電池パック処理装置および処理方法
【課題】放電液に浸漬させて電池パックを放電するにあたり、短時間で放電を行うことが可能な電池パック処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】単電池cと筐体bとからなる電池パックPを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置Aであって、電池パックPを加圧して、筐体bに内部に放電液が流入できる開口部を形成する開口機20を備える。筐体bに収納された単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
【解決手段】単電池cと筐体bとからなる電池パックPを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置Aであって、電池パックPを加圧して、筐体bに内部に放電液が流入できる開口部を形成する開口機20を備える。筐体bに収納された単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック処理装置および処理方法に関する。さらに詳しくは、導電性を有する液体に浸漬させて電池パックを放電する電池パック処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度、高いセル電圧等の優れた特性を有することから、携帯電話、ポータブルビデオカメラ、ノートパソコン等の電子機器を中心に広範に利用されている。また、これら電子機器に用いられる電池は、安全性、使いやすさ、必要電圧等を考慮して、必要とする本数の単電池を樹脂製の筐体に収納した電池パックの形態で市販される場合が多い。
【0003】
リチウムイオン電池等の二次電池は、数百回程度の充放電を繰り返すと電極や電解液の劣化等が生じ、充電できる電気量が減少してくる。このような電池は寿命と判断され、廃電池として廃棄される。ここで、リチウムイオン電池には、コバルトやニッケル等の希少金属をはじめとする有価物が使用されているため、電池を解体して有価金属を回収し再資源化する処理が行なわれる。
【0004】
一般に、電池の再資源化は、電池を破砕した後に種々の方法を用いて有価金属を選別することにより行われる。
ところが、未放電の電池が含まれていると、電池の破砕を行う際に、電池が潰れて短絡することにより発熱し、電池内の電解質に含まれる有機溶媒が揮発してガスが噴射されたり、場合によっては発火点を超えて炎が燃え上がったりする場合がある。特に、電圧の高いリチウムイオン電池では、この発熱や爆発が顕著であり危険である。
【0005】
このような問題に対して、安全に電池を破砕する種々の方法が提案されている。その一例として、充放電状態に関わらず電池をそのまま高温の炉内に投入して焙焼することにより、発熱や発火の影響を抑制する方法がある(例えば特許文献1)。また、他の一例として、導電性を有する液体(以下、放電液という。)に浸漬させて電池を放電させ、放電後に電池を破砕する方法がある(例えば特許文献2)。
【0006】
しかるに、焙焼処理を行う方法では、電池パック内に基板が含まれているために鉛が飛散したり、樹脂製の筐体が分解し窒素化合物が排出されるために排ガス処理設備が必要になったりする等の問題がある。
【0007】
また、放電液に浸漬させて電池を放電させる方法では、単電池を個々に放電液に浸漬する場合は数時間から24時間程度の比較的短時間で放電できるが、電池パックごと放電液に浸漬する場合は、単電池個々の場合の数倍から10倍程度の長時間が必要である。これは電池パックの内部には、過放電を防止するための保護回路が組み込まれており、電池パックごと放電液に浸漬しても保護回路が働いて放電電流が抑制されるためである。
このように、電池パックを放電するには長時間を必要とし、操業上の手間やコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−346160号公報
【特許文献2】特開平11−97076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、放電液に浸漬させて電池パックを放電するにあたり、短時間で放電を行うことが可能な電池パック処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の電池パック処理装置は、単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置であって、前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する開口機を備えることを特徴とする。
第2発明の電池パック処理装置は、第1発明において、前記開口機は、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成するものであることを特徴とする。
第3発明の電池パック処理装置は、第2発明において、前記開口機の前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする。
第4発明の電池パック処理装置は、第2または第3発明において、前記開口機は、前記電池パックを挟んで加圧する一対の加圧部材を備えることを特徴とする。
第5発明の電池パック処理装置は、第4発明において、前記一対の加圧部材の一方または両方に凹凸が形成されていることを特徴とする。
第6発明の電池パック処理装置は、第5発明において、前記一対の加圧部材の両方に凹凸が形成されており、一方の加圧部材の凹凸と、他方の加圧部材の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあることを特徴とする。
第7発明の電池パック処理装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記放電液を保持し、前記筐体に前記開口部が形成された前記電池パックを、該放電液に浸漬する放電槽を備えることを特徴とする。
第8発明の電池パック処理装置は、第7発明において、前記開口機は、前記電池パックが前記放電槽に保持された前記放電液に浸かった状態で、前記筐体に前記開口部を形成するものであることを特徴とする。
第9発明の電池パック処理方法は、単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させる処理方法であって、前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成することを特徴とする。
第10発明の電池パック処理方法は、第9発明において、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成することを特徴とする。
第11発明の電池パック処理方法は、第10発明において、前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする。
第12発明の電池パック処理方法は、第9、第10または第11発明において、前記筐体に前記開口部を形成した後に、前記電池パックを前記放電液に浸漬することを特徴とする。
第13発明の電池パック処理方法は、第9、第10または第11発明において、前記電池パックを前記放電液に浸けた状態で、前記筐体に前記開口部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、電池パックの筐体に放電液が流入できる開口部を形成するので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第2発明によれば、電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第3発明によれば、電池パックを加圧する加圧力は単電池が放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であるから、単電池が潰れて短絡することにより発火することがなく、安全である。また、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬されるので、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第4発明によれば、一対の加圧部材で挟んで電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第5発明によれば、加圧部材に凹凸が形成されているので、電池パックに生じる応力が強いところと弱いところができ、筐体を破壊し開口部を形成することが容易となる。
第6発明によれば、一方の加圧部材の凹凸と他方の加圧部材の凹凸とが互いに噛み合う位置関係にあるので、電池パックに曲げる力を加えることができ、筐体を破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池に加圧力が加わりにくくなるので、単電池が潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
第7発明によれば、開口部が形成された電池パックを放電液に浸漬することができるので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第8発明によれば、電池パックが放電液に浸かった状態で筐体に開口部を形成するので、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第9発明によれば、電池パックの筐体に放電液が流入できる開口部を形成するので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第10発明によれば、電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第11発明によれば、電池パックを加圧する加圧力は単電池が放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であるから、単電池が潰れて短絡することにより発火することがなく、安全である。また、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬されるので、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第12発明によれば、開口部が形成された電池パックを放電液に浸漬することができるので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第13発明によれば、電池パックが放電液に浸かった状態で筐体に開口部を形成するので、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図2】一般的な電池パックの説明図である。
【図3】加圧板の説明図であって、(A)は直線状の凸部が複数本平行に形成されたもの、(B)は直線状の凸部が井桁状に形成されたもの、(C)は円柱状の突起が複数形成されたものの説明図である。
【図4】加圧板の説明図であって、(A)は上加圧板と下加圧板とで凸部の位置が互い違いになるように構成されたもの、(B)は上加圧板と下加圧板とを接近させたときに、下加圧板の円柱突起が上加圧板の井桁に囲まれるように構成されたものの説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図7】一対の加圧ローラの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る電池パック処理装置Aの概略図であって、図中、10は電池パックPを搬送するコンベア、20は電池パックPを加圧するプレス機、30はプレス機20から電池パックPを排出するプッシャー、40は放電液を保持する放電槽である。
プレス機20は、油圧シリンダ21と、油圧シリンダ21のロッド先端に取り付けられた上加圧板22と、この上加圧板22と対となり電池パックPを挟んで加圧する下加圧板23と、油圧シリンダ21の圧力制御を行う制御装置24とからなる。
なお、プレス機20は、特許請求の範囲に記載の「開口機」に相当し、上加圧板22および下加圧板23は、特許請求の範囲に記載の「加圧部材」に相当する。
また、プレス機20としては、油圧プレスに限らず、機械プレス等種々の型式のプレス機を採用することができる。
【0014】
電池パックPの構成には種々のものがあるが、例えば図2に示すように、リチウムイオン電池等である複数本の単電池cと、その複数の単電池cを収納する樹脂製の筐体bとから構成されている。一般に、筐体bは上部材ubおよび下部材lbとからなり、この2つの部材ub,lbの中に単電池cを収納した後に、それぞれの周囲が接合され筐体として形成されている。また、筐体bには電池パックPを取り付ける装置と単電池cとを電気的に接続するための端子tが設けられる。さらに、過放電を防止するための保護回路fが組み込まれる。
【0015】
つぎに、電池パック処理装置Aを用いた電池パックPの処理方法について説明する。
廃電池として廃棄された電池パックPはコンベア10により搬送されてプレス機20の下加圧板23に載せられる。すると、油圧シリンダ21が伸長し、上加圧板22と下加圧板23とで電池パックPを加圧する。電池パックPを加圧することにより、筐体bが破壊され、筐体bの内部に通ずる開口部が形成される。
このとき、一般的には、筐体bの上部材ubと下部材lbとの接合部が潰れ変形することで、開口部が形成される。また、場合によっては、筐体bが2つに割れることもある。
【0016】
筐体bに開口部が形成された電池パックPは、プッシャー30により下加圧板23から排出され、下加圧板23の下方に備えられた放電槽40の中に投入される。
放電槽40に投入された電池パックPは筐体bに開口部が形成されているから、放電液はその開口部から筐体bの内部に流入する。したがって、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。
【0017】
前述の通り、電池パックPをそのまま放電液に浸漬しても筐体bに設けられた端子tを通して放電することができるが、過放電を防止するための保護回路fが働いて放電電流が抑制されるため、放電するのに単電池c個々の場合の数倍から10倍程度の長時間が必要である。これに対して、本発明では、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできるため、過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、数時間から24時間程度の短時間で放電を行うことができる。その結果、操業上の手間やコストを低減することができる。
【0018】
ところで、プレス機20で電池パックPを加圧していくと、筐体bが破壊されるとともに、筐体bに収納された単電池cも潰される。そのため、過剰な圧力を加えると、未放電の単電池cが含まれていると、単電池cが潰れて短絡することにより発熱し、単電池c内の電解質に含まれる有機溶媒が揮発してガスが噴射されたり、場合によっては発火点を超えて炎が燃え上がったりする場合がある。特に、電圧の高いリチウムイオン電池では、この発熱や爆発が顕著であり危険である。
【0019】
しかし、単電池cが潰れて短絡することによる発熱反応は瞬間的に発生するのではなく、徐々に進行していくと考えられる。そこで、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬できるように、プレス機20の加圧力や、プレス機20と放電槽40との位置関係、プッシャー30の排出するタイミングを調整することが必要である。換言すれば、プレス機20の加圧力を、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cが放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力とする必要がある。
単電池cが発火する前に放電液に浸漬できれば、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0020】
なお、一般に、電池パックPの筐体bは内部に収納する単電池cを保護する構造になっているから、プレス機20の圧力を調整すれば、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cに過剰な圧力を加えないようにすることが可能である。
【0021】
さらになお、電池パックPの種類によって形状や筐体の強度は様々であるから、多種類の電池パックPを処理する場合には、電池パックPを一つずつコンベア10で搬送し、プレス機20に設置し、設置された電池パックPについて、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cに過剰な圧力を加えないように、プレス機20の加圧力を調整することが好ましい。
【0022】
プレス機20の加圧板22,23が平板状の場合、電池パックPを加圧したときに、筐体bの接合部が変形して開口しようとしても、その開口も加圧により抑制され、結局開口部を形成することが困難な場合が考えられる。
そこで、図3に示すように、上加圧板22と下加圧板23の一方または両方に凹凸が形成されていることが好ましい。加圧板22,23に凹凸が形成されていれば、加圧板22,23は電池パックPと部分的に接することとなり、電池パックPに生じる応力が強いところと弱いところができる。そうすると、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。
【0023】
加圧板22,23に形成される凹凸としては、直線状の凸部が複数本平行に形成されたものや(図3(A))、直線状の凸部が井桁状に形成されたもの(図3(B))、円柱状の突起が複数形成されたもの(図3(C))等が考えられる。
【0024】
また、図4に示すように、上加圧板22と下加圧板23の両方に凹凸を形成する場合に、上加圧板22の凹凸と、下加圧板23の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあるように構成してもよい。
具体的には、上加圧板22と下加圧板23の両方に直線状の凸部を複数本平行に形成するにあたり、上加圧板22と下加圧板23とで凸部の位置が互い違いになるように構成すればよい(図4(A))。あるいは、上加圧板22に直線状の凸部を井桁状に形成し、下加圧板23に円柱状の突起を複数形成するにあたり、上加圧板22と下加圧板23とを接近させたときに、下加圧板23の円柱突起が上加圧板22の井桁に囲まれるように構成してもよい(図4(B))。
【0025】
上加圧板22の凹凸と、下加圧板23の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあれば、電池パックPに曲げる力を加えることができ、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池cに加圧力が加わりにくくなるので、単電池cが潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
【0026】
(第2実施形態)
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係る電池パック処理装置Bは、第1実施形態に係る電池パック処理装置Aにおいて、下加圧板23が放電槽40の放電液の中に設置された構成をしている。その余の構成は、電池パック処理装置Aと同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
下加圧板23が放電槽40の放電液の中に設置されているから、廃電池として廃棄された電池パックPをコンベア10により搬送して下加圧板23に載せると、電池パックPは放電液に浸かった状態となる。したがって、電池パックPは放電液に浸かった状態で、プレス機20により加圧され、筐体bに開口部が形成される。
【0028】
電池パックPが放電液に浸かった状態で筐体bに開口部を形成するので、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0029】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る電池パック処理装置Cの概略図であって、図中、10は電池パックPを搬送するコンベア、50は電池パックPの筐体bに開口部を形成する開口機、40は放電液を保持する放電槽である。
開口機50は、一対の加圧ローラ51,51と、電池パックPを一対の加圧ローラ51,51の間に案内するガイド板52とからなる。一対の加圧ローラ51,51は互いに近接離間できるようになっており、一対の加圧ローラ51,51に挟まれる電池パックPにかかる圧力を調整できるようになっている。
なお、加圧ローラ51は、特許請求の範囲に記載の「加圧部材」に相当する。
【0030】
廃電池として廃棄された電池パックPはコンベア10により搬送されてガイド板52に渡される。ガイド板52は傾斜しており、電池パックPは一対の加圧ローラ51,51の間に案内される。一対の加圧ローラ51,51は回転しており、電池パックPを取り込みつつ加圧することにより、筐体bが破壊され、筐体bの内部に通ずる開口部が形成される。筐体bに開口部が形成された電池パックPは、一対の加圧ローラ51,51の下方に備えられた放電槽40の中に投入される。
【0031】
放電槽40に投入された電池パックPは筐体bに開口部が形成されているから、放電液はその開口部から筐体bの内部に流入する。したがって、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、数時間から24時間程度の短時間で放電を行うことができる。その結果、操業上の手間やコストを低減することができる。
【0032】
図7に示すように、一対の加圧ローラ51,51の一方または両方に凹凸が形成されていることが好ましい。加圧ローラ51に凹凸が形成されていれば、加圧ローラ51は電池パックPと部分的に接することとなり、電池パックPに生じる応力が強いところと弱いところができる。そうすると、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。
【0033】
また、一対の加圧ローラ51,51の両方に凹凸を形成する場合に、一方の加圧ローラ51の凹凸と、他方の加圧ローラ51の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあるように構成してもよい。
このような位置関係にあれば、電池パックPに曲げる力を加えることができ、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池cに加圧力が加わりにくくなるので、単電池cが潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
【0034】
さらに、一対の加圧ローラ51,51が放電槽40の放電液の中に設置された構成としてもよい。
このような構成とすれば、電池パックPは放電液に浸かった状態で、開口機50により加圧され、筐体bに開口部が形成される。そのため、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0035】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、電池パックPを加圧することにより筐体bに開口部を形成したが、これ以外の方法で筐体bに開口部を形成してもよい。
例えば、グラインダー等で筐体bの表面に線状の傷を付けた後に、プレス機等で加圧してもよい。このようにすることで、傷部分から筐体bが割れ易くなる。
【0036】
また、ロボットハンド等で、電池パックPに捻る力を加えてもよい。筐体bが2つの部材が接合されて形成されている場合には、捻る力に弱いため、接合部を容易に割ることができる。
【0037】
(試験)
つぎに、上記第1実施形態に係る電池パック処理装置Aを用いた試験について説明する。
(実施例1)
試験は、ノートパソコン用リチウムイオン電池パックを用いて行った。本電池パックには、18650型(直径18mm、長さ65mmの円筒型)のリチウムイオン電池の単電池が6本収容されており、単電池3本が並列に接続されたもの2組が直列に接続されている。筐体の外径は幅115mm、奥行70mm、高さ23mmである。なお、本電池パックの電圧仕様は7.4Vである。また、放電液は濃度が100g/lの塩化ナトリウム水溶液であり、液温は室温である。
【0038】
電池パックを加圧する前に、電池パックの端子間電圧を測定した結果、7.4Vであった。単電池3本が並列に接続されたもの2組が直列に接続されているので、それぞれの単電池の電圧は3.7Vである。
つぎに、電池パック一つを平板状の加圧板で挟んでプレス機で加圧した。このときプレス機の加圧力を50〜75kg/cm2とした。なお、本加圧力は電池パックに加えられる圧力である。加圧後の電池パックの筐体は、接合部が変形し、放電液が流入できる開口部が形成されていた。
つぎに、電池パックを放電液に24時間浸漬した。
放電液に浸漬後、筐体を解体して単電池を取り出し、単電池の電圧を測定した結果、いずれの単電池も1V以下となっていた。電圧が1.5V以下であれば、単電池が短絡しても発火しないことが知られているので、以上の操作により、十分放電されていることが確認できた。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、平板状の加圧板に代えて、一対の加圧板の両方に図4(A)に示すような直線状の凸部が複数本平行に形成されたものを用いた。なお、この凸部の高さは10mmであり、上加圧板と下加圧板の凸部の位置は互い違いになっている。
また、プレス機の加圧力を40kg/cm2とした。その他は実施例1と同様の電池パック、放電液を使用して、同様の方法で試験をおこなった。
【0040】
プレス機で加圧後の電池パックを放電液に24時間浸漬した。
放電液に浸漬後、筐体を解体して単電池を取り出し、単電池の電圧を測定した結果、いずれの単電池も1V以下となっていた。
これより、凹凸を形成した加圧板を使用すれば、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となり、プレス機の加圧力を低くすることができることが分かった。そのため、単電池に加わる圧力を低くできると推測され、ひいては、単電池が潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全であると考えられる。
【0041】
(比較例1)
実施例1と同様の電池パックを、プレス機で加圧せずに、そのまま放電液に浸漬させた。
その結果、端子間の電圧が1V以下になるまでに120時間が必要であった。
これより、電池パックごと放電液に浸漬する場合は、放電に長時間が必要であり、実施例1および2は、これに比べて短時間で放電を行うことができることが分かった。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、プレス機の加圧力を90〜120kg/cm2とした。その他は実施例1と同様の電池パック、放電液を使用して、同様の方法で試験をおこなった。
プレス機で加圧すると、電池パックの筐体は接合部が変形し、放電液が流入できる開口部が形成された。その変形は実施例1に比べて大きいものであった。しかし、単電池も大きく潰れたため、短絡による発熱が生じ、最終的には発火した。
このことから、電池パックに過剰な圧力を加えると危険であることが分かった。また、実施例1および2のように加圧力を調節することで、電池パックが発火しないようにできることも分かった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る電池パック処理装置および処理方法は、リチウムイオン電池等の電池パックを放電液に浸漬させて放電するにあたり、筐体に開口部を形成することで、短時間で放電を行うために利用される。
【符号の説明】
【0044】
10 コンベア
20 プレス機
21 油圧シリンダ
22 上加圧板
23 下加圧板
24 制御装置
30 プッシャー
40 放電槽
50 開口機
51 加圧ローラ
52 ガイド板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック処理装置および処理方法に関する。さらに詳しくは、導電性を有する液体に浸漬させて電池パックを放電する電池パック処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度、高いセル電圧等の優れた特性を有することから、携帯電話、ポータブルビデオカメラ、ノートパソコン等の電子機器を中心に広範に利用されている。また、これら電子機器に用いられる電池は、安全性、使いやすさ、必要電圧等を考慮して、必要とする本数の単電池を樹脂製の筐体に収納した電池パックの形態で市販される場合が多い。
【0003】
リチウムイオン電池等の二次電池は、数百回程度の充放電を繰り返すと電極や電解液の劣化等が生じ、充電できる電気量が減少してくる。このような電池は寿命と判断され、廃電池として廃棄される。ここで、リチウムイオン電池には、コバルトやニッケル等の希少金属をはじめとする有価物が使用されているため、電池を解体して有価金属を回収し再資源化する処理が行なわれる。
【0004】
一般に、電池の再資源化は、電池を破砕した後に種々の方法を用いて有価金属を選別することにより行われる。
ところが、未放電の電池が含まれていると、電池の破砕を行う際に、電池が潰れて短絡することにより発熱し、電池内の電解質に含まれる有機溶媒が揮発してガスが噴射されたり、場合によっては発火点を超えて炎が燃え上がったりする場合がある。特に、電圧の高いリチウムイオン電池では、この発熱や爆発が顕著であり危険である。
【0005】
このような問題に対して、安全に電池を破砕する種々の方法が提案されている。その一例として、充放電状態に関わらず電池をそのまま高温の炉内に投入して焙焼することにより、発熱や発火の影響を抑制する方法がある(例えば特許文献1)。また、他の一例として、導電性を有する液体(以下、放電液という。)に浸漬させて電池を放電させ、放電後に電池を破砕する方法がある(例えば特許文献2)。
【0006】
しかるに、焙焼処理を行う方法では、電池パック内に基板が含まれているために鉛が飛散したり、樹脂製の筐体が分解し窒素化合物が排出されるために排ガス処理設備が必要になったりする等の問題がある。
【0007】
また、放電液に浸漬させて電池を放電させる方法では、単電池を個々に放電液に浸漬する場合は数時間から24時間程度の比較的短時間で放電できるが、電池パックごと放電液に浸漬する場合は、単電池個々の場合の数倍から10倍程度の長時間が必要である。これは電池パックの内部には、過放電を防止するための保護回路が組み込まれており、電池パックごと放電液に浸漬しても保護回路が働いて放電電流が抑制されるためである。
このように、電池パックを放電するには長時間を必要とし、操業上の手間やコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−346160号公報
【特許文献2】特開平11−97076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、放電液に浸漬させて電池パックを放電するにあたり、短時間で放電を行うことが可能な電池パック処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の電池パック処理装置は、単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置であって、前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する開口機を備えることを特徴とする。
第2発明の電池パック処理装置は、第1発明において、前記開口機は、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成するものであることを特徴とする。
第3発明の電池パック処理装置は、第2発明において、前記開口機の前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする。
第4発明の電池パック処理装置は、第2または第3発明において、前記開口機は、前記電池パックを挟んで加圧する一対の加圧部材を備えることを特徴とする。
第5発明の電池パック処理装置は、第4発明において、前記一対の加圧部材の一方または両方に凹凸が形成されていることを特徴とする。
第6発明の電池パック処理装置は、第5発明において、前記一対の加圧部材の両方に凹凸が形成されており、一方の加圧部材の凹凸と、他方の加圧部材の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあることを特徴とする。
第7発明の電池パック処理装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記放電液を保持し、前記筐体に前記開口部が形成された前記電池パックを、該放電液に浸漬する放電槽を備えることを特徴とする。
第8発明の電池パック処理装置は、第7発明において、前記開口機は、前記電池パックが前記放電槽に保持された前記放電液に浸かった状態で、前記筐体に前記開口部を形成するものであることを特徴とする。
第9発明の電池パック処理方法は、単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させる処理方法であって、前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成することを特徴とする。
第10発明の電池パック処理方法は、第9発明において、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成することを特徴とする。
第11発明の電池パック処理方法は、第10発明において、前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする。
第12発明の電池パック処理方法は、第9、第10または第11発明において、前記筐体に前記開口部を形成した後に、前記電池パックを前記放電液に浸漬することを特徴とする。
第13発明の電池パック処理方法は、第9、第10または第11発明において、前記電池パックを前記放電液に浸けた状態で、前記筐体に前記開口部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、電池パックの筐体に放電液が流入できる開口部を形成するので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第2発明によれば、電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第3発明によれば、電池パックを加圧する加圧力は単電池が放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であるから、単電池が潰れて短絡することにより発火することがなく、安全である。また、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬されるので、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第4発明によれば、一対の加圧部材で挟んで電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第5発明によれば、加圧部材に凹凸が形成されているので、電池パックに生じる応力が強いところと弱いところができ、筐体を破壊し開口部を形成することが容易となる。
第6発明によれば、一方の加圧部材の凹凸と他方の加圧部材の凹凸とが互いに噛み合う位置関係にあるので、電池パックに曲げる力を加えることができ、筐体を破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池に加圧力が加わりにくくなるので、単電池が潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
第7発明によれば、開口部が形成された電池パックを放電液に浸漬することができるので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第8発明によれば、電池パックが放電液に浸かった状態で筐体に開口部を形成するので、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第9発明によれば、電池パックの筐体に放電液が流入できる開口部を形成するので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第10発明によれば、電池パックを加圧することにより、筐体が破壊され、開口部を形成することができる。
第11発明によれば、電池パックを加圧する加圧力は単電池が放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力であるから、単電池が潰れて短絡することにより発火することがなく、安全である。また、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬されるので、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
第12発明によれば、開口部が形成された電池パックを放電液に浸漬することができるので、筐体に収納された単電池を個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路によって電池パックからの放電電流が抑制されることを回避し、短時間で放電を行うことができる。
第13発明によれば、電池パックが放電液に浸かった状態で筐体に開口部を形成するので、単電池が潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池を冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図2】一般的な電池パックの説明図である。
【図3】加圧板の説明図であって、(A)は直線状の凸部が複数本平行に形成されたもの、(B)は直線状の凸部が井桁状に形成されたもの、(C)は円柱状の突起が複数形成されたものの説明図である。
【図4】加圧板の説明図であって、(A)は上加圧板と下加圧板とで凸部の位置が互い違いになるように構成されたもの、(B)は上加圧板と下加圧板とを接近させたときに、下加圧板の円柱突起が上加圧板の井桁に囲まれるように構成されたものの説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る電池パック処理装置の概略図である。
【図7】一対の加圧ローラの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る電池パック処理装置Aの概略図であって、図中、10は電池パックPを搬送するコンベア、20は電池パックPを加圧するプレス機、30はプレス機20から電池パックPを排出するプッシャー、40は放電液を保持する放電槽である。
プレス機20は、油圧シリンダ21と、油圧シリンダ21のロッド先端に取り付けられた上加圧板22と、この上加圧板22と対となり電池パックPを挟んで加圧する下加圧板23と、油圧シリンダ21の圧力制御を行う制御装置24とからなる。
なお、プレス機20は、特許請求の範囲に記載の「開口機」に相当し、上加圧板22および下加圧板23は、特許請求の範囲に記載の「加圧部材」に相当する。
また、プレス機20としては、油圧プレスに限らず、機械プレス等種々の型式のプレス機を採用することができる。
【0014】
電池パックPの構成には種々のものがあるが、例えば図2に示すように、リチウムイオン電池等である複数本の単電池cと、その複数の単電池cを収納する樹脂製の筐体bとから構成されている。一般に、筐体bは上部材ubおよび下部材lbとからなり、この2つの部材ub,lbの中に単電池cを収納した後に、それぞれの周囲が接合され筐体として形成されている。また、筐体bには電池パックPを取り付ける装置と単電池cとを電気的に接続するための端子tが設けられる。さらに、過放電を防止するための保護回路fが組み込まれる。
【0015】
つぎに、電池パック処理装置Aを用いた電池パックPの処理方法について説明する。
廃電池として廃棄された電池パックPはコンベア10により搬送されてプレス機20の下加圧板23に載せられる。すると、油圧シリンダ21が伸長し、上加圧板22と下加圧板23とで電池パックPを加圧する。電池パックPを加圧することにより、筐体bが破壊され、筐体bの内部に通ずる開口部が形成される。
このとき、一般的には、筐体bの上部材ubと下部材lbとの接合部が潰れ変形することで、開口部が形成される。また、場合によっては、筐体bが2つに割れることもある。
【0016】
筐体bに開口部が形成された電池パックPは、プッシャー30により下加圧板23から排出され、下加圧板23の下方に備えられた放電槽40の中に投入される。
放電槽40に投入された電池パックPは筐体bに開口部が形成されているから、放電液はその開口部から筐体bの内部に流入する。したがって、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。
【0017】
前述の通り、電池パックPをそのまま放電液に浸漬しても筐体bに設けられた端子tを通して放電することができるが、過放電を防止するための保護回路fが働いて放電電流が抑制されるため、放電するのに単電池c個々の場合の数倍から10倍程度の長時間が必要である。これに対して、本発明では、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできるため、過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、数時間から24時間程度の短時間で放電を行うことができる。その結果、操業上の手間やコストを低減することができる。
【0018】
ところで、プレス機20で電池パックPを加圧していくと、筐体bが破壊されるとともに、筐体bに収納された単電池cも潰される。そのため、過剰な圧力を加えると、未放電の単電池cが含まれていると、単電池cが潰れて短絡することにより発熱し、単電池c内の電解質に含まれる有機溶媒が揮発してガスが噴射されたり、場合によっては発火点を超えて炎が燃え上がったりする場合がある。特に、電圧の高いリチウムイオン電池では、この発熱や爆発が顕著であり危険である。
【0019】
しかし、単電池cが潰れて短絡することによる発熱反応は瞬間的に発生するのではなく、徐々に進行していくと考えられる。そこで、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、発火する前に放電液に浸漬できるように、プレス機20の加圧力や、プレス機20と放電槽40との位置関係、プッシャー30の排出するタイミングを調整することが必要である。換言すれば、プレス機20の加圧力を、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cが放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力とする必要がある。
単電池cが発火する前に放電液に浸漬できれば、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0020】
なお、一般に、電池パックPの筐体bは内部に収納する単電池cを保護する構造になっているから、プレス機20の圧力を調整すれば、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cに過剰な圧力を加えないようにすることが可能である。
【0021】
さらになお、電池パックPの種類によって形状や筐体の強度は様々であるから、多種類の電池パックPを処理する場合には、電池パックPを一つずつコンベア10で搬送し、プレス機20に設置し、設置された電池パックPについて、筐体bに開口部が形成でき、かつ、単電池cに過剰な圧力を加えないように、プレス機20の加圧力を調整することが好ましい。
【0022】
プレス機20の加圧板22,23が平板状の場合、電池パックPを加圧したときに、筐体bの接合部が変形して開口しようとしても、その開口も加圧により抑制され、結局開口部を形成することが困難な場合が考えられる。
そこで、図3に示すように、上加圧板22と下加圧板23の一方または両方に凹凸が形成されていることが好ましい。加圧板22,23に凹凸が形成されていれば、加圧板22,23は電池パックPと部分的に接することとなり、電池パックPに生じる応力が強いところと弱いところができる。そうすると、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。
【0023】
加圧板22,23に形成される凹凸としては、直線状の凸部が複数本平行に形成されたものや(図3(A))、直線状の凸部が井桁状に形成されたもの(図3(B))、円柱状の突起が複数形成されたもの(図3(C))等が考えられる。
【0024】
また、図4に示すように、上加圧板22と下加圧板23の両方に凹凸を形成する場合に、上加圧板22の凹凸と、下加圧板23の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあるように構成してもよい。
具体的には、上加圧板22と下加圧板23の両方に直線状の凸部を複数本平行に形成するにあたり、上加圧板22と下加圧板23とで凸部の位置が互い違いになるように構成すればよい(図4(A))。あるいは、上加圧板22に直線状の凸部を井桁状に形成し、下加圧板23に円柱状の突起を複数形成するにあたり、上加圧板22と下加圧板23とを接近させたときに、下加圧板23の円柱突起が上加圧板22の井桁に囲まれるように構成してもよい(図4(B))。
【0025】
上加圧板22の凹凸と、下加圧板23の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあれば、電池パックPに曲げる力を加えることができ、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池cに加圧力が加わりにくくなるので、単電池cが潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
【0026】
(第2実施形態)
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係る電池パック処理装置Bは、第1実施形態に係る電池パック処理装置Aにおいて、下加圧板23が放電槽40の放電液の中に設置された構成をしている。その余の構成は、電池パック処理装置Aと同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
下加圧板23が放電槽40の放電液の中に設置されているから、廃電池として廃棄された電池パックPをコンベア10により搬送して下加圧板23に載せると、電池パックPは放電液に浸かった状態となる。したがって、電池パックPは放電液に浸かった状態で、プレス機20により加圧され、筐体bに開口部が形成される。
【0028】
電池パックPが放電液に浸かった状態で筐体bに開口部を形成するので、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0029】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る電池パック処理装置Cの概略図であって、図中、10は電池パックPを搬送するコンベア、50は電池パックPの筐体bに開口部を形成する開口機、40は放電液を保持する放電槽である。
開口機50は、一対の加圧ローラ51,51と、電池パックPを一対の加圧ローラ51,51の間に案内するガイド板52とからなる。一対の加圧ローラ51,51は互いに近接離間できるようになっており、一対の加圧ローラ51,51に挟まれる電池パックPにかかる圧力を調整できるようになっている。
なお、加圧ローラ51は、特許請求の範囲に記載の「加圧部材」に相当する。
【0030】
廃電池として廃棄された電池パックPはコンベア10により搬送されてガイド板52に渡される。ガイド板52は傾斜しており、電池パックPは一対の加圧ローラ51,51の間に案内される。一対の加圧ローラ51,51は回転しており、電池パックPを取り込みつつ加圧することにより、筐体bが破壊され、筐体bの内部に通ずる開口部が形成される。筐体bに開口部が形成された電池パックPは、一対の加圧ローラ51,51の下方に備えられた放電槽40の中に投入される。
【0031】
放電槽40に投入された電池パックPは筐体bに開口部が形成されているから、放電液はその開口部から筐体bの内部に流入する。したがって、単電池cを個々に放電液に浸漬したのと同じ状態にできる。そのため、過放電を防止する保護回路fによって電池パックPからの放電電流が抑制されることを回避し、数時間から24時間程度の短時間で放電を行うことができる。その結果、操業上の手間やコストを低減することができる。
【0032】
図7に示すように、一対の加圧ローラ51,51の一方または両方に凹凸が形成されていることが好ましい。加圧ローラ51に凹凸が形成されていれば、加圧ローラ51は電池パックPと部分的に接することとなり、電池パックPに生じる応力が強いところと弱いところができる。そうすると、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。
【0033】
また、一対の加圧ローラ51,51の両方に凹凸を形成する場合に、一方の加圧ローラ51の凹凸と、他方の加圧ローラ51の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にあるように構成してもよい。
このような位置関係にあれば、電池パックPに曲げる力を加えることができ、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となる。また、単電池cに加圧力が加わりにくくなるので、単電池cが潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全である。
【0034】
さらに、一対の加圧ローラ51,51が放電槽40の放電液の中に設置された構成としてもよい。
このような構成とすれば、電池パックPは放電液に浸かった状態で、開口機50により加圧され、筐体bに開口部が形成される。そのため、単電池cが潰れて短絡することにより発熱しても、放電液で単電池cを冷やすことで発火を防ぐことができ、安全である。
【0035】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、電池パックPを加圧することにより筐体bに開口部を形成したが、これ以外の方法で筐体bに開口部を形成してもよい。
例えば、グラインダー等で筐体bの表面に線状の傷を付けた後に、プレス機等で加圧してもよい。このようにすることで、傷部分から筐体bが割れ易くなる。
【0036】
また、ロボットハンド等で、電池パックPに捻る力を加えてもよい。筐体bが2つの部材が接合されて形成されている場合には、捻る力に弱いため、接合部を容易に割ることができる。
【0037】
(試験)
つぎに、上記第1実施形態に係る電池パック処理装置Aを用いた試験について説明する。
(実施例1)
試験は、ノートパソコン用リチウムイオン電池パックを用いて行った。本電池パックには、18650型(直径18mm、長さ65mmの円筒型)のリチウムイオン電池の単電池が6本収容されており、単電池3本が並列に接続されたもの2組が直列に接続されている。筐体の外径は幅115mm、奥行70mm、高さ23mmである。なお、本電池パックの電圧仕様は7.4Vである。また、放電液は濃度が100g/lの塩化ナトリウム水溶液であり、液温は室温である。
【0038】
電池パックを加圧する前に、電池パックの端子間電圧を測定した結果、7.4Vであった。単電池3本が並列に接続されたもの2組が直列に接続されているので、それぞれの単電池の電圧は3.7Vである。
つぎに、電池パック一つを平板状の加圧板で挟んでプレス機で加圧した。このときプレス機の加圧力を50〜75kg/cm2とした。なお、本加圧力は電池パックに加えられる圧力である。加圧後の電池パックの筐体は、接合部が変形し、放電液が流入できる開口部が形成されていた。
つぎに、電池パックを放電液に24時間浸漬した。
放電液に浸漬後、筐体を解体して単電池を取り出し、単電池の電圧を測定した結果、いずれの単電池も1V以下となっていた。電圧が1.5V以下であれば、単電池が短絡しても発火しないことが知られているので、以上の操作により、十分放電されていることが確認できた。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、平板状の加圧板に代えて、一対の加圧板の両方に図4(A)に示すような直線状の凸部が複数本平行に形成されたものを用いた。なお、この凸部の高さは10mmであり、上加圧板と下加圧板の凸部の位置は互い違いになっている。
また、プレス機の加圧力を40kg/cm2とした。その他は実施例1と同様の電池パック、放電液を使用して、同様の方法で試験をおこなった。
【0040】
プレス機で加圧後の電池パックを放電液に24時間浸漬した。
放電液に浸漬後、筐体を解体して単電池を取り出し、単電池の電圧を測定した結果、いずれの単電池も1V以下となっていた。
これより、凹凸を形成した加圧板を使用すれば、筐体bを破壊し開口部を形成することが容易となり、プレス機の加圧力を低くすることができることが分かった。そのため、単電池に加わる圧力を低くできると推測され、ひいては、単電池が潰れて短絡することにより発火することを抑制でき、安全であると考えられる。
【0041】
(比較例1)
実施例1と同様の電池パックを、プレス機で加圧せずに、そのまま放電液に浸漬させた。
その結果、端子間の電圧が1V以下になるまでに120時間が必要であった。
これより、電池パックごと放電液に浸漬する場合は、放電に長時間が必要であり、実施例1および2は、これに比べて短時間で放電を行うことができることが分かった。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、プレス機の加圧力を90〜120kg/cm2とした。その他は実施例1と同様の電池パック、放電液を使用して、同様の方法で試験をおこなった。
プレス機で加圧すると、電池パックの筐体は接合部が変形し、放電液が流入できる開口部が形成された。その変形は実施例1に比べて大きいものであった。しかし、単電池も大きく潰れたため、短絡による発熱が生じ、最終的には発火した。
このことから、電池パックに過剰な圧力を加えると危険であることが分かった。また、実施例1および2のように加圧力を調節することで、電池パックが発火しないようにできることも分かった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る電池パック処理装置および処理方法は、リチウムイオン電池等の電池パックを放電液に浸漬させて放電するにあたり、筐体に開口部を形成することで、短時間で放電を行うために利用される。
【符号の説明】
【0044】
10 コンベア
20 プレス機
21 油圧シリンダ
22 上加圧板
23 下加圧板
24 制御装置
30 プッシャー
40 放電槽
50 開口機
51 加圧ローラ
52 ガイド板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置であって、
前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する開口機を備える
ことを特徴とする電池パック処理装置。
【請求項2】
前記開口機は、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成するものである
ことを特徴とする請求項1記載の電池パック処理装置。
【請求項3】
前記開口機の前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力である
ことを特徴とする請求項2記載の電池パック処理装置。
【請求項4】
前記開口機は、前記電池パックを挟んで加圧する一対の加圧部材を備える
ことを特徴とする請求項2または3記載の電池パック処理装置。
【請求項5】
前記一対の加圧部材の一方または両方に凹凸が形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の電池パック処理装置。
【請求項6】
前記一対の加圧部材の両方に凹凸が形成されており、
一方の加圧部材の凹凸と、他方の加圧部材の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にある
ことを特徴とする請求項5記載の電池パック処理装置。
【請求項7】
前記放電液を保持し、前記筐体に前記開口部が形成された前記電池パックを、該放電液に浸漬する放電槽を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の電池パック処理装置。
【請求項8】
前記開口機は、前記電池パックが前記放電槽に保持された前記放電液に浸かった状態で、前記筐体に前記開口部を形成するものである
ことを特徴とする請求項7記載の電池パック処理装置。
【請求項9】
単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させる処理方法であって、
前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する
ことを特徴とする電池パック処理方法。
【請求項10】
前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成する
ことを特徴とする請求項9記載の電池パック処理方法。
【請求項11】
前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力である
ことを特徴とする請求項10記載の電池パック処理方法。
【請求項12】
前記筐体に前記開口部を形成した後に、
前記電池パックを前記放電液に浸漬する
ことを特徴とする請求項9、10または11記載の電池パック処理方法。
【請求項13】
前記電池パックを前記放電液に浸けた状態で、
前記筐体に前記開口部を形成する
ことを特徴とする請求項9、10または11記載の電池パック処理方法。
【請求項1】
単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させるための処理装置であって、
前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する開口機を備える
ことを特徴とする電池パック処理装置。
【請求項2】
前記開口機は、前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成するものである
ことを特徴とする請求項1記載の電池パック処理装置。
【請求項3】
前記開口機の前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力である
ことを特徴とする請求項2記載の電池パック処理装置。
【請求項4】
前記開口機は、前記電池パックを挟んで加圧する一対の加圧部材を備える
ことを特徴とする請求項2または3記載の電池パック処理装置。
【請求項5】
前記一対の加圧部材の一方または両方に凹凸が形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の電池パック処理装置。
【請求項6】
前記一対の加圧部材の両方に凹凸が形成されており、
一方の加圧部材の凹凸と、他方の加圧部材の凹凸とが、互いに噛み合う位置関係にある
ことを特徴とする請求項5記載の電池パック処理装置。
【請求項7】
前記放電液を保持し、前記筐体に前記開口部が形成された前記電池パックを、該放電液に浸漬する放電槽を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の電池パック処理装置。
【請求項8】
前記開口機は、前記電池パックが前記放電槽に保持された前記放電液に浸かった状態で、前記筐体に前記開口部を形成するものである
ことを特徴とする請求項7記載の電池パック処理装置。
【請求項9】
単電池と該単電池を収納する筐体とからなる電池パックを、放電液に浸漬させて放電させる処理方法であって、
前記筐体に該筐体の内部に前記放電液が流入できる開口部を形成する
ことを特徴とする電池パック処理方法。
【請求項10】
前記電池パックを加圧して、前記筐体に前記開口部を形成する
ことを特徴とする請求項9記載の電池パック処理方法。
【請求項11】
前記電池パックを加圧する加圧力は、前記筐体に前記開口部が形成でき、かつ、前記単電池が前記放電液に浸漬される前に発火する圧力よりも小さい圧力である
ことを特徴とする請求項10記載の電池パック処理方法。
【請求項12】
前記筐体に前記開口部を形成した後に、
前記電池パックを前記放電液に浸漬する
ことを特徴とする請求項9、10または11記載の電池パック処理方法。
【請求項13】
前記電池パックを前記放電液に浸けた状態で、
前記筐体に前記開口部を形成する
ことを特徴とする請求項9、10または11記載の電池パック処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−128952(P2012−128952A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276611(P2010−276611)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】
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