説明

電気足温履物

【課題】電源コードを無くしたコードレスタイプで加熱と保温ができることにあり、重量が軽く、最適な温度で長時間持続させて、且つ、使用しながら自由な歩行が可能な足温履物を提供する。
【解決手段】足の部位に合わせた形状の面状ヒータ1を熱源として用い、これを履物2の内部の足温部21に積層になるように配置するとともに、繰り返し充放電可能な2次電池13を同様に、履物内部に配置して、外部の充電器4にて充電された2次電池13からの電気が面状ヒータ1に供給されることで、発熱して、足先などを温めることができる。また、面状ヒータ1への過温監視部16を備えることで、温度が最適になるよう電源のオンオフ制御をすることで、省電力による連続使用時間を長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬季や屋外などの低温環境にいた時や身体的な血行不良、いわゆる冷え性によって感じる足先の寒さやしびれなどに悩まされる人のために、従来からある電気足温履物(電気スリッパなど)をコードレス化することで、使用しながら自由な歩行を可能とした履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源コードが付いた電気ヒータをスリッパ内部に熱源として配置し、発熱させることで足温する製品は多くあった。コードレスタイプでは、熱源にプラチナによる触媒作用によって酸化発熱を利用し、少量の揮発油を加えることで保温するものがあった。この他に、スリッパタイプの足温器の内部に蓄熱材と電気ヒータを配置して、電気ヒータによって蓄熱材を加熱充熱しておき、歩行時には電源コードを外して、コードレスタイプとして使用するものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−204703
【特許文献2】特開2001−299800
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くある電源コード付きのものでは、使用しながら自由に歩行したい時には、電源コードが邪魔になり、不可能であった。上記特許文献1に記載の装置では、使用する毎に、発熱源に揮発油の添加が必要となるため、面倒で、且つ、不経済であった。熱源の温度は揮発油の添加量に依存するため、その量の管理・制御が難しく、火災や火傷などの安全面の不安があった。上記特許文献2に記載の装置では、歩行に際しては、予め蓄熱材を加熱充熱する必要があり、急速を要求される状況での使用には対応が難しかった。また、発熱機能がないため、最適な温度を長時間持続させることが困難といった問題があった。
【0005】
本発明はこのような点を解消するためになされたものであり、電源コードを無くしたコードレスタイプで加熱と保温ができることと、重量も軽く、最適な温度にて長時間持続させることが可能な足温履物を提供することを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では上記問題を解決するために、請求項1の履物では、図1から図3に示すように、足の部位に合わせた形状の面状ヒータ1を熱源として用いる。これは足先を温めたい人の場合であるが、かかとを暖めたい人はその部位の大きさにしてもよい。この面状ヒータ1を履物2の内部の足温部21に積層になるように配置する。このように配置することで、面状ヒータ1は、シート状のため容易に足先の形状に馴染むことができ、熱伝導効率を向上させることができる。
【0007】
面状ヒータ1への供給エネルギーは、繰り返し充放電可能な2次電池13にて行い、これは歩行時に圧力や衝撃のかかりにくい履物内部の最適位置に配置している。過温監視部16は、面状ヒータ1の温度が最適になるように、一定の温度以上になると電源がオフされ、一定の温度以下になると電源がオンになるように制御するためと、発火や火傷の危険温度を超えないようにするためのもので、面状ヒータ1の近傍に配置される。
【0008】
この制御によって、省電力による連続使用時間を長くすることを可能としている。表示部18は、面状ヒータ1への電源がオンになっている状態を使用者に知らせるためのもので、スイッチ17は、使用時に電源をオンするものである。以上の部品は、図2の回路構成図に示すように、電気的に接続されている。バッテリー13への充電は、2次電池13の充電特性に最適に設定した電圧、電源容量で急速充電が十分可能な能力を持つ充電器Aで行う。充電器4からの電気的接続は、コネクタ15で行い、使用時には、充電器4からの着脱を可能にしている。
【0009】
温度検知部19は、本回路を履物2に組込み、製造上や使用時に予期せぬ部品故障や回路のショートなどによって起こる過度の温度上昇を検知することで回路電源をオフして、発火や火傷などを未然に防ぐためのものである。
【0010】
請求項2の履物は、請求項1の履物において、足の裏が接する中敷の表地部22と、足の甲に接する裏地部23に、遠赤外線放射繊維3を備えたものである。これにより、遠赤外線放射繊維3から放射された遠赤外線エネルギーが人の皮膚に吸収され、血液循環をよくすることによって、足を内部から温めることができ、請求項1と相まって相乗効果を促すものである。
【0011】
請求項3の履物は、請求項1及び請求項2の履物において、面状ヒータ1と中敷の表地示部22の間に、断熱材5を配置する。これにより、断熱材5の厚さを可変することで熱伝導率を変化させて、足温部21の温度を制御することで、使用者の好みに応じた温度を設定することを可能とするものである。
【0012】
請求項4の履物は、足の裏が接する中敷の表地部22と、 足の甲に接する裏地部23に、光触媒繊維7を備えたものである。これにより、光触媒繊維7からマイナスイオンが発生することで足指間の水虫の原因となる白癬菌の増殖を抑える、いわゆる抗菌作用を得ることができるもので、履物の種類によっては、病院などで不特定の人が使用する場合には、2次感染を抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
即ち、本発明の電気足温履物によれば、コードレスで加熱と保温ができ、重量も軽く、最適な温度にて長時間持続させることが可能で、従来の発明に無い快適な自由歩行が可能となる。発火や火傷の危険温度を超えないようにする機能を備えているため、使用者自身の安全や財産を保護することが可能である。使用者の好みに応じて、温めたい部位や最適な温度を設定して提供することが可能である。また、マイナスイオンの発生によって抗菌作用を得ることができるため、病院など公共施設でも不特定の人でも安心して共用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について説明する。本発明は、すべての履物に実施が可能であるが、実施例はスリッパを図示している。図1は当該電気足温履物の外観を表した図であり、図2は当該電気足温履物の断面を表した図であり、図3は当該電気足温履物の全体構成図を表したブロック図であり、図4は当該電気足温履物の概略回路構成図を表したブロック図である。
【0015】
図1に示されるように、外観は一般的なスリッパと同じ形態で実現しているため、違和感のないものである。履物22(スリッパ)において、足の裏が接する中敷の表地部22を遠赤外線放射繊維3または光触媒繊維7を布状にして、履物の大きさに加工されたものを接着や縫製によって中敷部25に固着することで製造される。足の甲に接する甲面の裏地部23も、中敷の表地部22と同様に遠赤外線放射繊維3または光触媒繊維7を布状にしたものを用いて製造される。
【0016】
中敷部25、履物底部24はEVAを使用しているが、発泡ウレタンやゴムのような柔軟性のある材料を用いて良い。これらは接着によって固着することで製造される。履物2の側面には、着脱可能なコネクタ15、表示部18を接着にて配置している。コネクタ15は、一般的に使用されている電源用のジャックを使用しているが、電気的な接続、切断ができるものであれば良い。表示部18は、発光ダイオードを使用しているが、小型電球などでも良い。以上説明した各要素部品は、接着や縫製で製造しているが、熱溶着や金型で、例えば樹脂成型などで作ったものによる機械的な勘合による方法でも良い。
【0017】
内部の構造は、図2に示されるように、中敷部25若しくは、履物底部24を中空にして、その足先付近においては、中敷の表地部22の下層に断熱材5を、その下層に面状ヒータ1を積層状に配置している。面状ヒータ1の近傍に過温監視部16を配置して、中空部に収容される。これらは接着によって固着することで製造されが、縫製あるいは、熱溶着や金型で、例えば樹脂成型などで作ったものによる機械的な勘合による方法でも良い。
【0018】
中空の足裏の土踏まず付近においては、充放電可能な2次電池13を配置しているが、このような位置にすることで、2次電池13が受ける使用者の体重や歩行時の衝撃などの影響を緩和している。2次電池13は、一般的な電池収納ケースに入れられ、中空部に収容されている。面状ヒータ1は、黒鉛シートを使用しているが、同等の発熱特性が得られるものであれば、電熱コイルをシート状に積層したものでも良い。
【0019】
電気回路を、図3と図4で説明する。全体の構成は、図3に示されるように、充電器4から電源コードにより左足と右足の形状に製造された一対の本発明の電気足温履物6にあるコネクタ15に接続される。コネクタ15は、一般的に使用されている電源用のプラグなどで良い。充電器4には、例えば、家庭用の1次電源(商用100V))などから電気が供給され、充電器4内で前述の2次電池13の充電特性に最適に設定した電圧、電源容量で急速充電が十分可能な2次電源に変換する。
【0020】
この変換された電気は、電源コードを介して一対の本発明の電気足温履物6にあるコネクタ15に供給される。内部の回路構成は図3に示されるように、コネクタ15に供給された電気は、充電切換部11に供給されて、充電時には、充放電可能な2次電池13へ供給されるように切換を行うことで、充電される。使用時には、充電切換部11で充放電可能な2次電池13から電気がスイッチ17に供給されるように切換を行う。
【0021】
スイッチ17は、機械的接点を持つ機械的スイッチを使用しているが、電子式でも一般的なもので良い。スイッチ17がオンになると、面状ヒータ1に電気が供給されて発熱が開始されと、同時に表示部18が点灯する。表示部18は、発光ダイオードで表示させているが一般的な小型電球などでも良い。これと並行して過温監視部16が動作して、一定の温度以上になると、供給電源をオフし、一定の温度以下になると、供給電源がオンになるように切換えを行っている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態にかかる本発明の第1の実施の形態を表す外観図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を表す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の全体構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の概略回路構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1 面状ヒータ
11 充電切換部
13 充放電可能な2次電池
15 着脱可能なコネクタ
16 過温監視部
17 スイッチ
18 表示部
19 温度検知部
2 履物
21 足温部
22 中敷の表地部
23 甲面の裏地部
24 履物底部
25 中敷部
3 遠赤外線放射繊維
4 充電器
5 断熱材
6 本発明の電気足温履物
7 光触媒繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の部位の形状に合わせた熱源用の面状ヒータ1を履物2の内部の足温部21に積層になるように配置して、繰り返し充放電可能な2次電池13、過温監視部16と2次電池13と充電器4の電気的接続を行うコネクタ15を履物2内に配置して、前記の面状ヒータ1と2次電池13バッテリー13、過温監視部16、コネクタ15を電気的に接続した回路で構成され、充電器4との電気的接続を外した時には、コードレスで足温効果を得ることを特徴とする電気足温履物。
【請求項2】
足の裏が接する中敷の表地部22と、足の甲に接する裏地部23に、遠赤外線放射繊維3を備えて成ることを特徴とする請求項1、請求項3記載の電気足温履物。
【請求項3】
面状ヒータ1と中敷の表地部22の間に、熱伝導率を変化させるための断熱材5を配置したことを特徴とする請求項1記載の電気足温履物。
【請求項4】
足の裏が接する中敷の表地部22と、足の甲に接する裏地部23に、光触媒繊維7を備えて成ることを特徴とする請求項1、請求項3記載の電気足温履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−116255(P2006−116255A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332415(P2004−332415)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(504423424)
【Fターム(参考)】