説明

電池ホルダー

【課題】電池の除去を容易にする電池ホルダーを提供する。
【解決手段】電池ホルダーのフレーム(12)は、完全に設置された電池(30)(電気セル)の除去を容易にする。このフレームは、頭部(20)と、底部(22)と、対向する側面(24、26)と、後部壁(28)とを持ち、空洞部(14)を形成する。該空洞部は、前記電池が後部壁に突き当たるまで該電池を空洞部内へと後方に移動させることによって前記電池を受け入れる。前記後部壁の上部面は、底端部(60)を有し、この底端部の下方には開口部(62)が設けられ、電池の底部が該開口部を通って前記空洞部外部に向けて後方に移動する。完全に設置された電池を除去するときには、前記電池の底部が後方に押されることにより該電池が枢動し、電池の上部(52)は前記空洞部外部へと前方に移動し、空洞部外部に取り出された電池を把持することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
消費者用家電機器に使われる一般的なタイプの電池(電気セル)は、円筒状であり、上部と下部の電池端子は電池の直径以上に分離されている。おそらく最も一般的なタイプの電池はAA電池であり、この場合、直径は14ミリメートルであり、胴部の長さは48mm、そして対向する端子の端部間の長さは50mmである。電池ホルダーは通常プラスティックで成型されたフレームを含み、頭部壁、底部壁、対向側壁、後部壁を含み、頭部及び底部壁には電気的接続部を有する。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0002】
電池を取り替える時、しばしば電池を除去するのが難しいことがある。電池の直径だけ離れている電池の対向部をつかもうとするが、電池ホルダーの側面の壁が邪魔になる。人はしばしば、スクリュードライバーの刃を用いて電池を取り出そうとするが、該刃を受け入れるだけの空間がほとんどない。電池の除去を容易にする電池ホルダーフレームの提供が期待されている。
【0003】
本発明の一実施形態に従って、出願人は、ホルダーからの電池の除去を容易にする、1つまたはそれ以上の電池のための電池ホルダーを提供する。ホルダーは少なくとも1つの電池のための電池室を備えたフレームを含む。前記フレームは、頭部壁、底部壁、対向する側壁、後部壁を含み、これらは電池収納用の空洞部を形成する。電池は、該電池が前記後部壁に突き当たるまで前記空洞部の開放した前部を介して電池を後方に移動させることによって設置される。電池端子は、電池が完全に設置された状態でホルダーの頭部壁および底部壁で電気接点と係合する。
【0004】
後部壁は、底端部を有し、この底端部の下方には開口部が設けられ、該開口部を介して電池の下部は空洞部の外へと移動する。人は電池の底部を後方に押すことによって完全に設置された電池を除去できる。
【0005】
前記フレームの底壁は、後方に下降する傾斜を有する底壁部を有する。電池が枢動するときに電池の底部は前記底壁部の下降傾斜に沿って滑走して、電池の頭部が頭部壁にぶつかってしまうのを防止する。後部壁の底端部は、該後部壁の上部の他の部分と垂直に整列しており、これによって、電池が設置されたときに高い後部壁部分に対向する。底端部は好ましくは底部壁上方、電池高さの約1/3の位置に設けられており、設置された電池を垂直に保持しつつ該電池が後部壁に関して枢動するのを可能にする。
【0006】
本発明の新規な特徴は、とりわけ、添付された請求項において説明されている。本発明は、添付図面と併せて読むと以下の記述から最もよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、4つのAA電池を収納するためのホルダー10を示している。電池は任意の傾斜において使用されるが、各々の電池(“パワーセル”とも呼ばれる)は、電気的にプラスの端子とマイナスの端子である上下部の端子を持つことを想定される。以下の記述において出願人は、電池ホルダーが電池の頭部及び底部パーツに対応して頭部および底部パーツを有しているものとして説明する。
【0008】
電池ホルダーは、プラスティックで成型されたフレーム12を含む。フレーム12は、各々が電池を空洞部へと後方Rに動かすことにより当該電池を収納するための4つの電池空洞部14を形成する。それぞれの空洞部について、頭部および底部壁20、22と、横方向Lの対向する側壁24、26と、後部壁28を有している。各頭部壁は上向きの凹部32を備えている。必ずしも必要ではないが、後部壁28は、電池の湾曲に対応して円筒の一部として湾曲している。後部壁24には穴34、36が設けられている。1つの穴34は電池プラス端子“+”が最上部にあることを示し、他方の穴36は頭部の突起により電池の方向を示している。電池は、空洞部開放前部38を介して後方もしくは背後Rに移動させ、後部壁28に隣接して配置されるまで動かすことにより挿入される。
【0009】
図3は、屈曲した後部壁28に対して実質的に向き合うように設置された電池30を示している。電池30は、AAタイプで、頭部および底部端子42、44と、14ミリメートルの直径46と、48mmの高さ48(端子を含まない)と、50mmの高さ(端子を含む)とを有している。電池は上下部52、54を持つ。底部端子44は電池底部と呼ばれる。
【0010】
後部壁は後部壁28の前端部に底端部60を持つ。底端部60は、後部壁の底部であるが、空洞部の底部ではない。フレーム12は、底端部60から空洞部の底壁22の高さまで下方に延在する開口部62を有する。開口部62は、電池下部が開口部62を通して後方Rに移動するのに十分な広さである。これにより、少なくとも電池直径の大きさを有し、空洞部軸63の真後ろに配置された開口部が得られる。後部壁は、後部壁上部の面65、67を持ち、底端部60は、電池が完全に設置された時に垂直に保持されるように上部面65、67の少なくとも1つと垂直に整列している。
【0011】
図3の電池30をフレーム12から外す時、まず矢印56で示すように、後方Rに電池の下部54を押す。この力により、電池の下部は開口部62を通って少しの距離後方へと動き、空洞部14の外に出て、30Aで示す位置に移動する。電池の下部が開口部62の外へと移動する間、電池は後部壁の底端部60の周りで枢動し、電池の上部52が前方Fに移動して空洞部の外部に出て位置52Aへと移動する。さらに電池下部部位を後方へ動かすと電池上部は、人が電池の横方向Lにおける対向側部を把持して電池をフレームから除去できるほど十分前方に移動する。
【0012】
電池が傾いている時、電池の対向する角部64、66は、フレーム底部と頭部壁20、22の間につかえる。これを防止するために、出願人は図2に示すような、(軸63の対向面に部品を有する)平坦な水平部位70と、後方に下降する傾斜を有する底壁部72を備える底部壁20を形成した。完全に設置された電池の底部は水平な底部壁70に安定した状態で配置される。電池の底部が後方へ少しの距離移動した後、当該底部がさらに後方に移動するにつれて下方に移動することで電池がつかえるのを防止する。実際、傾斜を有する部分72は、空洞部の軸63により近い位置でより低くなるように傾斜が付けられた横方向に対向する側部を含み、電池底部が水平な底部壁70の側部から離れるようにしている。
【0013】
後部壁の底端部60(図3)は、水平な底部壁70から間隔82だけ上方の位置に設けられ、これによって高さ82の開口部62を形成している。
【0014】
傾斜を有する底壁部72が存在しないとすると、電池上部の角部64が上部空洞壁につかえることなく枢動しながら前方への移動を開始できるように高さ82は十分大きくなければならない。しかし、傾斜を有する底壁部72があるため、出願人は、後部壁の底端部60を、空洞部頭部壁、底部壁20、22間の中間よりも下方の位置に配置することができる。出願人は、後部壁の底端部60を、底部壁の上方で空洞部頭部壁、底部壁20、22間の距離の約3分の1の位置に配置することが望ましいと考える。すなわち、底部壁上方の開口部の高さ82は、距離48の6分の1と3分の2の間、好ましくは、4分の1と2分の1の間の距離である。電池が後部壁へと前方に押されて完全に設置された位置になったときに、前記電池の傾斜を適正なものにするために、頭部壁20下方の底端部60の距離86を十分なものにとることが望ましい。距離82が小さい場合には、電池下部54の所定の背後への移動に関して電池の枢動が大きくなってしまう。
【0015】
図3は、電池端子42,44を係合するプラスとマイナスの電池ホルダー接触部90、92を示している。マイナスの接触部92は大きな弾力を有し、その上端は、傾斜した底壁部72に対して変形可能となっている。
【0016】
「頭部」、「底部」、「水平」などの表現は、部品の相対位置を説明するために使用されているが、本発明はどんな方向においても使用されることは勿論である。
【0017】
それゆえ、本発明は、頭部壁、底部壁、対向する側部壁、後部壁を備えた少なくとも1つの電池収納用の空洞部を形成する壁を備えたフレームを提供するものであり、完全に設置された電池の除去を容易にする。後部壁は、底端部と、該底端部下方に延在する電池と少なくともほぼ同じ広さ(少なくとも75%)をもつ後部壁開口部を有し、これによって、電池下部は当該開口部へと後方に移動して、電池を除去している間、電池を枢動させる。後部壁底端部は望ましくは頭部壁と底部壁間の垂直方向距離の約1/3だけ空洞部底部壁の上方に設けられる。空洞部底部壁は、電池を完全に設置された位置に支持する水平な部位と、電池底部が枢動しながら後方に移動するときに、電池を下方に移動するのを可能にする傾斜した部位を有する。本発明は、AAA,C,そしてD型電池を含む種々の円筒状電池を収納する電池ホルダーに適応可能である。
【0018】
ここでは本発明の特定の実施形態について説明、図示してきたが、当業者ならばその改善例、変形例を容易に着想することができ、したがって、出願人は、本願の特許請求の範囲がそのような改善例、変形例およびそれらの同等物を含むと解釈されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の4つの電池を収納する電池ホルダーの同寸法の前面図である。
【図2】単体の電池を保持するための、図1の一部の後部図である。
【図3】電気の接触部を備えた、図2の一部の側面断面図であり、実線は、完全に設置された電池を示し、二点鎖線は、除去すべく傾けられた電池を示している。
【図4】図3を線4−4において切断したときの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さと直径の円筒状電池(30)を収納するとともに、該円筒状電池の除去を容易にするための電池空洞部(14)を形成する壁であって、前記電池空洞部は、頭部及び底部空洞部壁(20、22)と、対向する空洞部側壁(24、26)と、空洞部後部壁(28)とを含む空洞部壁を備え、前記空洞部壁は、開放した前部(38)を有し、前記電池が前記後部壁に対して配置されて完全に設置されるまで、前記電池は前記開放した前部を通って前記空洞部内へと後方に移動し、前記後部壁は底端部(60)を有し、この底端部の下方には開口部(62)が設けられ、前記後部壁の底端部に関して前記設置された電池を枢動させて、前記設置された電池の頭部を前記空洞部の外に移動させるために、前記設置された電池の下部は前記開口部を通って前記電池空洞部の外部へと移動可能である、壁。
【請求項2】
前記底部空洞部壁は、完全に設置された電池の底部を支えるように配置された水平な底壁部位(70)を含み、前記底部空洞部壁は、後方に下降する傾斜を有する底壁部(72)を含み、この底壁部(72)は、前記電池の底部が前記電池空洞部の外部に移動するときにおける前記電池底部の下方への移動を案内する請求項1に記載の電池空洞部を形成する壁。
【請求項3】
前記後部壁は、前記電池が設置されている間、当該電池の上部が対面する上部面(65,67)を有し、前記後部壁の底端部(60)は、前記電池が完全に設置されたときに、前記電池を垂直の傾斜で収納するために前記後部壁の上部面と垂直方向に整列している請求項1に記載の電池空洞部を有する壁。
【請求項4】
前記後部壁の底端部(60)は、前記電池の直径(46)よりも大きく、前記電池の縦の長さ(48)の2分の1よりも小さい、前記底部空洞壁の上方の位置に配置されている請求項1に記載の壁。
【請求項5】
所定の高さと直径の電池(30)を収納するとともに、該電池の除去を容易にするための、少なくとも1つの空洞部(14)を持つ電池フレーム(12)であって、この電池フレームは、伝導性のくぼみ(42)を形成する電気的にプラスの上端部と、電気的にマイナスの伝導性のプレートを有する下端部とを持ち、頭部及び底部空洞部壁(20、22)と、対向する空洞側面部(24,26)と、空洞部後部壁(28)とを含み、前記頭部及び底部空洞部壁は、開放した前部(38)とともに電池空洞部を形成し、前記電池が前記後部壁に対して配置されるまで、前記電池が、前記開放した前部(38)を通って、前記電池空洞部内へと移動し、
前記空洞部後部壁は、前記電池空洞部の後部を塞ぐとともに、前記頭部空洞部壁の下方の前記電池高さの一部のみに沿って延在する後部壁上部面(65,67)と、後部壁底端部(60)とを有し、
前記空洞部は、前記後部壁底端部の下方かつ前記電池空洞部の後部に開口(62)を有して、前記電池の底部を前記開口内へと後方に通過ならしめ、これによって前記電池は前記底端部の回りに傾斜して前記電池の上部を掴むことを可能にし、これによって、前記電池の底部のみの後方移動によって前記電池の除去を可能にし、さらに前記上方の後部壁上部面と後部壁底端部とは前記設置された電池を垂直に収納するために垂直に整列している電池フレーム。
【請求項6】
後部壁底端部(60)は、電池の高さの4分の1と2分の1の間の距離(82)だけ底部空洞部壁の上方に配置されている請求項5に記載の電池フレーム。
【請求項7】
前記底部空洞部壁は、水平な底壁部位(70)と、後方に下降する傾斜を有する底壁部(72)とを有し、完全に設置された電池の下端部が後方へと動く時、前記電池の下方端が前記底壁部と重なり合う請求項5に記載の電池フレーム。
【請求項8】
所定の高さと直径の円筒状電池を収納するとともに、該円筒状電池の除去を容易にするための電池空洞部(14)を形成する壁であって、前記電池空洞部は、頭部及び底部空洞部壁(20、22)と、対向する空洞部側壁(24、26)と、空洞部後部壁(28)とを含む空洞部壁を備え、前記空洞部壁は、開放した前部(38)を有し、前記電池が前記後部壁に対して配置されて完全に設置されるまで、前記電池は前記開放した前部を通って前記空洞部内へと後方に移動し、前記後部壁は、完全に設置された電池を傾斜可能にする手段(60、62)を有し、前記電池が前記電池空洞部から取り出されて把持されるまで前記電池の上部が前方に移動するとともに、前記電池の下部が後方に移動する壁。
【請求項9】
前記底部空洞部壁は、前記電池が傾斜するときに電池底部の下方の移動を案内するための、後方に下降する傾斜を有する底壁部(72)を有する請求項8に記載の壁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−59684(P2009−59684A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−173528(P2008−173528)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(596029797)アイティーティー・マニュファクチャリング・エンタープライジズ・インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】