電池保護ICチップ
【課題】 リチウムイオン電池保護モジュールにおいて、充放電制御用FETの温度の検出精度を良くすることを目的とする。
【解決手段】 コントロールICチップ120は、放電過電流検出部VD3、充電過電流検出部VD4に加えて、温度検出部148を有する。コントロールICチップ120を充電制御用FET及び放電制御用FET上に重ねて搭載することによって、温度検出部148は充電制御用FET及び放電制御用FETに極く近接させて配置され、充電制御用FET及び放電制御用FETの温度を精度良く検出する。
【解決手段】 コントロールICチップ120は、放電過電流検出部VD3、充電過電流検出部VD4に加えて、温度検出部148を有する。コントロールICチップ120を充電制御用FET及び放電制御用FET上に重ねて搭載することによって、温度検出部148は充電制御用FET及び放電制御用FETに極く近接させて配置され、充電制御用FET及び放電制御用FETの温度を精度良く検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池保護ICチップに係り、特に携帯機器の電源として使用されるリチウムイオン電池が過充電、過放電及び過電流にならないように動作する電池パック保護回路を構成する電池保護ICチップに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の電池パックの多くはリチウムイオン電池を使用している。リチウムイオン電池は過充電、過放電及び過電流になると問題を起こしやすいので、リチウムイオン電池を収容している電池パックには、リチウムイオン電池が過充電、過放電及び過電流にならないように動作する電池保護回路を備えた電池保護モジュールが設けてある。電池保護回路は、過充電、過放電及び過電流の時に開く電子スイッチとして機能するFETチップを備えた構成である。電池保護モジュールはチップ及びワイヤが合成樹脂部でもって封止してあるCOB(Chip On Board)構造及びパッケージ品を実装してあるディスクリートにジュール構造を有している。また、電池パックは専用の充電器にセットして繰り返し充電される。
【特許文献1】特開2004−6524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、充電の過程で充電器からリチウムイオン電池に過電流が流れた場合、携帯機器の使用時にリチウムイオン電池から携帯機器に過電流が流れた場合には、事故を起こす危険性が高いため、これらに対する対策を重ねて施すことが安全上望ましい。そこで、過電流が流れるとFETチップが発熱するので、このFETチップの温度を検出し、FETチップの温度が所定温度にまで上昇した場合に、FETチップをオフとするようにすることが考えられる。この場合に、電池保護モジュールの製造コストを上げないためにも、新たな部品の追加がないこと、及び、動作の精度が良いことが求められる。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決した電池保護ICチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する電池保護ICチップであって、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池保護ICチップを充電制御用FET及び放電制御用FET上に重ねて搭載することによって、温度検出部を充電制御用FET及び放電制御用FET上に極く近接させて配置することが可能となり、充電制御用FET及び放電制御用FETの温度を精度良く検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1及び図2は本発明の実施例1になる電池保護装置100を示す。図3はCOB形式の電池保護モジュール110を示す。図8及び図9は電池保護装置100がリチウムイオン電池201と接続された状態で電池パック200内に組み込んである状態を示す。Z1は電池パック200の内部側、Z2は電池パック200の表面側である。X1−X2は電池保護装置100の長さ方向、Y1−Y2は幅方向、Z1−Z2は厚さ方向である。Z1側が上面、Z2側が下面である。図10は電池保護装置100の回路図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、電池保護装置100は、電池保護モジュール110と、ベースプリント基板150と、コネクタ部材160とよりなり、ベースプリント基板150上に、電池保護モジュール110とコネクタ部材160とが搭載してある構成である。図10はこの電池保護装置100の回路を、電池保護モジュール110が有する回路部分と、ベースプリント基板150が有する回路部分と、コネクタ部材160が有する回路部分とに分けて示す。
【0010】
端子に注目すると、電池保護装置100は、電池パックマイナス出力端子103、電池パックプラス出力端子104と、リチウムイオン電池201に接続される電池マイナス端子101及び電池プラス端子102を有する。各端子101〜104を辿ると配線及び端子を経て電池保護モジュール110の端子に到る。途中の端子及び電池保護モジュール110の端子については、添え字を付した同じ符号で示す。
【0011】
[電池保護モジュール110]
図2及び図3に示すように、電池保護モジュール110は、両面構造であるCOB対応プリント基板111のZ1側の面に、電池保護ICチップであるコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124を有する。
【0012】
図4に拡大して併せて示すように、第1、第2のFET−SWチップ121、122は上面にゲート端子121G、122G及びソース端子121S、122Sを有し、下面の全面にドレイン端子(図示せず)を有する。同じく図4に示すように、この第1、第2のFET−SWチップ121、122はドレイン端子(図示せず)をプリント基板111上のダイパッド112上に並んだ配置で銀ペーストで実装してある。コントロールICチップ120は、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を跨ぐようにして、第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なって、両面テープ128でもって接着されて搭載してある。コントロールICチップ120のサイズは、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を合わせたサイズよりも小さく、ゲート端子121G、122G及びソース端子121S、122SはコントロールICチップ120の外側に位置しており露出している。また、Auワイヤ126−1、126−2の両端が、コントロールICチップ120の上面の端子と第1、第2のFET−SWチップ121、122上のゲート端子121G、122Gとに夫々ボンディングされて両者の間に張られている。また、第1のFET−SWチップ121のソース端子121Sとパッド113との間に複数のAuワイヤ126−3が夫々ボンディングされて張られている。また、第2のFET−SWチップ122のソース端子122Sとパッド114との間に複数のAuワイヤ126−4が夫々ボンディングされて張られている。また、コントロールICチップ120の上面の他の端子とパッドとの間にAuワイヤ126−5が夫々ボンディングされて張られている。
【0013】
図3中、127は合成樹脂部であり、プリント基板111のZ1側の面111Z1に、コントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124を封止している。コントロールICチップ120が第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なっている部分については、合成樹脂部127は、第1、第2のFET−SWチップ121、122上のコントロールICチップ120及び張られているAuワイヤ126−1〜126−5を封止している。
【0014】
上記のコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124が図10に示すように接続されて、リチウムイオン電池保護回路が形成してある。
【0015】
[コントロールICチップ120]
図10に示すように、コントロールICチップ120は、充電時に異常が発生してリチウムイオン電池201に過大電圧が印加されると第1のFET−SWチップ121をオフにする過充電検出機能、放電時にリチウムイオン電池201の電圧が所定電圧以下に降下すると第2のFET−SWチップ122をオフにする過放電検出機能、短絡して大電流が流れたときに第1のFET−SWチップ121をオフにする過電流検出機能に加えて、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出機能を備えた構成である。
【0016】
具体的には、図5に示すように、コントロールICチップ120は、第1の論理回路141、第2の論理回路142、過充電検出部VD1、過放電検出部VD2、放電過電流検出部VD3、充電過電流検出部VD4、レベルシフト回路143、遅延回路144、短絡検出部145、発振器146、カウンタ147、及び、本発明の要部をなす温度検出部148を有する。また、コントロールICチップ120は、充電制御端子(COUT)と、放電制御端子(DOUT)と、VDD端子と、VSS端子と、DS端子と、Vマイナス端子(V−)とを有する。温度検出部148は第1の論理回路141及び第2の論理回路142と接続してある。第1の論理回路141及び第2の論理回路142は、夫々充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)と接続してある。
【0017】
温度検出部148は、図7(A)に示すダイオードD1の負の温度特性を利用した構成であり、具体的には、図6に示すように、インバータ149と、この入力側に接続してある抵抗素子R1,R2及びダイオードD1とよりなる構成である。インバータ149には閾値SHが設定してある。閾値SHは、検出すべき温度T1及びダイオードD1の温度特性を考慮して定めてある。インバータ149は第1の論理回路141及び第2の論理回路142と接続してある。
【0018】
ダイオードD1の温度が所定温度T1よりも低い場合には、インバータ149の入力側の電圧は高く、インバータ149の出力は「L」である。第1の論理回路141、第2の論理回路142の出力は「H」であり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位は「H」である。
【0019】
ダイオードD1の温度が上昇すると、図7(A)に示すように、温度が上昇するにつれてダイオードD1の順方向電圧が低くなり、同図(B)に示すように、ダイオードD1の端の電圧が低くなるように変化し、温度が所定温度T1を越えると、インバータ149の入力側の電圧が閾値SHより低くなり、同図(C)に示すように、インバータ149の出力が反転して「H」となる。インバータ149の出力が反転して「H」となると、第1の論理回路141、第2の論理回路142の出力が「L」となり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位は「L」となり、後述するように、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされる。
【0020】
[電池保護装置100]
図1に示すように、上記構成の電池保護モジュール110は、各コーナ部の端子101−1、102−1、103−1、105−1を対応する端子101−2、102−2、103−2、105−2と半田付けされて、ベースプリント基板150の電池保護モジュール実装部151に実装してある。また、コネクタ部材160は、コネクタ部材実装部152に接着してあり、電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104の他端部103a、104aが夫々端子103−3、104−1と半田付けしてある。
【0021】
この電池保護装置100には、図8に示すように、端子101,102に夫々帯状の端子板210,211が接続される。電池保護装置100は、図9に示すように、この端子板210,211の先端をリチウムイオン電池201の極に接続されて、リチウムイオン電池201の一つの側面に沿うように配置され、リチウムイオン電池201と共にケース212a,212b内に組み込まれ、電池パック200が完成する。
【0022】
[電池パック200の過電流]
電池パック200は、図8に示すように、携帯機器に装着されて、電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104を介して携帯機器と電気的に接続されて使用される。リチウムイオン電池201の電圧が所定電圧以下に降下して過放電となると第2のFET−SWチップ122がオフとされる。短絡等して大電流が流れて過電流となると第1のFET−SWチップ121がオフとされる。
【0023】
また、電池パック200は、同じく図8に示すように、充電器にセットされ電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104を介して充電器と電気的に接続されて充電される。充電時に異常が発生してリチウムイオン電池201に過大電圧が印加され過充電となると第1のFET−SWチップ121がオフとされて、リチウムイオン電池201が保護される。
【0024】
また、図10中、端子101と端子103との間に大電流が流れて過電流となると、以下の動作も行われる。
【0025】
充電時には以下の動作が行われる。端子103から端子101に向かって大電流が流れると、第1、第2のFET−SWチップ121、122が発熱する。第1、第2のFET−SWチップ121、122の熱はコントロールICチップ120に伝導して、温度検出部148の温度が所定温度を越えると、インバータ149の入力側の電圧が閾値を越え、インバータ149の出力が反転し「H」となり、第1及び第2の論理回路141、142の出力が共に「L」となり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位が共に「L」となり、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされる。これにより、端子103と端子101間の経路が断たれ、リチウムイオン電池201が保護されると共に、電池保護装置100が異常に加熱されることが回避される。放電時に端子101から端子103に向かって大電流が流れた場合にも、上記と同じ動作がなされ、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされ、携帯機器が保護されると共に、電池保護装置100が、特に第1、第2のFET−SWチップ121、122が異常に加熱されることが回避される。
【実施例2】
【0026】
次に、上記のコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122をモジュール化した実施例について説明する。
【0027】
図11は電池保護ICチップモジュールとしてのコントロールICチップモジュール300を示す。このコントロールICチップモジュール300は、端子302を有する基板301上に、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122が並んで実装してあり、コントロールICチップ120が、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を跨ぐようにして、第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なって、両面テープでもって接着されて搭載してあり、且つ、Auワイヤ126−1〜126−5がボンディングされて張られており、第1、第2のFET−SWチップ121、122、コントロールICチップ120、Auワイヤ126−1〜126−5が合成樹脂部310でもって覆われて封止されている構成である。
【0028】
このコントロールICチップモジュール150は、図12及び図13に示すように、COB対応プリント基板111A上に抵抗チップ123、コンデンサチップ124と共に実装され、抵抗チップ123、コンデンサチップ124の部分が合成樹脂部127Aでもって封止されて、電池保護モジュール110Aが構成される。
【0029】
なお、独立した第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122に代えて、第1、第2のFET−SWチップ121、122が並んで一体化されている構成の部品を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1になる電池保護モジュールを有する電池保護装置の斜視図である。
【図2】図1の電池保護装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1になる電池保護モジュールを内部を透視して示す正面図である。
【図4】コントロールICチップが第1、第2のFET−SWチップ上に搭載してある部分を拡大して示す図である。
【図5】コントロールICチップのブロック回路図である。
【図6】図5中、温度検出部の回路図である。
【図7】図6の温度検出部の動作を説明するための図である。
【図8】図1の電池保護装置を備えた電池パックの分解斜視図である。
【図9】図8の電池パックのうち電池保護装置の部分を示す図である。
【図10】図1の電池保護装置の回路図である。
【図11】本発明の実施例2になるコントロールICチップモジュールを拡大して示す斜視図である。
【図12】図11のコントロールICチップモジュールを有する電池保護モジュールの斜視図である。
【図13】内部を透視して示す図12の電池保護モジュールの正面図である。の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
100 電池用保護回路装置
110、110A 電池保護モジュール
111 COB対応プリント基板
120 コントロールICチップ
121 第1のFET−SWチップ
122 第2のFET−SWチップ
123 抵抗チップ
124 コンデンサチップ
127 合成樹脂部
130 リチウムイオン電池保護回路
300 コントロールICチップモジュール
301 基板
310 合成樹脂部
【技術分野】
【0001】
本発明は電池保護ICチップに係り、特に携帯機器の電源として使用されるリチウムイオン電池が過充電、過放電及び過電流にならないように動作する電池パック保護回路を構成する電池保護ICチップに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の電池パックの多くはリチウムイオン電池を使用している。リチウムイオン電池は過充電、過放電及び過電流になると問題を起こしやすいので、リチウムイオン電池を収容している電池パックには、リチウムイオン電池が過充電、過放電及び過電流にならないように動作する電池保護回路を備えた電池保護モジュールが設けてある。電池保護回路は、過充電、過放電及び過電流の時に開く電子スイッチとして機能するFETチップを備えた構成である。電池保護モジュールはチップ及びワイヤが合成樹脂部でもって封止してあるCOB(Chip On Board)構造及びパッケージ品を実装してあるディスクリートにジュール構造を有している。また、電池パックは専用の充電器にセットして繰り返し充電される。
【特許文献1】特開2004−6524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、充電の過程で充電器からリチウムイオン電池に過電流が流れた場合、携帯機器の使用時にリチウムイオン電池から携帯機器に過電流が流れた場合には、事故を起こす危険性が高いため、これらに対する対策を重ねて施すことが安全上望ましい。そこで、過電流が流れるとFETチップが発熱するので、このFETチップの温度を検出し、FETチップの温度が所定温度にまで上昇した場合に、FETチップをオフとするようにすることが考えられる。この場合に、電池保護モジュールの製造コストを上げないためにも、新たな部品の追加がないこと、及び、動作の精度が良いことが求められる。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決した電池保護ICチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する電池保護ICチップであって、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池保護ICチップを充電制御用FET及び放電制御用FET上に重ねて搭載することによって、温度検出部を充電制御用FET及び放電制御用FET上に極く近接させて配置することが可能となり、充電制御用FET及び放電制御用FETの温度を精度良く検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1及び図2は本発明の実施例1になる電池保護装置100を示す。図3はCOB形式の電池保護モジュール110を示す。図8及び図9は電池保護装置100がリチウムイオン電池201と接続された状態で電池パック200内に組み込んである状態を示す。Z1は電池パック200の内部側、Z2は電池パック200の表面側である。X1−X2は電池保護装置100の長さ方向、Y1−Y2は幅方向、Z1−Z2は厚さ方向である。Z1側が上面、Z2側が下面である。図10は電池保護装置100の回路図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、電池保護装置100は、電池保護モジュール110と、ベースプリント基板150と、コネクタ部材160とよりなり、ベースプリント基板150上に、電池保護モジュール110とコネクタ部材160とが搭載してある構成である。図10はこの電池保護装置100の回路を、電池保護モジュール110が有する回路部分と、ベースプリント基板150が有する回路部分と、コネクタ部材160が有する回路部分とに分けて示す。
【0010】
端子に注目すると、電池保護装置100は、電池パックマイナス出力端子103、電池パックプラス出力端子104と、リチウムイオン電池201に接続される電池マイナス端子101及び電池プラス端子102を有する。各端子101〜104を辿ると配線及び端子を経て電池保護モジュール110の端子に到る。途中の端子及び電池保護モジュール110の端子については、添え字を付した同じ符号で示す。
【0011】
[電池保護モジュール110]
図2及び図3に示すように、電池保護モジュール110は、両面構造であるCOB対応プリント基板111のZ1側の面に、電池保護ICチップであるコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124を有する。
【0012】
図4に拡大して併せて示すように、第1、第2のFET−SWチップ121、122は上面にゲート端子121G、122G及びソース端子121S、122Sを有し、下面の全面にドレイン端子(図示せず)を有する。同じく図4に示すように、この第1、第2のFET−SWチップ121、122はドレイン端子(図示せず)をプリント基板111上のダイパッド112上に並んだ配置で銀ペーストで実装してある。コントロールICチップ120は、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を跨ぐようにして、第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なって、両面テープ128でもって接着されて搭載してある。コントロールICチップ120のサイズは、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を合わせたサイズよりも小さく、ゲート端子121G、122G及びソース端子121S、122SはコントロールICチップ120の外側に位置しており露出している。また、Auワイヤ126−1、126−2の両端が、コントロールICチップ120の上面の端子と第1、第2のFET−SWチップ121、122上のゲート端子121G、122Gとに夫々ボンディングされて両者の間に張られている。また、第1のFET−SWチップ121のソース端子121Sとパッド113との間に複数のAuワイヤ126−3が夫々ボンディングされて張られている。また、第2のFET−SWチップ122のソース端子122Sとパッド114との間に複数のAuワイヤ126−4が夫々ボンディングされて張られている。また、コントロールICチップ120の上面の他の端子とパッドとの間にAuワイヤ126−5が夫々ボンディングされて張られている。
【0013】
図3中、127は合成樹脂部であり、プリント基板111のZ1側の面111Z1に、コントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124を封止している。コントロールICチップ120が第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なっている部分については、合成樹脂部127は、第1、第2のFET−SWチップ121、122上のコントロールICチップ120及び張られているAuワイヤ126−1〜126−5を封止している。
【0014】
上記のコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122、抵抗チップ123、コンデンサチップ124が図10に示すように接続されて、リチウムイオン電池保護回路が形成してある。
【0015】
[コントロールICチップ120]
図10に示すように、コントロールICチップ120は、充電時に異常が発生してリチウムイオン電池201に過大電圧が印加されると第1のFET−SWチップ121をオフにする過充電検出機能、放電時にリチウムイオン電池201の電圧が所定電圧以下に降下すると第2のFET−SWチップ122をオフにする過放電検出機能、短絡して大電流が流れたときに第1のFET−SWチップ121をオフにする過電流検出機能に加えて、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出機能を備えた構成である。
【0016】
具体的には、図5に示すように、コントロールICチップ120は、第1の論理回路141、第2の論理回路142、過充電検出部VD1、過放電検出部VD2、放電過電流検出部VD3、充電過電流検出部VD4、レベルシフト回路143、遅延回路144、短絡検出部145、発振器146、カウンタ147、及び、本発明の要部をなす温度検出部148を有する。また、コントロールICチップ120は、充電制御端子(COUT)と、放電制御端子(DOUT)と、VDD端子と、VSS端子と、DS端子と、Vマイナス端子(V−)とを有する。温度検出部148は第1の論理回路141及び第2の論理回路142と接続してある。第1の論理回路141及び第2の論理回路142は、夫々充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)と接続してある。
【0017】
温度検出部148は、図7(A)に示すダイオードD1の負の温度特性を利用した構成であり、具体的には、図6に示すように、インバータ149と、この入力側に接続してある抵抗素子R1,R2及びダイオードD1とよりなる構成である。インバータ149には閾値SHが設定してある。閾値SHは、検出すべき温度T1及びダイオードD1の温度特性を考慮して定めてある。インバータ149は第1の論理回路141及び第2の論理回路142と接続してある。
【0018】
ダイオードD1の温度が所定温度T1よりも低い場合には、インバータ149の入力側の電圧は高く、インバータ149の出力は「L」である。第1の論理回路141、第2の論理回路142の出力は「H」であり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位は「H」である。
【0019】
ダイオードD1の温度が上昇すると、図7(A)に示すように、温度が上昇するにつれてダイオードD1の順方向電圧が低くなり、同図(B)に示すように、ダイオードD1の端の電圧が低くなるように変化し、温度が所定温度T1を越えると、インバータ149の入力側の電圧が閾値SHより低くなり、同図(C)に示すように、インバータ149の出力が反転して「H」となる。インバータ149の出力が反転して「H」となると、第1の論理回路141、第2の論理回路142の出力が「L」となり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位は「L」となり、後述するように、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされる。
【0020】
[電池保護装置100]
図1に示すように、上記構成の電池保護モジュール110は、各コーナ部の端子101−1、102−1、103−1、105−1を対応する端子101−2、102−2、103−2、105−2と半田付けされて、ベースプリント基板150の電池保護モジュール実装部151に実装してある。また、コネクタ部材160は、コネクタ部材実装部152に接着してあり、電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104の他端部103a、104aが夫々端子103−3、104−1と半田付けしてある。
【0021】
この電池保護装置100には、図8に示すように、端子101,102に夫々帯状の端子板210,211が接続される。電池保護装置100は、図9に示すように、この端子板210,211の先端をリチウムイオン電池201の極に接続されて、リチウムイオン電池201の一つの側面に沿うように配置され、リチウムイオン電池201と共にケース212a,212b内に組み込まれ、電池パック200が完成する。
【0022】
[電池パック200の過電流]
電池パック200は、図8に示すように、携帯機器に装着されて、電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104を介して携帯機器と電気的に接続されて使用される。リチウムイオン電池201の電圧が所定電圧以下に降下して過放電となると第2のFET−SWチップ122がオフとされる。短絡等して大電流が流れて過電流となると第1のFET−SWチップ121がオフとされる。
【0023】
また、電池パック200は、同じく図8に示すように、充電器にセットされ電池パックマイナス出力端子103及び電池パックプラス出力端子104を介して充電器と電気的に接続されて充電される。充電時に異常が発生してリチウムイオン電池201に過大電圧が印加され過充電となると第1のFET−SWチップ121がオフとされて、リチウムイオン電池201が保護される。
【0024】
また、図10中、端子101と端子103との間に大電流が流れて過電流となると、以下の動作も行われる。
【0025】
充電時には以下の動作が行われる。端子103から端子101に向かって大電流が流れると、第1、第2のFET−SWチップ121、122が発熱する。第1、第2のFET−SWチップ121、122の熱はコントロールICチップ120に伝導して、温度検出部148の温度が所定温度を越えると、インバータ149の入力側の電圧が閾値を越え、インバータ149の出力が反転し「H」となり、第1及び第2の論理回路141、142の出力が共に「L」となり、充電制御端子(COUT)及び放電制御端子(DOUT)の電位が共に「L」となり、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされる。これにより、端子103と端子101間の経路が断たれ、リチウムイオン電池201が保護されると共に、電池保護装置100が異常に加熱されることが回避される。放電時に端子101から端子103に向かって大電流が流れた場合にも、上記と同じ動作がなされ、第1、第2のFET−SWチップ121、122が共にオフとされ、携帯機器が保護されると共に、電池保護装置100が、特に第1、第2のFET−SWチップ121、122が異常に加熱されることが回避される。
【実施例2】
【0026】
次に、上記のコントロールICチップ120、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122をモジュール化した実施例について説明する。
【0027】
図11は電池保護ICチップモジュールとしてのコントロールICチップモジュール300を示す。このコントロールICチップモジュール300は、端子302を有する基板301上に、第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122が並んで実装してあり、コントロールICチップ120が、並んでいる第1、第2のFET−SWチップ121、122を跨ぐようにして、第1、第2のFET−SWチップ121、122上に重なって、両面テープでもって接着されて搭載してあり、且つ、Auワイヤ126−1〜126−5がボンディングされて張られており、第1、第2のFET−SWチップ121、122、コントロールICチップ120、Auワイヤ126−1〜126−5が合成樹脂部310でもって覆われて封止されている構成である。
【0028】
このコントロールICチップモジュール150は、図12及び図13に示すように、COB対応プリント基板111A上に抵抗チップ123、コンデンサチップ124と共に実装され、抵抗チップ123、コンデンサチップ124の部分が合成樹脂部127Aでもって封止されて、電池保護モジュール110Aが構成される。
【0029】
なお、独立した第1のFET−SWチップ121、第2のFET−SWチップ122に代えて、第1、第2のFET−SWチップ121、122が並んで一体化されている構成の部品を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1になる電池保護モジュールを有する電池保護装置の斜視図である。
【図2】図1の電池保護装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1になる電池保護モジュールを内部を透視して示す正面図である。
【図4】コントロールICチップが第1、第2のFET−SWチップ上に搭載してある部分を拡大して示す図である。
【図5】コントロールICチップのブロック回路図である。
【図6】図5中、温度検出部の回路図である。
【図7】図6の温度検出部の動作を説明するための図である。
【図8】図1の電池保護装置を備えた電池パックの分解斜視図である。
【図9】図8の電池パックのうち電池保護装置の部分を示す図である。
【図10】図1の電池保護装置の回路図である。
【図11】本発明の実施例2になるコントロールICチップモジュールを拡大して示す斜視図である。
【図12】図11のコントロールICチップモジュールを有する電池保護モジュールの斜視図である。
【図13】内部を透視して示す図12の電池保護モジュールの正面図である。の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
100 電池用保護回路装置
110、110A 電池保護モジュール
111 COB対応プリント基板
120 コントロールICチップ
121 第1のFET−SWチップ
122 第2のFET−SWチップ
123 抵抗チップ
124 コンデンサチップ
127 合成樹脂部
130 リチウムイオン電池保護回路
300 コントロールICチップモジュール
301 基板
310 合成樹脂部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する電池保護ICチップであって、
温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする構成としたことを特徴とする電池保護ICチップ。
【請求項2】
充電制御用FETチップと、
放電制御用FETチップと、
充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する機能を有し、且つ、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに前記充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする電池保護ICチップとを有し、
基板上に前記充電制御用FETチップと前記放電制御用FETチップとが並んで実装してあり、前記電池保護ICチップが前記充電制御用FETチップ及び前記放電制御用FETチップ上に重ねて搭載してあり、前記充電制御用FETチップ、前記放電制御用FETチップ及び電池保護ICチップが合成樹脂部でもって封止されており、且つ、前記基板に実装用の端子を備えた構成としたことを特徴とする電池保護ICチップモジュール。
【請求項3】
プリント基板上に、
抵抗チップ及びコンデンサチップと共に、充電制御用FETチップと放電制御用FETチップとが並んだ配置で実装してあり、前記充電制御用FETチップと放電制御用FETチップとに跨ってその上面に重なって、充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する機能を有し、且つ、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに前記充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする電池保護ICチップが搭載してあり、これらが電池用保護回路を形成しており、
前記抵抗チップ、コンデンサチップ、充電制御用FETチップ、放電制御用FETチップ、電池保護ICチップが合成樹脂部でもって封止してある構成としたことを特徴とする電池保護モジュール。
【請求項4】
プリント基板上に、抵抗チップ及びコンデンサチップと共に、請求項2に記載の電池保護ICチップモジュールが実装してあり、これらが電池用保護回路を形成してある構成としたことを特徴とする電池保護モジュール。
【請求項1】
充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する電池保護ICチップであって、
温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする構成としたことを特徴とする電池保護ICチップ。
【請求項2】
充電制御用FETチップと、
放電制御用FETチップと、
充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する機能を有し、且つ、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに前記充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする電池保護ICチップとを有し、
基板上に前記充電制御用FETチップと前記放電制御用FETチップとが並んで実装してあり、前記電池保護ICチップが前記充電制御用FETチップ及び前記放電制御用FETチップ上に重ねて搭載してあり、前記充電制御用FETチップ、前記放電制御用FETチップ及び電池保護ICチップが合成樹脂部でもって封止されており、且つ、前記基板に実装用の端子を備えた構成としたことを特徴とする電池保護ICチップモジュール。
【請求項3】
プリント基板上に、
抵抗チップ及びコンデンサチップと共に、充電制御用FETチップと放電制御用FETチップとが並んだ配置で実装してあり、前記充電制御用FETチップと放電制御用FETチップとに跨ってその上面に重なって、充電時及び放電時に電池を保護する機能を有する機能を有し、且つ、温度が上昇して所定温度に到ったことを検出する温度検出部を備え、且つ、該温度検出部が所定温度に到ったことを検出したときに前記充電制御用FETチップ及び放電制御用FETチップをオフにする電池保護ICチップが搭載してあり、これらが電池用保護回路を形成しており、
前記抵抗チップ、コンデンサチップ、充電制御用FETチップ、放電制御用FETチップ、電池保護ICチップが合成樹脂部でもって封止してある構成としたことを特徴とする電池保護モジュール。
【請求項4】
プリント基板上に、抵抗チップ及びコンデンサチップと共に、請求項2に記載の電池保護ICチップモジュールが実装してあり、これらが電池用保護回路を形成してある構成としたことを特徴とする電池保護モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−210120(P2006−210120A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20213(P2005−20213)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]