説明

電池ケースの構造

【課題】共通の電池ケースを用いて単一電池と単三電池のどちらか一方が選択可能になると共に電池ケース収納部の共用化が可能となり、これにより電池ケースを成形する金型の多くの部分の共通化、及び金型コストの低減を図ること。
【解決手段】電池を使用する機器本体に設けられた電池ケース収納部37に抜挿自在に収納される電池ケース4内部に、単数又は複数の単一電池6、又は、複数の単三電池5のどちらか一方を選択的に装填し得る装填スペース25を設ける。単一電池6の装填時には単一電池6の電極を電池ケース4外部に位置する本体側電極バネ13に接続する単一電池用接続手段14を備え、単三電池5の装填時には単三電池5の電極を上記本体側電極バネ13に接続する単三電池用接続手段16を備えた構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガス調理器において、使用時の安全性、操作性、自動調理機能が求められており、その制御、自動調理時の機器の駆動電源として電池が一般に使用されている。
【0003】
従来から、単一電池を2個使用するガスこんろが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種のガスこんろは、以下の理由により単一電池2個を直列接続して電源に用いるものが多い。即ち、電池2個を電源に用いる場合、機器の使用により電池が消耗した際に電池交換の目安となる電池の電極電圧、すなわち、終止電圧は電池2個の直列接続で、2.1V程度とすることが適当である。また、電源電圧2V程度で使用できる集積回路(制御回路)が普及している。さらに電池には様々な種類のものがあるが、電池交換の頻度が少なくできて、入手しやすいという理由から単一電池が好まれる。
【0005】
ところで、こんろに用いられる制御回路の消費電力を抑制することで電池の交換頻度も少なくできるが、一般的には1年に1回程度の電池交換が必要である。なお、電池交換を不要にするためにAC100Vを電源に用いるようにすれば良いが、この場合、停電時には機器が使用できないという問題がある。
【0006】
また停電時にも機器が使用できるように、バックアップ電源が使用できるようにすれば良いが、AC100Vを電源に用いる機器の制御回路の電源電圧が単一電池2個を直列接続して電源に用いる機器の制御回路の電源電圧より高く、バックアップ電源の電圧として電池を6個直列接続した程度の電圧が必要になる場合がある。
【0007】
停電時用のバックアップ電源の連続使用時間としては数時間程度であれば良いから、単三電池が直列接続されたものをバックアップ電源とすれば良いが、単三電池6個が収納できる新たな電池ケースが用いられることとなり、従来電池を電源とする多くの機器で用いていた単一電池2個用の電池ケースや機器本体における電池ケース収納部を共用できないという問題がある。
【特許文献1】特開2008−16185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その課題とするところは、共通の電池ケースを用いて単一電池と単三電池のどちらか一方を選択可能になると共に電池ケース収納部の共用化が可能となり、これにより電池ケースを成形する金型の多くの部分の共通化、コスト低減を図ることができる電池ケースの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を特徴としている。
【0010】
電池を使用する機器本体に設けられた電池ケース収納部37に抜挿自在に収納される電池ケースの構造であって、電池ケース4内部に、単数又は複数の単一電池6、又は、複数の単三電池5のどちらか一方を選択的に装填し得る装填スペース25を有すると共に、単一電池6の装填時には単一電池6の電極を電池ケース4外部に位置する本体側電極バネ13に接続する単一電池用接続手段14を備え、単三電池5の装填時には単三電池5の電極を上記本体側電極バネ13に接続する単三電池用接続手段16を備えている。
【0011】
このような構成とすることで、単一電池6と単三電池5のどちらか一方を選択的に電池ケース4内に装填可能になると共に、単一電池用接続手段14と単三電池用接続手段16との使い分けによって、単一電池6と単三電池5の設計変更に容易に対応できるようになる。
【0012】
また、上記電池ケース4の装填スペース25は、6個の円筒状の単三電池5を極方向が互い違い並列する形態で装填可能となっており、上記単三電池用接続手段16は、装填スペース25内に面して単三電池5の軸方向両側位置に配置される前後一対の端子取り付け板17,18で構成され、各端子取り付け板17,18には6個の単三電池5を電気的に直列接続するための電池間接続端子19がそれぞれ設けられると共に、後方の端子取り付け板18のみに電池列の始端に位置する電極と終端に位置する電極とを本体側電極バネ13を構成する正負両極バネ13A,13Bに対して個別に接続する電極金具20が設けられているのが好ましく、この場合、装填スペース25内に一対の端子取り付け板17,18をそれぞれ配置するだけで、例えばAC100V電源仕様のこんろ用の停電時補助電源として望まれる単三電池5の6個使用を実現できる。
【0013】
また、上記6個の単三電池5を装填する場合は、下段の複数電池に対して上段の複数電池を半ピッチずらした上下2段の俵積み状態とするのが好ましく、この場合、単三電池5を6個並列配置したものと比べてコンパクトにでき、単一電池用の装填スペース25との共用に最適となる。
【0014】
また、上記電池ケース4の装填スペース25の上方に電池カバー24を開閉自在に取り付けるのが好ましく、この場合、電池ケース収納部37に電池ケース4を抜挿収納する際に、電池カバー24によって電池の脱落やずれを確実に防止できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、共通の電池ケースを用いて単一電池仕様と単三電池仕様とが選択可能になると共に電池ケース収納部の共用化が可能となり、結果、電池ケースを成形する金型の多くの部分の共通化が図られ、部品費の削減が可能となり、金型コストを低減できる効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0017】
本実施形態のグリル付きガスこんろ1は、図8に示すように、こんろバーナ3を備えるこんろ部2と、ガス燃焼式のグリルバーナ(図示せず)を備えるグリル部21とからなるビルトインタイプのガスこんろ1である。勿論、ビルトインこんろに限定されるものではなく、テーブルこんろであってもよい。
【0018】
先ず、こんろ部2とグリル部21の基本構造を説明する。
【0019】
こんろ部2の上面は、略正方形のガラス板で構成されるトッププレート8により覆われている。
【0020】
こんろ本体7内に設けたこんろ台上(図示せず)には、図11に示すように、高火力バーナと標準バーナとからなる2口のこんろバーナ3が載置されており、トッププレート8の対角線上に設けた開口部から各こんろバーナ3の炎孔部をトッププレート8上に突出させる形態で配置されている。なお、高火力バーナを手前に配置した方が使いやすいので高火力バーナを左手前に配置し、標準バーナを右奥に配置している。また、こんろバーナ3とトッププレート8の開口部との間には煮汁が侵入しないようにシール部材(図示せず)によりシールされている。
【0021】
前記トッププレート8上には、各こんろバーナ3に対する被加熱物(鍋など)を受け止めて支持するための五徳9が載置されている。
【0022】
また、こんろ本体7内には、各種の制御を実行するように構成されたマイクロコンピュータからなる制御部(図示せず)が設けられている。さらに各こんろバーナ3には、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ(図示せず)および着火状態を検出するための熱電対(図示せず)が設けられている。後述のこんろ用器具栓操作つまみ31を「点火」の角度まで押しまわし操作すると、こんろバーナ3にガスが供給され、点火用イグナイタに通電され連続スパークによりガスに点火する。ガスに点火すると、各こんろバーナ3に備えられた熱電対の温度が上昇し、制御部が安全弁への通電を保持することによりガスの供給が継続されることにより燃焼が継続される。万が一煮こぼれなどによりこんろバーナ3が消火すると、熱電対の温度が下がり、制御部がバーナの消火を検出すると、安全弁への通電を遮断し、バーナへのガスの供給が停止するようになっている。
【0023】
また、前記2口こんろバーナ3の全口に、被加熱物(鍋など)の底部に接触して、その温度を検出するためのサーミスタからなるこんろ用温度センサ10が設けられている。このこんろ用温度センサ10は環状のこんろバーナ3の中央を貫通する形態で備えられており、こんろ用温度センサ10の感温ヘッドは、ばねで上方に付勢されていて、五徳9に載せられた加熱容器の底面に当接して所定の消火温度(例えば270℃)を検知するものである。
【0024】
一方、グリル部21は、前面に開口した箱状に形成された扉付きグリル庫22内に、魚などの被調理物を載置させる載置部としての焼き網(図示せず)を設けて構成されており、被調理物を上面から加熱するためのグリルバーナ(図示せず)を備えている。
【0025】
上記グリルバーナにも、こんろバーナ3と同様、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ(図示せず)および着火状態を検出するための熱電対(図示せず)が設けられている。すなわち、グリル用器具栓操作つまみ32を「点火」の角度まで押しまわし操作すると、グリルバーナにガスが供給され、点火用イグナイタに通電され連続スパークによりガスに点火する。ガスに点火すると、グリルバーナに備えられた熱電対の温度が上昇し、制御部が安全弁への通電を保持することによりガスの供給が継続されることにより燃焼が継続される。万が一、グリルバーナが消火すると、熱電対の温度が下がり、制御部がバーナの消火を検出し、安全弁への通電を遮断してガス供給が停止するようになっている。
【0026】
また、グリル庫22の側方の前面には、図9に示すように、こんろバーナ3とグリルバーナの点火および消火や火力調節を行うための操作部30として、2つのこんろ用器具栓操作つまみ31と、1つのグリル用器具栓操作つまみ32とが計3個設けられていると共に、これら器具栓操作つまみ31の側部に、電池ケース蓋38で開閉される電池ケース収納部37(図7)が設けられている。電池ケース収納部37の一部には表示部34とセンサ解除スイッチ33とを備えた操作表示部36が設置されている。本例の表示部34を説明する。先ずグリル燃焼ランプ34aはグリルに点火し着火が検出されたときにLEDが点灯する。グリルバーナはグリル庫22内上面に位置し、グリルバーナへの着火を直接目視では確認しにくいため、グリル燃焼ランプ34aにより使い勝手が良くなっている。電池交換サインランプ34bは、例えば通常の電源として単一乾電池2本を用いる乾電池仕様では、電池ケース収納部37内に装填されている電池の直列電圧が2.1V以下になるとLEDが点滅し、電池の交換時期であることを報知する。センサ解除ランプ34cは、センサ解除スイッチ33の3秒長押し操作によりセンサ解除モードに設定に設定されるとLEDが点灯する。ここで、センサ解除スイッチ33は、こんろ部2で炒めものや炒りものなど高温調理を行う時にセンサ解除モードに切り替えるためのものである。一般に加熱しすぎによる調理ミスや天ぷら油火災を未然に回避するために、こんろ用温度センサ10の検知温度が予め設定された消火設定温度を上回るとこんろ過熱防止機能が働いて自動的に消火されてしまうという問題がある。そこで、センサ解除スイッチ33を例えば3秒以上長押しすることにより、こんろ過熱防止機能の作動温度が例えば290℃に変更されるセンサ解除モードに設定できるようにしており、このときセンサ解除ランプ34cが点灯することでセンサ解除モードに設定されたことをひと目で判別できる構造となっている。
【0027】
ちなみに、最近のこんろは高機能化してきており、操作が複雑なものが多くなっている中で、本実施形態のグリル付きこんろは、吹き消え安全装置を備える従来の押し回し式の点消火操作式のこんろに、こんろ全口に鍋底の温度検出により天ぷら油などの過熱による安全装置を加えたシンプルな仕様のものであるから、使用に当たり複雑な操作が不要であるから、高齢者にも使いやすいものとなっている。
【0028】
上記電池ケース収納部37内部には、図7に示すように、電池ケース4が抜挿自在に収納されるものであり、後述する乾電池から機器制御用電力が供給されるようになっている。なお図中の39はLED・センサ基板収納部である。
【0029】
ここで、本発明の電池ケース4は、図1に示すように、ケース前壁4aと、左右のケース側壁4bと、ケース後壁4cとを備えた上方に開放された有底箱形に形成されている。電池ケース4は合成樹脂製であり、この電池ケース4を射出成形するため金型は大部分が共通で、仕様の異なる箇所に対しては、いわゆる入れ子型とすることで、単一電池用と単三電池用とで異なる形状に射出成形できるようにしてある。なお、図中の11は把手、12は本体側電極バネ13が挿入されるケース後壁4cの穴部である。
【0030】
電池ケース4内に設けられる装填スペース25は、単数又は複数の単一電池6、又は、複数の単三電池5のどちらか一方を選択的に装填し得る大きさを有している。以下、2個の単一電池6と、6個の単三電池5を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0031】
先ず、単一電池6の使用形態を説明する。図7、図10に示すように、2個の単一電池6を極方向が互い違い並列する形態で装填スペース25内に装填する。電池ケース4は、単一電池6の電極を電池ケース4外部に位置する本体側電極バネ13に接続するための単一電池用接続手段14を備えている。ここでは、一方の単一電池6の正極と他方の単一電池6の負極とがケース前壁4a内面に設けた単一電池用接続金具15(図1)を介して直列接続され、この状態で、電池ケース4をこんろ本体内部の電池ケース収納部37に収納したときに、一方の単一電池6の負極と他方の単一電池6の正極に対して、ケース後壁4cの穴部12(図1)から挿入される本体側電極バネ13を構成する正負両極バネ13A,13Bがそれぞれ接続されて機器の電源が供給される状態となる。
【0032】
次に、単三電池5の使用形態を説明する。上記単一電池6を2個並列配置で装填できる装填スペース25は、6個の単三電池5が俵積み状態で装填可能な大きさを有している。ちなみに、AC100V電源使用機器における停電時の補助電源用の供給電圧としては最低6V必要であることから、単三電池5を6個を電気的に直列接続したものが補助電源として適している。電池一個あたりの終止電圧が1V程度としても、電池の寿命時点において電池6個の直列接続によりDC6Vが供給可能である。
【0033】
この単三電池5の使用形態では電池ケース4に取り付けられる単三電池用接続手段16が用いられる。
【0034】
本例の単三電池用接続手段16は、装填スペース25内に面して単三電池5の軸方向両側位置に配置される前後一対の端子取り付け板17,18からなる。前方の端子取り付け板17は、図1に示すケース側壁4b前側から突設させた前側リブ23aによってケース前壁4a内面に密着保持されると共に、ケース前壁4a内面に設けられる単一電池用接続金具15をこの前方の端子取り付け板17にて覆い隠すことができる。一方、後方の端子取り付け板18は、ケース側壁4b後側から突設させた後側リブ23bによってケース後壁4c内面に密着保持される。各端子取り付け板17,18はそれぞれ合成樹脂製とされる。
【0035】
上記各端子取り付け板17,18の内面には、それぞれ、導電材料からなる電池間接続端子19が複数取り付けられており、後方の端子取り付け板18のみに本体側電極バネ13を構成する正負両極バネ13A,13Bに個別に接続するための電極金具20が取り付けられている。
【0036】
図5はその一例を示している。図5(a)は、前方の端子取り付け板17の内面の3箇所に電池間接続端子19を取り付けた状態を示し、図5(b)は、後方の端子取り付け板18の内面の下側2箇所に電池間接続端子19を取り付け且つ上側2箇所に電極金具20を取り付けた状態を示している。
【0037】
上記各端子取り付け板17,18に取り付けられる電池間接続端子19は同じ形状をしており、図5(c)に示すように、負極に接触する接触バネ19aと正極に接触する接触片19bとを備えている。
【0038】
後方の端子取り付け板18のみに取り付けられる一方の電極金具20は、図5(d)に示すように、電池列の始端に位置する電極(負極)に接触する接触バネ20aと、本体側電極バネ13のうちの負極バネ13Aに接触する接触片20cとを備えており、他方の電極金具20は、図5(e)に示すように、電池列の終端に位置する電極(正極)に接触する接片20bと、本体側電極バネ13のうちの正極バネ13Bに接触する接触片20cとを備えている。これら電極金具20の各接触片20cはいずれも、ケース後壁4cの穴部12に面して配置される。
【0039】
次に、6個の単三電池5を装填するにあたっては、図2に示すように、前後一対の端子取り付け板17,18を電池ケース4内にセットしてから、先ず、図3に示すように、4個の単三電池5(以下、第2電池5F、第3電池5C、第4電池5D、第5電池5Eという)を極方向が互い違いとなる並列配置状態で装填することにより、各端子取り付け板17,18に設けた電池間接続端子19を介して各電池5C〜5Fの各電極が電気的に直列接続された状態となる。その後、図4に示すように、残りの2個の単三電池5(以下、始端電池5A、終端電池5Bという)を積み上げる。このとき、始端電池5Aを第2電池Fと第3電池Cの中間に位置するように半ピッチずらして積み上げ、終端電池5Bを第4電池5Dと第5電池5Eの中間に位置するように半ピッチずらして積み上げる。このとき、始端電池5Aの負極が前方の端子取り付け板17の電池間接続端子19を介して第2電池5Fの正極に接続され、終端電池5Bの正極が前方の端子取り付け板17の電池間接続端子19を介して第5電池5Eの負極に接続され、これにより、6本の単三電池5(5A〜5F)が電気的に直列接続された状態となる。またこのとき、始端電池5Aの正極が後方の端子取り付け板18の電極金具20の接片20bに接続され、終端電池5Bの負極が後方の端子取り付け板18の電極金具20の接触バネ20aに接続された状態となる。この状態で、電池ケース4をこんろ本体内部の電池ケース収納部37に収納したときには、図5(e)の本体側電極バネ13のうちの正極バネ13Bがケース後壁4cの一方の穴部12から挿入されて、始端電池5Aの正極が接続されている一方の電極金具20の接触片20cに接触し、これと同時に、図5(d)の本体側電極バネ13のうちの負極バネ13Aが、ケース後壁4cの他方の穴部12から挿入されて終端電池5Bの負極が接続されている他方の電極金具20の接触片20cに接触する。これにより、直列接続された6個の単三電池5から機器の電源が供給される状態になる。
【0040】
しかして、上記構成の電池ケース4に対して単一電池6と単三電池5のどちらか一方を選択的に装填可能となるものであり、しかも、単一電池用接続手段14と単三電池用接続手段16との使い分けによって、単一電池と単三電池の異なる仕様に容易に対処できるようになる。これにより、こんろ用電源として主流である単一電池6の2個使用と、AC100V電源仕様のこんろ用の停電時補助電源として望まれる単三電池5の6個使用とが選択できる結果、電池ケース4を成形する金型の多くの部分の共通化が図られ、部品費の削減が可能となり、金型コストを低減することができる利点がある。
【0041】
また単三電池用接続手段16を一対の端子取り付け板17,18で構成し、これを装填スペース25内に面して前後両側に嵌め込むことにより、単一電池仕様から6個の単三電池5を電気的に直列接続する単三電池仕様に容易に設計変更でき、しかもこのとき単一電池用接続手段14を構成する単一電池用接続金具15が前方の端子取り付け板17にて覆い隠されるので、単一電池用接続金具15を取り外す必要がない。また一般的に単三電池5は単一電池6よりも軸方向の長さ寸法が若干短めであるが、端子取り付け板17,18を単三電池5の軸方向両側に配置することで、単一電池6の長さに合った装填スペース25内に単三電池5を隙間が生じない状態で確実に装填できる利点もある。
【0042】
また、単三電池5を仮りに6個並列配置した場合は電池ケース4が大型化するが、図2〜図4に示すような上下2段俵積みにすることで電池ケース4をコンパクト化できる。しかも、単一電池6を2個並列配置した場合と略同じスペースにできるので、電池ケース4の設計変更が不要となる。なお、俵積みの形態は図2〜図4の例に限らず、例えば3個並列配置の上に半ピッチずらして3個並列配置を積み上げる構造も可能である。
【0043】
図6は、電池ケース4の装填スペース25の上方に電池カバー24を開閉自在に取り付けた場合を示している。電池カバー24は、電池ケース収納部37に電池ケース4を抜挿収納する際に、電池の脱落やずれを防止するものであり、特に、俵積みした6個の単三電池5の脱落防止に有効である。なお電池カバー24を電池ケース4に取り付ける手段は特に問わないが、例えば電池カバー24の両端側を電池ケース4の上端部に係止爪等によって係脱可能とする係止構造が考えられるが、勿論これには限らず、例えばヒンジ具によって回転自在としてもよいものである。また電池カバー24の中央部には凹み部24aが設けられている。例えば、図10に示す操作表示部36の下端中央から操作表示用突出部35が突出した形状において、該操作表示用突出部35に適合し得る形状で電池カバー24に凹み部24aを設けることで、電池ケース4の抜挿に支障をきたさない構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に用いる単三電池用接続手段が取り付けられる装填スペースを備えた電池ケースを説明する分解平面図である。
【図2】同上の装填スペース内に4個の単三電池を並列配置状態で装填する場合を説明する平面図である。
【図3】同上の並列配置された4個の単三電池の上に2個の単三電池を俵積みに積み上げる場合を説明する平面図である。
【図4】(a)は同上の俵積みされた6個の単三電池を説明する平面図、(b)は側面図である。
【図5】同上の単三電池用接続手段を構成する前後一対の端子取り付け板の説明図であり、(a)は前方の端子取り付け板に取り付けられる電池間接続端子の説明図、(b)は後方の端子取り付け板に取り付けられる電池間接続端子及び電極金具の説明図、(c)は電池間接続端子の取り付け状態を説明する断面図、(d)は(b)の電極金具のM−M線に沿う断面図、(e)は(b)の電極金具のN−N線に沿う断面図である。
【図6】(a)(b)は同上の電池ケースの装填スペースの上に被せられる電池カバーの説明図である。
【図7】(a)は同上の電池ケース蓋を開いて単一電池2個を装填した電池ケースを電池ケース収納部に挿入する場合を説明する側面図であり、(b)は電池ケース蓋を閉じた状態の側面図である。
【図8】同上の電池ケースとこれを収納する電池ケース蓋付き電池ケース収納部とを備えたグリル付きガスこんろの正面図である。
【図9】同上の電池ケース蓋を閉じた状態の操作部付近の正面図である。
【図10】同上の電池ケース蓋を開いた状態の操作部付近の正面図である。
【図11】同上のグリル付きガスこんろの平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ガスこんろ
4 電池ケース
5 単三電池
6 単一電池
7 こんろ本体
13 本体側電極バネ
13A 負極バネ
13B 正極バネ
14 単一電池用接続手段
16 単三電池用接続手段
17 前方の端子取り付け板
18 後方の端子取り付け板
19 電池間接続端子
20 電極金具
24 電池カバー
25 装填スペース
37 電池ケース収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を使用する機器本体に設けられた電池ケース収納部に抜挿自在に収納される電池ケースの構造であって、電池ケース内部に、単数又は複数の単一電池、又は、複数の単三電池のどちらか一方を選択的に装填し得る装填スペースを有すると共に、単一電池の装填時には単一電池の電極を電池ケース外部に位置する本体側電極バネに接続する単一電池用接続手段を備え、単三電池の装填時には単三電池の電極を上記本体側電極バネに接続する単三電池用接続手段を備えていることを特徴とする電池ケースの構造。
【請求項2】
上記電池ケースの装填スペースは、6個の円筒状の単三電池を極方向が互い違い並列する形態で装填可能となっており、上記単三電池用接続手段は、装填スペース内に面して単三電池の軸方向両側位置に配置される前後一対の端子取り付け板で構成され、各端子取り付け板には6個の単三電池を電気的に直列接続するための電池間接続端子がそれぞれ設けられると共に、後方の端子取り付け板のみに電池列の始端に位置する電極と終端に位置する電極とを本体側電極バネを構成する正負両極バネに対して個別に接続する電極金具が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電池ケースの構造。
【請求項3】
上記6個の単三電池を装填する場合は上下2段の俵積み状態にすることを特徴とする請求項2記載の電池ケースの構造。
【請求項4】
上記電池ケースの装填スペースの上方に電池カバーを開閉自在に取り付けてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電池ケースの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−40189(P2010−40189A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198178(P2008−198178)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】