説明

電気集塵システム及び電気集塵方法

【課題】ダンパ開槌打及びダンパ閉槌打を制御するEP槌打制御方式を改善して、通常運転時の通風系統の動力費を低減できるようにすると共に、石炭焚きのボイラシステムを効率良く運用できるようにする。
【解決手段】EP灰処理装置42、煤塵濃度検出装置44、タイマ52と、これらの装置や、タイマ等から得られる石炭焚きのボイラシステムの運転条件に基づいて集塵極槌打装置24a,24b,24cを制御する制御装置55とを含み構成され、制御装置55は、インターバル荷電槌打を常時実施するように集塵極槌打装置24a等を制御し、インターバル荷電槌打の実施中に石炭焚きのボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、当該ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当していない場合は、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a等を制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭火力用の排ガス処理システムの通風系統に設けられて、排気ガス(以下単に排ガスという)中の煤塵を除去する電気集塵装置及びその制御方法に適用可能な電気集塵システム及び電気集塵方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、石炭焚きのボイラシステムで石炭を燃焼し、高圧蒸気を生成し、蒸気タービンを駆動して発電機を回転し、電力を発生する石炭火力発電所が運用され、需要家に電力を供給している。この種の石炭火力発電所には排ガスを処理する排ガス処理システムが備えられている(特許文献1参照)。
【0003】
<石炭火力用の排ガス処理システムの通風系統の全体構成例>
図14は、従来例に係る火石炭火力用の排ガス処理システムの通風系統に設けられて、排気ガス(以下単に排ガスという)中の煤塵を除去する電気集塵装置及びその制御方法に適用可能な電気集塵システム及び電気集塵方法に関するものである。力発電所の通風系統の概略構成例を示すブロック図である。図14に示す火力発電所の通風系統によれば、いわゆる平衡通風式のボイラシステムが備えられ、石炭焚き火力発電所で一般的に用いられている。
【0004】
この火力発電所の通風系統は、火炉12に接続された空気予熱器11(図14においてAHと略記する)及び排ガス脱硝装置13の他に、押込通風機10(同図中FDFと略記する)、熱回収器14(同図中GGHと略記する)、電気集塵装置15(同図中EPと略記する)、誘引通風機30(同図中IDFと略記する)、排ガス脱硫装置32、再加熱器35及び煙突40を有して構成される。
【0005】
火炉12には図示しない石炭焚きのボイラシステムが備えられる。このボイラシステムでは、火炉12内の圧力を大気圧よりも僅かに下げた状態で燃焼を行っている。火炉12には図示しない煙道を介して排ガス脱硝装置13が接続される。排ガス脱硝装置13は排ガスから窒素酸化物を除去する。
【0006】
排ガス脱硝装置13には煙道を介して空気予熱器11が接続される。空気予熱器11は、火炉12から排ガス脱硝装置13を経た燃焼ガスと燃焼用の空気との間で熱交換し、当該空気を加熱する。加熱された燃焼用の空気は、火炉12で石炭燃料と共に燃焼して排ガスとなる。空気予熱器11には図示しないエアーダクトを介して押込通風機10が接続される。押込通風機10はボイラトップより燃焼用の空気を吸い込み、火炉12の内部へ供給する。
【0007】
空気予熱器11には煙道を介して熱回収器14が接続される。熱回収器14は排ガスから熱を吸収するように当該排ガスと未処理ガスとの間で熱交換する。熱回収器14には煙道を介して電気集塵装置15(Electrostatic Precipitator:以下で単にEPともいう)が接続される。電気集塵装置15は熱回収器14を経た排ガスから煤塵を除去する。電気集塵装置15は、直流高電圧によってコロナ放電を発生させ、ガス中の煤塵(ダスト)を帯電させて(放電極)、この帯電粒子を電界中(電極間)に通過させ、ガスと分離捕集(集塵極)するものである。
【0008】
電気集塵装置15の出口煙道21(図15参照)には、誘引通風機30が接続される。誘引通風機30は火炉12の内部の圧力制御を行うため、煤塵が除去された、電気集塵装置15からの排ガスを吸引して排ガス脱硫装置32へ送り、煙突40より大気に放出するようになされる。誘引通風機30には煙道を介して排ガス脱硫装置32が接続される。排ガス脱硫装置32は排ガスから硫黄酸化物を除去する。
【0009】
排ガス脱硫装置32には煙道を介して再加熱器35が接続される。再加熱器35は、熱回収器14からの高温の未処理ガスと、硫黄酸化物除去後の排ガスとの間で熱交換をし、当該排ガスを所定温度まで昇温する。再加熱器35には煙道を介して煙突40が接続される。煙突40は再加熱器35、昇圧器(図示せず)を経て導かれる排ガスを大気へ放出する。
【0010】
このように平衡通風式のボイラシステムを備えた火力発電所の通風系統によれば、押込通風機10によって昇圧した空気を火炉12に供給すると共に、誘引通風機30によって排ガスを火炉12から引き出すことにより、火炉12の内部を負圧に保ちながら運転されている。これにより、排ガスや燃焼灰が火炉12から大気に漏れ出すことを抑制している。
【0011】
ところで、押込通風機10や誘引通風機30等には、例えば、遠心ファンや軸流ファンが使用されるが、誘引通風機30の入口圧力は、動翼(図示せず)の開度によって変動する。誘引通風機30の動翼開度は、押込通風機10の動翼開度、すなわち、火炉12への燃焼空気の押し込み量によって変動し、これは火炉圧力を一定にするために制御されているためである。夏季の空気密度が低い時期は、押込通風機10の動翼開度は増加し、それに伴い誘引通風機30の動翼開度も増加する。このとき、電気集塵装置15のダンパ閉止を行うと、電気集塵装置15が抵抗となることで、誘引通風機30の動翼開度も更に増加し、入力圧力も上昇する。誘引通風機30の動翼開度が制御範囲を超えたとき、火炉圧力制御が不可となる。
【0012】
<電気集塵装置15の構成例>
次に、図15を参照して電気集塵装置15の構成例について説明をする。図15に示す電気集塵装置15は所定の形状を成したケース15a及び区画板15bを有している。
区画板15bはケース15aの内部において排ガスの流れに沿う方向(以下ガス流れ方向という)に配置され、当該区画板15bによってケース15aの内部が第1室16及び第2室17に分割されている。第1室16及び第2室17の入口は入口煙道18に接続され、その出口は出口煙道21に接続される。
【0013】
また、第1室16及び第2室17は、ガス流れ方向と直交する仮想面(ガス流れ方向と鉛直に交わる面)で3つのセクション1S〜3Sに区分(分割)されている。この3つのセクション1S〜3Sと区画板15bとにより、ケース15aの内部が6区画に分割される。第1室16はセクション1S〜3Sによって3つの区画室16a〜16cに分けられ、区画室16a〜16cがガス流れ方向の上流側から下流側に向かって前室、中間室及び後室に対応している。第2室17も同様にして3つの区画室17a〜17cに分けられ、区画室17a〜17cが前室、中間室及び後室に対応している。
【0014】
これら各区画室16a,16b,16c,17a,17b,17cは、それぞれ独立して集塵極1及び放電極2、後述する集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25c及び荷電単位を持っている。第1室16及び第2室17の入口煙道18には、それぞれ独立して開閉可能な入口ダンパ19,20が設けられている。第1室16及び第2室17の出口煙道21には、それぞれ独立して開閉可能な出口ダンパ22,23が設けられている。入口ダンパ19及び出口ダンパ22は、所定の時間をかけながら徐々に開閉される。
【0015】
電気集塵装置15によれば、第1室16の入口ダンパ19及び出口ダンパ22が全閉になされると、第1室16の入口煙道18から排ガスは流入せず、出口煙道21から流出もしない。第2室17の入口ダンパ20及び出口ダンパ23が全開になされると、第2室17の入口煙道18から排ガスが流入し、出口煙道21から流出する。このように、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23の開閉制御によって電気集塵装置15での排ガスの流れが制御される。
【0016】
電気集塵装置15では、煤塵を含有する排ガスが入口煙道18を通り、整流板(図示せず)によって流速分布が均一化された後、排ガスが集塵極1と放電極2との間に形成された電界(コロナ放電)に導入されるようになっている。排ガス中の煤塵は、放電極2による電界の静電力(クーロン力)によって集塵極1に吸引されて集塵される。
【0017】
各区画室16a,16b,16c,17a,17b,17cの集塵極1は、集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cによってそれぞれ槌打されるように構成されている。そして、集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cによる槌打の衝撃力によって集塵極1の表面から煤塵が剥離し、ホッパ(図1参照)に落下させられた後、煤塵が捕集されるように構成されている。電気集塵装置15では、ダンパ開槌打及びダンパ閉槌打が行えるようになっている。
【0018】
<ダンパ開槌打時の動作例>
図16A〜Dを参照して、電気集塵装置15におけるダンパ開槌打時の制御方法について、第1室16を例に挙げて説明をする。電気集塵装置15を運転していると、例えば、第1室16の集塵極1には、次第に煤塵が堆積していく。
【0019】
そこで、ダンパ開槌打時の制御方法によれば、図16A,Bに示す所定の稼働時間、入口ダンパ19及び出口ダンパ22を全開したまま、かつ、図16Dに示す所定の稼働時間、荷電状態(ON状態)にして、図16Cに示す稼働時間、集塵極槌打装置24a,24bによって第1室16の区画室16a(前室)及び区画室16b(中間室)の各々の集塵極1を槌打するようになされる。入口ダンパ19及び出口ダンパ22の全開動作は、誘引通風機30の動翼(図示せず)の開閉によるドラフト変動を抑制するためである。
【0020】
<ダンパ閉槌打時の動作例>
次に、図17A〜Dを参照して、電気集塵装置15におけるダンパ閉槌打時の制御方法について、第1室16を例に挙げて説明をする。ダンパ閉槌打時の制御方法によれば、槌打による煤塵の再飛散を抑制するために、図15に示した第1室16の入口ダンパ19及び出口ダンパ22を図17A,Bに示す所定のタイミングによって全閉し、排ガスの流れを一時的に遮断する。
【0021】
そして、この排ガスの流れを遮断している間に、集塵極槌打装置24a,24b,24cは、図17Cに示す所定のタイミングによって、区画室16a,16b,16cの集塵極1を槌打する。このとき、集塵極1は、無荷電(荷電OFF)状態である(ダンパ閉槌打)。更に、集塵極1のダンパ閉槌打後に電気集塵装置15が、図17Dに示す所定のタイミングによって、荷電(荷電ON)状態になされ、所定の鎮静時間が経過した後、入口ダンパ19及び出口ダンパ22が全開になされる。
【0022】
すなわち、集塵極槌打装置24a,24b,24cによる槌打の衝撃力によって集塵極1の表面から煤塵が剥離し、ホッパ(図示せず)に落下してこれに捕集されると共に、槌打によって飛散した煤塵が電気集塵装置15の荷電ONによって捕集され、その後、入口ダンパ19及び出口ダンパ22が全開に移行されるので、煤塵が再飛散して出口煙道21から流出するのを抑制することができる。
【0023】
なお、石炭焚きのボイラシステムでは、電気集塵装置15が4基設けられており、ダンパ閉槌打に要する時間は、電気集塵装置15の1室当たり約30分である。従って、ダンパ閉槌打には、1基当たり1時間程度を要し、システム全体では4時間程度を要する。よって、一の電気集塵装置15では、タイマにより4時間サイクルで約30分間ずつ槌打を繰り返すようになされる。放電極2の槌打は、集塵極1の槌打方法に関係なく、入口ダンパ19及び出口ダンパ22を開けた状態で行われている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平 06−114288号公報(第2頁 図1)
【特許文献2】特開2010−022907号公報(第7頁 図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ところで、特許文献1,2に見られるような従来例に係る電気集塵装置15によれば、石炭焚きのボイラシステムの運転条件がダンパ開槌打条件に該当するか、ダンパ閉槌打条件に該当するかを判別し、このボイラシステムの運転条件がダンパ閉槌打条件に該当する場合には、入口ダンパ19及び出口ダンパ22を閉じた状態かつ無荷電状態で区画室16a、16b及び16cの集塵極1の槌打が行われる。第1室16の制御後に第2室17も同様に制御され、これらの制御が所定時間毎に繰り返し実施される。
【0026】
石炭焚きのボイラシステムの運転条件が、例えば、夏季の昼間において誘引通風機入口の動翼開度が所定値以上となってしまう場合は、ダンパ開槌打が実行される。ダンパ開槌打によれば、第1室16では、入口ダンパ19及び出口ダンパ22を開いた状態かつ荷電状態で区画室16a及び16bの集塵極1の槌打が行われる。このように電気集塵装置15の運転方法がダンパ閉槌打が常用(主)となっており、通風系統の運転状況により、ダンパ開槌打を選択している。このため、通常運転時の通風系統の動力費(通風損失)を低減できていないばかりか、石炭焚きのボイラシステムを効率良く運用されていないのが現状である。
【0027】
そこで、本発明はこのような課題を解決したものであって、ダンパ開槌打及びダンパ閉槌打を制御するEP槌打制御方式を改善して、通常運転時の通風系統の動力費を低減できるようにすると共に、石炭焚きのボイラシステムを効率良く運用できるようにした電気集塵システム及び電気集塵方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る電気集塵システムは、燃焼用空気を火炉内に送り込む押込通風機と前記火炉内の圧力の制御を行う誘引通風機とを有した平衡通風式のボイラシステムの通風系統に設置され、前記火炉からの排ガス中の煤塵を除去するために、ケースの内部が複数に区画され、それぞれが独立して荷電可能な区画室と、当該各区画室に設けられ前記煤塵を捕集する集塵極と、前記排ガスの流通を制御するために当該ケースの入口煙道に設けられた入口ダンパ及び、出口煙道に設けられた出口ダンパと、前記集塵極を槌打する集塵極槌打装置とを備えた電気集塵システムにおいて、前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを開いた状態で、かつ、前記集塵極を荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返す動作をインターバル荷電槌打とし、前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを閉じた状態で、かつ、前記集塵極を無荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して所定の回数だけ槌打を行う動作をダンパ連動無荷電槌打としたとき、前記ボイラシステムの運転条件を検出する検出部と、前記検出部から得られるボイラシステムの運転条件に基づいて前記集塵極槌打装置を制御する制御装置とを含み構成され、前記制御装置は、前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御し、前記インターバル荷電槌打の実施中に前記ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、判別結果に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0029】
本発明に係る電気集塵システムによれば、区画室、集塵極、入口ダンパ、出口ダンパ、集塵極槌打装置、検出部及び制御装置を備える。検出部は、ボイラシステムの運転条件を検出する。制御装置は、検出部から得られるボイラシステムの運転条件に基づいて集塵極槌打装置を制御する。これを前提にして、制御装置は、インターバル荷電槌打を常時実施するように集塵極槌打装置を制御し、インターバル荷電槌打の実施中にボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、この判別結果に基づいて、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置を制御するようになる。
【0030】
このインターバル荷電槌打を常時実施するように集塵極槌打装置が制御される場合は、入口ダンパ及び出口ダンパを開いた状態で、かつ、集塵極を荷電状態で区画室の集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返すように煤塵を除去されるので、ダンパ連動無荷電槌打に比べて通風損失(以下でドラフトロスともいう)に係る消費電力を省略できるようになる。しかも、ドラフトロスに係る消費電力から集塵極荷電に伴う消費電力を差し引いても電気集塵システムに係る所内電力を低減できる。
【0031】
また、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置が制御される場合は、入口ダンパ及び出口ダンパを閉じた状態で、かつ、集塵極を無荷電状態で区画室の集塵極に対して所定の回数だけ槌打が行われるので、火炉のドラフト変動等を伴うが、インターバル荷電槌打に比べて集塵極の煤塵の清掃効果を高めることができる。このように、通常運転時にインターバル荷電槌打を主体的に実行し、必要に応じてダンパ連動無荷電槌打を実行できるようになる。
【0032】
請求項2に係る電気集塵システムは、請求項1において、前記インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打のいずれか一方を選択する槌打モード選択用の操作部が設けられることを特徴とするものである。
【0033】
請求項3に係る電気集塵システムは、請求項1又は2において、前記火炉から排出される排ガス中の煤塵の濃度を検出する濃度検出部を備え、前記制御装置は、前記濃度検出部から得られる煤塵濃度情報に基づく煤塵濃度値と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、前記煤塵濃度値が判別基準値以下である場合は、前記インターバル荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0034】
請求項4に係る電気集塵システムは、請求項3において、前記煤塵濃度値が判別基準値を越える場合に、前記制御装置が前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0035】
請求項5に係る電気集塵システムは、請求項1乃至3において、各々の前記区画室から排出される煤塵を処理する灰処理装置を備え、前記制御装置は、前記灰処理装置によって処理される煤塵の灰処理時間と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、前記灰処理時間が判別基準値以下である場合に、前記インターバル荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0036】
請求項6に係る電気集塵システムは、請求項5において、前記灰処理時間が判別基準値を越える場合は、前記制御装置が前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0037】
請求項7に係る電気集塵システムは、請求項1乃至4において、前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する開始時刻及び終了時刻を入力する時刻入力部と、前記インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打を実施する際の現在時刻を示す時間情報を出力する時刻出力部とを備え、前記時刻入力部によって入力された前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する稼働設定時間以外は前記インターバル荷電槌打を実施する場合であって、前記制御装置は、前記時刻出力部からインターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻を示す時間情報を入力する共に、前記時刻入力部から前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する開始時刻を入力し、前記インターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻と前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するための開始時刻とを比較し、前記現在時刻と開始時刻とが一致した場合に、前記インターバル荷電槌打を続けたまま前記ダンパ連動無荷電槌打の実施を開始するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0038】
請求項8に係る電気集塵システムは請求項1乃至4において、前記時刻入力部は、前記インターバル荷電槌打を1日の大半を実施するような第1の稼働設定時間が入力され、前記ダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するような第2の稼働設定時間が入力され、前記制御装置は、前記時刻入力部から出力される第1の稼働設定時間に基づいてインターバル荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御し、前記第2の稼働設定時間に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とするものである。
【0039】
請求項9に係る電気集塵方法は、燃焼用空気を火炉内に送り込む押込通風機と前記火炉内の圧力の制御を行う誘引通風機とを有した平衡通風式のボイラシステムの通風系統に設置され、前記火炉からの排ガス中の煤塵を除去するために、ケースの内部が複数に区画され、それぞれが独立して荷電可能な区画室と、当該各区画室に設けられ前記煤塵を捕集する集塵極と、前記排ガスの流通を制御するために当該ケースの入口煙道に設けられた入口ダンパ及び、出口煙道に設けられた出口ダンパと、前記集塵極を槌打する集塵極槌打装置とを備えた電気集塵システムが、前記ボイラシステムの運転条件を検出するステップと、前記検出部から得られるボイラシステムの運転条件に基づいて前記集塵極槌打装置を制御するステップとを含み実行し、前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを開いた状態で、かつ、前記集塵極を荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返す動作をインターバル荷電槌打とし、前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを閉じた状態で、かつ、前記集塵極を無荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して所定の回数だけ槌打を行う動作をダンパ連動無荷電槌打としたとき、前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御するステップと、前記インターバル荷電槌打の実施中に前記ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別するステップと、判別結果に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御するステップとを実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る電気集塵システム及び電気集塵方法によれば、ボイラシステムの運転条件に基づいて集塵極槌打装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、インターバル荷電槌打を常時実施するように集塵極槌打装置を制御し、当該インターバル荷電槌打の実施中にボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、この判別結果に基づいてダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置を制御するようになされる。
【0041】
この構成によって、インターバル荷電槌打を常時実施するように集塵極槌打装置が制御される場合は、入口ダンパ及び出口ダンパを開いた状態で、集塵極を荷電状態で区画室の集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返すように煤塵を除去されるので、ダンパ連動無荷電槌打に比べてドラフトロスに係る消費電力を省略できるようになる。しかも、ドラフトロスに係る消費電力から集塵極荷電に伴う消費電力を差し引いても電気集塵システムに係る所内電力を低減できる。
【0042】
また、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置が制御される場合は、入口ダンパ及び出口ダンパを閉じた状態で、集塵極を無荷電状態で区画室の集塵極に対して所定の回数だけ槌打が行われ、火炉のドラフト変動等を伴うが、インターバル荷電槌打に比べて集塵極の煤塵の清掃効果を高めることができる。これらの事により、通常運転時の通風系統の動力費の低減化が図られ、石炭焚きのボイラシステムのコストダウンを図ることができ、当該システムを効率良く運用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る実施形態としての電気集塵システム100の制御系の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】電気集塵装置15における通風系統の構成例を示す概略図である。
【図3】インターバル荷電槌打時の制御例を示す概略図である。
【図4】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その1)を示す概略図である。
【図5】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その2)を示す概略図である。
【図6】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その3)を示す概略図である。
【図7】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その4)を示す概略図である。
【図8】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その5)を示す概略図である。
【図9】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その6)を示す概略図である。
【図10】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その7)を示す概略図である。
【図11】ダンパ連動無荷電槌打時の制御例(その8)を示す概略図である。
【図12】電気集塵装置15の制御例を示すフローチャートである。
【図13】電気集塵システム100におけるIDF動力費の比較例を示す表図である。
【図14】従来例に係る火力発電所の通風系統の概略構成例を示すブロック図である。
【図15】電気集塵装置15の概略構成例を示す平面断面図である。
【図16】(A)〜(D)はダンパ開槌打時の制御例を示すタイムチャートである。
【図17】(A)〜(D)はダンパ閉槌打時の制御例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電気集塵システム及び電気集塵方法について説明する。図1に示す電気集塵システム100は、石炭焚きのボイラシステムに適用可能なものであり、平衡通風式のボイラシステムの通風系統に設置され、火炉12からの排ガス中の煤塵を除去するように機能する。電気集塵システム100は、電気集塵装置15、EP灰処理装置42、ダンパ駆動装置43、煤塵濃度検出装置44、操作部54及び制御装置55を有して構成される。
【0045】
電気集塵装置15には、従来技術において説明した電気集塵装置15の構成と同一ものが使用される。従って、以下の説明において、既に説明した部材と同一の部材には、同一の符号を付して重複説明を省略する。この実施形態では、制御装置55が石炭焚きのボイラシステムの運転条件に基づいて、電気集塵装置15を制御する際に、通常運転時にインターバル荷電槌打を主体的に実行し、必要に応じてダンパ連動無荷電槌打を実行できるようにした。
【0046】
ここにインターバル荷電槌打とは、図15で説明した入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を開いた状態で、かつ、集塵極1を荷電状態で区画室16a,16b,16cの集塵極1に対して間欠的に槌打を繰り返す動作をいう(ダンパ開槌打に相当)。ダンパ連動無荷電槌打とは、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を閉じた状態で、かつ、集塵極1を無荷電状態で区画室16a,16b,16cの集塵極1に対して所定の回数だけ槌打を行う動作をいう(ダンパ閉槌打に相当)。
【0047】
EP灰処理装置42は、電気集塵装置15の各々の区画室16a,16b,16cから排出される煤塵をホッパー41を通じて取り込み、灰処理制御信号S42に基づいて煤塵を処理して石膏化する。煤塵を石膏化するには所定の灰処理時間(以下でEP灰処理時間という)を要する。EP灰処理装置42は、制御装置55に接続され、EP灰処理時間を示すEP灰処理情報D42を制御装置55に出力する。灰処理制御信号S42は制御装置55からEP灰処理装置42へ出力される。
【0048】
ダンパ駆動装置43は、ダンパ駆動情報D43に基づいて入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を駆動する。ダンパ駆動装置43は制御装置55に接続される。ダンパ駆動情報D43は制御装置55からダンパ駆動装置43へ出力される。ダンパ駆動装置43はダンパ駆動情報D43をデコードしてダンパ制御信号S19,S20,S22,S23を生成する。
【0049】
ダンパ制御信号S19は、ダンパ駆動装置43から入口ダンパ19を駆動する図示しないモータへ出力される。ダンパ制御信号S20は、ダンパ駆動装置43から入口ダンパ20を駆動する図示しないモータへ出力される。ダンパ制御信号S22は、ダンパ駆動装置43から出口ダンパ22を駆動する図示しないモータへ出力される。ダンパ制御信号S23は、ダンパ駆動装置43から出口ダンパ23を駆動する図示しないモータへ出力される。
【0050】
煤塵濃度検出装置44は検出部の一例を構成し、石炭焚きのボイラシステムの運転条件を検出する。煤塵濃度検出装置44は、制御装置55に接続され、火炉12から排出される排ガス中の煤塵の濃度を検出する。測定ポイントは、例えば、出口煙道21付近であり、煤塵除去後の排気ガスの煤塵濃度を検出できる位置である。この位置に図示しない煤塵濃度検出センサが配置され、この煤塵濃度検出センサから煤塵濃度検出装置44へ煤塵濃度検出信号S44が出力される。
【0051】
煤塵濃度検出装置44は、煤塵濃度検出信号S44をアナログ・ディジタル変換した後の煤塵濃度情報D44を制御装置55に出力する。もちろん、入口煙道18付近や、誘引通風機30の下流側に測定ポイントを設けて、そこから排出される煤塵除去後の排気ガスの煤塵濃度を検出して煤塵濃度情報を制御装置55に出力するようにしてもよい。
【0052】
制御装置55には槌打モード選択用の操作部54が接続され、電気集塵システム100において、インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打のいずれか一方を選択するように操作される。操作部54には、運転選択表示部56、槌打選択表示部57及び4個の選択ボタン54a〜54dが設けられる。
【0053】
運転選択表示部56は、電気集塵装置15を自動モード又は手動モードで運転するかの選択を表示する表示器である。運転選択表示部56の下方には、自動モードの選択ボタン54a及び手動モードの選択ボタン54bが配設される。選択ボタン54aは電気集塵装置15を自動運転する際に押下操作される(自動モード選択)。選択ボタン54bは電気集塵装置15を手動運転する際に押下操作される(手動モード選択)。
【0054】
槌打選択表示部57は、電気集塵装置15において、インターバル運転(ダンパ開荷電槌打)又はダンパ連動運転(ダンパ閉無荷電槌打)のどちらを選択するかを表示する表示器である。槌打選択表示部57の下方には、インターバル運転の選択ボタン54c及びダンパ連動運転の選択ボタン54dが配設される。選択ボタン54cは電気集塵装置15においてインターバル運転を選択する際に押下操作される。選択ボタン54dは電気集塵装置15においてダンパ連動運転を選択する際に押下操作される。
【0055】
操作部54は時刻入力部を兼ねており、図示しない数字の0〜9等のテンキーが設けられ、ダンパ連動無荷電槌打を実施する開始時刻及び終了時刻を入力するように操作される。上述の開始時刻及び終了時刻は、ダンパ連動無荷電槌打の稼働設定時間である。この例では、操作部54によって入力されたダンパ連動無荷電槌打を実施する稼働設定時間以外はインターバル荷電槌打を実施するようになされる。操作部54は上述の操作で得られた、自動モード又は手動モード、インターバル運転又はダンパ連動運転、稼働設定時間等を示す操作情報D54を制御装置55に出力する。
【0056】
このような操作部54を設けると、冷房使用時の夏季の昼間において設定されていたインターバル荷電槌打を、火炉12から排出される排ガス中の煤塵の濃度や、区画室16a,16b,16c等から排出される煤塵を処理するEP灰処理時間等に基づいて適宜、例えば、夜間等において、ダンパ連動無荷電槌打に切り換えることができる。
【0057】
制御装置55にはモニタ58が接続される。モニタ58には、通風系統図や、インターバル運転又はダンパ連動運転、稼働設定時間等のスケジュール画面を表示するようになされる。もちろん、スケジュール画面に限られることはない。例えば、図13に示すようなIDF動力費を比較する際のIDF測定時間[h]対IDFモータ電流[A]、EP電流[A]等を表示してもよい。スケジュール画面等は制御装置55からモニタ58へ出力される表示情報D58に基づいて表示される。
【0058】
制御装置55にはメモリ51、CPU53の他に、時刻出力部の一例となるタイマ52が設けられる。タイマ52は、インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打を実施する際の現在時刻を示す時間情報をCPU53に出力する。メモリ51には、初期設定時等に入力された情報、例えば、インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打の稼働設定時間に関するスケジュール情報が記憶される。
【0059】
また、制御装置55は、煤塵濃度検出装置44から得られる石炭焚きのボイラシステムの運転条件に基づいて集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御する。例えば、制御装置55は、インターバル荷電槌打を常時、主体的に実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御し、インターバル荷電槌打の実施中に当該ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、石炭焚きのボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当していない場合は、例外的にダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御するものである。
【0060】
この例で、制御装置55は、煤塵濃度検出装置44から得られる煤塵濃度情報に基づく煤塵濃度値と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、煤塵濃度値が判別基準値以下である場合は、インターバル荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御する。この制御によって、冷房使用時の夏季の昼間において、火炉12のドラフト変動を伴うことなく、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を開いた状態で、かつ、集塵極1を荷電状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して間欠的に槌打を繰り返すように煤塵を除去できるようになる。
【0061】
上述の煤塵濃度値が判別基準値を越える場合は、制御装置55がダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御する。この制御によって、冷房使用時の夏季の夜間において、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を閉じた状態で、かつ、集塵極1を無荷電状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して所定の回数だけ槌打を行うことで、火炉12のドラフト変動等を伴うが、インターバル荷電槌打に比べて集塵極1の煤塵の清掃効果を高めることができる。
【0062】
この例で、制御装置55は、EP灰処理装置42によって処理される煤塵のEP灰処理時間と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、EP灰処理時間が判別基準値以下である場合に、インターバル荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御する。この制御によって、冷房使用時の夏季の昼間において、火炉12のドラフト変動を伴うことなく、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を開いた状態で、かつ、集塵極1を荷電状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して間欠的に槌打を繰り返すように煤塵を除去できるようになる。
【0063】
上述のEP灰処理時間が判別基準値を越える場合は、制御装置55がダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置24a,24b,24c,25a,25b,25cを制御する。この制御によって、冷房使用時の夏季の夜間において、入口ダンパ19,20及び出口ダンパ22,23を閉じた状態で、かつ、集塵極1を無荷電状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して所定の回数だけ槌打を行うことで、火炉12のドラフト変動等を伴うが、インターバル荷電槌打に比べて集塵極1の煤塵の清掃効果を高めることができる。
【0064】
続いて、図2を参照して、電気集塵システム100における通風系統の構成例について説明する。図2に示す電気集塵システム100の通風系統によれば、2つの煙道系列が備えられる。例えば、2つの煙道系列をA系列及びB系列としたとき、A系列には、2系統の電気集塵ユニットA1,A2が並列に設けられる。電気集塵ユニットA1には電気集塵装置15が2基設けられる。電気集塵ユニットA2にも電気集塵装置15が2基設けられる。各々の電気集塵装置15が図15に示したようにユニット化されている。B系列にも電気集塵装置15が同様にして設けられるが、その説明は省略する。
【0065】
図2において、電気集塵ユニットA1のセクション1Sの区画室16aの集塵極槌打装置24a(図15参照)は、便宜上、符号A1−11で示す。そのセクション2Sの区画室16bの集塵極槌打装置24b(図15参照)は、同様に、符号A1−21で示す。そのセクション3Sの区画室16cの集塵極槌打装置24c(図15参照)は、同様に、符号A1−31で示す。そのセクション1Sの区画室17aの集塵極槌打装置25a(図15参照)は、同様に、符号A1−12で示す。
【0066】
そのセクション2Sの区画室17bの集塵極槌打装置25b(図15参照)は、同様に、符号A1−22で示す。そのセクション3Sの区画室17cの集塵極槌打装置25c(図15参照)は、同様に、符号A1−32で示す。これらの集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32は制御装置55によって制御される。
【0067】
また、電気集塵ユニットA1の入口ダンパ19(図15参照)は、符号A1−1で示す。入口ダンパ20(図15参照)は、符号A1−2で示す。出口ダンパ22(図15参照)は、符号A1−3で示す。出口ダンパ23(図15参照)は、符号A1−4で示す。これらの入口ダンパA1−1、入口ダンパA1−2、出口ダンパA1−3及び出口ダンパA1−4は、図1に示したダンパ駆動装置43によって駆動される。
【0068】
電気集塵ユニットA2のセクション1Sの第1室16には、電気集塵ユニットA1と同様にして集塵極槌打装置A2−11が設けられる。そのセクション2Sの第1室16には集塵極槌打装置A2−21が設けられる。そのセクション3Sの第1室16には集塵極槌打装置A2−31が設けられる。そのセクション1Sの第2室17には集塵極槌打装置A2−12が設けられる。そのセクション2Sの第2室17には集塵極槌打装置A2−22が設けられる。そのセクション3Sの第2室17には集塵極槌打装置A2−32が設けられる。これらの集塵極槌打装置A2−11,A2−21,A2−31,A2−12,A2−22,A2−32は制御装置55によって制御される。
【0069】
また、電気集塵ユニットA2の入口には、電気集塵ユニットA1と同様にして、入口ダンパA2−1及び入口ダンパA2−2が設けられる。その出口には出口ダンパA2−3及び出口ダンパA2−4が設けられる。これらの入口ダンパA2−1、入口ダンパA2−2、出口ダンパA2−3及び出口ダンパA2−4も、図1に示したようなダンパ駆動装置43によって駆動される。
【0070】
なお、A系列の入口煙道18とB系列の入口煙道18との間には入口コモンダンパ49が設けられ、電気集塵装置15の入口側において、A系列の煙道とB系列の煙道との間で電気集塵前の排ガスを連絡(連通)できるようになっている。また、A系列の出口煙道21とB系列の出口煙道21との間には出口コモンダンパ59が設けられ、電気集塵装置15の出口側において、A系列の煙道とB系列の煙道との間で電気集塵後の排ガスを連絡(連通)できるようになっている。
【0071】
例えば、A系列の電気集塵ユニットA1,A2等の保守等において、入口コモンダンパ49、出口コモンダンパ59の開閉動作に協働して、入口ダンパA1−1、入口ダンパA1−2、入口ダンパA2−1、入口ダンパA2−2、出口ダンパA1−3、出口ダンパA1−4、出口ダンパA2−3、出口ダンパA2−4を開閉動作することで、A系列の電気集塵ユニットA1,A2をパスできるようになっている。
【0072】
続いて、本発明に係る電気集塵方法について、図3〜図12を参照して、電気集塵システム100の制御例を説明する。この電気集塵システム100では、インターバル荷電槌打の実施中に石炭焚きのボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別する。石炭焚きのボイラシステムの運転条件としては、排ガスの煤塵濃度、EP灰処理時間及びダンパ連動無荷電槌打の開示時刻を対象としている。この例では、インターバル荷電槌打を1日の大半を実施するような稼働設定時間が操作部54を介して入力され、ダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するような稼働設定時間が入力される。
【0073】
これらを制御条件にして、図12に示すフローチャートのステップST1でCPU53は電気集塵システム100の制御に関する運転設定を実行する。このとき、オペレータは操作部54を入力操作して煤塵濃度に関する規定値や、灰処理時間に関する規定値の他に、インターバル荷電槌打の稼働設定時間や、ダンパ連動無荷電槌打の稼働設定時間等を入力する。
【0074】
例えば、ダンパ連動無荷電槌打の稼働設定時間として当日の午前2時から午前6時に至る4時間を設定する。午前2時がダンパ連動無荷電槌打の開始時刻に相当し、午前6時がその終了時刻に相当する。インターバル荷電槌打の稼働設定時間としては、1日の大半、例えば、当日の午前6時から翌日の午前2時に至る20時間を設定する。
【0075】
次に、ステップST2でCPU53はEP槌打方式のモードが自動か手動かで制御を分岐する。このとき、オペレータは電気集塵装置15を自動運転する場合は、図1に示した選択ボタン54aを押下操作して自動モードを選択する。自動モードではインターバル荷電槌打方式が設定される。電気集塵装置15を手動運転する際には、選択ボタン54bが押下操作され、手動モードが選択される。手動モードではダンパ連動無荷電槌打方式が設定される。自動モードのEP槌打方式が選択された場合は、ステップST3に移行する。
【0076】
ステップST3でCPU53はインターバル荷電槌打を実行する。CPU53は、操作部54から出力される稼働設定時間に基づいてインターバル荷電槌打を常時実施するように、A系列の電気集塵ユニットA1の集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32及び、その電気集塵ユニットA2の集塵極槌打装置A2−11,A2−21,A2−31,A2−12,A2−22,A2−32を制御する。
【0077】
インターバル荷電槌打では、図3に示す入口ダンパA1−1,A1−2及び出口ダンパA1−3,A1−4を全開した状態で、かつ、図15に示した集塵極1を荷電した状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して間欠的に槌打を繰り返すように、集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32等を制御する。図3に示す梨地は、図15に示した集塵極1を荷電している状態である。
【0078】
【表1】

【0079】
電気集塵ユニットA1の集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32の槌打タイマによれば、図3に示す区画室16a,17aが割り当てられたセクション1Sの集塵極槌打装置A1−11,A1−12が、表1に示すように、4秒間だけ集塵極1の槌打動作を実行し、その後、29秒間その槌打動作を停止する。区画室16b,17bが割り当てられたセクション2Sの集塵極槌打装置A1−21,A1−22は、4秒間だけ集塵極1の槌打動作を実行し、その後、63秒間その槌打動作を停止する。区画室16c,17cが割り当てられたセクション3Sの集塵極槌打装置A1−31,A1−32は、4秒間だけ集塵極1の槌打動作を実行し、その後、96秒間その槌打動作を停止する。
【0080】
このような槌打タイマに基づいて集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32が制御される。この例では、集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32が当日の午前6時から翌日の午前2時に至る20時間の稼働設定時間に渡って、槌打タイマに基づくインターバル荷電槌打を実行する。図3に示す電気集塵ユニットA2の集塵極槌打装置A2−11,A2−21,A2−31,A2−12,A2−22,A2−32についても同様に制御され、更に、B系列の電気集塵ユニットB1,B2についても同様に制御される。
【0081】
その後、ステップST4でCPU53は排ガスの煤塵濃度と排ガス中の煤塵を評価する際の基準となる規定値とを比較し、この比較結果に応じて制御を分岐する。ここで、煤塵濃度をDxとし、規定値をDthとする。煤塵濃度Dxが規定値Dth以下である場合(DX≦Dth)は、ステップST5に移行する。
【0082】
ステップST5で更にCPU53はEP灰処理時間とEP灰処理装置42の灰処理時間を評価する際の基準となる規定値とを比較し、比較結果に応じて制御を分岐する。ここで、EP灰処理時間をTaとし、規定値をTthとする。このEP灰処理時間が規定値以上である場合(Ta≧Tth)である場合は、ステップST6に移行する。
【0083】
ステップST6で更にCPU53は、インターバル荷電槌打の実行中の現在時刻と、ダンパ連動無荷電槌打を実行する際の設定時刻とを比較し、この比較結果に応じて制御を分岐する。ここで、現在時刻をTxとし、設定時刻をTbとする。このとき、CPU53は、タイマ52からインターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻Txを示す時間情報を入力する共に、メモリ51からダンパ連動無荷電槌打を開始する設定時刻Tbを示す時間情報を入力し、インターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻Txとダンパ連動無荷電槌打を実施するための設定時刻Tbとを比較する。現在時刻Txが設定時刻Tbでない場合(Tx≠Tb)は、ステップST2に戻って、上述したステップを実行する。
【0084】
なお、上述のステップST4で煤塵濃度Dxが規定値Dthを越える場合(Dx>Dth)や、ステップST5でEP灰処理時間が規定値未満である場合(Ta<Tth)や、ステップST6で現在時刻Txが設定時刻Tbとなった場合(Tx=Tb)は、インターバル荷電槌打を続けたままステップST8に移行する。煤塵濃度Dxが規定値Dthを越える場合(Dx>Dth)は、集塵極1に多く煤塵が付着して飽和寸前が想定される。
【0085】
EP灰処理時間が規定値未満である場合(Ta<Tth)は、各々の区画室16a,16b,16c等から排出される煤塵の取り込み量が低下して、集塵極1に多く煤塵が付着している状態が想定される。現在時刻Txが設定時刻Tbとなった場合(Tx=Tb)は、現在時刻Txがダンパ連動無荷電槌打を開始する時刻、この例では当日の午前2時となった場合が想定される。
【0086】
一方、上述のステップST2で手動モードのEP槌打方式が選択された場合は、ステップST7に移行する。ステップST7でCPU53は運転選択がダンパ連動か否かで制御を分岐する。運転選択がダンパ連動ではない場合は、ステップST2に戻って、上述したステップを繰り返すように実行する。
【0087】
ダンパ連動が選択された場合は、インターバル荷電槌打を続けたまま、ステップST8に移行し、CPU53はダンパ連動無荷電槌打を実行する。CPU53は、メモリ51から出力される稼働設定時間(午前2時から午前6時)に基づいてダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32を制御する。
【0088】
ダンパ連動無荷電槌打では、所定の順番で、入口ダンパA1−1,A1−2及び出口ダンパA1−3,A1−4を閉じ、この状態で、図15に示した集塵極1を無荷電状態で区画室16a,16b,16c等の集塵極1に対して所定の回数だけ槌打を行うように、集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32を制御する。
【0089】
この例では、図3に示したインターバル荷電槌打から図4に示すダンパ連動無荷電槌打に移行する場合に、図4に示す電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1,A1−2及び電気集塵ユニットA2の入口ダンパA2−1,A2−2は全開したままである。
【0090】
この状態で、電気集塵ユニットA1の出口ダンパA1−3,A1−4は全開状態から50%開状態へ移行され、電気集塵ユニットA2の出口ダンパA2−3,A2−4は全開状態から55%開状態へ移行される。電気集塵ユニットA1,A2の各セクション1S〜3Sの区画室16a,16b,16c,17a,17b,17c等の集塵極1は荷電状態である(図中、梨地参照)。
【0091】
ダンパ連動無荷電槌打によれば、次に、図4に示した電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1,A1−2及び電気集塵ユニットA2の入口ダンパA2−1,A2−2が全開した状態から、図5に示す電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1が全開状態から50%開状態へ移行される。なお、電気集塵ユニットA1の出口ダンパA1−3,A1−4は50%開状態を維持し、電気集塵ユニットA2の出口ダンパA2−3,A2−4は55%開状態を維持している。電気集塵ユニットA1,A2の各セクション1S〜3Sの区画室16a,16b,16c,17a,17b,17c等の集塵極1は荷電状態のままである(図中、梨地参照)。
【0092】
更に、図5に示した電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1が50%開状態を維持したまま、図6に示す電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1及び出口ダンパA1−3が50%開状態から全閉状態へ移行される。その出口ダンパA1−4は50%開状態を維持している。電気集塵ユニットA2の出口ダンパA2−3,A2−4は55%開状態を維持している。電気集塵ユニットA1,A2の各セクション1S〜3Sの区画室16a,16b,16c,17a,17b,17c等の集塵極1は荷電状態のままである(図中、梨地参照)。
【0093】
図7に示す電気集塵ユニットA1の入口ダンパA1−1及び出口ダンパA1−3が全閉状態となっている。この状態で図8に示す電気集塵ユニットA1のセクション1Sの区画室16a及びセクション2Sの区画室16bの集塵極1を無荷電状態とする。集塵極槌打装置A1−11,A1−21を駆動して煤塵の槌打を実行する。
【0094】
図8に示した電気集塵ユニットA1のセクション1Sの区画室16a及びセクション2Sの区画室16bでは、集塵極槌打装置A1−11,A1−21の槌打によって区画室16a,16bの集塵極1から各々落下した煤塵は、図1に示したホッパー41を介してEP灰処理装置42へ排出収容される。EP灰処理装置42では煤塵が灰処理される。
【0095】
この電気集塵ユニットA1のセクション1Sの区画室16a及びセクション2Sの区画室16bを除く、セクション3Sの区画室16cや、他の電気集塵ユニットA2及びB系列の電気集塵ユニットB1,B2は、インターバル荷電槌打を継続している(図中、梨地参照)。
【0096】
そして、図9に示す電気集塵ユニットA1のセクション1Sの区画室16a及びセクション2Sの区画室16bの集塵極1を荷電状態とした後、図10に示すように、電気集塵ユニットA1のセクション3Sの区画室16cの集塵極1を無荷電状態とする。集塵極槌打装置A−31を駆動して煤塵の槌打を実行する。区画室16cでは、集塵極槌打装置A1−31の槌打によって区画室16cの集塵極1から落下した煤塵は、図1に示したホッパー41を介してEP灰処理装置42へ排出収容される。EP灰処理装置42では煤塵が灰処理される。
【0097】
この電気集塵ユニットA1のセクション3Sの区画室16cを除く、セクション1S,2Sの区画室16a,16bは、インターバル荷電槌打に移行し、他の電気集塵ユニットA2及びB系列の電気集塵ユニットB1,B2は、インターバル荷電槌打を継続している(図中、梨地参照)。
【0098】
そして、図11に示す電気集塵ユニットA1のセクション3Sの区画室16cの集塵極1を荷電状態とすることで、図7に示した入口ダンパA1−1及び出口ダンパA1−3が全閉状態となって、セクション1S〜3Sの区画室16a,16b,16cの各々集塵極1が荷電状態の電気集塵ユニットA1に戻る。これにより、電気集塵ユニットA1の第1室16のダンパ連動無荷電槌打が終了する。
【0099】
同様にして、電気集塵ユニットA1の第2室17のダンパ連動無荷電槌打を引き続き実行し、その後、電気集塵ユニットA2の第1室16のダンパ連動無荷電槌打を実行し、更に、電気集塵ユニットA2の第2室17のダンパ連動無荷電槌打を実行する。これにより、A系列の電気集塵ユニットA1,A2のダンパ連動無荷電槌打が終了する。その後、B系列の電気集塵ユニットB1,B2のダンパ連動無荷電槌打を実行する。
【0100】
電気集塵ユニットA1の第1室16のダンパ連動無荷電槌打に係る槌打時間は、約30分程度である。A系列の電気集塵ユニットA1,A2のダンパ連動無荷電槌打には、2時間を要する。同様にして、B系列の電気集塵ユニットB1,B2のダンパ連動無荷電槌打には、2時間を要するので、A,B系列の電気集塵ユニットA1,A2,B1,B2は4時間を要してダンパ連動無荷電槌打するようになされる。
【0101】
これにより、午前2時から午前6時の稼働設定時間に基づいてダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A2−11,A2−21,A2−31を制御できるようになる。この制御によって、冷房使用時の夏季の昼間において設定されていたインターバル荷電槌打の当日の午前6時から翌日の午前2時(第1の稼働設定時間:20時間)に継続して、夜間の設定時刻Tb等に定期的に制御を切り換え、午前2時から午前6時に至る4時間を利用してダンパ連動無荷電槌打を実行できるようになる。
【0102】
そして、ステップST9に移行して運転選択が自動か否かで制御を分岐する。運転選択が自動でない場合は、ステップST8に戻ってCPU53はダンパ連動無荷電槌打を継続する。運転選択が自動である場合は、ステップST20に移行してCPU53はダンパ連動無荷電槌打の動作回数とその設定回数を比較し、比較結果に応じて制御を分岐する。
【0103】
ここで、動作回数をNxとし、設定回数をNbとする。このとき、CPU53は、ダンパ連動無荷電槌打の動作回数Nxを示す回数情報を入力する共に、メモリ51からダンパ連動無荷電槌打の設定回数Nbを示す設定情報を入力し、ダンパ連動無荷電槌打の動作回数Nxとその設定回数Nbとを比較する。動作回数Nxが設定回数Nbと一致していない場合(Tx≠Tb)は、ステップST8に戻って、上述したステップST8に戻って、ダンパ連動無荷電槌打を繰り返すようになされる。動作回数Nxが設定回数Nbと一致した場合は、ステップST2に戻って、上述したステップを繰り返すようになされる。
【0104】
このように実施形態としての電気集塵システム100によれば、インターバル荷電槌打を常時、主体的に実行(常用)するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32を制御する制御装置55を備え、インターバル荷電槌打の実施中にボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、この判別結果に基づいて、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32を制御するようになる。
【0105】
このインターバル荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32が制御される場合は、ダンパ連動無荷電槌打に比べてドラフトロスに係る消費電力を省略できるようになる。しかも、ドラフトロスに係る消費電力から集塵極1の荷電に伴う消費電力を差し引いても電気集塵システム100に係る所内電力を低減できる。
【0106】
また、ダンパ連動無荷電槌打を実施するように集塵極槌打装置A1−11,A1−21,A1−31,A1−12,A1−22,A1−32が制御される場合は、火炉12のドラフト変動等を伴うが、インターバル荷電槌打に比べて集塵極1の煤塵の清掃効果を高めることができる。このように、通常運転時にインターバル荷電槌打を主体的に実行し、必要に応じてダンパ連動無荷電槌打を実行できるようになる。これらの事により、通常運転時の通風系統の動力費の低減化が図られ、電気集塵システム100のコストダウンを図ることができ、石炭焚きのボイラシステムを効率良く運用できるようになる。
【0107】
ここで、図13を参照して、本発明方式の電気集塵システム100と従来方式とにおけるIDF動力費を比較する。上述したように電気集塵システム100の運転方法によれば、インターバル荷電槌打方式IIを常用(主)とし、電気集塵ユニットA1,A2等の運転不適合時や、集塵極1の清掃効果を図る場合に、ダンパ連動無荷電槌打方式Iを選択するようになされる。ダンパ連動無荷電槌打方式Iは、例えば、1回/日、夜間のみ実行する(1日1回のサイクルである)。
【0108】
図13において、左側の縦軸は、IDFモータ電流[A]であり、A系列の誘引通風機30のモータに供給される電流である。右側の縦軸は、EP電流[A]であり、例えば、A系列の電気集塵ユニットA1,A2の各セクション1S〜3Sの区画室16a,16b,16c、区画室17a,17b,17cの集塵極1−放電極2間に供給される充電電流の総和である。横軸は電気集塵システム100の稼働時間であり、1日のうち4時間がダンパ連動無荷電槌打方式Iに設定され、その残りの20時間がインターバル荷電槌打方式IIに設定される。
【0109】
ダンパ連動無荷電槌打方式Iによれば、IDFモータ電流[A]に関して、Idf電流は350[A]をピークにして、Idf電流=340[A]を基準にして、±10[A]と変動している。インターバル荷電槌打方式IIによれば、Idf電流は325[A]をピークにして、Idf電流=315[A]を基準にして、ダンパ連動無荷電槌打方式Iに比べて±10[A]と変動している。
【0110】
IDFモータ電流[A]に関して言えば、ダンパ連動無荷電槌打方式IのIdf電流=340[A]と、インターバル荷電槌打方式IIのIdf電流=315[A]の差は25[A]である。ダンパ連動無荷電槌打方式Iに対してインターバル荷電槌打方式IIによれば、約7%程度のIDF動力費を低減できるようになった。
【0111】
また、ダンパ連動無荷電槌打方式Iによれば、充電電流に関して、集塵極1の槌打時には該当区画室の集塵極1−放電極間へのEP電流が停止される(無荷電状態となされる)ので、定常値140[A]から減少する。インターバル荷電槌打方式IIによれば、EP電流はほぼ140[A]で固定である。
【0112】
上述した例では、1日のうちの20時間でインターバル荷電槌打方式IIを実行し、誘引通風機30(IDF)の負荷電流を低減している。これにより、年間で、24,000千円のコスト低減が図れる。インターバル荷電槌打方式IIであると、夏季の重負荷期における誘引通風機30(IDF)の動翼開度の抑制が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、石炭火力用の排ガス処理システムの通風系統に設けられて、煤塵を除去する電気集塵装置及びその制御方法に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0114】
10 押込通風機
11 空気予熱器
12 火炉
13 排ガス脱硝装置
14 熱回収器
15 電気集塵装置
15a ケース
15b 区画板
16 第1室
16a 区画室(前室)
16b 区画室(中間室)
16c 区画室(後室)
17 第2室
17a 区画室(前室)
17b 区画室(中間室)
17c 区画室(後室)
18 入口煙道
19,20,A1−1,A1−2 入口ダンパ
21 出口煙道
22,23,A1−3,A1−4 出口ダンパ
24a,24b,24c,A1−11,A1−21,A1−31 集塵極槌打装置
25a,25b,25c,A1−12,A1−22,A1−32 集塵極槌打装置
30 誘引通風機
32 排ガス脱硫装置
35 再加熱器
40 煙突
100 電気集塵システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気を火炉内に送り込む押込通風機と前記火炉内の圧力の制御を行う誘引通風機とを有した平衡通風式のボイラシステムの通風系統に設置され、前記火炉からの排ガス中の煤塵を除去するために、ケースの内部が複数に区画され、それぞれが独立して荷電可能な区画室と、当該各区画室に設けられ前記煤塵を捕集する集塵極と、前記排ガスの流通を制御するために当該ケースの入口煙道に設けられた入口ダンパ及び、出口煙道に設けられた出口ダンパと、前記集塵極を槌打する集塵極槌打装置とを備えた電気集塵システムにおいて、
前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを開いた状態で、かつ、前記集塵極を荷電した状態で前記区画室の前記集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返す動作をインターバル荷電槌打とし、
前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを閉じた状態で、かつ、前記集塵極を無荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して所定の回数だけ槌打を行う動作をダンパ連動無荷電槌打としたとき、
前記ボイラシステムの運転条件を検出する検出部と、
前記検出部から得られるボイラシステムの運転条件に基づいて前記集塵極槌打装置を制御する制御装置とを含み構成され、
前記制御装置は、
前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御し、
前記インターバル荷電槌打の実施中に前記ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別し、
判別結果に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする電気集塵システム。
【請求項2】
前記インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打のいずれか一方を選択する槌打モード選択用の操作部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の電気集塵システム。
【請求項3】
前記火炉から排出される排ガス中の煤塵の濃度を検出する濃度検出部を備え、
前記制御装置は、
前記濃度検出部から得られる煤塵濃度情報に基づく煤塵濃度値と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、
前記煤塵濃度値が判別基準値以下である場合は、
前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気集塵システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記煤塵濃度値が判別基準値を越える場合は、
前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項3に記載の電気集塵システム。
【請求項5】
各々の前記区画室から排出される煤塵を処理する灰処理装置を備え、
前記制御装置は、
前記灰処理装置によって処理される煤塵の灰処理時間と、槌打方式を決定する判別基準値とを比較し、
前記灰処理時間が判別基準値以下である場合に、
前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項1乃至3に記載の電気集塵システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記灰処理時間が判別基準値を越える場合は、
前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の電気集塵システム。
【請求項7】
前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する開始時刻及び終了時刻を入力する時刻入力部と、
前記インターバル荷電槌打又はダンパ連動無荷電槌打を実施する際の現在時刻を示す時間情報を出力する時刻出力部とを備え、
前記時刻入力部によって入力された前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する稼働設定時間以外は前記インターバル荷電槌打を常時実施する場合であって、
前記制御装置は、
前記時刻出力部からインターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻を示す時間情報を入力する共に、前記時刻入力部から前記ダンパ連動無荷電槌打を実施する開始時刻を入力し、
前記インターバル荷電槌打を実施している際の現在時刻と前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するための開始時刻とを比較し、
前記現在時刻と開始時刻とが一致した場合に、前記インターバル荷電槌打を続けたまま前記ダンパ連動無荷電槌打の実施を開始するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項1乃至4に記載の電気集塵システム。
【請求項8】
前記時刻入力部は、
前記インターバル荷電槌打を1日の大半を実施するような第1の稼働設定時間が入力され、
前記ダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するような第2の稼働設定時間が入力され、
前記制御装置は、
前記時刻入力部から出力される第1の稼働設定時間に基づいてインターバル荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御し、
前記第2の稼働設定時間に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を夜間に実施するように前記集塵極槌打装置を制御することを特徴とする請求項7に記載の電気集塵システム。
【請求項9】
燃焼用空気を火炉内に送り込む押込通風機と前記火炉内の圧力の制御を行う誘引通風機とを有した平衡通風式のボイラシステムの通風系統に設置され、前記火炉からの排ガス中の煤塵を除去するために、ケースの内部が複数に区画され、それぞれが独立して荷電可能な区画室と、当該各区画室に設けられ前記煤塵を捕集する集塵極と、前記排ガスの流通を制御するために当該ケースの入口煙道に設けられた入口ダンパ及び、出口煙道に設けられた出口ダンパと、前記集塵極を槌打する集塵極槌打装置とを備えた電気集塵システムが、
前記ボイラシステムの運転条件を検出するステップと、
前記検出部から得られるボイラシステムの運転条件に基づいて前記集塵極槌打装置を制御するステップとを含み実行し、
前記集塵極槌打装置を制御する際に、
前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを開いた状態で、かつ、前記集塵極を荷電した状態で前記区画室の前記集塵極に対して間欠的に槌打を繰り返す動作をインターバル荷電槌打とし、
前記入口ダンパ及び前記出口ダンパを閉じた状態で、かつ、前記集塵極を無荷電状態で前記区画室の前記集塵極に対して所定の回数だけ槌打を行う動作をダンパ連動無荷電槌打としたとき、
前記インターバル荷電槌打を常時実施するように前記集塵極槌打装置を制御するステップと、
前記インターバル荷電槌打の実施中に前記ボイラシステムの運転条件がインターバル荷電槌打条件に該当しているか否かを判別するステップと、
判別結果に基づいて前記ダンパ連動無荷電槌打を実施するように前記集塵極槌打装置を制御するステップとを実行することを特徴とする電気集塵方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−71280(P2012−71280A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219796(P2010−219796)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】