説明

電池パック

【課題】表面側の一部領域に機能デバイス等が埋め込まれたスリムボディの電子機器本体の背面に装着され、電子機器本体の電気系に電力を供給する電池パックにおいて、機能デバイス等と干渉せずに、電池容量を確保しながら、回路基板に実装する電子部品を幅広く選択できるようにする。
【解決手段】電池パック1は、皿状の第1ケース部材10の底板部11上に、複数の二次電池20と、これら二次電池20に電気接続された回路基板30とが並列に配設され、複数の二次電池20における上面(底板部11と反対側の面)は、ラベル41,42で覆われ、回路基板30の上面は第2ケース部材50で覆われて構成されている。第2ケース部材50の中央部分50aは、左側部50b,右側部50cよりも下方に下がった位置にある。この中央部分50aには窓51が開設され、窓51を塞ぐラベル43が貼り付けられている。この電池パック1は機器本体の背面側に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び回路基板が収納された電池パックに関し、特に、ノート型パーソナルコンピュータなど、薄型の電子機器に装着して電力を供給する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用の電子機器において機器本体に装着して装置の電気系に電力を供給する電池パックが用いられている。この電池パックは通常、ケース内に、二次電池及び回路基板が収納されて構成されている。
ノート型パソコンなど、スリムボディの電子機器装置に装着される電池パックにおいては、平板状の樹脂製ケースの中に、二次電池及び回路基板が並べて配置され、電子機器装置本体の背面に着脱されるようになっている。
【0003】
ところでノート型パソコンにおいては、装置本体の上面側にキーボードが配され、その前方にタッチパッドなどのポインティングデバイスが配置されているものも多い。
このようなノート型パソコンにおいて、電池容量を確保しながら装置をより薄くする要求があり、それに応えるため、例えば特許文献2に開示された電池パックでは、装置本体の前方側に電池パックを配置し、ポインティングデバイスの位置には回路基板を配置し、二次電池はポインティングデバイスの両横に配設して、これによって、電池パックを薄くしながら、ポインティングデバイスとの干渉を避け且つ二次電池の電池容量を確保することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−115091号公報
【特許文献2】特開2011−44359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように二次電池と回路基板とを並列に配置し、回路基板のところでケース厚みを薄くした電池パックにおいては、回路基板のところではケースの内部スペースの高さも小さくなるので、回路基板に実装できる電子部品の高さも制限されてしまう。
本発明は、表面側の一部にポインティングデバイス等の機能デバイスが埋め込まれたスリムボディの電子機器本体の背後に装着され、電子機器本体の電気系に電力を供給する電池パックにおいて、機能デバイスと干渉せずに、電池容量を確保しながら、回路基板に実装する電子部品を幅広く選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電池パックは、
偏平な二次電池と当該二次電池に接続された回路基板とを、皿状の第1ケース部材の内底面に並列状に配置し、回路基板が機能デバイスの背後に存し、二次電池が機能デバイスの背後に存しない位置関係で、二次電池の上面が第1ラベルで覆われた状態で、電子機器本体に装着し、更に、回路基板の上面を、第2ケース部材で覆い、第2ケース部材の上面における機能デバイスに対応する領域は、二次電池の上面を覆う第1ラベルよりも第1ケース部材の底面に近い位置に設け、当該領域に回路基板側の電子部品を収容する窓を開設すると共に、当該窓を塞ぐ第2ラベルを貼り付けることとした。
【0007】
上記電池パックにおいて、第1ケース部材の内底面上において、二次電池を複数個、回路基板を間に挟むように配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記電池パックにおいては、皿状の第1ケース部材の内底面に偏平な二次電池と回路基板とが並列状に配置され、二次電池の上面は第1ラベルで覆われ、回路基板の上面は第2ケースで覆われ、第2ケース部材の上面において、装置本体の機能デバイスに対応する領域は、電池パックの上面よりも、第1ケース部材の底面に近い位置に存在しているので、機能デバイスとの干渉を避けながら、二次電池の容量を確保することができる。
【0009】
また、回路基板の上面を覆う第2ケースに窓が開口され、その窓が第2ラべルで覆われているので、回路基板に実装されている電子部品の一部がその窓に入り込むことができる。
すなわち、第2ケースに開口された窓を電子部品を収容するスペースとして利用できるので、窓が開口されていない場合と比べると、より高さの高い電子部品を回路基板に実装することができる。従って、回路基板に実装する電子部品の選択幅が拡がる。
【0010】
機能デバイスが、電子機器本体における中央部に存在する場合、上記電池パックにおいて、第1ケース部材の内底面上に、二次電池複数個を回路基板を間に挟んで配置すれば、電池パックの中央部に凹みが形成され、機能デバイスとの干渉を避けながら二次電池の容量を確保するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る電子機器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電池パック1の分解斜視図である。
【図3】電池パック1の部分拡大図であって、第2ケース部材50の窓51付近において電池パック1を切断した図である。
【図4】電池パック1の窓51付近を機器本体2と共に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態では、電池パックを装着する電子機器がノートパソコンである場合を例に挙げて説明する。
<電子機器の構成>
図1は、実施の形態に係る電子機器を示す斜視図である。図2は、図1に示す電池パック1の分解斜視図である。
【0013】
この電子機器は、スリムボディのノートパソコンであって、平板状の機器本体2と、その機器本体2の後端にヒンジを介して回動可能に接続された表示部3を有している。機器本体2には、機能デバイスとしてポインティングデバイス6が埋め込まれて、電池パック1が機器本体2の背面側に、ポインティングデバイス6の背後を跨ぐように装着されている。
【0014】
電池パック1が機器本体2に装着された状態では、電池パック1の底板部11が、機器本体2の底板の一部を兼ねている。また、特に図示しないが、電池パック1が機器本体2の筐体の内部に収容されるようにして、電池パック1が機器本体2の外観に現れないように装着することもできる。
また機器本体2の上面側には、後方にキーボード4が埋め込まれ、前方にパームレスト部5が左右に対で存在し、左右のパームレスト部5の間にポインティングデバイス6が埋め込まれている。
【0015】
ポインティングデバイス6は、位置,状態,方向などの情報を入力する装置であって、具体的にはタッチパッド及びクリックボタンである。
電池パック1は、機器本体2の背面側に装着される。その装着位置は、キーボード4よりも前方側であって、パームレスト部5及びポインティングデバイス6の下方に装着される。
【0016】
電池パック1の前方にはコネクタ8が設けられており、このコネクタ8が機器本体2のコネクタ(不図示)に接続されることによって、電池パック1から機器本体2の電気系に電力が供給できるようになっている。
<電池パック1の構成>
電池パック1は、全体形状が、横方向に長い長方形状であって、パームレスト部5の背後に位置する左サイド部分1b及び右サイド部分1cには二次電池20が収納され、ポインティングデバイス6の背後に位置するセンター部分1aには、二次電池20は存在せず回路基板30が存在している。
【0017】
そして電池パック1の厚み(高さ)は、センター部分1aが、左サイド部分1b及び右サイド部分1cよりも薄く(低く)設定されて、装置本体2のポインティングデバイス6と干渉しないようになっている。
電池パック1は、皿状の第1ケース部材10の内底面、すなわち底板部11上に、複数の二次電池20と、これら二次電池20に電気接続された回路基板30とが、並列状に配設され、これら複数の二次電池20における上面(底板部11に面する側とは反対側の面)は、第1ラベルとしてのラベル41,42で覆われ、回路基板30の上面は第2ケース部材50で覆われて構成されている。第2ケース部材50におけるポインティングデバイス6に対応する中央部分50aには窓51が開設され、中央部分50aの上面に第2ラベルとしてのラベル43が窓51を塞ぐように貼り付けられている。
【0018】
以下、電池パック1を構成する各部材について説明する。
第1ケース部材10は、底板部11及び周壁部12とを有する浅い皿状の部材であり、回路基板30が収納されるセンター部分10aと、二次電池20が収納される左サイド部分10b及び右サイド部分10cとを有している。
左サイド部分10b及び右サイド部分10cは、左右に間隙を開けて配置され、左サイド部分10bと右サイド部分10cの各々に、二次電池20を複数個(4個)づつ並べて収納できるようになっている。そして、左サイド部分10bと右サイド部分10cとは、左右に伸長するセンター部分10aを介して連結されている。
【0019】
図2に示すように、各二次電池20は、偏平な角形の電池、例えば角形のリチウムイオン電池あるいはリチウムポリマー電池であって、底板部11に沿って並べて配置されている。そして配列された複数の二次電池20の上には、各二次電池20と回路基板30とを接続するリード板21が、絶縁シートを介して配設されている。
回路基板30は、二次電池20を保護する回路などが形成された基板であって、回路基板30の上には、電子部品31a〜31cが搭載されている。電子部品31aは回路基板30の中央部に、電子部品31bは回路基板30の左側部に、電子部品31cは回路基板30の右側部に実装されている。
【0020】
この回路基板30は、第1ケース部材10のセンター部分10aに填まり込み、第2ケース部材50が回路基板30の上に装着されている。
第1ケース部材10、第2ケース部材50は、一般に電池パック用のケースに用いられているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABSなどの樹脂を射出成型することによって成形されている。ケースの肉厚は、0.2〜2.0mm程度である。
【0021】
ラベル41,42及びラベル43は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂シートを用いた外装ラベルであって、一般にパック電池に用いられているものである。ラベルの厚さは0.05〜 0.2mm程度であり、裏面に接着剤が塗布されている。
<第2ケース部材50の構成>
第2ケース部材50は、回路基板30と同等のサイズであって、回路基板30の上面を覆っている。
【0022】
図3は、電池パック1の部分拡大図であって、第2ケース部材50の窓51付近において電池パック1を切断した図である。
図4は、電池パック1の窓51付近を機器本体2と共に切断した断面図である。
図3,4に示すように、第2ケース部材50の中央部分50aは、左側部50b,右側部50cよりも下方に下がっているので、底板部11により近い位置にある。
【0023】
そして、この中央部分50aに窓51が形成され、中央部分50aの上面に、窓51を塞ぐラベル43が貼り付けられている。
従って、回路基板30の下面側は第1ケース部材10で保護され、上面側は、窓51の部分を除いて、第2ケース部材50で保護される。窓51の部分については、ケース部材で覆われないが、ラベル43によって保護される。
【0024】
なお、第2ケース部材50の左側部50b,右側部50cは、底板部11からの高さが、二次電池20上のリード板21とほぼ同等であって、上記二次電池20及びリード板21を覆っているラベル41,42は、この左側部50b,右側部50cの上面も覆っている。
<電池パック1による効果>
1.電池パック1は、皿状の第1ケース部材10の底面上に、複数の二次電池20と、これら二次電池20に電気接続された回路基板30とが並べて配され、二次電池20の上面がラベル41,42で被覆されて構成されているので、全体的に薄くでき、薄型の機器本体2に装着するのに適している。
【0025】
2.上述したように第2ケース部材50の中央部分50aは、左側部50b,右側部50cよりも高さが低く、電池パック1の中央部に凹みが形成されている。従って、図4に示すように、機器本体2において、ポインティングデバイス6の背面部分が下方に突出していても、その突出部分が凹みに入り込むことによって、ポインティングデバイス6と電池パック1との干渉を避けることができる。
【0026】
一方、電池パック1における左サイド部分10b及び右サイド部分10cでは、センター部分10aと比べて厚みが大きいので、そこに収納する二次電池20の厚みを確保して、
電池パック1の電池容量を確保することができる。
3.上述したように、第2ケース部材50の中央部分50aには、窓51が開設され、その窓51はラベル43によって塞がれている。従って、電子部品31aの上部が窓51に入り込むことができるので、その分だけ、回路基板30に実装する電子部品31aとして高さの高いものを選択できる。すなわち、電子部品31aの選択幅が広がる。
【0027】
なお、ラベル43の厚みは、第2ケース部材50の中央部分50aの厚みと比べるとかなり薄いので、ラベル43がポインティングデバイス6と干渉する可能性は小さい。
<変形例>
上記実施形態では、ポインティングデバイス6が機器本体2の中央部に埋め込まれ、それに合わせて、電池パック1においても、センター部分1aの高さが左サイド部分1b及び右サイド部分1cの高さよりも低く設定されていたが、機器本体のサイド部分にポインティングデバイス等が設けられている場合には、電池パックにおいて、対応するサイド部分に回路基板を配置して、そのサイド部分の高さを低く設定することによって、ポインティングデバイス等との干渉を避けることができるので、同様に実施することができる。
【0028】
上記実施形態では、機器本体2の一部領域にポインティングデバイス6が埋め込まれている場合を示したが、ポインティングデバイス以外のデバイス、例えば、CPU、メモリ、ハードディスクなどの機能デバイスが機器本体の一部領域に埋め込まれている場合においても、同様に実施することができる。
上記実施形態では、ノートパソコンに電力を供給する電池パックを例に示したが、他にも、タブレットパソコン、薄型の電子楽器など、各種携帯用の薄型電子機器に電力を供給する電池パックにおいても同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にかかる電池パックは、ノートパソコン用の電源をはじめとして、各種携帯用電子機器の電源として利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 電池パック
1a センター部分
1b 左サイド部分
1c 右サイド部分
2 機器本体
6 ポインティングデバイス
10 ケース部材
10a センター部分
10b 左サイド部分
10c 右サイド部分
11 底板部
12 周壁部
20 二次電池
21 リード板
30 回路基板
31a〜31c 電子部品
41,42 ラベル
43 ラベル
50 ケース部材
50a 中央部分
50b 左側部
50c 右側部
51 窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリムボディの電子機器本体の一部に機能デバイスが埋め込まれ、この機能デバイスの背後を跨ぐように装着され、前記電子機器本体の電気系へ電力を供給する電池パックであって、
偏平な二次電池と当該二次電池に接続された回路基板とが皿状の第1ケース部材の内底面に並列状に配置され、
前記回路基板が機能デバイスの背後に存し、前記二次電池が機能デバイスの背後に存しない位置関係で、前記二次電池の上面が第1ラベルで覆われた状態で、前記電子機器本体に装着されており、
更に、前記回路基板の上面は、第2ケース部材で覆われ、
前記第2ケース部材の上面における前記機能デバイスに対応する領域は、前記二次電池の上面を覆う第1ラベルよりも第1ケース部材の底面に近い位置にあり、
当該領域に回路基板側の電子部品を収容する窓が開設されていると共に、当該窓を塞ぐ第2ラベルが貼り付けられていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記機能デバイスは、前記電子機器本体における中央部に存在し、
前記第1ケース部材の内底面上において、
前記二次電池は、複数個が前記回路基板を間に挟んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114862(P2013−114862A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259136(P2011−259136)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】