵電池を備えているとともに、上記コネクタは、上記プローブピンにて検出された上記電気信号を上記計測部に与える第1接続手段と、上記操作スイッチによる上記指示信号を上記制御部に伝達する上記第2接続手段とを有し、上記第2接続手段に上記指示信号を光信号として上記制御部に送信する送信用発光ダイオードが用いられ、上記照明用発光ダイオードおよび上記送信用発光ダイオードの駆動電源を上記内蔵電池より得るようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記送信用発光ダイオードは、発振周波数が一定の発振回路により駆動されることを特徴としている。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、上記コネクタが上記測定器本体に装着されたことを確認するコネクタ装着確認手段をさらに備えていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項3において、上記コネクタ装着確認手段に磁気センサが用いられることを特徴としている。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項において、上記操作スイッチはオンオフスイッチからなり、上記照明用発光ダイオードは上記操作スイッチのオン時に点灯,オフ時に消灯し、上記操作スイッチのオン時および/またはオフ時に上記指示信号が上記制御部に送信されることを特徴としている。
【0020】
上記した第2の課題を解決するため、請求項6に係る発明は、制御部および計測部を含む測定器本体と、上記測定器本体に着脱可能に接続されるコネクタを有するプローブ装置とを備え、上記プローブ装置には、被測定体から電気信号を検出するプローブピンと、上記プローブピンのピン先に向けて光を照射する照明用発光ダイオードと、上記照明用発光ダイオードの駆動を制御するとともに、上記制御部に所定の指示信号を与える操作スイッチとが設けられており、上記コネクタには、上記プローブピンにて検出された上記電気信号を上記計測部に与える第1接続手段と、上記操作スイッチによる上記指示信号を上記制御部に伝達する上記第2接続手段とが含まれている電気測定器において、上記第2接続手段が、上記プローブ装置側に設けられた送信用発光ダイオードと上記測定器本体側に設けられた受光素子とを含むフォトカプラーからなり、上記プローブ装置は、電源としての内蔵電池を備え、上記照明用発光ダイオードおよび上記送信用発光ダイオードの駆動電源を上記内蔵電池より得るようにしたことを特徴としている。
【0021】
請求項7に係る発明は、請求項6において、上記プローブ装置側において、上記送信用発光ダイオードは発振周波数が一定の発振回路により駆動され、上記測定器本体側の制御部は、上記受光素子の受信信号の周波数が上記発振周波数と同一周波数である場合、上記測定器本体に上記プローブ装置が接続されていると判断することを特徴としている。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項6または7において、上記コネクタが上記測定器本体に装着されたことを確認するコネクタ装着確認手段をさらに備え、上記制御部は、上記コネクタが未装着の場合には、上記受光素子の出力を無効とすることを特徴としている。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項8において、上記コネクタ装着確認手段に、上記コネクタ側に設けられた永久磁石を被検出体とする磁気センサが用いられることを特徴としている。
【0024】
請求項10に係る発明は、請求項6ないし9のいずれか1項において、上記操作スイッチはオンオフスイッチからなり、上記照明用発光ダイオードは上記操作スイッチのオン時に点灯,オフ時に消灯し、上記操作スイッチのオン時および/またはオフ時に上記指示信号が上記制御部に送信され、上記制御部は上記指示信号に基づいて上記計測部から測定データを得て所定の測定処理を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に係る電気測定器用プローブ装置によれば、電源としての内蔵電池を備えているとともに、操作スイッチによる指示信号を測定器本体側の制御部に伝達するコネクタ内における第2接続手段として、上記指示信号を光信号として上記制御部に送信する送信用発光ダイオードを用い、プローブピン照明用の発光ダイオードおよび送信用発光ダイオードの駆動電源を内蔵電池より得るようにしたことにより、コネクタ内に設けられる測定器本体との接続手段は、プローブピンにて検出された電気信号を測定器本体側の計測部に与える第1接続手段と、上記送信用発光ダイオード(第2接続手段)だけでよく、照明用発光ダイオードに対する測定器本体側からの給電端子は不要となることから、測定器本体に接続するコネクタを小型かつ簡素化し得るとともに、接続の信頼性を高めることができる。
【0026】
また、本発明の請求項6に係る電気測定器によれば、請求項1に係る電気測定器用プローブ装置との組み合わせで、測定器本体側に上記送信用発光ダイオードの相手方となる受光素子を備え、上記送信用発光ダイオードが発振周波数が一定の発振回路により駆動される請求項7においては、受光素子の受信信号の周波数が上記発振周波数と同一周波数である場合には、測定器本体に上記プローブ装置が接続されていると判断し、上記コネクタが上記測定器本体に装着されたことを確認するコネクタ装着確認手段をさらに備えている請求項8においては、上記制御部は、上記コネクタが未装着の場合には、上記受光素子の出力を無効とするようにしたことにより、受光素子に入り込む外乱光による誤動作を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態を示す模式図。
【図2】本発明の第2実施形態を示す模式図。
【図3】電気測定器用プローブ装置で、プローブピンのピン先に光を照射するライトおよび測定器本体に指示信号を与える操作スイッチを有する従来例を示す外観図。
【図4】上記従来例を示す回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の第1実施形態を図1により、また、本発明の第2実施形態を図2により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
図1には、本発明の第1実施形態に係るプローブ装置10と測定器本体20とを含む電気測定器が示されている。
【0030】
プローブ装置10は、プローブ本体10Aと、測定器本体20に対して着脱可能なコネクタ10Bとを有し、これらは電気ケーブル10Cを介して接続されている。なお、プローブ本体10A,コネクタ10Bおよび電気ケーブル10Cは、それぞれ、先の図3におけるグリップ2,コネクタ3および電気ケーブル4に対応している。
【0031】
プローブ本体10Aには、図示しない被測定体から電圧,抵抗,電流等の電気信号(測定信号)を検出するプローブピン11が設けられており、コネクタ10Bには、プローブピン11の出力端子11aが設けられている。
【0032】
プローブピン11と出力端子11aは、電気ケーブル10C内の所定の配線を介して接続されている。出力端子11aには、例えばバナナプラグ(通称)が用いられてよい。実際の測定時には、プローブピン11とともにコモン側のプローブピン(以下、コモンプローブピンと言うことがある)が用いられるが、コモンプローブピンについては、図示が省略されている。
【0033】
また、プローブ本体10Aには、電源としての電池(バッテリー)12が内蔵されている。電池12の正極側と負極側との間には、操作回路13と、照明回路14と、ワンショット回路15と、発振回路16と、測定器本体20に対する送信回路17とがそれぞれ並列に接続されている。
【0034】
操作回路13は、操作スイッチ13aと電流制限用の抵抗R1の直列回路からなる。この実施形態において、操作スイッチ13aは、常開型のオンオフスイッチで、測定作業者により、例えば測定開始時にオン,測定終了時にオフにされる。
【0035】
照明回路14には、照明用の発光ダイオード14a,電流制限用の抵抗R2およびスイッチングトランジスタ14bが直列に含まれ、スイッチングトランジスタ14bのベースには、ベース抵抗R3を介して操作スイッチ13aのオン・オフ信号が加えられる。
【0036】
発光ダイオード14aは、先の図3で説明した照明用発光ダイオード6と同じく、その点灯時に、プローブピン11のピン先に向けて光を照射する。
【0037】
ワンショット回路15および発振回路16は、それらの各電源端子が電池12の正極と負極に接続され、電池12から駆動電源を得る。
【0038】
ワンショット回路15は、操作スイッチ13aによる操作信号(オン信号もしくはオフ信号)をトリガ信号として動作し、所定時間の間、パルス信号(この例では、立ち上がりパルス信号)を発振回路16に出力する。所定時間経過後、パルス信号は消失する。
【0039】
発振回路16は、ワンショット回路15からパルスが出力されている間、所定周波数のパルスを発生する。この実施形態において、操作スイッチ13aによるワンショット回路15のトリガ信号は、照明回路14を介して与えられるようにしている。
【0040】
送信回路17には、送信用の発光ダイオード17aと、電流制限用の抵抗R4およびスイッチングトランジスタ17bが直列に含まれている。スイッチングトランジスタ17bのベースには、発振回路16から所定周波数のパルスが印加され、これにより、発光ダイオード17aは、所定周波数のパルスに基づいて点滅する。
【0041】
本発明において、送信回路17は、プローブピン11の出力端子11aとともにコネクタ10Bに設けられ、電気ケーブル10C内の所定の給電配線を介して電池12に接続されている。
【0042】
測定器本体20は、制御部21と計測部22とを備えている。このほかに、測定値等を表示する表示部や操作用のファンクションキー等が設けられているが、これらの図示は省略されている。測定器本体20は、例えばデジタルマルチメータ(DMM)と同等の機能を備えていることが好ましい。
【0043】
測定器本体20は、プローブピン11の出力端子11aの相手方となるレセプタクル23を有し、プローブピン11にて検出された測定信号は、レセプタクル23から測定器本体20に伝達され、図示しないA/D変換器を介して計測部22に取り込まれる。
【0044】
また、測定器本体20は、送信回路17の相手方となる受信回路24を備えている。この実施形態において、受信回路24は、フォトトランジスタ24aを含み、フォトトランジスタ24aの受信信号は制御部21に与えられる。
【0045】
測定にあたっては、まず、コネクタ10Bを測定器本体20に装着する。これにより、プローブピン11の出力端子11aがレセプタクル23に接続されるとともに、送信回路17の発光ダイオード17aと受信回路24のフォトトランジスタ24aとの光学的な組み合わせからなるフォトカプラーが構成される。また、図示しないコモンプローブピンを測定器本体20の図示しないコモン端子に接続する。
【0046】
次に、プローブピン11とコモンプローブピンとを被測定体の所定部位に接触させ、操作スイッチ13aを押してオンにする。これにより、スイッチングトランジスタ14bのベースに所定のベース電圧が印加され、スイッチングトランジスタ14bが導通状態となり、照明用の発光ダイオード14aが点灯する。なお、操作スイッチ13aを押して照明用の発光ダイオード14aを点灯させてから、各プローブピンを被測定体に接触させてもよい。
【0047】
その後、操作スイッチ13aを離してオフにする。これにより、照明用の発光ダイオード14aが消灯するとともに、ワンショット回路15にトリガ信号が入り、ワンショット回路15から、所定時間の間、立ち上がりパルス信号が出力される。
【0048】
ワンショット回路15からパルス信号が出されている間、発振回路16から所定周波数のパルス信号がスイッチングトランジスタ17bのベースに与えられ、これにより、送信用の発光ダイオード17aが点滅する。
【0049】
測定器本体20側では、送信用の発光ダイオード17aによる点滅信号をフォトトランジスタ24aで受光し、その受光信号が制御部21に与えられる。
【0050】
制御部21は、上記受光信号が、発振回路16の発振周波数と同一周波数のクロック信号であれば、プローブ装置10が測定器本体20に接続され、かつ、操作スイッチ13aがオフにされたと判断し、計測部22に取り込まれた測定データをホールドし、所定の演算処理を実行し、その結果を図示しない表示部に表示する。
【0051】
このように、プローブ装置10と測定器本体20との間における制御用信号(操作スイッチ信号)の伝達を所定周波数の光クロックパルスにて行うことにより、プローブ装置10の接続・未接続の判断および制御用信号の伝達を確実に行うことができる。
【0052】
また、通常のプローブピン(ライトや操作スイッチを持たないコモンプローブピンと同様のプローブピン)がレセプタクル23に差し込まれて使用されたとき、フォトトランジスタ24aが外乱光に晒されることになるが、その外乱光による誤動作も防止することができる。
【0053】
次に、図2の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態と異なる点は、発振回路16が省略されている点と、プローブ装置10の接続・未接続の判断を磁気センサで行うようにしている点であり、そのほかの構成は上記第1実施形態と同じであってよい。
【0054】
図2に示すように、第2実施形態では、ワンショット回路15の出力パルス(所定時間の間出力される立ち上がりパルス)で送信回路17内のスイッチングトランジスタ17bが直接的に駆動される。
【0055】
また、コネクタ10Bには、永久磁石18が設けられる。これに対して、測定器本体20側には、永久磁石18を被検出体とする磁気センサ25が設けられる。磁気センサ25には、例えばホール素子が用いられてよい。
【0056】
測定に先だって、コネクタ10Bを測定器本体20に接続すると、磁気センサ25により永久磁石18の存在が検知され、その検知信号が制御部21に入力される。これにより、制御部21は、プローブ装置10が測定器本体20に接続されたと判断し、フォトトランジスタ24aからの受光信号を有効として扱う。
【0057】
上記第1実施形態と同様に、プローブピン11とコモンプローブピンとを被測定体の所定部位に接触させ、操作スイッチ13aを押してオンにすると、スイッチングトランジスタ14bのベースに所定のベース電圧が印加され、スイッチングトランジスタ14bが導通状態となり、照明用の発光ダイオード14aが点灯する。なお、操作スイッチ13aを押して照明用の発光ダイオード14aを点灯させてから、各プローブピンを被測定体に接触させてもよい。
【0058】
その後、操作スイッチ13aを離してオフにすると、照明用の発光ダイオード14aが消灯するとともに、ワンショット回路15にトリガ信号が入り、ワンショット回路15から、所定時間の間、立ち上がりパルス信号が出力される。
【0059】
この第2実施形態では、上記立ち上がりパルス信号がスイッチングトランジスタ17bのベースに与えられることにより、ワンショット回路15からパルス信号が出されている間、送信用の発光ダイオード17aが点灯する。
【0060】
測定器本体20側では、送信用の発光ダイオード17aによる点灯信号をフォトトランジスタ24aで受光し、その受光信号が制御部21に与えられる。これにより、制御部21は、操作スイッチ13aがオフにされたと判断し、計測部22に取り込まれた測定データをホールドし、所定の演算処理を実行し、その結果を図示しない表示部に表示する。
【0061】
磁気センサ25から永久磁石18の検出信号が出されない場合、制御部21は、プローブ装置10が未接続であると判断し、フォトトランジスタ24aからの受光信号が出されても、それを無効とする。
【0062】
これにより、上記第1実施形態で説明したのと同じく、通常のプローブピンが使用されたときにおける外乱光による誤動作を防止することができる。
【0063】
なお、上記第1および第2実施形態では、操作スイッチ13aがオフにされたとき、測定器本体20側では、測定データをホールドするようにしているが、操作スイッチ13aがオフにされたときに、測定データをホールドさせることも可能である。
【0064】
上記第1および第2実施形態によれば、プローブ本体10A内に電池12を内蔵し、プローブピン照明用の発光ダイオード14aおよび送信用の発光ダイオード17aの駆動電源を内蔵電池12より得るようにしたことにより、コネクタ10Bには、測定器本体20側からの給電用端子が不要となるため、コネクタを小型かつ簡素化し得るとともに、接続の信頼性を高めることができる。
【0065】
また、上記第1実施形態では、プローブ装置10と測定器本体20との間における制御用信号(操作スイッチ信号)の伝達媒体として、所定周波数の光クロックパルスを用いるようにしたことにより、プローブ装置10の接続・未接続の判断および制御用信号の伝達を確実に行うことができるとともに、通常のプローブピンが使用されたときにおける外乱光による誤動作を防止することができる。
【0066】
また、上記第2実施形態では、永久磁石18と磁気センサ25とからなるコネクタ装着確認手段を有し、プローブ装置10が未接続の場合には、受光素子としてのフォトトランジスタ24aから出力される受光信号を無効として扱うようにしたことにより、上記第1実施形態同様に、通常のプローブピンが使用されたときにおける外乱光による誤動作を防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 プローブ装置
10A プローブ本体
10B コネクタ
10C 電気ケーブル
11 プローブピン
12 電池
13 操作回路
13a 操作スイッチ
14 照明回路
14a 照明用発光ダイオード
14b スイッチングトランジスタ
15 ワンショット回路
16 発振回路
17 送信回路
17a 送信用発光ダイオード
17b スイッチングトランジスタ
18 永久磁石
20 測定器本体
21 制御部
22 計測部
23 レセプタクル
24 受信回路
24a フォトトランジスタ
25 磁気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および計測部を含む測定器本体に着脱可能に接続されるコネクタと、被測定体から電気信号を検出するプローブピンと、上記プローブピンのピン先に向けて光を照射する照明用発光ダイオードと、上記照明用発光ダイオードの駆動を制御するとともに、上記制御部に所定の指示信号を与える操作スイッチとを備えている電気測定器用プローブ装置において、
電源としての内蔵電池を備えているとともに、上記コネクタは、上記プローブピンにて検出された上記電気信号を上記計測部に与える第1接続手段と、上記操作スイッチによる上記指示信号を上記制御部に伝達する上記第2接続手段とを有し、
上記第2接続手段に上記指示信号を光信号として上記制御部に送信する送信用発光ダイオードが用いられ、上記照明用発光ダイオードおよび上記送信用発光ダイオードの駆動電源を上記内蔵電池より得るようにしたことを特徴とする電気測定器用プローブ装置。
【請求項2】
上記送信用発光ダイオードは、発振周波数が一定の発振回路により駆動されることを特徴とする請求項1に記載の電気測定器用プローブ装置。
【請求項3】
上記コネクタが上記測定器本体に装着されたことを確認するコネクタ装着確認手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気測定器用プローブ装置。
【請求項4】
上記コネクタ装着確認手段に磁気センサが用いられることを特徴とする請求項3に記載の電気測定器用プローブ装置。
【請求項5】
上記操作スイッチはオンオフスイッチからなり、上記照明用発光ダイオードは上記操作スイッチのオン時に点灯,オフ時に消灯し、上記操作スイッチのオン時および/またはオフ時に上記指示信号が上記制御部に送信されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気測定器用プローブ装置。
【請求項6】
制御部および計測部を含む測定器本体と、上記測定器本体に着脱可能に接続されるコネクタを有するプローブ装置とを備え、上記プローブ装置には、被測定体から電気信号を検出するプローブピンと、上記プローブピンのピン先に向けて光を照射する照明用発光ダイオードと、上記照明用発光ダイオードの駆動を制御するとともに、上記制御部に所定の指示信号を与える操作スイッチとが設けられており、上記コネクタには、上記プローブピンにて検出された上記電気信号を上記計測部に与える第1接続手段と、上記操作スイッチによる上記指示信号を上記制御部に伝達する上記第2接続手段とが含まれている電気測定器において、
上記第2接続手段が、上記プローブ装置側に設けられた送信用発光ダイオードと上記測定器本体側に設けられた受光素子とを含むフォトカプラーからなり、
上記プローブ装置は、電源としての内蔵電池を備え、上記照明用発光ダイオードおよび上記送信用発光ダイオードの駆動電源を上記内蔵電池より得るようにしたことを特徴とする電気測定器。
【請求項7】
上記プローブ装置側において、上記送信用発光ダイオードは発振周波数が一定の発振回路により駆動され、上記測定器本体側の制御部は、上記受光素子の受信信号の周波数が上記発振周波数と同一周波数である場合、上記測定器本体に上記プローブ装置が接続されていると判断することを特徴とする請求項6に記載の電気測定器。
【請求項8】
上記コネクタが上記測定器本体に装着されたことを確認するコネクタ装着確認手段をさらに備え、上記制御部は、上記コネクタが未装着の場合には、上記受光素子の出力を無効とすることを特徴とする請求項6または7に記載の電気測定器。
【請求項9】
上記コネクタ装着確認手段に、上記コネクタ側に設けられた永久磁石を被検出体とする磁気センサが用いられることを特徴とする請求項8に記載の電気測定器。
【請求項10】
上記操作スイッチはオンオフスイッチからなり、上記照明用発光ダイオードは上記操作スイッチのオン時に点灯,オフ時に消灯し、上記操作スイッチのオン時および/またはオフ時に上記指示信号が上記制御部に送信され、上記制御部は上記指示信号に基づいて上記計測部から測定データを得て所定の測定処理を実行することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の電気測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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