説明

電池ターミナル

【課題】コイン型の電池の組み付けが容易であるとともに、組み付けた際の電池のがたつきが抑制される電池ターミナルを提供する。
【解決手段】基板2に固定されて、コイン型の電池3の負極面に接触する負極端子10と、負極端子10に対して離間する態様で基板2に固定されて、電池3の正極面に接触する正極端子20とを備え、負極端子10と正極端子20との離間距離は、電池3の厚みよりも短く設定され、負極端子10及び正極端子20の少なくとも一方は、先の離間距離が電池3の厚みと等しくなるように弾性変形可能とされる電池ターミナル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイン型電池の電池ターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器においては、例えば、特許文献1に示される電池ターミナルを備えるものがある。電子機器は、電池ターミナルを介して供給されるコイン型の電池の電力を消費して駆動する。
【0003】
コイン型の電池は、側面及び当該側面と連続する上面が正極面、側面との間に絶縁体が挟まれている下面が負極面とされている。特許文献1の電池ターミナルは、基板にはんだ付けされて電池の下面と接触する負極端子、及び同じく基板にはんだ付けされて電池の側面と接触する正極端子を備える。この電池ターミナルは、電子機器の筐体に設置される。筐体には、電池ターミナルを覆う態様で蓋部がビス止めされる。
【0004】
電池ターミナルに電池を設置する際、ユーザは、電池の下面と負極端子とを、又、電池の側面と正極端子とを、それぞれ接触させる。そして、この状態を維持しつつ、筐体に蓋部をビス止めする。これにより、電池は、蓋部と負極端子との間に挟持される。
【0005】
ところで、特許文献1の電池ターミナルでは、蓋部と負極端子との間に挟持されることにより電池のがたつきが抑制される。しかしながら、この抑制のために蓋部を筐体にビス止めする必要があるので、電池を着脱するときの使い勝手がよくない。
【0006】
そこで、図5に示される正極端子が従来提案されている。
正極端子51は、弾性力及び電気伝導性を有する板材にて形成されている。正極端子51は、基板にはんだ付けされるはんだ付け部52と、当該はんだ付け部52に連続する正極接触部53とにより構成されている。正極接触部53は、6時の位置が開口するC字状に形成された腕部54と、当該腕部54の上端部(紙面手前側の端部)における3時、9時、及び12時の位置に形成された突出片55とを備えている。突出片55は、それぞれC字の中央に向かって突出している。これら突出片55は、図示しない負極端子と対向する。なお、腕部54及び突出片55、並びに図示しない負極端子によって囲まれる空間は、電池が収容されるキャビティ56である。
【0007】
このキャビティ56に電池を設置するとき、電池を6時の位置から12時の位置に向かって移動させる。すると、腕部54は、開口部が広がるように弾性変形して、電池のキャビティ56への進入を許容する。そして、腕部54は、電池がキャビティ56に完全に進入すると、弾性復帰して、キャビティ56から電池が6時の方向へ離脱するのを規制する。このとき、キャビティ56から上下方向への電池の離脱は、対向する図示しない負極端子と突出片55とによって規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−187520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
キャビティ56に収容された電池の径方向へのがたつき、及び当該電池の6時の方向へ離脱するのを規制するために、腕部54の開口部は、電池の直径よりも大幅に狭い必要がある。しかしながら、電池をキャビティ56に進入させたり離脱させたりする場合には、当該開口部の幅が電池の直径以上となるように腕部は弾性変形する必要がある。すなわち、キャビティ56に収容する電池のがたつき及びキャビティ56からの離脱を抑制するために、開口部の幅を狭めると、電池がキャビティ56に進入する際の腕部の弾性変形量が大きくなる。このため、変形部分に大きな負荷がかかり塑性変形するおそれがある。腕部54が塑性変形する場合、電池がキャビティ56に完全に進入した場合に、腕部54が変形前と比較して完全に弾性復帰しないので、電池がキャビティ56内でがたつくおそれがある。逆に、開口部の幅を広めると、キャビティ56に収容する電池のがたつき及びキャビティ56からの離脱が発生しやすくなる。
【0010】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイン型の電池の組み付けが容易であるとともに、組み付けた際の電池のがたつきが抑制される電池ターミナルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、基板に固定されて、コイン型の電池の第1の電極面に接触する第1の端子と、前記第1の端子に対して離間する態様で前記基板に固定されて、前記電池の第2の電極面に接触する第2の端子とを備え、前記第1の端子と前記第2の端子との離間距離は、前記電池の厚みよりも短く設定され、前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方は、前記離間距離が前記電池の厚みと等しくなるように弾性変形可能とされることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第1及び第2の端子のうち少なくとも一方は、離間距離がコイン型の電池の厚みと等しくなるように弾性変形可能とされているので、電池は、第1の端子と第2の端子との間に容易に挿入することができる。このとき、電池は、第1の電極面が第1の端子と、第2の電極面が第2の端子とそれぞれ接触するとともに、第1及び第2の端子のうち少なくとも一方が弾性復帰しようとする力により、第1及び第2の端子に挟持される。これにより、電池のがたつきが抑制される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池ターミナルにおいて、前記電池の正極と接触する第1又は第2の端子は、前記基板に固定される固定部と、前記固定部に連続して前記電池の厚み方向へ延びる第1の壁部と、前記第1の壁部の前記固定部と反対側の端部に連続して前記電池の直径方向へ延びるとともに前記基板に固定される第2又は第1の端子と対向する蓋部と、前記第1の壁部において、前記電池の径方向にあたる両端部から前記蓋部と同じ側に延びるとともに、その先端部同士は離間し、その離間距離は、前記電池の径方向の長さよりも短い腕部とを備えることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、電池ターミナルに取り付けられた電池の径方向への移動が規制される。従って、電池ターミナルにおける電池のがたつきが抑制される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池ターミナルにおいて、前記蓋部の前記第1の壁部と反対側の端部には前記第1の壁部と対向するように前記電池の厚み方向へ延びる第2の壁部を設けたことを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、電池ターミナルに取り付けられた電池の第1の壁部と反対側への移動が規制される。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電池ターミナルにおいて、前記第2の壁部における前記電池の厚み方向における長さは、前記第1の壁部における前記電池の厚み方向における長さよりも短く形成されることを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、第2の壁部の先端部と、基板、又は第2若しくは第1の端子との間が離間する。このため、第2の壁部の先端部に基板、又は第2若しくは第1の端子から離間する方向へ力をかけやすい。従って、第1又は第2の端子を基板、又は第2若しくは第1の端子から離間する方向へ弾性変形させやすい。これにより、第2の壁部の先端部と基板又は負極端子との間を離間させて、その間から電池を挿入するという容易な作業により、正極端子と負極端子との間に電池を取り付けることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電池ターミナルにおいて、前記第2の壁部の先端部には、前記第1の壁部と反対側へ曲げ返される曲げ返し部が形成されることを特徴とする電池ターミナル。
【0018】
同構成によれば、曲げ返し部が形成されていることにより、電池をスライドさせるだけで、第1又は第2の端子を第2又は第1の端子から離間する方向へ弾性変形させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電池ターミナルにおいて、前記第1の端子及び前記第2の端子のうち一方は、互いが対向する部分において、前記電池が挿入されるに従って他方との離間距離が短くなるように傾斜する傾斜部を備えることを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、電池をスライドさせるだけで、当該電池を第1の端子と第2の端子との間に挟持させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、コイン型の電池の組み付けが容易であるとともに、組み付けた際の電池のがたつきが抑制される電池ターミナルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の正極端子の斜視図。
【図2】本実施形態の正極端子の平面図。
【図3】電池が取り付けられた状態の電池ターミナルの側面図。
【図4】電池が取り付けられる際の変形態様を示す電池ターミナルの側面図。
【図5】従来の正極端子を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明にかかる電池ターミナルを具体化した一実施形態について図1〜4に従って説明する。
図3に示すように、コイン型の電池3の電池ターミナル1は、負極端子10、及び正極端子20を備えている。これら負極端子10及び正極端子20は、はんだ付けによってプリント基板2(以下、基板2)に固定される。基板2は、図示しない電気機器の筐体に収容される。電池3が自身の負極面(第1の電極面)が負極端子10と、正極面(第2の電極面)が正極端子20とそれぞれ接触するように電池ターミナル1に設置されると、電池3の電力は、基板2を介して電気機器の各部に供給される。
【0024】
<負極端子>
負極端子10は、リン青銅からなる板材である。図3に示すように、負極端子10は、はんだ付け部11と、当該はんだ付け部11の左端部から左方へ向かうに従って徐々に上昇する傾斜部12と、当該傾斜部12の左端部から左方へ向かって延びる負極接触部13とを備えている。この負極接触部13は、はんだ付け部11と平行とされている。
【0025】
負極端子10は、図3中の×印で示すように、はんだ付け部11の下面と基板2とがはんだ付けされることにより、基板2に固定される。従って、負極接触部13は、傾斜部12の上昇分だけ基板2から離間する。このため、負極接触部13は、傾斜部12を支点として基板2側への弾性変形が可能とされている。
【0026】
<正極端子>
正極端子20は、負極端子10と同じくリン青銅からなる板材である。図3に示すように、正極端子20は、はんだ付け部21と、当該はんだ付け部21に連続する正極接触部23とを備えている。正極接触部23は、はんだ付け部21の右端部から上方へ向かって延びる第1の壁部24と、当該第1の壁部24の上端部から右方へ向かって延びる蓋部25と、当該蓋部25の右端部から下方へ向かって延びる第2の壁部26と、当該第2の壁部26の下端部から右上方へ向かって曲げ返される曲げ返し部27とを備えている。第1の壁部24の上下方向の長さは、先の傾斜部12の上昇分(負極接触部13の上面と基板2との距離)よりも大きく、第2の壁部26の上下方向長さは、第1の壁部24の上下方向長さよりも小さく設定されている。従って、曲げ返し部27と基板2の上面とが離間している。また、第1及び第2の壁部24,26の上下方向長さは、曲げ返し部27と基板2の上面との離間距離が、電池3の厚みよりも小さくなるように設定されている。また、蓋部25の左右方向長さは、電池3の直径よりも若干大きく設定されている。
【0027】
さらに、図1に示すように、正極接触部23は、第1の壁部24の前端部から右前方へ向かって延びる第1の腕部28と、同じく第1の壁部24の後端部から右後方へ向かって延びる第2の腕部29とを備えている。図2に示すように、これら第1及び第2の腕部28,29は、全体として左側よりも右側が大きく開口するハの字状とされている。また、第1の腕部28の先端部28aは、後方に向かって凸となるV字状とされている。第2の腕部29の先端部29aは、前方に向かって凸となるV字状とされている。なお、第1及び第2の腕部28,29の長さは、電池3の半径よりも若干小さく設定されている。また、互いに離間する先端部28aと先端部29aとの前後方向長さは、電池3の直径よりも若干小さく設定されている。
【0028】
図3に示すように、正極端子20は、第1の壁部24が負極端子10の左方に、蓋部25が負極端子の上方に位置する状態に設けられる。同図3中の×印で示すように、はんだ付け部21の下面と基板2とがはんだ付けされることにより、正極端子20は、基板2に固定される。従って、蓋部25は、第1の壁部24の上下方向長さ分だけ基板2から離間する。なお、蓋部25と負極接触部13との距離は、第1の壁部24の上下方向長さと傾斜部12の上昇分との差分である。この距離は、電池3の厚みよりも若干小さい。この負極端子10と正極端子20との間に形成される空間を電池3が収容されるキャビティ30とする。
【0029】
<電池ターミナルへの電池の取付態様>
次に、電池ターミナル1への電池3の取付作業について説明する。
図4に示すように、電池3を右方から左方へ向かって基板2の上面を滑らせるように移動させると、電池3の左側の端部と正極端子20の曲げ返し部27とが当接する。この状態で、さらに電池3を左方へ移動させようとすると、当該曲げ返し部27を押圧する力は、曲げ返し部27を押し上げる方向に作用する。この押圧力によって、正極端子20は、第1の壁部24の下端部を中心に、曲げ返し部27が左上方へ持ち上がるように弾性変形する。これにより、曲げ返し部27と基板2の上面とが更に離間して、電池3の更なる左方への移動を許容する。
【0030】
曲げ返し部27と基板2の上面との間から、キャビティ30に進入した電池3は、第1の壁部24の右面に当接するまでの移動が許容されている。当該移動の最中、正極端子20には弾性復帰しようとする弾性力が作用するので、電池3の上面は、常時、曲げ返し部27と接している。蓋部25の左右方向長さは、電池3の直径よりも若干大きく設定されている。従って、電池3の左端部と第1の壁部24が当接するとき、曲げ返し部27と電池3の上面との接触が解消される。このため、正極端子20は、曲げ返し部27と基板2の上面とが近づくように弾性復帰する。電池3の右方には、第2の壁部26が位置するので、これ以降の電池3の右方への変位が規制される。
【0031】
電池3が完全にキャビティ30に収容されたとき、電池3の下面は負極接触部13と、電池3の上面は蓋部25と、それぞれ当接する。負極接触部13と蓋部25との離間距離は、電池3の厚みよりも若干小さく設定されている。このため、負極接触部13が若干下側に、蓋部25が若干上側に、それぞれ弾性変形する。このため、負極接触部13には上側に向かって弾性復帰しようとする力が、蓋部25には下側に向かって弾性復帰しようとする力が生じる。これら両弾性力によって、電池3が挟持される。
【0032】
さて、図2に示すように、電池3がキャビティ30に進入するとき、電池3の前端部は第1の腕部28の先端部28aに、後端部は第2の腕部29の先端部29aにそれぞれ当接する。第1の腕部28の先端部28aは後方に向かって、第2の腕部29の先端部29aは前方に向かって、それぞれ凸となるV字状とされている。このため、電池3の中心が前後方向のどちらかにずれている場合、先端部28a,29aのどちらかに先に当接する。例えば、電池3の中心が前方向にずれている場合は、電池3の前端部が先端部28aに当接する。このとき、電池3の後端部は、先端部29aに当接しない。このため、電池3は、先端部28aによって後方に向かって押圧される。すると、電池3は、後方に移動する。電池3の中心の前後方向へのずれが矯正されると、電池3の前端部は第1の腕部28の先端部28aに、後端部は第2の腕部29の先端部29aにそれぞれ当接する。先端部28aと先端部29aとの間の距離は、電池3の直径よりも若干小さく設定されている。このため、第1及び第2の腕部28,29は、それらの基端部を中心として先端部28aと先端部29aとの間が拡開するように弾性変形する。この弾性変形にともなう弾性変形量は、第1及び第2の腕部28,29の長さ、及び先端部28a,29a間の距離と電池3の直径との差分に依存する。第1及び第2の腕部28,29の長さは、電池3の半径より若干小さい。また、先端部28aと先端部29aとの間の距離は、電池3の直径よりも若干小さい。このため、先端部28aと先端部29aとの間が拡開するときの弾性変形量は少ない。これにより、正極端子20が塑性変形することが抑制される。
【0033】
なお、第1及び第2の腕部28,29の基端部を中心とした弾性変形により、当該第1及び第2の腕部28,29は、先端部28a,29aが近づくように弾性復帰しようとする。この弾性復帰しようとする力は、電池3の側面に作用する。これにより、電池3の前後方向へのがたつきが抑制される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)負極端子10及び正極端子20をリン青銅などの金属からなる板材を塑性変形させることにより形成した。そして、負極端子10の負極接触部13と、正極端子20の蓋部25とが、互いに離間する方向へ変位できるようにした。さらに、これら負極接触部13と蓋部25との離間距離を電池3の厚みよりも薄く、且つ、負極端子10及び正極端子20の弾性限度を超えない距離に設定した。これにより、負極端子10及び正極端子20が塑性変形することが抑制されるので、電池3を負極接触部13と蓋部25との間で挟持させることができる。このため、電池3の電池ターミナル1内でのがたつきが抑制される。
【0035】
(2)正極端子20に、電池3が取り付けられるキャビティ30を囲うように第1の壁部24から延びる第1及び第2の腕部28,29を設けた。そして、第1及び第2の腕部28,29の長さを、電池3の半径よりも若干小さく設定した。また、互いに離間する先端部28aと先端部29aとの前後方向長さを、電池3の直径よりも若干小さく設定した。これにより、電池3の中心がキャビティ30内において前後方向のどちらかにずれている場合、第1及び第2の腕部28,29のどちらか片方のみ接触する。これにより、電池3の前後方向の中心がキャビティ30の前後方向の中心からずれることを抑制することができる。
【0036】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、曲げ返し部27は省略してもよい。このように構成しても、電池3を、蓋部25と負極接触部13との間で挟持させることができる。
【0037】
・上記実施形態において、第2の壁部26の先端部は、基板2と接触していてもよい。このように構成しても、電池3を、蓋部25と負極接触部13との間で挟持させることができる。また、電池3の右方への変位を規制することができる。
【0038】
・上記実施形態において、第2の壁部26は省略してもよい。このように構成しても、電池3を、蓋部25と負極接触部13との間で挟持させることができる。
・上記実施形態において、第1及び第2の腕部28,29の先端部28a,29aは、V字状に形成されていなくてもより。このように構成しても、電池3は、蓋部25と負極接触部13との間で挟持される。また、電池3の前後方向への変位を規制することができる。
【0039】
・上記実施形態において、第1及び第2の腕部28,29は省略してもよい。このように構成しても、電池3は、蓋部25と負極接触部13との間で挟持される。
・上記実施形態において、傾斜部12は省略してもよい。この場合、正極端子20は、弾性をもって形成される必要がある。また、蓋部25と負極接触部13との間の距離を電池3の厚みよりも若干小さく設定する。このように構成しても、電池3を、蓋部25と負極接触部13との間で挟持させることができる。
【0040】
・上記実施形態において、負極端子10及び正極端子20は、ともに弾性変形が許容されていたが、どちらか片方のみ弾性が許容されていればよい。このように構成しても、電池3は、蓋部25と負極接触部13との間で挟持される。なお、負極端子10のみの弾性が許容されている場合には、負極接触部13が弾性変形できるように、当該負極接触部13は基板2と離間している必要がある。
【0041】
・上記実施形態では、負極端子10及び正極端子20の材質は、リン青銅とされたが、これ以外の材料により形成されてもよい。例えば、ベリリウム銅等の銅合金に金メッキしたもの、ステンレス材に銀メッキしたものがある。これら他の材料で形成されても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…電池ターミナル、2…基板(プリント基板)3…コイン型の電池、10…負極端子、11,21…固定部としてのはんだ付け部、12…傾斜部、13…負極接触部、20…正極端子、23…正極接触部、24…第1の壁部、25…蓋部、26…第2の壁部、27…曲げ返し部、28…第1の腕部、28a,29a…先端部、29…第2の腕部、30…キャビティ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定されて、コイン型の電池の第1の電極面に接触する第1の端子と、
前記第1の端子に対して離間する態様で前記基板に固定されて、前記電池の第2の電極面に接触する第2の端子とを備え、
前記第1の端子と前記第2の端子との離間距離は、前記電池の厚みよりも短く設定され、
前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方は、前記離間距離が前記電池の厚みと等しくなるように弾性変形可能とされる電池ターミナル。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ターミナルにおいて、
前記電池の正極と接触する第1又は第2の端子は、前記基板に固定される固定部と、
前記固定部に連続して前記電池の厚み方向へ延びる第1の壁部と、
前記第1の壁部の前記固定部と反対側の端部に連続して前記電池の直径方向へ延びるとともに前記基板に固定される第2又は第1の端子と対向する蓋部と、
前記第1の壁部において、前記電池の径方向にあたる両端部から前記蓋部と同じ側に延びるとともに、その先端部同士は離間し、その離間距離は、前記電池の径方向の長さよりも短い腕部とを備える電池ターミナル。
【請求項3】
請求項2に記載の電池ターミナルにおいて、
前記蓋部の前記第1の壁部と反対側の端部には前記第1の壁部と対向するように前記電池の厚み方向へ延びる第2の壁部を設けた電池ターミナル。
【請求項4】
請求項3に記載の電池ターミナルにおいて、
前記第2の壁部における前記電池の厚み方向における長さは、前記第1の壁部における前記電池の厚み方向における長さよりも短く形成される電池ターミナル。
【請求項5】
請求項4に記載の電池ターミナルにおいて、
前記第2の壁部の先端部には、前記第1の壁部と反対側へ折り返される曲げ返し部が形成されることを特徴とする電池ターミナル。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電池ターミナルにおいて、
前記第1の端子及び前記第2の端子のうち一方は、互いが対向する部分において、前記電池が挿入されるに従って他方との離間距離が短くなるように傾斜する傾斜部を備える電池ターミナル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−62187(P2013−62187A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200916(P2011−200916)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】