電池ユニット
【課題】扁平形電池及び基板を有する電池ユニットにおいて、該扁平形電池と基板との接続構造に工夫を凝らして、該電池と基板との電気的な接続を確保しつつ電池ユニットの小型化を図れるような構成を得る。
【解決手段】電池ユニット(1)は、有底筒状の正極缶(10)(外装缶)と正極缶(10)の開口側を覆う有底筒状の負極缶(20)(封口缶)とを有する扁平形電池(2)と、負極缶(20)の平面部(21)に対して固定され、回路部品(62)が実装された回路基板(61)(基板)と、扁平形電池(2)と回路基板(61)との間に配置され、該扁平形電池(2)と回路基板(61)とを電気的に接続する電池側正極端子(82)(接続部材)とを備える。電池側正極端子(82)を、扁平形電池(2)及び回路基板(61)の積層方向に弾性変形可能に構成する。
【解決手段】電池ユニット(1)は、有底筒状の正極缶(10)(外装缶)と正極缶(10)の開口側を覆う有底筒状の負極缶(20)(封口缶)とを有する扁平形電池(2)と、負極缶(20)の平面部(21)に対して固定され、回路部品(62)が実装された回路基板(61)(基板)と、扁平形電池(2)と回路基板(61)との間に配置され、該扁平形電池(2)と回路基板(61)とを電気的に接続する電池側正極端子(82)(接続部材)とを備える。電池側正極端子(82)を、扁平形電池(2)及び回路基板(61)の積層方向に弾性変形可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形電池及び基板を備えた電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池と保護回路等とをユニット化した構成は知られている。このような構成としては、例えば特許文献1に開示されるように、電池ケース上に保護回路等を配置した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1の構成の場合には、電池自体のサイズが比較的、大きいため、該電池と保護回路等との接続構造が多少大きくなっても、電池パックのサイズにはあまり影響しない。
【0005】
これに対し、一般的に、略円形状の扁平形電池を使用する機器は小型であるため、該扁平形電池を用いて略円柱状の電池ユニットを構成する場合には、該電池ユニットも小型化が要求される。このような電池ユニットでは、保護回路等が形成された基板を備えている分、サイズが大きくなるとともに、扁平形電池と基板との接続構造に応じて、電池ユニット全体のサイズが変わる可能性がある。
【0006】
ここで、電池ユニットのサイズをできるだけ小さくするためには、扁平形電池と基板とをできるだけ小さい端子等によって接続するのが好ましい。しかしながら、このような小さな端子を用いると、該端子と扁平形電池及び基板との接触が不安定になり、抵抗が増大する可能性がある。
【0007】
そのため、本発明では、扁平形電池及び基板を有する電池ユニットにおいて、該扁平形電池と基板との接続構造に工夫を凝らして、該電池と基板との電気的な接続を確保しつつ電池ユニットの小型化を図れるような構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットは、有底筒状の外装缶と該外装缶の開口側を覆う有底筒状の封口缶とを有し、該外装缶の側壁の開口部側が該封口缶の側壁の外周上に位置するように該外装缶と該封口缶とを組み合わせてなる扁平形電池と、前記封口缶の平面部に対して固定され、回路部品が実装された基板と、前記扁平形電池と前記基板との間に配置され、該扁平形電池と基板とを電気的に接続する接続部材とを備え、前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の積層方向に弾性変形可能に構成されている(第1の構成)。
【0009】
以上の構成により、扁平形電池と基板とを、該扁平形電池と基板との間に配置された接続部材によって電気的に接続することができる。これにより、接続部材が扁平形電池の外方に突出しないため、電池ユニット全体として小型化を図れる。
【0010】
しかも、接続部材は、扁平形電池及び基板の積層方向に弾性変形可能に構成されているため、該接続部材の弾性復元力によって、該接続部材を扁平形電池及び基板に対してより確実に接触させることができる。これにより、接続部材によって、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保することができる。
【0011】
したがって、以上の構成により、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保しつつ、電池ユニット全体として小型化を図れる。
【0012】
前記第1の構成において、前記接続部材は、コイルばねの形状に形成されていて、前記扁平形電池と前記基板との間に圧縮された状態で配置されている(第2の構成)。
【0013】
これにより、接続部材を扁平形電池及び基板に対してより確実に接触させることができる。すなわち、接続部材は、伸縮可能なバネ部材であるため、扁平形電池と基板との間に圧縮された状態で配置されると、弾性復元力によって接続部材の両端部が扁平形電池及び基板に押し付けられる。これにより、接続部材によって、扁平形電池と基板とをより確実に電気的に接続することができる。
【0014】
前記第1または第2の構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の少なくとも一方に対し、導電性接着剤によって固定されている(第3の構成)。こうすることで、接続部材を、扁平形電池及び基板の少なくとも一方に、より確実に電気的に接続することができる。
【0015】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池と前記基板との間に、複数、設けられている(第4の構成)。これにより、複数の接続部材によって、扁平形電池と基板とをより確実に電気的に接続することができる。
【0016】
前記第1から第4の構成のうちいずれか一つの構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池における外装缶の側壁の開口部側と前記基板とを電気的に接続するように、該外装缶の側壁の開口部側と前記基板との間に配置されている(第5の構成)。
【0017】
これにより、接続部材によって、扁平形電池の外装缶と封口缶側に配置される基板とを電気的に接続できるため、扁平形電池と基板との接続構造を単純でコンパクトな構成にすることができる。したがって、上述の構成により、電池ユニットの小型化を図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットによれば、扁平形電池と基板とを、該扁平形電池及び基板の積層方向に弾性変形可能な接続部材によって電気的に接続した。これにより、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保しつつ、電池ユニットの小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施形態1に係る電池ユニットにおいて、扁平形電池以外の構成部品を断面で示す図である。
【図2】図2は、電池ユニットの上面図である。
【図3】図3は、扁平形電池において、電極体以外の構成部品を断面で示す図である。
【図4】図4は、回路基板の平面図である。
【図5】図5は、扁平形電池の負極缶上に、スペーサを重ね合わせて電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5の構成に回路基板を重ねた状態を示す上面図である。
【図7】図7は、電池ユニットにおける電池側正極端子の概略構成を示す部分拡大断面図である。
【図8】図8は、電池ユニットの製造方法の一例において、製作した回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図9】図9は、電池ユニットの製造方法の一例において、扁平形電池にスペーサ及び電池側負極端子を取り付けた後、電池側正極端子を取り付ける様子を示す図である。
【図10】図10は、電池ユニットの製造方法の一例において、スペーサ上に回路基板を取り付けた状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態2に係る電池ユニットの図1相当図である。
【図12】図12は、スペーサの概略構成を示す上面図である。
【図13】図13は、扁平形電池の負極缶上にスペーサを重ね合わせて電池側正極端子及び電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、電池側正極端子の概略構成を示す平面図である。
【図15】図15は、電池ユニットにおける電池側負極端子の概略構成を示す図7相当図である。
【図16】図16は、その他の実施形態に係る電池ユニットにおいて、扁平形電池の負極缶上にスペーサを重ね合わせて電池側正極端子及び電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
<実施形態1>
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1にかかる電池ユニット1の概略構成を示す図である。この電池ユニット1は、コイン状の扁平形電池2と回路部3とが一体化されたユニットである。電池ユニット1は、例えば、歩数計、補聴器、自動車用の電子キー、ICタグ、センサユニットなど、コイン型電池を使用する小型機器に電源として使用される。なお、この電池ユニット1は、扁平形電池2に対して充電可能な二次電池のユニットである。
【0022】
具体的には、図1に示すように、電池ユニット1は、扁平形電池2上に、回路部3が例えば弾性接着剤によって接着固定されている。この回路部3は、扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て、該扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有する。これにより、扁平形電池2と回路部3とを厚み方向にコンパクトに配置しつつ、電池ユニット1の大きさを扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て該扁平形電池2の外形と同等の大きさにすることができる。なお、扁平形電池2と回路部3との接着に弾性接着剤を用いることで、熱変形量が異なる部材同士を接続する場合でも、弾性接着剤によって部材同士をより確実に接着することができる。
【0023】
また、詳しくは後述するが、回路部3の回路基板61における扁平形電池2とは反対側の面に、後述する各種の端子66〜69が形成されている(例えば図2参照)。これにより、電池ユニット1では、図1に示すように扁平形電池2と回路部3とを組み合わせた状態で、図2に示すように、各種端子66〜69のみが露出した状態となる。
【0024】
さらに、図1に示すように、扁平形電池2と回路部3とを積層した状態で固定することによって構成される積層体の側面は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)など、熱によって収縮する樹脂材料からなるチューブ4によって覆われている。このチューブ4は、積層体の側面だけでなく該積層体の両端面の外周側(回路部3の回路基板61の外周側及び扁平形電池2の外装缶10の底面外周側)も覆っている。これにより、前記積層体の強度の向上を図れるとともに、該積層体の側面の外観の向上も図れる。また、チューブ4の厚みの分だけ、積層体の端面に段差が形成されるため、該積層体の端面に位置する回路部3の外表面に形成された各種端子66〜69が、チューブ4よりも積層方向内方に位置する。これにより、各種端子66〜69は損傷を受けにくくなる。
【0025】
以下で、図3を用いて、扁平形電池2の構成について説明する。
【0026】
扁平形電池2は、図3に示すように、有底円筒状の外装缶としての正極缶10と、該正極缶10の開口を覆う封口缶としての負極缶20と、正極缶10の外周側と負極缶20の外周側との間に配置されるガスケット30と、正極缶10及び負極缶20の間に形成される空間内に収納される電極体40とを備えている。したがって、扁平形電池2は、正極缶10と負極缶20とを合わせることによって、全体が扁平なコイン状となる。正極缶10と負極缶20との間に形成される空間内には、電極体40以外に、非水電解液(図示省略)も封入されている。なお、本実施形態において、扁平形電池2は、リチウムイオン電池として構成されている。
【0027】
正極缶10は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。正極缶10は、図3に示すように、円形状の底部11と、その外周に該底部11と連続して形成される円筒状の周壁部12(側壁)とを備えている。この周壁部12は、縦断面視(図1に図示した状態)で、底部11の外周端からほぼ垂直に延びるように設けられている。正極缶10は、後述するように、負極缶20との間にガスケット30を挟んだ状態で、周壁部12の開口端側が内側に折り曲げられて、該負極缶20に対してかしめられている。よって、正極缶10の底部11によって、扁平形電池2の底面が構成される。
【0028】
負極缶20も、正極缶10と同様、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。負極缶20は、図3に示すように、正極缶10の周壁部12よりも外形が小さい円筒状の周壁部22(側壁)と、その一方の開口を塞ぐ円形状の平面部21と、を有している。よって、負極缶20の平面部21によって、扁平形電池2の上面が構成される。
【0029】
負極缶20の周壁部22も、正極缶10と同様、縦断面視で、平面部21に対してほぼ垂直に延びるように設けられている。周壁部22には、平面部21側の基端部22aに比べて径が段状に大きくなる拡径部22bが形成されている。すなわち、周壁部22には、基端部22aと拡径部22bとの間に段部22cが形成されている。図3に示すように、この段部22cに対して、正極缶10の周壁部12の開口端側が折り曲げられてかしめられている。すなわち、正極缶10は、その周壁部12の開口端側が負極缶20の段部22cに嵌合されている。
【0030】
(回路部の構成)
図1に示すように、回路部3は、回路基板61(基板)と、該回路基板61上に実装される複数の回路部品62とを備えている。複数の回路部品62は、回路基板61の一面側にまとめて実装されている。回路部品62としては、例えば、保護回路を構成する保護ICや、充電回路を構成する充電IC、電圧変換を行うDC/DCコンバータなどがある。このDC/DCコンバータを電池ユニット1内に設けることで、扁平形電池2の定格電圧が、使用する電気機器の定格電圧と異なる場合であっても、該電気機器の定格電圧に合わせて電池ユニット1から電圧を出力することが可能となる。よって、様々な定格電圧の扁平形電池を用いて電池ユニット1を構成することが可能になる。なお、詳しくは説明しないが、回路部3は、扁平形電池2の残量検知のために、該扁平形電池2の残容量が少なくなった場合に出力電圧を変更するように構成されている。
【0031】
図1、図2及び図4に示すように、回路基板61は、平面視で、扁平形電池2の外形と同等の形状(円形)及び大きさを有するように形成されている。これにより、回路基板61によって電池ユニット1が扁平形電池2の直径よりも大型化するのを防止できる。
【0032】
図2及び図4に示すように、回路基板61には、その外周部分に、略半円状の切り欠き部61aが2箇所設けられている。各切り欠き部61aには、回路基板61の側面に、例えば錫メッキによって基板側端子63が形成されている。各切り欠き部61aに設けられた基板側端子63は、特に図示しないが、回路基板61上に実装された回路部品62によって構成される回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0033】
上述のように、回路基板61に、略半円状の切り欠き部61aを設けることにより、該切り欠き部61a上に形成された基板側端子63と後述する扁平形電池2の電池側負極端子81とを半田付けする際に、半田が行き渡りやすくなる。これにより、回路基板61の基板側端子63と扁平形電池2の電池側負極端子81とを半田によってより確実に接続することができる。
【0034】
図2に示すように、各切り欠き部61aは、偏平形電池2及び回路部3の積層体の側面を覆うチューブ4によって覆われている。これにより、切り欠き部61aに設けられた基板側端子63が露出するのを防止できる。
【0035】
図1、図2、図4及び図6に示すように、回路基板61において回路部品62が実装されていない側の面には、GND端子66、出力端子67、充電端子68及び充電表示信号端子69が設けられている。すなわち、回路基板61には、図1に示すように、一面側に複数の回路部品62が実装されている一方、他面側には各種端子66〜69がまとめて設けられている。また、回路基板61には、複数のスルーホールが形成されていて、該スルーホール内に充填される金属材料によって、該回路基板61上の回路部品62によって形成される回路(図示省略)と各種端子66〜69とが電気的に接続されている。なお、各種端子66〜69の配置は、図2、図4及び図6以外の配置であってもよい。
【0036】
このように回路基板61上に回路部品62によって構成される回路(図示省略)と各種端子66〜69とを電気的に接続するとともに、上述のように基板側端子63と回路基板61上の回路(図示省略)とを電気的に接続することにより、各種端子66〜69と基板側端子63とを電気的に接続することができる。これにより、後述するように、基板側端子63に扁平形電池2の電池側負極端子81を接続することにより、扁平形電池2と各種端子66〜69とを電気的に接続することができる。
【0037】
なお、GND端子66、出力端子67、充電端子68及び充電表示信号端子69は、偏平形電池2及び回路部3の積層体の側面を覆うチューブ4と重ならないように、該積層体の端面に位置するチューブ4よりも回路基板61の径方向内方側に形成されている。
【0038】
回路基板61は、図1に示すように、扁平形電池2の負極缶20上に、スペーサ71を介して保持されている。具体的には、回路基板61は、スペーサ71によって扁平形電池2の負極缶20から所定の間隔を有するように配置された状態で、弾性接着剤によって該負極缶20に対して接着固定されている。すなわち、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填された状態である。このように、扁平形電池2において変形が生じにくい負極缶20に、回路基板61を設けることで、該扁平形電池2が変形を生じた場合でも回路部3と扁平形電池2との電気的な接続を確保することが可能になる。
【0039】
スペーサ71は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)やフェノール樹脂などの樹脂材料からなる部材であり、略ドーナツ形状を有している。また、スペーサ71は、図1に示すように、扁平形電池2の負極缶20と正極缶10との段差部分を埋めるように、該段差部分に沿って外周側部分が厚肉に形成されている。すなわち、スペーサ71は、その外周側部分が、正極缶10における負極缶20とのかしめ部分(以下、肩部ともいう)まで延びるように形成されている。
【0040】
また、スペーサ71は、扁平形電池2と回路基板61との間に回路部品62が扁平形電池2と接触しない所定の間隔が形成されるような厚みを有している(図1参照)。これにより、扁平形電池2の負極缶20上に回路部品62を配置するためのスペースを形成しつつ、該扁平形電池2が変形を生じても回路部品62が該扁平形電池2に接触して損傷を受けるのを防止できる。
【0041】
さらに、スペーサ71には、図1及び図6に示すように、外周側の厚みが大きい部分に、貫通穴71aが2つ形成されている。これらの貫通穴71aは、スペーサ71の中央部分の穴部を挟んで互いに対向する位置に形成されている。これらの貫通穴71aは、後述するように、コイル形状の電池側正極端子82が貫通可能な大きさに形成されている。
【0042】
回路基板61は、略ドーナツ状のスペーサ71の内側に回路部品62が位置するように、該スペーサ71に対して重ね合わされる(図1参照)。これにより、回路部品62が実装された回路基板61を、扁平形電池2に対してコンパクトに配置することができる。また、上述のような構成にすることで、回路部品62が電池ユニット1の外に露出しないため、ユーザー等が回路部品62に触れるのを防止できる。
【0043】
なお、既述のとおり、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填されているため、略ドーナツ状のスペーサ71の内方に配置された回路部品62の周囲にも弾性接着剤が充填されている。
【0044】
(電池側端子の構成)
図1及び図5に示すように、扁平形電池2の負極缶20の平面部21上には、電池側負極端子81が設けられている。この電池側負極端子81は、導電性の金属材料からなる長方形状の板部材を、長手方向中央部分が厚み方向に膨出するように折り曲げることにより形成されている。すなわち、電池側負極端子81は、扁平形電池2の負極缶20の平面部21に接続される電池接続部81aと、該電池接続部81aの両側に位置する基板接続部81bとが一体形成された部材であり、該電池接続部81aが基板接続部81bに対して前記部材の厚み方向に膨出している。この電池接続部81aが基板接続部81bに対して膨出する高さは、扁平形電池2上にスペーサ71を重ねた状態で該扁平形電池2に取り付けられた電池側負極端子81の基板接続部81bが該スペーサ71上に位置するような高さである。
【0045】
電池接続部81aは、扁平形電池2の負極缶20の平面部21上に溶接によって固定されている。詳しくは、図5に示すように、電池接続部81aは、電池側負極端子81の基板接続部81bがスペーサ71上に載置されるように、電池側負極端子81の膨出側の面が負極缶20の平面部21に溶接固定される。これにより、電池側負極端子81を扁平形電池2に固定できる。しかも、電池接続部81aによって、基板接続部81bよりも凹んだ凹部が形成されるため、回路基板61に実装される回路部品62を該凹部内に配置することができる。したがって、より多くの回路部品62を回路基板61と扁平形電池2との間にコンパクトに配置することができる。
【0046】
基板接続部81bは、回路基板61と半田によって固定される。詳しくは、図6に示すように、基板接続部81bは、その上に、回路基板61の切り欠き部61a内に設けられた基板側端子63を位置付けた状態で、該基板側端子63と半田付けされる。これにより、基板接続部81bは、回路基板61の側面と接続される。
【0047】
一方、既述のとおり、スペーサ71に形成された貫通穴71a内には、コイル形状の電池側正極端子82(接続部材)が挿入される(図1、図6及び図7参照)。この電池側正極端子82は、コイルばねによって構成されている。すなわち、電池側正極端子82は、圧縮されると弾性復元力によって元の長さに戻ろうとする、いわゆる圧縮バネとして形成されている。
【0048】
電池側正極端子82は、図1及び図7に示すように、スペーサ71に形成された貫通穴71a内に、該貫通穴71aの深さ方向と電池側正極端子82の圧縮方向が一致するように配置されている。これにより、電池側正極端子82は、一端側が貫通穴71a内で正極缶10の周壁部12に接触するとともに、他端側が貫通穴71aの外方に突出している。
【0049】
すなわち、電池側正極端子82は、スペーサ71の貫通穴71aの長さよりも長く形成されている。これにより、電池側正極端子82をスペーサ71の貫通穴71a内に挿入した状態で、該電池側正極端子82の他端側を該スペーサ71から突出させることができる。
【0050】
図7に示すように、電池側正極端子82の他端側は、回路基板61に接触している。この回路基板61の実装面には、スペーサ71の貫通穴71a内に配置された電池側正極端子82と接触する位置に、図示しない基板側正極端子が形成されている。そのため、回路基板61をスペーサ71の上方に配置することで該回路基板61と電池側正極端子82とを電気的に接続することができる。これにより、電池側正極端子82を介して、回路基板61と扁平形電池2の正極缶10とを電気的に接続することができる。
【0051】
上述のように、スペーサ71上に回路基板61を配置することで、該スペーサ71の貫通穴71aから他端側が突出している電池側正極端子82を圧縮することができる。すなわち、電池側正極端子82は、スペーサ71の貫通穴71a内で、該スペーサ71及び扁平形電池2の積層方向に圧縮される。したがって、電池側正極端子82の弾性復元力によって、該電池側正極端子82の両端部は正極缶10及び回路基板61に押し付けられるため、該電池側正極端子82を正極缶10及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0052】
また、電池側正極端子82は、図7に示すように、一端側が正極缶10の周壁部12に対して導電性接着剤83によって接着固定されている一方、他端側が回路基板61に対して導電性接着剤83によって接着固定されている。こうすることで、電池側正極端子82の両端部が、正極缶10及び回路基板61から離間するのを防止できる。したがって、上述の構成により、電池側正極端子82と正極缶10及び回路基板61とをより確実に接触させることができる。
【0053】
ここで、導電性接着剤83は、導電性フィラー及びバインダを有している。導電性フィラーとしては、例えば、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉などの導電性の金属粒子、炭素粒子、カーボンブラック等が用いられる。バインダとしては、例えば、エポキシ、ウレタン、シリコン、アクリル、ポリイミドなどの樹脂材料が用いられる。
【0054】
上述のような構成により、扁平形電池2に回路基板61を積層した状態で、該扁平形電池2と回路基板61との間に配置される電池側正極端子82によって、該扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続することができる。しかも、コイルばねによって構成された電池側正極端子82は、扁平形電池2と回路基板61との間に圧縮された状態で配置されるため、電池側正極端子82の両端を扁平形電池2及び回路基板61により確実に接触させることができる。さらに、電池側正極端子82の両端部を、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に接着固定することにより、該電池側正極端子82を扁平形電池2及び回路基板61にさらに確実に接触させることができる。よって、上述の構成により、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0055】
(電池ユニットの製造方法)
次に、上述のような構成を有する電池ユニット1の製造方法について、図8から図10を用いて説明する。
【0056】
まず、図8に示すように、回路基板61の一面側に、複数の回路部品62を実装して回路部3を形成する。このとき、回路基板61の他面側には、各種端子66〜69を形成する(図8では出力端子67及び充電端子68のみを図示)。回路基板61に回路部品62を実装する方法や、各種端子66〜69を形成する方法は従来と同様なので、詳しい説明を省略する。
【0057】
一方、図9に示すように、扁平形電池2上にスペーサ71を弾性接着剤によって接着固定するとともに、該扁平形電池2に対して電池側負極端子81を溶接によって固定する。
【0058】
また、図9に示すように、スペーサ71に設けた貫通穴71a内に、導電性接着剤83を入れた後、電池側正極端子82を挿入する(図中の白抜き矢印参照)。これにより、該電池側正極端子82の一端側が、導電性接着剤83によって扁平形電池2の外装缶10に接着固定される。その後、電池側正極端子82の他端側に導電性接着剤83を塗布する。
【0059】
図10に示すように、スペーサ71、電池側負極端子81及び電池側正極端子82が取り付けられた扁平形電池2に対して、回路部3の回路基板61を配置する。このとき、回路基板61は、基板側端子63が電池側負極端子81に接触するとともに、図示しない基板側正極端子が電池側正極端子82の他端側と接触するように、扁平形電池2に配置される。上述のように、電池側正極端子82の他端側には導電性接着剤83が塗布されているため、該電池側正極端子82の他端側は回路基板61と接着固定される。なお、回路部3を扁平形電池2に組み合わせる際に、回路基板61と扁平形電池2との間には弾性接着剤等が充填される。
【0060】
そして、弾性接着剤を硬化させて、扁平形電池2、スペーサ71及び回路基板61を一体化する。その後、上述のようにして形成された扁平形電池2及び回路部3の積層体の側面に、チューブ4を嵌めて、加熱することにより、該チューブ4を収縮させる。なお、このチューブ4は、積層体の側面に嵌められた状態で、該積層体の両端面の外周側の一部も覆うような長さを有する。
【0061】
これにより、図1に示すような構成の電池ユニット1が得られる。
【0062】
(実施形態1の効果)
以上より、この実施形態によれば、コイルばねによって構成される電池側正極端子82を、扁平形電池2の正極缶10と回路基板61との間に圧縮された状態で配置したため、該扁平形電池2及び回路基板61に対して電池側正極端子82の両端部をより確実に接触させることができる。これにより、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0063】
しかも、電池側正極端子82の両端部は、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に固定される。そのため、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをさらに確実に電気的に接続することができる。
【0064】
また、回路部3の回路基板61には、その外周部分に、複数の切り欠き部61aを形成するとともに、該切り欠き部61aにおける回路基板61の側面上に基板側端子63を設けた。これにより、回路基板61の側面を電池側負極端子81と半田付けすることで、該回路基板61と扁平形電池2とを電気的に接続することができる。よって、端子の先端部分を基板に挿通させた状態で半田付けする構成に比べて、端子の先端部分の出っ張りや半田の厚みがなくなる分、電池ユニット1全体として厚みを小さくすることができる。しかも、端子の先端が基板から突出しないため、該端子で短絡が生じるのを防止できる。
【0065】
さらに、電池側負極端子81は、長方形状の板部材の長手方向中央部分が凹んで電池接続部81aを構成しているため、この電池接続部81aに形成された凹み部分に、回路基板61に実装された回路部品62を配置することが可能になる。したがって、回路基板61と扁平形電池2との間により多くの回路部品62をコンパクトに配置することができる。
【0066】
また、回路部3の回路基板61において、扁平形電池2とは反対側の面に各種端子66〜69をまとめて設けることで、平面視で該扁平形電池2と重なる位置に各種端子66〜69を設けることが可能になり、電池ユニット1の小型化を図れる。しかも、回路基板61において扁平形電池2側の面に回路部品62をまとめて実装することで、電池ユニット1の外部に回路部品62等が露出するのを防止できる。これにより、電池ユニット1に触れるユーザーが、回路部品62等に直接、触れるのを防止できる。
【0067】
<実施形態2>
図11に、本発明の実施形態2に係る電池ユニット100の概略構成を示す。この電池ユニット100は、電池側正極端子101及び電池側負極端子102の構成が、上述の実施形態1における電池側負極端子81及び電池側正極端子82の構成とは異なる。以下の説明において、上述の実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
具体的には、図11及び図13に示すように、扁平形電池2の負極缶20上にスペーサ111が配置された状態で、正極缶10の底部11及びスペーサ111上に、電池側正極端子101が配置されている。この電池側正極端子101は、銅箔の両面に粉末状のニッケルを含んだアクリル系粘着剤が塗布された導電性のフィルム部材からなる。したがって、電池側正極端子101は、表面に塗布されたアクリル系粘着剤によって扁平形電池2上に固定される。なお、この実施形態では、銅箔の両面にアクリル系粘着剤を塗布しているが、この限りではなく、銅箔において扁平形電池2側に位置する面のみにアクリル系粘着剤を塗布しても良いし、銅箔の表面にアクリル系粘着剤が塗布されていなくてもよい。また、塗布する粘着剤は、他の材質の粘着剤であってもよい。さらに、導電性向上のために粘着剤にニッケルの粉末を入れているが、粘着剤の導電性の向上を図れるような材料であれば、ニッケル以外の材料を粘着剤に入れてもよい。
【0069】
電池側正極端子101は、図11、図13及び図14に示すように、正極缶10の底部11上に位置付けられる電池接続部101aと、スペーサ111上に位置付けられる基板接続部101bと、該電池接続部101aと基板接続部101bとを繋ぐ連結部101cとを有している。
【0070】
詳しくは、図14に示すように、電池側正極端子101は、ドーナツ状の電池接続部101aに対し、該電池接続部101aを挟み込むように、円弧状に形成された2つの基板接続部101bがそれぞれ連結部101cを介して繋がっている。電池側正極端子101は、これらの電池接続部101a、基板接続部101b及び連結部101cが一体形成された部材である。
【0071】
電池接続部101aは、その外周側が、正極缶10の底部11の外周側上に位置付けられるように形成されている。すなわち、電池接続部101aの外径は、正極缶10の底部11の直径と同等である。また、電池接続部101aには、同心状に円形の穴部101dが形成されている。ここで、扁平形電池2内の圧力変化によって正極缶10が外方側へ変形した場合、該正極缶10の中央部分で最も変形量が大きくなる。上述のように、電池接続部101aの中央部分に穴部101dを設けることにより、正極缶10の中央部分に電池接続部101aが固定されないため、該中央部分の変形によって電池接続部101aが正極缶10から剥離するのを防止できる。なお、本実施形態では、電池接続部101aに穴部101dを設けているが、この限りではなく、該穴部101dを設けなくてもよい。
【0072】
基板接続部101bは、それぞれ、略半円の外周側の円弧部分のみを残した形状に形成されている。すなわち、基板接続部101bは、略半円の円中心側に半円状の切り欠きが設けられた形状を有している。基板接続部101bの外径は、負極缶20上に取り付けられるドーナツ状のスペーサ111の外径と同等である。基板接続部101bの内径は、該スペーサ111の内径と同等である。これにより、基板接続部101bを、スペーサ111上に、該スペーサ111からはみ出すことなく配置することができる。なお、スペーサ111の形状は、実施形態1におけるスペーサ71の形状と同じである。このスペーサ111には、厚みの小さい内側部分に、該スペーサ111の中央部分の穴部を挟んで互いに対向する位置に貫通穴111aが2つ形成されている。これらの貫通穴111aは、後述するように、コイル形状の電池側負極端子102が貫通可能に形成されている。
【0073】
また、各基板接続部101bは、図12に一点鎖線で示すようにスペーサ111上に配置された状態で、円弧の両端部に相当する周方向両端部が該スペーサ111に形成された貫通穴111aに重ならないように形成されている。すなわち、各基板接続部101bは、周方向両端部がスペーサ111の貫通穴111aの周辺部分まで届かないような円弧状に形成されている。つまり、各基板接続部101bは、周方向の長さがスペーサ111の半円の周方向長さよりも短くなっている。
【0074】
連結部101cは、電池接続部101aと基板接続部101bとを、該電池接続部101a及び基板接続部101bの各円中心を繋いだ線上で連結するように形成されている。また、連結部101cは、電池接続部101aと基板接続部101bとの連結方向の長さが、扁平形電池2上にスペーサ111を積んだ状態で該扁平形電池2及びスペーサ111の厚みと同等に形成されている。
【0075】
以上の構成により、図13に示すように、電池接続部101aを正極缶10の底部11上に、基板接続部101bをスペーサ111上に、それぞれ位置付けつつ、連結部101cを正極缶10及びスペーサ111の側面上に位置付けることができる。したがって、扁平形電池2の正極缶10に電気的に接続された電池側正極端子101を、負極缶20上に配置されたスペーサ111上まで引き回すことができる。そして、図13に示すようにスペーサ111上に配置された基板接続部101bに対して、回路基板61を実装面が下側になるように配置することで、該回路基板61の実装面上に形成された図示しない基板側正極端子を基板接続部101bと電気的に接続することができる。これにより、回路基板61と扁平形電池2の正極缶10とを電気的に接続することができる。
【0076】
一方、図11、図12及び図15に示すように、スペーサ111に形成された貫通穴111a内には、コイル形状の電池側負極端子102(接続部材)が挿入される。この電池側負極端子102は、上述の実施形態1と同様、コイルばねによって構成されている。すなわち、電池側負極端子102は、圧縮されると弾性復元力によって元の長さに戻ろうとする、いわゆる圧縮バネとして形成されている。
【0077】
電池側負極端子102は、図11及び図15に示すように、スペーサ111に形成された貫通穴111a内に、該貫通穴111aの深さ方向と電池側負極端子102の圧縮方向が一致するように配置されている。これにより、電池側負極端子102は、一端側が貫通穴111a内で負極缶20の平面部21に接触するとともに、他端側が貫通穴111aの外方に突出している。
【0078】
すなわち、本実施形態の電池側負極端子102も、上述の実施形態1の電池側正極端子82と同様、スペーサ111の貫通穴111aの長さよりも長く形成されている。これにより、電池側負極端子102をスペーサ111の貫通穴111a内に挿入した状態で、該電池側負極端子102の他端側を該スペーサ111から突出させることができる。
【0079】
図11及び図15に示すように、電池側負極端子102の他端側は、上述の実施形態1の電池側正極端子82と同様、回路基板61に接触している。この回路基板61の実装面には、スペーサ111の貫通穴111a内に配置された電池側負極端子102と接触する位置に、図示しない基板側負極端子が形成されている。そのため、回路基板61をスペーサ111の上方に配置することで該回路基板61と電池側負極端子102とを電気的に接続することができる。これにより、電池側負極端子102を介して、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20とを電気的に接続することができる。
【0080】
上述のように、スペーサ111上に回路基板61を配置することで、該スペーサ111の貫通穴111aから他端側が突出している電池側負極端子102を圧縮することができる。すなわち、電池側負極端子102は、スペーサ111の貫通穴111a内で、該スペーサ111及び扁平形電池2の積層方向に圧縮される。したがって、電池側負極端子102の弾性復元力によって、該電池側負極端子102の両端部は正極缶10及び回路基板61に押し付けられるため、該電池側負極端子102を正極缶10及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0081】
また、電池側負極端子102は、図15に示すように、一端側が負極缶20の平面部21に対して導電性接着剤83によって接着固定されている一方、他端側が回路基板61に対して導電性接着剤83によって接着固定されている。こうすることで、電池側負極端子102の両端部が、負極缶20の平面部21及び回路基板61から離間するのを防止できる。したがって、上述の構成により、電池側負極端子102と負極缶20及び回路基板61とをより確実に接触させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、電池側正極端子101は、ドーナツ状の電池接続部101aを挟むように、連結部101cを介して該電池接続部101aに円弧状の2つの基板接続部101bを接続した構成を有している。しかしながら、電池側正極端子101は、扁平形電池2の正極缶10の底部11と回路基板61とを電気的に接続可能な構成であれば、どのような形状であってもよい。すなわち、電池側正極端子は、電池接続部、基板接続部及びそれらを繋ぐ連結部を有していれば、どのような形状であってもよい。
【0083】
(実施形態2の効果)
以上の構成により、本実施形態では、扁平形電池2に回路基板61を積層した状態で、該扁平形電池2と回路基板61との間に配置される電池側負極端子102によって、該扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続することができる。
【0084】
しかも、電池側負極端子102は、コイルばねによって構成されている。そのため、電池側負極端子102を、扁平形電池2と回路基板61との間に圧縮された状態で配置することにより、該扁平形電池2及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0085】
さらに、電池側負極端子102の両端部を、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に接着固定することにより、該電池側負極端子102を扁平形電池2及び回路基板61にさらに確実に接触させることができる。よって、上述の構成により、電池側負極端子102によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0086】
また、本実施形態では、平面部21上に回路部3が配置された電池ユニット1において、該扁平形電池2の正極缶10の底部11と回路基板61とを、導電性のフィルム部材からなる電池側正極端子101によって電気的に接続した。この電池側正極端子101の厚みは小さいので、該電池側正極端子101を正極缶10の底部11から負極缶20の平面部21側まで引き回した際に扁平形電池2の側方で電池側正極端子101が電池外方に大きく突出するのを防止できる。しかも、上述のように電池側正極端子101を導電性のフィルム部材によって構成することで、電池ユニット1が厚み方向に大きくなるのも防止できる。したがって、上述の構成により、電池ユニット1の小型化を図れる。
【0087】
しかも、電池側正極端子101は、銅箔の表面にアクリル系粘着剤が塗布されているため、該電池側正極端子101を扁平形電池2及びスペーサ111に容易に固定することができる。
【0088】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0089】
前記実施形態1では、電池側負極端子81を、長方形状の板部材の長手方向中央部分を厚み方向に膨出させるように折り曲げた形状としているが、この限りではなく、扁平形電池2の負極缶20と回路基板3とを電気的に接続可能であれば、電池側負極端子はどのような形状であってもよい。
【0090】
前記実施形態2では、電池側正極端子101を、銅箔の両面に粉末状のニッケルを含んだアクリル系粘着剤が塗布された導電性のフィルム部材によって構成している。しかしながら、電池側正極端子101は、例えば図16に示すように板部材を折り曲げることによって形成される構成など、どのような構成であってもよい。
【0091】
図16に示す例では、電池側正極端子151は、扁平形電池2及びスペーサ111を厚み方向に挟み込むように設けられている。この電池側正極端子151は、導電性の金属材料からなる板部材によって構成されていて、その一方の端部が扁平形電池2の正極缶10の底部11に溶接によって固定される一方、他方の端部はスペーサ111の上面上に位置している。
【0092】
より詳しくは、図16に示すように、電池側正極端子151は、正極缶10の底部11に接続される電池接続部151aと、スペーサ111上で回路基板61に接続される基板接続部151bと、電池接続部151aと基板接続部151bとを繋ぐ連結部151cとを有する。電池接続部151a及び基板接続部151bは、連結部151cに対して同じ方向に折り曲げられている。これにより、電池側正極端子151を、扁平形電池2及びスペーサ111を厚み方向に挟み込むように配置することができる。
【0093】
なお、電池側正極端子151は、実施形態1の電池側負極端子81と同様、図示しない回路基板に形成された切り欠き部の基板側端子と電気的に接続される。
【0094】
前記各実施形態では、電池側正極端子及び電池側負極端子の一方のみをコイルばねによって構成しているが、この限りではなく、電池側正極端子及び電池側負極端子の両方をコイルばねによって構成してもよい。
【0095】
前記各実施形態では、電池側正極端子82及び電池側負極端子102をコイルばねによって構成しているが、この限りではなく、扁平形電池2及び回路基板61の積層方向に弾性変形可能で且つ扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続可能な形状であれば、ピン状や板バネ形状など、他の形状であってもよい。
【0096】
前記各実施形態では、電池側正極端子82及び電池側負極端子102を、導電性接着剤83によって、扁平形電池2及び回路基板61に固定している。しかしながら、電池側正極端子82及び電池側負極端子102を、導電性接着剤83によって固定することなく、扁平形電池2及び回路基板61に接触させるだけでもよい。
【0097】
前記各実施形態では、電池ユニット1の各種端子66〜69を矩形状に形成しているが、同心円状など、他の形状であってもよい。なお、電池ユニット1の各種端子66〜69を同心円状に形成することで、電気機器に対して電池ユニット1を取り付ける際に、該電池ユニット1の位置合わせが不要になる。
【0098】
前記各実施形態では、回路基板61は扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有するが、この限りではなく、回路基板61は、扁平形電池2よりも小さくても良いし、大きくても良い。
【0099】
前記各実施形態では、正極缶10及び負極缶20をそれぞれ有底円筒状に形成するとともに、回路基板61を円形に形成している。しかしながら、正極缶及び負極缶を有底円筒状以外の有底筒状に形成してもよいし、回路基板61を円形以外の形状にしてもよい。
【0100】
前記各実施形態では、回路部3及び扁平形電池2の積層体の側面をチューブ4で覆っているが、この限りではなく、チューブ4によって覆わなくてもよい。こうすることで、チューブ4を設けない分、電池ユニットの小型化を図れる。また、前記実施形態のようなチューブを用いるのではなく、前記積層体の側面を樹脂材料によってコーティングしてもよい。
【0101】
前記各実施形態では、回路部3を、扁平形電池2の封口缶である負極缶20側に配置しているが、この限りではなく、外装缶である正極缶10側に配置してもよい。さらに、回路部3の回路部品62を、回路基板61における扁平形電池2側とは反対側の面に実装してもよい。また、回路部3を、回路部品62が実装されていない回路基板によって構成してもよい。
【0102】
前記各実施形態では、扁平形電池2と回路部3とを弾性接着剤によって接着固定しているが、この限りではなく、テープなどの他の接着部材を用いて両者を固定してもよい。
【0103】
前記各実施形態では、外装缶を正極缶10とし、封口缶を負極缶20としているが、この限りではなく、外装缶を負極缶とし、封口缶を正極缶としてもよい。この場合には、電池側負極端子81,102を電池側正極端子とし、電池側正極端子82,101を電池側負極端子とすればよい。
【0104】
前記各実施形態では、扁平形電池2をリチウムイオン電池として構成している。しかしながら、扁平形電池2は、充電可能な2次電池であれば、リチウムイオン電池以外の電池であってもよい。また、扁平形電池2は、1次電池であってもよい。扁平形電池2が1次電池の場合には、回路部として例えばキャパシタなどが実装される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明による電池ユニットは、回路が形成された基板と小型機器に装着される扁平形電池とを備えた構成に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1:電池ユニット、2:扁平形電池、3:回路部、10:正極缶(外装缶)、11:底部、12:周壁部(側壁)、20:負極缶(封口缶)、21:平面部、22:周壁部(側壁)、61:回路基板(基板)、62:回路部品、71,111:スペーサ、82:電池側正極端子(接続部材)、83:導電性接着剤、102:電池側負極端子(接続部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形電池及び基板を備えた電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池と保護回路等とをユニット化した構成は知られている。このような構成としては、例えば特許文献1に開示されるように、電池ケース上に保護回路等を配置した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1の構成の場合には、電池自体のサイズが比較的、大きいため、該電池と保護回路等との接続構造が多少大きくなっても、電池パックのサイズにはあまり影響しない。
【0005】
これに対し、一般的に、略円形状の扁平形電池を使用する機器は小型であるため、該扁平形電池を用いて略円柱状の電池ユニットを構成する場合には、該電池ユニットも小型化が要求される。このような電池ユニットでは、保護回路等が形成された基板を備えている分、サイズが大きくなるとともに、扁平形電池と基板との接続構造に応じて、電池ユニット全体のサイズが変わる可能性がある。
【0006】
ここで、電池ユニットのサイズをできるだけ小さくするためには、扁平形電池と基板とをできるだけ小さい端子等によって接続するのが好ましい。しかしながら、このような小さな端子を用いると、該端子と扁平形電池及び基板との接触が不安定になり、抵抗が増大する可能性がある。
【0007】
そのため、本発明では、扁平形電池及び基板を有する電池ユニットにおいて、該扁平形電池と基板との接続構造に工夫を凝らして、該電池と基板との電気的な接続を確保しつつ電池ユニットの小型化を図れるような構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットは、有底筒状の外装缶と該外装缶の開口側を覆う有底筒状の封口缶とを有し、該外装缶の側壁の開口部側が該封口缶の側壁の外周上に位置するように該外装缶と該封口缶とを組み合わせてなる扁平形電池と、前記封口缶の平面部に対して固定され、回路部品が実装された基板と、前記扁平形電池と前記基板との間に配置され、該扁平形電池と基板とを電気的に接続する接続部材とを備え、前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の積層方向に弾性変形可能に構成されている(第1の構成)。
【0009】
以上の構成により、扁平形電池と基板とを、該扁平形電池と基板との間に配置された接続部材によって電気的に接続することができる。これにより、接続部材が扁平形電池の外方に突出しないため、電池ユニット全体として小型化を図れる。
【0010】
しかも、接続部材は、扁平形電池及び基板の積層方向に弾性変形可能に構成されているため、該接続部材の弾性復元力によって、該接続部材を扁平形電池及び基板に対してより確実に接触させることができる。これにより、接続部材によって、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保することができる。
【0011】
したがって、以上の構成により、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保しつつ、電池ユニット全体として小型化を図れる。
【0012】
前記第1の構成において、前記接続部材は、コイルばねの形状に形成されていて、前記扁平形電池と前記基板との間に圧縮された状態で配置されている(第2の構成)。
【0013】
これにより、接続部材を扁平形電池及び基板に対してより確実に接触させることができる。すなわち、接続部材は、伸縮可能なバネ部材であるため、扁平形電池と基板との間に圧縮された状態で配置されると、弾性復元力によって接続部材の両端部が扁平形電池及び基板に押し付けられる。これにより、接続部材によって、扁平形電池と基板とをより確実に電気的に接続することができる。
【0014】
前記第1または第2の構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の少なくとも一方に対し、導電性接着剤によって固定されている(第3の構成)。こうすることで、接続部材を、扁平形電池及び基板の少なくとも一方に、より確実に電気的に接続することができる。
【0015】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池と前記基板との間に、複数、設けられている(第4の構成)。これにより、複数の接続部材によって、扁平形電池と基板とをより確実に電気的に接続することができる。
【0016】
前記第1から第4の構成のうちいずれか一つの構成において、前記接続部材は、前記扁平形電池における外装缶の側壁の開口部側と前記基板とを電気的に接続するように、該外装缶の側壁の開口部側と前記基板との間に配置されている(第5の構成)。
【0017】
これにより、接続部材によって、扁平形電池の外装缶と封口缶側に配置される基板とを電気的に接続できるため、扁平形電池と基板との接続構造を単純でコンパクトな構成にすることができる。したがって、上述の構成により、電池ユニットの小型化を図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態にかかる電池ユニットによれば、扁平形電池と基板とを、該扁平形電池及び基板の積層方向に弾性変形可能な接続部材によって電気的に接続した。これにより、扁平形電池と基板との電気的な接続を確保しつつ、電池ユニットの小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施形態1に係る電池ユニットにおいて、扁平形電池以外の構成部品を断面で示す図である。
【図2】図2は、電池ユニットの上面図である。
【図3】図3は、扁平形電池において、電極体以外の構成部品を断面で示す図である。
【図4】図4は、回路基板の平面図である。
【図5】図5は、扁平形電池の負極缶上に、スペーサを重ね合わせて電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5の構成に回路基板を重ねた状態を示す上面図である。
【図7】図7は、電池ユニットにおける電池側正極端子の概略構成を示す部分拡大断面図である。
【図8】図8は、電池ユニットの製造方法の一例において、製作した回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図9】図9は、電池ユニットの製造方法の一例において、扁平形電池にスペーサ及び電池側負極端子を取り付けた後、電池側正極端子を取り付ける様子を示す図である。
【図10】図10は、電池ユニットの製造方法の一例において、スペーサ上に回路基板を取り付けた状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態2に係る電池ユニットの図1相当図である。
【図12】図12は、スペーサの概略構成を示す上面図である。
【図13】図13は、扁平形電池の負極缶上にスペーサを重ね合わせて電池側正極端子及び電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、電池側正極端子の概略構成を示す平面図である。
【図15】図15は、電池ユニットにおける電池側負極端子の概略構成を示す図7相当図である。
【図16】図16は、その他の実施形態に係る電池ユニットにおいて、扁平形電池の負極缶上にスペーサを重ね合わせて電池側正極端子及び電池側負極端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
<実施形態1>
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1にかかる電池ユニット1の概略構成を示す図である。この電池ユニット1は、コイン状の扁平形電池2と回路部3とが一体化されたユニットである。電池ユニット1は、例えば、歩数計、補聴器、自動車用の電子キー、ICタグ、センサユニットなど、コイン型電池を使用する小型機器に電源として使用される。なお、この電池ユニット1は、扁平形電池2に対して充電可能な二次電池のユニットである。
【0022】
具体的には、図1に示すように、電池ユニット1は、扁平形電池2上に、回路部3が例えば弾性接着剤によって接着固定されている。この回路部3は、扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て、該扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有する。これにより、扁平形電池2と回路部3とを厚み方向にコンパクトに配置しつつ、電池ユニット1の大きさを扁平形電池2及び回路部3の積層方向から見て該扁平形電池2の外形と同等の大きさにすることができる。なお、扁平形電池2と回路部3との接着に弾性接着剤を用いることで、熱変形量が異なる部材同士を接続する場合でも、弾性接着剤によって部材同士をより確実に接着することができる。
【0023】
また、詳しくは後述するが、回路部3の回路基板61における扁平形電池2とは反対側の面に、後述する各種の端子66〜69が形成されている(例えば図2参照)。これにより、電池ユニット1では、図1に示すように扁平形電池2と回路部3とを組み合わせた状態で、図2に示すように、各種端子66〜69のみが露出した状態となる。
【0024】
さらに、図1に示すように、扁平形電池2と回路部3とを積層した状態で固定することによって構成される積層体の側面は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)など、熱によって収縮する樹脂材料からなるチューブ4によって覆われている。このチューブ4は、積層体の側面だけでなく該積層体の両端面の外周側(回路部3の回路基板61の外周側及び扁平形電池2の外装缶10の底面外周側)も覆っている。これにより、前記積層体の強度の向上を図れるとともに、該積層体の側面の外観の向上も図れる。また、チューブ4の厚みの分だけ、積層体の端面に段差が形成されるため、該積層体の端面に位置する回路部3の外表面に形成された各種端子66〜69が、チューブ4よりも積層方向内方に位置する。これにより、各種端子66〜69は損傷を受けにくくなる。
【0025】
以下で、図3を用いて、扁平形電池2の構成について説明する。
【0026】
扁平形電池2は、図3に示すように、有底円筒状の外装缶としての正極缶10と、該正極缶10の開口を覆う封口缶としての負極缶20と、正極缶10の外周側と負極缶20の外周側との間に配置されるガスケット30と、正極缶10及び負極缶20の間に形成される空間内に収納される電極体40とを備えている。したがって、扁平形電池2は、正極缶10と負極缶20とを合わせることによって、全体が扁平なコイン状となる。正極缶10と負極缶20との間に形成される空間内には、電極体40以外に、非水電解液(図示省略)も封入されている。なお、本実施形態において、扁平形電池2は、リチウムイオン電池として構成されている。
【0027】
正極缶10は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。正極缶10は、図3に示すように、円形状の底部11と、その外周に該底部11と連続して形成される円筒状の周壁部12(側壁)とを備えている。この周壁部12は、縦断面視(図1に図示した状態)で、底部11の外周端からほぼ垂直に延びるように設けられている。正極缶10は、後述するように、負極缶20との間にガスケット30を挟んだ状態で、周壁部12の開口端側が内側に折り曲げられて、該負極缶20に対してかしめられている。よって、正極缶10の底部11によって、扁平形電池2の底面が構成される。
【0028】
負極缶20も、正極缶10と同様、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。負極缶20は、図3に示すように、正極缶10の周壁部12よりも外形が小さい円筒状の周壁部22(側壁)と、その一方の開口を塞ぐ円形状の平面部21と、を有している。よって、負極缶20の平面部21によって、扁平形電池2の上面が構成される。
【0029】
負極缶20の周壁部22も、正極缶10と同様、縦断面視で、平面部21に対してほぼ垂直に延びるように設けられている。周壁部22には、平面部21側の基端部22aに比べて径が段状に大きくなる拡径部22bが形成されている。すなわち、周壁部22には、基端部22aと拡径部22bとの間に段部22cが形成されている。図3に示すように、この段部22cに対して、正極缶10の周壁部12の開口端側が折り曲げられてかしめられている。すなわち、正極缶10は、その周壁部12の開口端側が負極缶20の段部22cに嵌合されている。
【0030】
(回路部の構成)
図1に示すように、回路部3は、回路基板61(基板)と、該回路基板61上に実装される複数の回路部品62とを備えている。複数の回路部品62は、回路基板61の一面側にまとめて実装されている。回路部品62としては、例えば、保護回路を構成する保護ICや、充電回路を構成する充電IC、電圧変換を行うDC/DCコンバータなどがある。このDC/DCコンバータを電池ユニット1内に設けることで、扁平形電池2の定格電圧が、使用する電気機器の定格電圧と異なる場合であっても、該電気機器の定格電圧に合わせて電池ユニット1から電圧を出力することが可能となる。よって、様々な定格電圧の扁平形電池を用いて電池ユニット1を構成することが可能になる。なお、詳しくは説明しないが、回路部3は、扁平形電池2の残量検知のために、該扁平形電池2の残容量が少なくなった場合に出力電圧を変更するように構成されている。
【0031】
図1、図2及び図4に示すように、回路基板61は、平面視で、扁平形電池2の外形と同等の形状(円形)及び大きさを有するように形成されている。これにより、回路基板61によって電池ユニット1が扁平形電池2の直径よりも大型化するのを防止できる。
【0032】
図2及び図4に示すように、回路基板61には、その外周部分に、略半円状の切り欠き部61aが2箇所設けられている。各切り欠き部61aには、回路基板61の側面に、例えば錫メッキによって基板側端子63が形成されている。各切り欠き部61aに設けられた基板側端子63は、特に図示しないが、回路基板61上に実装された回路部品62によって構成される回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0033】
上述のように、回路基板61に、略半円状の切り欠き部61aを設けることにより、該切り欠き部61a上に形成された基板側端子63と後述する扁平形電池2の電池側負極端子81とを半田付けする際に、半田が行き渡りやすくなる。これにより、回路基板61の基板側端子63と扁平形電池2の電池側負極端子81とを半田によってより確実に接続することができる。
【0034】
図2に示すように、各切り欠き部61aは、偏平形電池2及び回路部3の積層体の側面を覆うチューブ4によって覆われている。これにより、切り欠き部61aに設けられた基板側端子63が露出するのを防止できる。
【0035】
図1、図2、図4及び図6に示すように、回路基板61において回路部品62が実装されていない側の面には、GND端子66、出力端子67、充電端子68及び充電表示信号端子69が設けられている。すなわち、回路基板61には、図1に示すように、一面側に複数の回路部品62が実装されている一方、他面側には各種端子66〜69がまとめて設けられている。また、回路基板61には、複数のスルーホールが形成されていて、該スルーホール内に充填される金属材料によって、該回路基板61上の回路部品62によって形成される回路(図示省略)と各種端子66〜69とが電気的に接続されている。なお、各種端子66〜69の配置は、図2、図4及び図6以外の配置であってもよい。
【0036】
このように回路基板61上に回路部品62によって構成される回路(図示省略)と各種端子66〜69とを電気的に接続するとともに、上述のように基板側端子63と回路基板61上の回路(図示省略)とを電気的に接続することにより、各種端子66〜69と基板側端子63とを電気的に接続することができる。これにより、後述するように、基板側端子63に扁平形電池2の電池側負極端子81を接続することにより、扁平形電池2と各種端子66〜69とを電気的に接続することができる。
【0037】
なお、GND端子66、出力端子67、充電端子68及び充電表示信号端子69は、偏平形電池2及び回路部3の積層体の側面を覆うチューブ4と重ならないように、該積層体の端面に位置するチューブ4よりも回路基板61の径方向内方側に形成されている。
【0038】
回路基板61は、図1に示すように、扁平形電池2の負極缶20上に、スペーサ71を介して保持されている。具体的には、回路基板61は、スペーサ71によって扁平形電池2の負極缶20から所定の間隔を有するように配置された状態で、弾性接着剤によって該負極缶20に対して接着固定されている。すなわち、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填された状態である。このように、扁平形電池2において変形が生じにくい負極缶20に、回路基板61を設けることで、該扁平形電池2が変形を生じた場合でも回路部3と扁平形電池2との電気的な接続を確保することが可能になる。
【0039】
スペーサ71は、例えばABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)やフェノール樹脂などの樹脂材料からなる部材であり、略ドーナツ形状を有している。また、スペーサ71は、図1に示すように、扁平形電池2の負極缶20と正極缶10との段差部分を埋めるように、該段差部分に沿って外周側部分が厚肉に形成されている。すなわち、スペーサ71は、その外周側部分が、正極缶10における負極缶20とのかしめ部分(以下、肩部ともいう)まで延びるように形成されている。
【0040】
また、スペーサ71は、扁平形電池2と回路基板61との間に回路部品62が扁平形電池2と接触しない所定の間隔が形成されるような厚みを有している(図1参照)。これにより、扁平形電池2の負極缶20上に回路部品62を配置するためのスペースを形成しつつ、該扁平形電池2が変形を生じても回路部品62が該扁平形電池2に接触して損傷を受けるのを防止できる。
【0041】
さらに、スペーサ71には、図1及び図6に示すように、外周側の厚みが大きい部分に、貫通穴71aが2つ形成されている。これらの貫通穴71aは、スペーサ71の中央部分の穴部を挟んで互いに対向する位置に形成されている。これらの貫通穴71aは、後述するように、コイル形状の電池側正極端子82が貫通可能な大きさに形成されている。
【0042】
回路基板61は、略ドーナツ状のスペーサ71の内側に回路部品62が位置するように、該スペーサ71に対して重ね合わされる(図1参照)。これにより、回路部品62が実装された回路基板61を、扁平形電池2に対してコンパクトに配置することができる。また、上述のような構成にすることで、回路部品62が電池ユニット1の外に露出しないため、ユーザー等が回路部品62に触れるのを防止できる。
【0043】
なお、既述のとおり、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20との間には弾性接着剤が充填されているため、略ドーナツ状のスペーサ71の内方に配置された回路部品62の周囲にも弾性接着剤が充填されている。
【0044】
(電池側端子の構成)
図1及び図5に示すように、扁平形電池2の負極缶20の平面部21上には、電池側負極端子81が設けられている。この電池側負極端子81は、導電性の金属材料からなる長方形状の板部材を、長手方向中央部分が厚み方向に膨出するように折り曲げることにより形成されている。すなわち、電池側負極端子81は、扁平形電池2の負極缶20の平面部21に接続される電池接続部81aと、該電池接続部81aの両側に位置する基板接続部81bとが一体形成された部材であり、該電池接続部81aが基板接続部81bに対して前記部材の厚み方向に膨出している。この電池接続部81aが基板接続部81bに対して膨出する高さは、扁平形電池2上にスペーサ71を重ねた状態で該扁平形電池2に取り付けられた電池側負極端子81の基板接続部81bが該スペーサ71上に位置するような高さである。
【0045】
電池接続部81aは、扁平形電池2の負極缶20の平面部21上に溶接によって固定されている。詳しくは、図5に示すように、電池接続部81aは、電池側負極端子81の基板接続部81bがスペーサ71上に載置されるように、電池側負極端子81の膨出側の面が負極缶20の平面部21に溶接固定される。これにより、電池側負極端子81を扁平形電池2に固定できる。しかも、電池接続部81aによって、基板接続部81bよりも凹んだ凹部が形成されるため、回路基板61に実装される回路部品62を該凹部内に配置することができる。したがって、より多くの回路部品62を回路基板61と扁平形電池2との間にコンパクトに配置することができる。
【0046】
基板接続部81bは、回路基板61と半田によって固定される。詳しくは、図6に示すように、基板接続部81bは、その上に、回路基板61の切り欠き部61a内に設けられた基板側端子63を位置付けた状態で、該基板側端子63と半田付けされる。これにより、基板接続部81bは、回路基板61の側面と接続される。
【0047】
一方、既述のとおり、スペーサ71に形成された貫通穴71a内には、コイル形状の電池側正極端子82(接続部材)が挿入される(図1、図6及び図7参照)。この電池側正極端子82は、コイルばねによって構成されている。すなわち、電池側正極端子82は、圧縮されると弾性復元力によって元の長さに戻ろうとする、いわゆる圧縮バネとして形成されている。
【0048】
電池側正極端子82は、図1及び図7に示すように、スペーサ71に形成された貫通穴71a内に、該貫通穴71aの深さ方向と電池側正極端子82の圧縮方向が一致するように配置されている。これにより、電池側正極端子82は、一端側が貫通穴71a内で正極缶10の周壁部12に接触するとともに、他端側が貫通穴71aの外方に突出している。
【0049】
すなわち、電池側正極端子82は、スペーサ71の貫通穴71aの長さよりも長く形成されている。これにより、電池側正極端子82をスペーサ71の貫通穴71a内に挿入した状態で、該電池側正極端子82の他端側を該スペーサ71から突出させることができる。
【0050】
図7に示すように、電池側正極端子82の他端側は、回路基板61に接触している。この回路基板61の実装面には、スペーサ71の貫通穴71a内に配置された電池側正極端子82と接触する位置に、図示しない基板側正極端子が形成されている。そのため、回路基板61をスペーサ71の上方に配置することで該回路基板61と電池側正極端子82とを電気的に接続することができる。これにより、電池側正極端子82を介して、回路基板61と扁平形電池2の正極缶10とを電気的に接続することができる。
【0051】
上述のように、スペーサ71上に回路基板61を配置することで、該スペーサ71の貫通穴71aから他端側が突出している電池側正極端子82を圧縮することができる。すなわち、電池側正極端子82は、スペーサ71の貫通穴71a内で、該スペーサ71及び扁平形電池2の積層方向に圧縮される。したがって、電池側正極端子82の弾性復元力によって、該電池側正極端子82の両端部は正極缶10及び回路基板61に押し付けられるため、該電池側正極端子82を正極缶10及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0052】
また、電池側正極端子82は、図7に示すように、一端側が正極缶10の周壁部12に対して導電性接着剤83によって接着固定されている一方、他端側が回路基板61に対して導電性接着剤83によって接着固定されている。こうすることで、電池側正極端子82の両端部が、正極缶10及び回路基板61から離間するのを防止できる。したがって、上述の構成により、電池側正極端子82と正極缶10及び回路基板61とをより確実に接触させることができる。
【0053】
ここで、導電性接着剤83は、導電性フィラー及びバインダを有している。導電性フィラーとしては、例えば、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉などの導電性の金属粒子、炭素粒子、カーボンブラック等が用いられる。バインダとしては、例えば、エポキシ、ウレタン、シリコン、アクリル、ポリイミドなどの樹脂材料が用いられる。
【0054】
上述のような構成により、扁平形電池2に回路基板61を積層した状態で、該扁平形電池2と回路基板61との間に配置される電池側正極端子82によって、該扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続することができる。しかも、コイルばねによって構成された電池側正極端子82は、扁平形電池2と回路基板61との間に圧縮された状態で配置されるため、電池側正極端子82の両端を扁平形電池2及び回路基板61により確実に接触させることができる。さらに、電池側正極端子82の両端部を、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に接着固定することにより、該電池側正極端子82を扁平形電池2及び回路基板61にさらに確実に接触させることができる。よって、上述の構成により、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0055】
(電池ユニットの製造方法)
次に、上述のような構成を有する電池ユニット1の製造方法について、図8から図10を用いて説明する。
【0056】
まず、図8に示すように、回路基板61の一面側に、複数の回路部品62を実装して回路部3を形成する。このとき、回路基板61の他面側には、各種端子66〜69を形成する(図8では出力端子67及び充電端子68のみを図示)。回路基板61に回路部品62を実装する方法や、各種端子66〜69を形成する方法は従来と同様なので、詳しい説明を省略する。
【0057】
一方、図9に示すように、扁平形電池2上にスペーサ71を弾性接着剤によって接着固定するとともに、該扁平形電池2に対して電池側負極端子81を溶接によって固定する。
【0058】
また、図9に示すように、スペーサ71に設けた貫通穴71a内に、導電性接着剤83を入れた後、電池側正極端子82を挿入する(図中の白抜き矢印参照)。これにより、該電池側正極端子82の一端側が、導電性接着剤83によって扁平形電池2の外装缶10に接着固定される。その後、電池側正極端子82の他端側に導電性接着剤83を塗布する。
【0059】
図10に示すように、スペーサ71、電池側負極端子81及び電池側正極端子82が取り付けられた扁平形電池2に対して、回路部3の回路基板61を配置する。このとき、回路基板61は、基板側端子63が電池側負極端子81に接触するとともに、図示しない基板側正極端子が電池側正極端子82の他端側と接触するように、扁平形電池2に配置される。上述のように、電池側正極端子82の他端側には導電性接着剤83が塗布されているため、該電池側正極端子82の他端側は回路基板61と接着固定される。なお、回路部3を扁平形電池2に組み合わせる際に、回路基板61と扁平形電池2との間には弾性接着剤等が充填される。
【0060】
そして、弾性接着剤を硬化させて、扁平形電池2、スペーサ71及び回路基板61を一体化する。その後、上述のようにして形成された扁平形電池2及び回路部3の積層体の側面に、チューブ4を嵌めて、加熱することにより、該チューブ4を収縮させる。なお、このチューブ4は、積層体の側面に嵌められた状態で、該積層体の両端面の外周側の一部も覆うような長さを有する。
【0061】
これにより、図1に示すような構成の電池ユニット1が得られる。
【0062】
(実施形態1の効果)
以上より、この実施形態によれば、コイルばねによって構成される電池側正極端子82を、扁平形電池2の正極缶10と回路基板61との間に圧縮された状態で配置したため、該扁平形電池2及び回路基板61に対して電池側正極端子82の両端部をより確実に接触させることができる。これにより、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0063】
しかも、電池側正極端子82の両端部は、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に固定される。そのため、電池側正極端子82によって、扁平形電池2と回路基板61とをさらに確実に電気的に接続することができる。
【0064】
また、回路部3の回路基板61には、その外周部分に、複数の切り欠き部61aを形成するとともに、該切り欠き部61aにおける回路基板61の側面上に基板側端子63を設けた。これにより、回路基板61の側面を電池側負極端子81と半田付けすることで、該回路基板61と扁平形電池2とを電気的に接続することができる。よって、端子の先端部分を基板に挿通させた状態で半田付けする構成に比べて、端子の先端部分の出っ張りや半田の厚みがなくなる分、電池ユニット1全体として厚みを小さくすることができる。しかも、端子の先端が基板から突出しないため、該端子で短絡が生じるのを防止できる。
【0065】
さらに、電池側負極端子81は、長方形状の板部材の長手方向中央部分が凹んで電池接続部81aを構成しているため、この電池接続部81aに形成された凹み部分に、回路基板61に実装された回路部品62を配置することが可能になる。したがって、回路基板61と扁平形電池2との間により多くの回路部品62をコンパクトに配置することができる。
【0066】
また、回路部3の回路基板61において、扁平形電池2とは反対側の面に各種端子66〜69をまとめて設けることで、平面視で該扁平形電池2と重なる位置に各種端子66〜69を設けることが可能になり、電池ユニット1の小型化を図れる。しかも、回路基板61において扁平形電池2側の面に回路部品62をまとめて実装することで、電池ユニット1の外部に回路部品62等が露出するのを防止できる。これにより、電池ユニット1に触れるユーザーが、回路部品62等に直接、触れるのを防止できる。
【0067】
<実施形態2>
図11に、本発明の実施形態2に係る電池ユニット100の概略構成を示す。この電池ユニット100は、電池側正極端子101及び電池側負極端子102の構成が、上述の実施形態1における電池側負極端子81及び電池側正極端子82の構成とは異なる。以下の説明において、上述の実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
具体的には、図11及び図13に示すように、扁平形電池2の負極缶20上にスペーサ111が配置された状態で、正極缶10の底部11及びスペーサ111上に、電池側正極端子101が配置されている。この電池側正極端子101は、銅箔の両面に粉末状のニッケルを含んだアクリル系粘着剤が塗布された導電性のフィルム部材からなる。したがって、電池側正極端子101は、表面に塗布されたアクリル系粘着剤によって扁平形電池2上に固定される。なお、この実施形態では、銅箔の両面にアクリル系粘着剤を塗布しているが、この限りではなく、銅箔において扁平形電池2側に位置する面のみにアクリル系粘着剤を塗布しても良いし、銅箔の表面にアクリル系粘着剤が塗布されていなくてもよい。また、塗布する粘着剤は、他の材質の粘着剤であってもよい。さらに、導電性向上のために粘着剤にニッケルの粉末を入れているが、粘着剤の導電性の向上を図れるような材料であれば、ニッケル以外の材料を粘着剤に入れてもよい。
【0069】
電池側正極端子101は、図11、図13及び図14に示すように、正極缶10の底部11上に位置付けられる電池接続部101aと、スペーサ111上に位置付けられる基板接続部101bと、該電池接続部101aと基板接続部101bとを繋ぐ連結部101cとを有している。
【0070】
詳しくは、図14に示すように、電池側正極端子101は、ドーナツ状の電池接続部101aに対し、該電池接続部101aを挟み込むように、円弧状に形成された2つの基板接続部101bがそれぞれ連結部101cを介して繋がっている。電池側正極端子101は、これらの電池接続部101a、基板接続部101b及び連結部101cが一体形成された部材である。
【0071】
電池接続部101aは、その外周側が、正極缶10の底部11の外周側上に位置付けられるように形成されている。すなわち、電池接続部101aの外径は、正極缶10の底部11の直径と同等である。また、電池接続部101aには、同心状に円形の穴部101dが形成されている。ここで、扁平形電池2内の圧力変化によって正極缶10が外方側へ変形した場合、該正極缶10の中央部分で最も変形量が大きくなる。上述のように、電池接続部101aの中央部分に穴部101dを設けることにより、正極缶10の中央部分に電池接続部101aが固定されないため、該中央部分の変形によって電池接続部101aが正極缶10から剥離するのを防止できる。なお、本実施形態では、電池接続部101aに穴部101dを設けているが、この限りではなく、該穴部101dを設けなくてもよい。
【0072】
基板接続部101bは、それぞれ、略半円の外周側の円弧部分のみを残した形状に形成されている。すなわち、基板接続部101bは、略半円の円中心側に半円状の切り欠きが設けられた形状を有している。基板接続部101bの外径は、負極缶20上に取り付けられるドーナツ状のスペーサ111の外径と同等である。基板接続部101bの内径は、該スペーサ111の内径と同等である。これにより、基板接続部101bを、スペーサ111上に、該スペーサ111からはみ出すことなく配置することができる。なお、スペーサ111の形状は、実施形態1におけるスペーサ71の形状と同じである。このスペーサ111には、厚みの小さい内側部分に、該スペーサ111の中央部分の穴部を挟んで互いに対向する位置に貫通穴111aが2つ形成されている。これらの貫通穴111aは、後述するように、コイル形状の電池側負極端子102が貫通可能に形成されている。
【0073】
また、各基板接続部101bは、図12に一点鎖線で示すようにスペーサ111上に配置された状態で、円弧の両端部に相当する周方向両端部が該スペーサ111に形成された貫通穴111aに重ならないように形成されている。すなわち、各基板接続部101bは、周方向両端部がスペーサ111の貫通穴111aの周辺部分まで届かないような円弧状に形成されている。つまり、各基板接続部101bは、周方向の長さがスペーサ111の半円の周方向長さよりも短くなっている。
【0074】
連結部101cは、電池接続部101aと基板接続部101bとを、該電池接続部101a及び基板接続部101bの各円中心を繋いだ線上で連結するように形成されている。また、連結部101cは、電池接続部101aと基板接続部101bとの連結方向の長さが、扁平形電池2上にスペーサ111を積んだ状態で該扁平形電池2及びスペーサ111の厚みと同等に形成されている。
【0075】
以上の構成により、図13に示すように、電池接続部101aを正極缶10の底部11上に、基板接続部101bをスペーサ111上に、それぞれ位置付けつつ、連結部101cを正極缶10及びスペーサ111の側面上に位置付けることができる。したがって、扁平形電池2の正極缶10に電気的に接続された電池側正極端子101を、負極缶20上に配置されたスペーサ111上まで引き回すことができる。そして、図13に示すようにスペーサ111上に配置された基板接続部101bに対して、回路基板61を実装面が下側になるように配置することで、該回路基板61の実装面上に形成された図示しない基板側正極端子を基板接続部101bと電気的に接続することができる。これにより、回路基板61と扁平形電池2の正極缶10とを電気的に接続することができる。
【0076】
一方、図11、図12及び図15に示すように、スペーサ111に形成された貫通穴111a内には、コイル形状の電池側負極端子102(接続部材)が挿入される。この電池側負極端子102は、上述の実施形態1と同様、コイルばねによって構成されている。すなわち、電池側負極端子102は、圧縮されると弾性復元力によって元の長さに戻ろうとする、いわゆる圧縮バネとして形成されている。
【0077】
電池側負極端子102は、図11及び図15に示すように、スペーサ111に形成された貫通穴111a内に、該貫通穴111aの深さ方向と電池側負極端子102の圧縮方向が一致するように配置されている。これにより、電池側負極端子102は、一端側が貫通穴111a内で負極缶20の平面部21に接触するとともに、他端側が貫通穴111aの外方に突出している。
【0078】
すなわち、本実施形態の電池側負極端子102も、上述の実施形態1の電池側正極端子82と同様、スペーサ111の貫通穴111aの長さよりも長く形成されている。これにより、電池側負極端子102をスペーサ111の貫通穴111a内に挿入した状態で、該電池側負極端子102の他端側を該スペーサ111から突出させることができる。
【0079】
図11及び図15に示すように、電池側負極端子102の他端側は、上述の実施形態1の電池側正極端子82と同様、回路基板61に接触している。この回路基板61の実装面には、スペーサ111の貫通穴111a内に配置された電池側負極端子102と接触する位置に、図示しない基板側負極端子が形成されている。そのため、回路基板61をスペーサ111の上方に配置することで該回路基板61と電池側負極端子102とを電気的に接続することができる。これにより、電池側負極端子102を介して、回路基板61と扁平形電池2の負極缶20とを電気的に接続することができる。
【0080】
上述のように、スペーサ111上に回路基板61を配置することで、該スペーサ111の貫通穴111aから他端側が突出している電池側負極端子102を圧縮することができる。すなわち、電池側負極端子102は、スペーサ111の貫通穴111a内で、該スペーサ111及び扁平形電池2の積層方向に圧縮される。したがって、電池側負極端子102の弾性復元力によって、該電池側負極端子102の両端部は正極缶10及び回路基板61に押し付けられるため、該電池側負極端子102を正極缶10及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0081】
また、電池側負極端子102は、図15に示すように、一端側が負極缶20の平面部21に対して導電性接着剤83によって接着固定されている一方、他端側が回路基板61に対して導電性接着剤83によって接着固定されている。こうすることで、電池側負極端子102の両端部が、負極缶20の平面部21及び回路基板61から離間するのを防止できる。したがって、上述の構成により、電池側負極端子102と負極缶20及び回路基板61とをより確実に接触させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、電池側正極端子101は、ドーナツ状の電池接続部101aを挟むように、連結部101cを介して該電池接続部101aに円弧状の2つの基板接続部101bを接続した構成を有している。しかしながら、電池側正極端子101は、扁平形電池2の正極缶10の底部11と回路基板61とを電気的に接続可能な構成であれば、どのような形状であってもよい。すなわち、電池側正極端子は、電池接続部、基板接続部及びそれらを繋ぐ連結部を有していれば、どのような形状であってもよい。
【0083】
(実施形態2の効果)
以上の構成により、本実施形態では、扁平形電池2に回路基板61を積層した状態で、該扁平形電池2と回路基板61との間に配置される電池側負極端子102によって、該扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続することができる。
【0084】
しかも、電池側負極端子102は、コイルばねによって構成されている。そのため、電池側負極端子102を、扁平形電池2と回路基板61との間に圧縮された状態で配置することにより、該扁平形電池2及び回路基板61により確実に接触させることができる。
【0085】
さらに、電池側負極端子102の両端部を、導電性接着剤83によって、それぞれ扁平形電池2及び回路基板61に接着固定することにより、該電池側負極端子102を扁平形電池2及び回路基板61にさらに確実に接触させることができる。よって、上述の構成により、電池側負極端子102によって、扁平形電池2と回路基板61とをより確実に電気的に接続することができる。
【0086】
また、本実施形態では、平面部21上に回路部3が配置された電池ユニット1において、該扁平形電池2の正極缶10の底部11と回路基板61とを、導電性のフィルム部材からなる電池側正極端子101によって電気的に接続した。この電池側正極端子101の厚みは小さいので、該電池側正極端子101を正極缶10の底部11から負極缶20の平面部21側まで引き回した際に扁平形電池2の側方で電池側正極端子101が電池外方に大きく突出するのを防止できる。しかも、上述のように電池側正極端子101を導電性のフィルム部材によって構成することで、電池ユニット1が厚み方向に大きくなるのも防止できる。したがって、上述の構成により、電池ユニット1の小型化を図れる。
【0087】
しかも、電池側正極端子101は、銅箔の表面にアクリル系粘着剤が塗布されているため、該電池側正極端子101を扁平形電池2及びスペーサ111に容易に固定することができる。
【0088】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0089】
前記実施形態1では、電池側負極端子81を、長方形状の板部材の長手方向中央部分を厚み方向に膨出させるように折り曲げた形状としているが、この限りではなく、扁平形電池2の負極缶20と回路基板3とを電気的に接続可能であれば、電池側負極端子はどのような形状であってもよい。
【0090】
前記実施形態2では、電池側正極端子101を、銅箔の両面に粉末状のニッケルを含んだアクリル系粘着剤が塗布された導電性のフィルム部材によって構成している。しかしながら、電池側正極端子101は、例えば図16に示すように板部材を折り曲げることによって形成される構成など、どのような構成であってもよい。
【0091】
図16に示す例では、電池側正極端子151は、扁平形電池2及びスペーサ111を厚み方向に挟み込むように設けられている。この電池側正極端子151は、導電性の金属材料からなる板部材によって構成されていて、その一方の端部が扁平形電池2の正極缶10の底部11に溶接によって固定される一方、他方の端部はスペーサ111の上面上に位置している。
【0092】
より詳しくは、図16に示すように、電池側正極端子151は、正極缶10の底部11に接続される電池接続部151aと、スペーサ111上で回路基板61に接続される基板接続部151bと、電池接続部151aと基板接続部151bとを繋ぐ連結部151cとを有する。電池接続部151a及び基板接続部151bは、連結部151cに対して同じ方向に折り曲げられている。これにより、電池側正極端子151を、扁平形電池2及びスペーサ111を厚み方向に挟み込むように配置することができる。
【0093】
なお、電池側正極端子151は、実施形態1の電池側負極端子81と同様、図示しない回路基板に形成された切り欠き部の基板側端子と電気的に接続される。
【0094】
前記各実施形態では、電池側正極端子及び電池側負極端子の一方のみをコイルばねによって構成しているが、この限りではなく、電池側正極端子及び電池側負極端子の両方をコイルばねによって構成してもよい。
【0095】
前記各実施形態では、電池側正極端子82及び電池側負極端子102をコイルばねによって構成しているが、この限りではなく、扁平形電池2及び回路基板61の積層方向に弾性変形可能で且つ扁平形電池2と回路基板61とを電気的に接続可能な形状であれば、ピン状や板バネ形状など、他の形状であってもよい。
【0096】
前記各実施形態では、電池側正極端子82及び電池側負極端子102を、導電性接着剤83によって、扁平形電池2及び回路基板61に固定している。しかしながら、電池側正極端子82及び電池側負極端子102を、導電性接着剤83によって固定することなく、扁平形電池2及び回路基板61に接触させるだけでもよい。
【0097】
前記各実施形態では、電池ユニット1の各種端子66〜69を矩形状に形成しているが、同心円状など、他の形状であってもよい。なお、電池ユニット1の各種端子66〜69を同心円状に形成することで、電気機器に対して電池ユニット1を取り付ける際に、該電池ユニット1の位置合わせが不要になる。
【0098】
前記各実施形態では、回路基板61は扁平形電池2の外形と同等の形状及び大きさを有するが、この限りではなく、回路基板61は、扁平形電池2よりも小さくても良いし、大きくても良い。
【0099】
前記各実施形態では、正極缶10及び負極缶20をそれぞれ有底円筒状に形成するとともに、回路基板61を円形に形成している。しかしながら、正極缶及び負極缶を有底円筒状以外の有底筒状に形成してもよいし、回路基板61を円形以外の形状にしてもよい。
【0100】
前記各実施形態では、回路部3及び扁平形電池2の積層体の側面をチューブ4で覆っているが、この限りではなく、チューブ4によって覆わなくてもよい。こうすることで、チューブ4を設けない分、電池ユニットの小型化を図れる。また、前記実施形態のようなチューブを用いるのではなく、前記積層体の側面を樹脂材料によってコーティングしてもよい。
【0101】
前記各実施形態では、回路部3を、扁平形電池2の封口缶である負極缶20側に配置しているが、この限りではなく、外装缶である正極缶10側に配置してもよい。さらに、回路部3の回路部品62を、回路基板61における扁平形電池2側とは反対側の面に実装してもよい。また、回路部3を、回路部品62が実装されていない回路基板によって構成してもよい。
【0102】
前記各実施形態では、扁平形電池2と回路部3とを弾性接着剤によって接着固定しているが、この限りではなく、テープなどの他の接着部材を用いて両者を固定してもよい。
【0103】
前記各実施形態では、外装缶を正極缶10とし、封口缶を負極缶20としているが、この限りではなく、外装缶を負極缶とし、封口缶を正極缶としてもよい。この場合には、電池側負極端子81,102を電池側正極端子とし、電池側正極端子82,101を電池側負極端子とすればよい。
【0104】
前記各実施形態では、扁平形電池2をリチウムイオン電池として構成している。しかしながら、扁平形電池2は、充電可能な2次電池であれば、リチウムイオン電池以外の電池であってもよい。また、扁平形電池2は、1次電池であってもよい。扁平形電池2が1次電池の場合には、回路部として例えばキャパシタなどが実装される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明による電池ユニットは、回路が形成された基板と小型機器に装着される扁平形電池とを備えた構成に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1:電池ユニット、2:扁平形電池、3:回路部、10:正極缶(外装缶)、11:底部、12:周壁部(側壁)、20:負極缶(封口缶)、21:平面部、22:周壁部(側壁)、61:回路基板(基板)、62:回路部品、71,111:スペーサ、82:電池側正極端子(接続部材)、83:導電性接着剤、102:電池側負極端子(接続部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の外装缶と該外装缶の開口側を覆う有底筒状の封口缶とを有し、該外装缶の側壁の開口部側が該封口缶の側壁の外周上に位置するように該外装缶と該封口缶とを組み合わせてなる扁平形電池と、
前記封口缶の平面部に対して固定され、回路部品が実装された基板と、
前記扁平形電池と前記基板との間に配置され、該扁平形電池と基板とを電気的に接続する接続部材とを備え、
前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の積層方向に弾性変形可能に構成されている、電池ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、コイルばねの形状に形成されていて、前記扁平形電池と前記基板との間に圧縮された状態で配置されている、電池ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の少なくとも一方に対し、導電性接着剤によって固定されている、電池ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池と前記基板との間に、複数、設けられている、電池ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池における外装缶の側壁の開口部側と前記基板とを電気的に接続するように、該外装缶の側壁の開口部側と前記基板との間に配置されている、電池ユニット。
【請求項1】
有底筒状の外装缶と該外装缶の開口側を覆う有底筒状の封口缶とを有し、該外装缶の側壁の開口部側が該封口缶の側壁の外周上に位置するように該外装缶と該封口缶とを組み合わせてなる扁平形電池と、
前記封口缶の平面部に対して固定され、回路部品が実装された基板と、
前記扁平形電池と前記基板との間に配置され、該扁平形電池と基板とを電気的に接続する接続部材とを備え、
前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の積層方向に弾性変形可能に構成されている、電池ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、コイルばねの形状に形成されていて、前記扁平形電池と前記基板との間に圧縮された状態で配置されている、電池ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池及び前記基板の少なくとも一方に対し、導電性接着剤によって固定されている、電池ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池と前記基板との間に、複数、設けられている、電池ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の電池ユニットにおいて、
前記接続部材は、前記扁平形電池における外装缶の側壁の開口部側と前記基板とを電気的に接続するように、該外装缶の側壁の開口部側と前記基板との間に配置されている、電池ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−25951(P2013−25951A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158251(P2011−158251)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
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