説明

電池カプラーおよび電子機器

【課題】 電子機器の電池収納室に外部電源用の電池カプラーを装填した状態において、外部電源ケーブルに不用意に大きな力が加わっても、外部電源ケーブルが電池カプラーから離脱することがなく、また、プラグとジャックとの間の電気的接続が常に安定した電子機器を提供する。
【解決手段】 外部電源ケーブル7のプラグ7aとケーブル摘み部7bが収容されるジャック6aとケーブルガイド凹部6bを、電池カプラー6の装填・排出方向線C1に対し所定の角度αだけ傾けた仮想方向線C2上に形成する。
この電池カプラー6を、カメラに装填し電池蓋3を閉じる。すると、外部電源ケーブル7に、不用意に大きな引っ張り力が加えられても、ケーブル摘み7bが電池ホルダー4と当接し、外部電源ケーブル7から、カメラが離脱することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式の電池に対し、外観形状が実質的に同一で、且つ電子機器の電極に接触する接点の位置が共通であって、前記充電式電池と交換的に前記電子機器の電池収納室に装填して使用される外部電源用の電池カプラーおよびこの電池カプラーを充電式の電池と交換的に装填し使用する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の電子機器に電源電池を装填する手法には、従来より種々の方式があり、最近では、充電式の専用電池を用いる電子機器、例えば、ディジタルカメラが一般的となっている。
例えば、特許文献1(特開2006−210251号公報)においては、充電式専用電池と実質的に外観形状が同等サイズの外部電源供給用の電池カプラーが充電式電池と共に使用可能なカメラが提案されている。
この特許文献1に記載の電池蓋ユニットは、電池蓋を開け、充電式専用電池と同等サイズの電池カプラーを、カメラの電池収納室に先に装填し、次に電池蓋を閉じた後に、ケーブルカバーを外し、電池蓋に穿設された電池蓋穴を露出させて、ケーブルプラグを電池カプラーの後端部に設けられたソケットに差し込む構造となっている。
しかしながら、このような方式では、ケーブル端部に設けられたプラグが、電池カプラーから外れ易いという難点がある。
例えば、最悪の事態として、プラグが、電池カプラーから外れた際にカメラ本体が落下し、カメラに損傷を与えるという危険を伴う。
また、プラグが電池カプラーから外れないとしても電気ケーブルに不用意に触れたり、衝撃等を与えて抜けかかることが起こり、その場合、電気ケーブルと電池カプラーとの電気的な接続が不安定になる、といった不具合が発生し易いので、ユーザとしては電池カプラーをカメラに装着している場合、常にその取り扱いに注意を払わなければならない、という難点がある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−210251号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、第1の目的とするところは、充電式の電池に対し、外観形状が実質的に同一であって、充電式の電池と交換的に電子機器の電池収納室に装填して使用される電池カプラーにおいて、一旦ジャックに差し込まれた外部電源ケーブルのプラグが不用意に離脱したり、プラグとジャックの間の接触が不良となったりするのを、確実に防止し得る電池カプラーを提供することにある。
また、本発明の第2の目的とするところは、充電式の電池と外部電源用の電池カプラーが交換的に使用される電子機器に、電池カプラーを装填して使用する際に、仮に外部電源ケーブルに不用意に大きな力が加わっても、プラグとジャック間にその力が及ぶことはなく、従って両者が離脱することはなく、外部電源ケーブルとの接続が外れて電子機器が落下するといった事故を未然に防止し得ると共に、両者間の電気的接続が常に安定した電子機器を提供することにある。
第3の目的とするところは、電池カプラーを電池収納室に装填して使用する場合に、外部電源ケーブルを電池カプラーから外部へ引き出すためのケーブル引き出し用切り欠きを、電池カプラーを装填しない場合は、閉鎖することができ、ゴミや異物の侵入を防止し得ると共に、外観を美麗に保ち得る電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した本発明に係る電池カプラーは、
充電式の電池に対し、外観形状が実質的に同一で、且つ電子機器の電極に接触する接点の位置が共通であって、前記充電式電池と交換的に前記電子機器の電池収納室に装填して使用される外部電源用の電池カプラーにおいて、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよびケーブル摘み部が収容されるケーブルガイド凹部を形成してなることを特徴としている。
請求項2に記載した本発明に係る電池カプラーは、前記ケーブルガイド凹部が、前記電池カプラーの中間部から一つの隅部に抜けるように形成してなることを特徴としている。
【0006】
請求項3に記載した本発明に係る電子機器は、充電式の電池および外部電源用の電池カプラーを交換的に装填し得る電池収納室と、
前記電池収納室の開口部を開閉する電池蓋を有する電子機器において、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよび前記外部電源ケーブルの摘み部が収容されるケーブルガイド凹部をそれぞれ形成してなる電池カプラーが前記電池収納室に収納された状態のとき、前記ケーブルガイド凹部に収容された前記外部電源ケーブルを引き出すためのケーブル引き出し用切り欠きが形成されてなる前記電池蓋を設けてなることを特徴としている。
【0007】
請求項4に記載した本発明に係る電子機器は、前記電池蓋には、前記電池収納室に、前記充電式電池が収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを覆い、前記電池カプラーが収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを開口させることが可能なカバー部材が付設されていることを特徴としている。
請求項5に記載した本発明に係る電子機器は、前記カバー部材が、弾性材で板状に形成され、基端が前記電池蓋に固定され、先端が起伏可能とされ、前記電池蓋の外表面に形成されたカバー部材取付凹面に、前記電池蓋の外表面に突出しないように収容されていることを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係る電子機器は、前記電子機器が、撮像装置であることを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係る電子機器は、前記電子機器が携帯情報端末装置であることを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係る電子機器は、前記電子機器がディジタルカメラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、充電式の電池に対し、外観形状が実質的に同一で、且つ電子機器の電極に接触する接点の位置が共通であって、前記充電式電池と交換的に前記電子機器の電池収納室に装填して使用される外部電源用の電池カプラーにおいて、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよびケーブル摘み部が収容されるケーブルガイド凹部を形成してなることにより、充電式の電池と交換的に電子機器の電池収納室に装填して使用される際に、一旦ジャックに差し込まれた外部電源ケーブルのプラグが不用意に離脱したり、プラグとジャックの間の電気的接触が不良となったりするのを確実に防止し得る電池カプラーを提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ケーブルガイド凹部が、前記電池カプラーの中間部から一つの隅部に抜けるように形成してなることにより、電池カプラーが電子機器の電池収納室に装填された状態において、外部電源ケーブルを制約の少ない電池蓋の隅部から引き出すことができ、また、外部電源ケーブルに外方向の外力が加わった場合に、ケーブル摘み部の角部が装填された電池収納室の壁面に当接し、それ以上、ケーブル摘み部が外方に向かって出ることはなく、一旦ジャックに差し込まれた外部電源ケーブルのプラグが不用意に外れてしまうことを確実に防止し得ると共に、仮に外部電源ケーブルにカメラ等の電子機器を吊下げても電子機器が落下し、損傷を蒙ることがなく、プラグとジャックの間の電気的接続も常に安定した電池カプラーを提供することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、充電式の電池および外部電源用の電池カプラーを交換的に装填し得る電池収納室と、
前記電池収納室の開口部を開閉する電池蓋を有する電子機器において、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよび前記外部電源ケーブルの摘み部が収容されるケーブルガイド凹部をそれぞれ形成してなる電池カプラーが前記電池収納室に収納された状態のとき、前記ケーブルガイド凹部に収容された前記外部電源ケーブルを引き出すためのケーブル引き出し用切り欠きが形成されてなる前記電池蓋を設けてなるので、電池カプラーを装填して使用する際に、ケーブルガイド凹部に収容された外部電源ケーブルの摘み部に不用意に大きな引張力が作用しても抜け出すことがなく、従って、プラグとジャック間には何ら影響を及ぼすことがないため、仮に外部電源ケーブルに電子機器を吊下げて携帯して歩いても外部電源ケーブルの摘み部が電子機器から外れることはなく、電子機器の落下による損傷は回避することができ、プラグとジャック間の電気的な接続が常に安定した電子機器を提供することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記電池蓋には、前記電池収納室に、前記充電式電池が収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを覆い、前記電池カプラーが収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを開口させることが可能なカバー部材が付設されているので、電池カプラーを装填していないときは、外部電源ケーブル引き出し用切り欠きをカバー部材で覆い、ゴミや異物の侵入を防止し、且つ、外観を美麗に保つことができ、電池カプラーを使用するときは、ケーブル引き出し用切り欠きから外部電源ケーブルを何ら支障なく引出すことが可能な電子機器を提供することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、前記カバー部材が、前記弾性材で板状に形成され、基端が前記電池蓋に固定され、先端が起伏可能とされ、前記電池蓋の外面に形成されたカバー部材取付凹面に、前記電池蓋の外表面から突出しないように収容されていることにより、電池収納室に電池カプラーが装填された場合、電池カプラーに接続された外部電源ケーブルを、外部に引き出した状態で電池蓋を閉じる動作を行うだけで可撓性を有するカバー部材が起こされ、ケーブル引き出し用切り欠きを開放するため、極めて作業性の良好な電子機器を提供することができる。
【0011】
また、請求項6に記載の発明によれば、前記電子機器が撮像装置であることにより、電池カプラーを装填して使用する際に、ケーブルガイド凹部に収容された外部電源ケーブルの摘み部に不用意に大きな引張力が作用しても抜け出すことがなく、従って、プラグとジャック間には何ら影響を及ぼすことがないため、仮に外部電源ケーブルに撮像装置を吊下げて携帯して歩いても外部電源ケーブルの摘み部が撮像素子から外れることはなく、撮像装置の落下による損傷は回避することができ、プラグとジャック間の電気的な接続が常に安定した撮像装置を提供することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、前記電子機器が携帯情報端末装置であることにより、電池カプラーを装填して使用する際に、ケーブルガイド凹部に収容された外部電源ケーブルの摘み部に不用意に大きな引張力が作用しても抜け出すことがなく、従って、プラグとジャック間には何ら影響を及ぼすことがないため、仮に外部電源ケーブルに接続された携帯情報端末装置を吊下げて携帯して歩いても外部電源ケーブルの摘み部が携帯情報端末装置から外れることはなく、携帯情報端末装置の落下による損傷は回避することができ、プラグとジャック間の電気的な接続が常に安定した携帯情報端末装置を提供することができる。
【0012】
また、請求項8に記載の発明によれば、前記電子機器がディジタルカメラであることにより、電池カプラーを装填して使用する際に、ケーブルガイド凹部に収容された外部電源ケーブルの摘み部に不用意に大きな引張力が作用しても抜け出すことがなく、従って、プラグとジャック間には何ら影響を及ぼすことがないため、仮に外部電源ケーブルに接続されたディジタルカメラを吊下げて携帯して歩いても外部電源ケーブルの摘み部がディジタルカメラから外れることはなく、ディジタルカメラの落下による損傷は回避することができ、プラグとジャック間の電気的な接続が常に安定しているディジタルカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の電池カプラーおよびその電池カプラーを充電式の電池と交換的に装填して使用される電子機器の最良の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子機器の一つの例であるカメラ(ディジタルカメラ)を底部正面方向から見た斜視図である。尚、この発明は、他の電子機器、例えば、撮像装置や携帯情報端末装置にも適用が可能である。
同図において、1はカメラ本体、2は電池収納室の開口を閉塞する電池蓋ユニット2、Cは、ディジタルカメラ(以下、単に「カメラ」という)であり、全体として、前後方向(光軸方向)には、薄い直方体形状を呈し、図1に示す非使用時には、レンズ鏡胴はカメラ本体1の内部に繰り込まれており、撮影時には、レンズ鏡胴が被写体側に突出する。
図2は、図1に示すカメラの底面図である。
図2において、3は、電池蓋ユニットを構成する電池蓋であり、詳しくは後述するが、電池蓋3を指先で長方形の短辺方向(図2においては上方向)、即ち、開き方向を示す矢印3aの方向に向けて、摺動させた後、指を電池蓋3から離すと、長方形の長辺を軸に、予め付勢されたばね力により回転して、開くようになっている。
【0014】
図3は、本発明に係るカメラCの電池蓋を開いた状態を正面下方向から見た外観構成と、このカメラに装填して使用される充電式の電池と外部電源用の電池カプラーの外観構成を示す斜視図である。
図3において、5は、充電式の電池、6は、外部電源用の電池カプラー、7は、外部電源用のケーブルである。
カメラ本体1に充電式の電池5または電池カプラー6を収納(装填)するには、図3に示すように、電池蓋3を上述した要領にて開き、充電式の電池5か電池カプラー6のいずれか一方を選択して、電池収納室としての電池ホルダー4内に装填し、電池蓋3を軸受4a、4bを中心として回動して電池ホルダー4の開口部を閉じ、次に図2に示した矢印3aとは反対方向の係止位置まで摺動させて電池蓋3を閉じる。
尚、電池カプラー6は、図3に示されるように、充電式の電池5に対し、外観形状が実質的に同一で且つ電子機器の電極に接触する接点の位置および電気的諸元(電圧、電流等の要素)が実質的に共通であって、充電式の電池5と交換的にカメラCの電池ホルダー4に装填して使用されるものであり、ダミー電池と称される場合もある。
【0015】
この電池カプラー6は、この場合扁平な直方体を呈しており、カメラCの電池接片8、9(図4)と接触する接点は、図に表われていないが、電池カプラー6の上部側面(図3において上端面)に設けられている。この電池カプラー6において、特に主要な点は、最も広い面(図3において、前面または背面)に、電池ホルダー(電池収納室)4に装填および排出される方向線C1(図3において、上下方向)に対し、所定角度傾いた仮想方向線C2上に、外部電源ケーブル7のプラグ7aが挿入(収容)されるジャック6aと、外部電源ケーブル7の摘み部7bおよびケーブル7c、7dの一部が収容されるケーブルガイド凹部6bが形成されている点である。
上述したカメラCの電池接片8、9に接触する電池カプラー6の上部側面に配置された接点(図示せず)と、ジャック6aの接点とは、電池カプラー6の内部で接続するように配線されている。
図4は、図1に示すカメラの底面図であり、電池蓋ユニット2の電池蓋3を開けた状態を示している。
この図4に示すように、電池ホルダー4の最奥部(図3においては、上方の奥部)には、上述した充電式の電池5および電池カプラー6に接続するための電池接片8、9が設けられている。
【0016】
この電池ホルダー4の最奥部には、円すい台形状に巻回されたコイルばねよりなる排出ばね10が設けられており、この排出ばね10は、装填された充電池5または電池カプラー6を、外部に排出するためのものである。
また、11は、電池ロック爪であり、電池ホルダー4の開口端近傍に配設され、常時、電池5または電池カプラー6の下部側面(図3における下底面)を係止する方向にばね付勢されている。
上述した充電式の電池5および電池カプラー6に接続するための電池接片8、9が設けられている。
この電池ホルダー4の最奥部には、円すい台形状に巻回されたコイルばねよりなる排出ばね10が設けられており、この排出ばね10は、装填された充電池5または電池カプラー6を、外部に排出するためのものである。
また、11は、電池ロック爪であり、電池ホルダー4の開口端近傍に配設され、常時、電池5または電池カプラー6の下部側面(図3における下底面)を係止する方向にばね付勢されている。
【0017】
この電池ロック爪11は、図8に示すように、電池ホルダー4の下部壁面に前後方向に移動するように設けられ、常時は、カメラの前方向(図8の手前側)にばね付勢されているので、電池カプラー6(充電式の電池5の場合も同様)を収納する途中の段階では、図8において下方に退避するが、収納が完了すると、図9に示すように、充電式の電池5または電池カプラー6の下端面に掛かってこれを保持する。この状態で電池蓋3を閉じると収納(装填)が完了する。
この電池ロック爪11は、電池蓋3を開いたとき、電池5または電池カプラー6が排出ばね10に押されて不用意に飛び出さないように、図9に示すように一時的にロックするためのものである。
図9の状態から、図10に示すように、電池カプラー6を排出するには、図10における矢印P方向に指先で押圧して、電池ロック爪11の係止部を、電池カプラー6の下底面から外すことにより電池カプラー6は、下方向に排出することができる。
【0018】
図5は、本発明に係るカメラに組み込まれる電池蓋ユニットの分解斜視図である。
図6は、図5に示す電池蓋ユニットを裏面(内面)側から見た分解斜視図である。
12は、プレートでステンレス板をプレス加工して形成され、軸受部12a、12bに回転軸13を挿通させて、図3に示す電池ホルダー4の軸受4a、4bに取り付けられる。また、コイル状の付勢ばね14は、回転軸13に貫入して取り付けられ、プレート12を常に閉じ状態から開状態へ回転するように付勢する。このため、電池蓋3を開いた状態を維持するので、電池カプラー6の出し入れ操作を行い易い。
電池蓋3は、内側に一対の保持部3b、3cを有しており、この保持部3b、3cの間にプレート12に設けた一対の摺動部12c、12dを嵌めて、摺動動作が可能な状態に取り付ける。
これは、他の部材を使用せず電池蓋3にプレート12を直接結合するので、精度良く、確実に嵌合することができる。このように、電池蓋ユニット2を、モールド製の電池蓋3およびステンレス製のプレート12により構成したので、外観側は、モールド材による自由なデザイン形状が可能で、強度的には、ステンレス材により、充分な強度が確保できる。また、3d、3eは、係止部で、電池ホルダー4に設けた爪部4c、4dの下に潜って係止するものである。
【0019】
プレート12には、円柱状に丸めたクリック部12eが設けられ、ステンレス材からなる片持梁のばね性を利用したクリック形状となっている。これを電池蓋3に設けた凹凸状をなすクリック溝3iに係合させることで、摺動動作時にクリック感が得られるようになっており、電池蓋3を閉鎖側に付勢する機能があり、これによって、電池蓋3を確実に閉鎖状態に保持することができる。
15は、ケーブル引き出し用切り欠き3hを覆ったり、開口したりするカバー部材であり、柔軟性の樹脂材、例えばエラストマまたはゴム材で形成されており、端部に矢じり状の取付部15aを有し、これを電池蓋3の取付穴3fに押し込んで固定する。このとき、カバー部材15の取付部15aは、先端が矢じり状なので、取付穴fに押し込み易く、固定が簡単に行える。
そして、カバー部材15は、取付完了時には、電池蓋3の外表面に設けたカバー取付凹面3gにカバー部材15がすっぽり収まり、外観を美しく保つことができる。
また、3hは、電池蓋3に設けたケーブル引き出し用切り欠きであり、12fは、プレート12に設けた切り欠きである。このケーブル引き出し用切り欠き3hは、電池カプラー6と外部電源ケーブル7とを接続したセット、即ち、プラグ7aを電池カプラー6のジャック6aに差し込み、外部電源ケーブル7のケーブル摘み部7bとケーブル7c、7dの一部を、ケーブルガイド凹部6bに収容(嵌入)した状態の電池カプラー6を、電池ホルダー4に収納して、電池蓋3を閉じた状態にて、外部電源ケーブル7の引き出し位置に合致するようになっている。
【0020】
また、プレート12には、取付穴3fから突出した取付部15aとの干渉を避けるため、逃げ切り欠き12gが設けられている。この逃げ切り欠き12gは、電池蓋3の摺動に伴い、移動する取付部15aにプレート12が当たらないように形成されているため、スムーズに摺動動作することができる。
図7は、電池カプラー6と外部電源ケーブル7とを接続した状態でカメラに収納した状態を示す正面図である。
電池カプラー6のジャック(ケーブル端子)6aおよびケーブルガイド凹部6bの配置方向が、電池カプラー6(電池5も同じ)が電池ホルダー4に装填・排出される方向線C1に対し、所定角度αだけ傾いた仮想方向線C2上に向けて配置されている。この角度αは、それほど厳密な角度は要求されるものではなく、ケーブル摘み部7bの後端の角度が電池ホルダー4の内壁面と接触し、ケーブルガイド凹部6bから抜け出なければよいので、僅かな角度例えば15度以上あればよく、上限としては、90度まで可能であるが実際上は20度〜30度の範囲であればよい。
この結果、硬質樹脂で形成された外部電源ケーブル7のプラグ7aとケーブル摘み部7bおよびケーブル7c辺りまでが、電池カプラー6に形成されたジャック6aおよびケーブルガイド凹部6bに沿って、(即ち仮想方向線C2に沿って)斜めに収容されている。
【0021】
一方、軟質樹脂で形成されたケーブル7c、7dは、ケーブルガイド凹部6bの開口付近からケーブル引き出し用切り欠き3hにかけて、電池カプラー6の装填・排出方向線C1に沿うように方向が変向されている。
また、外部電源ケーブル7のケーブル摘み部7bの下端右側面が、電池ホルダー4の内壁と最小限のクリアランスで形成されている。
そのため、ケーブル7dを図7の真下方向(電池排出方向)に引っ張っても外部電源ケーブル7のケーブル摘み部7bの下端右隅が電池ホルダー4の内壁にぶつかり外部電源ケーブル7のプラグ7aは、ジャック6aから外れにくく、電気的な接続を安定に維持しやすい構造になっている。
上述のように構成された本発明の実施の形態によれば、充電式の電池5に対し、外観形状が実質的に同一で、且つ電子機器の電極に接触する接点の位置が共通であって、前記充電式電池5と交換的に前記電子機器の電池ホルダー4に装填して使用される外部電源用の電池カプラー6において、
前記電池ホルダー4に装填・排出される方向線C1に対し所定角度α傾いた仮想方向線C2上に、外部電源ケーブル7のプラグ7aが収容されるジャック6aおよびケーブル摘み部7bが収容されるケーブルガイド凹部6bを形成してなることにより、充電式の電池5と交換的に電子機器の電池ホルダー4に装填して使用される際に、一旦ジャック6aに差し込まれた外部電源ケーブル7のプラグ7aが不用意に離脱したり、プラグ7aとジャック6aの間の電気的接触が不良となったりするのを確実に防止し得る電池カプラーを提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、前記ケーブルガイド凹部6bが、前記電池カプラー6の中間部から一つの隅部に抜けるように形成してなることにより、電池カプラー6が電子機器の電池ホルダー4に装填された状態において、外部電源ケーブル7を制約の少ない電池蓋3の隅部から引き出すことができ、また、外部電源ケーブル7に外方向の外力が加わった場合に、ケーブル摘み部7bの角部が装填された電池ホルダー4の壁面に当接し、それ以上、ケーブル摘み部7bが外方に向かって出ることはなく、一旦ジャック6aに差し込まれた外部電源ケーブル7のプラグ7aが不用意に外れてしまうことを確実に防止し得ると共に、仮に外部電源ケーブル7にカメラ等の電子機器を吊下げても電子機器が落下し、損傷を蒙ることがなく、プラグ7aとジャック6aの間の電気的接続も常に安定した電池カプラー6を提供することができる。
また、本発明によれば、充電式の電池5および外部電源用の電池カプラー6を交換的に装填し得る電池ホルダー4と、
前記電池ホルダー4の開口部を開閉する電池蓋3を有する電子機器において、
前記電池ホルダー4に装填・排出される方向線C1に対し所定角度傾いた仮想方向線C2上に、外部電源ケーブル7のプラグ7aが収容されるジャック6aおよび前記外部電源ケーブル7の摘み部7bが収容されるケーブルガイド凹部6bをそれぞれ形成してなる電池カプラー6が前記電池ホルダー4に収納された状態のとき、前記ケーブルガイド凹部6bに収容された前記外部電源ケーブル7を引き出すためのケーブル引き出し用切り欠き3hが形成されてなる前記電池蓋3を設けてなるので、電池カプラー6を装填して使用する際に、ケーブルガイド凹部6bに収容された外部電源ケーブル7の摘み部7bに不用意に大きな引張力が作用しても抜け出すことがなく、従って、プラグ7aとジャック6a間には何ら影響を及ぼすことがないため、仮に外部電源ケーブル7に電子機器を吊下げて携帯して歩いても外部電源ケーブル7の摘み部7bが電子機器から外れることはなく、電子機器の落下による損傷は回避することができ、プラグ7aとジャック6a間の電気的な接続が常に安定した電子機器を提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、前記電池蓋3には、前記電池ホルダー4に、前記充電式電池5が収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠き3hを覆い、前記電池カプラー6が収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠き3hを開口させることが可能なカバー部材15が付設されているので、電池カプラー6を装填していないときは、外部電源ケーブル引き出し用切り欠き3hをカバー部材15で覆い、ゴミや異物の侵入を防止し、且つ、外観を美麗に保つことができ、電池カプラー6を使用するときは、ケーブル引き出し用切り欠き3hから外部電源ケーブル7を何ら支障なく引出すことが可能な電子機器を提供することができる。
また、本発明によれば、前記カバー部材15が、弾性材で板状に形成され、取付部15aが前記電池蓋3に固定され、先端が起伏可能とされ、前記電池蓋3の外面に形成されたカバー部材取付凹面3gに、前記電池蓋3の外表面から突出しないように収容されていることにより、電池ホルダー4に電池カプラー6が装填された場合、電池カプラー6に接続された外部電源ケーブル7を、外部に引き出した状態で電池蓋3を閉じる動作を行うだけで可撓性を有するカバー部材15が起こされ、ケーブル引き出し用切り欠き3hを開放するため、極めて作業性の良好な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電子機器の一つの例であるカメラを正面底部方向から見た斜視図である。
【図2】図1に示すカメラの底面図である。
【図3】本発明に係るカメラの電池蓋を開いた状態を正面下方向から見た外観構成と、このカメラに装填して使用される充電式電池と外部電源用の電気カプラーの外観構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示すカメラの底面図である。
【図5】本発明に係るカメラに組み込まれた電池蓋ユニットの分解斜視図である。
【図6】図5に示す電池蓋ユニットを裏面側から見た分解斜視図である。
【図7】電池カプラーと外部電源ケーブル7とを接続した状態でカメラに収納した状態を示す正面図である。
【図8】電池カプラーを装填した状態を示す斜視図である。
【図9】図8の拡大斜視図であり、電池ロック爪で電池が保持されている状態を示している。
【図10】図8の電池ロック爪のロック状態から電池ロック爪を解除した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 カメラ本体
2 電池蓋ユニット
3 電池蓋
4 電池ホルダー
5 充電式の電池
6 電池カプラー
7 外部電源ケーブル
10 排出ばね
11 電池ロック爪
12 プレート
13 回転軸
14 付勢ばね
15 カバー部材
3a 矢印
3b 保持部
3f 取付穴
3g カバー取付凹面
3h ケーブル引き出し用切り欠き
3i クリック溝
4a 軸受
4c 爪部
6a ジャック
6b ケーブルガイド凹部
7a プラグ
7b ケーブル摘み部
7c ケーブル
7d ケーブル
12a 軸受部
12c 摺動部
12e クリック部
12g 逃げ切り欠き
15a 基端の取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式の電池に対し、外観形状が実質的に同一で、且つ電子機器の電極に接触する接点の位置が共通であって、前記充電式電池と交換的に前記電子機器の電池収納室に装填して使用される外部電源用の電池カプラーにおいて、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよびケーブル摘み部が収容されるケーブルガイド凹部を形成してなることを特徴とする電池カプラー。
【請求項2】
前記ケーブルガイド凹部は、前記電池カプラーの中間部から一つの隅部に抜けるように形成してなることを特徴とする請求項1に記載の電池カプラー。
【請求項3】
充電式の電池および外部電源用の電池カプラーを交換的に装填し得る電池収納室と、
前記電池収納室の開口部を開閉する電池蓋を有する電子機器において、
前記電池収納室に装填・排出される方向に対し所定角度傾いた仮想方向線上に、外部電源ケーブルのプラグが収容されるジャックおよび前記外部電源ケーブルの摘み部が収容されるケーブルガイド凹部をそれぞれ形成してなる電池カプラーが前記電池収納室に収納された状態のとき、前記ケーブルガイド凹部に収容された前記外部電源ケーブルを引き出すためのケーブル引き出し用切り欠きが形成されてなる前記電池蓋を設けてなることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記電池蓋には、前記電池収納室に、前記充電式電池が収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを覆い、前記電池カプラーが収納された状態のとき、前記ケーブル引き出し用切り欠きを開口させることが可能なカバー部材が付設されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記カバー部材は、弾性材で板状に形成され、前記電池蓋の外面に形成されたカバー部材取付凹面に前記電池蓋の外表面から突出しないように収容され、基端が前記電池蓋に固定され、先端が起伏可能とされていることを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器が、撮像装置であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器が携帯情報端末装置であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器がディジタルカメラであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−54335(P2009−54335A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217912(P2007−217912)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】