説明

電池ケース用包材の製造方法

【課題】十分な耐電解液性を確保できると共に、カール発生を十分に抑制できて生産性に優れた電池ケース用包材の製造方法を提供する。
【解決手段】外側層としての延伸フィルム層2と、該延伸フィルム層の内側のアルミニウム箔層3と、該アルミニウム箔層の内側の熱可塑性樹脂製第1シーラント層4と、該第1シーラント層の内側の熱可塑性樹脂製第2シーラント層5とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、アルミニウム箔層に対して第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、前記ヒートラミネート後の第1シーラント層4に対して第2シーラント層5を押出ラミネート法により接着する押出ラミネート工程と、を包含し、押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層5が第1シーラント層4に接触した後に、該第2シーラント層5を急速冷却することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばリチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材の製造方法に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン2次電池は、例えばノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話、電気自動車等の電源として広く用いられている。このリチウムイオン2次電池としては、電池本体の周囲をケースで包囲した構成のものが用いられている。このケース用包材としては、延伸フィルムからなる外層、アルミニウム箔層、未延伸フィルムからなる内層がこの順に接着一体化された構成のものが公知であり、例えば一方の面に延伸フィルムが積層されたアルミニウム箔(基材)の他方の面に対してドライラミネート法(溶剤を含有したポリエステル系樹脂等の樹脂接着剤を用いた接着)で未延伸ポリプロピレンのシーラント層(内層)が積層されてなる電池用包材が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記のようなドライラミネート法で積層した従来の包材では、樹脂接着剤が電池の電解液の溶媒成分によって膨潤又は溶解しやすく、これによりアルミニウム箔層とシーラント層の接着強度が低下する結果、剥離が生じやすいという問題があった。即ち、耐電解液性に劣るという問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、アルミニウム基材の片面への熱可塑性樹脂シーラント層の積層をヒートラミネート法で行うことを提案した(特許文献2参照)。これにより十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材が得られる。
【特許文献1】特開2001−6631号公報
【特許文献2】特開2005−26152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電池ケース用包材としては、電極端子まわりのカバーリング性をより向上させるために、即ち電極端子まわりの封止信頼性をより向上させるために、近年ではシーラント層としてより厚手のものが用いられるようになってきているが、上記特許文献2に記載の製造方法(ヒートラミネート法によるシーラント層の積層)を用いて厚手のシーラント層を形成せしめると、得られた包材にカールが生じてしまうという問題があった。特にシーラントフィルムの厚さが40μmを超える場合にカール発生が顕著であった。このようなカールが発現すると包材を用いて電池を外装する際に包材の取り扱い性が顕著に低下して製造効率に悪影響が出ることから、このようなカール発生を防止する技術を開発することが急務となっていた。
【0007】
なお、このようなカール発生を防止するために、外層の延伸フィルム層及びアルミニウム箔層を厚く形成して包材の剛性を増大させるという手法も着想されるところであるが、この場合、包材の(電池ケースに成形する)成形性が悪くなったり、コストの増大を招くという問題がある。
【0008】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、十分な耐電解液性を確保できると共に、カール発生を十分に抑制できて生産性に優れた電池ケース用包材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
前記ヒートラミネート後の第1シーラント層に対して前記第2シーラント層を押出ラミネート法により接着する押出ラミネート工程と、を包含し、
前記押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層が前記第1シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【0011】
[2]外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層と、該第2シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
前記ヒートラミネート後の第1シーラント層に対して前記第2シーラント層を押出ラミネート法により接着する第1押出ラミネート工程と、
前記押出ラミネート後の第2シーラント層に対して前記第3シーラント層を押出ラミネート法により接着する第2押出ラミネート工程と、を包含し、
前記第1押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層が前記第1シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却し、
前記第2押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第3シーラント層が前記第2シーラント層に接触した後に、該第3シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【0012】
[3]前記押出ラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行う前項1または2に記載の電池ケース用包材の製造方法。
【0013】
[4]外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層と、該第2シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
溶融押出しした第2シーラント層を、前記第3シーラント層と、前記ヒートラミネート後の第1シーラント層との間に配置せしめてこれらの層を押出サンドイッチラミネート法により接着する押出サンドイッチラミネート工程と、を包含し、
前記押出サンドイッチラミネート工程において、溶融押出しした第2シーラント層が前記第1シーラント層及び前記第3シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【0014】
[5]前記押出サンドイッチラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行う前項4に記載の電池ケース用包材の製造方法。
【0015】
[6]前記第1シーラント層の厚さが40μm未満である前項1〜5のいずれか1項に記載の電池ケース用包材の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
[1]の発明に係る製造方法では、各シーラント層の積層を、ドライラミネート法ではなくヒートラミネート法及び押出ラミネート法により行っているから、十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材を製造できる。また、アルミニウム箔層に対して第1シーラント層をヒートラミネート法により接着し、更に該第1シーラント層に対して第2シーラント層を押出ラミネート法により接着するから、シーラント層の合計厚さが厚手のものになっても包材のカール発生を十分に抑制できて生産性に優れている。
【0017】
[2]の発明に係る製造方法では、各シーラント層の積層を、ドライラミネート法ではなくヒートラミネート法及び押出ラミネート法により行っているから、十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材を製造できる。また、アルミニウム箔層に対して第1シーラント層をヒートラミネート法により接着し、更に該第1シーラント層に対して第2シーラント層を押出ラミネート法により接着し、さらに該第2シーラント層に対して第3シーラント層を押出ラミネート法により接着するから、シーラント層の合計厚さが厚手のものになっても包材のカール発生を十分に抑制できて生産性に優れている。
【0018】
[3]の発明では、押出ラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行うので、包材のカール発生をより十分に抑制できる。
【0019】
[4]の発明では、各シーラント層の積層を、ドライラミネート法ではなくヒートラミネート法及び押出サンドイッチラミネート法により行っているから、十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材を製造できる。また、アルミニウム箔層に対して第1シーラント層をヒートラミネート法により接着し、更に第2シーラント層を、第3シーラント層と第1シーラント層との間に押し出してこれらの層を押出サンドイッチラミネート法により接着するから、シーラント層の合計厚さが厚手のものになっても包材のカール発生を十分に抑制できて生産性に優れている。
【0020】
[5]の発明では、押出サンドイッチラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行うので、包材のカール発生をより十分に抑制することができる。
【0021】
[6]の発明では、アルミニウム箔層に対してヒートラミネートされる第1シーラント層の厚さが40μm未満であるから、包材のカール発生をより十分に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
第1発明に係る電池ケース用包材の製造方法の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。この製造方法の適用対象の電池ケース用包材(1)の構成は、図1に示すように、外側層としての延伸フィルム層(2)と、該延伸フィルム層(2)の内側に配置されたアルミニウム箔層(3)と、該アルミニウム箔層(3)の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層(4)と、該第1シーラント層(4)の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層(5)とを少なくとも含む構成である。
【0023】
まず、アルミニウム箔層(3)の片面に延伸フィルム層(2)を積層してなる第1積層フィルム(41)を製造する。例えば、アルミニウム箔(3)の片面に樹脂接着剤を塗布し、加熱等することにより乾燥させた後、該接着剤塗布面に延伸フィルム(2)を接着することにより、第1積層フィルム(41)を得る。
【0024】
次に、図3に示すように、前記第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔層(3)の表面に、熱可塑性樹脂接着層(11)が片面に積層された熱可塑性樹脂製第1シーラント層(4)の該接着層(11)を重ね合わせた後、加熱ロール(28)を用いたヒートラミネート法により加熱貼合することによって、第2積層フィルム(42)を得る(ヒートラミネート工程)。本実施形態では、延伸フィルム(2)が加熱ロール(28)に接触する態様でヒートラミネートしている(図3参照)。また、加熱ロール(28)の温度は、熱可塑性樹脂製第1シーラント層(4)の融点よりも高い温度に設定する。
【0025】
なお、前記ヒートラミネート法とは、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムを接着するに際し、これらを重ね合わせた状態で熱可塑性樹脂フィルムの融点よりも高い温度に加熱されたロールに接触させることにより熱可塑性樹脂を溶融させた後、冷却ロールを用いる等して冷却固化せしめて、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムとを接着させる積層方法を意味するものである。サーマルラミネート法とも言う。
【0026】
また、上記加熱ロール(28)を用いたヒートラミネート工程の前に、あらかじめ前記第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔層(3)の表面に、熱可塑性樹脂接着層(11)が片面に積層された熱可塑性樹脂製第1シーラント層(4)の該接着層(11)を弱接着(仮接着)させて重ね合わせ面間に空気が残存するのを防止する仮接着工程を設けるのが好ましい(後述する第2発明においても同様である)。
【0027】
しかる後、図4に示すように、押出機のダイ(21)から熱可塑性樹脂(第2シーラント層)(5)を押出しつつ、これに前記第2積層フィルム(42)を重ね合わせた状態で、即ち押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂(5)と第2積層フィルム(42)の第1シーラント層(4)とが接触するように重ね合わせた状態で、これら(5)(42)を冷却ロール(22)とゴムロール(23)の間で挟圧することによって積層一体化し(押出ラミネート工程)、図1に示す電池ケース用包材(1)を製造する。なお、本実施形態では、第2シーラント層(5)が冷却ロール(22)に接触する態様で挟圧して押出ラミネートしている(図4参照)。
【0028】
上記押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層(5)が第1シーラント層(4)に接触した後に、該第2シーラント層(5)を急速冷却する。
【0029】
なお、前記押出ラミネート法とは、熱可塑性樹脂を押出機のダイから熱溶融フィルムとして押出し、これを基材シートと重ね合わせて一方が少なくとも冷却ロールである一対のロール間で挟圧することによって、基材シートと熱可塑性樹脂フィルムとを接着させる積層方法を意味するものである。押出コーティング法とも言う。
【0030】
この第1発明の製造方法によれば、各シーラント層の積層を、ドライラミネート法ではなくヒートラミネート法及び押出ラミネート法により行っているから、十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材を製造することができる。また、アルミニウム箔層(3)に対して第1シーラント層(4)をヒートラミネート法により接着し、更に該第1シーラント層(4)に対して第2シーラント層(5)を押出ラミネート法により積層するから、厚手のものになっても包材(1)のカール発生を十分に防止することができ、これにより包材の生産性を向上させることができる。
【0031】
この第1発明において、押出ラミネート工程における急速冷却は、冷却ロール(22)を用いて50℃/秒以上の冷却速度で行うのが好ましい。即ち、第2シーラント層(5)が冷却ロール(22)への接触を開始する接触開始位置(32)での第2シーラント層(5)の温度(℃)を「Ts」とし、接触を終了する接触終了位置(33)での第2シーラント層(5)の温度(℃)を「Te」とし、第2シーラント層(5)の冷却ロール(22)との接触時間(秒)を「S」としたとき、50(℃/秒)≦(Ts−Te)/Sを満足するように設定するのが好ましい(図4参照)。このような条件で急速冷却を行うことによって包材(1)のカール発生をより十分に防止できる。中でも、100(℃/秒)≦(Ts−Te)/S≦200(℃/秒)を満足するように設定するのがより好ましい。
【0032】
また、第1発明において、前記ダイ(21)の吐出口(31)から、第2シーラント層(5)と冷却ロールとの接触開始位置(32)までの距離は1m以下に設定するのが好ましい(図4参照)。
【0033】
なお、前記第2シーラント層(5)の内側にさらに熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層(6)を積層した構成(図2参照)とする場合には、次のようにすれば良い。押出機のダイ(21)から熱可塑性樹脂(第3シーラント層)(6)を押出しつつ、これに前記押出ラミネート工程を経て得られた積層フィルム(図1参照)を重ね合わせた状態で、即ち押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂(6)と前記積層フィルム(図1参照)の第2シーラント層(5)とが接触するように重ね合わせた状態で、これらを冷却ロール(22)とゴムロール(23)の間で挟圧して積層一体化することによって(押出ラミネート工程)、図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を製造することができる(この製造方法に対応する実施例は実施例7である)。
【0034】
次に、第2発明に係る電池ケース用包材の製造方法の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。この製造方法の適用対象の電池ケース用包材(1)の構成は、図2に示すように、外側層としての延伸フィルム層(2)と、該延伸フィルム層(2)の内側に配置されたアルミニウム箔層(3)と、該アルミニウム箔層(3)の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層(4)と、該第1シーラント層(4)の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層(5)と、該第2シーラント層(5)の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層(6)とを少なくとも含む構成である。
【0035】
まず、アルミニウム箔層(3)の片面に延伸フィルム層(2)を積層してなる第1積層フィルム(41)を製造する。例えば、アルミニウム箔(3)の片面に樹脂接着剤を塗布し、加熱等することにより乾燥させた後、該接着剤塗布面に延伸フィルム(2)を接着することにより、第1積層フィルム(41)を得る。
【0036】
次に、図3に示すように、前記第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔層(3)の表面に、熱可塑性樹脂接着層(11)が片面に積層された熱可塑性樹脂製第1シーラント層(4)の該接着層(11)を重ね合わせた後、加熱ロール(28)を用いたヒートラミネート法により加熱貼合することによって、第2積層フィルム(42)を得る(ヒートラミネート工程)。本実施形態では、延伸フィルム(2)が加熱ロール(28)に接触する態様でヒートラミネートしている(図3参照)。
【0037】
しかる後、図5に示すように、押出機のダイ(21)から熱可塑性樹脂(第2シーラント層)(5)を押出しつつ、該押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂(第2シーラント層)(5)の一方の面に前記第2積層フィルム(42)の第1シーラント層(4)とが接触するように重ね合わせると共に、熱可塑性樹脂(第2シーラント層)(5)の他方の面に熱可塑性樹脂フィルム(第3シーラント層)(6)が接触するように重ね合わせた状態で、これら(6)(5)(42)を冷却ロール(22)とゴムロール(23)の間で挟圧することによって積層一体化し(押出サンドイッチラミネート工程)、図2に示す電池ケース用包材(1)を製造する。
【0038】
上記押出サンドイッチラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層(5)が第1シーラント層(4)及び第3シーラント層(6)に接触した後に、該第2シーラント層(5)を急速冷却する。
【0039】
なお、前記押出サンドイッチラミネートとは、熱可塑性樹脂を押出機のダイから熱溶融フィルムとして押出し、これを一方の基材シートと他方の基材シートとの間に挟み込んで重ね合わせて、一方が少なくとも冷却ロールである一対のロール間で挟圧することによって、一方の基材シートと他方の基材シートの間に熱可塑性樹脂フィルムを接着させる積層方法を意味するものである。
【0040】
この第2発明の製造方法によれば、各シーラント層の積層を、ドライラミネート法ではなくヒートラミネート法及び押出サンドイッチラミネート法により行っているから、十分な耐電解液性を備えた電池ケース用包材(1)を製造できる。また、アルミニウム箔層(3)に対して第1シーラント層(4)をヒートラミネート法により接着し、更に第2シーラント層(5)を、第3シーラント層(6)と第1シーラント層(4)との間に押し出してこれらの層(4)(5)(6)を押出サンドイッチラミネート法により積層するから、厚手のものになっても包材(1)のカール発生を十分に防止することができ、これにより包材の生産性を向上させることができる。
【0041】
この第2発明において、押出サンドイッチラミネート工程における急速冷却は、冷却ロール(22)を用いて50℃/秒以上の冷却速度で行うのが好ましい。即ち、第2シーラント層(5)が(第3シーラント層を介して)冷却ロール(22)への接触を開始する接触開始位置(32)での第2シーラント層(5)の温度(℃)を「Ts」とし、第2シーラント層(5)が(第3シーラント層を介しての)冷却ロール(22)への接触を終了する接触終了位置(33)での第2シーラント層(5)の温度(℃)を「Te」とし、第2シーラント層(5)の冷却ロール(22)との接触時間(秒)を「S」としたとき、50(℃/秒)≦(Ts−Te)/Sを満足するように設定するのが好ましい。このような条件で急速冷却を行うことによって包材(1)のカール発生をより十分に防止できる。中でも、100(℃/秒)≦(Ts−Te)/S≦200(℃/秒)を満足するように設定するのがより好ましい。
【0042】
また、第2発明において、前記ダイ(21)の吐出口(31)から、第2シーラント層(5)と冷却ロールとの接触開始位置(32)までの距離は1m以下に設定するのが好ましい(図5参照)。
【0043】
前記延伸フィルム層(外側層)(2)は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時のアルミニウム箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。
【0044】
前記延伸フィルム(2)としては、特に限定されるものではないが、ポリアミドまたはポリエステルからなる延伸フィルムを用いるのが好ましい。前記ポリアミドとしては、特に限定されるものではないが、例えばナイロン等が挙げられ、前記ポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0045】
前記延伸フィルム層(2)の厚さは、10〜50μmに設定するのが好ましい。10μm未満では、シャープな成形を行うときに延伸フィルムの伸びが不足してアルミニウム箔にネッキングを生じやすく成形不良を発生しやすくなるので好ましくない。また50μmを超えてもこれ以上の成形性向上は望めず徒に樹脂使用量を増大させるだけであるので好ましくない。なお、前記延伸フィルム層(2)は、単層であっても良いし、複層であっても良い。
【0046】
前記シーラント層(4)(5)(6)は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、包材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0047】
しかして、前記第1シーラント層(4)を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂未延伸フィルムを用いる。中でも、前記第1シーラント層(4)を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムを用いるのが好ましい。
【0048】
また、前記第2シーラント層(5)を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂未延伸フィルムを用いる。中でも、前記第2シーラント層(5)を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、この第2シーラント層(5)を構成する熱可塑性樹脂としては、前記第1シーラント層(4)を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が低く、かつメルトインデックスが高い樹脂を用いるのが好ましい。
【0049】
また、前記第3シーラント層(6)を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂未延伸フィルムを用いる。中でも、前記第3シーラント層(6)を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、この第3シーラント層(6)を構成する熱可塑性樹脂としては、前記第2シーラント層(5)を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が低く、かつメルトインデックスが高い樹脂を用いるのが好ましい。
【0050】
なお、前記メルトインデックスは、JIS K7210−1999に準拠して試験温度65℃、試験荷重49Nで測定されたメルトインデックス(メルトフローレート)である。
【0051】
前記シーラント層(4)(5)(6)の合計厚さは、30〜150μmに設定するのが好ましい。30μm以上とすることで電極端子まわりのカバーリング性をより向上できると共に、150μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記シーラント層(4)(5)(6)の合計厚さは40〜100μmに設定するのが特に好ましい。
【0052】
また、第1シーラント層(4)の厚さは40μm未満に設定するのが、包材のカール発生をより十分に抑制できる点で、好ましい。
【0053】
前記アルミニウム箔層(3)は、包材に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記アルミニウム箔(3)としては、純AlまたはAl−Fe系合金からなる厚さ5〜50μmの箔が好適に用いられる。
【0054】
前記アルミニウム箔(3)は、その両面にクロメート処理等の処理により下地皮膜が形成されているのが、耐電解液性を向上できる効果が見込まれる点で、好ましい。
【0055】
前記延伸フィルム層(2)と前記アルミニウム箔層(3)とを接着する接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ウレタン系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤等が挙げられる。
【0056】
また、前記アルミニウム箔層(3)と前記第1シーラント層(4)とを接着する接着層(11)を構成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンの他、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂等が挙げられる。これら接着層(11)は、例えば、前記第1シーラント層(4)の片面に接着樹脂フィルム(例えば酸変性ポリオレフィンフィルム等)がラミネートされて形成される。
【0057】
この発明に係る製造方法で製造された電池ケース用包材(1)は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。なお、この電池ケース用包材(1)を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、電池用ケースを得ることができる。
【実施例】
【0058】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
厚さ35μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)(3)の両面に、フッ化クロム(3価Cr)を含有してなる下地処理液をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱して乾燥することによって、アルミニウム箔(3)の両面に下地皮膜を形成せしめた。次に、前記アルミニウム箔(3)の片面の下地皮膜の表面にウレタン系樹脂接着剤をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム(2)を貼合して、第1積層フィルム(41)を得た。
【0060】
次に、図3に示すように、得られた第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔(3)の表面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂接着層(11)が片面に積層された厚さ35μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(第1シーラント層)(4)を、加熱ロール(温度:180℃)(28)を用いたヒートラミネート法により貼合して、第2積層フィルム(42)を得た。
【0061】
しかる後、図4に示すように、ダイ(21)から厚さ20μmの未延伸ポリプロピレン層(第2シーラント層)(5)を押出す一方、図面右側から前記第2積層フィルム(42)を供給して、これらを冷却ロール(温度:35℃)(22)とゴムロール(23)間で挟み込んで積層一体化(押出ラミネート)することによって、図1に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。
【0062】
なお、前記ダイ(21)の吐出口(31)から、冷却ロールとの接触開始位置(32)までの距離を50cmに設定した(図4参照)。また、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約250℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約130℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(250−130)/1.5=80℃/秒であった。
【0063】
<実施例2>
各構成層の厚さ及び冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例1と同様にして図1に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。即ち、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約250℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約100℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(250−100)/1.5=100℃/秒であった。
【0064】
<実施例3>
各構成層の厚さ及び冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例1と同様にして図1に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。即ち、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約275℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約50℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(275−50)/1.5=150℃/秒であった。
【0065】
<比較例1>
冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例1と同様にして図1に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。即ち、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約150℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約120℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(150−120)/1.5=20℃/秒であった。
【0066】
<実施例4>
厚さ35μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)(3)の両面に、フッ化クロム(3価Cr)を含有してなる下地処理液をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱して乾燥することによって、アルミニウム箔(3)の両面に下地皮膜を形成せしめた。次に、前記アルミニウム箔(3)の片面の下地皮膜の表面にウレタン系樹脂接着剤をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム(2)を貼合して、第1積層フィルム(41)を得た。
【0067】
次に、図3に示すように、得られた第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔(3)の表面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂接着層(11)が片面に積層された厚さ35μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(第1シーラント層)(4)を、加熱ロール(温度:180℃)(28)を用いたヒートラミネート法により貼合して、第2積層フィルム(42)を得た。
【0068】
しかる後、図5に示すように、ダイ(21)から厚さ20μmの未延伸ポリプロピレン層(第2シーラント層)(5)を押出す一方、図面右側から前記第2積層フィルム(42)を供給しつつ、図面左側から厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(第3シーラント層)(6)を供給して、これらを冷却ロール(温度:30℃)(22)とゴムロール(23)間で挟み込んで積層一体化(押出サンドイッチラミネート)することによって、図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。
【0069】
なお、前記ダイ(21)の吐出口(31)から、冷却ロールとの接触開始位置(32)までの距離を50cmに設定した(図5参照)。また、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約250℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約130℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(250−130)/1.5=80℃/秒であった。
【0070】
<実施例5>
各構成層の厚さ及び冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例4と同様にして図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。なお、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約250℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約100℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(250−100)/1.5=100℃/秒であった。
【0071】
<実施例6>
各構成層の厚さ及び冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例4と同様にして図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。なお、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約275℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約50℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(275−50)/1.5=150℃/秒であった。
【0072】
<比較例2>
冷却速度を表1に示す条件に設定した以外は、実施例4と同様にして図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。なお、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)の温度は約150℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)の温度は約120℃であり、ポリプロピレン(5)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(150−120)/1.5=20℃/秒であった。
【0073】
<実施例7>
厚さ35μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)(3)の両面に、フッ化クロム(3価Cr)を含有してなる下地処理液をロールコーターで塗布した後、200℃で30秒間加熱して乾燥することによって、アルミニウム箔(3)の両面に下地皮膜を形成せしめた。次に、前記アルミニウム箔(3)の片面の下地皮膜の表面にウレタン系樹脂接着剤をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム(2)を貼合して、第1積層フィルム(41)を得た。
【0074】
次に、図3に示すように、得られた第1積層フィルム(41)のアルミニウム箔(3)の表面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂接着層(11)が片面に積層された厚さ35μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(第1シーラント層)(4)を、加熱ロール(温度:180℃)(28)を用いたヒートラミネート法により貼合して、第2積層フィルム(42)を得た。
【0075】
しかる後、図4に示すように、ダイ(21)から厚さ20μmの未延伸ポリプロピレン層(第2シーラント層)(5)を押出す一方、図面右側から前記第2積層フィルム(42)を供給して、これらを冷却ロール(温度:30℃)(22)とゴムロール(23)間で挟み込んで積層一体化(第1押出ラミネート)した後、さらに前記同様にダイから厚さ20μmの未延伸ポリプロピレン層(第3シーラント層)(6)を押出す一方、右側から前記積層一体化シートを供給して、これらを前記同様に冷却ロール(温度:30℃)(22)とゴムロール(23)間で挟み込んで積層一体化(第2押出ラミネート)することによって、図2に示す構成の電池ケース用包材(1)を得た。
【0076】
なお、前記ダイ(21)の吐出口(31)から、冷却ロールとの接触開始位置(32)までの距離を50cmに設定した(図4参照)。また、第1押出ラミネート及び第2押出ラミネートのいずれにおいても、接触開始位置(32)でのポリプロピレン(5)(6)の温度は約250℃であり、接触終了位置(33)でのポリプロピレン(5)(6)の温度は約130℃であり、ポリプロピレン(5)(6)の冷却ロール(22)との接触時間は約1.5秒であったことから、冷却ロール(22)を用いた急速冷却の冷却速度は(250−130)/1.5=80℃/秒であった。
【0077】
【表1】

【0078】
上記のようにして得られた各電池ケース用包材に対して下記評価法に基づいて評価を行った。
【0079】
<カール発生防止性評価法>
各包材のカール発生の有無及びその程度を目視観察により調べ、下記判定基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
(判定基準)
「○」…カール発生なし
「△」…僅かなカールが発生
「×」…顕著なカールが発生。
【0080】
表1から明らかなように、この発明の製造方法で製造して得られた実施例1〜7の電池ケース用包材は、カールの発生がなかった。
【0081】
これに対し、比較例1、2の電池ケース用包材では、顕著なカールが生じた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明の製造方法で製造された電池ケース用包材は、例えばリチウムイオン2次電池等の電池のケース用包材として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の製造方法で製造された電池ケース用包材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明の製造方法で製造された電池ケース用包材の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】ヒートラミネート工程の一例を示す概略側面図である。
【図4】押出ラミネート工程の一例を示す概略側面図である。
【図5】押出サンドイッチラミネート工程の一例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…電池ケース用包材
2…延伸フィルム層
3…アルミニウム箔層
4…第1シーラント層
5…第2シーラント層
6…第3シーラント層
22…冷却ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
前記ヒートラミネート後の第1シーラント層に対して前記第2シーラント層を押出ラミネート法により接着する押出ラミネート工程と、を包含し、
前記押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層が前記第1シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【請求項2】
外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層と、該第2シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
前記ヒートラミネート後の第1シーラント層に対して前記第2シーラント層を押出ラミネート法により接着する第1押出ラミネート工程と、
前記押出ラミネート後の第2シーラント層に対して前記第3シーラント層を押出ラミネート法により接着する第2押出ラミネート工程と、を包含し、
前記第1押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第2シーラント層が前記第1シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却し、
前記第2押出ラミネート工程において、溶融押出しされた第3シーラント層が前記第2シーラント層に接触した後に、該第3シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【請求項3】
前記押出ラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行う請求項1または2に記載の電池ケース用包材の製造方法。
【請求項4】
外側層としての延伸フィルム層と、該延伸フィルム層の内側に配置されたアルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第1シーラント層と、該第1シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第2シーラント層と、該第2シーラント層の内側に配置された熱可塑性樹脂からなる第3シーラント層とを少なくとも含む電池ケース用包材の製造方法であって、
前記アルミニウム箔層に対して前記第1シーラント層をヒートラミネート法により接着する工程と、
溶融押出しした第2シーラント層を、前記第3シーラント層と、前記ヒートラミネート後の第1シーラント層との間に配置せしめてこれらの層を押出サンドイッチラミネート法により接着する押出サンドイッチラミネート工程と、を包含し、
前記押出サンドイッチラミネート工程において、溶融押出しした第2シーラント層が前記第1シーラント層及び前記第3シーラント層に接触した後に、該第2シーラント層を急速冷却することを特徴とする電池ケース用包材の製造方法。
【請求項5】
前記押出サンドイッチラミネート工程における急速冷却を冷却ロールを用いて50℃/秒以上の冷却速度で行う請求項4に記載の電池ケース用包材の製造方法。
【請求項6】
前記第1シーラント層の厚さが40μm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池ケース用包材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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