説明

電池、撮像装置および充電装置

【課題】開位置まで開かれた開閉蓋に加わる曲げモーメントを低減する。
【解決手段】機器外観面より機器内部側に位置する回転中心の周りに回転することにより、機器外観面に設けられた開口を開閉可能な開閉蓋と、前記開閉蓋を、前記回転中心を機器外観面より機器内部側に位置させた状態で前記回転中心の周りに回転可能に、且つ、前記回転中心の回転半径方向外方への変位を許容しつつ、機器内部側から支持する支持部と、を備える携帯型電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、撮像装置および充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電状態または放電状態を表示する電池がある(特許文献1参照)。これにより、これから機器に装填する電池が、電源として使用し得るか否かを識別できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−119918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示を見落として、使用済または放電済の電池を機器に再装填してしまうことがある。放電済の電池を装填した場合は、当該機器を起動しようとした後にその電池が放電済であることに初めて気づく。従って、更に電池を交換して撮像装置を再起動させるまでには時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の第1の態様として、撮像装置(100)の電池室(300)に収容される電池本体と、電池本体の使用を禁止する場合に、電池本体の電池室への収容を防止すべく電池本体から突出する突出部(270)とを備える電池(200)が提供される。
【0006】
また、本発明の第2の態様として、上記電池を収容する電池室を備え、電池から供給された電力により動作する撮像装置が提供される。
【0007】
更に、本発明の第3の態様として、上記電池を収容する電池室を備え、電池から供給された電力により動作し、突出部を突出させるアクチュエータ(360)を備えた撮像装置が提供される。
【0008】
更に、本発明の第4の態様として、上記電池を収容する電池室を備え、電池室に収容された電池を充電する充電部(440)と、電池室において充電された電池の突出部を、電池の内側に格納させるアクチュエータ(460)とを更に備える充電装置(400)が提供される。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デジタルカメラ100の底面を示す斜視図である。
【図2】開閉蓋120を開いたデジタルカメラ100の斜視図である。
【図3】抜き出した電池室300の斜視図である。
【図4】電池200を電池室300に挿入する過程を示す断面図である。
【図5】電池200を電池室300に挿入した状態を示す断面図である。
【図6】電池200を単独で示す斜視図である。
【図7】電池200の他の状態を示す斜視図である。
【図8】電池200の他の構造を示す部分断面図である。
【図9】使用中の電池200を示す部分断面図である。
【図10】放電した電池200の状態を示す部分断面図である。
【図11】突出部材270の形状を示す部分拡大図である。
【図12】電池200の他の構造を示す部分断面図である。
【図13】充電中の電池200を示す部分断面図である。
【図14】突出部材270の形状を示す部分拡大図である。
【図15】充電後の充電器400の動作を示す部分断面図である。
【図16】電池200の他の構造を示す断面図である。
【図17】電池200の構造を模式的に示す斜視図である。
【図18】放電した電池200の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、実施形態の記載は、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、撮像装置のひとつであるデジタルカメラ100を、底面を上にして斜め前から見下ろした様子を示す斜視図である。デジタルカメラ100は、筐体110と、筐体110の前面に配されたレンズ鏡筒112およびフラッシュ装置114と、筐体110の底面に配された開閉蓋120とを有する。
【0013】
レンズ鏡筒112は沈胴式で、デジタルカメラ100が動作していない場合は、筐体110に格納される。フラッシュ装置114は、撮像対象が暗い場合に、閃光を発生して撮像対象を照明する。
【0014】
開閉蓋120は、スライドノブ122を有する。開閉蓋120が閉じられている場合は、後述するラッチにより開閉蓋120は筐体110に係合して開かない。しかしながら、スライドノブ122をスライドさせた場合は開閉蓋120は開く。
【0015】
開閉蓋120の内側においては、記録媒体130および電池200が筐体110に収容される。開閉蓋120を開くことにより、記録媒体130および電池200をデジタルカメラ100に脱着できる。
【0016】
図2は、デジタルカメラ100の開閉蓋120を開いた状態を、図1と同じ視点から描いた斜視図である。図1と同じ要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省く。
【0017】
開閉蓋120は、長手方向の一端の辺に配された軸に対して回動して開く。開いた開閉蓋120の裏面(内面)には、案内レール123、ラッチ124、板バネ126およびコイルバネ128が配される。
【0018】
ラッチ124は、開閉蓋120の内面に形成された案内レール123に沿って、開閉蓋120の長手方向に移動する。板バネ126は、ラッチ124を、開閉蓋120の長手方向端部に向かって付勢する。これにより、開閉蓋120が閉じた状態では、ラッチ124が筐体110の一部と係合して、開閉蓋120を閉じた状態に係止する。
【0019】
開閉蓋120の外側からスライドノブ122が操作されると、ラッチ124は、スライドノブ122と連動して、板バネ126の付勢に抗して、開閉蓋120の長手方向に移動する。これにより、開閉蓋120が閉じた状態でスライドノブ122が操作されると、ラッチ124による開閉蓋120の筐体110への係合が解除される。
【0020】
筐体110への係合が解除された開閉蓋120は、コイルバネ128による付勢に従って回動して開く。これにより、筐体110の内部の一部が露出する。
【0021】
なお、ラッチ124の先端は傾斜している。このため、開いた開閉蓋120が閉じられてラッチ124の先端が筐体110に当接した場合、ラッチ124が後退して開閉蓋120を完全に閉じることができる。開閉蓋120が閉じた位置まで回動した場合、板バネ126の付勢力によりラッチ124は再び突出して、開閉蓋120および筐体110を係合させる。
【0022】
開閉蓋120が開いた場合に露出する筐体110の内部には、記録媒体130を装入する媒体スロット132と、電池200を装入する電池室300とが配される。媒体スロット132に記録媒体130が装填された場合、媒体スロット132の奥に配された端子と記録媒体130の端子とが当接して、デジタルカメラ100の内部回路から記録媒体130にアクセスできる状態になる。電池200が電池室300に装填された場合も、電池200が電池室300の奥まで挿入されると、電池室300の端子と電池200の端子とが接して、電池200からデジタルカメラ100へ電力が供給される。
【0023】
図3は、電池室300をデジタルカメラ100から取り出して示す斜視図である。図3に示す電池室300は、図1および図2と同様に、デジタルカメラ100の底面を上に向けた場合の向きで描かれている。電池室300は、フレーム310、突起部320、捩じりバネ330および端子部340を有する。
【0024】
フレーム310は、互いに平行な一対の支柱部312、316と、支柱部312、316に直交する底部314とを有して、上面が開放された矩形の空間を画成する。この空間は、電池200と相補的な形状を有する。
【0025】
更に、一方の支柱部316の上端には係止爪318が配される。係止爪318は、フレーム310の背面側から、上記空間の上に突出する。また、係止爪318は、フレーム310から、突出方向について弾性的に支持される。
【0026】
フレーム310の底部314には、突起部320および捩じりバネ330が長手方向一端近傍に配される。また、底部314の長手方向他端近傍には端子部340が配される。
【0027】
突起部320は、電池200の先端に形成されたノッチ210と相補的な形状を有する。捩じりバネ330は、自然状態では、図示のようにフレーム310の底部314から起立した形状を有する。
【0028】
端子部340は、底部314から上方に向かって突出した複数の電力端子342、344と通信端子346とを有する。電力端子342、344は、電池200の電力をデジタルカメラ100の内部回路に伝える経路を形成する。通信端子346は、デジタルカメラ100および電池200の間で、電子情報を交換する場合の信号経路となる。交換される情報は、電池200側に保存された電池200の積算使用時間、電池200に設けられた温度センサが検出した温度情報等を含む。
【0029】
図4は、電池室300に電池200を装入する過程を示す断面図である。電池200を電池室300に装填する場合、開閉蓋120が開かれた状態で、図中の上側から電池200が下方に向かって挿入される。フレーム310は、挿入される電池200を案内する。
【0030】
電池200が電池室300に挿入される過程では、係止爪318は電池200に押し退けられて電池200の挿入を妨げない。こうして挿入された電池200の先端(図中の下端)は、やがて捩じりバネ330の上端に当接する。電池200が捩じりバネ330に当接したことにより電池200に生じる手応えは、電池200の先端が、フレーム310の底部314に接近したことをユーザに伝える。
【0031】
図5は、電池室300に電池200を装填し終わった状態を示す断面図である。図4に示した状態から、捩じりバネ330の弾性に抗して電池200を更に押し下げることにより、電池200の先端面は、フレーム310の底部314に当接する。
【0032】
電池200がフレーム310の内側に入ると、係止爪318が電池200の後端面の後方に突出して、電池200の後退を規制する。これにより、電池200は、捩じりバネ330に付勢されて係止爪318に押し付けられるので、電池室300内でガタを生じない。
【0033】
フレーム310の底部314には、端子部340が配される。端子部340は、電力端子342、344と通信端子346とを含む。なお、電力端子342、344の一方は、通信端子346に対するコールド側端子を兼ねる場合もある。
【0034】
電力端子342、344および通信端子346の各々は、高さ方向に弾性を有して、フレーム310の底面から隆起する。これにより、電池200が装填された場合に、上方から降下して来る電池200の端子部240に圧接しつつ、電池200の先端面が底部314に着床することを妨げない。
【0035】
なお、電池200を電池室300から取り出す場合は、係止爪318を、電池200の後端面の外側まで押すことにより、係止爪318による係止を解くことができる。係止爪318による係止が解かれた場合、捩じりバネ330は、その付勢力により電池200を僅かに持ち上げて、電池室300からの取り出しを容易にする。
【0036】
電池200が底部314に着床した場合、電池200のノッチ210と底部314の突起部320は、相互に嵌まりあって電池200の着床を妨げない。一方、ノッチ210は、ひとつの電池200の先端面に1個所にしか形成されていないので、電池200の向きが誤っていた場合には、電池200と突起部320とが当接して、電池200を電池室300の底部314まで入れることができなくなる。これにより、電池200を誤った向きで装填することを防止できる。
【0037】
図6は、電池200を単独で示す斜視図である。この図においては、電池200の天地を入れ換えられ、電池200の先端面が見える。
【0038】
電池200は、ノッチ210に隣接して配されたスライダ220を先端面に有する。スライダ220は、電池200の先端面に形成された案内溝222に沿って、電池200の先端面の長手方向に移動させることができる。このような電池200を用いた場合、デジタルカメラ100を使用して電池200が放電した場合に、図中に矢印で示す方向にスライダ220を移動させる。
【0039】
図7は、スライダ220を移動させた電池200の斜視図である。電池200に対する視点は、図6と等しい。
【0040】
スライダ220を移動させると、スライダ220の端部は、ノッチ210の位置に突出してノッチ210を埋める。これにより、スライダ220を移動させた電池200を電池室300に装填した場合、突起部320がスライダ220と干渉して、電池200を電池室300の奥まで装入できない。
【0041】
このように、ユーザは、スライダ220を移動させることにより、その電池200が放電済みであることを表示させることができる。また、放電済みの電池200を誤って電池室300に装填しようとした場合は、ノッチ210の領域に突出したスライダ220が、電池200の完全な装填を妨げる。これにより、使用済みの電池200を誤って電池室300に装填することが防止される。
【0042】
なお、電池200をデジタルカメラ100の筐体110に装填する場合について例示したが、同様の構造を有する電池室300は、デジタルカメラ100に装着するバッテリグリップ、外部電源ユニット等に設けてもよい。また、デジタルカメラ100が、例えば、レンズ交換式の一眼レフ、ビデオカメラ等であり得ることはもちろんである。
【0043】
更に、イメージセンサを備えて撮像機能を有し、且つ、電池で駆動される他の電子機器、例えば、携帯電話、ウェブカメラ付きノート型パーソナルコンピュータの電池200についても、上記の構造を適用し得る。また更に、放電済み電池の使用を強制的に阻止することは、再利用が前提の2次電池についてはもちろん、1次電池についても好ましく適用できる。
【0044】
図8は、構造の異なる突出部材270を有する電池200を示す模式的な断面図である。電池200は、係止部材250、コイルバネ260、突出部材270および捩じりバネ280を有する。また、電池室300は、アクチュエータ360を有する。
【0045】
係止部材250は、カム面252およびフック254を連結した形状を有する。カム面252は、電池200の挿抜方向に対して傾斜する。また、係止部材250は、電池200に対して固定された案内部251により、電池200の挿抜方向に対して直交する方向に案内される。これにより、カム面252が電池200の挿抜方向に押された場合に、係止部材250は、当該挿抜方向と直交する方向に変位する。
【0046】
フック254は、電池200の挿抜方向に直交する方向に突出して形成される。なお、フック254の突出方向は、カム面252を押された場合に係止部材250が移動する方向に対向する。コイルバネ260は、フック254が突出する方向に向かって、係止部材250を付勢する。
【0047】
突出部材270は、一端を回動軸271に軸支され、回動軸271の回りに回動する。突出部材270の他端は、当接面272、カム面274およびフック276を有する。フック276は、係止部材250のフック254に係合する。当接面272およびカム面274については後述する。
【0048】
更に、突出部材270は、捩じりバネ280により、フック254、276が相互に離れる方向に付勢される。即ち、図8に示す状態では、フック254、276が係合することにより、捩じりバネ280の付勢力に抗して、図示の状態が維持される。フック254、276の係合が解かれた場合については後述する。
【0049】
なお、電池200の外殻には、一対の開口、202、204が設けられる。開口202は、突出部材270に面して配され、後述するように突出部材270が電池200の表面から突出する場合に通過する。開口204は、係止部材250のカム面252に面して配され、後述するように、電池200の外部からカム面252を押す場合に、カム面252を押す部材が通過する。
【0050】
一方、電池室300は、電池200の先端面に対向して配されたアクチュエータ360を有する。アクチュエータ360は、プッシュロッド362を、電池200の挿抜方向に突き出しまたは引き込む。アクチュエータ360は、デジタルカメラ100の制御部350により動作を制御される。
【0051】
制御部350は、デジタルカメラ100自体の動作を制御しつつ、電池200の消耗状態を監視する。電池200の消耗状態は、電池200の出力電圧を計測する他、電池200から電力を得て実行されたデジタルカメラ100の動作を記録して消費電力を積算してもよい。また、電池200に消費電力を監視する回路が実装されている場合は、通信端子246を介して、当該回路から消費電力情報を獲得してもよい。
【0052】
図9は、アクチュエータ360が動作する状態を、図8と比較して示す断面図である。制御部350は、監視している電池200の残り容量が少ないと判断した場合に、アクチュエータ360を動作させて、プッシュロッド362を進出させる。進出したプッシュロッド362は、開口204を通じて、係止部材250のカム面252を押す。
【0053】
これにより、係止部材250は、コイルバネ260の付勢力に抗して、電池200の挿抜方向と直交する方向(図中では左方)へ変位する。従って、係止部材250のフック254と、突出部材270のフック276との係合が解かれる。なお、フック254、276の係合が解かれると、制御部350は、アクチュエータ360を動作させてプッシュロッド362を引き込む。
【0054】
フック254、276の係合が解かれると、突出部材270は、捩じりバネ280の付勢力により回動する。これにより、突出部材270の先端は、電池200の開口202から、電池200の外側に突出しようとする。ただし、電池200が電池室300に装填されている場合は、突出部材270の先端は、電池室300の底部314に当接した時点で回動を停止する。従って、端子部240、340の接続は維持され、電池200および電池室300の機能は変化しない。
【0055】
図10は、図9に示した状態の電池200が、電池室300から取り外される過程を示す断面図である。電池200が電池室300から抜き出されて、電池200の先端面と電池室300の底部314とが離れると、突出部材270は、捩じりバネ280の付勢力により、突出部材270の長手方向が、電池200の挿抜方向と平行になるまで回動する。
【0056】
図11は、突出した突出部材270を拡大して示す図である。起立した突出部材270は、回動軸271と反対側の端部に形成された当接面272およびカム面274を、電池200の外殻の外側に突出させる。これにより、突出部材270が突出した電池200が電池室300に装填されようとした場合、端子部240、340が当接する前に、当接面272が電池室300の底部314に当接する。これにより、電池200をそれ以上に挿入されることを阻止する。
【0057】
また、電池200から突出した当接面272は、電池200の挿抜方向に直交し、且つ、当接面272の両端から、電池200の挿抜方向に延長した一対の直線は回動軸271を挟む。このような形状により、いったん起立した突出部材270は、電池室300の底部314に当接して押されても、電池200の内側に倒れることがない。
【0058】
これにより、消耗した電池200を誤って再装填しようとしても、電池200が電池室300に入り切らないので、係止爪318が電池200の後端に掛からない。また、開閉蓋120を閉じることもできない。従って、消耗した電池200を誤って装填することは確実に防止される。
【0059】
なお、上記の例では、突出部材270を、電池200の先端から挿抜方向に突出させた。しかしながら、突出部材270の突出方向は、これに限られるものではない。即ち、突出部材270を、電池200の側面から、電池200の挿抜方向と交差する方向に突出させた場合は、突出した突出部材270の先端が、電池室300の入り口に支えるので、電池200を装填できなくなる。
【0060】
また、突出部材270を、電池200の後端面から突出させた場合は、電池室300の開閉蓋120を閉じることができなくなる。これにより、消耗した電池200を誤って装填することを確実に防止できる。
【0061】
図12は、既に使用されて、突出部材270が突出した状態の電池200を、充電器400に装填した状態を示す断面図である。充電器400は、端子部440、制御部450およびアクチュエータ460を備える。
【0062】
充電器400は、装填された電池200から突出する突出部材270に対向する位置に配され、突出部材270の先端を収容する凹陥部470を有する。これにより、電池200が装填された場合に、突出部材270が電池200から突出しているにもかかわらず、電池200の先端が充電器400の底部410に当接するまで、電池200をさし込むことができる。
【0063】
充電器400の端子部440は、電池200の端子部240に対向して配置された電力端子442、444と、通信端子446とを有する。充電器400に電池200が装填された場合、電力端子442、444は、電池200の電力端子242、244に接して、電池200に充電電流を供給する。
【0064】
また、通信端子446は、電池200の通信端子246に当接して、電池200および充電器400の信号経路を形成する。これにより、制御部450は、通信端子446、246を介して電池200の充電状態を監視しながら、電池200に供給する充電電流を調整する。また、制御部450は、電池200に温度センサ等が装備されている場合には、そこから得た温度情報等も参照して充電電流を調整する。
【0065】
アクチュエータ460は、電池200の充電器400に対する挿抜方向に対して傾斜して配される。これにより、アクチュエータ460は、電池200の挿抜方向に対して傾斜した方向に、プッシュロッド462を進退させる。
【0066】
図13は、電池200の充電が完了した場合の充電器400の動作を示す断面図である。電池200が充電されて、デジタルカメラ100で再び使用できる状態になると、制御部450は、アクチュエータ460を動作させて、電池200の突出部材270を初期状態に戻す。
【0067】
即ち、制御部450は、アクチュエータ460を動作させて、プッシュロッド462を、電池200の挿抜方向に進出させる。これにより、プッシュロッド462の先端は、突出部材270のカム面274に当接する。
【0068】
図14は、突出部材270とプッシュロッド462との位置関係を拡大して示す図である。プッシュロッド462は、プッシュロッド462の延長線が、回動軸271に対してフック276に近い側を通過する方向に進出して、カム面274を押す。これにより、プッシュロッド462がカム面274を押した場合、突出部材270は、捩じりバネ280の付勢力に抗して回動軸271の回りを回動して電池200の内側に倒れ込む。
【0069】
再び図13を参照すると、プッシュロッド462を更に進出させることにより、やがて、突出部材270の先端は係止部材250のフック254に当接する。ここから更に突出部材270を押し込むと、突出部材270のフック276は、係止部材250のフック254を押し退けて係止部材250を変位させるので、フック254、276は相互に係合する。
【0070】
図15は、アクチュエータ460の動作の最終段階を示す断面図である。フック254、276が係合し合った場合、電池200の内部構造は、再び、図8に示した初期状態に等しい状態になる。これにより、突出部材270は電池200の内部に保持されるので、電池200を、デジタルカメラ100の電池室300に装填することができる。
【0071】
なお、図8から図15までに示した例では、突出部材270を電池200から突出させ、あるいは、電池200に格納するアクチュエータ360、460を、デジタルカメラ100および充電器400にそれぞれ設けた。しかしながら、アクチュエータ360、460に換えて、電池200にアクチュエータ360、460を搭載してもよい。この場合、制御部350、450は、通信端子346、446を介してアクチュエータ360、460の動作を制御する。
【0072】
図16は、突出部材290を含む係止機構組立体500の構造を示す図である。係止機構組立体500は、同じ厚さの板状材料から切り抜いて作製された枢支部292、支持ロッド294、突出部材290および押さえ部298を有する。
【0073】
枢支部292および押さえ部298は、係止機構組立体500の下端近傍または上端近傍に固定される。支持ロッド294および突出部材290は、枢支部292および押さえ部298の間に挟まれる。
【0074】
一対の支持ロッド294は互いに平行であり、それぞれ、上端および下端に円弧状の転動部291を有する。下側の転動部291は、枢支部292に形成された円弧状の切欠き部に嵌まり、枢支部292に対して転動する。上側の転動部291は、突出部材290の下辺に形成された円弧状の切欠き部に嵌まり、突出部材290に対して転動する。
【0075】
突出部材290は、水平方向の端部に係止部293および被駆動部295を有する水平な閂状部分296と、押さえ部298の下面に沿って滑動する滑動部299と、閂状部分296および滑動部299の間で伸張して、閂状部分296を下方に向かって付勢する撓みバネ297とを含む。
【0076】
なお、撓みバネ297に弾性を発揮させる目的で、少なくとも突出部材290は、弾性を有する樹脂板、金属板等により形成することが好ましい。枢支部292、支持ロッド294および押さえ部298は、むしろ変形しないことが好ましいので、剛性が高い樹脂板、金属板等により形成することが好ましい。ただし、各部の形状を最適化することにより、全ての部材を同じ板材から切り出して作製してもよい。
【0077】
更に、係止機構組立体500の外殻には、一対の開口202、204が形成される。開口202、204は、閂状部分296の側方に配される。これにより、開口202を通じて、突出部材290の係止部293を側方に突出させることができる。また、開口202、204を通じて、閂状部分296の係止部293または被駆動部295を、側方から押すことができる。
【0078】
図17は、係止機構組立体500を備えた電池200全体の構造を模式的に示す図である。枢支部292、支持ロッド294、突出部材290および押さえ部298は板材から切り出して作製できるので、係止機構組立体500は薄い。従って、図示のように、電池本体201の側面に係止機構組立体500を貼り付けた場合でも、電池200の寸法を大きく変化させることがない。
【0079】
再び図16を参照すると、閂状部分296は図中の右側に寄った位置にある。このとき、撓みバネ297の付勢力により閂状部分296は、図中の下方に向かって押し下げられる。従って、一対の支持ロッド294は、図中の右方に倒れる。一方の支持ロッド294が、枢支部292の内向きの斜面に当接するので、図示の状態を超えて支持ロッド294が倒れ、閂状部分296が、電池200の図中右方に突出することはない。
【0080】
図示の状態の電池200は充電されていて、デジタルカメラ100の電源として使用できる。しかしながら、デジタルカメラ100が使用されて、電池200の残り容量が少なくなった場合、制御部350はアクチュエータ360を動作させて、プッシュロッド362を進出させる。進出したプッシュロッド362は、開口204を通じて、係止機構組立体500の内部において被駆動部295を押す。これにより、閂状部分296は、図中左方に変位する。
【0081】
なお、図示は省いたが、アクチュエータ360は、図8から図10に示した電池室300と異なり、電池200の側面から被駆動部295を押す位置に配置される。アクチュエータ360を動作させる制御部350の制御は、図8から図10に示した例と同じでよい。
【0082】
図18は、閂状部分296が、図中の左方に変位した状態を示す。閂状部分296と共に滑動部299および撓みバネ297も左方に変位して、閂状部分296を上方から下方に向かって付勢する。また、一対の支持ロッド294も、図中左方に傾き、一方の支持ロッド294が枢支部292の内向きの斜面に当接する。
【0083】
これにより、閂状部分296の係止部293は、電池200の左側面から突出した状態を維持する。従って、この電池200を電池室300に装填しようとした場合、係止部293が電池室300の周囲に当接して、電池200の装填を阻止する。
【0084】
なお、突出した係止部293が外部から閂状部分296の長手方向に押された場合、閂状部分296は、係止機構組立体500の内部に向かって後退する。しかしながら、係止部293を押す力が無くなった場合は、撓みバネ297の付勢力により、係止部293は再び係止機構組立体500から突出する。このような構造により、例えば、電池200をケースに収容し、あるいは、衣類のポケット等に入れた場合に、突出した係止部293が邪魔になることはない。
【0085】
一方、充電器400において、アクチュエータ460のプッシュロッド462が、開口202を通じて、係止機構組立体500の内側深くまで係止部293を押し込んだ場合は、支持ロッド294の傾きが反転して、閂状部分296の位置は、図16に示した位置まで戻る。これにより、突出部材290の位置は初期状態に戻り、電池200は再び電池室300に装填できる状態になる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0088】
100 デジタルカメラ、110 筐体、112 レンズ鏡筒、114 フラッシュ装置、120 開閉蓋、122 スライドノブ、123 案内レール、124 ラッチ、126 板バネ、128、260 コイルバネ、130 記録媒体、132 媒体スロット、200 電池、201 電池本体、202、204 開口、210 ノッチ、220 スライダ、222 案内溝、240、340、440 端子部、242、244、342、344、442、444 電力端子、246、346、446 通信端子、250 係止部材、251 案内部、252、274 カム面、254、276 フック、270、290 突出部材、271 回動軸、272 当接面、280、330 捩じりバネ、291 転動部、292 枢支部、293 係止部、294 支持ロッド、295 被駆動部、296 閂状部分、297 撓みバネ、298 押さえ部、299 滑動部、300 電池室、310 フレーム、312、316 支柱部、314 底部、318 係止爪、320 突起部、350、450 制御部、360、460 アクチュエータ、362、462 プッシュロッド、400 充電器、410 底部、470 凹陥部、500 係止機構組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の電池室に収容される電池本体と、
前記電池本体の使用を禁止する場合に、前記電池本体の前記電池室への収容を防止すべく前記電池本体から突出する突出部と
を備える電池。
【請求項2】
前記突出部は、前記電池本体の残り容量が所与の閾値を下回った場合に突出する請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池本体は、残り容量を検出する残量検知部を備える請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池本体は、残り容量を、前記撮像装置から通知される請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項5】
前記電池本体は、前記突出部を突出させるアクチュエータを備える請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電池。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の前記電池を収容する前記電池室を備え、前記電池から供給された電力により動作する撮像装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の前記電池を収容する前記電池室を備え、
前記電池室に収容された前記電池から供給された電力により動作して、前記突出部を突出させるアクチュエータを備える撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の前記電池を収容する前記電池室を備え、
前記電池室に収容された前記電池を充電する充電部と、
前記電池室において充電された前記電池の前記突出部を、前記電池の内側に格納させるアクチュエータと
を更に備える充電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−23208(P2011−23208A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167284(P2009−167284)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】